JP2005016608A - ラジアル玉軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】セラミックスからなる転がり軸受を、高価な材料を使用しないで、高荷重が付加される用途でも好適に使用できるようにする。
【解決手段】外輪1の外周面の平均粗さ(Ra)を0.3μm以下とし、外輪1の軌道溝1aおよび内輪2の軌道溝2aの曲率半径(r)と、玉の直径(d)との比(r/d)を、50.5%以上51.9%以下とする。
【選択図】 図1
【解決手段】外輪1の外周面の平均粗さ(Ra)を0.3μm以下とし、外輪1の軌道溝1aおよび内輪2の軌道溝2aの曲率半径(r)と、玉の直径(d)との比(r/d)を、50.5%以上51.9%以下とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内輪、外輪、および玉を備え、内輪回転で使用され、少なくとも外輪がセラミックス製であるラジアル玉軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックス材料は軸受鋼等の金属材料と比較して耐熱性や耐摩耗性に優れているため、過酷な環境で使用される転がり軸受の材料として好適である。セラミックス材料の中でも、特に窒化珪素を主成分とする焼結体は、強度が高いため最も広範囲に使用されている。窒化珪素焼結体は、焼結助剤として、希土類酸化物と酸化アルミニウム等の金属酸化物を一種類以上、5〜20質量%の範囲で、窒化珪素に加えて焼成することにより得られている。これらの焼結助剤は、窒化珪素結晶粒を拡散し易くする粒界相(液相)を生成して、窒化珪素焼結体を緻密化している。この緻密化により焼結体の強度が高くなる。
【0003】
しかしながら、窒化珪素焼結体は軸受鋼と比較して弾性変形し難いため、脆性である(靱性が低い)。そのため、窒化珪素焼結体からなる転がり軸受は、高荷重(例えば、SUJ2からなる転がり軸受の基本静定格荷重の0.7倍以上)が付与される用途には適していないものとされていた。
そのため、従来より、窒化珪素焼結体の靱性を高くするための提案がなされている。例えば、下記の特許文献1には、酸化イットリウム(Y2 O3 )および酸化セリウム(CeO2 )を固溶し主として正方晶からなるジルコニアを、30体積%以下の範囲で窒化珪素焼結体に含有させることが記載されている。下記の特許文献2には、窒化珪素焼結体の表層部にのみ部分安定化ジルコニアを分散させることが記載されている。
【0004】
また、下記の特許文献3には、酸化物系焼結助剤と珪化物(金属と珪素との化合物)粉末との混合粉末を、珪化物換算で5〜30質量%配合した窒化珪素粉末を焼結することで、窒化珪素焼結体の粒界相中に珪化物を5〜40質量%存在させることが記載されている。下記の特許文献4には、窒化珪素焼結体中に珪化物と炭化珪素ウィスカーとを含有させることが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特公平6−6512号公報
【特許文献2】
特公平7−33289号公報
【特許文献3】
特公平6−53611号公報
【特許文献4】
特公平6−45159号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような靱性が高い窒化珪素焼結体は、材料コストが高いだけでなく、転がり軸受の内輪および外輪のように複雑な形状に加工することが難しい。また、上述のように、焼結助剤以外の成分(珪化物等)を添加したり、表層部と芯部とで異なる組成にしたりすることで、焼結体に亀裂が生じた場合にその亀裂を進展し難くする効果は得られるが、亀裂の発生源となる応力集中部(粒界相)は却って増加すると考えられる。
本発明は、このような従来技術の未解決な課題を解決するためになされたものであり、窒化珪素焼結体等のセラミックスからなる転がり軸受を、安価な方法で(高価な材料を使用しないで)、高荷重が付加される用途でも好適に使用できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、内輪、外輪、および玉を備え、内輪回転で使用され、少なくとも外輪がセラミックス製であるラジアル玉軸受において、外輪の外周面の平均粗さ(Ra)が0.3μm以下であり、外輪の軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)が50.5%以上51.9%以下であることを特徴とするラジアル玉軸受を提供する。
【0008】
本発明に想到した経緯を以下に述べる。
内輪、外輪、玉が全てセラミックス材料で形成されているオールセラミックス製のラジアル玉軸受を、ラジアル方向に高荷重を付加した状態で回転させた場合、損傷が生じる箇所は、特に、非回転側の軌道輪の負荷領域(円周面の荷重を受ける範囲)である。本発明者等の研究によれば、この損傷を支配している割れのモードは、軸方向ではなく部分的な円周方向への割れであることが分かった。
【0009】
さらに、例えば深溝玉軸受の外輪(非回転側の軌道輪)が軸受鋼製のハウジングに取り付けられていて、ラジアル方向に高荷重が付加されて使用された場合、ハウジングの弾性変形によって玉の中心位置が僅かに軸方向にずれ、このずれによって、外輪が、軌道溝を開く方向のモーメント荷重を玉から受けることが分かった。
【0010】
複数の玉が保持器により内外輪間に所定間隔で配置されている場合、外輪軌道溝の円周方向の一部分を考えると、この部分には、玉が転がり接触しながら通過し、その後に玉の接触がない状態があり、その後に次の玉が通過する。この玉が接触していない時には、前記とは逆のモーメント荷重が外輪に付加される。したがって、外輪には、交互に向きの異なるモーメント荷重が繰り返し付加されることになる。ラジアル方向に高荷重を付加して回転試験を行って破損した軸受を分析した結果、このような繰り返し荷重によって割れが発生し、破損に至ることが推測された。
【0011】
セラミックス材料からなる部材は、圧縮強度は高いが引っ張り強度が弱く、引っ張り応力によって破損し易い性質がある。また、表面に欠陥等の応力集中源があると、そこから亀裂が進展して、低い荷重で破損する恐れがある。したがって、破損を避けるためには、特に引っ張り応力が生じる部分に、極力、応力を集中させないようにする必要がある。そのための方法としては、欠陥の少ない素材を使用すること、表面の仕上げ粗さを小さくすること等が挙げられる。
【0012】
上述の損傷モード(部分的な円周方向への割れ)では、軌道溝の底面に最も大きな応力が付加されるが、軌道溝面は、従来より、ラップ仕上げによって平均粗さ(Ra)0.1μm以下に形成されている。二番目に大きな応力が付加される部分は外輪の外周面であるが、従来の製法では、その平均粗さを小さくすることは特に意識されていない。そして、従来の製法では、外輪を回転させながら外周面をラップ仕上げをするため、外輪の外周面には円周方向に凹凸が生じ易い。その結果、従来のセラミックス製の外輪は、外周面の円周方向に亀裂が生じ易い状態になっている。
【0013】
そのため、本発明では、セラミックス製の外輪の外周面の平均粗さ(Ra)を0.3μm以下にすることで、前記外周面の円周方向に亀裂が生じないようにしている。好ましくは、セラミックス製の外輪の外周面の平均粗さ(Ra)を0.1μm以下にする。
また、外輪の軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)は52.0%が標準とされているが、本発明ではこれより小さく(50.5%以上51.9%以下に)して玉を抱え込むようにすることにより、玉の軸方向変位が抑制されるためモーメント荷重の発生自体が抑制される。なお、前記比が50.5%未満であると、軌道面での玉の接触楕円が大きくなって、滑りの発生領域が大きくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に相当するラジアル玉軸受を示す断面図である。この軸受は、呼び番号6206(外径:62mm、内径:30mm、幅:16mm、玉の直径:9.525mm)の深溝玉軸受であって、外輪1、内輪2、玉3、および保持器4で構成されている。
【0015】
外輪1、内輪2、および玉3は、窒化珪素焼結体からなる素材を加工して得られたものである。この素材は、酸化イットリウム(Y2 O3 )と酸化アルミニウム(Al2 O3 )を焼結助剤とし、HIP焼結(熱間静水圧焼結)法により得られた焼結体である。この焼結体の物性は、密度:3.22g/cm3 、硬度(Hv):1500、曲げ強度:900MPa、ヤング率:290GPa、破壊靱性値:6MPa・m0.5 である。
【0016】
ここで、外輪1の軌道溝1aおよび内輪2の軌道溝2aの曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)、および外輪1の外周面の平均粗さ(Ra)は、サンプル毎に、下記の表1に示すように変化させた。また、外輪1および内輪2の軌道溝面の平均粗さ(Ra)は、各サンプルとも0.1μmとした。
保持器4としては66ナイロン製の冠形保持器を使用した。なお、回転速度がより速く、軸受の温度が上昇し易い場合には、より耐熱性の高い46ナイロンやPPS(ポリフェニレンサルファイド)製の保持器を用いることが好ましい。また、SPCCや黄銅製の保持器を用いてもよい。
【0017】
【表1】
【0018】
各サンプルの軸受を図2に示す試験装置に組み込んで回転試験を行った。この試験装置は、シャフト11と、軸受ボックス12と、試験軸受13の外輪が内嵌される第1のハウジング14と、試験軸受13の両側でシャフト11を支持する支持軸受15,16と、支持軸受15,16の外輪が内嵌される第2のハウジング17とを備えている。
【0019】
第1のハウジング14には、上側から荷重を付加する荷重伝達アーム18が設置されている。シャフト11の長さ方向中心部は、第1のハウジング14および荷重伝達アーム18の下部を含めて、軸受ボックス12内に配置されている。この軸受ボックス12内に潤滑油が供給され、試験軸受13および支持軸受15,16はこの潤滑油によって潤滑される。シャフト11は図示されていないモータによって回転される。
【0020】
また、試験軸受13の外輪の温度を検出する熱電対と、試験軸受13に生じた振動を検出する加速度ピックアップが設置され、これらの検出値が試験中にモニタできるように構成されている。
この試験装置により、試験軸受13を回転速度3000min−1で回転させながら、荷重伝達アーム18により付加するラジアル荷重を、段階的に(回転数1×107 回毎に2700Nずつ)増加させて、軸受が破損するか、外輪温度が規定温度(100℃)を超えた時点で試験を終了した。そして、試験終了時点での荷重を破損荷重とした。また、各サンプルの破損荷重について、No. 8の破損荷重を「1」とした相対値を算出した。その結果を、図3および図4のグラフに示す。
【0021】
図3のグラフは、外輪外周面の平均粗さ(Ra)を0.2μmとしたNo. 1,2,5,6,8,9について、軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)と、破損荷重のNo. 8を「1」とした相対値との関係を示す。このグラフから分かるように、外輪外周面の平均粗さ(Ra)を0.2μmとした場合、比(r/d)が50.5%以上51.9%以下であるNo. 1,2,5は、比(r/d)が52.5%であるNo. 8の1.4〜1.7倍の破損荷重になっている。また、比(r/d)が50.5%であるNo. 1は、比(r/d)が50.4%であるNo. 10の1.4倍の破損荷重に、比(r/d)が51.9%であるNo. 5は、比(r/d)が52.0%であるNo. 11の1.3倍の破損荷重になっている。なお、比(r/d)が50.1%であるNo. 6は、低い荷重で軸受温度が規定温度に達したため、試験を終了した。
【0022】
図4のグラフは、軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)を51.5%としたNo. 2,3,4,7について、外輪外周面の平均粗さ(Ra)と、破損荷重のNo. 8を「1」とした相対値との関係を示す。このグラフから分かるように、外輪外周面の平均粗さ(Ra)が0.3μm以下であるNo. 2〜4と比較して、0.4μmであるNo. 7は破損荷重が著しく小さくなっている。
【0023】
以上の結果から分かるように、素材として通常の窒化珪素焼結体を用いた場合でも、外輪外周面の平均粗さ(Ra)を0.3μm以下とし、軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)を50.5%以上51.9%以下とすることで、オールセラミックス製深溝玉軸受を破損し難くすることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、外輪外周面の平均粗さ(Ra)および軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)を特定することで、高価な材料を使用しなくても、高荷重が付加される用途で好適に使用できるセラミックス製ラジアル玉軸受が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に相当するラジアル玉軸受を示す断面図である。
【図2】実施形態で使用した試験装置を示す断面図である。
【図3】実施形態で行った試験の結果を、軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)で整理したグラフである。
【図4】実施形態で行った試験の結果を、外輪外周面の平均粗さ(Ra)で整理したグラフである。
【符号の説明】
1 外輪
1a 外輪の軌道溝
2 内輪
2a 内輪の軌道溝
3 玉
4 保持器
11 シャフト
12 軸受ボックス
13 試験軸受
14 第1のハウジング
15 支持軸受
16 支持軸受
17 第2のハウジング
18 荷重伝達アーム
【発明の属する技術分野】
本発明は、内輪、外輪、および玉を備え、内輪回転で使用され、少なくとも外輪がセラミックス製であるラジアル玉軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックス材料は軸受鋼等の金属材料と比較して耐熱性や耐摩耗性に優れているため、過酷な環境で使用される転がり軸受の材料として好適である。セラミックス材料の中でも、特に窒化珪素を主成分とする焼結体は、強度が高いため最も広範囲に使用されている。窒化珪素焼結体は、焼結助剤として、希土類酸化物と酸化アルミニウム等の金属酸化物を一種類以上、5〜20質量%の範囲で、窒化珪素に加えて焼成することにより得られている。これらの焼結助剤は、窒化珪素結晶粒を拡散し易くする粒界相(液相)を生成して、窒化珪素焼結体を緻密化している。この緻密化により焼結体の強度が高くなる。
【0003】
しかしながら、窒化珪素焼結体は軸受鋼と比較して弾性変形し難いため、脆性である(靱性が低い)。そのため、窒化珪素焼結体からなる転がり軸受は、高荷重(例えば、SUJ2からなる転がり軸受の基本静定格荷重の0.7倍以上)が付与される用途には適していないものとされていた。
そのため、従来より、窒化珪素焼結体の靱性を高くするための提案がなされている。例えば、下記の特許文献1には、酸化イットリウム(Y2 O3 )および酸化セリウム(CeO2 )を固溶し主として正方晶からなるジルコニアを、30体積%以下の範囲で窒化珪素焼結体に含有させることが記載されている。下記の特許文献2には、窒化珪素焼結体の表層部にのみ部分安定化ジルコニアを分散させることが記載されている。
【0004】
また、下記の特許文献3には、酸化物系焼結助剤と珪化物(金属と珪素との化合物)粉末との混合粉末を、珪化物換算で5〜30質量%配合した窒化珪素粉末を焼結することで、窒化珪素焼結体の粒界相中に珪化物を5〜40質量%存在させることが記載されている。下記の特許文献4には、窒化珪素焼結体中に珪化物と炭化珪素ウィスカーとを含有させることが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特公平6−6512号公報
【特許文献2】
特公平7−33289号公報
【特許文献3】
特公平6−53611号公報
【特許文献4】
特公平6−45159号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような靱性が高い窒化珪素焼結体は、材料コストが高いだけでなく、転がり軸受の内輪および外輪のように複雑な形状に加工することが難しい。また、上述のように、焼結助剤以外の成分(珪化物等)を添加したり、表層部と芯部とで異なる組成にしたりすることで、焼結体に亀裂が生じた場合にその亀裂を進展し難くする効果は得られるが、亀裂の発生源となる応力集中部(粒界相)は却って増加すると考えられる。
本発明は、このような従来技術の未解決な課題を解決するためになされたものであり、窒化珪素焼結体等のセラミックスからなる転がり軸受を、安価な方法で(高価な材料を使用しないで)、高荷重が付加される用途でも好適に使用できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、内輪、外輪、および玉を備え、内輪回転で使用され、少なくとも外輪がセラミックス製であるラジアル玉軸受において、外輪の外周面の平均粗さ(Ra)が0.3μm以下であり、外輪の軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)が50.5%以上51.9%以下であることを特徴とするラジアル玉軸受を提供する。
【0008】
本発明に想到した経緯を以下に述べる。
内輪、外輪、玉が全てセラミックス材料で形成されているオールセラミックス製のラジアル玉軸受を、ラジアル方向に高荷重を付加した状態で回転させた場合、損傷が生じる箇所は、特に、非回転側の軌道輪の負荷領域(円周面の荷重を受ける範囲)である。本発明者等の研究によれば、この損傷を支配している割れのモードは、軸方向ではなく部分的な円周方向への割れであることが分かった。
【0009】
さらに、例えば深溝玉軸受の外輪(非回転側の軌道輪)が軸受鋼製のハウジングに取り付けられていて、ラジアル方向に高荷重が付加されて使用された場合、ハウジングの弾性変形によって玉の中心位置が僅かに軸方向にずれ、このずれによって、外輪が、軌道溝を開く方向のモーメント荷重を玉から受けることが分かった。
【0010】
複数の玉が保持器により内外輪間に所定間隔で配置されている場合、外輪軌道溝の円周方向の一部分を考えると、この部分には、玉が転がり接触しながら通過し、その後に玉の接触がない状態があり、その後に次の玉が通過する。この玉が接触していない時には、前記とは逆のモーメント荷重が外輪に付加される。したがって、外輪には、交互に向きの異なるモーメント荷重が繰り返し付加されることになる。ラジアル方向に高荷重を付加して回転試験を行って破損した軸受を分析した結果、このような繰り返し荷重によって割れが発生し、破損に至ることが推測された。
【0011】
セラミックス材料からなる部材は、圧縮強度は高いが引っ張り強度が弱く、引っ張り応力によって破損し易い性質がある。また、表面に欠陥等の応力集中源があると、そこから亀裂が進展して、低い荷重で破損する恐れがある。したがって、破損を避けるためには、特に引っ張り応力が生じる部分に、極力、応力を集中させないようにする必要がある。そのための方法としては、欠陥の少ない素材を使用すること、表面の仕上げ粗さを小さくすること等が挙げられる。
【0012】
上述の損傷モード(部分的な円周方向への割れ)では、軌道溝の底面に最も大きな応力が付加されるが、軌道溝面は、従来より、ラップ仕上げによって平均粗さ(Ra)0.1μm以下に形成されている。二番目に大きな応力が付加される部分は外輪の外周面であるが、従来の製法では、その平均粗さを小さくすることは特に意識されていない。そして、従来の製法では、外輪を回転させながら外周面をラップ仕上げをするため、外輪の外周面には円周方向に凹凸が生じ易い。その結果、従来のセラミックス製の外輪は、外周面の円周方向に亀裂が生じ易い状態になっている。
【0013】
そのため、本発明では、セラミックス製の外輪の外周面の平均粗さ(Ra)を0.3μm以下にすることで、前記外周面の円周方向に亀裂が生じないようにしている。好ましくは、セラミックス製の外輪の外周面の平均粗さ(Ra)を0.1μm以下にする。
また、外輪の軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)は52.0%が標準とされているが、本発明ではこれより小さく(50.5%以上51.9%以下に)して玉を抱え込むようにすることにより、玉の軸方向変位が抑制されるためモーメント荷重の発生自体が抑制される。なお、前記比が50.5%未満であると、軌道面での玉の接触楕円が大きくなって、滑りの発生領域が大きくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に相当するラジアル玉軸受を示す断面図である。この軸受は、呼び番号6206(外径:62mm、内径:30mm、幅:16mm、玉の直径:9.525mm)の深溝玉軸受であって、外輪1、内輪2、玉3、および保持器4で構成されている。
【0015】
外輪1、内輪2、および玉3は、窒化珪素焼結体からなる素材を加工して得られたものである。この素材は、酸化イットリウム(Y2 O3 )と酸化アルミニウム(Al2 O3 )を焼結助剤とし、HIP焼結(熱間静水圧焼結)法により得られた焼結体である。この焼結体の物性は、密度:3.22g/cm3 、硬度(Hv):1500、曲げ強度:900MPa、ヤング率:290GPa、破壊靱性値:6MPa・m0.5 である。
【0016】
ここで、外輪1の軌道溝1aおよび内輪2の軌道溝2aの曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)、および外輪1の外周面の平均粗さ(Ra)は、サンプル毎に、下記の表1に示すように変化させた。また、外輪1および内輪2の軌道溝面の平均粗さ(Ra)は、各サンプルとも0.1μmとした。
保持器4としては66ナイロン製の冠形保持器を使用した。なお、回転速度がより速く、軸受の温度が上昇し易い場合には、より耐熱性の高い46ナイロンやPPS(ポリフェニレンサルファイド)製の保持器を用いることが好ましい。また、SPCCや黄銅製の保持器を用いてもよい。
【0017】
【表1】
【0018】
各サンプルの軸受を図2に示す試験装置に組み込んで回転試験を行った。この試験装置は、シャフト11と、軸受ボックス12と、試験軸受13の外輪が内嵌される第1のハウジング14と、試験軸受13の両側でシャフト11を支持する支持軸受15,16と、支持軸受15,16の外輪が内嵌される第2のハウジング17とを備えている。
【0019】
第1のハウジング14には、上側から荷重を付加する荷重伝達アーム18が設置されている。シャフト11の長さ方向中心部は、第1のハウジング14および荷重伝達アーム18の下部を含めて、軸受ボックス12内に配置されている。この軸受ボックス12内に潤滑油が供給され、試験軸受13および支持軸受15,16はこの潤滑油によって潤滑される。シャフト11は図示されていないモータによって回転される。
【0020】
また、試験軸受13の外輪の温度を検出する熱電対と、試験軸受13に生じた振動を検出する加速度ピックアップが設置され、これらの検出値が試験中にモニタできるように構成されている。
この試験装置により、試験軸受13を回転速度3000min−1で回転させながら、荷重伝達アーム18により付加するラジアル荷重を、段階的に(回転数1×107 回毎に2700Nずつ)増加させて、軸受が破損するか、外輪温度が規定温度(100℃)を超えた時点で試験を終了した。そして、試験終了時点での荷重を破損荷重とした。また、各サンプルの破損荷重について、No. 8の破損荷重を「1」とした相対値を算出した。その結果を、図3および図4のグラフに示す。
【0021】
図3のグラフは、外輪外周面の平均粗さ(Ra)を0.2μmとしたNo. 1,2,5,6,8,9について、軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)と、破損荷重のNo. 8を「1」とした相対値との関係を示す。このグラフから分かるように、外輪外周面の平均粗さ(Ra)を0.2μmとした場合、比(r/d)が50.5%以上51.9%以下であるNo. 1,2,5は、比(r/d)が52.5%であるNo. 8の1.4〜1.7倍の破損荷重になっている。また、比(r/d)が50.5%であるNo. 1は、比(r/d)が50.4%であるNo. 10の1.4倍の破損荷重に、比(r/d)が51.9%であるNo. 5は、比(r/d)が52.0%であるNo. 11の1.3倍の破損荷重になっている。なお、比(r/d)が50.1%であるNo. 6は、低い荷重で軸受温度が規定温度に達したため、試験を終了した。
【0022】
図4のグラフは、軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)を51.5%としたNo. 2,3,4,7について、外輪外周面の平均粗さ(Ra)と、破損荷重のNo. 8を「1」とした相対値との関係を示す。このグラフから分かるように、外輪外周面の平均粗さ(Ra)が0.3μm以下であるNo. 2〜4と比較して、0.4μmであるNo. 7は破損荷重が著しく小さくなっている。
【0023】
以上の結果から分かるように、素材として通常の窒化珪素焼結体を用いた場合でも、外輪外周面の平均粗さ(Ra)を0.3μm以下とし、軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)を50.5%以上51.9%以下とすることで、オールセラミックス製深溝玉軸受を破損し難くすることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、外輪外周面の平均粗さ(Ra)および軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)を特定することで、高価な材料を使用しなくても、高荷重が付加される用途で好適に使用できるセラミックス製ラジアル玉軸受が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に相当するラジアル玉軸受を示す断面図である。
【図2】実施形態で使用した試験装置を示す断面図である。
【図3】実施形態で行った試験の結果を、軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)で整理したグラフである。
【図4】実施形態で行った試験の結果を、外輪外周面の平均粗さ(Ra)で整理したグラフである。
【符号の説明】
1 外輪
1a 外輪の軌道溝
2 内輪
2a 内輪の軌道溝
3 玉
4 保持器
11 シャフト
12 軸受ボックス
13 試験軸受
14 第1のハウジング
15 支持軸受
16 支持軸受
17 第2のハウジング
18 荷重伝達アーム
Claims (1)
- 内輪、外輪、および玉を備え、内輪回転で使用され、少なくとも外輪がセラミックス製であるラジアル玉軸受において、
外輪の外周面の平均粗さ(Ra)が0.3μm以下であり、
外輪の軌道溝の曲率半径(r)と玉の直径(d)との比(r/d)が50.5%以上51.9%以下であることを特徴とするラジアル玉軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003180743A JP2005016608A (ja) | 2003-06-25 | 2003-06-25 | ラジアル玉軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003180743A JP2005016608A (ja) | 2003-06-25 | 2003-06-25 | ラジアル玉軸受 |
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JP2005016608A true JP2005016608A (ja) | 2005-01-20 |
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ID=34181642
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JP2003180743A Pending JP2005016608A (ja) | 2003-06-25 | 2003-06-25 | ラジアル玉軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005016608A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010164068A (ja) * | 2009-01-13 | 2010-07-29 | Harmonic Drive Syst Ind Co Ltd | 波動歯車装置の波動発生器 |
-
2003
- 2003-06-25 JP JP2003180743A patent/JP2005016608A/ja active Pending
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