JPH11314970A - 窒化珪素焼結体及びその製造方法並びにその窒化珪素焼結体を用いた軸受け及び転がり軸受け - Google Patents

窒化珪素焼結体及びその製造方法並びにその窒化珪素焼結体を用いた軸受け及び転がり軸受け

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JPH11314970A
JPH11314970A JP11054422A JP5442299A JPH11314970A JP H11314970 A JPH11314970 A JP H11314970A JP 11054422 A JP11054422 A JP 11054422A JP 5442299 A JP5442299 A JP 5442299A JP H11314970 A JPH11314970 A JP H11314970A
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Michinori Niwa
倫規 丹羽
Takeshi Mitsuoka
健 光岡
Kazuhiro Urashima
和浩 浦島
Satoshi Iio
聡 飯尾
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温の酸溶液中での耐食性に優れ、強度が大
きく、且つ容易に緻密化することができる窒化珪素焼結
体及びその製造方法並びに窒化珪素焼結体を用いた軸受
け及び転がり軸受けを提供する。 【解決手段】 MgをMgO換算で0.1〜2重量%、
AlをAl23換算で1〜3重量%、及びTaをTa2
5換算で1〜3重量%含有する窒化珪素焼結体を得
る。Mgは、0.5〜2重量%とすることが好ましい。
また、MgとAlとの合計量を4重量%以下とすること
が好ましい。この窒化珪素焼結体は、窒化珪素粉末と所
定の焼結助剤粉末とを、窒素雰囲気下、10〜100k
g/cm2の低い圧力でHIP焼成することにより、容
易に、且つ安価に製造することができる。更に、還元雰
囲気において焼成することにより、TaCを含有する焼
結体とすることがより好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性に優れ、強
度が大きく、且つ緻密化が容易な窒化珪素焼結体及びそ
の製造方法並びにその窒化珪素焼結体を用いた軸受け及
び転がり軸受けに関する。本発明の窒化珪素焼結体は、
すべり軸受け、転がり軸受け、メカニカルシール、産業
用バルブ、その他の腐食環境等において使用される摺動
部材及び構造部材などとして使用することができる。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素は優れた耐食性、耐摩耗性及び
機械的特性等を有しており、腐食環境において使用され
る軸受け或いは産業用バルブ等として使用されている。
この窒化珪素は耐食性に優れたセラミックスではある
が、室温以上の温度、特に高温の酸溶液中といった過酷
な条件下では、腐食を生ずることがある。そのため、こ
のような腐食環境における使用にも耐え得る、より優れ
た耐食性(以下、これを「耐酸性」という。)を有する
窒化珪素が必要とされている。この窒化珪素の耐食性に
ついては、特開昭61−72685号公報、特開平3−
60467号公報、特開平5−117034号公報、特
開平5−208871号公報及び特開平6−22786
3号公報等において、その改善が試みられている。
【0003】窒化珪素は共有結合性が強く難焼結性の物
質である。そのため、緻密化には焼結助剤の配合が不可
欠である。緻密化に有効なこの助剤成分としては、Mg
O、Al23及び希土類元素の酸化物等がよく知られて
いる。これらの焼結助剤は焼成時に液相を生成し、この
液相を介して窒化珪素が溶解し、且つ再析出することに
より焼結が進行する。そして、焼結終了後、この液相は
窒化珪素粒子間に粒界相として残留する。
【0004】上記の窒化珪素の高温の酸溶液中での腐食
は、窒化珪素粒子そのものの腐食ではなく、この窒化珪
素粒子間の粒界相における腐食であることが知られてい
る。従って、その耐酸性を向上させるためには、粒界相
の量比を低くすること、即ち、焼成時の焼結助剤の使用
量を少なくすることが有効である。しかし、単に焼結助
剤の使用量を少なくするだけでは焼結性が低下し、緻密
化が困難となり、強度の大きな焼結体を得ることができ
ないといった問題がある。また、焼成温度を著しく高く
すれば緻密化することはできるが、コストが高くなり不
利である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
の問題を解決するものであり、耐酸性に優れ、強度が大
きく、且つ緻密化が容易な窒化珪素焼結体及びその製造
方法並びにその窒化珪素焼結体を用いた軸受け及び転が
り軸受けを提供することを目的とする。本発明の窒化珪
素焼結体は、特に、腐食環境において使用される軸受け
部材として有用である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、窒化珪素粒
子間に形成される粒界相を改質することにより、耐酸性
に優れ、強度が大きく、且つ緻密化が容易な窒化珪素焼
結体を得ることを試みた。MgO、Al23及び希土類
元素の酸化物などを、その粒界相に含む窒化珪素焼結体
の耐酸性を検討した結果、Al23はほとんど溶出しな
いが、MgO及び希土類元素の酸化物は溶出し易いこと
を見出した。これは、MgO等のアルカリ土類金属の酸
化物及び希土類元素の酸化物は塩基性であり、酸と反応
し易いのに対して、Al23は中性であって、酸に対し
て比較的安定であるためと考えられる。
【0007】この知見によれば、耐酸性に優れた窒化珪
素焼結体を得るためには、MgO及び希土類元素の酸化
物は焼結助剤として使用しないことが好ましいと思われ
る。しかし、実際には、MgO及び希土酸元素の酸化物
をまったく使用せずに窒化珪素焼結体を緻密化すること
は困難である。そこで、本発明では、塩基性の酸化物で
あるMgOの配合量をでき得る限り少なくし、このMg
Oの減量にともなう焼結性の低下を、中性乃至弱酸性の
酸化物であって耐酸性に優れるAl23及びTa25
よって補うこととした。これによって、耐酸性に優れ、
強度が大きく、且つ緻密化が容易な窒化珪素焼結体が得
られることを見出した。
【0008】第1発明の窒化珪素焼結体は、マグネシウ
ム元素をMgO換算で0.1〜2重量%、アルミニウム
元素をAl23換算で1〜3重量%、及びタンタル元素
をTa25換算で1〜3重量%含有することを特徴とす
る。
【0009】上記「マグネシウム元素」は、上記「窒化
珪素焼結体」において粒界相を形成し、通常、その酸化
物である上記「MgO」として含有される。焼結助剤と
して配合されるMgOは、その他の助剤成分及び窒化珪
素粒子の表面に存在するSiO2とともに液相を生成
し、焼結に寄与する。そして、このMgOは低融点の液
相を生成するため、焼結性の向上に特に有用である。そ
のため、十分に緻密化され、強度の大きい焼結体を得る
ために必要とされる。しかし、MgOは塩基性の酸化物
であるため、量比が高くなるとともに焼結体の耐酸性が
低下する。
【0010】マグネシウム元素の含有量がMgO換算で
2重量%を越える場合は、耐酸性が相当に低下し、特に
高温の酸溶液に耐えられる焼結体を得ることができな
い。一方、この含有量が0.1重量%未満では、緻密化
が不十分となり、得られる焼結体の強度が大きく低下す
る。このMgOの含有量は特に0.5〜2重量%とする
ことが好ましい。この範囲の含有量であれば、優れた耐
酸性を有し、且つ緻密化も十分に進んで、強度の大きい
焼結体を得ることができる。尚、MgOの含有量が0.
5重量%未満であると、緻密化し難くなり、強度も低下
するが、耐酸性は特に問題のない焼結体を得ることがで
きる。また、焼結助剤として、MgOに代えて炭酸マグ
ネシウム等の分解又は酸化によりMgOを生成するマグ
ネシウム化合物を使用することもできる。
【0011】上記「アルミニウム元素」及び上記「タン
タル元素」も、窒化珪素焼結体において粒界相を形成
し、通常、それらの酸化物である上記「Al23」及び
上記「Ta25」として含有される。これらもAl23
或いはTa25、又は分解若しくは酸化により、これら
の酸化物を生成する焼結助剤として配合され、得られる
窒化珪素焼結体に含有される。これらは緻密化に有用な
MgO又は分解若しくは酸化によりMgOを生成するマ
グネシウム化合物の配合量の減少による焼結性の低下を
補うため使用される。
【0012】これらAl23及びTa25は中性乃至弱
酸性の酸化物であり、MgOの量比が高い場合に比べ
て、得られる焼結体の耐酸性が向上する。アルミニウム
元素の含有量がAl23換算で1重量%未満では、緻密
化が十分に進まない。一方、この含有量が3重量%を越
える場合は、焼結体の耐酸性が低下する。また、タンタ
ル元素の含有量がTa25換算で1重量%未満では、緻
密化が十分に進まず、この含有量が3重量%を越える場
合は、焼結体の耐酸性が低下する。更に、MgO換算に
よるマグネシウム元素と、Al23換算によるアルミニ
ウム元素との合計量は、第2発明のように、4重量%以
下とすることが好ましい。この合計量が4重量%を越え
る場合は、耐酸性が低下する傾向にある。
【0013】Ta25又は分解若しくは酸化によりTa
25を生成する焼結助剤は、焼成時、MgO及びAl2
3とともに液相を生成し、焼結体の緻密化に寄与す
る。この焼成時、カーボンの発熱体を用いた焼成炉、或
いはカーボン鞘等を使用した場合は、このカーボンから
発生する一酸化炭素によってTa25の一部が還元され
てTaCに変化し、第3発明のように、TaCを含む窒
化珪素焼結体とすることができる。このTaCは耐酸性
に優れており、これによって粒界相の耐酸性がより向上
する。尚、焼成雰囲気に一酸化炭素を添加することもで
き、特に、カーボンの発熱体を用いた焼成炉などを使用
しない場合も、一酸化炭素の添加によって還元雰囲気と
することができる。
【0014】更に、焼成過程においてTaCが生成する
ことにより焼結体は黒色となる。窒化珪素焼結体は焼結
助剤の組成により灰色、黒色或いは茶色等、種々の色調
となるが、焼成雰囲気の影響を受けて焼結体に微妙な色
むらを生ずることが多い。この色むらは商品価値の低下
を招くため問題であるが、第3発明の焼結体では、Ta
Cの生成による黒色化のため色むらが解消され、商品価
値が高められるとの効果も併せ奏される。また、生成し
たTaCは粒径がおよそ1μm以下(通常、0.1〜1
μm程度)の微粒子であり、粒界相に均一に分散して、
含有されている。そして、このように均一に分散したT
aCの微粒子は、ピンニング効果により窒化珪素粒子の
粒成長を抑制する作用を有する。この作用によって、窒
化珪素粒子の異常粒成長が抑制され、破壊起点となり得
る異常に成長した粒子が生成しないため、焼結体の強度
が向上する。
【0015】第1乃至第3発明の窒化珪素焼結体は、緻
密化し易く、強度が大きい。それとともに優れた耐酸性
を有することを最も大きな特徴とする。特に、第4発明
のように、特定の方法によって測定した腐食減量が10
-3kg/m2以下の優れた耐酸性を有する焼結体とする
ことができる。この耐酸性は、特に5×10-5〜5×1
-4kg/m2、更には5×10-5〜3×10-4kg/
2とすることができる。また、MgOを0.5〜1.
5重量%、Al23を1〜1.5重量%、Ta25を1
〜2.5重量%含有する焼結体では、その耐酸性は5×
10-5〜2×10-4kg/m2となり、非常に優れた耐
酸性を有する窒化珪素焼結体とすることができる。尚、
第4発明の腐食減量の測定方法において、沸騰状態と
は、1気圧において穏やかに沸騰している状態であり、
その温度は107℃程度である。
【0016】更に、この焼結体のJIS R 1601
に準じて測定した3点曲げ強度は、1000MPa以
上、多くの場合に1200〜1450MPaであり、十
分な強度を併せ有する窒化珪素焼結体を得ることができ
る。また、特に、100kg/cm2以下の低圧での熱
間静水圧加圧法(HIP法)によっても、1250〜1
400MPaと強度の大きい焼結体を得ることができ
る。
【0017】第5発明の窒化珪素焼結体の製造方法は、
原料粉末を、窒素雰囲気下、10〜2000kg/cm
2の圧力で焼成し、第1乃至第4発明の窒化珪素焼結体
を得ることを特徴とする。
【0018】軸受け、メカニカルシール及び産業用バル
ブ等の用途において使用されるセラミックスには、高い
信頼性及び優れた強度等が必要とされる。そのため、H
IP法によって製造されることが多く、通常、数100
〜3000kg/cm2の高圧下で焼成される。従っ
て、転がり軸受けの内外輪等、比較的大型の成形品で
は、HIP法により焼成した場合、得られる製品は非常
に高価なものとなる。これに対して、本発明では、特に
1600〜1850℃の温度範囲において、第6発明の
ように、ガスの圧力が100kg/cm2以下といった
低圧で焼成(低圧HIP法)することができ、ガスの圧
力が1000kg/cm2程度の通常のHIP法によっ
て得られる製品と同等の強度を有する窒化珪素焼結体を
得ることができる。この低圧HIP法は通常のHIP法
に比べてコストの面で非常に有利であり、安価な軸受け
等を提供することができる。また、第7発明のように、
還元雰囲気下で焼成することによって、Ta25の一部
を耐酸性に優れたTaCに変化させることができ、より
耐酸性に優れた焼結体とすることができる。
【0019】本第8発明の軸受けは、軸受けを構成する
部材の少なくとも1種が請求項1乃至4のうちのいずれ
か1項に記載の窒化珪素焼結体により形成されることを
特徴とする。上記「軸受け」には、転がり軸受け及びす
べり軸受けが含まれる。
【0020】第9発明の転がり軸受けは、転動体、内輪
及び外輪を備える転がり軸受けにおいて、該転動体、内
輪及び外輪のうちの少なくとも1種が請求項1乃至4の
うちのいずれか1項に記載の窒化珪素焼結体により形成
であることを特徴とする。
【0021】この転動体は、内輪及び外輪に挟持され
て、この内輪及び外輪間において転動することができる
形状であればよい。従って、その形状は球形、円柱形及
び円錐台形等、各種の形状とすることができる。内輪及
び外輪は、転動体を挟持し、転動体の軌道を構成する部
材である。また、耐食性の観点からは、これらの転動
体、内輪及び外輪の全ての部材が窒化珪素のみから形成
されることが特に好ましい。尚、この軸受けは、転動体
同士が摺動することのないように、通常、転動体を保持
する保持器を備え、転動体等と同様に、第1乃至第4発
明のうちのいずれか1つに記載されている窒化珪素焼結
体により形成することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】(1)窒化珪素焼結体の製造 窒化珪素粉末(比表面積;10m2/g、平均粒径;
0.6μm)と、焼結助剤粉末[MgO(比表面積;3
7.1m2/g)、Al23(比表面積;8.61m2
g)及びTa25(比表面積;1.87m2/g)]と
を、表1の所定の量比となるように秤量した。これらの
粉末を、窒化珪素ポット及び窒化珪素ボールを用いて、
回転数70rpmで40時間湿式にて混合し、粉砕し
た。その後、500メッシュの篩によって得られたスラ
リーから夾雑物を取り除き、溶媒を除去し、粉末を回収
した。次いで、60メッシュの篩を用いて造粒粉を得、
この造粒粉を一軸加圧成形した後、2t/cm2の圧力
で冷間静水圧加圧法によって成形体を得た。
【0023】その後、1550〜1800℃のうちの所
定の温度(表1参照)、2kg/cm2の窒素圧力の条
件下、2時間一次焼成を行った。次いで、1600℃、
1000kg/cm2の窒素圧力の条件下、2時間HI
P法により二次焼成を行った(表1参照)。また、一部
の試料では、1800℃、80kg/cm2の窒素圧力
の条件下、2時間低圧HIP焼成を行った(表1参
照)。尚、これらの焼成において使用した炉の発熱体及
び断熱材は、いずれもカーボン製であり、焼成時にはカ
ーボンから発生するCOガスにより還元雰囲気となる。
このようにして得られた焼結体を200番ダイヤモンド
ホイールを用いて全面研削加工し、耐酸性の評価に供し
た。
【0024】
【表1】
【0025】表1の「助剤系」の欄において、Yは希土
類元素であるイットリウムの酸化物、Y23である。ま
た、Mg、Al及びTaは、それぞれMgO、Al23
及びTa25を表わす。更に、Y、Mg、Al及びTa
に付された数値は、それぞれY23、MgO、Al23
及びTa25の配合量(窒化珪素粉末と焼結助剤粉末と
の合計量を100重量%とした場合の「重量%」で表わ
す。)である。
【0026】(2)耐酸性の評価 耐酸性の評価は、JIS R 1614(ファインセラ
ミックスの酸及びアルカリ腐食試験方法)に準じて行っ
た。還流管を取り付けた容量1lの三角フラスコに、純
水及び試薬特級の硫酸により調整した6N硫酸(3mo
l/l)500mlを入れ、これをマントルヒーターで
加熱し、静かな沸騰状態とした。その後、予め重量及び
寸法を測定しておいた焼結体を静かな沸騰状態となった
硫酸水溶液に24時間浸漬した。次いで、硫酸水溶液か
ら取り出した焼結体を純水で十分に洗浄した。この焼結
体を乾燥した後、秤量し、浸漬前後の重量変化を浸漬前
の焼結体の表面積で除し、単位表面積当たりの重量変化
を求めた。結果を表1に併記する。尚、この重量変化を
表1では「腐食減量」と標記している。また、試料の秤
量には感度0.01mgの精密化学天秤を用いた。
【0027】(3)強度の評価 JIS R 1601に準じ、3点曲げ試験によって曲
げ強度を測定した。結果を表1に併記する。
【0028】表1の結果によれば、第1及び第2発明に
対応する実施例1〜8の窒化珪素焼結体は、Y23とA
23とを焼結助剤とする比較例1の従来の焼結体に比
べて著しく優れた耐食性を有している。また、曲げ強度
も、多くの場合に1200MPa以上、更には1300
MPa以上であり、耐食性とともに十分な強度をも併せ
有する焼結体であることが分かる。更に、MgOが1重
量%以上であれば、1550℃或いは少なくとも160
0℃程度の比較的低い温度で焼成しても、二次焼成後の
相対密度が98%以上の十分に緻密化された焼結体を得
ることができることが分かる。
【0029】尚、実施例5、7及び8を比較すると、M
gOが少なくなるとともに相対密度は低下するが、耐酸
性は向上する傾向にあり、特に、MgOが0.5重量%
である実施例8の焼結体は著しく優れた耐酸性を有す
る。このように、特に優れた耐酸性が要求される場合
は、MgOは緻密化することができる範囲において少な
いほどよい。但し、このMgOの少ない実施例8では、
十分に緻密化するためには一次焼成温度を高くする必要
がある。また、MgOが第1発明の上限を越えている比
較例2では、耐酸性は大きく低下しているが、MgOが
2重量%以下の各実施例の焼結体では、その耐酸性は比
較例2に比べれば十分に優れている。これらの結果か
ら、焼結性の向上において特に有用であるMgOは、耐
酸性と焼結性とを勘案して、特に0.5〜2重量%、更
には1〜2重量%の範囲で適量を配合することが好まし
い。
【0030】更に、実施例5−5、5−6及び6−1で
は、80kg/cm2の窒素圧力の条件下に低圧HIP
法によって焼成しているが、得られた焼結体は、その他
の通常のHIP法によって得られた焼結体とまったく同
等の耐酸性及び曲げ強度を有していることが分かる。ま
た、相対密度も非常に高く十分に緻密化されている。こ
の低圧HIP法によれば、得られる焼結体のコストは通
常のHIP法に比べて相当に低くなり、軸受けを構成す
る部材を安価に提供することができる。
【0031】図1は、実施例1−2の焼結体のX線回折
のチャートである。このチャートによれば、実施例1−
2の焼結体の結晶相は、β−窒化珪素及びTaCによっ
て構成されていることが分かる。このTaCは、焼結助
剤として配合したTa25の一部が、焼成過程において
一酸化炭素によって還元され、生成したものである。こ
れらβ−窒化珪素及びTaC以外の顕著な結晶相は確認
されず、配合した他の焼結助剤は主にガラス相として窒
化珪素粒子の粒界に存在しているものと考えられる。
【0032】また、図2は、実施例1−2の焼結体の耐
酸性を評価した後の断面を研磨し、走査型電子顕微鏡に
よって観察し、撮影した写真である。この写真には特に
顕著な腐食層は観察されない。尚、この写真にみられる
白点はTaCの結晶である。このように、TaCは粒径
1μm以下の微細な粒子として粒界相に均一に分散して
おり、この微細な粒子が均一に析出する過程において窒
化珪素の異常な粒成長が抑えられる。また、この微細な
粒子によって粒界が強化され、それによって焼結体の強
度が向上するものと考えられる。
【0033】図3及び図4は、実施例1−2の焼結体の
表面の極く近傍(表面から1μmの深さ)及び焼結体の
内部(表面から10μmの深さ)のエネルギー分散型X
線分析の結果である。焼結体の表面と内部とを比較した
場合、Alの存在量はそれほど変化していないが、Mg
の存在量は表面で著しく減少している。また、図2の顕
微鏡写真にみられる白点がTaCであることは上記のと
おりであるが、この写真のようにTaCは焼結体の表面
近傍にも存在する。これらのことから、Al23及びT
25は高温の酸に対して優れた抵抗力を有することが
分かる。一方、MgOは容易に溶出し、酸による腐食は
主にMgOの溶出によるものであることが分かる。これ
は、MgOが塩基性の酸化物であり、酸に対して高い反
応性を有しているためであると考えられる。
【0034】(4)転がり軸受け用ボールの寿命評価 実施例1−2及び6の窒化珪素焼結体を3/8”のボー
ル形状に加工し、学振形寿命試験機(高千穂精機株式会
社製、形式「II型」)により寿命を評価した。この寿命
評価は以下の条件の下に行った。試験軸受けは深溝玉軸
受け#6206、ラジアル荷重は390kgf、軸回転
数は3000rpmとし、潤滑方式は重力滴下方式によ
り潤滑油(昭和シェル株式会社製、商品「テラスオイル
#32」)を5cc/分で供給した。この結果、200
0時間後においても、また3000時間後も、ボールに
は表面の剥離等の異常は認められなかった。
【0035】この結果より、本発明の窒化珪素焼結体と
同様な成分及び配合割合を有する原料粉末を用い、同様
な方法により軸受けの各部材を成形し、焼成することに
より優れた耐腐食性及び機械的強度を備えた、耐久性の
高い軸受け部材及び軸受けが得られることが分かる。ま
た、この軸受け部材は、本発明の窒化珪素焼結体と同様
に腐食減量は0.6〜4.0kg/m2、曲げ強さは1
104〜1410MPaとすることができる。
【0036】尚、本発明においては、上記の具体的な実
施例に記載されたものに限られず、目的、用途に応じて
本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができ
る。例えば、その相対密度が97.0〜99.5%、特
に98.0〜99.5%であり、腐食減量が5×10-5
〜5×10-4kg/m2、特に5×10-5〜3×10- 4
kg/m2であって、且つ曲げ強度が1200〜145
0MPa、特に1250〜1400MPaの、耐酸性に
優れ、強度が大きく、十分に緻密化された窒化珪素焼結
体とすることができる。更に、すべり軸受けにおいて
は、軸受け部材以外に、軸受け部材内を摺動する軸も本
第1発明乃至第4発明の窒化珪素焼結体により形成する
ことができる。また、この窒化珪素焼結体は、軌道の形
状が円形又は曲線の軸受けばかりでなく、軌道の形状が
直線である旋盤等の送り装置等に用いられる摺動部材と
して使用することもできる。
【0037】
【発明の効果】第1発明の窒化珪素焼結体は、特定の元
素を特定量含む窒化珪素焼結体であって、耐酸性に優
れ、強度が大きく、且つ緻密化が容易である。また、第
3発明のように、TaCを含む焼結体とすることによっ
て、より耐酸性に優れた焼結体とすることができるとと
もに、このTaCによって焼結体が黒色となり、色むら
の少ない商品価値の高い窒化珪素焼結体とすることがで
きる。更に、第5発明の製造方法によれば、第1乃至第
4発明の優れた特性を有する窒化珪素焼結体を容易に製
造することができ、特に、第6発明によれば、より安価
に製造することができる。また、第8発明の軸受け及び
第9発明の転がり軸受けは、第1乃至4発明の窒化珪素
焼結体から形成され、優れた耐腐食性及び機械的強度を
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1−2の焼結体のX線回折のチャートで
ある。
【図2】実施例1−2の焼結体の耐酸性を評価した後の
断面を研磨した、粒子構造を表す走査型電子顕微鏡写真
である。
【図3】実施例1−2の焼結体の表面の極く近傍(表面
から1μmの深さ)のエネルギー分散型X線分析のチャ
ートである。
【図4】実施例1−2の焼結体の内部(表面から10μ
mの深さ)のエネルギー分散型X線分析のチャートであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯尾 聡 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マグネシウム元素をMgO換算で0.1〜
    2重量%、アルミニウム元素をAl23換算で1〜3重
    量%、及びタンタル元素をTa25換算で1〜3重量%
    含有することを特徴とする窒化珪素焼結体。
  2. 【請求項2】 上記マグネシウム元素と上記アルミニウ
    ム元素の合計量が4重量%以下である請求項1記載の窒
    化珪素焼結体。
  3. 【請求項3】 上記タンタル元素の一部はTaCとして
    含まれる請求項1又は2記載の窒化珪素焼結体。
  4. 【請求項4】 下記の方法によって測定した腐食減量が
    10-3kg/m2以下である請求項1乃至3のうちのい
    ずれか1項に記載の窒化珪素焼結体。 測定方法;沸騰状態の6N濃度の硫酸に、予め重量及び
    寸法を測定した窒化珪素焼結体を24時間浸漬した後、
    洗浄し、乾燥して、秤量し、以下の式によって算出す
    る。 腐食減量(kg/m2)=(浸漬前の焼結体の重量−浸
    漬後の焼結体の重量)/浸漬前の焼結体の表面積
  5. 【請求項5】 、窒素雰囲気下、10〜2000kg/
    cm2の圧力で焼成し、請求項1乃至4のうちのいずれ
    か1項に記載の窒化珪素焼結体を得ることを特徴とする
    窒化珪素焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 上記圧力が10〜100kg/cm2
    ある請求項5記載の窒化珪素焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】 還元雰囲気下で焼成する請求項5又は6
    記載の窒化珪素焼結体の製造方法。
  8. 【請求項8】 軸受けを構成する部材の少なくとも1種
    が請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の窒化珪
    素焼結体により形成されることを特徴とする軸受け。
  9. 【請求項9】 転動体、内輪及び外輪を備える転がり軸
    受けにおいて、該転動体、内輪及び外輪のうちの少なく
    とも1種が請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載
    の窒化珪素焼結体により形成されていることを特徴とす
    る転がり軸受け。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011153070A (ja) * 2009-12-28 2011-08-11 Toyo Tanso Kk 炭化タンタル被覆炭素材料の製造方法
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