JP4459400B2 - 熱電材料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペルチエ効果やゼーベック効果を発現し得る熱電材料およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、異種の金属または半導体を接合して電気回路を形成し、直流電流を流すと一方の接合部で発熱、他方の接合部で吸熱現象が生じる。この現象はペルチエ効果と称されている。ペルチエ効果を利用して対象物を電子的に冷却することは熱電冷却と称され、その目的で用いられる素子は熱電冷却素子またはペルチエ素子と称されている。
【0003】
また、2つの接合部間に温度差を生じさせると、温度差に比例した起電力が発生する。この現象はゼーベック効果と称されている。ゼーベック効果で生じた起電力を利用して行う発電は熱電発電と称され、その目的に使用される素子は熱電発電素子と称されている。
以上のような異種の金属または半導体を接合した基本構造を持つ素子は熱電素子と総称され、熱電素子に使用される熱電性能の高い金属あるいは半導体は熱電材料と称されている。
【0004】
熱電冷却は、固体素子による冷却であるため、有害な冷媒ガスを用いる必要が無く、騒音発生も無く、局部冷却も可能であるという特徴を有する。さらに、熱電冷却素子は、電流方向を切り換えればペルチエ効果による加熱が行えるため、精密な温度調節ができる。このような特徴を生かした熱電冷却素子の用途としては、電子部品の冷却や精密な温度調節が挙げられる。また、熱電冷却素子を使用することによって、フロンなどの有害ガスを用いない冷蔵庫や冷凍冷蔵庫も実現できる。
【0005】
熱電発電は、発電所、自動車などの熱機関の廃熱利用による発電、豊富な太陽エネルギーを利用した発電など、エネルギーの有効利用を可能にする。
熱電素子の性能は、通常、ゼーベック係数(α)、電気伝導率(σ)、出力因子(PF)、性能指数(Z)、無次元性能指数(ZT)、熱伝導率(κ)、電気抵抗率(ρ)で表される。これらの熱電素子の性能は、各種熱電性能と称されている。ここで、ゼーベック係数(α)、電気伝導率(σ)、出力因子(PF)、性能指数(Z)、無次元性能指数(ZT)については、その値が大きい程、熱電素子の性能が高い。熱伝導率(κ)および電気抵抗率(ρ)については、その値が小さい程、熱電素子の性能が高い。
【0006】
特に、無次元性能指数(ZT)は「ZT=α2 σT/κ(ここに、Tは絶対温度である)」で表され、熱電冷却における成績係数、熱電発電における変換効率等の熱電変換エネルギー効率を決定する重要な要素である。そのため、性能指数(Z=α2 σ/κ)の値が大きい熱電材料を用いて熱電素子を作製することにより、冷却および発電の効率を高めることが可能となる。即ち、熱電材料としては、ゼーベック係数(α)と電気伝導率(σ)が高く、且つ熱伝導率(κ)の低い材料が好ましい。
【0007】
熱電発電素子は高温側と低温側の温度差を利用して発電し、熱電冷却素子は電流により低温側から高温側へ熱量を移動することによって機能を果たすため、これらの素子は温度の異なった部分に挿入されることになる。従って、低温側と高温側で熱膨張差が生じ、素子内に熱せん断応力が発生する。そのため、熱電材料には、熱電性能に加えて、機械的強度および加工特性等も要求される。
【0008】
従来の熱電材料としては、Bi−Te系合金(Bi2 Te3 組成を基とし、Sb2 Te3 および/またはBi2 Se3 との擬二元系あるいは擬三元系の固溶体)が挙げられる。この合金は、一方向性凝固法などで作製することによって、Bi2 Te3 の結晶構造がc方向に長い菱面体であってこのc方向にBiとTeが層状に並んだ構造となっているため、熱電性能が高い反面、c面で劈開され易い。したがって、Bi−Te系合金からなる熱電材料は、熱せん断応力に弱く、機械的強度が低いという問題点がある。
【0009】
この問題点を解決するために、Bi−Te系合金を粉末焼結法で成形することによって、熱電性能を犠牲にしてせん断応力に強い熱電素子を得ることも提案されている。しかし、この方法では、460〜500℃程度の温度領域で加圧成形する必要があるため、製造コストが高くなる。
最近では、室温〜600℃程度の中温領域での熱電特性が高いことから、CoSb3 を代表とするスクッテルダイト系材料とハーフホイスラー合金材料の実用化が期待されている。ただし、これらの材料は、熱伝導度が高いため性能指数が低く、現時点では実用化段階に至っていない。また、スクッテルダイト系材料については、機械的強度も良好ではない。
【0010】
スクッテルダイト系材料に十分な機械的強度と熱電特性を付与するためには、例えば、特開平10−102160号公報に記載されているように1GPa以上の圧力で加圧成形するか、特開平11−40862号公報に記載されているように1μm以下に粉砕した後に500〜600℃で加圧熱処理する必要がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の問題点に着目してなされたものであり、熱電性能が高いだけでなく、機械的強度および加工特性にも優れた熱電材料を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、Sb、As、Te、およびSeから選択された1種以上の半金属元素を含む組成の結晶からなるA相と、A相を構成する半金属元素とZn、Al、およびInから選択された1種以上の金属元素とを含む組成のb相とを有し、A相の存在率が50.0体積%以上99.9体積%以下であり、b相の存在率が0.1体積%以上50.0体積%以下である物質の成形体からなる熱電材料を提供する。
【0013】
A相としては、例えば、以下に示す材料▲1▼〜▲9▼からなる結晶相が挙げられる。A相は、これらの材料のうちの一つの結晶相で構成されていてもよいし、2種以上の結晶相で形成されていてもよい。これらの材料は熱電特性の高い材料である。
▲1▼Bi−Te系合金に、3B族、4B族、5B族、6B族、または7B族に属する各種元素がドープされた多元系材料。Bi−Te系合金の具体例としては、BiとTeとの二元系固溶体、(Bi2 Te3 )と(Sb2 Te3 )との擬二元系固溶体、(Bi2 Te3 )と(Bi2 Se3 )との擬二元系固溶体、(Bi2 Te3 )と(Sb2 Te3 )と(Sb2 Se3 )との擬三元系固溶体等が挙げられる。
【0014】
▲2▼Pb−Te、Pb−Sn−Te、Pb−Ge−TeなどのPbTe系材料、▲3▼(AgSbTe2 )1-x (GeTe)x などのTAGS系材料、▲4▼GdTe1.49、LaTe1.46などの希土類−カルコゲン系材料、▲5▼Ag−Sb−TeなどのSb−Te系材料、▲6▼Bi0.85Sb0.1 5 などのBi−Sb系材料、▲7▼Zn4 Sb3 などのZn−Sb系材料、▲8▼CoSb3 を代表とするスクッテルダイト系材料、▲9▼XNiSn1-y Sby (X=Zr,Hf,Ti、0<y<1)、PtMnSb、YNiSb等のハーフホイスラー合金系材料。
【0015】
スクッテルダイト系材料は、8族元素Mと5B族元素(プニコゲン)PnによりMPn3 で表される組成の立方晶系の固溶体である。MとしてはCo、Rh、Irなどが挙げられ、PnとしてはSb、As、Pが挙げられる。また、MをFe、Ni、Pt、Pd、Ru、Osなどで置換したもの、PnをTe、Sn、Bi、Ge、Se、Siなどで置換したものも、スクッテルダイト系材料に含まれる。
【0016】
また、スクッテルダイト系材料の結晶格子には、M4 Pn12当たり1個の割合で空格子が存在するが、この空格子の全部或いは一部に、La、Ce、Ybなどの希土類元素、Ba、Caなどのアルカリ土類元素、またはTlやSnなどが導入されたフィルドスクッテルダイトLxM4 Pn12材料(0<x≦1)も、スクッテルダイト系材料に含まれる。
【0017】
ハーフホイスラー合金系材料は、α(Yを含む希土類元素、Ti、Zr、Hf、アルカリ土類金属、Pt等の8族元素)、β(Ni、Mn、Ag、Cuなどの遷移金属)、γ(5B族元素、6B族元素、Al、Sn)の3つの元素によりαβγで表される組成の立方晶岩塩型構造の金属間化合物である。ハーフホイスラー合金系材料の結晶構造の一例として、岩塩型立方晶の単位格子である単純立方格子の頂点に、最近接元素が他元素となるようにα原子とγ原子が配置され、半数の単純立方格子の体心位置にβ原子が配置されている結晶構造がある。
【0018】
b相の組成は、A相を構成する半金属元素(Sb、As、Te、Seの少なくともいずれか)と、Zn、Al、およびInから選択された1種以上の金属元素とを含む組成である。なお、b相には、これらの元素以外の元素が、b相全体の50原子%以下の割合で含まれていてもよい。
b相の例としては、以下に示す相が挙げられる。b相はA相とは異なる相である。b相はこれらの相のうちの一つの相で構成されていてもよいし、2種以上の相で形成されていてもよい。これらの相は、半導体あるいは半金属的な性質を有する。
【0019】
ZnSb、Zn4 Sb3 、Zn3 Sb2 などの組成のSb−Zn相、Zn3 As2 などの組成のAs−Zn相、ZnTeなどの組成のTe−Zn相、ZnSeなどの組成のSe−Zn相、AlSbなどの組成のSb−Al相。AlAsなどの組成のAs−Al相、InSbなどの組成のSb−In相、InAsなどの組成のAs−In相、CuInTe2 などの組成のTe−In相、TlInSe2 などの組成のSe−In相。
【0020】
以上のように、本発明の熱電材料は、熱電特性の高い材料からなるA相と、半導体あるいは半金属的な性質の材料からなるb相とで構成されている。また、b相は低融点で延展性のある金属を含む。
したがって、この熱電材料は、A相の有する高い出力因子を保持しながら、b相によって熱伝導度が低減されるか電気伝導度が増大されるため、全体の性能指数が高くなる。これに加えて、b相の金属成分による延展性に起因して、機械的強度および加工特性にも優れた熱電材料となる。このような特性を得るために、A相の存在率を50.0体積%以上99.9体積%以下とし、b相の存在率を0.1体積%以上50.0体積%以下とする必要がある。
【0021】
本発明の熱電材料において、A相を構成する半金属元素としてSbを含むことが好ましい。これにより、各種熱電性能のうち特にゼーベック係数が大きい熱電材料が得られる。
本発明の熱電材料において、b相を構成する金属元素としてZnを含むことが好ましい。これにより、成形加工性が特に良好になり、熱伝導度の低減効果が大きくなる。また、b相がSb−Zn相であると、ゼーベック係数がより大きく、熱伝導度のより小さい熱電材料が得られる。
【0022】
本発明の熱電材料でA相がスクッテルダイト系材料からなる場合には、b相を共存させることによって得られる効果が高い。すなわち、スクッテルダイト系材料からなるA相にb相を共存させることによって、スクッテルダイト系材料からなる熱電性能の高い熱電材料を、低温で成形可能にすることができる。
本発明の熱電材料において、b相が、熱電性能の特に高いSb−Zn相である場合には、b相がA相の表面を囲むような構造であることが好ましい。このような構造であると、A相とb相の界面におけるフォノンの散乱効果が高いため、熱伝導度の低減効果が高くなる。ただし、このような構造ではなく、A相の粒界に微細なb相の結晶が分散しているような構造であっても、b相の微結晶がフォノンの散乱源となるため、熱伝導度の低減効果はある程度得られる。
【0023】
本発明の熱電材料において、隣合うA相間に存在するb相をなす結晶の大きさ(厚さあるいは粒径)は例えば1nm〜50μmとする。b相の結晶がこの程度の大きさであればb相の機能が十分に発揮される。b相をなす材料の電気伝導度がA相をなす材料よりも低い場合は、b相の結晶の大きさは小さい(薄い)方が好ましい。電気伝導度の低下量を少なくし、熱伝導度の低下量を大きくするために、b相の結晶の大きさは例えば1〜1000nmであることが好ましい。
【0024】
b相には、金属相であるb’相が含まれていてもよい。その場合、個々のb’相は十分に小さく、b相内に拡散された状態となっている必要がある。非常に少量の小さいb’相が、b相に分散状態で存在している場合であれば、ゼーベック係数と熱伝導度の性能を大きく損なうことなく、電気伝導度を大きくすることもできる。
【0025】
また、このb’相がnmオーダーの大きさの結晶であれば、熱伝導度の低減作用を得ることができる場合もある。成形加工性の観点からは、b’相の存在が望ましい場合もある。このb’相のb相中での存在率は10体積%以下とする。
本発明はまた、本発明の熱電材料の製造方法として、Sb、As、Te、およびSeから選択された1種以上の半金属元素を含む組成の結晶からなる材料(第1の材料)と、Zn、Al、およびInから選択された1種以上の金属元素を含む組成の材料(第2の材料)とを混合し、この混合物を熱処理することにより、A相をなす結晶の粒界にb相を存在させることを特徴とする熱電材料の製造方法を提供する。
【0026】
この方法で熱電材料を製造すると、第1の材料と第2の材料との混合物中で半金属元素と金属元素とが反応し、第1の材料(A相をなす結晶)の粒界に、半金属元素と金属元素とを含む組成であって、半導体あるいは半金属的な性質の相(b相)が生じる。
b相には、Zn、Al、およびInから選択された1種以上の金属元素以外の金属元素として、例えばSn、Pbなどが添加されていてもよい。ただし、粉末焼結法によって熱電材料を作製する場合には、b相に含まれる金属の融点を100℃以上1000℃以下とする必要がある。
【0027】
第2の材料の金属元素として融点が100℃未満の金属元素を使用すると、混合物中での半金属元素と金属元素との反応が十分に進まないうちに、金属が溶けてA相の結晶粒界に存在しない状態となる。これにより、加圧熱処理法で成形加工する際に型から成形体が抜けなくなったり、常圧成形の場合には成形体の形が崩れたりする。
【0028】
使用する金属元素の融点が1000℃を越えると、A相をなす結晶粒の周りに金属が拡散しないうちに焼結が終了して、A相をなす結晶の粒界にb相が形成されない恐れがある。また、A相をなす結晶粒が成長して大きくなるため、b相の機能が十分に発揮されない。
第2の材料として使用する金属元素の融点は、100℃以上450℃以下であることが好ましい。その理由は、450℃以下の低温で熱電材料の成形加工が可能となるため、成形加工性が特に良好になって、低コストで製造できるようになるからである。また、450℃以下ではA相をなす結晶の粒成長が起こらないため、b相の機能が十分に発揮されて、得られる熱電材料の熱伝導度が特に低くなる。
【0029】
第2の材料の金属元素としてAlを用いた場合は、Alの融点が660℃であるため、第1の材料(A相をなす結晶)として使用する半金属材料の融点によっては、450℃以下の低温で熱電材料の成形加工を行うことが好ましくない場合がある。この場合とは、例えば、第2の材料の金属元素としてAlを用い、成形時の熱処理温度が450℃以下で且つ第1の材料(A相をなす結晶)の副相A’の融点以下の場合である。
【0030】
この場合には、混合物中での半金属元素と金属元素との反応が固相同士の拡散反応として生じるため、熱処理時間を長くする必要がある。熱処理時間が長くなると、第2の材料の金属元素がA相にも拡散する可能性が出てくる。この金属元素のA相への拡散はA相の熱電性能を低下させる恐れがある。
したがって、この場合には、熱処理温度をAlの融点以上とすることが好ましい。但し、第1の材料として使用するA相の融点が、A’相の融点や第2の材料として使用するAlの融点より低い場合は、熱処理温度をAlの融点以上とすることができない。そのため、この場合には、後述のSPS法等を採用することによって、熱処理時間を短くすることが好ましい。
【0031】
第2の材料の金属元素としてZnを用いた場合には、上記と同じ理由で、成形時の熱処理温度が400℃以下で且つ第1の材料(A相をなす結晶)の副相A’の融点以下である場合には、熱処理時間を長くする必要がある。
本発明の熱電材料を本発明の方法で製造した場合、b相の半金属元素は、(a) A相の主相を構成していた半金属元素か、(b) A相の副相A’相を構成していた半金属元素に由来するものである。なお、 (a)の場合には、前記半金属元素以外のA相に含まれていた元素が、b相に混在することが多い。この混在する元素のb相での存在比が原子比で50%を超えない限り、本発明の方法で製造された熱電材料の各種熱電性能は良好なものとなる。
【0032】
(a)の場合であって、Sb、As、Te、およびSeから選択された1種以上の半金属元素を含む組成の材料(A相用の材料)として、AgやSn等の金属元素を含む材料を使用して製造された熱電材料は、b相に前記金属元素が混在され易いが、例えばSb−Zn系材料からなるb相に、AgやSnが0.1〜20体積%程度含まれていても問題はない。これらの金属元素が適切な組成で含まれていることによって、得られる熱電材料の各種熱電性能が向上することもある。
【0033】
また、本発明の熱電材料を本発明の方法で製造する際に、A相とb相との界面によるフォノンの散乱効果を高める目的で、通常、公知の方法で粉砕された粉体をA相材料として使用することが好ましい。この場合、A相材料は粒子の表面が乱れた状態となっているため、粒子の内部より表面の結晶性が悪く、表面の熱電性能が劣った状態にある。このA相の粒子の表面にb相が形成される際に、A相の粒子の表面がb相形成用に添加された金属元素でクリーニングされる。これと同時に、A相とb相との界面におけるフォノンの散乱効果が得られるため、この方法で得られた熱電材料は各種熱電性能が高いものとなる。
【0034】
(b)の場合には、主相であるA相より副相であるA’相の方が通常は熱電性能が劣るため、A相にA’相が存在する熱電材料はA’相が存在しないA相からなる熱電材料よりも熱電性能が低い。特にA’相が金属相である場合は、ゼーベック係数が低下し、熱伝導度が増加する傾向がある。この熱電材料に金属元素を添加して、A’相全体又はその粒界を半導体化することにより、A相の熱電性能の低下を抑えることができる。これを副相のクリーニング効果と呼ぶ。
【0035】
このクリーニングが十分に行われず、A相にA’相が存在する熱電材料であっても、A’相の存在率が全体の10体積%以下であり、個々のA’相が分散された状態となっていれば、熱電性能の低下を小さく抑えることができる。また、A相に添加する金属元素の種類によっては、A相にA’相が存在する熱電材料の熱電性能が、A’相が存在しないA相からなる熱電材料よりも高くできることもある。
【0036】
以上のように、A相とb相とからなる熱電材料がA相のみからなる熱電材料よりも熱伝導度が低くなるメカニズムとしては、主に、A相の結晶粒子表面のクリーニング効果と副相のクリーニング効果(半導体化)が挙げられる。また、A相の粒界に分散状態で存在するb相の微結晶によるフォノンの散乱効果も挙げられる。
【0037】
例えば、La−Fe−Co−Sb系材料からなるA相と、主にSb−Zn相からなるb相で構成された熱電材料として、大きさが0.3〜100nmであるSb−Zn結晶が、b相内に存在しているものが確認されている。この熱電材料の熱伝導度が特に小さい理由は、この微細なSb−Zn結晶の存在によるものと推測される。
【0038】
したがって、本発明の熱電材料において、b相の構成元素からなり、大きさが0.3〜100nmである結晶が、b相内に分散していることが好ましい。これにより、熱伝導度が特に小さい熱電材料が得られる。
本発明の熱電材料は、例えば粉末焼結法によって製造することができる。
その場合には先ず、第1の材料(A相をなす結晶)と第2の材料(b相を構成する金属元素を含む材料)とを粉体状で混合する。
【0039】
第1の材料として粒径が0.1μm未満の粉体を使用すると、A相をなす結晶の表面が酸化されやすくなるため、得られる熱電材料の電気伝導度が低下する。また、A相をなす結晶粒が凝集し易くなるため、熱電材料のA相の粒界にb相が十分に形成され難くなる。第1の材料として粒径が100μmより大きいものを使用すると、熱電材料のA相の粒界でのb相によるフォノンの散乱効果が十分に得られなくなるため、熱伝導度の低減効果が低くなる。
【0040】
したがって、第1の材料として粒径が0.1〜100μmであるものを使用することが好ましい。第1の材料として粒径が0.5〜10μmであるものを使用すると、得られる熱電材料の各種熱電性能が向上するため特に好ましい。
第1の材料をこのような好ましい粒径にするために、通常、第1の材料は粉砕工程によって粉砕された後に、第2の材料と混合される。この粉砕は、例えば、粉砕機として、ジョークラッシャー、スタンプミル、ロータミル、ピンミル、コーヒーミル、ボールミル、ジェットミル、アトライター等を用いて行われる。
【0041】
なお、第1の材料は、ガスアトマイズ法、固相反応法、R/D法(還元拡散法)、メカニカルアロイング法などで製造することにより、粉体状で得ることもできる。この方法で得られた粉体の粒径が前述の好ましい範囲にあれば、粉砕工程を行う必要はない。第2の材料も粉体状のものを使用することが好ましい。
第1の材料と第2の材料との混合工程は、自動乳鉢、V型ミキサ、タンブラ、リボンミキサ、ロータリミキサなど、通常用いられる混合機を使用して行うことができる。第1の材料および/または第2の材料の粉砕とこの混合工程とを同時に行ってもよい。
【0042】
次に、第1の材料と第2の材料との粉体状の混合物を型に入れて成形し、100℃以上の温度で焼結する。熱処理雰囲気は非酸化性雰囲気であることが好ましく、アルゴンやヘリウムなどの希ガス、窒素ガス中などの不活性ガス中で、或いは水素ガスを含む還元ガス中で熱処理を行うことが好ましい。また、焼結時の圧力は、常圧、加圧下、あるいは真空中のいずれであっても構わない。
【0043】
この熱処理によって、第1の材料の半金属元素と第2の材料の金属元素とが反応して、第1の材料(A相をなす結晶)の粒界に、半金属元素と金属元素とを含む組成の結晶からなる、半導体あるいは半金属的な性質の相(b相)が生じる。この熱処理は成形と同時に行うこともでき、ホットプレス法、HIP法、SPS法(放電プラズマ焼結法)などのような加圧熱処理法が採用できる。
【0044】
第2の材料の金属元素は、熱処理温度や熱処理雰囲気などの条件によっては、蒸散などによって若干量が失われることがあるが、融点が100℃以上の金属を使用すれば成形体に変形が生じたり、加圧熱処理の際に型から抜けなくなったりすることはない。
混合物の成形を冷間プレスで行った後に熱処理を行う場合には、熱処理後の成形体が十分な機械的強度を有するように、第2の材料の添加量、熱処理条件(温度および時間)、熱処理後の冷却速度などを工夫する必要がある。例えば、A相の粒界が微細な結晶相またはアモルファス相になるように、材料組成、熱処理条件などを制御する。このような制御を行うことにより、b相によるフォノンの散乱効果が特に高くなるため、得られる熱電材料の機械的強度が高くなるだけでなく、得られる熱電材料の熱伝導度を低くすることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態に相当する熱電材料を以下のようにして作製した。
先ず、純度99.9%のLa、純度99.5%のFe、純度99.9%のCoを、原子比で1:3:1となるようにアーク溶解を行った後、純度99.99%のSbを、原子比で(La+Co+Fe):Sb=5:14となるように添加して、さらにアーク溶解を行った。このようにして得られたインゴットに対して、Ar雰囲気中、600℃で40時間の条件で、均質化焼鈍処理を行った。
【0046】
次に、このインゴットの組成をICP発光分析法で調べた。その結果、このインゴットの組成はLa5.4 Fe16.1Co5.4 Sb73.1であった。また、このインゴットをX線回折装置にかけて、CuKα線によるX線回折スペクトルを得た。図1の上側のグラフがこのX線回折スペクトルである。この結果から、このインゴットは、LaFe3 CoSb12を主相(A相)とする結晶であり、副相としてSb相と微量の(Fe、Co)Sb2 相を含むことが分かった。
【0047】
次に、このインゴットをコーヒーミルで粗粉砕することにより、粒径を106μm以下にした。次に、この粗粉体を、Ar雰囲気中で回転ボールミルで微粉砕することにより、平均粒径2μmの微粉体(第1の材料)を得た。
次に、この微粉体に、平均粒径7μmのZn(純度99%)粉体(第2の材料)を、8重量%の割合で添加し、ヘキサンで湿潤させた状態で乳鉢により混合した。この混合粉体をグラファイト製の型に入れ、415℃、45MPa、5分間の条件でSPS法による焼結を行うことにより成形体を得た。
【0048】
この成形体の組成をICP発光分析法で調べたところ、La4.9 Fe14.6Co4.9 Sb65.9Zn9.7 であった。また、この成形体をX線回折装置にかけて、CuKα線によるX線回折スペクトルを得た。図1の下側のグラフがこのX線回折スペクトルである。この結果から、この成形体は、LaFe3 CoSb12からなるA相と、主にSb−Zn相からなるb相とで構成されることが分かる。
【0049】
また、この成形体の断面の微構造を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、EDXによる各相の同定を行ったところ、b相がA相を取り囲んでいるような微構造であることが分かった。なお、非常に僅かではあるが、Laを含む相も観察された。図2は、この成形体の微構造を示すTEM写真であり、この写真には、成形体の断面のA相とb相の界面付近の一部が、特に拡大して示してある。図2の左下にある小さい方の写真の四角で囲んだ部分が、図2の全体の大きさに拡大されている。
【0050】
この写真の「b相(主にSb−Zn相)」と記された灰白色部分に、細かい粒状や指紋状の模様が見られる。これらの模様は結晶格子に起因して見られるものである。b相なすSb−Zn相が、Zn:Sb=1:1であるSbZn相と結晶構造が同じSb−Zn相のみからなる場合には、灰白色部分の全体が一様になっていてこの写真のような模様は見られない。この模様の存在とこの相のEDX解析により、このb相をなすSb−Zn相は、SbZn相と結晶構造が同じSb−Zn相と、このSb−Zn相よりもZnの比率が高い組成であって大きさが数nmであるSb−Zn微結晶とからなり、このSb−Zn微結晶がb相内に多数分散していることが分かった。
【0051】
また、この成形体は、LaFe3 CoSb12からなるA相と、Sb44Zn56からなるb相とで構成され、A相の存在率が82体積%(原子比で83%)でありb相の存在率が18体積%であった。この成形体を実施例1とする。
実施例2として、La0.9 Fe3 CoSb12からなるA相と、Sb41Zn59からなるb相とで構成され、A相の存在率が94体積%(原子比で94%)でありb相の存在率が6体積%である物質からなる成形体を得た。成形体の組成はLa5.0 Fe16.7Co5.6 Sb69.1Zn3.6 であった。この成形体は、組成がLa0.9 Fe3 CoSb12であるインゴットを用い、Znの添加量を4重量%とし、450℃、45MPa、5分間の条件で焼結を行った点以外は、実施例1と同じ方法で作製した。
【0052】
実施例3として、La0.9 Fe3 CoSb12からなるA相と、Sb16Al84からなるb相とで構成され、A相の存在率が82体積%(原子比で83%)でありb相の存在率が18体積%である物質からなる成形体を得た。成形体の組成はLa4.4 Fe14.8Co4.9 Sb61.7Al14.2であった。この成形体は、組成がLa0.9 Fe3 CoSb12であるインゴットを用い、Znに代えてAlを4重量%添加し、550℃、45MPa、5分間の条件で焼結を行った点以外は、実施例1と同じ方法で作製した。
【0053】
実施例4として、La0.9 Fe3 CoSb12からなるA相と、Sb40In60からなるb相とで構成され、A相の存在率が94体積%(原子比で94%)でありb相の存在率が6体積%である物質からなる成形体を得た。成形体の組成はLa5.0 Fe16.6Co5.5 Sb69.1In3.8 であった。この成形体は、組成がLa0.9 Fe3 CoSb12であるインゴットを用い、Znに代えてInを4重量%添加し、圧力:45MPa、温度と時間:150℃で5分間保持後、100℃/分で450℃まで昇温し、さらに450℃で5分間保持の条件で焼結を行った点以外は、実施例1と同じ方法で作製した。
【0054】
比較例1として、LaFe3 CoSb12からなるA相の粒界相のほとんどがSb相である物質からなる成形体を得た。この成形体は、Znの添加を行なわず、焼結温度を490℃とした点以外は、実施例1と同じ方法で作製した。成形体の組成は、実施例1のインゴットと同じLa5.4 Fe16.1Co5.4 Sb73.1であった。なお、焼結温度を実施例1と同じ415℃として作製しようとしたが、この場合にはグラファイト型から取り出した時に成形体が砕けてしまい、成形体の機械的強度が不十分であった。
【0055】
このようにして得られた実施例1〜4および比較例1の成形体について、ゼーベック係数(α)、電気伝導度(σ)、熱伝導率(κ)を測定した。実施例1と比較例1については、ゼーベック係数(α)と電気伝導度(σ)を−65〜130℃の温度範囲で、熱伝導率(κ)を20〜180℃の温度範囲で測定した。これらの結果を図3〜5のグラフに示す。これらのグラフで「○」が実施例1のデータであり、「●」が比較例1のデータである。
【0056】
また、実施例1〜4と比較例1について、室温(20〜26℃)でのゼーベック係数(α)、電気伝導度(σ)、熱伝導率(κ)の測定結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
これらの結果から、実施例1〜4の成形体は比較例1の成形体と比較して、ゼーベック係数と電気伝導度が高く、熱伝導度の低い材料であることが分かる。特に図3〜図5のグラフから、実施例1の成形体は比較例1の成形体と比較して、広い温度範囲において、ゼーベック係数と電気伝導度が高く、熱伝導度の低い材料であることが分かる。
【0059】
また、実施例1〜4の成形体は、回転速度1500rpmのダイヤモンドカッタにより1mm以下の大きさに切削しても、成形体に割れが生じなかった。これに対して比較例1の成形体は、プラスチックの裏打ちをした場合でも、回転速度100rpmのダイヤモンドカッタによる切削で成形体に亀裂が生じることがあった。すなわち、実施例1〜4の成形体は比較例1の成形体よりも、著しく高い機械強度および加工特性を有することが分かった。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、熱電性能が高いだけでなく、機械的強度および加工特性にも優れた熱電材料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のインゴットのX線回折スペクトルと、成形体のX線回折スペクトルを示すグラフである。
【図2】 実施例1の成形体の微構造を示す顕微鏡写真である。
【図3】実施例1と比較例1について、ゼーベック係数(α)を−65〜130℃の温度範囲で測定した結果を示すグラフである。
【図4】実施例1と比較例1について、電気伝導度(σ)を−65〜130℃の温度範囲で測定した結果を示すグラフである。
【図5】実施例1と比較例1について、熱伝導率(κ)を20〜180℃の温度範囲で測定した結果を示すグラフである。
Claims (6)
- Sb、As、Te、およびSeから選択された1種以上の半金属元素を含む組成の結晶からなるA相と、A相を構成する半金属元素とZn、Al、およびInから選択された1種以上の金属元素とを含む組成のb相とを有し、A相の存在率が50.0体積%以上99.9体積%以下であり、b相の存在率が0.1体積%以上50.0体積%以下である物質の成形体からなる熱電材料。
- A相を構成する半金属元素としてSbを含む請求項1記載の熱電材料。
- A相はスクッテルダイト系材料からなる請求項1または2記載の熱電材料。
- b相を構成する金属元素としてZnを含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱電材料。
- b相の構成元素からなり、大きさが0.3〜100nmである結晶が、b相内に分散している請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱電材料。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱電材料の製造方法において、
Sb、As、Te、およびSeから選択された1種以上の半金属元素を含む組成の結晶からなる材料と、Zn、Al、およびInから選択された1種以上の金属元素を含む組成の材料とを混合し、この混合物を熱処理することにより、A相をなす結晶の粒界にb相を存在させることを特徴とする熱電材料の製造方法。
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