JPH11127826A - 密封容器入り食品 - Google Patents

密封容器入り食品

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JPH11127826A
JPH11127826A JP9301911A JP30191197A JPH11127826A JP H11127826 A JPH11127826 A JP H11127826A JP 9301911 A JP9301911 A JP 9301911A JP 30191197 A JP30191197 A JP 30191197A JP H11127826 A JPH11127826 A JP H11127826A
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tea
food
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物による変敗の危険を減らした密封容器
入り食品の提供、特にPETボトルなどの充填後の高温
殺菌ができないプラスチック容器に充填される食品の変
敗危険を減らすこと。 【解決手段】 茶抽出物と抗菌性を有する乳化剤を含有
してなる密封容器入り食品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、茶抽出物と乳化剤
を含有し、微生物による変敗が起こりにくくされた食
品、特に密封容器に充填された食品に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、密封容器に充填されて販売されて
いる食品は、製造してから食されるまでの期間、微生物
による変敗が防止できるように、殺菌・流通が行われて
いる。しかしながら、食品衛生法で指定された方法で、
製造流通したとしても、食品によっては混入する耐熱性
芽胞菌や耐熱性カビ等によって変敗を生じることがあっ
た。したがって、安全な食品添加物のうち、抗菌性を有
するものを添加して、変敗を防ごうとする試みがなされ
てきた。抗菌性を有する食品添加物の一つにショ糖脂肪
酸エステルがあり、耐熱性芽胞菌に抗菌性を有すること
から上述の目的で利用されている。しかし、ショ糖脂肪
酸エステルは添加量が多くなると、風味に影響したり製
造コストを上昇させたりする問題があった。
【0003】また、飲料をPETボトルなどのレトルト
殺菌に耐えうるだけの耐熱性がない容器に充填される場
合には、飲料自体を殺菌した後に容器に充填するため、
容器や環境に由来する微生物が混入する可能性があり、
変敗の危険性が高い。容器の洗浄と充填環境の微生物管
理を極度に厳しくした無菌充填方式が有効であるが、工
程管理が複雑になり、製造コストの上昇につながるとい
う問題点があり、更に無菌充填方式を用いた場合でも、
微生物の混入を完全に防止するのは至難の業である。
【0004】一方、食品由来の成分には抗菌性を有する
ものがあり、茶飲料に含有されるカテキン類はその一例
である。現在、市販されている緑茶,紅茶,ウーロン茶
などの茶葉を抽出して得られる茶飲料や、茶葉抽出液を
含む種々の植物原料抽出液を混合して得られる混合茶
は、含有されるカテキン類により微生物による変敗を受
けにくいものの、例えば緑茶飲料では、渋みを減らす為
に、40℃〜50℃のような低い温度で抽出する場合に
は、抽出されるカテキン含量も低くなるため(缶詰時
報,74,9,96-102,1995)、耐熱性芽胞菌の生育が起き
る危険があった。
【0005】麦やトウモロコシ等の穀物を抽出して得ら
れる穀物茶には、茶葉由来の抗菌成分であるカテキン類
が含まれておらず、且つ穀物から抽出される栄養成分の
為に微生物の生育し易い環境であり、微生物による変敗
を防ぐためには強い加熱を行う必要がある。特開平5ー
336939号公報には、充填後の高温殺菌ができない
プラスチック容器等に充填する麦茶に茶抽出物を添加し
て静菌効果を達成する方法が開示されているが、茶抽出
物を添加する場合、添加量が多くなると製造コストが上
昇したり、風味に影響する欠点があり、より少ない添加
量で有効に微生物による変敗を防止する方法の開発が望
まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、微生
物による変敗の危険を減らした密封容器入り食品を提供
することにある。特にPETボトルなどの充填後の高温
殺菌ができないプラスチック容器に充填される食品の変
敗危険を減らすことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、抗菌性を有す
る乳化剤とカテキン類を含有させることにより、微生物
による変敗の危険を減ずることができることを見出しな
されたものである。即ち、本発明は、茶抽出物と抗菌性
を有する乳化剤を含有してなる、上記課題を解決した密
封容器入り食品を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の密封容器入り食品は、密
封容器に充填された食品であれば特に限定はない。この
ような食品の例としては、レトルト総菜、ツユやタレや
ドレッシングのような調味液、おでん、野菜水煮、食品
缶詰、フルーツ缶詰、漬け物などの食品、及び、ミルク
ティー、ストレート紅茶、レモンティー、煎茶、ほうじ
茶、玉露茶、抹茶、ウーロン茶などの茶葉飲料、混合茶
飲料、麦茶、玄米茶、トウモロコシ茶などの穀物茶飲
料、杜仲茶、マテ茶,どくだみ茶,マテ茶などの植物茶
飲料等の茶類飲料;ミルクコーヒー、ストレートコーヒ
ー、ココア、コンソメスープ、ポタージュスープ、汁粉
などの嗜好飲料;天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲
料、果粒入果実飲料、果粒入清涼飲料、果肉飲料、野菜
飲料などの果実系飲料;乳飲料、乳酸菌飲料、乳類入清
涼飲料、乳清飲料などの乳性飲料;機能型ドリンク、ス
ポーツドリンク、豆乳、ゼリー飲料、食事型ドリンク、
デザートドリンクなどの飲料が挙げられる。
【0009】上述の中では、茶類飲料が好ましく、特
に、穀物茶や茶葉以外の植物の抽出液である植物茶の場
合にはカテキン含有量が少なく、且つ風味的にもカテキ
ン類とのなじみが良いので、本発明の食品の絶好の対象
である。
【0010】本発明で用いられる茶抽出物としては、カ
テキン類として、エピガロカテキン、ガロカテキン、カ
テキン、エピカテキン、エピガロカテキンガレート、エ
ピカテキンガレートからなるポリフェノール化合物から
選ばれる1種以上を含むものである。茶抽出物の含有量
は、カテキン類の含有量で規定される。特に抗菌性の強
いエステル型のカテキン類、即ち、エピガロカテキンガ
レート、エピカテキンガレートを一定量以上含有するこ
とが望ましい。
【0011】カテキン類の含有量は、カテキン類の総和
が70〜2000ppm、または、エピガロカテキンガ
レートとエピカテキンガレートの総和が2〜60ppm
の範囲であればよい。含有量が少なすぎると効果が十分
でなく、多すぎると風味やコストに悪影響を及ぼす。食
品よってカテキン類による風味や製造コストが問題とな
る場合には、これらの問題が生じない範囲で含有量を設
定できる。
【0012】カテキン類としては、市販されている茶抽
出物を添加して上記含有量に調整すればよく、茶飲料の
ように元々カテキン類を含む食品の場合は、適切な抽出
条件によって、または必要に応じ、市販されている茶抽
出物等の添加によって上記含有量に調整すればよい。
【0013】本発明で使用される乳化剤は、抗菌性を有
するものであればよく、その例としては、ショ糖脂肪酸
エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリ
ン脂肪酸モノエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、酵
素処理レシチン、酵素分解レシチン、ポリオキシエチレ
ン脂肪酸エステルなどが挙げられ、これらの乳化剤は単
独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0014】これら乳化剤の中でも、溶解性や抗菌性の
点で特にショ糖脂肪酸エステルが好適である。ショ糖脂
肪酸エステルの構成脂肪酸としては、炭素鎖長8〜22
の飽和または不飽和の脂肪酸が好適であり、特にミリス
チン酸,パルミチン酸,ステアリン酸から選ばれる脂肪
酸を主成分とするものが、風味や泡立ちの点からも望ま
しい。
【0015】上記のショ糖脂肪酸エステルの中でもモノ
エステル比率が高いものが好適で、特に対象となる食品
が透明性を有する食品であれば、モノエステル比率が9
5重量%以上であることが望ましい。モノエステル比率
とはショ糖脂肪酸エステル化合物中のモノエステルの比
率であり、例えばゲルクロマトグラフィーや薄層クロマ
トグラフィーにより分離されるエステル体の比率から求
めることができる。モノエステルの比率は最終的に上記
比率に設定されればよく、モノエステル比率の低いショ
糖脂肪酸エステルを原料に溶媒抽出法やカラム分離や晶
析法等の方法により精製してもよいし、合成反応の結果
としてモノエステル比率が高くなるようにしてもよい。
【0016】抗菌性を有する乳化剤の含有量は、10〜
2000ppmであり、更に好ましくは20〜1000
ppmである。風味や外観に悪影響を及ぼす場合には、
これらに悪影響の出ない範囲で、添加量を設定すればよ
い。
【0017】本発明の密封容器入り食品は、所定量の茶
抽出物と抗菌性乳化剤を含有させた後、密封可能な容器
に充填して密封する。食品の殺菌は、容器への充填前で
も、充填後でもよく、また充填前後に行ってもよく、定
法により加熱殺菌等を行う。食品を充填する容器として
は、プラスチック製容器,缶,ビン,内面コーティング
した紙容器などが挙げられる。充填後の殺菌が困難で微
生物の混入残存が起こりやすいPETボトル等では、特
に本発明が有効である。
【0018】
【実施例】以下、実施例により、本発明をより具体的に
説明する。 実施例1 下記の表1に示す市販混合茶A、Bに、モノエステル含
量95重量%のショ糖脂肪酸エステル(構成脂肪酸比
率;パルミチン酸80重量%、ステアリン酸20重量
%)を所定量添加した。この20mLにバチルス・コア
ギュランス(Bacillus coagulans)芽胞子を10の4乗
個接種し、35°Cで2ヶ月間保存して、目視による観
察で菌の増殖による変敗を判定した。結果(変敗本数/
試験本数)を表2に示した。
【0019】
【表1】 混合茶 A 混合茶 B 主原料 はとむぎ、緑茶、大麦 はとむぎ、玄米、緑茶 玄米、大豆 大麦、どくだみ カテキン類含量(ppm) 101 65 内訳 エヒ゜カテキン (7) (3) エヒ゜カ゛ロカテキン (71) (53) カテキン (4) (1) カ゛ロカテキン (7) (7) エヒ゜カテキンカ゛レート (1) (0) エヒ゜カ゛ロカテキンカ゛レート (11) (1)
【0020】尚、混合茶中のカテキン類の含量は、高速
液体クロマトグラフ法(HPLC法)により測定した。
HPLCの条件は、4.6mmφx250mmのODS
−SIL(TSKgel-120A:10μm)充填カラム、
移動相:アセトニトリル:酢酸:メタノール:水=11
3:5:20:862(v/v)を用い、紫外吸光検出
器で検出波長280nmで測定したピーク面積より求め
た。
【0021】
【表2】 ショ糖脂肪酸添加量(ppm) 0 50 100 混合茶 A − 0/10 0/10 混合茶 B 10/10 9/10 0/10
【0022】実施例2 実施例1に於いて、バチルス・コアギュランス芽胞子に
代えて、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)芽
胞子を10の3乗個接種した他は、実施例1と同様にし
て菌の増殖による変敗を判定した。結果を表3に示し
た。
【0023】
【表3】 ショ糖脂肪酸添加量(ppm) 0 50 100 混合茶 A 10/10 0/10 0/10 混合茶 B 10/10 10/10 5/10
【0024】
【発明の効果】本発明により、微生物による変敗の危険
を減らした密封容器入り食品が提供され、特にPETボ
トルなどの充填後の高温殺菌ができないプラスチック容
器に充填される食品の変敗危険を減らすことができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 茶抽出物と抗菌性を有する乳化剤を含有
    してなる密封容器入り食品。
  2. 【請求項2】 茶抽出物であるカテキン類の含量が70
    〜2000ppm以上であり、ショ糖脂肪酸エステルの
    含量が10〜2000ppmである請求項1に記載の食
    品。
  3. 【請求項3】 茶抽出物のうちエピガロカテキンガレー
    トとエピカテキンガレートの総和が2〜600ppm以
    上であり、ショ糖脂肪酸エステルの含量が10〜200
    0ppmである請求項1及び2に記載の食品。
  4. 【請求項4】 抗菌性を有する乳化剤がショ糖脂肪酸エ
    ステルである請求項1〜3に記載の食品。
  5. 【請求項5】 ショ糖脂肪酸エステルのモノエステル比
    率が95重量%以上であるある請求項4に記載の食品。
  6. 【請求項6】 食品が飲料である請求項5に記載の食品
  7. 【請求項7】 飲料が茶類飲料である請求項6に記載の
    食品
  8. 【請求項8】 茶類飲料が穀物茶または植物茶である請
    求項7に記載の食品
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007505854A (ja) * 2003-09-23 2007-03-15 ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. 糖尿病の治療および予防用組成物
JP2007117043A (ja) * 2005-10-31 2007-05-17 Ito En Ltd 烏龍茶飲料
JP2013192485A (ja) * 2012-03-19 2013-09-30 Kao Corp 酸性調味料
JP2015146758A (ja) * 2014-02-06 2015-08-20 花王株式会社 カテキン含有飲料の製造方法

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