JP3622463B2 - トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電潜像を現像する時に使用される静電荷像現像用イエロートナー母粒子、及び該イエロートナー母粒子を使用して形成されたイエロートナー並びにイエロー現像剤に関する。更に詳しくはマゼンタ、シアン、及び黒色トナー等と共に用いて画像を形成した時に、鮮明で十分な色再現性、発色性が得られる新規のエピンドリジオン顔料を含む静電荷像現像用イエロートナー母粒子、及び該イエロートナー母粒子を使用して形成されたイエロートナー並びにイエロー現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機及びプリンター等に於いてフルカラー画像への展開が急速に進みつつあり、その実用化も大きくなされている。しかし写真や印刷物等と比較すると、現在実用化されているフルカラー電子写真画像は、必ずしも満足し得る画質まで到達しているとは言い難い。また近年、コンピュータやハイビジョン等に進歩発展により、更に高精細なフルカラー画像を形成する方法が強く要望されている。この為に、フルカラー電子写真画像を更に高品質化することが強く求められている。
【0003】
電子写真法は、一般に静電潜像をトナーを用いて現像する。その方法には大きく分類して、トナーをキャリアと呼ばれる媒体に少量分散させた二成分系現像剤を用いる方法と、キャリアを用いない一成分系現像剤を用いる方法がある。フルカラーの電子写真の場合、キャリアとトナーを混合攪拌して用いる二成分系現像剤がしばしば使用される。
【0004】
フルカラー電子写真法によるカラー画像形成は、一般に3原色であるイエロー、マゼンタ、シアンの3色、好ましくは墨入れ用としてブラックの4色のカラートナーを用いて全ての色の再現を行うものである。その方法は例えば、先ず原稿からの光をアナログ又はデジタル的に色分解し、感光体の光導電層に導き、1色目の静電潜像を形成する。続いて現像、転写工程を経てトナーは、紙等の被転写材上に保持される。更に2色目以降についても前述の工程を順次複数回行い、同一被転写材上に複数色のトナーが重ね合わせられ、一回の定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
【0005】
フルカラー複写機やフルカラープリンター等を使用して、オーバー・ヘッド・プロジェクター(以下、OHPと省略する。)用シートのような透明基材上にフルカラー画像を形成することも増加して来た今日、フルカラーの画像形成に供されるトナーには、従来の最も一般的な黒色トナーの場合と同様に、種々の特性、例えば安定した帯電性や良好な流動性が求められる他に、透明性、鮮明性、色再現性等が更に要求される。
【0006】
当初、通常のインキや塗料に使用される顔料をそのまま、フルカラー複写機やフルカラープリンターで使用されるフルカラートナー用の着色剤として使用して来た。しかし、特に透明性や鮮明性で十分満足し得る特性の顔料が得られなかった。通常のインキや塗料に使用される顔料は、トナー用に使用される顔料と異なり透明性や鮮明性はあまり要求されない。市場の強い要望も在り、フルカラートナー用の着色剤として、画像を形成した時に透明性や鮮明性が得易い顔料を新規に形成する必要があった。
【0007】
有機顔料の中でも縮合多環系と呼ばれる一群の顔料は、耐熱性、耐光性及び耐溶剤性等の諸耐性に優れていることから高級顔料とも呼ばれ、これまでに種々の顔料が開発されている。こうした中で、比較的早期に開発された代表的な顔料としては、アントラキノン、ペリレン、ペリノン等が知られている。次いでジオキサジン、キナクリドン、イソインドリノン等が開発され、近年ではキノフタロン、メチン系顔料等の開発が行われてきた。
【0008】
これらの内で、イソインドリノン及びキノフタロンは特に黄色乃至橙色系の顔料として開発されたものである。イソインドリノン系顔料は、J.Chem.Soc.,1941,625に見られる様に1941年に最初の報告がある。その後、B.P.833,548、J.Paint Technol.Official Digest,37,1071 等に見られる様に1960年代に顔料として用いられる様になった。特に耐候性、耐溶剤性、耐熱性に於いて優れていることから、樹脂、繊維の着色、塗料等に幅広く使われている。更に、近年は重金属系無機顔料の代替としての需要も多い。キノフタロンはキナルジンと無水フタル酸との縮合により合成される鮮明な黄色化合物である。この化合物は顔料適性として、特に耐光性と耐溶剤性を向上させる為の研究が行われ、例えば特公昭47−3,476に見られる様に1970年代から顔料として使われる様になった。
【0009】
縮合多環系の顔料としては他にもフルオルビン、エピンドリジオン等の顔料が知られている。フルオルビンは、Ber., 36,4048 に見られる様に1903年に初めて合成された化合物で、顔料としては、例えば特公昭38−17,831 に見られる様に耐光性、耐溶剤性に優れている。また、Ann.Chem.,518 ,245に報告されている様に、1935年に初めて合成されたキナクリドンは、USP2,884,484、 USP2,884,485に見られる様に1958年に新しい赤色顔料として印刷インキ、塗料業界で広く使われる様になった。これを契機として、キナクリドンに類似した構造の化合物の探索研究が行われたが、エピンドリジオンはその時期に研究対象とされた化合物の一つである。エピンドリジオンはキナクリドンの化学構造に於いて、中央のベンゼン環の欠けた構造であり、これはインジゴの構造異性体に相当する。この化合物は、J.Chem.Soc.,1934,1508 に報告されている様に2,8‐ジメチル置換体として最初に合成され、Helv.Chim.Acta, 31,716に見られる様に、1948年に母体骨格が初めて合成されている。この化合物の顔料としての特許はUSP3,334,102のみであり、この特許ではジメトキシ、ジエトキシ置換体及びジ、トリ、テトラハロゲン置換体が、耐光性、着色力に優れた顔料として記載されている。
【0010】
一般に、顔料に要求される性質としては、着色力、鮮明性、色相等の色彩的特性、耐光性、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐マイグレーション性等の耐久性及び分散性、流動性等の使用適性の三つが挙げられる。これらの要求特性のうち、色彩的特性及び耐久性は顔料の品質に直接的に影響する性質であり、特に重要である。これまでに述べた縮合多環系の高級顔料に関しても、此れらの性質の何れに於いても、優れた顔料は非常に限られているというのが現状であり、優れた性質を有する新規顔料の出現が期待されている。
【0011】
即ち、フルカラー画像は、上記したように被転写材上に複数色のトナーが重ね合わさられることによって得られる為に、個々のトナーの光透過性が不足すると、色再現性が悪化し、鮮明な画像を得ることが困難となる。特にOHP用シートのような透明基材上にフルカラー画像を形成した時にこの現象は著しく、良好な透明画像は得難い。
【0012】
その対策として顔料の分散の程度を上げる、即ちトナー中の顔料粒径をより小さくすることが考えられる。一般に顔料の粒子径を小さくして分散度を上げていくと顔料分散体の透明性が向上する。しかし、サンドミル、3本ロールミル、ボールミル、エクストルーダー等の通常の分散機は、主に顔料の二次粒子(一次粒子が弱く凝集している)を壊して一次粒子にするだけであり、此れ等の通常の分散機では、顔料をより微細化することは困難である。高速のサンドミル等を用いることによって、顔料の種類によっては更に顔料を微細化することも可能ではあるが、非常に多大なエネルギーを必要とする。
【0013】
顔料の一次粒子を微細化する手段として、顔料を濃硫酸、ポリリン酸等の強酸に溶解したものを冷水に投入して、顔料を微細粒子として析出させる方法が知られている。この方法では顔料の強酸に対する溶解性や安定性の点で、用い得る顔料が著しく限定される。又、この方法で微細化した顔料は、乾燥すると強い二次凝集を起こす為に、乾燥したものを一次粒子まで再分散することは非常に困難であり、また分散性を改良する方法としてはアルコール等の溶剤中で加熱処理することが知られているが、望ましくない結晶成長を起こし、顔料粒径が大きくなる。
【0014】
他の方法として、顔料と固形樹脂を加熱しながら2本ロールやバンバリーミキサー等で強力に練り込む方法も知られている。しかし、顔料は一般に高温下では結晶成長する為に、本方法では機械的な破砕力と結晶成長が平衡状態になった時に終点となり、顔料の微細化には限界がある。
【0015】
更に顔料の一次粒子を細かくする方法として、顔料と食塩等の水溶性無機塩の混合物を少量の水溶性の溶剤で湿潤したものを、ニーダー等で強く練り込んだ後、無機塩と溶剤を水洗除去、乾燥して一次粒子の細かい顔料を得る方法がある。この方法は、一般には食塩を磨砕剤として用い、粗製銅フタロシアニンを水溶性の有機溶剤の共存下で機械的に磨砕するβ型銅フタロシアニンの顔料化方法として知られている。この場合、水溶性の有機溶剤は、粘結剤としての働きとβ型結晶がニーダーによる機械的剪断力によるα型結晶に結晶転移するのを防ぐ為に用いられる。一般的には、この方法はソルベントソルトミリングと呼ばれ、単に磨砕剤を用いないで機械的に微細化する方法(ドライミリングと呼ばれている)とは区別されている。又、広義ではソルベントを用いないソルトミリングもドライミングと呼ばれる。
【0016】
しかし、この方法では乾燥の際に顔料の強い二次凝集を起こし易く、顔料粒径が大きくなってしまう問題がある。
【0017】
顔料を乾燥する前の顔料を高濃度に含有する水性スラリーや水性ケーキに、樹脂又は樹脂溶液を添加し、混合攪拌し、顔料の周囲の水分を樹脂又は樹脂溶液で置換した後、水分及び溶剤を除去する方法を一般にフラッシングと言う。この方法は顔料を乾燥させる工程が無いので顔料の凝集が起き難く、顔料粒子を細かい状態のまま樹脂で被覆することができるので、かかる方法による処理顔料を用いると品位の高い顔料分散体が得られる。
【0018】
カラートナーによるフルカラー画像の形成が一般的になるに連れて、ユーザーの要望品位が向上し、電子写真に於いても通常の銀塩写真並みの品位が求められる様になって来た。そこで、従来のフラッシング処理顔料を用いた場合以上に
▲1▼トナー中の顔料の分散を更に改良し、画像を形成した時の光透過性が改善して、同一転写材上に複数色のトナーが重ね合わせられてフルカラー画像を形成した時に、オリジナルにより近い色再現性を得られるようにする。
▲2▼トナー中の顔料の分散が更に良くして、顔料が十分に発色させ、濃度の濃い良好な画像を得られる様にする。
【0019】
▲3▼OHP用シートの様な透明基材上にフルカラー画像を形成した場合に、画像の鮮明性・透明性を向上する。
ことが要求される様になってきた。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のフラッシング法よりもさらに顔料を微細に分散し、フルカラーの複写機やプリンター等を使用してフルカラー画像を形成した時に、さらに鮮明で十分な色再現性、発色性が得られる静電荷像現像用イエロートナー母粒子、及び該イエロートナー母粒子を用いて成るイエロートナー並びにイエロー現像剤の提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の一般式(1)で表わされる有機顔料(A)、水溶性の無機塩(B)、水溶性の溶剤(C)の少なくとも3つの成分から成る混合物を機械的に混練し、その後(B)及び(C)を水洗除去して成る処理顔料の水性ペースト(D)と、常温固体の樹脂(E)とを加熱混練した後、水分を除去して得られる樹脂被覆顔料(F)と、結着樹脂(G)とを加熱混練して成ることを特徴とする静電荷像現像用イエロートナー母粒子である。
【0022】
一般式(1)
【0023】
【化2】
【0024】
但し、式中、R1 〜R8 はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子を表わし、R1 〜R 4のうち少なくとも3個はハロゲン原子である。
【0025】
第2の発明は、第1の発明に於ける一般式(1)で表わされる有機顔料(A)、水溶性の無機塩(B)、水溶性の溶剤(C)の少なくとも3つの成分から成る混合物を機械的に混練し、その後(B)及び(C)を水洗除去して成る処理顔料の水性ペースト(D)と、常温固体の樹脂(E)とを加熱混練した後、水分を除去して得られる樹脂被覆顔料(F)と、結着樹脂(G)とを加熱混練して成ることを特徴とする静電荷像現像用イエロートナー母粒子である。
但し、式中、R1 〜R8 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子或いは塩素原子を表わし、R1 〜R4 のうち少なくとも3個はフッ素原子或いは塩素原子である。
【0026】
第3の発明は、第1の発明に於ける一般式(1)で表わされる有機顔料(A)、水溶性の無機塩(B)、水溶性の溶剤(C)の少なくとも3つの成分から成る混合物を機械的に混練し、その後(B)及び(C)を水洗除去して成る処理顔料の水性ペースト(D)と、常温固体の樹脂(E)とを加熱混練した後、水分を除去して得られる樹脂被覆顔料(F)と、結着樹脂(G)とを加熱混練して成ることを特徴とする静電荷像現像用イエロートナー母粒子である。
但し、式中、R1 とR5 、R2 とR6 、R3 とR7 、R4 とR8 はそれぞれ等しい。又、R1 〜R4 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子或いは塩素原子を表わし、少なくとも3個はフッ素原子或いは塩素原子である。
【0027】
第4の発明は、水溶性の溶剤(C)に対して、水溶性の無機塩(B)を重量比で2〜20倍使用することを特徴とする第1乃至第3の発明いずれか記載の静電荷像現像用イエロートナー母粒子である。
【0028】
第5の発明は、第1乃至第4の発明いずれか記載の静電荷像現像用イエロートナー母粒子と、外添剤とを混合して成ることを特徴とする静電荷像現像用イエロートナーである。
【0029】
第6の発明は、第5の発明記載の静電荷像現像用イエロートナーと、キャリアとを混合して成ることを特徴とするイエロー現像剤である。
【0030】
上記一般式(1)で表される化合物の例を例示化合物として次の表1にまとめて示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【0033】
【0034】
【発明の実施の形態】
通常、エピンドリジオン顔料は有機溶媒に対して極めて難溶であるという性質を有している。J.Org.Chem.,33,4004(1968) では、この性質が分子構造中のカルボニル基の酸素と他の分子構造中のイミド基の水素原子との間の強い分子間水素結合に起因するものであり、この分子間水素結合は溶液状態よりも固体状態に於いてより顕著に観測されることが報告されている。又、インジゴの場合には分子間水素結合により、溶液中のスペクトルに対して固体状態のそれが長波長に遷移することが知られている。エピンドリジオン顔料の場合の観測結果もこのインジゴの場合の結果に類似していることから、同様な分子間水素結合の存在が推測されている。
【0035】
本発明において用いるエピンドリジオン顔料の化学構造上の特徴は分子を構成するベンゼン環に少なくとも3個のハロゲン原子を有することにある。この様なハロゲン原子の導入は、エピンドリジオン顔料の分子間力に変化をもたらし、その結果として色彩的特性及び諸特性に関して均衡のとれた性質の顔料を得ることが出来る。
【0036】
本発明において用いるエピンドリジオン顔料の製造法は、顔料の化学構造が対称或いは非対称のどちらであるかにより異なる。対称な化学構造の場合には、ジヒドロキシフマル酸のエステル化、ハロゲン化アニリンとの脱水縮合、続いて二段階の縮合環化行程という四段階の行程から製造することが出来る。又、非対称な化学構造の場合には、次の方法により製造することが出来る。先ずハロゲン化フェニル基で窒素原子の置換されたグリシンのエステルとシュウ酸ジエステルとからハロゲン化フェニルアミノ基で置換されたオキサル酢酸ジエステルを合成する。次にハロゲン化アニリンと反応させることにより、隣り合う炭素原子がそれぞれ異なるハロゲン化フェニルアミノ基で置換されたマレイン酸及びフマル酸ジエステルの混合物が合成される。この混合物に対して既に述べた対称構造の場合と同様に、二段階の縮合環化行程を施すことによりエピンドリジオン顔料を製造することが出来る。
【0037】
本発明において用いるエピンドリジオン顔料は、色彩的特性、とりわけフルカラー用静電荷像現像用トナーの着色剤として使用した時に、透明性や鮮明性が得易い特徴を有している。さらに本発明では、かかるエピンドリジオン顔料をソルベントソルトミリングすることによって、従来より透明で且つ鮮明性に優れた画像を得ることができるようになったものである。
例えば、有機顔料(A)、水溶性の無機塩(B)を破砕助剤とし、水溶性の溶剤(C)を湿潤剤として少量添加し、ニーダー等で強く練り込んで、有機顔料の一次粒子を機械的に従来よりも小さいものとする。その後に水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌し、スラリー状とする。次にこのスラリーの濾過、水洗を繰り返して水溶性の無機塩(B)及び水溶性の溶剤(C)を除去し、処理顔料の水性ペースト(D)を得る。
【0038】
本発明に於いて、機械的に混練する際に用いる水溶性の無機塩(B)としては、食塩、塩化カリウム、ボウ硝等が挙げられるが、此れ等に限定されるものではない。水溶性の無機塩は、顔料組成物(A)に対し、重量比で1〜20倍使用するのが好ましく、3〜10倍用いるのが最も好ましい。
【0039】
本発明に於いて用いられる水溶性の溶剤(C)は特に限定されないが、混練時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になる為に、安全性の点から高沸点の溶剤が好ましい。水溶性の溶剤(C)は、顔料組成物(A)に対し、重量比で0.1〜10倍使用するのがが好ましく、0.5〜5倍用いるのが最も好ましい。
【0040】
水溶性の溶剤(C)の例としては、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール等を挙げることが出来る。
【0041】
本発明に於いては、機械的に混練する際に必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることが出来る。用いられる樹脂は好ましくは室温で固体で、水不溶性であり、且つ混練の際に溶剤を用いる場合には、その溶剤に一部可溶であることが更に好ましい。更に、顔料誘導体及び分散剤等を添加してもよい。
【0042】
ソルトミリング終了時点に於ける好ましい顔料の粒子径としては、レーザー散乱法による平均粒径に於いて0.2μm以下、更に好ましくは、0.1μm以下であり、この様な粒径であると画像を形成した時に、鮮明で十分な色再現性、発色性が得易い。
【0043】
本発明では、上記ソルトミリングを行い、微細化された処理顔料の水性ペースト(D)を得、引き続き顔料を乾燥することなくフラッシングすることが重要である。この処理顔料の水性ペースト(D)を常温固体の樹脂(E)と加熱混練することによって、処理顔料を常温固体の樹脂(E)で被覆して成る樹脂被覆顔料(F)、いわゆるフラッシング顔料を得、かかるフラッシング顔料をイエロートナー母粒子の着色剤として用いることによって、従来よりもはるかに鮮明性・透明性に優れる画像を得ることが出来る様になったものである。
【0044】
本発明における樹脂被覆顔料(F)は、例えば以下のようにして得ることができる。
処理顔料の水性ペースト(D)を、ニーダー若しくはスーパーミキサー等の混合分散機に移し、常温固体の樹脂(E)、必要に応じてその他の各種添加剤等を加えて混合攪拌を行う。この時に必要に応じて加熱してもよい。約10分〜20分で顔料分が樹脂に移行する。分離した水をデカンテーションにより除去し、残った混練物を必要に応じて2本又は3本ロールを使用して水分を除去し、樹脂被覆顔料(F)(顔料高濃度チップ)を得ればよい。
【0045】
常温固体の樹脂(E)、即ちフラッシングに用いることの出来る樹脂として、公知のものを含めて広く使用可能である。画像の透明性を考慮して、無色透明の樹脂の方がより好適である。例えばアクリルニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、及びそれらの混合物等のスチレン−アクリル系、ポリエステル系等の公知の樹脂が全て使用可能である。この他にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ロジン・エステル、ロジン等を挙げることが出来る。何れの樹脂もその製造方法は特に制約されるものではない。
【0046】
本発明のイエロートナー母粒子は、常法に従い、得ることが出来る。即ち、上記樹脂被覆顔料(F)に結着樹脂(G)、必要に応じてその他荷電制御剤や添加剤等を加えて、ヘンシェルミキサー等により予備混合を行う。その後エクストルーダー等により希釈、溶融混練を行う。
次いで冷却後にハンマーミル等で粗粉砕し、ジェットミル等で微粉砕する。その後に風力分級機等で分級し、平均粒径5〜20μm程度の所定の粒度分布を有する分級品、即ちイエロートナー母粒子を得る。
【0047】
結着樹脂(G)、即ちフラッシング後の溶融混練に用いることの出来る樹脂として、公知のものを含めて広く使用出来る。画像の透明性を考慮して、無色透明の樹脂の方がより好適である。樹脂(E)と同じ種類の樹脂が使用可能だが、必ずしも結着樹脂(G)は樹脂(E)と一致している必要は無い。
【0048】
本発明のイエロートナー母粒子に、荷電制御剤を配合することも好ましい。荷電制御剤としては、正・負帯電いずれも公知のものが全て使用出来るが、画像の色調に影響を与えない無色又は淡色の荷電制御剤が好ましい。例えばアルキル置換サリチル酸の金属錯体(例えばジターシャリーブチルサリチル酸のクロム錯体、アルミニウム錯体、又は亜鉛錯体等)のような有機金属錯体等を挙げることが出来る。
【0049】
本発明のイエロートナー母粒子には、流動性向上剤、クリーニング助剤として外添剤を配合することも好ましい。
外添剤としては公知のものが全て使用出来る。例えば0.01〜0.5μmのシリカ、アルミナ、酸化チタン等の金属酸化物、炭化珪素、炭化タングステン等の研磨剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩等の滑剤、その他1〜50μmのポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ポリメチルメタアクリレート、ポリスチレン、シリコーン等の微粉末を添加することが好適である。此れ等の混合物、更に此れ等の微粉末を各種表面処理した外添剤を添加することも好適である。
【0050】
本発明のイエロー現像剤は、上記イエロートナーとキャリアとを混合して成るものであり、従来の公知の方法で得ることが可能で、特に制約されるものではない。
本発明に係わるイエロー現像剤に用いられるキャリアとしては、既知のキャリアは全て使用可能である。一般に二成分現像剤を構成するキャリアは導電性キャリアと絶縁性キャリアに大別される。
導電性キャリアとしては、通常、酸化又は未酸化の鉄粉が用いられる。
絶縁性キャリアとしては、一般に強磁性体よりなるキャリアコア材粒子表面を絶縁性樹脂により均一に被覆したキャリアが代表的である。キャリアをコア材としては、例えば酸化鉄(マグネタイト)、還元鉄、銅、フェライト、ニッケル、コバルト等や此れ等と亜鉛、アルミニウム等の合金等の粒子を挙げることが可能である。被覆樹脂としてはアクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、アミノ樹脂等の公知の材料の何れのものでもよい。キャリアの粒径としては20〜200μm程度のものが好ましい。又、一般的に現像剤中にはトナーを1〜30%含有することが好ましい。
【0051】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を更に詳細に説明する。但し、これによって本発明の実施の形態が何等限定されるものではない。実施例及び比較例中、部及び%は、重量部及び重量%をそれぞれ表す。
【0052】
実施例1
〔エピンドリジオン顔料の合成工程〕
ジヒドロキシフマル酸44.4部を190部のメタノールに溶解し、この溶液に無水硫酸マグネシウム60部を添加する。この懸濁液を摂氏0乃至5℃に冷却し、この温度に於いて攪拌下に塩化水素を4.5時間吹き込む。次に、この液を室温下に3日間静置した後、析出結晶を濾過する。得られた結晶を少量のメタノールで洗い、600部の冷水中に懸濁した後、迅速に濾過する。更に洗液が中性になるまで、結晶を冷水で洗浄し、70℃で乾燥することにより、下記構造のエステル45.3部を得た。
【0053】
【化3】
【0054】
次に、上記エステル44.0部をメタノール158部に懸濁させた後、この懸濁液に2,3,4−トリフルオロアニリン80.9部及び濃塩酸3部を添加し、6時間還流加熱を行う。加熱中、反応液は一旦溶液状態となった後、淡黄色結晶が析出する。反応液を5乃至10℃に冷却した後、析出結晶を濾過し、70℃で乾燥することにより、下記構造の化合物94.7部を得た。
【0055】
【化4】
【0056】
上記化合物86.8部をDowtherm A868部中に添加した懸濁液を120乃至130℃に加熱して溶液とし、この溶液を還流加熱状態のDowtherm A347部に30分間かけて添加する。その後、Dowtherm Aと生成するメタノールの混合液を除去しながら還流加熱を15分間行い、室温まで冷却する。析出結晶を石油エーテルで洗浄し、70℃で乾燥することにより下記構造の化合物61.9部を得た。
【0057】
【化5】
【0058】
ポリリン酸603部中に、攪拌下に上記化合物60.3部を添加する。この混合物を1時間で150℃まで加熱した後、145乃至150℃で2時間加熱し、その後40乃至50℃に冷却する。次に1340部のメタノールを、40乃至50℃を維持しながら徐々に添加する。添加終了後、還流加熱を90分間行い、濾過する。洗液が中性となるまで水洗を行い、乾燥することにより表1の化合物番号1で示される顔料50.0部を得た。
【0059】
〔ソルトミリング工程〕
上記顔料:250部、塩化ナトリウム:2500部、及びポリエチレングリコール300(東京化成製):160部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、3時間混練した。次にこの混合物を2.5リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした。その後、濾過、水洗を5回繰り返して塩化ナトリウム及び溶剤を除き、固形分50%の水性ペーストを得た。
【0060】
〔フラッシング工程〕
上記水性ペースト 100.0部
不飽和ポリエステル樹脂:常温固体の樹脂(E) 25.0部
メタノール 0.5部
上記原料をニーダーにて100℃に加熱しながら約30分間混合し、顔料を樹脂に移行(フラッシング)させ、樹脂に均一に分散させる。分離した水及び溶剤分をニーダーから除去した後に、残った混練物を加熱型2本ロールにて5回パスさせ、顔料高濃度チップ、即ち樹脂被覆顔料を得た。
【0061】
〔トナー形成工程〕
不飽和ポリエステル樹脂:結着樹脂(G) 100.0部
上記顔料高濃度チップ 5.0部
負帯電荷電制御剤 4.0部
次いで、上記原料をエクストルーダーにて溶融混練する。
冷却後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでジェットミルで微粉砕した後、風力分級機で平均粒径10.0μmのトナー母粒子を得る。上記トナー母粒子100.0部に酸化チタン微粉末を0.4部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーを得る。
【0062】
〔トナー評価工程〕
得られたトナーをフェライト100部に対し6部加え、ボールミル混合機で混合して現像剤を得た。この現像剤を用い市販のフルカラー複写機(CLC350、キャノン製)により画像を形成し、評価した
【0063】
実施例2
〔エピンドリジオン顔料の合成工程〕
実施例1で記したジヒドロキシフマル酸のメチルエステル44.0部をメタノール158部に懸濁させた後、この懸濁液に2,4,5−トリクロロアニリン108.1部及び濃塩酸3部を添加し、6時間還流加熱を行う。加熱中、反応液は一旦溶液状態となった後、淡黄色結晶が析出する。反応液を5乃至10℃に冷却した後、析出結晶を濾過し、70℃で乾燥することにより、下記構造の化合物109.1部を得た。
【0064】
【化6】
【0065】
上記化合物106.4部をDowtherm A1064部中に添加した懸濁液を120乃至130℃に加熱して溶液とし、この溶液を還流加熱状態のDowtherm A425部に30分間かけて添加する。その後、Dowtherm Aと生成するメタノールの混合液を除去しながら還流加熱を15分間行い、室温まで冷却する。析出結晶を石油エーテルで洗浄し、70℃で乾燥することにより下記構造の化合物82.3部を得た。
【0066】
【化7】
【0067】
ポリリン酸750部中に、攪拌下に上記化合物75.0部を添加する。この混合物を1時間で150℃まで加熱した後145乃至150℃で2時間加熱し、その後40乃至50℃に冷却する。次に1660部のメタノールを、40乃至50℃を維持しながら徐々に添加する。添加終了後、還流加熱を90分間行い、濾過する。洗液が中性となるまで水洗を行い、乾燥することにより表1の化合物番号2で示される顔料62.3部を得た。この顔料を用いて実施例1と同様にして、トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤を得、同様に評価した。
【0068】
実施例3
〔エピンドリジオン顔料の合成工程〕
エタノール78.9部中に、攪拌下にナトリウムエトキシド14.3部を添加する。ナトリウムエトキシドが完全に溶解した後、室温下に於いてシュウ酸ジエチル29.2部及びN−(3,4−ジクロロフェニル)グリシンのエチルエステル49.6部を添加し、25℃に於いて20時間攪拌する。次に、エタノールを減圧溜去し、水150部及び酢酸15部を添加し、激しく攪拌する。更にトルエン104部を添加し、少し攪拌した後室温下に静置すると、反応液は油層と水層に分離する。水層を分離し、35部のトルエンで2回抽出を行い、抽出液を油層と混合し、濾過する。濾液を120部の水で洗浄し、減圧溜去によりトルエンを除去することにより、下記構造の化合物58.4部を得た。
【0069】
【化8】
【0070】
上記の化合物52.2部、2,4,5−トリクロロアニリン29.6部及び濃塩酸1.8部をエタノール101部中に於いて3時間還流加熱を行う。次に、減圧溜去によりエタノール61部を除去した後、析出結晶を濾過し、16部のエタノールで洗浄し、70℃で乾燥することにより下記に示す二種類の構造の化合物から成る混合物48.2部を得た。
【0071】
【化9】
【0072】
【化10】
【0073】
上記化合物47.4部をDowtherm A474部中に添加した懸濁液を120乃至130℃に加熱して溶液とし、この溶液を還流加熱状態のDowtherm A190部に30分間かけて添加する。その後、Dowtherm Aと生成するメタノールの混合液を除去しながら還流加熱を15分間行い、室温まで冷却する。析出結晶を石油エーテルで洗浄し、70℃で乾燥することにより下記構造の化合物36.3部を得た。
【0074】
【化11】
【0075】
ポリリン酸336部中に、攪拌下に上記化合物33.6部を添加する。この混合物を1時間で150℃まで加熱した後145乃至150℃で2時間加熱し、その後40乃至50℃に冷却する。次に747部のメタノールを、40乃至50℃を維持しながら徐々に添加する。添加終了後、還流加熱を90分間行い、濾過する。洗液が中性となるまで水洗を行い、乾燥することにより表1の化合物番号3で示される顔料27.2部を得た。この顔料を用いて実施例1と同様して、トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤を得、同様にして評価した。
【0076】
比較例1〜3 以下の比較例1〜3では、ソルトミリングは行わず、フラッシングのみ行った例を示す。
比較例1では表1の化合物番号1、比較例2では表1の化合物番号2、比較例3では表1の化合物番号3で示される各々の顔料を、合成後の水洗終了後、濾過し、以下に示すように水性ペーストのままソルトミリング工程は行わず、フラッシング工程のみ行い、トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤を得、それぞれ同様に評価した。
【0077】
〔フラッシング工程〕
水性ペースト 125.0部
(合成終了後、水洗濾過のみ、固形分含有量40.0%)
不飽和ポリエステル樹脂:常温固体の樹脂(E) 25.0部
メタノール 0.5部
上記原料をニーダーにて100℃に加熱しながら約30分間混合し、顔料を樹脂に移行(フラッシング)させ、樹脂に均一に分散させる。分離した水及び溶剤分をニーダーから除去した後に、残った混練物を加熱型2本ロールにて5回パスさせ、顔料高濃度チップ、即ち樹脂被覆顔料を得た。
【0078】
〔トナー形成工程〕
不飽和ポリエステル樹脂:結着樹脂(G) 100.0部
上記樹脂被覆顔料 5.0部
負帯電荷電制御剤 4.0部
次いで、上記原料をエクストルーダーにて溶融混練する。
冷却後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでジェットミルで微粉砕した後、風力分級機で平均粒径10.0μmのトナー母粒子を得る。上記トナー母粒子100.0部に酸化チタン微粉末を0.4部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーを得た。
【0079】
比較例4〜6 以下の比較例4〜6では、通常の方法で形成したトナーの例を示す。即ち、ソルトミリングもフラッシングも行っていない。
比較例4では表1の化合物番号1、比較例5では表1の化合物番号2、比較例5では表1の化合物番号3で示される各々の顔料を用い、以下に示すようにソルトミリング工程も、フラッシング工程も経ずに、トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤を得、それぞれ同様に評価した。
【0080】
〔トナー形成工程〕
顔料(ソルトミリング工程を経ていない) 3.0部
不飽和ポリステル樹脂:結着樹脂(G) 100.0部
負帯電荷電制御剤 3.0部
上記各処方量をヘンシェルミキサーで予備混合を行い、二軸エクストルーダーにて溶融混練を行う。冷却後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、更にジェットミルにて微粉砕した後、風力分級機で平均粒径10.0μmのトナー母粒子を得る。上記トナー母粒子100部に酸化チタン微粉末を0.4部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーを得た。
【0081】
実施例1〜3は、エピンドリジオン顔料合成後、ソルトミリングを行い、さらにフラッシング工程を経てトナーを形成したものであり、その画像は彩度が高く鮮明な画像が得られた。また、個々の色のトナーを使った中間色も鮮明な画像が得られた。OHP用シートへ画像を形成した時に、鮮明で染料並みの著しい透明性が得られた。又、得られたトナーを熱プレスにより溶融させ、ガラス板上に均一な薄層を作り、光学顕微鏡により分散状態を観察したところ、凝集の無い非常に良好な分散状態になっていることが確認出来た。
【0082】
比較例1〜3はソルトミリングを行わず、フラッシングのみ行った例である。その画像は彩度が高く鮮明な画像が得られた。また、個々の色のトナーを使った中間色も鮮明な画像が得られた。OHP用シートへ画像を形成した時に、かなりの透明性が得られているが、実施例1〜4よりは劣り、ソルトミリングを行った効果が確認出来た。
【0083】
比較例4〜6は、実施例1〜3及び比較例1〜3で使用した顔料と樹脂を使い、同じ組み合わせで通常の製法でトナーを形成した。即ち、ソルトミリングも行わなければ、フラッシングも行わなかった。此れ等の比較例4〜6は、何れも鮮明で十分な色再現性、発色性が得られず、同一顔料を使用した実施例1と比較例1と比較例4との画像を比較すると、この順番に画質が低下し、その差は明かであった。
【0084】
【発明の効果】
ソルトミリングによって微細化した後、さらにフラッシングしてなるエピンドリジオン顔料をトナー母粒子の着色剤として用いることによって、トナー母粒子ー中の顔料粒子径を小さくでき、画像を形成したときに鮮明で十分な色再現性、発色性が得られ、特にOHP用シートの様な透明基材へ画像形成した時、鮮明で著しい透明性が得られるようになった。また、顕微鏡によるイエロートナー中の顔料の分散状態を観察したところ、凝集の無い良好な分散状態になっていることが確認出来た。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電潜像を現像する時に使用される静電荷像現像用イエロートナー母粒子、及び該イエロートナー母粒子を使用して形成されたイエロートナー並びにイエロー現像剤に関する。更に詳しくはマゼンタ、シアン、及び黒色トナー等と共に用いて画像を形成した時に、鮮明で十分な色再現性、発色性が得られる新規のエピンドリジオン顔料を含む静電荷像現像用イエロートナー母粒子、及び該イエロートナー母粒子を使用して形成されたイエロートナー並びにイエロー現像剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機及びプリンター等に於いてフルカラー画像への展開が急速に進みつつあり、その実用化も大きくなされている。しかし写真や印刷物等と比較すると、現在実用化されているフルカラー電子写真画像は、必ずしも満足し得る画質まで到達しているとは言い難い。また近年、コンピュータやハイビジョン等に進歩発展により、更に高精細なフルカラー画像を形成する方法が強く要望されている。この為に、フルカラー電子写真画像を更に高品質化することが強く求められている。
【0003】
電子写真法は、一般に静電潜像をトナーを用いて現像する。その方法には大きく分類して、トナーをキャリアと呼ばれる媒体に少量分散させた二成分系現像剤を用いる方法と、キャリアを用いない一成分系現像剤を用いる方法がある。フルカラーの電子写真の場合、キャリアとトナーを混合攪拌して用いる二成分系現像剤がしばしば使用される。
【0004】
フルカラー電子写真法によるカラー画像形成は、一般に3原色であるイエロー、マゼンタ、シアンの3色、好ましくは墨入れ用としてブラックの4色のカラートナーを用いて全ての色の再現を行うものである。その方法は例えば、先ず原稿からの光をアナログ又はデジタル的に色分解し、感光体の光導電層に導き、1色目の静電潜像を形成する。続いて現像、転写工程を経てトナーは、紙等の被転写材上に保持される。更に2色目以降についても前述の工程を順次複数回行い、同一被転写材上に複数色のトナーが重ね合わせられ、一回の定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
【0005】
フルカラー複写機やフルカラープリンター等を使用して、オーバー・ヘッド・プロジェクター(以下、OHPと省略する。)用シートのような透明基材上にフルカラー画像を形成することも増加して来た今日、フルカラーの画像形成に供されるトナーには、従来の最も一般的な黒色トナーの場合と同様に、種々の特性、例えば安定した帯電性や良好な流動性が求められる他に、透明性、鮮明性、色再現性等が更に要求される。
【0006】
当初、通常のインキや塗料に使用される顔料をそのまま、フルカラー複写機やフルカラープリンターで使用されるフルカラートナー用の着色剤として使用して来た。しかし、特に透明性や鮮明性で十分満足し得る特性の顔料が得られなかった。通常のインキや塗料に使用される顔料は、トナー用に使用される顔料と異なり透明性や鮮明性はあまり要求されない。市場の強い要望も在り、フルカラートナー用の着色剤として、画像を形成した時に透明性や鮮明性が得易い顔料を新規に形成する必要があった。
【0007】
有機顔料の中でも縮合多環系と呼ばれる一群の顔料は、耐熱性、耐光性及び耐溶剤性等の諸耐性に優れていることから高級顔料とも呼ばれ、これまでに種々の顔料が開発されている。こうした中で、比較的早期に開発された代表的な顔料としては、アントラキノン、ペリレン、ペリノン等が知られている。次いでジオキサジン、キナクリドン、イソインドリノン等が開発され、近年ではキノフタロン、メチン系顔料等の開発が行われてきた。
【0008】
これらの内で、イソインドリノン及びキノフタロンは特に黄色乃至橙色系の顔料として開発されたものである。イソインドリノン系顔料は、J.Chem.Soc.,1941,625に見られる様に1941年に最初の報告がある。その後、B.P.833,548、J.Paint Technol.Official Digest,37,1071 等に見られる様に1960年代に顔料として用いられる様になった。特に耐候性、耐溶剤性、耐熱性に於いて優れていることから、樹脂、繊維の着色、塗料等に幅広く使われている。更に、近年は重金属系無機顔料の代替としての需要も多い。キノフタロンはキナルジンと無水フタル酸との縮合により合成される鮮明な黄色化合物である。この化合物は顔料適性として、特に耐光性と耐溶剤性を向上させる為の研究が行われ、例えば特公昭47−3,476に見られる様に1970年代から顔料として使われる様になった。
【0009】
縮合多環系の顔料としては他にもフルオルビン、エピンドリジオン等の顔料が知られている。フルオルビンは、Ber., 36,4048 に見られる様に1903年に初めて合成された化合物で、顔料としては、例えば特公昭38−17,831 に見られる様に耐光性、耐溶剤性に優れている。また、Ann.Chem.,518 ,245に報告されている様に、1935年に初めて合成されたキナクリドンは、USP2,884,484、 USP2,884,485に見られる様に1958年に新しい赤色顔料として印刷インキ、塗料業界で広く使われる様になった。これを契機として、キナクリドンに類似した構造の化合物の探索研究が行われたが、エピンドリジオンはその時期に研究対象とされた化合物の一つである。エピンドリジオンはキナクリドンの化学構造に於いて、中央のベンゼン環の欠けた構造であり、これはインジゴの構造異性体に相当する。この化合物は、J.Chem.Soc.,1934,1508 に報告されている様に2,8‐ジメチル置換体として最初に合成され、Helv.Chim.Acta, 31,716に見られる様に、1948年に母体骨格が初めて合成されている。この化合物の顔料としての特許はUSP3,334,102のみであり、この特許ではジメトキシ、ジエトキシ置換体及びジ、トリ、テトラハロゲン置換体が、耐光性、着色力に優れた顔料として記載されている。
【0010】
一般に、顔料に要求される性質としては、着色力、鮮明性、色相等の色彩的特性、耐光性、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐マイグレーション性等の耐久性及び分散性、流動性等の使用適性の三つが挙げられる。これらの要求特性のうち、色彩的特性及び耐久性は顔料の品質に直接的に影響する性質であり、特に重要である。これまでに述べた縮合多環系の高級顔料に関しても、此れらの性質の何れに於いても、優れた顔料は非常に限られているというのが現状であり、優れた性質を有する新規顔料の出現が期待されている。
【0011】
即ち、フルカラー画像は、上記したように被転写材上に複数色のトナーが重ね合わさられることによって得られる為に、個々のトナーの光透過性が不足すると、色再現性が悪化し、鮮明な画像を得ることが困難となる。特にOHP用シートのような透明基材上にフルカラー画像を形成した時にこの現象は著しく、良好な透明画像は得難い。
【0012】
その対策として顔料の分散の程度を上げる、即ちトナー中の顔料粒径をより小さくすることが考えられる。一般に顔料の粒子径を小さくして分散度を上げていくと顔料分散体の透明性が向上する。しかし、サンドミル、3本ロールミル、ボールミル、エクストルーダー等の通常の分散機は、主に顔料の二次粒子(一次粒子が弱く凝集している)を壊して一次粒子にするだけであり、此れ等の通常の分散機では、顔料をより微細化することは困難である。高速のサンドミル等を用いることによって、顔料の種類によっては更に顔料を微細化することも可能ではあるが、非常に多大なエネルギーを必要とする。
【0013】
顔料の一次粒子を微細化する手段として、顔料を濃硫酸、ポリリン酸等の強酸に溶解したものを冷水に投入して、顔料を微細粒子として析出させる方法が知られている。この方法では顔料の強酸に対する溶解性や安定性の点で、用い得る顔料が著しく限定される。又、この方法で微細化した顔料は、乾燥すると強い二次凝集を起こす為に、乾燥したものを一次粒子まで再分散することは非常に困難であり、また分散性を改良する方法としてはアルコール等の溶剤中で加熱処理することが知られているが、望ましくない結晶成長を起こし、顔料粒径が大きくなる。
【0014】
他の方法として、顔料と固形樹脂を加熱しながら2本ロールやバンバリーミキサー等で強力に練り込む方法も知られている。しかし、顔料は一般に高温下では結晶成長する為に、本方法では機械的な破砕力と結晶成長が平衡状態になった時に終点となり、顔料の微細化には限界がある。
【0015】
更に顔料の一次粒子を細かくする方法として、顔料と食塩等の水溶性無機塩の混合物を少量の水溶性の溶剤で湿潤したものを、ニーダー等で強く練り込んだ後、無機塩と溶剤を水洗除去、乾燥して一次粒子の細かい顔料を得る方法がある。この方法は、一般には食塩を磨砕剤として用い、粗製銅フタロシアニンを水溶性の有機溶剤の共存下で機械的に磨砕するβ型銅フタロシアニンの顔料化方法として知られている。この場合、水溶性の有機溶剤は、粘結剤としての働きとβ型結晶がニーダーによる機械的剪断力によるα型結晶に結晶転移するのを防ぐ為に用いられる。一般的には、この方法はソルベントソルトミリングと呼ばれ、単に磨砕剤を用いないで機械的に微細化する方法(ドライミリングと呼ばれている)とは区別されている。又、広義ではソルベントを用いないソルトミリングもドライミングと呼ばれる。
【0016】
しかし、この方法では乾燥の際に顔料の強い二次凝集を起こし易く、顔料粒径が大きくなってしまう問題がある。
【0017】
顔料を乾燥する前の顔料を高濃度に含有する水性スラリーや水性ケーキに、樹脂又は樹脂溶液を添加し、混合攪拌し、顔料の周囲の水分を樹脂又は樹脂溶液で置換した後、水分及び溶剤を除去する方法を一般にフラッシングと言う。この方法は顔料を乾燥させる工程が無いので顔料の凝集が起き難く、顔料粒子を細かい状態のまま樹脂で被覆することができるので、かかる方法による処理顔料を用いると品位の高い顔料分散体が得られる。
【0018】
カラートナーによるフルカラー画像の形成が一般的になるに連れて、ユーザーの要望品位が向上し、電子写真に於いても通常の銀塩写真並みの品位が求められる様になって来た。そこで、従来のフラッシング処理顔料を用いた場合以上に
▲1▼トナー中の顔料の分散を更に改良し、画像を形成した時の光透過性が改善して、同一転写材上に複数色のトナーが重ね合わせられてフルカラー画像を形成した時に、オリジナルにより近い色再現性を得られるようにする。
▲2▼トナー中の顔料の分散が更に良くして、顔料が十分に発色させ、濃度の濃い良好な画像を得られる様にする。
【0019】
▲3▼OHP用シートの様な透明基材上にフルカラー画像を形成した場合に、画像の鮮明性・透明性を向上する。
ことが要求される様になってきた。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のフラッシング法よりもさらに顔料を微細に分散し、フルカラーの複写機やプリンター等を使用してフルカラー画像を形成した時に、さらに鮮明で十分な色再現性、発色性が得られる静電荷像現像用イエロートナー母粒子、及び該イエロートナー母粒子を用いて成るイエロートナー並びにイエロー現像剤の提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の一般式(1)で表わされる有機顔料(A)、水溶性の無機塩(B)、水溶性の溶剤(C)の少なくとも3つの成分から成る混合物を機械的に混練し、その後(B)及び(C)を水洗除去して成る処理顔料の水性ペースト(D)と、常温固体の樹脂(E)とを加熱混練した後、水分を除去して得られる樹脂被覆顔料(F)と、結着樹脂(G)とを加熱混練して成ることを特徴とする静電荷像現像用イエロートナー母粒子である。
【0022】
一般式(1)
【0023】
【化2】
【0024】
但し、式中、R1 〜R8 はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子を表わし、R1 〜R 4のうち少なくとも3個はハロゲン原子である。
【0025】
第2の発明は、第1の発明に於ける一般式(1)で表わされる有機顔料(A)、水溶性の無機塩(B)、水溶性の溶剤(C)の少なくとも3つの成分から成る混合物を機械的に混練し、その後(B)及び(C)を水洗除去して成る処理顔料の水性ペースト(D)と、常温固体の樹脂(E)とを加熱混練した後、水分を除去して得られる樹脂被覆顔料(F)と、結着樹脂(G)とを加熱混練して成ることを特徴とする静電荷像現像用イエロートナー母粒子である。
但し、式中、R1 〜R8 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子或いは塩素原子を表わし、R1 〜R4 のうち少なくとも3個はフッ素原子或いは塩素原子である。
【0026】
第3の発明は、第1の発明に於ける一般式(1)で表わされる有機顔料(A)、水溶性の無機塩(B)、水溶性の溶剤(C)の少なくとも3つの成分から成る混合物を機械的に混練し、その後(B)及び(C)を水洗除去して成る処理顔料の水性ペースト(D)と、常温固体の樹脂(E)とを加熱混練した後、水分を除去して得られる樹脂被覆顔料(F)と、結着樹脂(G)とを加熱混練して成ることを特徴とする静電荷像現像用イエロートナー母粒子である。
但し、式中、R1 とR5 、R2 とR6 、R3 とR7 、R4 とR8 はそれぞれ等しい。又、R1 〜R4 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子或いは塩素原子を表わし、少なくとも3個はフッ素原子或いは塩素原子である。
【0027】
第4の発明は、水溶性の溶剤(C)に対して、水溶性の無機塩(B)を重量比で2〜20倍使用することを特徴とする第1乃至第3の発明いずれか記載の静電荷像現像用イエロートナー母粒子である。
【0028】
第5の発明は、第1乃至第4の発明いずれか記載の静電荷像現像用イエロートナー母粒子と、外添剤とを混合して成ることを特徴とする静電荷像現像用イエロートナーである。
【0029】
第6の発明は、第5の発明記載の静電荷像現像用イエロートナーと、キャリアとを混合して成ることを特徴とするイエロー現像剤である。
【0030】
上記一般式(1)で表される化合物の例を例示化合物として次の表1にまとめて示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【0033】
【0034】
【発明の実施の形態】
通常、エピンドリジオン顔料は有機溶媒に対して極めて難溶であるという性質を有している。J.Org.Chem.,33,4004(1968) では、この性質が分子構造中のカルボニル基の酸素と他の分子構造中のイミド基の水素原子との間の強い分子間水素結合に起因するものであり、この分子間水素結合は溶液状態よりも固体状態に於いてより顕著に観測されることが報告されている。又、インジゴの場合には分子間水素結合により、溶液中のスペクトルに対して固体状態のそれが長波長に遷移することが知られている。エピンドリジオン顔料の場合の観測結果もこのインジゴの場合の結果に類似していることから、同様な分子間水素結合の存在が推測されている。
【0035】
本発明において用いるエピンドリジオン顔料の化学構造上の特徴は分子を構成するベンゼン環に少なくとも3個のハロゲン原子を有することにある。この様なハロゲン原子の導入は、エピンドリジオン顔料の分子間力に変化をもたらし、その結果として色彩的特性及び諸特性に関して均衡のとれた性質の顔料を得ることが出来る。
【0036】
本発明において用いるエピンドリジオン顔料の製造法は、顔料の化学構造が対称或いは非対称のどちらであるかにより異なる。対称な化学構造の場合には、ジヒドロキシフマル酸のエステル化、ハロゲン化アニリンとの脱水縮合、続いて二段階の縮合環化行程という四段階の行程から製造することが出来る。又、非対称な化学構造の場合には、次の方法により製造することが出来る。先ずハロゲン化フェニル基で窒素原子の置換されたグリシンのエステルとシュウ酸ジエステルとからハロゲン化フェニルアミノ基で置換されたオキサル酢酸ジエステルを合成する。次にハロゲン化アニリンと反応させることにより、隣り合う炭素原子がそれぞれ異なるハロゲン化フェニルアミノ基で置換されたマレイン酸及びフマル酸ジエステルの混合物が合成される。この混合物に対して既に述べた対称構造の場合と同様に、二段階の縮合環化行程を施すことによりエピンドリジオン顔料を製造することが出来る。
【0037】
本発明において用いるエピンドリジオン顔料は、色彩的特性、とりわけフルカラー用静電荷像現像用トナーの着色剤として使用した時に、透明性や鮮明性が得易い特徴を有している。さらに本発明では、かかるエピンドリジオン顔料をソルベントソルトミリングすることによって、従来より透明で且つ鮮明性に優れた画像を得ることができるようになったものである。
例えば、有機顔料(A)、水溶性の無機塩(B)を破砕助剤とし、水溶性の溶剤(C)を湿潤剤として少量添加し、ニーダー等で強く練り込んで、有機顔料の一次粒子を機械的に従来よりも小さいものとする。その後に水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌し、スラリー状とする。次にこのスラリーの濾過、水洗を繰り返して水溶性の無機塩(B)及び水溶性の溶剤(C)を除去し、処理顔料の水性ペースト(D)を得る。
【0038】
本発明に於いて、機械的に混練する際に用いる水溶性の無機塩(B)としては、食塩、塩化カリウム、ボウ硝等が挙げられるが、此れ等に限定されるものではない。水溶性の無機塩は、顔料組成物(A)に対し、重量比で1〜20倍使用するのが好ましく、3〜10倍用いるのが最も好ましい。
【0039】
本発明に於いて用いられる水溶性の溶剤(C)は特に限定されないが、混練時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になる為に、安全性の点から高沸点の溶剤が好ましい。水溶性の溶剤(C)は、顔料組成物(A)に対し、重量比で0.1〜10倍使用するのがが好ましく、0.5〜5倍用いるのが最も好ましい。
【0040】
水溶性の溶剤(C)の例としては、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングルコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポリプロピレングリコール等を挙げることが出来る。
【0041】
本発明に於いては、機械的に混練する際に必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることが出来る。用いられる樹脂は好ましくは室温で固体で、水不溶性であり、且つ混練の際に溶剤を用いる場合には、その溶剤に一部可溶であることが更に好ましい。更に、顔料誘導体及び分散剤等を添加してもよい。
【0042】
ソルトミリング終了時点に於ける好ましい顔料の粒子径としては、レーザー散乱法による平均粒径に於いて0.2μm以下、更に好ましくは、0.1μm以下であり、この様な粒径であると画像を形成した時に、鮮明で十分な色再現性、発色性が得易い。
【0043】
本発明では、上記ソルトミリングを行い、微細化された処理顔料の水性ペースト(D)を得、引き続き顔料を乾燥することなくフラッシングすることが重要である。この処理顔料の水性ペースト(D)を常温固体の樹脂(E)と加熱混練することによって、処理顔料を常温固体の樹脂(E)で被覆して成る樹脂被覆顔料(F)、いわゆるフラッシング顔料を得、かかるフラッシング顔料をイエロートナー母粒子の着色剤として用いることによって、従来よりもはるかに鮮明性・透明性に優れる画像を得ることが出来る様になったものである。
【0044】
本発明における樹脂被覆顔料(F)は、例えば以下のようにして得ることができる。
処理顔料の水性ペースト(D)を、ニーダー若しくはスーパーミキサー等の混合分散機に移し、常温固体の樹脂(E)、必要に応じてその他の各種添加剤等を加えて混合攪拌を行う。この時に必要に応じて加熱してもよい。約10分〜20分で顔料分が樹脂に移行する。分離した水をデカンテーションにより除去し、残った混練物を必要に応じて2本又は3本ロールを使用して水分を除去し、樹脂被覆顔料(F)(顔料高濃度チップ)を得ればよい。
【0045】
常温固体の樹脂(E)、即ちフラッシングに用いることの出来る樹脂として、公知のものを含めて広く使用可能である。画像の透明性を考慮して、無色透明の樹脂の方がより好適である。例えばアクリルニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、及びそれらの混合物等のスチレン−アクリル系、ポリエステル系等の公知の樹脂が全て使用可能である。この他にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ロジン・エステル、ロジン等を挙げることが出来る。何れの樹脂もその製造方法は特に制約されるものではない。
【0046】
本発明のイエロートナー母粒子は、常法に従い、得ることが出来る。即ち、上記樹脂被覆顔料(F)に結着樹脂(G)、必要に応じてその他荷電制御剤や添加剤等を加えて、ヘンシェルミキサー等により予備混合を行う。その後エクストルーダー等により希釈、溶融混練を行う。
次いで冷却後にハンマーミル等で粗粉砕し、ジェットミル等で微粉砕する。その後に風力分級機等で分級し、平均粒径5〜20μm程度の所定の粒度分布を有する分級品、即ちイエロートナー母粒子を得る。
【0047】
結着樹脂(G)、即ちフラッシング後の溶融混練に用いることの出来る樹脂として、公知のものを含めて広く使用出来る。画像の透明性を考慮して、無色透明の樹脂の方がより好適である。樹脂(E)と同じ種類の樹脂が使用可能だが、必ずしも結着樹脂(G)は樹脂(E)と一致している必要は無い。
【0048】
本発明のイエロートナー母粒子に、荷電制御剤を配合することも好ましい。荷電制御剤としては、正・負帯電いずれも公知のものが全て使用出来るが、画像の色調に影響を与えない無色又は淡色の荷電制御剤が好ましい。例えばアルキル置換サリチル酸の金属錯体(例えばジターシャリーブチルサリチル酸のクロム錯体、アルミニウム錯体、又は亜鉛錯体等)のような有機金属錯体等を挙げることが出来る。
【0049】
本発明のイエロートナー母粒子には、流動性向上剤、クリーニング助剤として外添剤を配合することも好ましい。
外添剤としては公知のものが全て使用出来る。例えば0.01〜0.5μmのシリカ、アルミナ、酸化チタン等の金属酸化物、炭化珪素、炭化タングステン等の研磨剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩等の滑剤、その他1〜50μmのポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ポリメチルメタアクリレート、ポリスチレン、シリコーン等の微粉末を添加することが好適である。此れ等の混合物、更に此れ等の微粉末を各種表面処理した外添剤を添加することも好適である。
【0050】
本発明のイエロー現像剤は、上記イエロートナーとキャリアとを混合して成るものであり、従来の公知の方法で得ることが可能で、特に制約されるものではない。
本発明に係わるイエロー現像剤に用いられるキャリアとしては、既知のキャリアは全て使用可能である。一般に二成分現像剤を構成するキャリアは導電性キャリアと絶縁性キャリアに大別される。
導電性キャリアとしては、通常、酸化又は未酸化の鉄粉が用いられる。
絶縁性キャリアとしては、一般に強磁性体よりなるキャリアコア材粒子表面を絶縁性樹脂により均一に被覆したキャリアが代表的である。キャリアをコア材としては、例えば酸化鉄(マグネタイト)、還元鉄、銅、フェライト、ニッケル、コバルト等や此れ等と亜鉛、アルミニウム等の合金等の粒子を挙げることが可能である。被覆樹脂としてはアクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、アミノ樹脂等の公知の材料の何れのものでもよい。キャリアの粒径としては20〜200μm程度のものが好ましい。又、一般的に現像剤中にはトナーを1〜30%含有することが好ましい。
【0051】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を更に詳細に説明する。但し、これによって本発明の実施の形態が何等限定されるものではない。実施例及び比較例中、部及び%は、重量部及び重量%をそれぞれ表す。
【0052】
実施例1
〔エピンドリジオン顔料の合成工程〕
ジヒドロキシフマル酸44.4部を190部のメタノールに溶解し、この溶液に無水硫酸マグネシウム60部を添加する。この懸濁液を摂氏0乃至5℃に冷却し、この温度に於いて攪拌下に塩化水素を4.5時間吹き込む。次に、この液を室温下に3日間静置した後、析出結晶を濾過する。得られた結晶を少量のメタノールで洗い、600部の冷水中に懸濁した後、迅速に濾過する。更に洗液が中性になるまで、結晶を冷水で洗浄し、70℃で乾燥することにより、下記構造のエステル45.3部を得た。
【0053】
【化3】
【0054】
次に、上記エステル44.0部をメタノール158部に懸濁させた後、この懸濁液に2,3,4−トリフルオロアニリン80.9部及び濃塩酸3部を添加し、6時間還流加熱を行う。加熱中、反応液は一旦溶液状態となった後、淡黄色結晶が析出する。反応液を5乃至10℃に冷却した後、析出結晶を濾過し、70℃で乾燥することにより、下記構造の化合物94.7部を得た。
【0055】
【化4】
【0056】
上記化合物86.8部をDowtherm A868部中に添加した懸濁液を120乃至130℃に加熱して溶液とし、この溶液を還流加熱状態のDowtherm A347部に30分間かけて添加する。その後、Dowtherm Aと生成するメタノールの混合液を除去しながら還流加熱を15分間行い、室温まで冷却する。析出結晶を石油エーテルで洗浄し、70℃で乾燥することにより下記構造の化合物61.9部を得た。
【0057】
【化5】
【0058】
ポリリン酸603部中に、攪拌下に上記化合物60.3部を添加する。この混合物を1時間で150℃まで加熱した後、145乃至150℃で2時間加熱し、その後40乃至50℃に冷却する。次に1340部のメタノールを、40乃至50℃を維持しながら徐々に添加する。添加終了後、還流加熱を90分間行い、濾過する。洗液が中性となるまで水洗を行い、乾燥することにより表1の化合物番号1で示される顔料50.0部を得た。
【0059】
〔ソルトミリング工程〕
上記顔料:250部、塩化ナトリウム:2500部、及びポリエチレングリコール300(東京化成製):160部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、3時間混練した。次にこの混合物を2.5リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした。その後、濾過、水洗を5回繰り返して塩化ナトリウム及び溶剤を除き、固形分50%の水性ペーストを得た。
【0060】
〔フラッシング工程〕
上記水性ペースト 100.0部
不飽和ポリエステル樹脂:常温固体の樹脂(E) 25.0部
メタノール 0.5部
上記原料をニーダーにて100℃に加熱しながら約30分間混合し、顔料を樹脂に移行(フラッシング)させ、樹脂に均一に分散させる。分離した水及び溶剤分をニーダーから除去した後に、残った混練物を加熱型2本ロールにて5回パスさせ、顔料高濃度チップ、即ち樹脂被覆顔料を得た。
【0061】
〔トナー形成工程〕
不飽和ポリエステル樹脂:結着樹脂(G) 100.0部
上記顔料高濃度チップ 5.0部
負帯電荷電制御剤 4.0部
次いで、上記原料をエクストルーダーにて溶融混練する。
冷却後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでジェットミルで微粉砕した後、風力分級機で平均粒径10.0μmのトナー母粒子を得る。上記トナー母粒子100.0部に酸化チタン微粉末を0.4部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーを得る。
【0062】
〔トナー評価工程〕
得られたトナーをフェライト100部に対し6部加え、ボールミル混合機で混合して現像剤を得た。この現像剤を用い市販のフルカラー複写機(CLC350、キャノン製)により画像を形成し、評価した
【0063】
実施例2
〔エピンドリジオン顔料の合成工程〕
実施例1で記したジヒドロキシフマル酸のメチルエステル44.0部をメタノール158部に懸濁させた後、この懸濁液に2,4,5−トリクロロアニリン108.1部及び濃塩酸3部を添加し、6時間還流加熱を行う。加熱中、反応液は一旦溶液状態となった後、淡黄色結晶が析出する。反応液を5乃至10℃に冷却した後、析出結晶を濾過し、70℃で乾燥することにより、下記構造の化合物109.1部を得た。
【0064】
【化6】
【0065】
上記化合物106.4部をDowtherm A1064部中に添加した懸濁液を120乃至130℃に加熱して溶液とし、この溶液を還流加熱状態のDowtherm A425部に30分間かけて添加する。その後、Dowtherm Aと生成するメタノールの混合液を除去しながら還流加熱を15分間行い、室温まで冷却する。析出結晶を石油エーテルで洗浄し、70℃で乾燥することにより下記構造の化合物82.3部を得た。
【0066】
【化7】
【0067】
ポリリン酸750部中に、攪拌下に上記化合物75.0部を添加する。この混合物を1時間で150℃まで加熱した後145乃至150℃で2時間加熱し、その後40乃至50℃に冷却する。次に1660部のメタノールを、40乃至50℃を維持しながら徐々に添加する。添加終了後、還流加熱を90分間行い、濾過する。洗液が中性となるまで水洗を行い、乾燥することにより表1の化合物番号2で示される顔料62.3部を得た。この顔料を用いて実施例1と同様にして、トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤を得、同様に評価した。
【0068】
実施例3
〔エピンドリジオン顔料の合成工程〕
エタノール78.9部中に、攪拌下にナトリウムエトキシド14.3部を添加する。ナトリウムエトキシドが完全に溶解した後、室温下に於いてシュウ酸ジエチル29.2部及びN−(3,4−ジクロロフェニル)グリシンのエチルエステル49.6部を添加し、25℃に於いて20時間攪拌する。次に、エタノールを減圧溜去し、水150部及び酢酸15部を添加し、激しく攪拌する。更にトルエン104部を添加し、少し攪拌した後室温下に静置すると、反応液は油層と水層に分離する。水層を分離し、35部のトルエンで2回抽出を行い、抽出液を油層と混合し、濾過する。濾液を120部の水で洗浄し、減圧溜去によりトルエンを除去することにより、下記構造の化合物58.4部を得た。
【0069】
【化8】
【0070】
上記の化合物52.2部、2,4,5−トリクロロアニリン29.6部及び濃塩酸1.8部をエタノール101部中に於いて3時間還流加熱を行う。次に、減圧溜去によりエタノール61部を除去した後、析出結晶を濾過し、16部のエタノールで洗浄し、70℃で乾燥することにより下記に示す二種類の構造の化合物から成る混合物48.2部を得た。
【0071】
【化9】
【0072】
【化10】
【0073】
上記化合物47.4部をDowtherm A474部中に添加した懸濁液を120乃至130℃に加熱して溶液とし、この溶液を還流加熱状態のDowtherm A190部に30分間かけて添加する。その後、Dowtherm Aと生成するメタノールの混合液を除去しながら還流加熱を15分間行い、室温まで冷却する。析出結晶を石油エーテルで洗浄し、70℃で乾燥することにより下記構造の化合物36.3部を得た。
【0074】
【化11】
【0075】
ポリリン酸336部中に、攪拌下に上記化合物33.6部を添加する。この混合物を1時間で150℃まで加熱した後145乃至150℃で2時間加熱し、その後40乃至50℃に冷却する。次に747部のメタノールを、40乃至50℃を維持しながら徐々に添加する。添加終了後、還流加熱を90分間行い、濾過する。洗液が中性となるまで水洗を行い、乾燥することにより表1の化合物番号3で示される顔料27.2部を得た。この顔料を用いて実施例1と同様して、トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤を得、同様にして評価した。
【0076】
比較例1〜3 以下の比較例1〜3では、ソルトミリングは行わず、フラッシングのみ行った例を示す。
比較例1では表1の化合物番号1、比較例2では表1の化合物番号2、比較例3では表1の化合物番号3で示される各々の顔料を、合成後の水洗終了後、濾過し、以下に示すように水性ペーストのままソルトミリング工程は行わず、フラッシング工程のみ行い、トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤を得、それぞれ同様に評価した。
【0077】
〔フラッシング工程〕
水性ペースト 125.0部
(合成終了後、水洗濾過のみ、固形分含有量40.0%)
不飽和ポリエステル樹脂:常温固体の樹脂(E) 25.0部
メタノール 0.5部
上記原料をニーダーにて100℃に加熱しながら約30分間混合し、顔料を樹脂に移行(フラッシング)させ、樹脂に均一に分散させる。分離した水及び溶剤分をニーダーから除去した後に、残った混練物を加熱型2本ロールにて5回パスさせ、顔料高濃度チップ、即ち樹脂被覆顔料を得た。
【0078】
〔トナー形成工程〕
不飽和ポリエステル樹脂:結着樹脂(G) 100.0部
上記樹脂被覆顔料 5.0部
負帯電荷電制御剤 4.0部
次いで、上記原料をエクストルーダーにて溶融混練する。
冷却後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでジェットミルで微粉砕した後、風力分級機で平均粒径10.0μmのトナー母粒子を得る。上記トナー母粒子100.0部に酸化チタン微粉末を0.4部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーを得た。
【0079】
比較例4〜6 以下の比較例4〜6では、通常の方法で形成したトナーの例を示す。即ち、ソルトミリングもフラッシングも行っていない。
比較例4では表1の化合物番号1、比較例5では表1の化合物番号2、比較例5では表1の化合物番号3で示される各々の顔料を用い、以下に示すようにソルトミリング工程も、フラッシング工程も経ずに、トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤を得、それぞれ同様に評価した。
【0080】
〔トナー形成工程〕
顔料(ソルトミリング工程を経ていない) 3.0部
不飽和ポリステル樹脂:結着樹脂(G) 100.0部
負帯電荷電制御剤 3.0部
上記各処方量をヘンシェルミキサーで予備混合を行い、二軸エクストルーダーにて溶融混練を行う。冷却後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、更にジェットミルにて微粉砕した後、風力分級機で平均粒径10.0μmのトナー母粒子を得る。上記トナー母粒子100部に酸化チタン微粉末を0.4部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーを得た。
【0081】
実施例1〜3は、エピンドリジオン顔料合成後、ソルトミリングを行い、さらにフラッシング工程を経てトナーを形成したものであり、その画像は彩度が高く鮮明な画像が得られた。また、個々の色のトナーを使った中間色も鮮明な画像が得られた。OHP用シートへ画像を形成した時に、鮮明で染料並みの著しい透明性が得られた。又、得られたトナーを熱プレスにより溶融させ、ガラス板上に均一な薄層を作り、光学顕微鏡により分散状態を観察したところ、凝集の無い非常に良好な分散状態になっていることが確認出来た。
【0082】
比較例1〜3はソルトミリングを行わず、フラッシングのみ行った例である。その画像は彩度が高く鮮明な画像が得られた。また、個々の色のトナーを使った中間色も鮮明な画像が得られた。OHP用シートへ画像を形成した時に、かなりの透明性が得られているが、実施例1〜4よりは劣り、ソルトミリングを行った効果が確認出来た。
【0083】
比較例4〜6は、実施例1〜3及び比較例1〜3で使用した顔料と樹脂を使い、同じ組み合わせで通常の製法でトナーを形成した。即ち、ソルトミリングも行わなければ、フラッシングも行わなかった。此れ等の比較例4〜6は、何れも鮮明で十分な色再現性、発色性が得られず、同一顔料を使用した実施例1と比較例1と比較例4との画像を比較すると、この順番に画質が低下し、その差は明かであった。
【0084】
【発明の効果】
ソルトミリングによって微細化した後、さらにフラッシングしてなるエピンドリジオン顔料をトナー母粒子の着色剤として用いることによって、トナー母粒子ー中の顔料粒子径を小さくでき、画像を形成したときに鮮明で十分な色再現性、発色性が得られ、特にOHP用シートの様な透明基材へ画像形成した時、鮮明で著しい透明性が得られるようになった。また、顕微鏡によるイエロートナー中の顔料の分散状態を観察したところ、凝集の無い良好な分散状態になっていることが確認出来た。
Claims (6)
- 請求項1に於ける一般式(1)で表わされる有機顔料(A)、水溶性の無機塩(B)、水溶性の溶剤(C)の少なくとも3つの成分から成る混合物を機械的に混練し、その後(B)及び(C)を水洗除去して成る処理顔料の水性ペースト(D)と、常温固体の樹脂(E)とを加熱混練した後、水分を除去して得られる樹脂被覆顔料(F)と、結着樹脂(G)とを加熱混練して成ることを特徴とする静電荷像現像用イエロートナー母粒子。
但し、式中、R1 〜R8 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子或いは塩素原子を表わし、R1 〜R4 のうち少なくとも3個はフッ素原子或いは塩素原子である。 - 請求項1に於ける一般式(1)で表わされる有機顔料(A)、水溶性の無機塩(B)、水溶性の溶剤(C)の少なくとも3つの成分から成る混合物を機械的に混練し、その後(B)及び(C)を水洗除去して成る処理顔料の水性ペースト(D)と、常温固体の樹脂(E)とを加熱混練した後、水分を除去して得られる樹脂被覆顔料(F)と、結着樹脂(G)とを加熱混練して成ることを特徴とする静電荷像現像用イエロートナー母粒子。
但し、式中、R1 とR5 、R2 とR6 、R3 とR7 、R4 とR8 はそれぞれ等しい。又、R1 〜R4 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子或いは塩素原子を表わし、少なくとも3個はフッ素原子或いは塩素原子である。 - 水溶性の溶剤(C)に対して、水溶性の無機塩(B)を重量比で2〜20倍使用することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の静電荷像現像用イエロートナー母粒子。
- 請求項1乃至4いずれか記載の静電荷像現像用イエロートナー母粒子と、外添剤とを混合して成ることを特徴とする静電荷像現像用イエロートナー。
- 請求項5記載の静電荷像現像用イエロートナーと、キャリアとを混合して成ることを特徴とするイエロー現像剤。
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