JPH11150307A - Co−Sb系熱電材料 - Google Patents

Co−Sb系熱電材料

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JPH11150307A
JPH11150307A JP9318193A JP31819397A JPH11150307A JP H11150307 A JPH11150307 A JP H11150307A JP 9318193 A JP9318193 A JP 9318193A JP 31819397 A JP31819397 A JP 31819397A JP H11150307 A JPH11150307 A JP H11150307A
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JP
Japan
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thermoelectric material
cosb
compound
rare earth
sintered body
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JP9318193A
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English (en)
Inventor
Hiroki Kusakabe
弘樹 日下部
Masuo Takigawa
益生 瀧川
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、CoSb3 系熱電材料に関して、
CoSb3 系材料の有する大きいゼーベック係数と大き
い導電率との両立を図り、パワー因子の大きいp型Co
Sb3 系熱電材料を提供する。 【解決手段】 本発明は、熱を電気に変換するCoSb
3 系熱電材料において、粒界にキャリアの散乱を増大す
る元素を析出させ、ゼーベック係数を向上させ、高性能
な熱電材料を提供することを目的とする。CoSb3
熱電材料に希土類金属を添加し、粒界に析出させること
によってゼーベック係数を増大する。さらにFe置換C
oSb3 系熱電材料と希土類添加CoSb3 系熱電材料
の混合焼結体を形成して、ゼーベック係数と導電率の両
立を図る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゼーベック効果に
よる熱を電気に直接変換するためのCoSb3 系熱電材
料の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ゼーベック効果及びペルチェ効果
を用いた熱電材料としては、Bi2 Te3 系熱電材料が
よく知られており一部の用途には実用化されてはいる
が、動作温度範囲が非常に狭く、室温付近での使用に限
られていた。
【0003】CoSb3 系金属間化合物は、スカッテル
ダイト型結晶構造を示し、電子ないしホールの移動度が
大きいという特徴を有し、高い熱電性能と広い動作温度
範囲の両立が可能な材料として期待を集めている。
【0004】熱電材料として重要な特性は、ゼーベック
係数S、導電率σ及び熱伝導率κをパラメータとし、性
能指数Z=S2 σ/κで定義され、性能指数Zが高いこ
とが要求される。性能指数Zを高めるには、S及びσが
大きく、κが小さいことが望ましい。先行技術に関し
て、特開平8−186294号公報明細書には、CoS
3 にPd、Rh、Ru等を添加することによって、パ
ワー因子S2 σが大きくなることが開示されている。さ
らに、この材料は、焼結体を高密度化することによって
σが向上するのでS2 σが向上することが知られてい
る。また、この他にもPtを添加することによっても同
様の効果が得られることが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの材料を熱電モ
ジュールとして使用するためには、p型及びn型の2種
類の熱電材料でp−nジャンクションを作ることが発電
効率の点から有利であり、しかも、両者が同じ系統のC
oSb3 系であることが、熱電モジュールの機械的且つ
熱的強度を高めるのにも有利であるが、従来のPdやP
tの添加は、いずれもn型を示し、p型に関しては良好
な特性が得られていなかった。即ち、従来のCoSb3
系熱電材料は何も添加しない純粋な状態ではp型を示
し、高いゼーベック係数が得られるが、この場合は導電
率σが低く、性能指数Zが充分でないという問題が残さ
れていた。
【0006】そこで、Fe、Ru、Mn等を添加し、キ
ャリア濃度を増大させて、導電率を向上させる方法が一
般的に考えられている。しかしながら、これらの元素の
添加は導電率σを向上させるけれども、他方でゼーベッ
ク係数Sが極端に低下し、その結果としてパワー因子
(S2 σ)が低下する傾向があった。本発明は、以上の
問題に鑑み、CoSb3 系材料の有する大きいゼーベッ
ク係数と大きい導電率との両立を図り、パワー因子の大
きいp型CoSb3 系熱電材料を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、Co及びSb
を主成分とするp型のCoSb3 系熱電材料であって、
その特徴は、上記熱電材料が、CoSb3 化合物の結晶
粒を含み、希土類元素をその粒界に析出させた焼結体と
し、その粒界に分散する希土類金属粒子により、CoS
3 化合物のゼーベック係数を高く保持しながら、同時
に導電性を高めるものである。
【0008】即ち、本発明のCoSb3 系熱電材料は、
CoSb3 化合物100mol%に対して 希土類金属
Lnを0.1〜1.7mol%を含有したことを特徴と
している。希土類金属Lnを1.7mol%以下に規制
するのは、1.7mol%を超えると、ゼーベック係数
が負の値となり、熱電材料はn型となるからである。
【0009】好ましくは、本発明のCoSb3 系熱電材
料には、CoSb3 結晶粒界に分布する上記希土類金属
を含み、上記のCoSb3 化合物が、Coの一部をF
e、Ru、Mnからなる遷移金属Mで置換されてなる焼
結体が含まれる。
【0010】即ち、本発明のCoSb3 系熱電材料にお
いては、CoSb3 結晶相のCoの一部をFe、Ru、
Mnの何れかの遷移金属Mで置換したCo1-x x Sb
3 の組成を有し、xは0.05以下とし、かつ希土類金
属Lnを含む。この場合にも、希土類金属Lnを、Co
1-x x Sb3 化合物100mol%につき、0.1〜
1.7mol%を含有する。Fe、Ru、Mnの遷移金
属Mの置換は、導電率を高める効果があり、他方では、
ゼーベック係数を低下させるが、このゼーベック係数の
低下を希土類金属Lnの添加が補償するので、結果とし
て、焼結体全体としてパワー因子S2 σを高めることが
できる。
【0011】さらに、好ましくは、本発明のCoSb3
系熱電材料は、CoSb3 相を主晶とし希土類金属Ln
を結晶粒界に析出した第1の結晶相と、CoSb3 相の
Coの一部をFe、Ru、Mnからなる遷移金属Mで置
換したCo1-x x Sb3 (ただし、xは0.001〜
0.03)の第2の結晶相とから成る焼結体が含まれ
る。
【0012】この2相型の熱電材料は、第1相が高いゼ
ーベック係数を保持し、同時に遷移金属M置換のCo
1-x x Sb3 の第2相が導電率を高めて、焼結体全体
として、性能因子を向上させるのである。熱電材料は、
第1相を60〜70重量%の範囲に調製される。この範
囲が、最もパワー因子S2 σを高めるからである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の熱電材料は、第1の態様
は、Co及びSbを主成分としCoSb3 系化合物を含
み、少量の希土類金属Lnを添加した焼結体である。希
土類金属Lnは、好ましくは、ランタノイドの中から選
ばれ、特に、La、Ce、Nd、Sm、Gdが選ばれ
る。希土類金属Lnの含有量は、CoSb3 系化合物1
00mol%に対して0.1〜1.7mol%の含有量
である。
【0014】焼結後の熱電材料の組織は、CoSb3
化合物の結晶と、その結晶粒界に析出した希土類金属L
nの粒子から成っている。希土類金属は、CoSb3
化合物の結晶に置換も固溶も非常に少ないので、大部分
は、結晶粒界に粒状ないしクラスター状に析出して分布
している。このような希土類金属の分布が、ゼーベック
係数を高める上で好ましい。
【0015】本発明の熱電材料の第2の態様は、Co及
びSbを主成分とするCoSb3 系熱電材料であって、
CoSb3 結晶相のCoの一部をFe、Ru、Mnの何
れかの遷移金属Mで置換し、Co1-x x Sb3 の組成
を有し、xは〜0.05以下で、かつ希土類金属Lnを
含んで成る焼結体である。この焼結体では、Co1-x
x Sb3 の結晶相とその結晶粒界に粒状ないしクラスタ
ー状に析出して分布している希土類金属Lnとからなっ
ている。
【0016】上記第1及び第2の態様の熱電材料を焼結
するには、予め成分調製した組成式CoSb3 又はCo
1-x x Sb3 化合物と希土類金属Lnを含む均質な微
粉末を圧縮成形し、その成形体を高温焼成して焼結する
方法が採用される。他の焼結する方法には、予め調製し
た組成式CoSb3 又はCo1-x x Sb3 の微粉末
に、希土類金属Ln粉末を混合し、その混合粉を圧縮成
形し、その成形体を焼結する方法も採用される。
【0017】焼結体のCoSb3 結晶相又はCo1-x
x Sb3 結晶相の結晶粒度は、100μm以下の微細で
あるのがよく、平均粒径をさらに小さくすることによっ
て、粒界面が増加してより一層の効果が得られるもので
ある。おおよそ20μmを境にして20μm以下の細粒
にすると、ゼーベック係数が増加する。特に、粒径1〜
10μmの範囲が、ゼーベック係数を高めるのに良い。
しかしながら、1μmより微細であると、焼結体は導電
率低下が生じる。さらに結晶粒を微細化するために予め
原料を長時間粉砕することは、異物の混入や摩擦発熱に
より上記CoSb3 系結晶に組成変化を生じる惧れがあ
るので余り好ましくない。
【0018】焼結体を結晶粒径20μm以下の細粒組織
とするには、焼結前の微粉末の粒度が、20μm以下の
所定の値に調製され、焼成過程では、粒成長を起こさな
いような焼結法の適用が好ましい。このような焼結法に
は、後述のように、放電プラズマ焼結法が、焼結時間を
短くし得て、しかも緻密度の高い焼結体が形成できるの
で、本発明のために特に好ましい。
【0019】本発明の第3の態様は、熱電材料は2相型
の焼結体であり、第1の結晶相は、Co及びSbを主成
分とするCoSb3 系熱電材料において、希土類元素L
nを含有してCoSb3 組成を有するLn含有結晶粒で
あり、第2相は、Coの一部をFe、Ru、Mnからな
る遷移金属Mで置換したCo1-x x Sb3 (ただし、
0.05以下、xは特に0.001〜0.03)の化合
物である第2相のM含有結晶粒である。焼結体には、こ
の2つの相の結晶粒が相互に混在して成っている。
【0020】この2相型の焼結体においては、第1相の
結晶粒と第2相結晶粒とは、別個に成分調製した均質な
微粉末から形成し、両微粉末を混合した混合粉末を圧縮
成形し、その成形体を高温焼成して焼結する方法が採用
される。前記の合金の混合粉末は、特に、遊星ボールミ
ルを使用して混合と微粉化とが同時に行なわれて成るも
のが好ましい。混合微粉化処理中に第1相の結晶粒と第
2相結晶粒とが相互に接触ないし接合し、後の焼結によ
る結晶粒の接合に好都合である。
【0021】上記組成のLn含有CoSb3 又はCo
1-x x Sb3 の微粉末は、組成の均一化を図るために
好ましくは、溶解法が採用される。即ち、配合原料を電
気炉内中ルツボ溶解し、溶解後に冷却過程を含む保温に
よりインゴット中にCoSb3相を析出させ、その後の
インゴットの粉砕と微粉砕、粉末の圧縮成形、及び、成
形体の焼結の各工程を経て製造される。
【0022】溶解工程では、純度の高い金属Co、Sb
及び所要の希土類金属Lnと必要により遷移金属Mとを
目的の組成になるように電気炉内非酸化性雰囲気のルツ
ボ中で1000〜1100℃の温度で溶解し、次に、ル
ツボ内の溶湯を電気炉内でそのままCoSb3 の析出温
度(876℃)以下である約850℃にて2〜10時間
程度加熱保持する。この恒温保持により、他の中間相C
oSb、CoSb2 の析出を極力防止して、できるだけ
多くのCoSb3 型スカッテルダイト結晶構造を得るよ
うにする。
【0023】粉砕工程では、得られたインゴットは放冷
後は粗粉砕し、さらに、例えば、遊星ボールミル等によ
り、平均粒径100μm以下に微粉砕され、粒度を上記
の如く所要の粒度範囲に制御して、焼結用の微粉末が得
られる。
【0024】溶解過程では、特に、希土類金属Lnは酸
化されやすく、溶融金属中への歩留りが低くなる惧れが
あるので、希土類金属Lnは、予めSbと合金化してL
nSb化合物の形で添加するのが好ましい。
【0025】Sbの融点が630.8℃で、上記の溶解
温度では蒸気圧が高いため、溶解過程で一部は蒸発す
る。この蒸発量を予測し、予めSbを増量(2〜5%)
しておくことが望ましい。
【0026】本発明の実施のためには、焼結工程は、上
述のように、放電プラズマ焼結法が好ましく採用でき
る。上述の如く溶解法により調製した微粉末は、予備的
に圧縮成形して、その成形体を放電プラズマ燒結機の黒
鉛シリンダー内で押圧用の一対の黒鉛プラグ間に配置
し、真空チャンバー内を真空に保持される。次いで、黒
鉛プラグ間に500kgf/cm2 以上の圧力を付与して圧下
しながら、パルス電流を黒鉛プラグ間に流す。黒鉛シリ
ンダー内の成形体は、電流供給後急速に粒子間の焼結容
易な温度、例えば、約700℃にまで昇温して、2〜1
0minの極く短時間保持して燒結が完了する。これに
より相対密度90%以上の緻密燒結体が得られる。この
方法は、短時間の焼結操作により、結晶粒の粗大化を招
くことなく高密度燒結体が得られる利点がある。
【0027】(実施例1)金属Co(純度99.998
5%)とSb(純度99.9999%)及び、希土類金
属LnとしてのLa(純度99.9%)1mol%含有
CoSb3 組成になるように配合し、Ar雰囲気電気炉
のルツボ内で溶解温度1100〜1200℃に加熱して
2時間保持して溶解した。次に、ルツボ内の溶湯を電気
炉内でそのまま850℃にて10時間加熱保持したあ
と、放冷した。得られたインゴットは粗粉砕した後、遊
星ボールミルにて平均粒径100μm以下に微粒化し
た。これにより、CoSb3 系熱電材料の合金微粉末を
得た。
【0028】この粉末を、予備的に圧縮成形して、放電
プラズマ燒結機の黒鉛シリンダー内で押圧用の一対の黒
鉛プラグ間に配置し、真空下で黒鉛プラグ間に圧力50
0kgf/cm2 を付与して圧下しながら、パルス電流を黒鉛
プラグ間に印加した。放電プラズマ焼結機の黒鉛シリン
ダーの内径20mmに対して、供給パルス電流は、電圧
数Vで最高電流2000Aであった。電流印可後急速に
温度700℃にまで昇温して、約4minの極く短時間
保持して燒結した。これにより相対密度90%以上の緻
密燒結体が得られた。
【0029】このようにして得られたLa1mol%含
有のCoSb3 組成の焼結体について実測したゼーベッ
ク係数(μV/K)を、温度との関係として、図1に示
す。従来例として希土類無添加で形成したCoSb3
合物の焼結体のデータも併記したが、この実施例のもの
は、ゼーベック係数が顕著に向上し、最高値は300μ
V/Kを超えた。これは、添加した金属LaがCoSb
3 結晶相の粒界に微細な粒状に析出し、これがキャリア
の散乱を増大させたためと考えられる。
【0030】(実施例2)また希土類金属Lnとしての
Laを選び、La添加量を0〜3mol%の範囲に変化
させて、実施例1と同様にして、焼結体を調製した。焼
結体のLaの添加量とゼーベック係数の関係を、図2に
示したが、La添加量1.7mol%を超えると、焼結
体のゼーベック係数が負に変化することが判る。焼結体
の研磨断面のEPMA観察の結果によると、La添加量
1.7mol%以下では、恐らく大部分のLaは結晶粒
界に粒状に分布して留まっていて、焼結体のCoSb3
結晶はp型半導体を示すが、1.7mol%を超える
と、大量に粒界に析出した金属La粒からLaがCoS
3 結晶相内への拡散移行ないし溶解が起こることが観
察されており、このため結晶粒内のLaが電子ドナーと
して作用して結晶相がn型半導体に変化したと考えられ
る。すなわち、La添加によってp型CoSb3 系熱電
材料を得るためには、添加量は1.7%以下とする必要
があることが判る。また、Ce、Nd、Sm、Gd等の
他の希土類元素に関しても同様の結果が得られている。
【0031】(実施例3)実施例1と同様の原料Coと
Sbを使用し、ただしLn源としてはLaとSbの合金
であるLaSb(純度99.9%)を使用して、CoS
3 組成になるように成分調製し、Ar雰囲気電気炉の
ルツボ内で溶解温度1100〜1200℃に加熱して2
時間保持して溶解した。ここで、LaSbは、溶融して
合金化する方法で合成した。希土類金属をSbとの合金
にしたことにより、酸化されやすい金属に、混合や熱処
理等の作業中に生じる酸化損失を抑制することが可能と
なった。
【0032】次に、実施例1と同様に、スカッテルダイ
ト型結晶構造を得るため、溶湯をルツボ内にそのまま保
持して、実施例1と同様にして850℃にて10時間加
熱保持し、得られたインゴットは粗粉砕した後、遊星ボ
ールミルにて平均粒径100μm以下に微粒化した。C
oSb3 系熱電材料の合金粉末が得られた。この粉末
を、実施例1と同様にして、放電プラズマ燒結法により
相対密度90%以上の緻密燒結体を得た。放電プラズマ
燒結の条件は、実施例1と同様である。
【0033】このようにして得られた燒結体のゼーベッ
ク係数を、温度との関係として、図3に示す。比較例の
CoSb3系化合物焼結体に対してゼーベック係数は顕
著に向上した。実施例1の焼結体に比して僅かであるが
改善されている。このLaSb合金とする添加技術は、
Ce、Nd、Sm、Gd等の他の希土類金属にも適用可
能で、同様の結果が得られた。
【0034】(実施例4)本発明の熱電材料の第2の態
様について、Co(純度99.9985%)とSb(純
度99.9999%)、希土類金属LnとしてLa(純
度99.9%)及び置換遷移金属MとしてFe(純度9
9.9%)を、Co0.997 Fe0.003 Sb3 組成になる
ように原料配合し、Ar雰囲気電気炉のルツボ内で溶解
温度1100〜1200℃で2時間保持して溶解した。
次に、凝固過程とその後の固相拡散によりスカッテルダ
イト型結晶構造を得るため、ルツボ内の溶湯をそのまま
850℃にて10時間加熱保持したあと、ルツボ中放冷
した。得られたインゴットを粗粉砕した後、その粉末を
遊星ボールミルにて平均粒径100μm以下に微粒化し
た。この粉末を、実施例1と同様にして、予備的に成形
して放電プラズマ燒結機により、焼結して、相対密度9
0%以上の緻密燒結体が得られた。
【0035】このようにして得られたFe及びLaを含
むCoSb3 系焼結体のゼーベック係数を図4に示す。
図よりCoをFeだけで置換した従来のCoSb3 系化
合物焼結体は、Fe無置換の焼結体に比してゼーベック
係数が相当低いのであるが(図1のLa無添加のデータ
と比較せよ、但し、導電率は逆に高い(不図示))、こ
れに対して、実施例のLa1mol%をも含むCoSb
3 系焼結体は、ゼーベック係数が向上することが判る。
これは、粒界に存在するLa粒子によるホール散乱効果
の増大によるものと思われる。また、Feの代わりにR
u、Mn等の遷移金属やLaの代わりにCe、Nd、S
m、Gd等の希土類元素を用いても同様の結果が得られ
ている。
【0036】(実施例5)第3の態様について、置換金
属MにFeを用いて、希土類金属LnにSmを使用して
CoSb3 化合物にSm1mol%含有した Sm1m
ol%含有CoSb3 組成の第1の相と、Fe置換Co
0.997 Fe0.003 Sb3 の組成の第2の相とを含む2相
型の熱電材料を調製した。まず、実施例1と同じ高純度
の金属Co、Sb、Feに加えて、Sm(純度99.9
%)を原料として、CoSb3 にSm1mol%含有し
た組成と、Fe置換Co0.997 Fe0.003 Sb3 の組成
との2種類の合金をそれぞれ個別に、実施例1と同様に
して、電気炉内ルツボ中で溶製し、それぞれ高温保持し
たインゴットから微粉砕して上記の粒径100μm以下
の2種類の組成の微粉末に調製した。
【0037】この2種類の合金粉末を、重量比で、Sm
1mol%含有CoSb3 微粉末とFe置換(Co0.
997 Fe0.003 Sb3 )微粉末との配合比が、重量で1
0:0、7:3、5:5、及び0:10の比率になるよ
うに配合して、さらに遊星ボールミルにより混合粉砕し
4種類の混合粉末を得た。得られた各混合粉末を予備成
形した後、実施例1と同様にして、成形体を放電プラズ
マ焼結機のシリンダー内で押圧用の一対の黒鉛プラグ間
に配置し、真空チャンバー内を真空に保持して、黒鉛プ
ラグ間に圧力500kgf/cm2 を付与して圧下しながら、
電圧数Vで最高電流2000A程度でパルス電流を黒鉛
プラグに印可した。電流印可後急速に温度700℃にま
で昇温して、4分保持して燒結した。これにより相対密
度90%以上の緻密燒結体が得られた。この放電プラズ
マ燒結法は、実施例1で使用した方法と同様である。
【0038】このようにして得られたSm含有CoSb
3 の組成物とCo0.997 Fe0.003Sb3 の組成物との
混合比7:3混合焼結体のゼーベック係数を図5に、ま
た、導電率を図6に示す。この混合焼結体は、図5でS
m含有CoSb3 系単独の焼結体とFeで置換したCo
Sb3 系化合物の単独焼結体との中間のゼーベック係数
を示し、図6で、同様に中間の導電率を示していること
が判る。
【0039】図7に、この混合焼結体の混合比と、12
0℃におけるパワーファクタと、の関係を示すが、Sm
含有CoSb3 単独の焼結体に対して、Sm含有CoS
3微粉末とFe置換(Co0.997 Fe0.003 Sb3
微粉末とを7:3の混合比で混合した焼結体が、パワー
ファクタを高めることができた。すなわち、上記2種類
の組成の合金粉末の混合によって、ゼーベック係数及び
導電率の両立が可能となった。また、図中には混合比
1:1の焼結体のパワーファクタも併記したが、この場
合はゼーベック係数が小さくなるために、Sm含有Co
Sb3 単独焼結体のパワーファクタを越えることはでき
なかった。また、Feの代わりにRu、Mn等の遷移金
属やSmの代わりに、La、Ce、Nd、Sm、Gd等
の希土類元素を用いても同様の結果が得られた。
【0040】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、Co及び
Sbを主成分とするCoSb3 系熱電材料において、希
土類元素を添加し、粒界に析出させることによって、キ
ャリアの散乱を増大し、p型熱電材料のゼーベック係数
を増大させるることができ、全体として性能指数を改善
することができる。
【0041】さらに、Coの一部をFe、Ru、Mnか
らなる遷移金属Mで置換し、かつ希土類元素Lnとして
0.1〜1.7mol%添加したCo1-x x Sb
3 (ただし、xは0.001〜0.03)組成とするこ
とによって、Coの一部を置換したCoSb3 熱電材料
に対してゼーベック係数の向上が可能となる。
【0042】さらに、本発明のCoSb3 系熱電材料
は、希土類元素Lnを0.1〜1.7mol%添加して
粒界に析出させたCoSb3 化合物と、Fe、Ru、M
nからなる遷移金属Mで置換したCo1-x x Sb
3 (ただし、xは0.001〜0.03)化合物と、か
ら成る焼結体とすることによって、ゼーベック係数と導
電率の両立を可能とし、高いパワーファクタの熱電材料
を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るLa1mol%含有Co
Sb3 化合物焼結体のゼーベック係数と温度の関係を示
すグラフ。
【図2】本発明のCoSb3 化合物焼結体中のLaの添
加量とゼーベック係数の関係を示すグラフ。
【図3】本発明の実施例におけるCoSb3 系化合物焼
結体のゼーベック係数と温度の関係を示すグラフ。
【図4】本発明の実施例におけるLa1mol%含有C
0.997 Fe0.003 Sb3 化合物焼結体のゼーベック係
数と温度の関係を示すグラフ。
【図5】本発明の第四の実施の形態におけるCo0.997
Fe0.003 Sb3 組成物とSm1mol%含有CoSb
3 組成物の微粉末混合焼結体のゼーベック係数と温度の
関係を示すグラフ。
【図6】本発明の実施例におけるCo0.997 Fe0.003
Sb3 組成物物とSm1mol%含有CoSb3 組成物
の化合物混合焼結体の導電率をと温度の関係を示すグラ
フ。
【図7】本発明の実施例におけるCo0.997 Fe0.003
Sb3 組成物とSm1mol%含有CoSb3 組成物の
化合物混合焼結体のパワーファクタと混合比の関係を示
すグラフ。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Co及びSbを主成分とするCoSb3
    系熱電材料において、上記材料が、希土類金属をCoS
    3 化合物100mol%に対して希土類元素として
    0.1〜1.7mol%含有することを特徴とする熱電
    材料。
  2. 【請求項2】 上記CoSb3 系熱電材料が、上記Co
    Sb3 化合物の結晶と、該結晶の粒界に析出した希土類
    金属を含む析出粒子とから成ることを特徴とする請求項
    1記載の熱電材料。
  3. 【請求項3】 上記希土類金属Lnが、LnとSbの合
    金であるLnSbとして添加されて成る請求項1又は2
    に記載の熱電材料。
  4. 【請求項4】 上記CoSb3 化合物が、そのCoの一
    部をFe、Ru、Mnの何れかの遷移金属Mで置換され
    たCo1-x x Sb3 組成(ただし、xが0.05以下
    である)を有する化合物であることを特徴とする請求項
    1又は2記載の熱電材料。
  5. 【請求項5】 上記CoSb3 系熱電材料が、上記化合
    物の微粉末と、上記希土類金属Lnの微粉末との混合粉
    の焼結体であることを特徴とする請求項1、2、又は4
    記載の熱電材料。
  6. 【請求項6】 Co及びSbを主成分とするCoSb3
    系熱電材料において、CoSb3 化合物と該CoSb3
    化合物100mol%に対して希土類元素として0.1
    〜1.7mol%含有する希土類金属とを含有する第1
    の結晶相と、Coの一部をFe、Ru、Mnからなる遷
    移金属Mで置換したCo1-x x Sb3 (ただし、xは
    0.05以下)化合物である第2の結晶相と、を含む焼
    結体であることを特徴とする熱電材料。
  7. 【請求項7】 上記熱電材料が、第1の結晶相を60〜
    70重量%の範囲で、第2の結晶相を30〜40重量%
    の範囲で含む請求項6記載の熱電材料。
  8. 【請求項8】 Co及びSbを主成分とするCoSb3
    化合物と該化合物100mol%に対して0.1〜1.
    7mol%含んで析出させた希土類金属Lnを含む粒子
    とから成る第1の合金粉末と、Fe、Ru又はMnから
    なる遷移金属Mで置換したCo1-x x Sb3 (ただ
    し、xは0.05以下)化合物であるM含有合金粉末
    と、を含む混合粉末の焼結体であることを特徴とする熱
    電材料。
  9. 【請求項9】 前記の合金の混合粉末が、第1の合金粉
    末を60〜70重量%で、第2の合金粉末を30〜40
    重量%含む請求の範囲8記載の熱電材料。
  10. 【請求項10】 前記の合金の混合粉末が、遊星ボール
    ミルを使用して混合と微粉化を同時に行なわれて成るこ
    とを特徴とする請求項9記載の熱電材料。
  11. 【請求項11】 前記希土類金属LnがLa、Ce、N
    d、Sm及びGdの中から選ばれた少なくとも一種であ
    ることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載
    の熱電材料。
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