JPH10303468A - 熱電材料とその製造方法 - Google Patents

熱電材料とその製造方法

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JPH10303468A
JPH10303468A JP9105878A JP10587897A JPH10303468A JP H10303468 A JPH10303468 A JP H10303468A JP 9105878 A JP9105878 A JP 9105878A JP 10587897 A JP10587897 A JP 10587897A JP H10303468 A JPH10303468 A JP H10303468A
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JP
Japan
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cosb
thermoelectric material
sintered body
powder
compound
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JP9105878A
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English (en)
Inventor
Hiroki Kusakabe
弘樹 日下部
Hisaaki Gyoten
久朗 行天
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱を電気に変換するCoSb3 系熱電材料にお
いて、熱伝導率を増大することなしに緻密焼結すること
によって導電度を向上し、高性能な熱電材料を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】Co0.97Pt0.03Sb3 合金粉末を放電プ
ラズマ焼結法によって焼結することにより、粒成長を抑
制しながら緻密化し、熱伝導率を低く抑えたままで導電
度を高めて、伝熱材料としての性能指数を向上させる。
さらに、焼結体のCoSb3 系化合物粒界に酸化物等の
断熱層を介在させることによって熱伝導率を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゼーベック効果に
よる熱を電気に直接変換するCoSb3 系熱電材料とそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ゼーベック効果及びペルチェ効果
を用いた熱電材料としては、Bi2 Te3 系熱電材料が
よく知られており、一部の用途には実用化されてはいる
が、動作温度範囲が非常に狭いため、室温付近での使用
に限られていた。これに対して、CoSb3 系熱電材料
は、スカッテルダイト型結晶構造を示すCoSb3 系金
属間系化合物が電子ないしホールの移動度が大きいとい
う特徴を有し、高い熱電変換性能と広い動作温度範囲の
両立が可能な材料として期待を集めている。
【0003】熱電材料として重要な特性は、ゼーベック
係数S、導電率σ及び熱伝導率κをパラメータとして、
性能指数Z=S2 σ/κで表され、性能指数Zを高める
には、S及びσが大きく、κが小さいことが望ましい。
先行技術に関して、特開平8−186294公報明細書
には、CoSb3 にPd、Rh、Ru等を添加すること
によって、S2 σ(パワー因子)が大きくなることが開
示されている。さらに、この材料は、焼結体を高密度化
することによってσが向上するのでS2 σが向上するこ
とが示されている。また、この他にもPtを添加するこ
とによっても同様の効果が得られることが知られてい
る。
【0004】また、前記公報には、CoSb3 系の熱電
材料が、焼結体の製造技術に関して、CoとSbとを溶
解したインゴットを粉砕して、その粉末を圧縮成形した
後、長時間の焼結を行う方法や、この焼結後にさらにホ
ットプレスやHIP処理をして焼結体を緻密化する方法
が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】CoSb3 系熱電材料
にPdやPtの添加によりS2 σは向上するのである
が、熱伝導率κに関しては大幅には低下されず、CoS
3 系熱電材料のさらなる性能向上のためには低熱伝導
率化という課題が残されている。また、焼結体の高密度
化によって導電率σは向上させることができるが、従来
のような長時間の焼結過程では結晶粒が成長し粗大化し
て、結晶粒の粗大化は同時に熱伝導率κも上昇させるの
で、結果的には性能指数をさほど向上できなかった。
【0006】また、これらの材料を熱電モジュールとし
て使用するためには、CoSb3 系熱電材料でp−nジ
ャンクションを作る必要があるが、従来のPdやPtの
添加は、いずれもn型を示し、p型に関してはCoを置
換できる元素が発見されておらず、置換可能元素の探索
が必要となる。一般にCoとの置換が比較的容易な元素
は、鉄族遷移金属Mn、Cr、Fe等の原子の性質が似
た元素と考えられる。しかし、これらの元素は、溶解し
て合金化する従来の方法では殆どCoとの置換ができな
かった。
【0007】本発明は、前記問題に鑑み、第1に、Co
Sb3 系熱電材料の性能指数をさらに向上させるような
CoSb3 系焼結体と、その製造方法を提供することを
目的とする。このためには、CoSb3 系焼結体の熱伝
導率κを上昇させずに導電率σだけを向上させるような
方策、及び、CoSb3系材料焼結体の導電率σを余り
低減することなく熱伝導率κを積極的に低下させるよう
な方策を見出すことが必要となった。
【0008】本発明は、第2に、CoSb3 系熱電素子
の性能指数の向上に伴って、鉄族遷移金属のCoに対す
る置換を可能にしたCoSb3 系焼結体と、その製造方
法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、Co 及びSb
を主成分とするCoSb3 系の熱電材料であるが、その
特徴は、前記熱電材料が、CoSb3 系化合物の粉末を
放電プラズマ焼結法により焼結して成る高密度焼結体で
あることにある。本発明のCoSb3 系の熱電材料の製
造方法は、CoSb3 系化合物の粉末を放電プラズマ焼
結法により焼結して高密度焼結体とする工程を含むこと
を特徴とするものである。
【0010】放電プラズマ焼結法は、後述のように、短
時間の焼結過程だけで、高い密度の焼結体が得られるの
で、導電率を高めることができ、熱電素子の性能指数を
向上させることができる。また、放電プラズマ焼結法
は、CoSb3 系化合物の粉末粒子を成長させずに微細
な結晶粒のままで高い密度の焼結体が得られる。そこ
で、原料のCoSb3系化合物の粉末粒径を予め微細に
調製することにより、焼結体は、微細結晶粒に制御で
き、導電率σを余り低減することなく熱伝導率κを低下
させることができ、性能指数を向上させることができ
る。即ち、焼結体の結晶粒径に対する結晶粒界の面積が
大きくなり粒界におけるフォノンの散乱を促進して、熱
伝導率を低下させ、CoSb3 系熱電材料としての性能
指数を向上させるのである。
【0011】本発明のCoSb3 系熱電材料は、さら
に、CoSb3 系焼結体の結晶粒界の一部に断熱層を介
在させることを特徴としている。結晶粒界の断熱層は粒
界の一部にのみ介在して形成されるので、焼結体は、結
晶粒界の大部分の直接接触により導電率を余り低下させ
ずに、一部の粒界にある断熱層が相対的に焼結体の熱伝
導率を低下させ、CoSb3 系熱電材料としての性能指
数を向上させることがきる。
【0012】断熱層を形成するための熱電材料の製造方
法は、CoSb3 系化合物の粉末を予め表面酸化による
酸化物膜で被覆し、この粉末を焼結する方法が採用され
る。焼結体は、焼結体中の該化合物の結晶粒界の一部に
当該酸化物膜が介在されて断熱層とするものである。ま
た、本発明の熱電材料の製造方法は、CoSb3 系化合
物の粉末の表面を予めセラミック層によって被覆して、
該粉末を焼結する方法が採用される。このような焼結体
には、該化合物の結晶粒界の一部に該セラミックス層が
残存されて断熱層とするものである。これらの製造方法
では、好ましくは、酸化物膜で被覆され、又はセラミッ
クス層で被覆された該化合物粉末は、放電プラズマ焼結
法により焼結される。
【0013】さらに、本発明は、前記のCoSb3 系化
合物の粉末を形成する工程が、CoとSbと所要の遷移
金属との所定量の溶解及び/又は均質化熱処理を回転磁
場中で行う方法が採用される。これにより、CoSb3
化合物のCoの一部を他の遷移金属で置換することがで
き、p型−CoSb3 系素子の形成が可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、CoSb3 系の化合物
の粉末から焼結体を成形するが、CoSb3系化合物に
は、スカッテルダイト型結晶構造を有し、CoSb3
合物およびCo 及びSbを主成分として他の金属元素を
添加した化合物を広く含み、特に、CoSb3 化合物の
Coの一部を他の元素で置換した化合物が含まれる。例
えば、置換元素としてPt、Pdなど遷移元素で置換し
た化合物、例えば、Co0.97Pt0.03Sb3 などがあ
り、また、焼結体の熱伝導率を低減させるためにCoS
3 にLa、Ce等の希土類金属を添加した化合物も採
用される。
【0015】焼結のためのCoSb3 系化合物の原料粉
末の調製には、種々の方法が利用できるが、好ましく
は、Co及びSbを含む原料を溶融して凝固させ、次い
で、均質化熱処理を行って、固体中にCoSb3 系化合
物を均一に析出させ、所要の粒度に粉砕する方法が採用
される。
【0016】例えば、Co、Sb及び、その他の前記所
要の金属を、前記化合物の組成になるように秤量し、非
酸化性、特に、不活性の雰囲気の溶解炉内で溶解した
後、そのまま炉内でCoSb3 金属間化合物の析出開始
温度(約876℃)以下の析出温度(600〜860
℃)に高温保持して均質化熱処理を行い、CoSb3
化合物を完全に析出させて均質化する方法が採用され
る。前記均質化熱処理後冷却した塊は、粉砕し、所望の
粒径分布に分級して、CoSb3 系化合物の粉末に利用
される。
【0017】第1の発明においては、放電プラズマ焼結
法を使用するが、この焼結法は、概していえば、真空雰
囲気中で、黒鉛円筒型の型内の成形試料を、円筒型内に
両側から挿通された2つ黒鉛プラグにより押圧しなが
ら、黒鉛プラグ間にパルス電流を印加して、成形試料の
各粉体粒子間に放電させて、焼結を促進する方法であ
る。
【0018】図1にその放電プラズマ焼結装置の概念図
を示すが、真空チャンバー11内に、黒鉛の円筒型21
の中に目的物、この場合はCoSb3 系化合物の粉末ま
たはその予備的な成形体4を充填し、黒鉛円筒型21の
両端の開口部から対向して黒鉛プラグ22、23を挿通
して内部の成形体4を挟圧するように配置され、両黒鉛
プラグ22、23の端部はプレス押圧手段(不図示)と
連結されて、しかも、両黒鉛プラグ22、23の間には
加熱用の電源装置25に接続されている。焼結操作時に
は、チャンバー内20を真空にして、黒鉛プラグ22、
23を押圧手段で成形体4を加圧しながら、両黒鉛プラ
グ22、23間に周期的なパルス電圧Eを印加する。電
流は黒鉛プラグ22、23及び黒鉛円筒型21を流れて
加熱して、同時に成形体4を急速に加熱し同時にプレス
の圧縮力により焼結をするものである。
【0019】放電プラズマ焼結の過程は、CoSb3
化合物も導電性であるので、黒鉛円筒型21内の成形体
4に対しても、パルス状に印加電流の一部が流れ、成形
体4のCoSb3 系化合物の各粒子は、その表面接触点
近傍で火花放電を生じて、ジュール熱と共に放電エネル
ギーによる局部的な発熱により互いに接触点で接合融着
を生じる。そしてプレス加圧状態のもとで、パルス電流
の印加を続けると、放電点は分散移動しながら粒子間の
融着接合を生じ、この状態で加熱された各粒子が圧縮さ
れて粒子表面の接触面域を広げ、短時間で緻密化し、焼
結体になる。
【0020】従来のホットプレス法、HIP焼結法で
は、CoSb3 系化合物の緻密な焼結体とするには焼結
に長時間を要し、従って、微細な粉末から焼結しても焼
結過程では化合物の結晶粒の成長が生じるので、焼結体
には高密度であって且つ微細結晶粒であるものを得るこ
とができなかったが、本発明においては、放電プラズマ
焼結法は、緻密な焼結体を得るに焼結過程が、極めて短
時間で、例えば、焼結体の寸法にも依存するが、通常は
3〜10分程度で、完了でき、この間の結晶粒成長をほ
ぼ完全に阻止できる。そこで、得られた焼結体は、緻密
組織を保持しており、粗大に成長した結晶粒は実質的に
存在しない。このことは、焼結体の結晶粒径が、焼結前
のCoSb3 系化合物の粉末の粒径を制御することによ
り、容易に制御できることを意味する。
【0021】成形された焼結体の結晶粒径は、200μ
m以下であることが好ましく、さらに、100μm以
下、特に、10μm以下とするのが好ましい。結晶粒を
微細化することにより、焼結体の熱伝導率を低下させる
効果がある。前記結晶粒径を得るために、本発明におい
ては、予め、CoSb3 系化合物の粉末の粒径を、前記
結晶粒径に調製しておくことにより、容易に実現でき
る。好ましくは、粉末の粒径が100μm以下で、且つ
焼結後の焼結体は、その結晶粒径が100μm以下とす
る。他方、焼結体の相対密度は、98%以上とする。こ
れにより、焼結体の導電率を高めるのことができ、焼結
体の熱電素子として性能指数を向上できる。
【0022】第1の発明の実施例を以下に示す。Co
(純度99.9985%)とSb(純度99.9999
%)及びPt(純度99.9%)を、焼結後Co0.97
0.03Sb3 の組成比になるように秤量した金属材料
を、Ar雰囲気電気炉のルツボ内で溶解温度1100〜
1200℃に加熱して2時間保持して溶解した。次に、
ルツボ内の溶湯をそのままCoSb3の析出温度(87
6℃)以下である850℃にて10時間加熱保持し、固
相拡散によりスカッテルダイト型結晶構造を得る。得ら
れた塊は乳鉢にて粗粉砕した後、遊星ボールミルにて平
均粒径100μm以下に微粒化した。これにより、Co
Sb3 系化合物の単相の粉末が得られた。
【0023】この粉末を、予備的に成形して、放電プラ
ズマ焼結機の黒鉛シリンダー内で押圧用の一対の黒鉛プ
ラグ間に配置し、真空チャンバー11内を真空に保持し
て、黒鉛プラグ間に圧力500kgf/cm2 を付与して圧下
しながら、パルス電流を黒鉛プラグ間に印加した。電流
印加後急速に温度700℃にまで昇温して、4分保持し
て焼結し、直ちに放冷した。これにより相対密度98%
以上の緻密焼結体が得られた。放電プラズマ焼結機の黒
鉛シリンダーの内径20mmに対して、供給パルス電流
は、電圧数Vで、電流は最大2000A程度である。
【0024】このようにして得られたCo0.97Pt0.03
Sb3 化合物の焼結体のパワーファクタS2 σを、図2
に示すが、パワーファクタは6×10-5W/cmK2
上回り、従来のホットプレスによる焼結体の値(2×1
-5W/cmK2 )の3倍の値を得ることができた。
【0025】また、図3は、この材料の熱伝導率κの温
度変化を示したものであるが、放電プラズマ焼結法の特
徴である粒成長を抑制した短時間焼結の結果として、高
密度化にも拘わらず、熱伝導率κは上昇しておらず、最
低値は4W/mK(300℃)となった。これらのデー
タより計算した無次元性能指数ZTを図4に示すが、約
300℃でZT=0.8となり、300℃周辺での中温
度域で十分実用可能な値となった。
【0026】本発明の第2の発明は、焼結体の結晶粒界
の一部に断熱層を形成することにより、CoSb3 系熱
電材料を、導電率を余り低下させずに、熱伝導率を低下
させるものである。図5(A)には、焼結体の結晶粒模
型図を示すが、焼結体は、結晶粒4、4同士が接合して
粒界44を形成する部分と、粒間に介在した断熱層5と
で形成されている。このような断熱層5には、CoSb
3 系化合物粒子の予め表面酸化により形成した酸化物膜
と、CoSb3 系化合物粒子の表面に形成された別体の
セラミック層とが利用できる。
【0027】酸化物膜の場合には、CoSb3 系化合物
の粉末を、酸化性雰囲気、例えば、空気中で加熱して、
その表面に、その化合物の酸化物、主にSb酸化物を含
む皮膜を形成したものが利用される。このような酸化物
膜は、粉末の焼結過程で焼結体の結晶粒界の一部に残存
させて断熱層に形成するものである。
【0028】また、セラミック層の場合には、CoSb
3 系化合物粉末の表面にセラミックス層を形成して、こ
のセラミックス層を焼結過程で、焼結体の結晶粒界の一
部に残存させて形成するものである。図5(B)には、
CoSb3 系化合物粉末40の表面に形成されたセラミ
ック層50を模式的に示している。セラミック層には、
シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの酸化物
や窒化アルミニウム、窒化チタンなど窒化物が利用でき
る。これらの酸化物や窒化物は、スパッタ法その他の方
法により気相から前記CoSb3 系化合物粉末の粒子表
面に蒸着して形成することができる。
【0029】酸化物膜やセラミック層を形成したCoS
3 系化合物粉末は、放電プラズマ焼結法による焼結過
程で、粉末粒子間の接触点が、酸化物皮膜やセラミック
層があっても、粒子間の火花放電により表面が活性化さ
れて、接触融着し、さらに加圧により接合されて粒界を
形成し、酸化物膜やセラミック層は焼結の最終段階の粒
子間隙を充足して、酸化物膜やセラミック層が形成され
る。このようにして、図5(A)に示すように、粒界に
成形された断熱層5は、断熱層として粒子間の熱伝導率
を低下させるが、導電率は、結晶粒界44の大部分で相
互に直接接触しているので、熱伝導率の低下ほどは低下
しないので、性能指数を全体的に向上することができ
る。
【0030】第3の発明については、Co 及びSbを主
成分とするCoSb3 系熱電材料の製造方法の態様にお
いては、前記のCoSb3 系化合物の製造工程におい
て、主成分のCo及びSbと、他の遷移金属添加物との
溶解とその後の均質化熱処理をする際に、溶解及び/又
は均質化熱処理を回転磁場中で行なうものである。
【0031】回転磁場は、固定磁界と、この固定磁界に
直角であって且つ、この固定磁界回りに回転する直交磁
界とから成る。回転磁界の作用は、これら2つの磁界が
溶解中のCoSb3 系の溶融合金やCoSb3 系化合物
を励磁して、溶融合金ないし凝固後のCoSb3 系化合
物の中のCoイオンの3d殻電子スピンと置換すべき遷
移金属イオンのd殻電子スピンとをいずれも固定磁場方
向に配向させて、強磁性の遷移元素がCoに部分置換す
るのを容易にする。従来の溶解や均質化熱処理の過程で
は、材料中に外部磁場がない状態では、遷移元素のスピ
ンとCoイオンのスピンと反対方向であるためにイオン
同士の反発により他の遷移元素のCo位置への占有置換
が困難であったのを、回転磁場に曝露することにより解
消できるのである。
【0032】この置換元素としては、例えばMn、C
r、Fe、Ni等の鉄族遷移金属やLa、Ce等の希土
類金属が用いられる。ここで、Fe、Cr、Mn等の遷
移金属はp型素子の形成に有効であり、Niはn型素子
の形成に有効である。La、Ce等の希土類金属は熱伝
導率の低減に効果がある。これによって、従来CoSb
3 系熱電材料への添加が困難であった第3元素の添加が
可能となる。
【0033】具体的には、図6(A、B)に示すよう
に、Co−Sb合金を溶解する溶解炉(図6は、溶解ル
ツボ6だけを示す)を、上下の固定磁石9、9間で垂直
な静止磁場HV の中に設置する。さらに、溶解炉の周囲
でこの垂直磁場HV と概ね直角な方向に1組2個の水平
コイル7(71、72)が溶解炉6を挟むように配置さ
れ、このようなコイル2組7、8が、互いに直角に配置
されている。そして、各組のコイル7、8に電流を流し
て、水平磁界HL を発生させるが、ここで、電流を流す
コイルの組を、一定周期で順次切り替え、各コイルは導
通ごとに極性を交替させることにより、水平磁界を回転
させることができる。コイルの組数を3以上設けること
も可能である。前記の2組のコイル7、8に90°の位
相が異なる一定周期の交流をそれぞれ流すことによって
も合成磁界を垂直磁界回りに回転させることができる。
【0034】このようにして、溶解炉6内のCo−Sb
合金の溶湯60を、固定の垂直磁界HV と回転する水平
磁界HL とで励磁される。
【0035】回転磁場中での処理により、溶解炉内の溶
融合金のCoイオンの持つ磁性の影響をキャンセルする
ことが可能となり、Fe、Ni等によるCoへの一部置
換が可能となる。回転磁場による処理は、溶解炉でなく
て、溶解後のCoSb3 系化合物結晶化のための均質化
熱処理用の高温保持炉に適用することも可能であり、ま
た、焼結炉に適用してもよく、同様の効果が得られる。
【0036】さらに、本発明は、回転磁場内での溶解処
理及び/又は均質化熱処理による遷移金属置換CoSb
3 系化合物に、前記の放電プラズマ焼結法を適用するこ
ともできる。これによりCoとSbとを主成分にし、こ
れに遷移金属Feや希土類元素Laを添加して、例え
ば、LaCo0.97Fe0.03Sb3 の組成比になる様に調
製したCoSb3 系化合物の粉末を、放電プラズマ焼結
によって緻密焼結体にし、p型CoSb3 系熱電材料で
あって、且つ性能指数の高い熱電材料を得ることができ
るのである。
【0037】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、CoSb
3 系の化合物粉末を、放電プラズマ焼結法を用いて、結
晶粒成長を抑制しつつ緻密焼結することによって、高い
熱電性能を有しかつ熱伝導率の低い熱電材料を得ること
が可能となり、熱電素子の熱電変換効率を大幅に向上で
きる。
【0038】また、合金粉末の表面に酸化膜またはセラ
ミツクス層を形成し、これを特に、放電プラズマ焼結す
ることによって、粒界に酸化物を介在させて、さらに熱
伝導率の低減が可能となり、熱電素子の性能改善に寄与
する。
【0039】さらに、回転磁場中での溶解、均質化熱処
理、あるいは、焼結での処理により遷移金属や希土類金
属のCoSb3 系化合物の添加ないし置換を可能にし、
p型CoSb3 系熱電材料の形成を可能にし、特に、放
電プラズマ焼結を用いて、粒成長を抑制しつつ緻密焼結
することによって、さらに熱電素子の熱電変換効率を大
幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】放電プラズマ焼結装置の概念的な断面図。
【図2】本発明の実施例に係るCo0.97Pt0.03Sb3
焼結体のパワーファクタと温度の関係を示すグラフ。
【図3】本発明の実施例に係るCo0.97Pt0.03Sb3
焼結体の熱伝導率κと温度の関係を示すグラフ。
【図4】本発明の実施例に係るCo0.97Pt0.03Sb3
焼結体の無次元性能指数ZTと温度の関係を示すグラ
フ。
【図5】結晶粒界に断熱層を有する焼結体組織の模式的
断面図(A)と、表面にセラミック層を形成したCoS
3 系化合物粉末粒子の模式的断面図(B)。
【図6】溶解・凝固中の合金に回転磁場を与えるための
溶解炉回りのコイルの配置を概念的に示す図で、(A)
は側面図を、(B)は平面図を、それぞれ示す。
【符号の説明】
4 成形体 40 CoSb3 系化合物粉末 5 断熱層 50 セラミック層 6 溶解ルツボ 61 合金溶湯 7 水平磁場発生コイル 8 水平磁場発生コイル 9 垂直磁場発生磁石

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Co 及びSbを主成分とするCoSb3
    系熱電材料において、前記熱電材料が、CoSb3 系化
    合物の粉末を放電プラズマ焼結法により焼結して成る高
    密度焼結体であることを特徴とするCoSb3 系熱電材
    料。
  2. 【請求項2】 前記焼結体は、該CoSb3 系化合物の
    結晶粒径が100μm以下である請求項1記載のCoS
    3 系熱電材料。
  3. 【請求項3】 前記焼結体は、その相対密度が98%以
    上であることを特徴とする請求項1又は2記載のCoS
    3 系熱電材料。
  4. 【請求項4】 Co 及びSbを主成分とするCoSb3
    系熱電材料において、前記熱電材料が、CoSb3 系化
    合物の結晶の粒界の一部に断熱層を介在して成る高密度
    焼結体であることを特徴とするCoSb3 系熱電材料。
  5. 【請求項5】 前記熱電材料が、前記CoSb3 系化合
    物の表面酸化による酸化物膜によって被覆された該粉末
    より成る焼結体であって、前記断熱層が、焼結体中の該
    化合物の結晶粒界の一部に残存する該酸化物膜であるこ
    とを特徴とする請求項4記載のCoSb3 系熱電材料。
  6. 【請求項6】 前記熱電材料は、前記CoSb3 系化合
    物の表面がセラミック層によって被覆された該粉末を焼
    結して成る焼結体であって、前記断熱層が、該化合物の
    結晶粒界の一部に残存する該セラミック層であることを
    特徴とする請求項4記載のCoSb3 系熱電材料。
  7. 【請求項7】 前記熱電材料が、前記粉末を放電プラズ
    マ焼結法により焼結して成る高密度焼結体である請求項
    5又は6記載のCoSb3 系熱電材料。
  8. 【請求項8】 CoとSbと所要の遷移金属とを溶解し
    て後に均質化熱処理を行って結晶化したCoSb3 系化
    合物の粉末を焼結して成るCoSb3 系熱電材料であっ
    て、溶解及び/又は均質化熱処理が回転磁場中で行われ
    たことを特徴とするCoSb3 系熱電材料。
  9. 【請求項9】 前記遷移金属が、Mn、Cr、Fe若し
    くはNiである請求項8記載のCoSb3 系熱電材料。
  10. 【請求項10】 前記CoSb3 の焼結体には、La、
    Ce等の希土類元素を含有することを特徴とする請求項
    8又は9記載のCoSb3 系熱電材料。
  11. 【請求項11】 Co 及びSbを主成分とするCoSb
    3 系熱電材料の製造方法において、CoSb3 系化合物
    の粉末を放電プラズマ焼結法により焼結して高密度焼結
    体とする工程を含むことを特徴とするCoSb3 系熱電
    材料の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記粉末の粒径が100μm以下で、
    且つ前記焼結体は、その結晶粒径が100μm以下で、
    その相対密度が98%以上であることを特徴とする請求
    項11記載のCoSb3 系熱電材料の製造方法。
  13. 【請求項13】 Co 及びSbを主成分とするCoSb
    3 系熱電材料の製造方法において、CoSb3 系化合物
    の粉末を表面酸化による酸化物膜によって被覆する工程
    と、該粉末を成形し焼結して高密度焼結体とする工程
    と、を含むことを特徴とするCoSb3 系熱電材料の製
    造方法。
  14. 【請求項14】 Co 及びSbを主成分とするCoSb
    3 系熱電材料の製造方法において、前記CoSb3 系化
    合物の粉末の表面にセラミック層を被覆する工程と、該
    化合物の粉末を成形し焼結して高密度焼結体とする工程
    と、から成ることを特徴とするCoSb3 系熱電材料の
    製造方法。
  15. 【請求項15】 前記粉末が、放電プラズマ焼結法によ
    り焼結されることを特徴とする請求項13又は14記載
    のCoSb3 系熱電材料の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記製造方法には、前記の焼結する工
    程の前に、CoとSbと所要の他の金属との所定量を溶
    解して後に均質化熱処理をしてCoSb3 系化合物を結
    晶化し、CoSb3 系化合物の粉末に形成する工程を含
    むことを特徴とする請求項11ないし14いずれかに記
    載のCoSb3 系熱電材料の製造方法。
  17. 【請求項17】 CoとSbと所要の遷移金属とを溶解
    して後に均質化熱処理を行って結晶化したCoSb3
    化合物を形成する工程と、該CoSb3 系化合物の粉末
    を焼結して高密度焼結体とする工程と、を含み、前記の
    CoSb3 系化合物を形成する工程は、前記の溶解及び
    /又は均質化熱処理を回転磁場中で行うことを特徴とす
    るCoSb3 系熱電材料の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記化合物の粉末を焼結して高密度焼
    結体とする方法が、放電プラズマ焼結法であることを特
    徴とする請求項17記載のCoSb3 系熱電材料の製造
    方法。
  19. 【請求項19】 前記焼結体には、La、Ce等の希土
    類元素が含まれる請求項16〜18いずれかに記載のC
    oSb3 系熱電材料の製造方法。
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