JPH11184160A - トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤 - Google Patents

トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤

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JPH11184160A
JPH11184160A JP35252597A JP35252597A JPH11184160A JP H11184160 A JPH11184160 A JP H11184160A JP 35252597 A JP35252597 A JP 35252597A JP 35252597 A JP35252597 A JP 35252597A JP H11184160 A JPH11184160 A JP H11184160A
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resin
yellow toner
water
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JP35252597A
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Masaaki Kaneko
正明 金子
Yasumasa Suda
康政 須田
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、従来のフラッシング法よりもさら
に顔料を微細に分本発明は、従来のフラッシング法より
もさらに顔料を微細に分散し、フルカラーの複写機やプ
リンター等を使用してフルカラー画像を形成した時に、
さらに鮮明で十分な色再現性、発色性が得られる静電荷
像現像用イエロートナー母粒子、及び該イエロートナー
母粒子を用いて成るイエロートナー並びにイエロー現像
剤の提供することを目的とする。 【解決手段】 下記の一般式(1)で表わされる有機顔
料(A)を硫酸に溶解させた溶液を、水中に投じて微細
な析出物とさせた後に、濾過洗浄を繰り返して成る処理
顔料の水性ペースト(B)と、常温固体の樹脂(C)と
を加熱混練した後に、水分を除去して得られる樹脂被覆
顔料(D)と、結着樹脂(F)とを加熱混練して成るこ
とを特徴とする静電荷像現像用イエロートナー母粒子。 一般式(1) 【化1】 但し、式中、R1 〜R8 はそれぞれ独立に水素原子、ハ
ロゲン原子を表わし、R1 〜R 4のうち少なくとも3個
はハロゲン原子である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真、静電記
録、静電印刷等に於ける静電潜像を現像する時に使用さ
れる静電荷像現像用イエロートナー母粒子、及び該イエ
ロートナー母粒子を使用して形成されたイエロートナー
並びにイエロー現像剤に関する。更に詳しくはマゼン
タ、シアン、及び黒色トナー等と共に用いて画像を形成
した時に、鮮明で十分な色再現性、発色性が得られる新
規のエピンドリジオン顔料を含む静電荷像現像用イエロ
ートナー母粒子、及び該イエロートナー母粒子を使用し
て形成されたイエロートナー並びにイエロー現像剤に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、複写機及びプリンター等に於いて
フルカラー画像への展開が急速に進みつつあり、その実
用化も大きくなされている。しかし写真や印刷物等と比
較すると、現在実用化されているフルカラー電子写真画
像は、必ずしも満足し得る画質まで到達しているとは言
い難い。また近年、コンピュータやハイビジョン等に進
歩発展により、更に高精細なフルカラー画像を形成する
方法が強く要望されている。この為に、フルカラー電子
写真画像を更に高品質化することが強く求められてい
る。
【0003】電子写真法は、一般に静電潜像をトナーを
用いて現像する。その方法には大きく分類して、トナー
をキャリアと呼ばれる媒体に少量分散させた二成分系現
像剤を用いる方法と、キャリアを用いない一成分系現像
剤を用いる方法がある。フルカラーの電子写真の場合、
キャリアとトナーを混合攪拌して用いる二成分系現像剤
がしばしば使用される。
【0004】フルカラー電子写真法によるカラー画像形
成は、一般に3原色であるイエロー、マゼンタ、シアン
の3色、好ましくは墨入れ用としてブラックの4色のカ
ラートナーを用いて全ての色の再現を行うものである。
その方法は例えば、先ず原稿からの光をアナログ又はデ
ジタル的に色分解し、感光体の光導電層に導き、1色目
の静電潜像を形成する。続いて現像、転写工程を経てト
ナーは、紙等の被転写材上に保持される。更に2色目以
降についても前述の工程を順次複数回行い、同一被転写
材上に複数色のトナーが重ね合わせられ、一回の定着に
よって最終のフルカラー画像が得られる。
【0005】フルカラー複写機やフルカラープリンター
等を使用して、オーバー・ヘッド・プロジェクター(以
下、OHPと省略する。)用シートのような透明基材上
にフルカラー画像を形成することも増加して来た今日、
フルカラーの画像形成に供されるトナーには、従来の最
も一般的な黒色トナーの場合と同様に、種々の特性、例
えば安定した帯電性や良好な流動性が求められる他に、
透明性、鮮明性、色再現性等が更に要求される。
【0006】当初、通常のインキや塗料に使用される顔
料をそのまま、フルカラー複写機やフルカラープリンタ
ーで使用されるフルカラートナー用の着色剤として使用
して来た。しかし、特に透明性や鮮明性で十分満足し得
る特性の顔料が得られなかった。通常のインキや塗料に
使用される顔料は、トナー用に使用される顔料と異なり
透明性や鮮明性はあまり要求されない。市場の強い要望
も在り、フルカラートナー用の着色剤として、画像を形
成した時に透明性や鮮明性が得易い顔料を新規に形成す
る必要があった。
【0007】有機顔料の中でも縮合多環系と呼ばれる一
群の顔料は、耐熱性、耐光性及び耐溶剤性等の諸耐性に
優れていることから高級顔料とも呼ばれ、これまでに種
々の顔料が開発されている。こうした中で、比較的早期
に開発された代表的な顔料としては、アントラキノン、
ペリレン、ペリノン等が知られている。次いでジオキサ
ジン、キナクリドン、イソインドリノン等が開発され、
近年ではキノフタロン、メチン系顔料等の開発が行われ
てきた。
【0008】此れ等の内で、イソインドリノン及びキノ
フタロンは特に黄色乃至橙色系の顔料として開発された
ものである。イソインドリノン系顔料は、J.Chem.Soc.,
1941,625に見られる様に1941年に最初の報告があ
る。その後、B.P.833,548、J.Paint Technol.Official D
igest,37,1071 等に見られる様に1960年代に顔料と
して用いられる様になった。特に耐候性、耐溶剤性、耐
熱性に於いて優れていることから、樹脂、繊維の着色、
塗料等に幅広く使われている。更に、近年は重金属系無
機顔料の代替としての需要も多い。キノフタロンはキナ
ルジンと無水フタル酸との縮合により合成される鮮明な
黄色化合物である。この化合物は顔料適性として、特に
耐光性と耐溶剤性を向上させる為の研究が行われ、例え
ば特公昭47-3,476に見られる様に1970年代から顔料
として使われる様になった。
【0009】縮合多環系の顔料としては他にもフルオル
ビン、エピンドリジオン等の顔料が知られている。フル
オルビンは、Ber., 36,4048 に見られる様に1903年
に初めて合成された化合物で、顔料としては、例えば特
公昭38-17,831 に見られる様に耐光性、耐溶剤性に優れ
ている。また、Ann.Chem.,518 ,245に報告されている様
に、1935年に初めて合成されたキナクリドンは、US
P2,884,484、 USP2,884,485に見られる様に1958年に
新しい赤色顔料として印刷インキ、塗料業界で広く使わ
れる様になった。これを契機として、キナクリドンに類
似した構造の化合物の探索研究が行われたが、エピンド
リジオンはその時期に研究対象とされた化合物の一つで
ある。エピンドリジオンはキナクリドンの化学構造に於
いて、中央のベンゼン環の欠けた構造であり、これはイ
ンジゴの構造異性体に相当する。この化合物は、J.Che
m.Soc.,1934,1508 に報告されている様に2,8‐ジメ
チル置換体として最初に合成され、Helv.Chim.Acta, 3
1,716に見られる様に、1948年に母体骨格が初めて
合成されている。この化合物の顔料としての特許はUSP
3,334,102のみであり、この特許ではジメトキシ、ジエ
トキシ置換体及びジ、トリ、テトラハロゲン置換体が、
耐光性、着色力に優れた顔料として記載されている。
【0010】一般に、顔料に要求される性質としては、
着色力、鮮明性、色相等の色彩的特性、耐光性、耐熱
性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐マイグレーシ
ョン性等の耐久性及び分散性、流動性等の使用適性の三
つが挙げられる。これらの要求特性のうち、色彩的特性
及び耐久性は顔料の品質に直接的に影響する性質であ
り、特に重要である。これまでに述べた縮合多環系の高
級顔料に関しても、此れ等の性質の何れに於いても、優
れた顔料は非常に限られているというのが現状であり、
優れた性質を有する新規顔料の出現が期待されている。
【0011】即ち、フルカラー画像は、上記したように
被転写材上に複数色のトナーが重ね合わさられることに
よって得られる為に、個々のトナーの光透過性が不足す
ると、色再現性が悪化し、鮮明な画像を得ることが困難
となる。特にOHP用シートの様な透明基材上にフルカ
ラー画像を形成した時にこの現象は著しく、良好な透明
画像は得難い。
【0012】その対策として顔料の分散の程度を上げ
る、即ちトナー中の顔料粒径をより小さくすることが考
えられる。一般に顔料の粒子径を小さくして分散度を上
げていくと顔料分散体の透明性が向上する。しかし、サ
ンドミル、3本ロールミル、ボールミル、エクストルー
ダー等の通常の分散機は、主に顔料の二次粒子(一次粒
子が弱く凝集している)を壊して一次粒子にするだけで
あり、此れ等の通常の分散機では、顔料をより微細化す
ることは困難である。高速のサンドミル等を用いること
によって、顔料の種類によっては更に顔料を微細化する
ことも可能ではあるが、非常に多大なエネルギーを必要
とする。
【0013】顔料の一次粒子を微細化する手段として、
顔料を濃硫酸、ポリリン酸等の強酸に溶解したものを冷
水に投入して、顔料を微細粒子として析出させる方法が
知られている。この方法では顔料の強酸に対する溶解性
や安定性の点で、用い得る顔料が著しく限定される。
又、この方法で微細化した顔料は、乾燥すると強い二次
凝集を起こす為に、乾燥したものを一次粒子まで再分散
することは非常に困難であり、また分散性を改良する方
法としてはアルコール等の溶剤中で加熱処理することが
知られているが、望ましくない結晶成長を起こし、顔料
粒径が大きくなる。
【0014】他の方法として、顔料と固形樹脂を加熱し
ながら2本ロールやバンバリーミキサー等で強力に練り
込む方法も知られている。しかし、顔料は一般に高温下
では結晶成長する為に、本方法では機械的な破砕力と結
晶成長が平衡状態になった時に終点となり、顔料の微細
化には限界がある。
【0015】更に顔料の一次粒子を細かくする方法とし
て、顔料と食塩等の水溶性無機塩の混合物を少量の水溶
性の溶剤で湿潤したものを、ニーダー等で強く練り込ん
だ後、無機塩と溶剤を水洗除去、乾燥して一次粒子の細
かい顔料を得る方法がある。この方法は、一般には食塩
を磨砕剤として用い、粗製銅フタロシアニンを水溶性の
有機溶剤の共存下で機械的に磨砕するβ型銅フタロシア
ニンの顔料化方法として知られている。この場合、水溶
性の有機溶剤は、粘結剤としての働きとβ型結晶がニー
ダーによる機械的剪断力によるα型結晶に結晶転移する
のを防ぐ為に用いられる。一般的には、この方法はソル
ベントソルトミリングと呼ばれ、単に磨砕剤を用いない
で機械的に微細化する方法(ドライミリングと呼ばれて
いる)とは区別されている。又、広義ではソルベントを
用いないソルトミリングもドライミングと呼ばれる。
【0016】しかし、この方法では乾燥の際に顔料の強
い二次凝集を起こし易く、顔料粒径が大きくなってしま
う問題がある。
【0017】顔料を乾燥する前の顔料を高濃度に含有す
る水性スラリーや水性ペーストに、樹脂又は樹脂溶液を
添加し、混合攪拌し、顔料の周囲の水分を樹脂又は樹脂
溶液で置換した後、水分及び溶剤を除去する方法を一般
にフラッシングと言う。この方法は顔料を乾燥させる工
程がないので顔料の凝集が起き難く、顔料粒子を細かい
状態のまま樹脂で被覆することができるので、かかる方
法による処理顔料を用いると品位の高い顔料分散体が得
られる。
【0018】カラートナーによるフルカラー画像の形成
が一般的になるに連れて、ユーザーの要望品位が向上
し、電子写真に於いても通常の銀塩写真並みの品位が求
められるようになって来た。そこで、フラッシングを使
用して形成しても、従来のカラートナーの必要とする改
良点として、次のことを挙げることが出来る。 トナー中の顔料の分散を更に改良し、画像を形成した
時の光透過性が改善して、同一転写材上に複数色のトナ
ーが重ね合わせられてフルカラー画像を形成した時に、
オリジナルにより近い色再現性を得られるようにする。 トナー中の顔料の分散が更に良くして、顔料が十分に
発色させ、濃度の濃い良好な画像を得られるようにす
る。
【0019】OHP用シートのような透明基材上にフ
ルカラー画像を形成すると、トナーの光透過性が不足し
た時には、画像が暗く、映写した時の色再現性を得るこ
とが困難となるばかりでなく、鮮明性に著しく欠けたも
のとなり、良好な透明画像が得られない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のフラ
ッシング法よりもさらに顔料を微細に分散し、フルカラ
ーの複写機やプリンター等を使用してフルカラー画像を
形成した時に、さらに鮮明で十分な色再現性、発色性が
得られる静電荷像現像用イエロートナー母粒子、及び該
イエロートナー母粒子を用いて成るイエロートナー並び
にイエロー現像剤の提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の一般式
(1)で表わされる有機顔料(A)を硫酸に溶解させた
溶液を、水中に投じて微細な析出物とさせた後に、濾過
洗浄を繰り返して成る処理顔料の水性ペースト(B)
と、常温固体の樹脂(C)とを加熱混練した後に、水分
を除去して得られる樹脂被覆顔料(D)と、結着樹脂
(F)とを加熱混練して成ることを特徴とする静電荷像
現像用イエロートナー母粒子である。
【0022】一般式(1)
【0023】
【化2】
【0024】但し、式中、R1 〜R8 はそれぞれ独立に
水素原子、ハロゲン原子を表わし、R1 〜R 4のうち少
なくとも3個はハロゲン原子である。
【0025】第2の発明は、第1の発明に於ける一般式
(1)で表わされる有機顔料(A)を硫酸に溶解させた
溶液を、水中に投じて微細な析出物とさせた後に、濾過
洗浄を繰り返して成る処理顔料の水性ペースト(B)
と、常温固体の樹脂(C)とを加熱混練した後に、水分
を除去して得られる樹脂被覆顔料(D)と、結着樹脂
(E)とを加熱混練して成ることを特徴とする静電荷像
現像用イエロートナー母粒子である。但し、式中、R1
〜R8 はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子或いは塩
素原子を表わし、R1 〜R4 のうち少なくとも3個はフ
ッ素原子或いは塩素原子である。
【0026】第3の発明は、第1の発明に於ける一般式
(1)で表わされる有機顔料(A)を硫酸に溶解させた
溶液を、水中に投じて微細な析出物とさせた後に、濾過
洗浄を繰り返して成る処理顔料の水性ペースト(B)
と、常温固体の樹脂(C)とを加熱混練した後に、水分
を除去して得られる樹脂被覆顔料(D)と、結着樹脂
(E)とを加熱混練して成ることを特徴とする静電荷像
現像用イエロートナー母粒子である。但し、式中、R1
とR5 、R2 とR6 、R3 とR7 、R4 とR8 はそれぞ
れ等しい。又、R1 〜R4 はそれぞれ独立に水素原子、
フッ素原子或いは塩素原子を表わし、少なくとも3個は
フッ素原子或いは塩素原子である。
【0027】第4の発明は、有機顔料(A)を硫酸に溶
解させた溶液を、連続して流れている水中に投じること
を特徴とする第1乃至第3の発明いずれか記載の静電荷
像現像用イエロートナー母粒子である。
【0028】第5の発明は、第1乃至第4の発明いずれ
か記載の静電荷像現像用イエロートナー母粒子と、外添
剤とを混合して成ることを特徴とする静電荷像現像用イ
エロートナーである。
【0029】第6の発明は、第5の発明記載の静電荷像
現像用イエロートナーと、キャリアとを混合して成るこ
とを特徴とするイエロー現像剤である。
【0030】上記一般式(1)で表される化合物の例を
例示化合物として次の表1にまとめて示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【0033】
【0034】
【発明の実施の形態】通常、エピンドリジオンは有機溶
媒に対して極めて難溶であるという性質を有している。
J.Org.Chem.,33,4004(1968) では、この性質が分子構造
中のカルボニル基の酸素と他の分子構造中のイミド基の
水素原子との間の強い分子間水素結合に起因するもので
あり、この分子間水素結合は溶液状態よりも固体状態に
於いてより顕著に観測されることが報告されている。
又、インジゴの場合には分子間水素結合により、溶液中
のスペクトルに対して固体状態のそれが長波長に遷移す
ることが知られている。エピンドリジオンの場合の観測
結果もこのインジゴの場合の結果に類似していることか
ら、同様な分子間水素結合の存在が推測されている。
【0035】本発明において用いるエピンドリジオン顔
料の化学構造上の特徴は分子を構成するベンゼン環に少
なくとも3個のハロゲン原子を有することにある。この
様なハロゲン原子の導入は、エピンドリジオンの分子間
力に変化をもたらし、その結果として色彩的特性及び諸
特性に関して均衡のとれた性質の顔料を得ることが出来
る。
【0036】本発明において用いるエピンドリジオン顔
料の製造法は、顔料の化学構造が対称或いは非対称のど
ちらかであるかにより異なる。対称な化学構造の場合に
は、ジヒドロキシフマル酸のエステル化、ハロゲン化ア
ニリンとの脱水縮合、続いて二段階の縮合環化行程とい
う四段階の行程から製造することが出来る。又、非対称
な化学構造の場合には、次の方法により製造することが
出来る。先ずハロゲン化フェニル基で窒素原子の置換さ
れたグリシンのエステルとシュウ酸ジエステルとからハ
ロゲン化フェニルアミノ基で置換されたオキサル酢酸ジ
エステルを合成する。次にハロゲン化アニリンと反応さ
せることにより、隣り合う炭素原子がそれぞれ異なるハ
ロゲン化フェニルアミノ基で置換されたマレイン酸及び
フマル酸ジエステルの混合物が合成される。この混合物
に対して既に述べた対称構造の場合と同様に、二段階の
縮合環化行程を施すことによりエピンドリジオン顔料を
製造することが出来る。
【0037】本発明において用いるエピンドリジオン顔
料は、色彩的特性、とりわけフルカラー用静電荷像現像
用トナーの着色剤として使用した時に、透明性や鮮明性
が得易い特徴を有している。更に本発明は、このエピン
ドリジオン顔料を硫酸に溶解させた溶液を水中に投じて
微細な析出物とし(以下この工程をアシッドペースティ
ングと呼ぶ)、濾過洗浄を繰り返して得られた処理顔料
の水性ペースト(B)を、フラッシング法により常温固
体の樹脂(C)中に分散させて、樹脂被覆顔料(D)を
得て、これをトナー母粒子の着色剤として用いることに
よって、特にエピンドリジオン顔料を硫酸に溶解させた
溶液を、連続して流れている水の中に投じることによっ
て製造した微細な析出物とし、濾過洗浄を繰り返して得
られた処理顔料の水性ペースト(B)を、フラッシング
法により常温固体の樹脂(C)中に分散させて得られた
樹脂被覆顔料(D)を用いることによって、従来より鮮
明で且つ鮮明性に優れた画像を得ることが出来る様にな
ったものである。
【0038】本発明においてエピンドリジオン顔料を濃
硫酸に溶解させた液を水中に投入する際、連続して流れ
ている水の中に注ぐことによって操作の最初の段階から
最後の段階まで常に一定の条件が保たれるので安定して
微細な粒子が生成されるばかりでなく、一定した品質の
ものを得ることが出来る。もし此処で此の顔料等を濃硫
酸に溶解させた液を滞留させた水中に投入すると、硫酸
が水に溶解する時の溶解熱によって液温が急激に上昇す
る。液温が上昇すると危険であるばかりでなく、微細化
した有機顔料の結晶が成長してしまう傾向にあるので、
連続して流れている水の中に注ぐことが好ましい。
【0039】詳しくは、本発明で使用する連続して流れ
る水とは水圧が0.5〜4.5Kg/cm2の管、チューブを
流れる水を意味する。この連続して流れている水に有機
顔料等を濃硫酸に溶解させた液を投入するには、水流ア
スピレーターを用いて定量的に行うか、有機顔料を濃硫
酸に溶解させた液を0.5〜4.5Kg/cm2に加圧して細
管から連続して流れている水に噴射するのが好ましい。
【0040】アシッドペースティング処理後の好ましい
顔料の粒子径としては、遠心沈降法による平均粒径に於
いて0.2μm以下、更に好ましくは、0.1μm以下
である。この様な粒径であると、画像を形成した時に、
鮮明で十分な色再現性、発色性が得易いことが判ってい
る。
【0041】本発明においてエピンドリジオン顔料を濃
硫酸に溶解させた液を連続して流れる水に接触させて有
機顔料等を析出させた水溶液は濾過して水と生成物を分
離し、水、イオン交換水或いは薄い濃度のアルカリ性水
溶液、例えば苛性ソーダや苛性カリウム等の水溶液で洗
浄し、固形分含有量10〜40重量%のペースト状にす
るのが良い。更に精製水にて濾過洗浄を繰り返して、エ
ピンドリジオン顔料、即ち処理顔料の水性ペースト
(B)を得る。更に顔料粒子の凝集の原因となる乾燥工
程を避ける為に、フラッシング工程を採用し、微細化し
た顔料粒子を常温固体の樹脂(C)に直接分散させるこ
とにした。
【0042】本発明における樹脂被覆顔料(D)は、例
えば以下のようにして得ることができる。処理顔料の水
性ペースト(B)を、ニーダー若しくはスーパーミキサ
ー等の混合分散機に移し、常温固体の樹脂(C)、必要
に応じてその他添加剤等を加えて混合攪拌を行う。この
時に必要に応じて加熱してもよい。約10〜20分で顔
料分が樹脂に移行する。分離した水分をデカンテーショ
ンにより除去し、残った混練物を必要に応じて加熱し2
本又は3本ロールを使用して水分を除去し、樹脂被覆顔
料(D)(顔料高濃度チップ)を得ればよい。
【0043】常温固体の樹脂(C)即ちフラッシングに
用いることの出来る樹脂として、公知のものを含めて広
く使用可能である。画像の透明性を考慮して、無色透明
の樹脂の方がより好適である。例えばアクリルニトリ
ル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド、メタアク
リルアミド、及びそれらの混合物等のスチレン−アクリ
ル系、ポリエステル系等の公知の樹脂が全て使用可能で
ある。この他にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリス
チレン、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化樹脂、ス
チレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹
脂、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、エポ
キシ樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリ
コーン樹脂、ロジン・エステル、ロジン等を挙げること
が出来る。何れの樹脂もその製造方法は特に制約される
ものではない。
【0044】本発明のイエロートナー母粒子は、常法に
従い、得ることが出来る。即ち、上記樹脂被覆顔料
(D)に結着樹脂(E)、必要に応じてその他荷電制御
剤や添加剤等を加えて、ヘンシェルミキサー等で予備混
合を行う。その後エクストルーダー等により希釈、溶融
混練を行う。次いで冷却後ハンマーミル等で粗粉砕し、
ジェットミル等で微粉砕する。その後に風力分級機等で
分級し、平均粒径5〜20μm程度の所定の粒度分布を
有する分級品、即ちイエロートナー母粒子を得る。
【0045】結着樹脂(E)、即ちフラッシング後の溶
融混練に用いることの出来る樹脂として、公知のものを
含めて広く使用出来る。画像の透明性を考慮して、無色
透明の樹脂の方がより好適である。樹脂(C)と同じ種
類の樹脂が使用可能だが、必ずしも結着樹脂(E)は樹
脂(C)と一致している必要は無い。
【0046】本発明のイエロートナー母粒子に、荷電制
御剤を配合することも好ましい。荷電制御剤としては、
正・負帯電いずれも公知のものが全て使用出来るが、画
像の色調に影響を与えない無色又は淡色の荷電制御剤が
好ましい。例えばアルキル置換サリチル酸の金属錯体
(例えばジターシャリーブチルサリチル酸のクロム錯
体、アルミニウム錯体、又は亜鉛錯体等)のような有機
金属錯体等を挙げることが出来る。
【0047】本発明のイエロートナー母粒子には、流動
性向上剤、クリーニング助剤等として、種々の粒子を外
添剤として配合することも好ましい。外添剤としては公
知のものが全て使用出来る。例えば0.01〜0.5μ
mのシリカ、アルミナ、酸化チタン等の金属酸化物、炭
化珪素、炭化タングステン等の研磨剤、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩等の滑
剤、その他1〜50μmのポリテトラフロロエチレン、
ポリビニリデンフロライド、ポリメチルメタアクリレー
ト、ポリスチレン、シリコーン等の微粉末を添加するこ
とが好適である。此れ等の混合物、更に此れ等の微粉末
を各種表面処理した外添剤を添加することも好適であ
る。
【0048】本発明のイエロー現像剤は、上記イエロー
トナーとキャリアとを混合して成るものであり、従来の
公知の方法で得ることが可能で、特に制約されるもので
はない。本発明のイエロー現像剤に用いられるキャリア
としては、既知のキャリアは全て使用可能である。一般
に二成分現像剤を構成するキャリアは導電性キャリアと
絶縁性キャリアに大別される。導電性キャリアとして
は、通常、酸化又は未酸化の鉄粉が用いられる。絶縁性
キャリアとしては、一般に強磁性体よりなるキャリアコ
ア材粒子表面を絶縁性樹脂により均一に被覆したキャリ
アが代表的である。キャリアをコア材としては、例えば
酸化鉄(マグネタイト)、還元鉄、銅、フェライト、ニ
ッケル、コバルト等や此れ等と亜鉛、アルミニウム等の
合金等の粒子を挙げることが可能である。被覆樹脂とし
てはアクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウ
レタン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リカーボネイト樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹
脂、セルロース樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹
脂、アミノ樹脂等の公知の材料の何れのものでもよい。
キャリアの粒径としては20〜200μm程度のものが
好ましい。又、一般的に現像剤中にはトナーを1〜30
%含有することが好ましい。
【0049】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を
更に詳細に説明する。但し、これによって本発明の実施
の形態が何等限定されるものではない。実施例及び比較
例中、部及び%は、重量部及び重量%をそれぞれ表す。
【0050】実施例1 〔エピンドリジオン顔料の合成工程〕ジヒドロキシフマ
ル酸44.4部を190部のメタノールに溶解し、この
溶液に無水硫酸マグネシウム60部を添加する。この懸
濁液を摂氏0乃至5℃に冷却し、この温度に於いて攪拌
下に塩化水素を4.5時間吹き込む。次に、この液を室
温下に3日間静置した後、析出結晶を濾過する。得られ
た結晶を少量のメタノールで洗い、600部の冷水中に
懸濁した後、迅速に濾過する。更に洗液が中性になるま
で、結晶を冷水で洗浄し、70℃で乾燥することによ
り、下記構造のエステル45.3部を得た。
【0051】
【化3】
【0052】次に、上記エステル44.0部をメタノー
ル158部に懸濁させた後、この懸濁液に2,3,4−
トリフルオロアニリン80.9部及び濃塩酸3部を添加
し、6時間還流加熱を行う。加熱中、反応液は一旦溶液
状態となった後、淡黄色結晶が析出する。反応液を5乃
至10℃に冷却した後、析出結晶を濾過し、70℃で乾
燥することにより、下記構造の化合物94.7部を得
た。
【0053】
【化4】
【0054】上記化合物86.8部をDowtherm A868
部中に添加した懸濁液を120乃至130℃に加熱して
溶液とし、この溶液を還流加熱状態のDowtherm A347
部に30分間かけて添加する。その後、Dowtherm Aと生
成するメタノールの混合液を除去しながら還流加熱を1
5分間行い、室温まで冷却する。析出結晶を石油エーテ
ルで洗浄し、70℃で乾燥することにより下記構造の化
合物61.9部を得た。
【0055】
【化5】
【0056】ポリリン酸603部中に、攪拌下に上記化
合物60.3部を添加する。この混合物を1時間で15
0℃まで加熱した後、145乃至150℃で2時間加熱
し、その後40乃至50℃に冷却する。次に1340部
のメタノールを、40乃至50℃を維持しながら徐々に
添加する。添加終了後、還流加熱を90分間行い、濾過
する。洗液が中性となるまで水洗を行い、乾燥し表1の
化合物番号1で示される顔料48.8部を得た。
【0057】〔アシッドペースティング工程〕得られた
顔料30部と硫酸300部を1リットルのガラスビーカ
ーに量り入れ、1時間攪拌し十分に溶解させる。この溶
解溶液全量をゲージ圧で3.50Kg/cm2で設定した水流
に接続したアスピレーターを通して1分間で滴下した。
析出物を濾取し、pH7.0まで水洗して固形分10.
50%の水性ペーストを得た。更に濾取、水で洗浄し、
固形分含有量40.0%の水性ペースト、即ち処理顔料
の水性ペースト(B)を得た。
【0058】 〔フラッシング工程〕 上記水性ペースト(B) 125.0部 不飽和ポリエステル樹脂:常温固体の樹脂(C) 25.0部 メタノール 0.5部 上記原料をニーダーにて100℃に加熱しながら約30
分間混合し、顔料を樹脂に移行(フラッシング)させ、
樹脂に均一に分散させる。分離した水及び溶剤分をニー
ダーから除去した後に、残った混練物を加熱型2本ロー
ルにて5回パスさせ、顔料高濃度チップ、即ち樹脂被覆
顔料(D)を得た。
【0059】 〔トナー形成工程〕 不飽和ポリエステル樹脂:結着樹脂(E) 100.0部 上記樹脂被覆顔料(D) 5.0部 負帯電荷電制御剤 4.0部 次いで、上記原料をエクストルーダーにて溶融混練す
る。冷却後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでジ
ェットミルで微粉砕した後、風力分級機で平均粒径1
0.0μmのトナー母粒子を得る。上記トナー母粒子1
00.0部に酸化チタン微粉末を0.4部添加し、ヘン
シェルミキサーで混合して、トナーを得る。
【0060】〔トナー評価工程〕得られたトナーをフェ
ライト100部に対し6部加え、ボールミル混合機で混
合して現像剤を得た。この現像剤を用い市販のフルカラ
ー複写機(CLC350、キャノン製)により画像を得
て、評価した。
【0061】実施例2 〔エピンドリジオン顔料の合成工程〕実施例1で記した
ジヒドロキシフマル酸のメチルエステル44.0部をメ
タノール158部に懸濁させた後、この懸濁液に2,
4,5−トリクロロアニリン108.1部及び濃塩酸3
部を添加し、6時間還流加熱を行う。加熱中、反応液は
一旦溶液状態となった後、淡黄色結晶が析出する。反応
液を5乃至10℃に冷却した後、析出結晶を濾過し、7
0℃で乾燥することにより、下記構造の化合物109.
1部を得た。
【0062】
【化6】
【0063】上記化合物106.4部をDowtherm A10
64部中に添加した懸濁液を120乃至130℃に加熱
して溶液とし、この溶液を還流加熱状態のDowtherm A4
25部に30分間かけて添加する。その後、Dowtherm A
と生成するメタノールの混合液を除去しながら還流加熱
を15分間行い、室温まで冷却する。析出結晶を石油エ
ーテルで洗浄し、70℃で乾燥することにより下記構造
の化合物82.3部を得た。
【0064】
【化7】
【0065】ポリリン酸750部中に、攪拌下に上記化
合物75.0部を添加する。この混合物を1時間で15
0℃まで加熱した後145乃至150℃で2時間加熱
し、その後40乃至50℃に冷却する。次に1660部
のメタノールを、40乃至50℃を維持しながら徐々に
添加する。添加終了後、還流加熱を90分間行い、濾過
する。洗液が中性となるまで水洗を行い、濾取し、表1
の化合物番号2で示される顔料を得、以下実施例1と同
様にしてアシッドペースティングを行い、固形分含有量
40.0%の水性ペースト150を得、この水性ペース
トを用いて実施例1と同様にフラッシング等を行い、ト
ナー母粒子、及びトナー並びに現像剤を得、同様に評価
した。
【0066】実施例3 〔エピンドリジオン顔料の合成工程〕エタノール78.
9部中に、攪拌下にナトリウムエトキシド14.3部を
添加する。ナトリウムエトキシドが完全に溶解した後、
室温下に於いてシュウ酸ジエチル29.2部及びN−
(3,4−ジクロロフェニル)グリシンのエチルエステ
ル49.6部を添加し、25℃に於いて20時間攪拌す
る。次に、エタノールを減圧溜去し、水150部及び酢
酸15部を添加し、激しく攪拌する。更にトルエン10
4部を添加し、少し攪拌した後室温下に静置すると、反
応液は油層と水層に分離する。水層を分離し、35部の
トルエンで2回抽出を行い、抽出液を油層と混合し、濾
過する。濾液を120部の水で洗浄し、減圧溜去により
トルエンを除去することにより、下記構造の化合物5
8.4部を得た。
【0067】
【化8】
【0068】上記の化合物52.2部、2,4,5−ト
リクロロアニリン29.6部及び濃塩酸1.8部をエタ
ノール101部中に於いて3時間還流加熱を行う。次
に、減圧溜去によりエタノール61部を除去した後、析
出結晶を濾過し、16部のエタノールで洗浄し、70℃
で乾燥することにより下記に示す二種類の構造の化合物
から成る混合物48.2部を得た。
【0069】
【化9】
【0070】
【化10】
【0071】上記化合物47.4部をDowtherm A474
部中に添加した懸濁液を120乃至130℃に加熱して
溶液とし、この溶液を還流加熱状態のDowtherm A190
部に30分間かけて添加する。その後、Dowtherm Aと生
成するメタノールの混合液を除去しながら還流加熱を1
5分間行い、室温まで冷却する。析出結晶を石油エーテ
ルで洗浄し、70℃で乾燥することにより下記構造の化
合物36.3部を得た。
【0072】
【化11】
【0073】ポリリン酸336部中に、攪拌下に上記化
合物33.6部を添加する。この混合物を1時間で15
0℃まで加熱した後145乃至150℃で2時間加熱
し、その後40乃至50℃に冷却する。次に747部の
メタノールを、40乃至50℃を維持しながら徐々に添
加する。添加終了後、還流加熱を90分間行い、濾過す
る。洗液が中性となるまで水洗を行い、濾取し、表1の
化合物番号3で示され顔料の固形分含有量40.0%の
水性ペースト70部を得た。この水性ペーストを用いて
実施例1と同様にフラッシング等を行い、トナー母粒
子、及びトナー並びに現像剤を得、同様に評価した。
【0074】比較例1〜3 以下の比較例1〜3では、アシッドペースティングは行
わず、フラッシングのみ行った例を示す。比較例1では
表1の化合物番号1、比較例2では表1の化合物番号
2、比較例3では表1の化合物番号3で示される各々の
顔料を、以下に示すように合成後の水洗終了後、濾過
し、水性ペーストのまま用いアシッドペースティング工
程は行わず、フラッシング工程のみ行い、トナー母粒
子、及びトナー並びに現像剤を得、同様に評価した。
【0075】 〔フラッシング工程〕 水性ペースト 125.0部 (合成終了後、水洗濾過のみ、固形分含有量40.0%) 不飽和ポリエステル樹脂:常温固体の樹脂(C) 25.0部 メタノール 0.5部 上記原料をニーダーにて100℃に加熱しながら約30
分間混合し、顔料を樹脂に移行(フラッシング)させ、
樹脂に均一に分散させる。分離した水及び溶剤分をニー
ダーから除去した後に、残った混練物を加熱型2本ロー
ルにて5回パスさせ、顔料高濃度チップ、即ち樹脂被覆
顔料(D)を得た。
【0076】 〔トナー形成工程〕 不飽和ポリエステル樹脂、結着樹脂(E) 100.0部 上記樹脂被覆顔料(D) 5.0部 負帯電荷電制御剤 4.0部 次いで、上記原料をエクストルーダーにて溶融混練す
る。冷却後、ハンマーミルを用いて粗粉砕し、次いでジ
ェットミルで微粉砕した後、風力分級機で平均粒径1
0.0μmのトナー母粒子を得る。上記トナー母粒子1
00.0部に酸化チタン微粉末を0.4部添加し、ヘン
シェルミキサーで混合して、トナーを得た。
【0077】比較例4〜6 以下の比較例4〜6では、通常の方法で形成したトナー
の例を示す。即ち、ソルトミリングもフラッシングも行
っていない。比較例4では表1の化合物番号1、比較例
5では表1の化合物番号2、比較例6では表1の化合物
番号3で示される各々の顔料を用い、以下のようにし
て、アシッドペースティング工程も、フラッシング工程
も経ずに、トナー母粒子、及びトナー並びに現像剤を
得、同様に評価した。
【0078】 〔トナー形成工程〕 顔料(アシッドペースティング、フラッシング工程を経ていない) 3.0部 不飽和ポリステル樹脂(実施例1と同じ) 100.0部 負帯電荷電制御剤 3.0部 上記各処方量をヘンシェルミキサーで予備混合を行い、
二軸エクストルーダーにて溶融混練を行う。冷却後、ハ
ンマーミルを用いて粗粉砕し、更にジェットミルにて微
粉砕した後、風力分級機で平均粒径10.0μmのトナ
ー母粒子を得る。上記トナー母粒子100部に酸化チタ
ン微粉末を0.4部添加し、ヘンシェルミキサーで混合
して、トナーを得た。
【0079】実施例1〜3は、エピンドリジオン顔料合
成後、アシッドペースティングを行い、フラッシング工
程を経てトナーを得たが、その画像は彩度が高く鮮明な
画像が得られた。また、個々の色のトナーを使った中間
色も鮮明な画像が得られた。OHP用シートへ画像を形
成した時に、鮮明で染料並みの著しい透明性が得られ
た。又、得られたトナーを熱プレスにより溶融させ、ガ
ラス板上に均一な薄層を作り、光学顕微鏡により分散状
態を観察したところ、凝集の無い非常に良好な分散状態
になっていることが確認出来た。
【0080】比較例1〜3はアシッドペースティングを
行わず、フラッシングのみ行った例である。その画像は
彩度が高く鮮明な画像が得られた。また、個々の色のト
ナーを使った中間色も鮮明な画像が得られた。OHP用
シートへ画像を形成した時に、かなりの透明性が得られ
ているが、実施例1〜3よりは劣り、アシッドペーステ
ィングを行った効果が確認出来た。
【0081】比較例4〜6は、実施例1〜3及び比較例
1〜3で使用した顔料と樹脂を使い、同じ組み合わせで
通常の製法でトナーを形成した。即ち、アシッドペース
ティングも行わなければ、フラッシングも行わなかっ
た。此れ等の比較例4〜6は、何れも鮮明で十分な色再
現性、発色性が得られず、同一顔料を使用した実施例1
と比較例1と比較例4との画像を比較すると、この順番
に画質が低下し、その差は明かであった。
【0082】
【発明の効果】アシッドペースティングによって微細化
し、さらにフラッシングしてなるエピンドリジオン顔料
を着色剤として用いることによって、トナー母粒子中の
顔料粒子径を小さくすることができ、鮮明で十分な色再
現性、発色性が得られるようになった。特にOHP用シ
ートの様な透明基材へ画像形成した時、鮮明で著しい透
明性が得られるようになった。光学顕微鏡によるイエロ
ートナー母粒子中の顔料の分散状態を観察したところ、
凝集の無い良好な分散状態になっていることが確認出来
た。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1)で表わされる有機顔
    料(A)を硫酸に溶解させた溶液を、水中に投じて微細
    な析出物とさせた後に、濾過洗浄を繰り返して成る処理
    顔料の水性ペースト(B)と、常温固体の樹脂(C)と
    を加熱混練した後に、水分を除去して得られる樹脂被覆
    顔料(D)と、結着樹脂(E)とを加熱混練して成るこ
    とを特徴とする静電荷像現像用イエロートナー母粒子。 一般式(1) 【化1】 但し、式中、R1 〜R8 はそれぞれ独立に水素原子、ハ
    ロゲン原子を表わし、R1 〜R 4のうち少なくとも3個
    はハロゲン原子である。
  2. 【請求項2】 請求項1に於ける一般式(1)で表わさ
    れる有機顔料(A)を硫酸に溶解させた溶液を、水中に
    投じて微細な析出物とさせた後に、濾過洗浄を繰り返し
    て成る処理顔料の水性ペースト(B)と、常温固体の樹
    脂(C)とを加熱混練した後に、水分を除去して得られ
    る樹脂被覆顔料(D)と、結着樹脂(E)とを加熱混練
    して成ることを特徴とする静電荷像現像用イエロートナ
    ー母粒子。但し、式中、R1 〜R8 はそれぞれ独立に水
    素原子、フッ素原子或いは塩素原子を表わし、R1 〜R
    4 のうち少なくとも3個はフッ素原子或いは塩素原子で
    ある。
  3. 【請求項3】 請求項1に於ける一般式(1)で表わさ
    れる有機顔料(A)を硫酸に溶解させた溶液を、水中に
    投じて微細な析出物とさせた後に、濾過洗浄を繰り返し
    て成る処理顔料の水性ペースト(B)と、常温固体の樹
    脂(C)とを加熱混練した後に、水分を除去して得られ
    る樹脂被覆顔料(D)と、結着樹脂(E)とを加熱混練
    して成ることを特徴とする静電荷像現像用イエロートナ
    ー母粒子。但し、式中、R1 とR5 、R2 とR6 、R3
    とR7 、R4 とR8 はそれぞれ等しい。又、R1 〜R4
    はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子或いは塩素原子
    を表わし、少なくとも3個はフッ素原子或いは塩素原子
    である。
  4. 【請求項4】 有機顔料(A)を硫酸に溶解させた溶液
    を、連続して流れている水中に投じることを特徴とする
    請求項1乃至3いずれか記載の静電荷像現像用イエロー
    トナー母粒子。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4いずれか記載の静電荷像
    現像用イエロートナー母粒子と、外添剤とを混合して成
    ることを特徴とする静電荷像現像用イエロートナー。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の静電荷像現像用イエロー
    トナーと、キャリアとを混合して成ることを特徴とする
    イエロー現像剤。
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