JPH11149183A - トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤 - Google Patents

トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤

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JPH11149183A
JPH11149183A JP31471097A JP31471097A JPH11149183A JP H11149183 A JPH11149183 A JP H11149183A JP 31471097 A JP31471097 A JP 31471097A JP 31471097 A JP31471097 A JP 31471097A JP H11149183 A JPH11149183 A JP H11149183A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、フルカラーの複写機やプリンター
等を使用してフルカラー画像を形成した時に、鮮明で十
分な色再現性、発色性が得られる静電荷像現像用トナー
母粒子、及び該トナー母粒子を用いて成るトナー並びに
現像剤を提供することを目的とする。 【解決手段】 C.I.ピグメントレッド177とジア
ントラキノン骨格を有する少なくとも1種類の化合物と
の混合物である顔料組成物(A)、水溶性の無機塩
(B)、水溶性の溶剤(C)の少なくとも3つの成分か
ら成る混合物を機械的に混練し、その後水溶性の無機塩
(B)及び水溶性の溶剤(C)を水洗除去して,乾燥時
の顔料粒子を比表面積値が50〜150m2 /gとなる
ように微細に整粒した処理顔料(D)を含むことを特徴
とする静電荷像現像用トナー母粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真、静電記
録、静電印刷等に於ける静電潜像を現像する時に使用さ
れる静電荷像現像用トナー母粒子、及び該トナー母粒子
を使用して形成されたトナー並びに現像剤に関する。更
に詳しくは画像を形成した時に、鮮明で十分な色再現
性、発色性が得られるC.I.ピグメントレッド177
を含有する顔料組成物を使用して形成された静電荷像現
像用トナー母粒子、及び該トナー母粒子を使用して形成
されたトナー並びに現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、複写機及びプリンター等に於いて
フルカラー画像への展開が急速に進みつつあり、その実
用化も大きくなされている。しかし写真や印刷物等と比
較すると、現在実用化されているフルカラー電子写真画
像は、必ずしも満足し得る画質まで到達しているとは言
い難い。また近年、コンピュータやハイビジョン等の進
歩発展により、更に高精細なフルカラー画像を形成する
方法が強く要望されている。この為に、フルカラー電子
写真画像を更に高品質化することが強く求められてい
る。
【0003】電子写真法は、一般に静電潜像をトナーを
用いて現像する。その方法には大きく分類して、トナー
をキャリアと呼ばれる媒体に少量分散させた二成分系現
像剤を用いる方法と、キャリアを用いない一成分系現像
剤を用いる方法がある。フルカラーの電子写真の場合、
キャリアとトナーを混合攪拌して用いる二成分系現像剤
がしばしば使用される。
【0004】フルカラー電子写真法によるカラー画像形
成は、一般に3原色であるマゼンタ、シアン、イエロー
の3色、好ましくは墨入れ用としてブラックの4色のカ
ラートナーを用いて全ての色の再現を行うものである。
その方法は例えば、先ず原稿からの光をアナログ又はデ
ジタル的に色分解し、感光体の光導電層に導き、1色目
の静電潜像を形成する。続いて現像、転写工程を経てト
ナーは、紙等の被転写材上に保持される。更に2色目以
降についても前述の工程を順次複数回行い、同一被転写
材上に複数色のトナーが重ね合わせられ、一回の定着に
よって最終のフルカラー画像が得られる。
【0005】C.I.ピグメントレッド177(4,
4’−ジアミノ−1,1’−ジアントラキノニル)は鮮
明な色調と高い着色力を有する、実用上有用な赤色顔料
である。しかし、これをそのまま静電荷像現像用トナー
用の着色剤として使用しても、目的とする鮮明で十分な
色再現性、発色性が得られない。
【0006】また、異種の顔料を混合して使用する場合
には、凝集による色別れ等の現象により、画像を形成し
た時に色むらや著しい着色力の低下となって現れること
がある。更に所定の樹脂等に添加して予備混合し、エク
ストルーダー等により溶融混練して分散させる時に、エ
ネルギー的に不安定なC.I.ピグメントレッド177
の結晶粒子がその大きさ、形態を変化させて安定状態に
移行する為に、画像に於いて著しい色相の変化、着色力
の減少、粗大粒子の発生等により商品価値を損なうこと
がある。
【0007】此れ等の問題を解決する為に、銅フタロシ
アニン顔料やキナクリドン顔料を中心として、数多くの
提案がされている。その内容を技術的手法から分類する
と大きく次のような2つに分けられる。第1の方法は、
USP3370971号公報及びUSP2965511
号公報に見られるように、酸化ケイ素、酸化アルミニウ
ム及び第3級ブチル安息香酸のように無色の化合物で、
顔料粒子の表面を被覆するものである。第2の方法は、
特公昭41−2466号公報及びUSP2761865
公報に代表されるように、有機顔料を母体骨格とし、側
鎖にスルホン基、スルホンアミド基、アミノメチル基、
フタルイミドメチル基等の置換基を導入して得られる化
合物を混合する方法である。
【0008】第2の方法は第1の方法と比較して非水性
ビヒクル中での顔料の非集合性、結晶安定性等に関する
効果が著しく大きく、また顔料粗製物の製造の容易さか
ら判断しても非常に有利な方法である。特開昭63−1
72772公報には、特にC.I.ピグメントレッド1
77のスルホン化誘導体を混合する第2の方法が提案さ
れているが、この方法により得られた顔料組成物は品質
的に十分に満足出来るものではない。
【0009】フルカラー複写機やフルカラープリンター
等を使用して、オーバー・ヘッド・プロジェクター(以
下、OHPと省略する。)用シートの様な透明基材上に
フルカラー画像を形成することも増加して来た今日、フ
ルカラーの画像形成に供されるトナーには、従来の最も
一般的な黒色のトナーの場合と同様に、種々の特性、例
えば安定した帯電性や良好な流動性が求められる他に、
透明性、鮮明性、色再現性等が更に要求される。
【0010】即ち、フルカラー画像は、上記したように
転写材上に複数色のトナーが重ね合わさられることによ
って得られる為に、個々のトナーの光透過性が不足する
と、色再現性が悪化し、鮮明な画像を得ることが困難と
なる。特にOHP用シートの様な透明基材上にフルカラ
ー画像を形成した時にこの現象は著しく、良好な透明画
像は得難い。
【0011】その対策として顔料の分散の程度を上げ
る、即ちトナー中の顔料粒径をより小さくすることが考
えられる。一般に顔料の粒子径を小さくして分散度を上
げていくと顔料分散体の透明性が向上する。しかし、サ
ンドミル、3本ロールミル、ボールミル、エクストルー
ダー等の通常の分散機は、主に顔料の二次粒子(一次粒
子が弱く凝集している)を壊して一次粒子にするだけで
あり、此れ等の通常の分散機では、顔料をより微細化す
ることは困難である。高速のサンドミル等を用いること
によって、顔料の種類によっては更に顔料を微細化する
ことも可能ではあるが、非常に多大なエネルギーを必要
とする。
【0012】一次粒子を細かくする手段として、顔料を
濃硫酸、ポリリン酸等の強酸に溶解したものを冷水に投
入して、顔料を微細粒子として析出させる方法が知られ
ている。この方法では顔料の強酸に対する溶解性や安定
性の点で、用い得る顔料が著しく限定される。又、この
方法で微細化した顔料は乾燥すると強い二次凝集を起こ
す為に、乾燥したものを一次粒子まで再分散することは
非常に困難である。
【0013】顔料を微細化する他の方法として、顔料と
固形樹脂を加熱しながら2本ロールやバンバリーミキサ
ー等で強力に練り込む方法も知られている。しかし,顔
料は一般に高温下では結晶成長する為に、かかる方法で
は機械的な破砕力と結晶成長が平衡状態になった時に終
点となり、顔料の微細化には限界がある。
【0014】更に顔料の一次粒子を細かくする方法とし
て、顔料と食塩等の水溶性無機塩の混合物を少量の水溶
性の溶剤で湿潤したものを、ニーダー等で強く練り込ん
だ後、無機塩と溶剤を水洗除去、乾燥して一次粒子の細
かい顔料を得る方法がある。この方法は、一般には食塩
を磨砕剤として用い、粗製銅フタロシアニンを水溶性の
有機溶剤の共存下で機械的に磨砕するβ型銅フタロシア
ニンの顔料化方法として知られている。この場合、水溶
性の有機溶剤は、粘結剤としての働きとβ型結晶がニー
ダーによる機械的剪断力によるα型結晶に結晶転移する
のを防ぐ為に用いられる。一般的には、この方法はソル
ベントソルトミリングと呼ばれ、単に磨砕剤を用いない
で機械的に微細化する方法(ドライミリングと呼ばれて
いる)とは区別されている。又、広義ではソルベントを
用いないソルトミリングもドライミングと呼ばれる。し
かし、この方法では乾燥の際に顔料が強い二次凝集を起
こし易く、顔料粒径が大きくなってしまう問題がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来の方法の問題点を解決し、フルカラーの複写機やプリ
ンター等を使用してフルカラー画像を形成した時に、鮮
明で十分な色再現性、発色性が得られる静電荷像現像用
トナー母粒子、及び該トナー母粒子を用いて成るトナー
並びに現像剤を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、下記式
[1]
【0017】
【化5】 で表される、C.I.ピグメントレッド177と下記一
般式[2]
【0018】一般式[2]
【化6】 〔式中、Xは置換基を有してもよいフタルイミドメチル
基、下記一般式[3]
【0019】一般式[3]
【化7】 (式中、Yは−CH2 NH−、−SO2 NH−、−CH
2 NHCOCH2 NH−、−CONH−、−SO2 −、
−CH2 NHCOCH2 −、−CO−から選ばれる2価
の結合基を表し、R5 、R6 はそれぞれ独立に水素原
子、置換基を有してもよい炭素数1〜18のアルキル
基、置換基を有してもよいアリール基、R5 とR6 とで
窒素原子又は酸素原子を含んでもよく、炭素数5以下の
アルキル基を置換基として有してもよい5員または6員
のヘテロ環を表す。mは0〜6の整数を表す。)、又は
下記一般式[4]
【0020】一般式[4]
【化8】 (式中、Zは−NH−、−CH2 NH−、−SO2 NH
−、−CH2 NHCOCH2 NH−、−CONH−、−
SO2 −、−CH2 NHCOCH2 −、−CO−から選
ばれる2価の結合基を表す。R1 、R2 はそれぞれ独立
に水酸基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基
を有してもよいフタルイミドメチルアミノ基、−NH
(CH2 n NR3 4 を表す。R3 、R4 は水素原
子、置換基を有してもよいアルキル基を、nは1〜6の
整数を表す。)で示される基を表す。pは1〜8の整数
を表す。〕
【0021】で示される少なくとも1種類の化合物との
混合物である顔料組成物(A)、水溶性の無機塩
(B)、水溶性の溶剤(C)の少なくとも3つの成分か
ら成る混合物を機械的に混練し、その後水溶性の無機塩
(B)及び水溶性の溶剤(C)を水洗除去して,乾燥時
の顔料粒子を比表面積値が50〜150m2 /gとなる
ように微細に整粒した処理顔料(D)を含むことを特徴
とする静電荷像現像用トナー母粒子である。
【0022】第2の発明は、一般式[2]中のXが一般
式[4]で表される化合物であることを特徴とする第1
の発明記載の静電荷像現像用トナー母粒子である。
【0023】第3の発明は、水溶性の無機塩(B)を、
顔料組成物(A)に対し、重量比で1〜20倍使用する
ことを特徴とする第1又は第2の発明記載の静電荷像現
像用トナー母粒子である。
【0024】第4の発明は、水溶性の溶剤(C)を、顔
料組成物(A)に対し、重量比で0.1〜10倍使用す
ることを特徴とする第1乃至第3の発明何れか記載の静
電荷像現像用トナー母粒子である。
【0025】第5の発明は、第1乃至第4の発明何れか
記載の静電荷像現像用トナー母粒子と、外添剤とを混合
して成ることを特徴とする静電荷像現像用トナーであ
る。
【0026】第6の発明は、第5の発明記載の静電荷像
現像用トナーと、キャリアとを混合して成ることを特徴
とする現像剤である。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明に於いてC.I.ピグメン
トレッド177と混合して用いられる、一般式[2]で
示される化合物の製造は、母体ジアントラキノン骨格へ
置換基Xを導入することにより行う。母体のジアントラ
キノン骨格への置換基Xの導入方法としては、置換基を
有してもよいフタルイミドメチル基は、硫酸中、ヒドロ
キシメチルフタルイミドと反応させる公知の方法により
導入することが出来る。一般式[3]の構造を有する置
換基の導入方法としては、母体のジアントラキノン骨格
に公知の方法により−SO2 Cl、−COCl、−CH
2 Cl、−CH 2 NHCOCH2 Cl等の置換基を導入
し、H2 N(CH2 m NR5 6 またはHNR5 6
の構造を有するアミン成分と反応させることにより導入
することが出来る。
【0028】一般式[4]の構造を有する置換基の導入
方法としては、母体のジアントキノン骨格が有するアミ
ノ基と塩化シアヌルとの反応または母体のジアントラキ
ノン骨格に公知の方法により導入したハロゲン基、クロ
ロメチル基等とメラミンとの反応によりまずトリアジン
骨格を導入し、次いでこのトリアジン骨格に残ったハロ
ゲン基、水酸基、アミノ基等をHN(CH2 n NR3
4 (nは1〜6の整数を表す)の構造を有するアミン
成分、アルコール類、ヒドロキシメチルフタルイミドと
反応させることにより導入することが出来る。
【0029】本発明に於いてC.I.ピグメントレッド
177と混合して用いられる、一般式[2]で示される
化合物中の、置換基を有してもよいフタルイミドメチル
基の例としては、フタルイミドメチル基、クロロフタル
イミドメチル基、ジクロロフタルイミドメチル基、メチ
ルフタルイミドメチル基、ジメチルフタルイミドメチル
基、ニトロフタルイミドメチル基、t−ブチルフタルイ
ミドメチル基等が挙げられるが、此れ等に限定されるも
のではない。
【0030】また同じく一般式[2]中の、−NR3
4 又は−NR5 6 で表されるアミン残基の例として
は、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ
基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、イソ
ブチルアミノ基、n−アミルアミノ基、イソアミルアミ
ノ基、n−ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、2−
エチルヘキシルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルア
ミノ基、ステアリルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエ
チルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジイソブチル
アミノ基、N−メチルヘキシルアミノ基、ジ−n−オク
チルアミノ基、ジ−(2−エチルヘキシル)アミノ基、
2−ヒドロキシメチルアミノエタノール基、ジエタノー
ルアミノ基、3−アミノプロパノール基、2−アミノプ
ロパノール基、3−メトキシプロピルアミノ基、3−エ
トキシプロピルアミノ基、3−プロポキシプロピルアミ
ノ基、3−ブトキシプロピルアミノ基、3−(2−エチ
ルヘキシロキシ)プロピルアミノ基、3−ラウリロキシ
プロピルアミノ基、ピペリジニル基、2−ピペコリニル
基、4−ピペコリニル基、2,4−ルペチジニル基、
2,6−ルペチジニル基、3−ピペリジンメタノール
基、N−アミノピペリジニル基、N−アミノ−4−ピペ
コリニル基、2−ピペリジンエタノール基、ピロリジニ
ル基、3−ヒドロキシピロリジニル基、N−メチルホモ
ピペリジニル基、N−メチルピペラジニル基、1−アミ
ノ−4−シクロペンチルピペラジニル基、1−シクロペ
ンチルピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホニ
リル基、ジメチルアミノエチルアミノ基、エチルアミノ
エチルアミノ基、ジエチルアミノエチルアミノ基、メチ
ルアミノプロピルアミノ基、ジメチルアミノプロピルア
ミノ基、ジエチルアミノプロピルアミノ基、ジブチルア
ミノプロピルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノプ
ロピルアミノ基、ラウリルアミノプロピルアミノ基、ジ
エタノールアミノプロピルアミノ基、N−アミノエチル
ピペリジニル基、N−アミノエチル−4−ピペコリニル
基、N−アミノエチルモルホニリル基、N−アミノプロ
ピルピペリジニル基、N−アミノプロピル−2−ピペコ
ニル基、N−アミノプロピルモルホニリル基等が挙げる
ことが可能だが、此れ等に限定されるものではない。
【0031】此れ等側鎖に導入されたアミン残基は、ビ
ヒクルに含まれる樹脂成分のカルボキシル基等の部分と
強い親和性を示し、多種用途に於いてC.I.ピグメン
トレッド177の分散性の向上に寄与するものと考えら
れる。
【0032】本発明において一般式[2]で示される化
合物の、C.I.ピグメントレッド177に対する配合
比は、C.I.ピグメントレッド177を100重量部
に対して0.3〜30重量部が好ましい。0.3重量部
より少ないと効果が少なくなり、また30重量部より多
く用いても用いた分の効果は得られず、顔料組成物とし
て使用後の着色物の諸耐性を劣化させる恐れがある。最
も好ましいのは0.5〜20重量部である。
【0033】本発明では、顔料組成物(A)の一次粒子
を機械的に細かくする為に、水溶性の無機塩(B)を破
砕助剤とし、水溶性の溶剤(C)を湿潤剤として少量添
加し、ニーダー等で強く練り込んだ後、水中に投入し、
水溶性の無機塩(B)、水溶性の溶剤(C)を溶解させ
スラリー状とし、次にこのスラリーの濾過、水洗を繰り
返して水溶性の無機塩(B)及び水溶性の溶剤(C)を
除去することによって、微細化された処理顔料(D)を
得る。これを静電荷像現像用トナーの着色剤として使用
する。
【0034】静電荷像現像用トナーの着色剤としては、
用いる顔料の一次粒子径が微細であるほど好ましい。本
発明に於いて、水溶性の無機塩(B)及び水溶性の溶剤
(C)の存在下で機械的に混練し、乾燥時の顔料粒子を
比表面積値が50〜150m 2 /gとなるように整粒し
た処理顔料(D)を使用する。
【0035】本発明に於いて用いられる水溶性の無機塩
(B)としては、食塩、塩化カリウム、ボウ硝等が挙げ
ることは可能だが、此れ等に限定されるものではない。
水溶性の無機塩(B)を、顔料組成物(A)に対し、重
量比で1〜20倍使用するのが好ましく、3〜10倍用
いるのが最も好ましい。
【0036】本発明に於いて用いられる水溶性の溶剤
(C)としては、2−(メトキシメトキシ)エタノー
ル、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキ
シ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、
ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエ
チレングリコール、トリエチレングルコールモノメチル
エーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ
−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノー
ル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコール
モノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチ
ルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール等を挙
げることが出来る。これら水溶性の溶剤(C)は特に限
定されないが、混練時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易
い状態になる為に、安全性の点から高沸点の溶剤が好ま
しい。また、水溶性の溶剤(C)は、顔料組成物(A)
に対し、重量比で0.1〜10倍使用するのが好まし
く、0.5〜5倍用いるのが最も好ましい。
【0037】本発明に於いて、機械的に混練する際に必
要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種
類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹
脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることが出
来る。用いられる樹脂は好ましくは室温で固体で、水不
溶性であり、且つ混練の際に溶剤を用いる場合には、そ
の溶剤に一部可溶であることが更に好ましい。
【0038】本発明のトナー母粒子は、常法に従い、得
ることが出来る。通常の場合、前述の顔料(D)、バイ
ンダー樹脂、必要に応じてその他荷電制御剤や添加剤等
を加えて、ヘンシェルミキサー等で予備勘合を行う。そ
の後で、エクストルーダー等により希釈、溶融混練を行
う。
【0039】次いで冷却後にハンマーミル等で粗粉砕
し、ジェットミル等で微粉砕する。その後に風力分級機
等で分級し、平均粒径5〜20μm程度の所定の粒度分
布を有する分級品、即ちトナー母粒子を得る。
【0040】本発明のトナー母粒子のバインダー樹脂と
しては、公知のものを含めて広く使用可能である。画像
の透明性を考慮して、無色透明の樹脂の方がより好適で
ある。例えばポリスチレン、スチレン─アクリル酸エス
テル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化樹
脂、スチレン─酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイ
ン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステ
ル樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレ
ン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン
樹脂、ロジン・エステル、ロジン等を挙げることが出来
る。何れの樹脂もその製造方法等は特に制約されるもの
ではない。
【0041】本発明のトナー母粒子には、荷電制御剤を
配合することも好ましい。荷電制御剤としては公知のも
のが全て使用出来るが、その際に色調に影響を与えない
無色又は淡色の荷電制御剤が好ましい。例えばアルキル
置換サリチル酸の金属錯体(例えばジターシャリーブチ
ルサリチル酸のクロム錯体、アルミニウム錯体、又は亜
鉛錯体等)のような有機金属錯体等を挙げることが出来
る。
【0042】本発明のトナー母粒子には、流動性向上
剤、クリーニング助剤等として、種々の粒子を外添剤と
して配合することも好ましい。外添剤としては公知のも
のが全て使用出来る。例えば0.01〜0.5μmのシ
リカ、アルミナ、酸化チタン等の金属酸化物、炭化珪
素、炭化タングステン等の研磨剤、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩等の滑剤、
その他1〜50μmのポリテトラフロロエチレン、ポリ
ビニリデンフロライド、ポリメチルメタアクリレート、
ポリスチレン、シリコーン等の微粉末を添加することが
好適である。此れ等の混合物、更に此れ等の微粉末を各
種表面処理した外添剤を添加することも好適である。
【0043】本発明の現像剤は、上記トナーとキャリア
とを混合して成るものであり、従来の公知の方法で得る
ことが可能で、特に制約されるものではない。本発明に
係わる現像剤に用いられるキャリアとしては、既知のキ
ャリアは全て使用可能である。一般に二成分現像剤を構
成するキャリアは導電性キャリアと絶縁性キャリアに大
別される。導電性キャリアとしては、通常、酸化又は未
酸化の鉄粉が用いられる。絶縁性キャリアとしては、一
般に強磁性体よりなるキャリアコア材粒子表面を絶縁性
樹脂により均一に被覆したキャリアが代表的である。キ
ャリアをコア材としては、例えば酸化鉄(マグネタイ
ト)、還元鉄、銅、フェライト、ニッケル、コバルト等
や此れ等と亜鉛、アルミニウム等の合金等の粒子を挙げ
ることが可能である。被覆樹脂としてはアクリル樹脂、
エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリア
セタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネイト樹
脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース樹
脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、アミノ樹脂等の
公知の材料の何れのものでもよい。キャリアの粒径とし
ては20〜200μm程度のものが好ましい。又、一般
的に現像剤中にはトナーを1〜30%含有することが好
ましい。
【0044】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を
更に詳細に説明する。但し、これによって本発明の実施
の形態が何等限定されるものではない。実施例及び比較
例中、部及び%は、重量部及び重量%をそれぞれ表す。
【0045】実施例1 粗製のC.I.ピグメントレッド177:100部、式
[5]で示される化合物5.3部、粉砕した食塩600
部及びジエチレングリコール180部をステンレス製1
ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で
3時間混練した。次にこの混合物を温水4000部に投
入し、約80℃で2時間加熱攪拌した。この時に混合物
は温水中で、十分に分散されたスラリー状になってい
た。混合物をろ過し、70℃の温水約12000部で十
分に洗浄して、食塩及びジエチレングリコールを除去
し、85℃の乾燥機中で乾燥して顔料組成物(a)95
部を得た。得られた顔料組成物について、比表面積を窒
素ガスを吸着させ、BETの1点法に従って測定した結
果、90m2 /gであった。
【0046】式[5]
【化9】
【0047】下記の原料をヘンシェルミキサーで予備混
合し、エクストルーダーで溶融混練を行う。 顔料組成物(a) 3.0部 不飽和ポリエステル樹脂 100.0部 負帯電荷電制御剤 3.0部 冷却後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、更にジェット
ミルにて微粉砕した後、風力分級機で平均粒径10.0
μmのトナー母粒子を得る。上記トナー母粒子100.
0部に酸化チタン微粉末を0.4部添加し、ヘンシェル
ミキサーで混合してトナーを得る。
【0048】得られたトナーをフェライト100部に対
し6部加え、ボールミル混合機で混合して現像剤を得
た。この現像剤を用い市販のフルカラー複写機(CLC
350、キャノン製)により画像を得たところ、鮮明で
十分な色再現性、発色性が得られた。又、得られたトナ
ーを熱プレスにより溶融させ、ガラス板上に均一な薄層
を作り、光学顕微鏡により顔料の分散状態を観察したと
ころ、凝集の無い非常に良好な分散状態になっているこ
とが確認出来た。
【0049】実施例2 粗製のC.I.ピグメントレッド177:100部、式
[6]で示される化合物11.1部、粉砕した食塩40
0部及びポリエチレングリコール150部をステンレス
製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、100
℃で3時間混練した。次にこの混合物を温水4000部
に投入し、約80℃で2時間加熱攪拌した。この時に混
合物は温水中で、十分に分散されたスラリー状になって
いた。混合物を濾過し、70℃の温水約12000部で
十分に洗浄して、食塩及びポリエチレングリコールを除
去し、85℃の乾燥機中で乾燥して顔料組成物(b)1
05部を得た。得られた顔料組成物について、比表面積
を窒素ガスを吸着させ、BETの1点法に従って測定し
た結果、95m2 /gであった。
【0050】式[6]
【化10】
【0051】下記の原料をヘンシェルミキサーで予備混
合し、エクストルーダーで溶融混練を行う。 顔料組成物(b) 3.0部 不飽和ポリエステル樹脂 100.0部 負帯電荷電制御剤 3.0部 以下、実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を形成し
評価した結果、実施例1と同様であった。
【0052】実施例3 粗製のC.I.ピグメントレッド177:100部、式
[7]で示される化合物13.5部、粉砕した食塩10
00部及びジエチレングリコール200部をステンレス
製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120
℃で3時間混練した。次にこの混合物を温水4000部
に投入し、約80℃で2時間加熱攪拌した。この時に混
合物は温水中で、十分に分散されたスラリー状になって
いた。混合物を濾過し、70℃の温水約12000部で
十分に洗浄して、食塩及びジエチレングリコールを除去
し、85℃の乾燥機中で乾燥して顔料組成物(c)90
部を得た。得られた顔料組成物について、比表面積を窒
素ガスを吸着させ、BETの1点法に従って測定した結
果、105m2 /gであった。
【0053】式[7]
【化11】
【0054】下記の原料をヘンシェルミキサーで予備混
合し、エクストルーダーで溶融混練を行う。 顔料組成物(c) 3.0部 不飽和ポリエステル樹脂 100.0部 負帯電荷電制御剤 3.0部 以下、実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を形成し
評価した結果、実施例1と同様であった。
【0055】実施例4 粗製のC.I.ピグメントレッド177:100部、式
[8]で示される化合物1.0部、粉砕した食塩700
部及びジエチレングリコール200部をステンレス製1
ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で4
時間混練した。次にこの混合物を温水4000部に投入
し、約80℃で2時間加熱攪拌した。この時に混合物は
温水中で、十分に分散されたスラリー状になっていた。
混合物を濾過し、70℃の温水約12000部で十分に
洗浄して、食塩及びジエチレングリコールを除去し、8
5℃の乾燥機中で乾燥して顔料組成物(d)97部を得
た。得られた顔料組成物について、比表面積を窒素ガス
を吸着させ、BETの1点法に従って測定した結果、1
00m2 /gであった。
【0056】式[8]
【化12】
【0057】下記の原料をヘンシェルミキサーで予備混
合し、エクストルーダーで溶融混練を行う。 顔料組成物(d) 3.0部 不飽和ポリエステル樹脂 100.0部 負帯電荷電制御剤 3.0部 以下、実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を形成し
評価した結果、実施例1と同様であった。
【0058】実施例5 粗製のC.I.ピグメントレッド177:100部、式
[9]で示される化合物1.5部、粉砕した食塩400
部及びジエチレングリコール250部をステンレス製1
ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、90℃で4
時間混練した。次にこの混合物を温水4000部に投入
し、約80℃で2時間加熱攪拌した。この時に混合物は
温水中で、十分に分散されたスラリー状になっていた。
混合物をろ過し、70℃の温水約12000部で十分に
洗浄して、食塩及びジエチレングリコールを除去し、8
5℃の乾燥機中で乾燥して顔料組成物(e)95部を得
た。得られた顔料組成物について、比表面積を窒素ガス
を吸着させ、BETの1点法に従って測定した結果、8
0m2 /gであった。
【0059】式[9]
【化13】
【0060】下記の原料をヘンシェルミキサーで予備混
合し、エクストルーダーで溶融混練を行う。 顔料組成物(e) 3.0部 不飽和ポリエステル樹脂 100.0部 負帯電荷電制御剤 3.0部 以下、実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を形成し
評価した結果、実施例1と同様であった。
【0061】
【発明の効果】本発明により鮮明で十分な色再現性、発
色性の画像が得られた。又、光学顕微鏡によるトナー中
の顔料の分散状態を観察したところ、凝集の無い非常に
良好な分散状態になっていることが確認出来た。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下式[1] 【化1】 で表される、C.I.ピグメントレッド177と下記一
    般式[2] 一般式[2] 【化2】 〔式中、Xは置換基を有してもよいフタルイミドメチル
    基、下記一般式[3] 一般式[3] 【化3】 (式中、Yは−CH2 NH−、−SO2 NH−、−CH
    2 NHCOCH2 NH−、−CONH−、−SO2 −、
    −CH2 NHCOCH2 −、−CO−から選ばれる2価
    の結合基を表し、R5 、R6 はそれぞれ独立に水素原
    子、置換基を有してもよい炭素数1〜18のアルキル
    基、置換基を有してもよいアリール基、R5 とR6 とで
    窒素原子又は酸素原子を含んでもよく、炭素数5以下の
    アルキル基を置換基として有してもよい5員又は6員の
    ヘテロ環を表す。mは0〜6の整数を表す。)、又は下
    記一般式[4] 一般式[4] 【化4】 (式中、Zは−NH−、−CH2 NH−、−SO2 NH
    −、−CH2 NHCOCH2 NH−、−CONH−、−
    SO2 −、−CH2 NHCOCH2 −、−CO−から選
    ばれる2価の結合基を表す。R1 、R2 はそれぞれ独立
    に水酸基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基
    を有してもよいフタルイミドメチルアミノ基、−NH
    (CH2 n NR3 4 を表す。R3 、R4 は水素原
    子、置換基を有してもよいアルキル基を、nは1〜6の
    整数を表す。)で示される基を表す。pは1〜8の整数
    を表す。〕で示される少なくとも1種類の化合物との混
    合物である顔料組成物(A)、水溶性の無機塩(B)、
    水溶性の溶剤(C)の少なくとも3つの成分から成る混
    合物を機械的に混練し、その後(B)及び(C)を水洗
    除去して,乾燥時の顔料粒子を比表面積値が50〜15
    0m2 /gとなるように微細に整粒した処理顔料(D)
    を含むことを特徴とする静電荷像現像用トナー母粒子。
  2. 【請求項2】 一般式[2]中のXが一般式[4]で表
    される化合物であることを特徴とする請求項1記載の静
    電荷像現像用トナー母粒子。
  3. 【請求項3】 水溶性の無機塩(B)を、顔料組成物
    (A)に対し、重量比で1〜20倍使用することを特徴
    とする請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナー母粒
    子。
  4. 【請求項4】 水溶性の溶剤(C)を、顔料組成物
    (A)に対し、重量比で0.1〜10倍使用することを
    特徴とする請求項1乃至3何れか記載の静電荷像現像用
    トナー母粒子。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4何れか記載の静電荷像現
    像用トナー母粒子と、外添剤とを混合して成ることを特
    徴とする静電荷像現像用トナー。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の静電荷像現像用トナー
    と、キャリアとを混合して成ることを特徴とする現像
    剤。
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