JPH11145667A - 電気機器 - Google Patents

電気機器

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JPH11145667A
JPH11145667A JP32213497A JP32213497A JPH11145667A JP H11145667 A JPH11145667 A JP H11145667A JP 32213497 A JP32213497 A JP 32213497A JP 32213497 A JP32213497 A JP 32213497A JP H11145667 A JPH11145667 A JP H11145667A
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coating film
photosensitive composition
porous coating
air
air hole
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Application number
JP32213497A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Hegi
靖博 枌
Hitoshi Doi
仁 土居
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Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01HELECTRIC SWITCHES; RELAYS; SELECTORS; EMERGENCY PROTECTIVE DEVICES
    • H01H9/00Details of switching devices, not covered by groups H01H1/00 - H01H7/00
    • H01H9/02Bases, casings, or covers
    • H01H9/04Dustproof, splashproof, drip-proof, waterproof, or flameproof casings
    • H01H9/047Dustproof, splashproof, drip-proof, waterproof, or flameproof casings provided with venting means

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  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Cooling Or The Like Of Electrical Apparatus (AREA)
  • Filtering Materials (AREA)
  • Filtering Of Dispersed Particles In Gases (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 開閉器などでは、接点の開閉時に発生した硝
酸等の腐食性ガスを排出するため、小さな空気孔部をケ
ースに開口しているが、この空気孔部から塵埃等の異物
が侵入すると接点等に付着し、開閉器が動作不良を起こ
すことがあった。 【解決手段】 ケース2の空気孔部5に感光性組成物6
aを塗布し、電磁波を照射することによって硬化させ、
通気性を有する多孔質塗膜6を空気孔部5に形成した。
この感光性組成物6aは、光重合性モノマーと、前
記光重合性モノマーに対して非相溶である物質と、前
記光重合性モノマー及び前記非相溶物質の両方に対して
溶解性のある共通の溶媒と、前記光重合性モノマーを
電磁波照射により硬化させるための光重合開始剤とを含
む液体であって、紫外線を照射すると硬化して通気性を
有する多孔質の被膜が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気機器に関する。
特に、回路切替制御用や電流遮断用の開閉器(リレー
等)の電気機器において、空気孔部にフィルタ機能を持
たせたものに関する。
【0002】
【従来の技術】密閉型小形開閉器の内部においては、開
閉接点間に発生する放電のエネルギーにより、空気の主
成分である窒素N2と酸素O2から、N22、NO、NO
2など窒素及び酸素の化合物が生成することは従来から
知られている。さらに、密閉型小型開閉器の内部に水分
や湿気が存在していると、化学反応により硝酸HNO3
が生成する。
【0003】硝酸の生成するメカニズムは以下の通りで
ある。まず、放電エネルギーによりN2とO2が化学変化
を起こし、NOとO3が発生する。 N2+O2 → 2NO …(1) 3O2 → 2O3 …(2) さらに、NOはO3又はO2と反応して次のようになる。 NO + O3 → NO2 + O2 …(3) 2NO + O2 → 2NO2 …(4) このとき水(水分又は湿気)が存在すると、 2NO2 + H2O → HNO2 + HNO3 …(5) となる。
【0004】反応式(5)において硝酸HNO3と同時に
生ずる亜硝酸HNO2は還元性を有しているから、酸素
と結合して硝酸になり、またそれ自身でも次のように変
化しやすい。 3HNO2 → HNO3 + 2NO + H2O …(6) ここに生じるNOは、反応式(4)又は(5)で表される反応
を繰り返し、最終的にはHNO3となる。これらの化学
反応は平衡状態にあるので、ほとんどのものはHNO3
となるが、NOやHNO2のまま存在するものも微量に
ある。
【0005】このようにしてできた窒素酸化物の活性は
非常に高く、小型開閉器内部の部品を腐食させる要因と
なる。このため、直流開閉専用の密閉型小形開閉器内部
では、発生した硝酸等の腐食性ガスを外部へ放出するた
め、ケースに空気孔部が開口されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、小型開
閉器のケースに腐食性ガスを排出するための空気孔部を
開口する場合、その空気孔部の寸法が小さいと内部の腐
食性ガスが十分外部へ排出されない。逆に、空気孔部の
寸法を大きくすると、その空気孔部から塵埃等が内部に
侵入する恐れがある。小型開閉器の内部に塵埃等が侵入
して接点等に付着すると、小型開閉器の動作不良や接点
の接触不良などの原因になり、密閉型の小型開閉器とし
て機能しなくなる。そのため、従来にあっては、空気孔
部の大きさに制限があり、腐食性ガスを外部に放出させ
るのに十分な大きさ、あるいは十分な数の空気孔部をケ
ースに開口することができなかった。
【0007】なお、一般的には、防塵用フィルタとして
は、天然繊維または化学繊維をシート状に加工したもの
が知られている。しかし、このようなフィルタでは繊維
屑が発生するため、このようなフィルタを密閉型小型開
閉器などの空気孔部に用いた場合には、繊維屑が密閉型
小型開閉器の内部に侵入し、小型開閉器の動作不良を招
いたり、接点間の接触不良を起こしたり、放電によって
繊維屑に引火したりする恐れがある。また、これらの天
然繊維または化学繊維からなる防塵用フィルタは、小型
開閉器のケースに接着する必要があるため、接着剤の養
生時間も必要となり、空気孔部に防塵用フィルタを形成
する際の効率が悪いという問題がある。また、このよう
なフィルタは、微細な空気孔部の寸法に合わせて作成
し、空気孔部からずれないよう正確に貼りつけることが
できなかった。
【0008】本発明は上記の従来例の欠点に鑑みてなさ
れたものであり、その目的とするところは、空気孔部に
おける通気性を妨げることなく塵埃等の異物が侵入する
のを防止する機能を備えた電気機器を提供することにあ
る。
【0009】
【発明の開示】本発明の電気機器は、電磁波を浴びるこ
とによって液体から硬化し、かつ、通気性を有する多孔
質の有機塗膜を、ハウジングの空気孔部に形成されたこ
とを特徴としている。
【0010】この電気機器にあっては、通気性を有する
多孔質の有機塗膜をハウジングの空気孔部に形成されて
いるので、ハウジング内部と外部との間での通気性を保
ちながらハウジング内に塵埃等の異物が侵入するのを防
止することができる。
【0011】例えば、電気回路を開閉制御するための電
路開閉機構を備えた開閉器、リレー等の電気機器にあっ
ては、接点の開閉時に発生する硝酸等の腐食性ガスを空
気孔部から排出する一方、空気孔部から塵埃が侵入して
接点の接触不良等の不具合を起こすのを防止することが
できる。特に、塵埃の侵入を防止できるので、空気孔部
を接点の近傍に設けることができるようになり、腐食性
ガスを排出し易くできる。さらに、有機塗膜であるた
め、腐食性ガスによっても侵されにくく、耐久性に優れ
ている。
【0012】また、この多孔質有機塗膜は、液体に電磁
波(例えば、紫外線)を照射することによって硬化させ
ることができるので、取扱いが容易で、養生時間も非常
に少なくて済み、電気機器の製造効率を低下させること
がない。さらに、液体の状態で空気孔部に塗布した後、
電磁波を照射すればよいので、小さな空気孔部にも容易
に塗布することができる。また、液体であるから、複雑
な形状の部分にも容易に塗布する事ができ、多孔質有機
塗膜の形成が簡単で用途が広い。さらに、液体の状態で
塗布して電磁波照射により硬化させるので、繊維質のフ
ィルタのように、有機塗膜自体から塵埃が発生する恐れ
もない。
【0013】また、複数の通孔の集合として空気孔部を
形成すれば、空気孔部の面積を大きくすることができ、
しかも、空気孔部は複数の通孔に分割されているので、
有機塗膜を形成するための液体を塗布し易い。
【0014】また、この電気機器の空気孔部は、有機塗
膜によって塵埃等の異物の侵入を防止されているので、
ハウジングの複数箇所に空気孔部を設けることができ、
通気性を高くして腐食性ガス等を効率的に排出すること
ができる。
【0015】
【発明の実施の形態】まず、本発明の電気機器におい
て、空気孔部に用いられる多孔質の有機塗膜(以下、通
気性多孔質塗膜という)について説明する。この通気性
多孔質塗膜は、光重合性モノマーと、前記光重合性
モノマーに対して非相溶である物質と、前記光重合性
モノマー及び前記非相溶物質の両方に対して溶解性のあ
る共通の溶媒と、前記光重合性モノマーを電磁波照射
により硬化させるための光重合開始剤とを含む感光性組
成物(液体)に、電磁波を照射して硬化させたものであ
り、このような感光性組成物に電磁波を照射すると、通
気性を有する多孔質の被膜が得られる。
【0016】ここで光重合性モノマーとは、電磁波
(光、紫外線、電子線など)によって重合するモノマー
類であって、例えば(メタ)アクリロイル基、(メタ)
アクリルアミド基、アリル基、マレイン酸ジエステル
基、ビニルエーテル基などを有する単官能モノマー、あ
るいは、例えば(メタ)アクリロイル基を有する化合物
を多価アルコールとエステル化して得られる多官能モノ
マー類をいい、さらには数モル程度までが重合して得ら
れるオリゴマー類も含めた概念である。
【0017】この発明に適した光重合性モノマーとして
は、アクリロイル基(CH2=CHCO−)を有する化
合物と多価アルコールとのエステルが挙げられる。多価
アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリ
コールなどのアルキレングリコール、ポリアルキレング
リコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメ
チロールプロパンなどの単純な多価アルコールの他、テ
トラヒドロキシメチルシクロペンタノン、テトラヒドロ
キシエチルエチレンジアミン、ヒドロキシピバリン酸ネ
オペンチルグリコールエステル、ε−カプロラクン(ま
たは、そのオリゴマー)とネオペンチルグリコール、ペ
ンタエリスリトール、ペンタエリスリトール2量体など
とのエステル、ジメチロールトリシクロデカンなどの多
価ヒドロキシ化合物が例示される。
【0018】アクリロイル基と多価アルコールのエステ
ルからなる光重合性モノマーとしては、例えば、ネオペ
ンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン
酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ト
リメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロール
トリシクロデカンジアクリレート等の多官能モノマーが
挙げられる。
【0019】ネオペンチルグリコールジアクリレート
は、式(6)のような化学構造式を有し、例えば「KAYA
RAD NPGDA」〔日本化薬(株)製〕がある。
【0020】
【化1】
【0021】ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチ
ルグルコールジアクリレートは、式(7)のような化学構
造式を有し、例えば「KAYARAD MANDA」〔日
本化薬(株)製〕がある。
【0022】
【化2】
【0023】トリメチロールプロパントリアクリレート
は、式(8)のような化学構造式を有し、例えば「KAYA
RAD TMPTA」〔日本化薬(株)製〕がある。
【0024】
【化3】
【0025】ジメチロールトリシクロデカンジアクリレ
ートは、式(9)のような化学構造式を有し、例えば「KA
YARAD R−684」〔日本化薬(株)製〕があ
る。
【0026】
【化4】
【0027】ここで用いられる光重合性モノマーとして
は、上記のもの以外にも、例えば、式(10)のような化学
構造式を有する「KAYARAD HX−220」〔日本
化薬(株)製〕、式(11)のような化学構造式を有する
「KAYARAD R−604」〔日本化薬(株)製〕、
式(12)のような化学構造式を有する「KAYARADG
PO−303」〔日本化薬(株)製〕、式(13)のような
化学構造式を有する「KAYARAD DPCA−60」
〔日本化薬(株)製〕等がある。特に、3官能のトリメ
チロールプロパントリアクリレートは反応性が良好であ
り、空気孔部の封止に適度な粘性を有している。
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】
【0030】
【化7】
【0031】
【化8】
【0032】光重合性モノマーと非相溶な物質(以下、
単に「非相溶物質」という)とは、光重合性モノマーと混
合したときに溶け合わず、攪拌しても放置すると分離し
てしまう物質のことである。光重合性モノマーに非相溶
な物質としては、モノマーの種類によって異なるが、例
えば、水、トリエタノールアミン、酢酸ビニル等が挙げ
られる。トリエタノールアミンは、式(14)のような化学
構造式を有し、光重合性モノマーとは互いに非相溶であ
るが、トリエタノールアミンは光重合性モノマーの反応
性を高め、重合速度の向上に寄与する。
【0033】
【化9】
【0034】光重合性モノマーとトリエタノールアミン
の共通溶媒には、イソプロピルアルコール、ジエチレン
グリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。イソプ
ロピルアルコールは、式(15)のような化学構造式を有す
る。光重合性モノマー、トリエタノールアミン、イソプ
ロピルアルコールの混合物は相溶し、常温で無色透明液
体である。
【0035】
【化10】
【0036】酢酸ビニルは、式(16)のような化学構造式
を有し、光重合性モノマーとは互いに非相溶である。
【0037】
【化11】
【0038】光重合性モノマーと酢酸ビニルの共通溶媒
には、テトラヒドロフラン、クロロホルム、イソプロピ
ルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル等が挙げられる。例えば、テトラヒドロフランは、式
(17)のような化学構造式を有し、光重合性モノマー、酢
酸ビニル、テトラヒドロフランの混合物は互いに相溶
し、常温で無色透明液体である。
【0039】
【化12】
【0040】水は多くの光重合性モノマーと互いに非相
溶であり、光重合性モノマーと水の共通溶媒には、例え
ばN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。N,N
−ジメチルホルムアミドは、式(18)のような化学構造式
を有する。
【0041】
【化13】
【0042】光重合開始剤は、光重合性モノマーに対す
る溶解性に優れるものであれば、その種類は特に限定さ
れない。例えば、光重合開始剤としては、2−ヒドロキ
シ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
(分子量164.2、無色〜淡黄色透明液体)が挙げら
れる。2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プ
ロパン−1−オンは、式(19)のような化学構造式で表さ
れ、例えば「ダロキュア1173」〔日本チバガイギー
(株)製〕がある。
【0043】
【化14】
【0044】この他にも、光重合開始剤としては、1−
ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(分子
量204.3、白色微粉〜粗い粉末)や、2−メチル−
1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モンフォリ
ノプロパノン−1(分子量279.4、白〜僅かにベー
ジュ色粉末)などがある。1−ヒドロキシ−シクロヘキ
シル−フェニル−ケトンは、式(20)のような化学構造式
で表され、例えば「イルガキュア184」〔日本チバガ
イギー(株)製〕がある。
【0045】
【化15】
【0046】2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フ
ェニル〕−2−モンフォリノプロパノン−1は、式(21)
のような化学構造式で表され、例えば「イルガキュア9
07」〔日本チバガイギー(株)製〕がある。
【0047】
【化16】
【0048】光重合性モノマー、非相溶物質及び共通溶
媒の混合物(感光性組成物)は、広い範囲の配合割合に
おいて多孔質の塗膜を形成することができる。代表的な
例として、トリメチロールプロパントリアクリレート、
トリエタノールアミン、イソプロピルアルコールの系を
挙げ、多孔質化のメカニズムを説明する。この感光性組
成物に紫外線を照射すると、トリメチロールプロパント
リアクリレートが重合を開始し、連鎖的に反応が進む。
感光性組成物が固化するにつれ、トリエタノールアミン
は遊離するが、イソプロピルアルコールは、固化開始し
たトリメチロールプロパントリアクリレートの空隙に閉
じ込められる。このときトリエタノールアミンは、トリ
メチロールプロパントリアクリレートのカルボニル基付
近に存在する。さらに、トリメチロールプロパントリア
クリレートの固化が進むと、トリエタノールアミンもト
リメチロールプロパントリアクリレートの空隙に閉じこ
められる。ついで、イソプロピルアルコールは、トリメ
チロールプロパントリアクリレートから脱離し、揮発し
ていくと推定される。
【0049】このようにして感光性組成物は、紫外線照
射により、トリメチロールプロパントリアクリレートの
粒子がネット状につながった微細な多孔質塗膜となる。
典型的な微細構造においては、粒子サイズはおよそ0.
5μm程度である。
【0050】光重合性モノマーであるトリメチロールプ
ロパントリアクリレートは、硬化性や硬化膜の強度等を
考慮すると、少なくとも全体の30重量%以上、好まし
くは40〜50重量%程度が望ましい。また、共通溶媒
であるイソプロピルアルコールの配合量が少ないと、こ
れらの3成分系は相溶系ではなくなり、多孔質塗膜を形
成しなくなる。よって、共通溶媒の配合割合は、好まし
くは全体の20重量%以上が望ましい。
【0051】また、光重合開始剤の添加量は、光重合性
モノマー100重量部に対して0.1〜1.0重量部程度
が望ましく、特に0.5重量部程度が望ましい。
【0052】したがって、光重合性モノマー、非相溶物
質、共通溶媒及び光重合開始剤のそれぞれの種類や配合
割合等を変化させることにより、良好な多孔質塗膜を得
ることができる。
【0053】また、感光性組成物を硬化させるためのエ
ネルギー源は、感光性モノマーを重合させる電磁波であ
ればよく、電磁波としては可視光、紫外線、電子線いず
れでもよい。典型的には、取り扱いの簡便さなどから、
紫外線が最も有効である。その照射量としては、約1.
9J/cm2の紫外線を約3分以内照射するのが好まし
い。
【0054】感光性組成物を紫外線により硬化させるに
は、一般に紫外線硬化樹脂に用いられる超高圧水銀灯、
高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、カー
ボンアーク、キセノンランプ等の紫外線発生光源を照射
することによって行う。超高圧水銀灯やキセノンランプ
は、主波長が可視光線域〜近赤外線域にあり、紫外線の
出力効率は悪い。したがって、波長365nmを中心と
した紫外線を比較的多く含む高圧水銀灯あるいはメタル
ハライドランプを使用するのが実用的である。
【0055】上記のような多孔質材料は、光重合開始剤
を添加した光重合性モノマーを、非相溶物質を共通溶媒
に溶かしたものと混合し、これらを撹拌して感光性組成
物を得た後、これをハウジングに塗布し、紫外線を照射
することによって硬化させて多孔質塗膜とすることがで
きるが、特に混合の順序は問わない。得られた感光性組
成物は、放置して空気に触れさせると、共通溶媒が揮発
してしまうため、相溶性が失われ、硬化しても多孔質塗
膜を形成しなくなってしまうので、感光性組成物が得ら
れたら容器に密封して暗所に保存する。感光性樹脂を遮
光密閉容器の中に保管することでその性質を維持するこ
とができる。好ましくは冷暗所保管が良い。そして、こ
れを容器から取り出したら、ハウジングの空気孔部に塗
布した後、直ちに紫外線を照射するのが好ましい。
【0056】また、共通溶媒を低揮発性の溶媒に変更す
ることで、大気中での安定性を改善できる。例えば、イ
ソプロピルアルコールの代わりにジエチレングリコール
モノブチルエーテルを使用することで、常温大気中での
安定性が向上するため、塗布直後に紫外線を照射しなく
ても反応性に影響しない。
【0057】以上説明したような通気性多孔質塗膜は、
その細孔径が1000Å程度もしくは1000Å以下の
微細な空隙を有しているので、通気性を保ちながら、塵
埃などの異物を遮断することができる。このような通気
性多孔質塗膜は、例えば密閉型小型開閉器の密閉型ハウ
ジングの空気孔部に用いれば、内部で発生した硝酸等の
腐食性ガスを外部へ排出することができ、かつ、空気孔
部から小型開閉器の内部に塵埃等の異物が侵入して小型
開閉器の動作不良や接点の接触不良を起こすのを防止で
きる。また、この通気性多孔質塗膜は、有機質であるか
ら、硝酸等の腐食性ガスによって侵されることがなく、
耐久性にも優れている。
【0058】まず、通気性多孔質塗膜の具体的な実施例
について述べる。 (実施例1)この実施例では、通気性多孔質塗膜を得る
ための感光性組成物を構成する組成のうち、光重合性モ
ノマーには「KAYARAD TMPTA」〔日本化薬
(株)製〕[トリメチロールプロパントリアクリレー
ト]を用い、これと非相溶な物質としてトリエタノール
アミンを用い、共通溶媒としてイソプロピルアルコール
を用い、光重合開始剤として「ダロキュア1173(Da
rocure-1173)」〔日本チバガイギー(株)製〕(以
下、ダロキュア1173という)[2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン]を用い
た。
【0059】感光性組成物は、かなり広範囲の組成比に
おいて多孔質塗膜を形成することができるが、トリメチ
ロールプロパントリアクリレートとトリエタノールアミ
ンを相溶させるイソプロピルアルコールの配合量が少な
いと、これら3成分系は相溶系ではなくなり、多孔質塗
膜を形成しなくなる。したがって、イソプロピルアルコ
ールは、全体の20重量%以上の配合割合が望ましい。
また、トリメチロールプロパントリアクリレートの配合
割合が小さくなるにつれて硬化膜自身の強度が低下し、
硬化性も低下するので、トリメチロールプロパントリア
クリレートは少なくとも全体の30重量%以上、特に4
0〜50重量%が好ましい。残部がトリエタノールアミ
ンである。
【0060】そこで、この実施例では、ダロキュア11
73を0.5重量部混合したトリメチロールプロパント
リアクリレート100重量部と、トリエタノールアミン
50重量部と、イソプロピルアルコール100重量部を
混合した感光性組成物を使用した。
【0061】この感光性組成物は、高圧水銀灯により約
1.9J/cm2の紫外線を約3分照射することにより硬
化させることができた。ただし、光重合性モノマー10
0重量部に対して光重合開始剤が0.5重量部であれ
ば、紫外線照射量0.6J/cm2以上で硬化した。
【0062】こうして紫外線照射により硬化させられた
被膜は、トリメチロールプロパントリアクリレートの粒
子がネット状につながった微細な多孔質の通気性多孔質
塗膜となった。この多孔質塗膜の細孔径は約1000Å
程度であって、通気性は有しているが、微細な塵埃は通
さず遮断することができる。
【0063】つぎに、上記感光性組成物に紫外線を照射
したときの反応のメカニズムについて説明する。トリメ
チロールプロパントリアクリレートは、はじめに何分子
かの会合体となっているが、イソプロピルアルコールが
入ることにより、この会合が切断され分子運動性が向上
する。トリメチロールプロパントリアクリレートのカル
ボニル付近にイソプロピルアルコールが相互作用し、ト
リメチロールプロパントリアクリレートの自己会合を切
断するが、トリエタノールアミンが入るとトリメチロー
ルプロパントリアクリレートの2重結合部分やカルボニ
ル付近に相互作用し、再びトリメチロールプロパントリ
アクリレートの分子運動性が抑制される。このとき、ト
リメチロールプロパントリアクリレートは、各カルボニ
ル炭素とトリエタノールアミンとの相互作用により立体
構造の疑似固定が起こり、反応しやすくなる。また、イ
ソプロピルアルコールの分子運動性も同様に抑制され
る。すなわち、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、イソプロピルアルコール、トリエタノールアミンは
互いに相互作用している。
【0064】この感光性組成物に紫外線を照射すると、
トリメチロールプロパントリアクリレートが重合を開始
し、連鎖的に反応が進む。感光性組成物が固化するにつ
れ、トリエタノールアミンは遊離するが、イソプロピル
アルコールは固化開始したトリメチロールプロパントリ
アクリレートの空隙に閉じこめられる。このときトリエ
タノールアミンはトリメチロールプロパントリアクリレ
ートのカルボニル基付近に存在する。さらに、トリメチ
ロールプロパントリアクリレートの固化が進むと、トリ
エタノールアミンもトリメチロールプロパントリアクリ
レートの空隙に閉じこめられる。ついで、イソプロピル
アルコールは、トリメチロールプロパントリアクリレー
トから脱離し揮発していくと推定される。
【0065】このようにして感光性組成物は、紫外線照
射によって、トリメチロールプロパントリアクリレート
の粒子がネット状につながった微細な多孔質層となる。
典型的な微細構造においては、粒子サイズはおよそ0.
5μm程度である。
【0066】次に、上記のようにして得られた塗膜の多
孔質構造を調べるため、塗膜をクロロホルム中に浸漬し
て多孔質塗膜の空隙に残存しているトリエタノールアミ
ンを除去し、トリエタノールアミンを除去する前後にお
ける多孔質塗膜の細孔(気孔)の様子を検討した。多孔
質塗膜の細孔は、カルロエルバ社製水銀ポロシメーター
2000を用いて、細孔半径約40Å(分子レベル)か
ら約75000Åまでの細孔径分布を測定した。図1は
トリエタノールアミン除去前における多孔質塗膜の細孔
径分布を測定した結果、図2はトリエタノールアミン除
去後における多孔質塗膜の細孔径分布を測定した結果で
ある。細孔の半径をrとし、半径rの細孔の容積率[半
径rの細孔が全体に占める容積率]をVp(r)とすると
き、図1及び図2の横軸は細孔半径rを示し、1点鎖線
は細孔半径rの細孔容積率Vp(r)の変化を示し、実線
はdVp(r)/d(logr)の変化を示している。
【0067】上記図1及び図2のデータから得られる諸
量をまとめたものを表1に示す。表1に示されている細
孔容積率Vp[cm3/cm3]は、圧入された水銀の累
積容積によって測定された全細孔の容積率であり、細孔
容積率Vp(r)を細孔半径rに関して総和したものであ
る。ただし、図1及び図2の細孔容積率Vp(r)と異な
り、単位は容積比に換算している。また、比表面積Sp
[m2/cm3]は、細孔が円筒状であると仮定して求め
た単位体積当たりの全細孔の表面積(累積比表面積)で
ある。気孔率P[%]は細孔容積率Vpをパーセント表
示(=Vp×100)したものである。ピーク半径rp
dVp(r)/d(logr)が最大値となるときの細孔半径
の値、メディアン半径rmは細孔容積率Vp(r)が最大値
の0.5倍になるときの細孔半径の値であり、平均半径
aはra=2Vp/Spより求めたものである。
【0068】
【表1】
【0069】表1の細孔容積率Vpもしくは気孔率Pの
値からは、塗膜が微細な多孔質構造を有することが推定
され、特に共通溶媒であるイソプロピルアルコールの揮
発による気孔生成が示唆される。また、表1から、多孔
質塗膜の気孔率Pは、トリエタノールアミン除去後の多
孔質塗膜の方が大きいことが分かる。すなわち、トリエ
タノールアミン除去による気孔の生成増加を示唆すると
共に、多孔質構造を形成している構造体は光重合性モノ
マーであるトリメチロールプロパントリアクリレートで
あることが分かる。
【0070】そして、トリエタノールアミン除去により
生成された気孔は、表1に示されているように、細孔径
分布の比較から約500Å以下の半径を有することが明
らかである。また、これに加え、ピーク半径rp及び平
均半径raも小さくなっており、この結果、比表面積Sp
はトリエタノールアミン除去により2倍以上増加するこ
とが分かった。
【0071】しかし、非相溶物質であるトリエタノール
アミン除去前の多孔質塗膜とトリエタノールアミン除去
後の多孔質塗膜とでは、外観上の変化はなかった。した
がって、非相溶物質や共通溶媒は、感光性組成物から多
孔質塗膜を得る過程においては必須とされるが、多孔質
塗膜を得た後においては必ずしも必要ないものであるこ
とが分かった。
【0072】(実施例2)感光性組成物を構成する組成
のうち、光重合性モノマーには「KAYARADTMP
TA」〔日本化薬(株)製〕[トリメチロールプロパン
トリアクリレート]を用い、これと非相溶な物質として
酢酸ビニル(ポリマー)を用い、共通溶媒としてテトラ
ヒドロフランを用い、光重合開始剤として「ダロキュア
1173」〔日本チバガイギー(株)製〕[2―ヒドロ
キシ―2―メチル―1―フェニル―プロパン―1―オ
ン]を用いた。
【0073】感光性組成物は、かなりの広範囲の組成比
において多孔質層を形成することができるが、トリメチ
ロールプロパントリアクリレートと酢酸ビニルを相溶さ
せるテトラヒドロフランの配合量が少ないと、これら3
成分系は相溶系ではなくなり、多孔質層を形成しなくな
る。したがって、酢酸ビニルとテトラヒドロフランは
1:2の重量割合で混合するのが望ましい。また、トリ
メチロールプロパントリアクリレートの配合割合が小さ
くなるにつれて硬化膜自身の強度が低下し、硬化性も低
下するので、トリメチロールプロパントリアクリレート
は少なくとも全体の20重量%以上、特に20〜40重
量%が好ましい。
【0074】混合手順としては、まず、酢酸ビニルとテ
トラヒドロフランを1:2の重量割合で混合撹拌し、酢
酸ビニルを完全に溶解させる。つぎに、ダロキュア11
73を2重量部混合したトリメチロールプロパントリア
クリレートと、酢酸ビニル及びテトラヒドロフランの混
合物とを所定の配合割合で混合し、十分に撹拌する。
【0075】こうして得られた液体状の感光性組成物
を、空気孔部に塗布した後、直ちに高圧水銀灯により紫
外線を約1.9J/cm2照射した。ただし、紫外線照射
量は、光重合開始剤が0.5重量部であれば、0.6J/
cm2以上で硬化した。この結果、感光性組成物は、紫
外線照射によって、トリメチロールプロパントリアクリ
レートの粒子がネット状につながった微細な多孔質塗膜
となった。
【0076】この実施例において、光重合開始剤(ダロ
キュア1173)は、トリメチロールプロパントリアク
リレート100重量部に対して2重量部以上添加するの
が望ましい。光重合開始剤2重量部は、トリメチロール
プロパントリアクリレート単体を完全硬化させるのに必
要な量であるから、該感光性組成物の硬化性はトリメチ
ロールプロパントリアクリレートと同等と考えられる。
光重合開始剤の配合量が少ないと、それだけ硬化性は低
下し、硬化膜表面が未硬化で粘着質になる。
【0077】次に示す表2は、実施例1の感光性組成物
より得られた多孔質塗膜と実施例2の感光性組成物から
得られた多孔質塗膜を比較している。
【0078】
【表2】
【0079】表2によれば、非相溶物質としてトリエタ
ノールアミンを用いた実施例1の多孔質塗膜では、反応
性に優れ、非相溶物質として酢酸ビニルを用いた実施例
2の多孔質塗膜では、密着性や硬化膜強度に優れている
といる特徴が見られる。
【0080】(第3の実施例)この実施例では、光重合
開始剤としてダロキュア1173[2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン]を0.
5重量部混合した光重合性モノマーの「KAYARAD
TMPTA」〔日本化薬(株)製〕[トリメチロール
プロパントリアクリレート]100重量部と、これと非
相溶な物質としてトリエタノールアミン50重量部と、
共通溶媒としてイソプロピルアルコール50重量部と、
チクソ剤として微粉末シリカ3重量部を混合し、十分に
攪拌して均一な液状物とした感光性組成物を作製した。
【0081】この感光性組成物は、照射量1.9J/c
2の紫外線を照射することにより硬化させることがで
きた。硬化した被膜は、0.5μm程度の粒子状樹脂が
ネット状につながった微細な多孔質被膜となった。ま
た、その気孔率は41%、気孔平均半径は794Åであ
った。
【0082】また、この実施例では、感光性組成物にチ
クソ剤を添加しているので、感光性組成物のチクソ性が
向上して流動しにくくなるから、感光性組成物が空気孔
部から垂れ落ちたり、片寄ったりしにくくなり、均一な
膜厚の通気性多孔質塗膜を得ることができる。
【0083】つぎに、本発明の電気機器の実施形態を開
閉器を例にとって説明する。 (第1の実施形態)図3は密閉型小型開閉器1を示す外
観図であって、ソケットに差して用いる大電流用の開閉
器を示している。この小型開閉器1は、密閉型のケース
(ハウジング)2の内部に、電気回路を開閉制御するた
めの電路開閉機構や配線等が納められており、ケース2
はベース3と蓋状をしたカバー4とから構成されてい
る。カバー4には、内部で発生した硝酸等の腐食性ガス
を排出するため、図4に示すように、1箇所の空気孔部
5が開口されており、この空気孔部5を通気性多孔質塗
膜6で塞いでいる。この通気性多孔質塗膜6は、100
0Å程度もしくはそれ以下の空隙を有しているので、小
型開閉器1の内部で発生した硝酸等の腐食性ガスは通気
性多孔質塗膜6を透過して外部へ排出されるが、塵埃等
の異物は通気性多孔質塗膜6を透過できず、異物が内部
に侵入するのを防止できる。
【0084】図4及び図5(a)(b)(c)により、
空気孔部5に通気性多孔質塗膜6を形成する方法を説明
する。図4に示すように、カバー4の1側面には1つの
通孔からなる空気孔部5が開口されている。この空気孔
部5は、図5(a)に示すように、内面側で小径となり
外面側で大径となるようにして段付き孔に形成されてい
る。図4のように、空気孔部5が上になるようにカバー
4を静置し、図5(b)のように空気孔部5内に上記組
成の感光性組成物6aを塗布する。このとき、空気孔部
5は内面側(下方)で径が小さくなっているので、感光
性組成物6aは下方へ落下することなく空気孔部5内に
保持される。図5(c)のように、感光性組成物6aを
塗布した直後、カバー4を直ちに紫外線硬化装置内に入
れ、該装置内の高圧水銀灯により感光性組成物6aに紫
外線を約1.9J/cm2照射する。ただし、光重合性モ
ノマー100重量部に対して光重合開始剤が0.5重量
部であれば、紫外線照射量0.6J/cm2以上で硬化し
た。
【0085】こうして空気孔部5内には、トリメチロー
ルプロパントリアクリレートの粒子がネット状につなが
った微細な多孔質の通気性多孔質塗膜6が形成され、図
3のように、空気孔部5は通気性多孔質塗膜6で塞がれ
る。この通気性多孔質塗膜6は通気性を有しているか
ら、内部で発生した硝酸等の腐食性ガスを空気孔部5か
ら外部へ排出して接点金属等が腐食するのを防止し、開
閉器1の寿命を長くすることができる。また、通気性多
孔質塗膜6の細孔径は約1000Åであって、塵埃等の
異物を通さないので、接点等に異物が付着して動作不良
を起こす恐れもない。しかも、空気孔部5から異物を侵
入させないので、空気孔部5を接点の近傍に設けること
ができ、接点の開閉時に発生する腐食性ガスを効果的に
排出することができる。
【0086】また、この通気性多孔質塗膜6によれば、
液体状をした感光性組成物6aを空気孔部5に塗布した
後、紫外線を照射するだけで通気性を有する通気性多孔
質塗膜6を形成することができるから、空気孔部5への
接着作業や接着剤の養生時間等が必要なく、通気性を有
する多孔質の被膜を空気孔部5に接着する方法に比べる
と、通気性多孔質塗膜6を簡単かつ迅速に形成すること
ができる。また、複雑な形状の部分(例えば、凹凸のあ
る面)や微小部分などにも容易に通気性多孔質塗膜6を
形成できる。また、通気性多孔質塗膜6からの繊維屑等
の発生もなく、耐腐食性があって良質の防塵素材を得る
ことができる。
【0087】なお、感光性組成物6aを比較的大きな空
気孔部5に塗布する際には、感光性組成物6aが垂れた
り、空気孔部5内で片寄ったりする恐れがある。これを
防止するには、上記のように空気孔部5を段付き孔にす
るほか、感光性組成物6aの粘度を高くしたり、前記の
ようなチクソ剤を添加した感光性組成物6aを用いたり
するとよい。特に、感光性組成物に微粉末シリカ等のチ
クソ剤を添加しておけば、感光性組成物のチクソ性を高
めることができるので、比較的均一な膜厚の通気性多孔
質塗膜6を形成することができる。
【0088】図6(a)(b)に示すものは、本発明の
別な実施形態による小型開閉器7である。これは、前記
開閉器1よりも一層小型の開閉器であって、回路基板の
スルーホールにリード8を挿入して直接に実装されるも
のである。このような開閉器7は、ケース2も小さいの
で、ケース2に設けられている空気孔部5も小さくな
る。このように小さな空気孔部5の場合には、空気孔部
5のみに感光性組成物6aを塗布するのは困難であるか
ら、空気孔部5及びその周囲に感光性組成物6aを塗布
し、紫外線を照射して硬化させる。
【0089】本発明において用いられる感光性組成物
は、一般に、透明ないし半透明であって顔料を含んでい
ないから、紫外線を照射して硬化させたときに不透明化
する場合でも、ある程度の膜厚がないと不透明にならな
い。このような性質のため、空気孔部5内の厚みの厚い
部分では、通気性多孔質塗膜6が不透明になっても、そ
の周囲の膜厚の薄い部分では通気性多孔質塗膜6は透明
になっており、空気孔部5の周囲にも通気性多孔質塗膜
6を形成していても開閉器7の外観を損ねることがな
い。
【0090】(第3の実施例)上記のような通気性多孔
質塗膜6を用いると、外部から塵埃等の異物が侵入する
ことがないので、密閉型のケース2に形成する通孔の数
や形状を任意に変えることができる。例えば、図7の実
施形態では、ケース2のカバー4に、多数の通孔9を格
子状に配置して空気孔部5を形成し、多数の通孔9から
なる空気孔部5全体に通気性多孔質塗膜6を形成してい
る。また、この実施形態のように、空気孔部5を格子状
にすれば、通気性多孔質塗膜6が通孔9間の桟部分で支
持されるので、通気性多孔質塗膜6の強度を高くし、通
気性多孔質塗膜6の破損を防止することができ、広い面
積の空気孔部5を形成することができる。
【0091】(第4の実施形態)図8に示すものは、カ
バー4の外周4面及び天井面にそれぞれ空気孔部5を開
口し、各空気孔部5に通気性多孔質塗膜6を形成してい
る。この実施形態のように、複数の空気孔部5をケース
2の各面に設けると、空気より重い硝酸等のガスを密閉
型開閉器の取り付け向きに関わらず、効率的に外部へ放
出させることができる。なお、ベース3にも空気孔部5
を形成しても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【図1】トリエタノールアミン除去前における通気性多
孔質塗膜の細孔径分布を測定した結果を示す図である。
【図2】トリエタノールアミン除去後における通気性多
孔質塗膜の細孔径分布を測定した結果を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による開閉器を示す斜視図
である。
【図4】同上のカバーの斜視図である。
【図5】(a)(b)(c)は、同上のカバーの空気孔
部に通気性多孔質塗膜を形成する工程を示す図である。
【図6】(a)(b)は、本発明の別な一実施形態によ
る開閉器を示す斜視図及び平面図である。
【図7】本発明のさらに別な実施形態による開閉器の空
気孔部の構造を示す拡大斜視図である。
【図8】本発明のさらに別な実施形態による開閉器のカ
バーの構造を示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
2 ケース 4 カバー 5 空気孔部 6 通気性多孔質塗膜(多孔質の有機塗膜)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01H 45/02 H01H 45/02 F 50/02 50/02 Q

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電磁波を浴びることによって液体から硬
    化し、かつ、通気性を有する多孔質の有機塗膜を、ハウ
    ジングの空気孔部に形成されたことを特徴とする電気機
    器。
  2. 【請求項2】 前記ハウジング内に、電気回路を開閉
    制御するための電路開閉機構を備えていることを特徴と
    する、請求項1に記載の電気機器。
  3. 【請求項3】 前記有機塗膜は、紫外線を浴びることに
    よって液体から硬化する紫外線硬化型の塗膜であること
    を特徴とする、請求項1に記載の電気機器。
  4. 【請求項4】 前記空気孔部は複数の通孔の集合である
    ことを特徴とする、請求項1に記載の電気機器。
  5. 【請求項5】 前記ハウジングの複数箇所に前記空気孔
    部を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の電気機
    器。
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