JP2009190959A - セラミック焼結体及び転動体 - Google Patents
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Abstract
【課題】高強度なセラミック焼結体及び長寿命な転動装置用転動体を提供する。
【解決手段】深溝玉軸受の内輪1及び外輪2は軸受鋼等の鋼で構成されており、転動体3は、ジルコニアを主成分とするセラミック粉末を熱間静水圧焼結法で焼結してなるセラミック焼結体で構成されている。このセラミック粉末は、50質量%以上92質量%以下のジルコニア粉末、2質量%以上5質量%以下のイットリア粉末、5質量%以上30質量%以下のアルミナ粉末、及び1質量%以上15質量%以下の二酸化チタン粉末を混合した混合粉末である。
【選択図】図1
【解決手段】深溝玉軸受の内輪1及び外輪2は軸受鋼等の鋼で構成されており、転動体3は、ジルコニアを主成分とするセラミック粉末を熱間静水圧焼結法で焼結してなるセラミック焼結体で構成されている。このセラミック粉末は、50質量%以上92質量%以下のジルコニア粉末、2質量%以上5質量%以下のイットリア粉末、5質量%以上30質量%以下のアルミナ粉末、及び1質量%以上15質量%以下の二酸化チタン粉末を混合した混合粉末である。
【選択図】図1
Description
本発明は、セラミック粉末を焼結してなるセラミック焼結体に関する。また、本発明は、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等のような転動装置に組み込まれて使用される転動体に関する。
現在、セラミック製の転がり軸受用転動体としては、窒化ケイ素製の転動体が主流である。ところが、窒化ケイ素は非酸化物系のセラミックであるため、製造工程の管理を厳密に行う必要があり、その結果高価となり普及が限定されている。また、内輪及び外輪が鋼製で転動体がセラミック製であるハイブリッド軸受の場合は、窒化ケイ素やアルミナはヤング率が高いため、同じ荷重で使用した場合には面圧が高くなり軸受の寿命が短くなる傾向がある。
そのため、酸化物系のセラミックであるとともに、ヤング率が鋼と同等で破壊靱性値や3点曲げ強度が高いジルコニアが、転がり軸受用転動体の素材として採用され始めている。ただし、純ジルコニアは摩耗や早期剥離が発生しやすく、十分な寿命を有する転がり軸受を得ることが難しいので、ジルコニアの高強度化及びジルコニア製転動体の高精度化が必要である。
特許文献1には、ジルコニアの問題点である相転移を抑制するために安定化材を添加したジルコニアを主成分とするセラミック焼結体が記載されている。
特開2001−335363号公報
特開2005−226829号公報
特許文献1には、ジルコニアの問題点である相転移を抑制するために安定化材を添加したジルコニアを主成分とするセラミック焼結体が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載のセラミック焼結体は、ジルコニアの安定化がなされており劣化は抑制されているものの、摩耗,早期剥離の抑制や高強度化は十分に達成されていない。よって、このセラミック焼結体で転動体を製造しても、十分な寿命を有する転がり軸受を得ることは難しかった。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高強度なセラミック焼結体及び長寿命な転動装置用転動体を提供することを課題とする。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高強度なセラミック焼結体及び長寿命な転動装置用転動体を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1のセラミック焼結体は、ジルコニアを主成分とするセラミック粉末を焼結してなるセラミック焼結体において、前記セラミック粉末を、50質量%以上92質量%以下のジルコニア粉末、2質量%以上5質量%以下のイットリア粉末、5質量%以上30質量%以下のアルミナ粉末、及び1質量%以上15質量%以下の二酸化チタン粉末の混合粉末としたことを特徴とする。
ジルコニアは、破壊靱性値や曲げ強度が高いという長所を有しているものの、相転移による劣化が生じやすく且つ低硬度であるという問題点を有している。本発明のセラミック焼結体はイットリアを含有しているので、相転移が生じにくく安定である。ジルコニアを十分に安定化するためには、イットリアの含有量は2質量%以上5質量%以下とする必要がある。
ジルコニアは、破壊靱性値や曲げ強度が高いという長所を有しているものの、相転移による劣化が生じやすく且つ低硬度であるという問題点を有している。本発明のセラミック焼結体はイットリアを含有しているので、相転移が生じにくく安定である。ジルコニアを十分に安定化するためには、イットリアの含有量は2質量%以上5質量%以下とする必要がある。
また、本発明のセラミック焼結体は、高硬度,高ヤング率のアルミナを含有しているので、高硬度且つ高強度である。セラミック焼結体の硬度を窒化ケイ素と同等以上とするためには、アルミナの含有量を5質量%以上とする必要がある。一方、破壊靱性値を5.0MPa・m1/2 以上とするためには、アルミナの含有量を30質量%以下とする必要がある。
さらに、本発明のセラミック焼結体は二酸化チタンを含有しているので、前述の安定化と高強度化の作用が高められる。前述の安定化と高強度化の作用を十分に得るためには、二酸化チタンの含有量は1質量%以上15質量%以下とする必要がある。
さらに、本発明のセラミック焼結体は二酸化チタンを含有しているので、前述の安定化と高強度化の作用が高められる。前述の安定化と高強度化の作用を十分に得るためには、二酸化チタンの含有量は1質量%以上15質量%以下とする必要がある。
また、本発明に係る請求項2のセラミック焼結体は、請求項1に記載のセラミック焼結体において、前記ジルコニア粉末及び前記アルミナ粉末の平均粒径を0.5μm以下としたことを特徴とする。
セラミック焼結体を転動装置の転動体として使用した場合の転動体の寿命は、セラミック焼結体の組成のみならず結晶構造(結晶粒の大きさ)とも大きく関係している。転動体を長寿命とするためには、焼結に用いる原料粉末であるジルコニア粉末及びアルミナ粉末の平均粒径は、0.5μm以下であることが好ましい。
セラミック焼結体を転動装置の転動体として使用した場合の転動体の寿命は、セラミック焼結体の組成のみならず結晶構造(結晶粒の大きさ)とも大きく関係している。転動体を長寿命とするためには、焼結に用いる原料粉末であるジルコニア粉末及びアルミナ粉末の平均粒径は、0.5μm以下であることが好ましい。
さらに、本発明に係る請求項3のセラミック焼結体は、請求項1又は請求項2に記載のセラミック焼結体において、熱間静水圧焼結法により焼結してなることを特徴とする。
熱間静水圧焼結法により焼結されているので、微細な結晶構造(微細な結晶粒)を有している。よって、セラミック焼結体を転動装置の転動体として使用した場合に、転動体が長寿命である。
熱間静水圧焼結法により焼結されているので、微細な結晶構造(微細な結晶粒)を有している。よって、セラミック焼結体を転動装置の転動体として使用した場合に、転動体が長寿命である。
さらに、本発明に係る請求項4のセラミック焼結体は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセラミック焼結体において、気孔の最大径が20μm以下であることを特徴とする。
このような構成であれば、セラミック焼結体を転動装置の転動体として使用した場合に、転動体が長寿命である。
このような構成であれば、セラミック焼結体を転動装置の転動体として使用した場合に、転動体が長寿命である。
さらに、本発明に係る請求項5の転動体は、転動装置に組み込まれて使用される転動体において、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセラミック焼結体で構成したことを特徴とする。
前述のようなセラミック焼結体で構成された転動体は長寿命であるので、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等のような転動装置に組み込まれる転動体として好適である。
前述のようなセラミック焼結体で構成された転動体は長寿命であるので、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等のような転動装置に組み込まれる転動体として好適である。
なお、転動装置とは、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、を備えるものである。
ここで、内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
ここで、内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
本発明のセラミック焼結体は、相転移が生じにくく安定であるとともに高強度である。また、本発明の転動体は、転動装置に組み込まれる転動体として好適であり長寿命である。
本発明に係るセラミック焼結体及び転動体の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係るセラミック焼結体で構成された転動体が組み込まれた深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。図1の深溝玉軸受は、外周面に軌道面1aを有する内輪1と、内輪1の軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に有する外輪2と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の転動体(玉)3と、内輪1及び外輪2の間に複数の転動体3を保持する保持器4と、を備えている。なお、内輪1及び外輪2の間に介在され、内輪1の外周面と外輪2の内周面との間の開口部分をほぼ覆う密封装置(シール,シールド等)を備えていてもよい。また、保持器4は備えていなくてもよい。
図1は、本発明に係るセラミック焼結体で構成された転動体が組み込まれた深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。図1の深溝玉軸受は、外周面に軌道面1aを有する内輪1と、内輪1の軌道面1aに対向する軌道面2aを内周面に有する外輪2と、両軌道面1a,2a間に転動自在に配された複数の転動体(玉)3と、内輪1及び外輪2の間に複数の転動体3を保持する保持器4と、を備えている。なお、内輪1及び外輪2の間に介在され、内輪1の外周面と外輪2の内周面との間の開口部分をほぼ覆う密封装置(シール,シールド等)を備えていてもよい。また、保持器4は備えていなくてもよい。
内輪1及び外輪2は軸受鋼等の鋼で構成されており、転動体3は、ジルコニアを主成分とするセラミック粉末を焼結してなるセラミック焼結体で構成されている。このセラミック粉末は、50質量%以上92質量%以下のジルコニア粉末(ZrO2 )、2質量%以上5質量%以下のイットリア粉末(Y2 O3 )、5質量%以上30質量%以下のアルミナ粉末(Al2 O3 )、及び1質量%以上15質量%以下の二酸化チタン粉末(TiO2 )を混合した混合粉末である。
このようなセラミック焼結体は、破壊靱性値が高いことに加えて、高強度且つ高硬度である。さらに、ジルコニアが有する問題点である相転移が生じにくく、安定である。よって、転動体3は摩耗,早期剥離が生じにくく長寿命であるため、この深溝玉軸受は長寿命である。このような深溝玉軸受は、電食防止用途や特殊環境用途(腐食性雰囲気,高真空,非磁性等)に好適である。
例えば、電食防止用途としては、インバータ制御によるファンモータや、インバータ制御を行う装置に組み込まれるファンモータがあげられる。セラミック焼結体製の転動体により内外輪間の絶縁がなされているので、内外輪間の電流の流れを確実に遮断して電食を防止することができる。
なお、転動体3の寿命は、セラミック焼結体の組成のみならず結晶構造(結晶粒の大きさ)とも大きく関係しているので、転動体3を長寿命とするためには、焼結に用いる原料粉末であるジルコニア粉末及びアルミナ粉末の平均粒径を、0.5μm以下とすることが好ましい。なおかつ、セラミック焼結体において1mm2 あたりのアルミナ粉末の個数が1000個以下となるように、結晶構造を微細化する(微細な結晶粒とする)ことがより好ましい。
なお、転動体3の寿命は、セラミック焼結体の組成のみならず結晶構造(結晶粒の大きさ)とも大きく関係しているので、転動体3を長寿命とするためには、焼結に用いる原料粉末であるジルコニア粉末及びアルミナ粉末の平均粒径を、0.5μm以下とすることが好ましい。なおかつ、セラミック焼結体において1mm2 あたりのアルミナ粉末の個数が1000個以下となるように、結晶構造を微細化する(微細な結晶粒とする)ことがより好ましい。
さらに、セラミック焼結体の結晶構造を微細(微細な結晶粒)とし、転動体3を長寿命とするためには、焼結法を熱間静水圧焼結法(HIP法:Hot-Isostatic-Pressing)とすることが好ましい。さらに、転動体3を長寿命とするためには、セラミック焼結体に形成されている気孔の最大径を20μm以下とすることが好ましい。さらに、十分な寿命と音響特性を得るためには、転動体3の転動面の算術平均粗さ(仕上げ研磨後)を0.01μmRa以下とすることが好ましい。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては転動装置の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。さらに、本発明は、転がり軸受に限らず、他の種類の様々な転動装置に対して適用することができる。例えば、ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
〔実施例〕
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。ジルコニア粉末,イットリア粉末,アルミナ粉末,及び二酸化チタン粉末を乾式混合し、混合粉末を得た。各粉末の含有量は、ジルコニア粉末74質量%、アルミナ粉末20質量%、イットリア粉末3質量%、二酸化チタン粉末3質量%である。また、いずれの粉末も、その平均粒径は0.5μm以下である。
この混合粉末を69MPa以上の圧力でプレス成形し、1200〜1500℃で予備焼結した後に、1300〜1650℃で熱間静水圧焼結を行った。このようにして得られた実施例のセラミック焼結体(以降は複合ジルコニア焼結体と記す)は、3点曲げ強度が1200MPa以上と高強度であった。
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。ジルコニア粉末,イットリア粉末,アルミナ粉末,及び二酸化チタン粉末を乾式混合し、混合粉末を得た。各粉末の含有量は、ジルコニア粉末74質量%、アルミナ粉末20質量%、イットリア粉末3質量%、二酸化チタン粉末3質量%である。また、いずれの粉末も、その平均粒径は0.5μm以下である。
この混合粉末を69MPa以上の圧力でプレス成形し、1200〜1500℃で予備焼結した後に、1300〜1650℃で熱間静水圧焼結を行った。このようにして得られた実施例のセラミック焼結体(以降は複合ジルコニア焼結体と記す)は、3点曲げ強度が1200MPa以上と高強度であった。
この複合ジルコニア焼結体と、比較例である純度99.9%の純アルミナ粉末の熱間静水圧焼結品(以降はアルミナ焼結体と記す)及び窒化ケイ素粉末の熱間静水圧焼結品(以降は窒化ケイ素焼結体と記す)を、それぞれ球状に加工して、呼び番号6206の深溝玉軸受用の転動体(直径は3/8インチ)を製造した。等級は全てG3等級である。そして、この転動体と鋼製の内外輪とを組み立てて、呼び番号6206の深溝玉軸受を製造した。なお、複合ジルコニア焼結体,アルミナ焼結体,及び窒化ケイ素焼結体の各種物性を表1に示す。
次に、得られた深溝玉軸受の寿命の評価を、図2に示すような試験機を使用して行った。詳細な試験方法を、図2を参照しながら説明する。図2に示す寿命試験機は、試験軸受21の外輪21aが取り付けられるハウジング22と、試験軸受21の内輪21bが取り付けられる軸23と、試験軸受21の内部に潤滑油を供給する給油ノズル24と、を備えている。
ハウジング22の全体と、軸23の基端部以外の部分とは囲い部材25で覆われており、給油ノズル24は囲い部材25の内側の上部に設置されている。また、囲い部材24の外側の上部には、ハウジング22を介して試験軸受21に負荷を与える負荷レバー26が設置されている。
このような構成から、試験軸受21は、負荷レバー26から負荷を受け、給油ノズル24から潤滑剤を強制的に給油されながら、軸23により回転されるようになっている。寿命試験の条件は、試験荷重9702N、試験温度室温、回転速度3900rpm(内輪回転)とした。
このような構成から、試験軸受21は、負荷レバー26から負荷を受け、給油ノズル24から潤滑剤を強制的に給油されながら、軸23により回転されるようになっている。寿命試験の条件は、試験荷重9702N、試験温度室温、回転速度3900rpm(内輪回転)とした。
なお、給油ノズル24には、潤滑油を貯留する油タンク27が配管28を介して連結されていて、潤滑油が油タンク27から給油ノズル24に供給されるようになっている。また、試験軸受21に供給された潤滑剤は囲い部材25内に落ち、囲い部材25の下部に設けられた廃油管29を通って油タンク27に戻されるようになっている。さらに、配管28の上流側には、潤滑油中の異物を除去するフィルター30が取り付けられていて、清浄な潤滑剤が給油ノズル24に供給されるようになっている。
上記のような寿命試験により得られた結果(L10寿命)を、図3のグラフに示す。なお、図3のL10寿命の数値は、窒化ケイ素焼結体で構成された転動体を備える軸受のL10寿命を1とした場合の相対値で示してある。窒化ケイ素焼結体は、現在転がり軸受の転動体の素材として主に採用されている材料である。
図3のグラフから分かるように、本発明の複合ジルコニア焼結体で構成された転動体を備える軸受は、窒化ケイ素焼結体の場合とほぼ同等のL10寿命を有していた。複合ジルコニア焼結体は窒化ケイ素焼結体に比べて格段に安価に製造することが可能であるため、転がり軸受の転動体の素材として非常に好適である。
図3のグラフから分かるように、本発明の複合ジルコニア焼結体で構成された転動体を備える軸受は、窒化ケイ素焼結体の場合とほぼ同等のL10寿命を有していた。複合ジルコニア焼結体は窒化ケイ素焼結体に比べて格段に安価に製造することが可能であるため、転がり軸受の転動体の素材として非常に好適である。
次に、上記の複合ジルコニア焼結体を200℃でエージングした後に3点曲げ強度を測定することにより、熱劣化挙動の調査を行った。比較例として、部分安定化ジルコニア焼結体についても同様の調査を行った。部分安定化ジルコニア焼結体は、以下のようにして成形したものを用いた。すなわち、東ソー株式会社製の部分安定化ジルコニア粉末(ジルコニア97質量%とイットリア3質量%との混合物)を、圧力100〜200MPaの熱間静水圧焼結で成形した後に、500℃で2時間脱脂処理を行い、さらに1400℃で2時間焼結を行った。
部分安定化ジルコニア焼結体の各種物性を、表1に併せて示す。また、熱劣化挙動の調査結果を、図4のグラフに示す。このグラフから分かるように、実施例の複合ジルコニア焼結体は、200℃で長時間エージングしても、曲げ強度の低下がなかった。これに対して、比較例の部分安定化ジルコニア焼結体は、時間の経過とともに曲げ強度が徐々に低下した。
1 内輪
2 外輪
3 転動体
2 外輪
3 転動体
Claims (5)
- ジルコニアを主成分とするセラミック粉末を焼結してなるセラミック焼結体において、前記セラミック粉末を、50質量%以上92質量%以下のジルコニア粉末、2質量%以上5質量%以下のイットリア粉末、5質量%以上30質量%以下のアルミナ粉末、及び1質量%以上15質量%以下の二酸化チタン粉末の混合粉末としたことを特徴とするセラミック焼結体。
- 前記ジルコニア粉末及び前記アルミナ粉末の平均粒径を0.5μm以下としたことを特徴とする請求項1に記載のセラミック焼結体。
- 熱間静水圧焼結法により焼結してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセラミック焼結体。
- 気孔の最大径が20μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセラミック焼結体。
- 転動装置に組み込まれて使用される転動体において、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセラミック焼結体で構成したことを特徴とする転動体。
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JP2017072263A (ja) * | 2017-01-11 | 2017-04-13 | 株式会社東芝 | 転がり軸受 |
JP2018119689A (ja) * | 2018-04-25 | 2018-08-02 | 株式会社東芝 | 転がり軸受 |
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