JPH11137739A - 金属製ゴルフクラブヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ねじやリベットによることなく、簡単に錘体
とソールとの一体化がなされると共に錘体がソールに強
固に固定されてなる金属製クラブヘッドを提供する 【解決手段】 クラブヘッドＨをソール面が開口した中
空ヘッド本体１と、中空ヘッド本体１に溶接されるソー
ル２とからなるものとし、いずれもチタン又はチタン合
金製とする。ソール２の内側に上向きに開口する錘体嵌
め込み凹部５を設け、この錘体嵌め込み凹部５の内底面
に２条の突条７、８を設ける。真鍮からなる錘体３を錘
体嵌め込み凹部５に対応する形状に作成し、高さを錘体
嵌め込み凹部の高さよりも大に設定する。錘体３を錘体
嵌め込み凹部５に焼きばめする際に、錘体３に高圧を掛
けて錘体嵌め込み凹部の突条７、８を錘体底面に圧入さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、金属製ゴルフク
ラブヘッド、とくに中空構造のヘッド本体に、錘体が付
設されたソールが溶接されて形成されてなる金属製ゴル
フクラブヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】金属製ゴルフクラブヘッドの素材とし
て、近年はチタン又はチタン合金が選択されることが多
いが、チタン又はチタン合金がもてはやされる原因は、
次のような点にある。すなわち、高い反発力を有するこ
と、カーボンほどではないが比重が小さくいわゆる軽い
材料でありかつ剛性が高いので、ヘッドの大型化、中空
化を行えること、中空化できることにより、ヘッド内部
の任意の位置に錘体を付設し、重心位置の設計が行いや
すくなるところ等にある。

【０００３】ところが、チタンは、他の金属との溶接性
が悪く、チタンからなる中空ヘッド本体に、異種金属か
らなるフェースやソールを溶接したり、チタンからなる
フェースやソールに異種金属からなる錘体を実質的に溶
接したりすることができないので、ヘッドへの錘体の付
設は、例えば、図５に示すように、中空ヘッド本体（5
1）に溶接されるソール（52）に複数個の貫通孔を設
け、ソール内側において前記各貫通孔周辺に配置した錘
体（53）の各々を貫通孔を貫通したリベット（54）によ
りかしめたものや、あるいは、特開平６−２９６７１６
号公報に示されるように、ソールを貫通したビスにより
錘体をソール内側にビス止めしたものがある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記リ
ベットやビスを用いるためには、ヘッド本体やソールの
成形とは別に、ヘッド本体やソールにビス又はリベット
挿通孔穿設工程を要するものであると共に、複数箇所に
おいてナット締め、リベットのかしめを行わなければな
らないものであり、いささか製作に手間がかかるという
難点がある。また、ビス止めのものにおいては、経時的
にナットが緩んで、錘体が外れないまでも錘体ががたつ
く虞がある。

【０００５】そこで、本発明者は、ソールの内側に錘体
嵌め込み凹部を設け、ソールを加熱、膨脹させて嵌込み
凹部を大きくした後、該凹部内に凹部形状に対応する形
状の錘体を嵌め込み、ソールを冷却、収縮させるいわゆ
る焼ばめにより、錘体をソールに固定させることに思い
至った。

【０００６】ところが、図４に示すように、ヘッド本体
（11）に対するソール（12）の溶接は、ソール外面を上
に、ネック（Ｎ）を下にした上下位置関係において行う
のが最も溶接しやすい方法であるところ、溶接時にソー
ル（12）が加熱されると、ソールが膨脹して錘体嵌め込
み凹部が大きくなるために、錘体（13）が下方矢印方向
にずれ動いたりすることがある。そうすると、所期する
重心高さにずれが生じたり、ひいては固定が甘くなっ
て、使用中に錘体（13）がソール（12）から抜脱したり
する虞のあることがわかった。

【０００７】この発明は、上記課題に鑑みてなされたも
ので、ねじやリベットによることなく、簡単に錘体とソ
ールとの一体化がなされ、かつ錘体がソールに強固に固
定されてなる金属製クラブヘッドを提供することを目的
とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】而して、この発明は、上
記目的を達成するために、中空ヘッド本体に、錘体を備
えたソールが溶接されて形成されてなる金属製ゴルフク
ラブヘッドにおいて、ソール内側に上向きに開口する錘
体嵌め込み凹部が設けられると共に、該錘体嵌め込み凹
部の内底面に１ないし複数個の突部が設けられ、錘体嵌
め込み凹部に嵌め込まれた錘体の底面に、前記突部が圧
入することにより、錘体がソール内底面に固定されてな
る構成を採用する。

【０００９】上記構成によれば、ソールを中空ヘッド本
体に溶接する際に、実質的にソールが加熱されて錘体嵌
め込み凹部が膨脹し、錘体と錘体嵌め込み凹部との間に
僅かな隙間が生じることになるのであるが、錘体の底面
に錘体嵌め込み凹部の突部が圧入しているので、ソール
面を上に、錘体嵌め込み凹部を下にした溶接時に、錘体
が下方すなわち抜脱方向にずれ動くことを防止できる。

【００１０】中空ヘッド本体及びソールは、チタン又は
チタン合金からなり、錘体はチタン又はチタン合金より
も低硬度でかつ比重の大なる金属、例えば真鍮等の銅合
金、鉛等からなるものであることが望ましい。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、この発明を図示実施形態に
基づいて説明する。

【００１２】この実施形態は、この発明をアイアンクラ
ブに適用したもので、図１は、チタン又はチタン合金か
らなり底面が開口した中空ヘッド本体（１）に、錘体
（３）が付設されたソール（２）が溶接されたアイアン
クラブヘッド（Ｈ）の要部断面図である。

【００１３】ソール（２）は、中空ヘッド本体（１）と
同じくチタン又チタン合金からなり、図２（イ）（ロ）
に示すように、底面すなわちソール面が緩やかな湾曲面
となされているが全体が略々舟形に形成され、内面周縁
に沿って立上がり壁部（４）が立設されることにより、
上向きに開口する錘体嵌め込み凹部（５）が形成されて
いる。前記立上がり壁部（４）の一部（４ａ）は内壁が
内方に湾曲した湾曲面となされている。また、ソール面
（２ａ）は、図３に示すように中空ヘッド本体（１）の
開口縁よりも僅かに小さい輪郭形状に形成されると共
に、周縁複数箇所に側方に突出した落ち込み防止突部
（６）（６）…が突設されている。

【００１４】前記錘体嵌め込み凹部（５）の内底面（５
ａ）には、２条の突条（７）（８）が突設され、一方の
突条（７）は、ソール前方側の立上がり壁直線部（４
ａ）に対応する直線状に形成され、他方はソール後方側
の内壁が内方に湾曲した湾曲部（４ｂ）に対応する形状
に形成されている。

【００１５】錘体（３）は、チタン又はチタン合金より
硬度が低くかつ比重の大なる真鍮からなり、図２（ハ）
に示すように、ソール（２）の錘体嵌め込み凹部（５）
に対応する形状に形成され、高さのみが図１（ロ）に示
すように錘体嵌め込み凹部（５）内に嵌め込まれて底面
が錘体嵌め込み凹部（５）の内底面（５ａ）に接しても
なお上部が錘体嵌め込み凹部（５）から突出する高さに
設定されている。

【００１６】而して、この錘体（３）は次のようにして
ソールに固定されるものである。すなわち、まずソール
（２）全体を加熱し、膨脹させた後、錘体（３）を錘体
嵌め込み凹部（５）に強制的に嵌め込んだ後、ソール
（２）を冷却させるいわゆる焼きばめを行う。また、錘
体（３）を錘体嵌め込み凹部（５）に嵌め込む際に錘体
（３）に高圧をかけて、錘体嵌め込み凹部（５）の突条
（７）（８）を錘体（３）の底面に圧入させる。この突
条（７）（８）の錘体（３）への圧入により、いわゆる
焼きばめにより錘体（３）がソール（２）に嵌め合わさ
れることと相俟って、錘体（３）がソール（２）に強固
に固定されることになる。

【００１７】このようにして錘体（３）が付設されたソ
ール（２）を、図３に示すようにソール外底面側方に突
出した落ち込み防止突部（６）（６）…を中空ヘッド本
体（１）の開口縁に掛けるようにして、中空ヘッド本体
内に嵌め入れ、この状態でソール（２）と中空ヘッド本
体（１）とを溶接する。溶接後、溶接箇所を含む全体の
研磨処理を行ってゴルフクラブヘッドが完成する。

【００１８】なお、上記実施形態において、錘体嵌め込
み凹部内底面（５ａ）に突条（７）（８）が突設されて
いるが、これに代えて複数個の小突起を突設させ、該小
突起が錘体（３）の底面に圧入するものとしても良い。
また、上記実施形態は、この発明をアイアンクラブに適
用したものであるが、ウッドにも適用することも可能で
ある。

【００１９】

【発明の効果】上述の次第で、この発明は、中空ヘッド
本体に、錘体を備えたソールが溶接されて形成されてな
る金属製ゴルフクラブヘッドにおいて、ソール内側に上
向きに開口する錘体嵌め込み凹部が設けられると共に、
該錘体嵌め込み凹部の内底面に１ないし複数個の突部が
設けられ、錘体嵌め込み凹部に嵌め込まれた錘体の底面
に、前記突部が圧入することにより、錘体がソール内底
面に固定されてなるものであるから、ビスやリベットを
用いることなく錘体とソールとの一体化を簡単に行うこ
とができることはもとより、突部が錘体の底面に圧入し
ているので、ソールと中空ヘッド本体との溶接時に、ソ
ールの加熱、膨脹により錘体と錘体嵌め込み凹部との間
に隙間が生じることがあっても、錘体が凹部から不本意
にずれ動いたら、抜脱したりすることを防止できる。

【００２０】また、ソールの内側に錘体嵌め込み凹部が
設けられると共に、突条が突設されているから、これら
が実質的にリブとしてソールを補強し、ソールの剛性が
高められるという効果も奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】（イ）は、この発明に係る金属製ゴルフクラブ
ヘッドの一実施形態の要部縦断面図、（ロ）は図（イ）
のＩ−Ｉ線端面図である。

【図２】（イ）は同ソールの斜視図、（ロ）は同平面
図、（ハ）は錘体の斜視図、（ニ）は錘体嵌め込み凹部
に錘体を嵌め込んだ状態の斜視図である。

【図３】同ソールを中空ヘッド本体に溶接する際の斜視
図である。

【図４】本発明者の提案に係るソールを中空ヘッド本体
に溶接する際の要部断面図である。

【図５】従来の金属製ゴルフクラブヘッドの要部断面図
である。

【符号の説明】

１…中空ヘッド本体 ２…ソール ３…錘体 ５…錘体嵌め込み凹部 ７…突条（突部）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中空ヘッド本体に、錘体を備えたソール
   が溶接されて形成されてなる金属製ゴルフクラブヘッド
   において、 ソール内側に上向きに開口する錘体嵌め込み凹部が設け
   られると共に、該錘体嵌め込み凹部の内底面に１ないし
   複数個の突部が設けられ、錘体嵌め込み凹部に嵌め込ま
   れた錘体の底面に、前記突部が圧入することにより、錘
   体がソール内底面に固定されてなることを特徴とする金
   属製ゴルフクラブヘッド。
2. 【請求項２】 中空ヘッド本体及びソールがチタン又は
   チタン合金からなり、錘体がチタン又はチタン合金より
   も低硬度かつ比重大である金属からなる請求項１に記載
   の金属製ゴルフクラブヘッド。