Patents

Search tools Text Classification Chemistry Measure Numbers Full documents Title Abstract Claims All Any Exact Not Add AND condition These CPCs and their children These exact CPCs Add AND condition
Exact Exact Batch Similar Substructure Substructure (SMARTS) Full documents Claims only Add AND condition
Add AND condition
Application Numbers Publication Numbers Either Add AND condition

烏龍茶飲料

Landscapes

Show more

JP4520396B2

Japan

Other languages
English
Inventor
仁 新納
いづみ 粟野
健吾 小原

Worldwide applications
2005 JP

Application JP2005316251A events
2010-08-04
Application granted
Active
Anticipated expiration

Description

本発明は、烏龍茶葉から抽出された抽出液を原料とする容器詰烏龍茶飲料に関する。
烏龍茶は、家庭で淹れたり、容器詰飲料として摂取したり、古くから日常的に飲まれてきた飲料であるが、最近その成分が健康に良いということで注目を集めている。
烏龍茶飲料の含有成分である非重合体カテキンには、抗腫瘍作用(「茶カテキンの抗腫瘍作用」原征彦他(日本栄養・食糧学学会誌vol.42 No.1 39-45 (1989)))、コレステロール低下作用(「Effects of crude drugs on experimental hypercholesterolemia I. Tea and its active principles」H. Matsuda et al. (J. Ethnopharm, 17, 213-224(1986))、抗アレルギー作用(『茶の抗アレルギー作用に関する研究』塩崎哲也他(和漢医薬学雑誌 11、444-445、1994))など、様々な保健効果が明らかにされている。
また、萎凋・発酵により生成される烏龍茶飲料の含有成分であるポリフェノールについても、脂質代謝抑制作用(『成人男子の血漿脂質に及ぼす烏龍茶の影響』松田早苗他(女子栄養大学栄養科学研究所年報Vol.4 1996))、成人女子の血漿脂質ならびに血中リポプロテインリパーゼ活性に及ぼす作用(『成人女子の血漿脂質ならびに血中リポプロテインリパーゼ活性に及ぼす烏龍茶給与の影響』岩田多子他(日本栄養・食料学会誌Vol.44 251-259))、抗ガン作用(『Mechanisms of Cancer Prevention by Tea Constituents』Joshua D. Lambert et al.(Journal of Nutrition, 133, 3262S-3267S))、脂肪摂取後の血清トリグリセリド上昇抑制効果(『ポリフェノール強化ウーロン茶摂取による脂肪摂取後の血清トリグリセリド上昇抑制効果』原祐司他(薬理と治療Vol.32 2004))など、様々な効果があることが明らかとされている。
しかしながら、このようなポリフェノール、特に烏龍茶ポリフェノールの保健効果を期待するには、毎日できるだけ多くのポリフェノールを習慣的に摂取することが望ましく、そのためには容器詰めウーロン茶飲料等によって気軽にポリフェノールを摂取することが大切である。
従来提案されていた容器詰めウーロン茶飲料としては、例えば特許文献1において、高温高圧殺菌釜によるレトルト殺菌に替わる殺菌方法により、烏龍茶の味覚を維持しつつ経済的にも向上された缶入り烏龍茶の製造方法を提供すべく、烏龍茶抽出液を超高温瞬間殺菌によりFo=10以上とする第一殺菌工程と、缶に封入後に缶を反転させて90℃以上20秒間程度保温し、次いで85℃以上4〜5分間保温する第二殺菌工程とを含む製造工程で製造される缶入り烏龍茶飲料が開示されている。
特許文献2には、茶類を20℃以下の冷水で抽出して得た冷水抽出液を除去した後、該残渣の茶類を30℃〜95℃の温水で再抽出して得られるウーロン茶飲料が開示されている。
特開平11−289983号公報 特開平11−113491号公報
ところで、最近、カテキンの濃度を高めた茶系飲料が注目されているが、烏龍茶飲料の場合、ポリフェノール濃度を高めると色調が顕著に暗くなり、嗜好性飲料としての価値が低下してしまうという特有の課題を抱えていた。
そこで本発明は、ポリフェノール濃度を高めても色調が暗くならない容器詰め烏龍茶飲料を提供せんとするものである。
本発明は、ポリフェノールを800ppm〜2000ppm含有する容器詰烏龍茶飲料であって、波長430nmにおける吸光度O.D430に対する波長340nmにおける吸光度O.D340の比率O.D340/O.D430が6.0〜10の範囲にあり、且つ、波長540nmにおける吸光度O.D540に対する波長340nmにおける吸光度O.D340の比率O.D340/O.D540が20〜50の範囲にあることを特徴とする容器詰烏龍茶飲料を提案する。
本発明者らの研究の結果、容器詰烏龍茶飲料のポリフェノール濃度を800ppm〜2000ppmに高めたとしても、O.D340/O.D430の比率を6.0〜10の範囲に調整し、且つ、O.D340/O.D540の比率を20〜50の範囲に調整することで、容器詰烏龍茶飲料の色調が暗くなるのを防ぐことができることを見出すことができた。
本発明における「ポリフェノール」とは、非重合体カテキン((-)-EGCG、(-)-ECG、(-)-CG、(-)-GCG、(-)-EGC、(-)-EC、(+)-Cおよび(-)-GCの8種カテキン)と、前記非重合体カテキンが重合した重合カテキンとを包含する意である。
重合カテキンは、重合により二量体、三量体、四量体、それ以上の多量体となったものであり、構造を特定するものではない。
また、本発明において、ポリフェノール量は、鉄とポリフェノールのキレート形成により発色させる「酒石酸鉄法」により定量した値である。
「五訂 日本食品分析表」によると、タンニン量(本発明で言うところのポリフェノール量)は、緑茶については酒石酸鉄法により、烏龍茶についてはモリブデンの還元により発色させる方法である「フォーリン・デニス法」により測定すると記載されているが、本発明においては「酒石酸鉄法」で求めたタンニン量をポリフェノール量として表記することとする。本発明において酒石酸鉄法によりタンニン量を求めた理由は、ビタミンCによる還元作用を考慮に入れなくてよいためである。フォーリン・デニス法と酒石酸鉄法は発色機構が異なる。「フォーリン・デニス法」はポリフェノールによってモリブデンが還元されることにより発色し、「酒石酸鉄法」はポリフェノールと鉄のキレート生成により発色する。ビタミンCが飲料に添加されている場合には、ビタミンCが還元作用を持つため、フォーリン・デニス法によって測定した場合ビタミンCの影響を受け、定量値が高くなってしまう。このため、ビタミンCの量の影響を受けない酒石酸鉄法を選択した。
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」を意図し、「Xより大きくYよりも小さいことが好ましい」旨の意図も包含する。
次に本発明の一実施形態について説明するが、本発明の範囲が当該実施形態に限定されるものではない。
本実施形態にかかる容器詰烏龍茶飲料(以下「本烏龍茶飲料」)は、ポリフェノールを800ppm〜2000ppm含有する容器詰烏龍茶飲料であって、波長430nmにおける吸光度O.D430に対する波長340nmにおける吸光度O.D340の比率O.D340/O.D430が所定範囲内にあり、且つ、波長540nmにおける吸光度O.D540に対する波長340nmにおける吸光度O.D340の比率O.D340/O.D540が所定範囲にあるように調製した容器詰烏龍茶飲料である。
本烏龍茶飲料においては、ポリフェノール含有濃度が800ppm〜2000ppmであることが重要であり、中でも好ましくは900ppm以上或いは1900ppm以下、その中でも特に好ましくは1000ppm以上或いは1800ppm以下である。
現在市販されている容器詰烏龍茶飲料の中でもポリフェノール含有濃度が比較的高い伊藤園製容器詰烏龍茶飲料(O.D340/O.D430:5.46、O.D340/O.D540:19.86、ヘーズ値20.5)は、ポリフェノール含有濃度が679ppmであるから、これと比較しても、本烏龍茶飲料のポリフェノール含有濃度は十分に高いことが認められる。
なお、2000ppmより高くなると、O.D340/O.D430並びにO.D340/O.D540を調整することで色調が暗くなるのを防ぐことが難しくなる。
さらに、本烏龍茶飲料においては、非重合体カテキンに対する重合カテキンの含有質量割合が0.3〜4.0であることが好ましく、中でも1.0〜2.0であることがさらに好ましい。
烏龍茶ポリフェノールと呼ばれるポリフェノールは重合カテキンが占める割合が高いため、非重合体カテキンに対する重合カテキンの含有質量割合が比較的大きければ烏龍茶特有の烏龍茶ポリフェノールをより多く摂取することができる。但し、非重合体カテキンの量が少なくなり過ぎると、烏龍茶飲料の持つ渋みを損なうため、調整が必要である。
上記「非重合体カテキン」の量は、(-)-EGCG、(-)-ECG、(-)-CG、(-)-GCG、(-)-EGC、(-)-EC、(+)-Cおよび(-)-GCの8種カテキンの合計量であり、上記「重合体カテキン」の量は、前記非重合体カテキンが重合したものの合計量(非重合体カテキンを含まない)である。
また、本烏龍茶飲料においては、O.D340/O.D430が6〜10の範囲にあり、且つ、O.D340/O.D540が20〜50の範囲にあることが重要である。このような烏龍茶飲料とすれば、ポリフェノール濃度が800ppm〜2000ppmであっても、烏龍茶飲料の色調が暗くなるのを防ぐことができる。すなわち、ポリフェノール濃度が250ppm〜780ppmである現在市販されている容器詰烏龍茶飲料の暗さと同等或いはそれよりも顕著に暗くなるのを防ぐことができる。
O.D340/O.D430は、7.0以上或いは9.0以下であるのがさらに好ましく、O.D340/O.D540は、25以上或いは45以下であるのがさらに好ましい。
飲料の暗さとは直接関係ないが、クリームダウンの発生を防ぐ観点などから、本烏龍茶飲料のヘーズ(Hz)は5〜30、特に5〜20、中でも特に5〜15であるのが好ましい。
(製造方法)
本烏龍茶飲料は、烏龍茶葉(「原料茶葉」ともいう)を所定の基準で選択し、その原料茶葉を抽出する際の抽出濃度を調整することにより製造することも可能ではあるが、より好ましくは、烏龍茶葉(「原料茶葉」ともいう)を所定の基準で選択し、その原料茶葉を抽出して得られた烏龍茶抽出液Aに、やはり所定の基準で選択して得られた原料茶葉から得た所定の烏龍茶エキスBを加えて烏龍茶飲料を製造する方法を挙げることができる。但し、この方法に限定されるものではない。
<原料茶葉>
烏龍茶抽出液A及び烏龍茶エキスBの「原料茶葉」は、茶樹Camellia属(学名:C. sinensis)から摘採した葉や茎であれば、その産地、摘採時期、摘採方法、栽培方法などは限られず、どのような茶種も対象とすることができ、これらの茶葉等を半発酵させ、炒るか、或いは蒸すなどの手段で酵素活性を停止させた半発酵茶であれば、いずれの種類も用いることができる。
但し、茶葉の表面色が所定の範囲にあるものを原料茶葉として用いることが、本烏龍茶飲料においては重要である。すなわち、茶葉の表面色をn-45 Sa10W10 日本電色工業社製spectrophotometer SE2000分光測光器を用いて測定した際、L値が30以上、好ましくは30〜35、且つ、a値が0以下、好ましくは−2.0〜−0.5、特に好ましくは−1.5〜−0.5であって、且つ、b値が10以上、好ましくは11〜15、特に好ましくは11〜12である原料茶葉を用いるのが好ましい。
茶葉の表面色は、茶種、発酵度、焙煎度などによって様々であるが、上記範囲の表面色を備えた原料茶葉を用いることが、烏龍茶飲料のO.D340/O.D430を6〜10の範囲に調整し、且つ、O.D340/O.D540を20〜50の範囲に調整するためには好ましい。
上記原料茶葉をそのまま抽出に供してもよいが、切断、粉砕、磨砕など原料茶葉をより細かくして供するようにしてもよい。
<烏龍茶抽出液A>
上記の原料茶葉は、例えば90〜95℃の熱水で約10分〜15分間抽出し、固液分離して抽出液を回収するのが好ましい。このように極めて高温の熱水で抽出することにより、花香成分であるネロリドールを多く抽出することができる。
但し、抽出温度(すなわち抽出する熱水の温度)及び抽出時間を、上記範囲に限定するものではない。原料茶葉の茶種、原料茶葉の量、その他の条件に応じて適宜変更することが可能である。
抽出方法としては、現在行われている抽出方法を採用することができる。例えば、抽出釜(ニーダー)などの貯水槽に原料茶葉を充填し、所定量の水を入れ、必要に応じて攪拌しながら、所定時間浸漬させるなど、所謂ニーダー抽出の如く抽出してもよいし、又、カラムに原料茶葉を充填し、当該カラムに水を所定時間順次送水するなどして、所謂ドリップ抽出の如く抽出してもよい。抽出方法に格別の制約はなく、所望又は目的により選択することができる。
また、固液分離方法に格別の制約はなく、従来或いは現在行われている抽出方法に付帯する固液分離方法を採用することができる。
抽出に用いる水としては、硬水、軟水、イオン交換水、天然水その他の水を用いることができる。また、抽出に用いる水をpH約4〜6に調整してもよい。水のpH調整は、酸成分としてのビタミンC(アスコルビン酸)を添加し、アルカリ成分としては炭酸カリウム、重炭酸水素ナトリウムなど、特に炭酸カリウム及び重炭酸水素ナトリウムを併用して所望のpHに調整することができる。これらのpH調整剤は人体に悪影響がないばかりか、炭酸カリウムを使用すると旨味が増し、重炭酸水素ナトリウムを使用するとpHを安定させることができる。但し、味に悪影響を与えなければ、他のアルカリ成分も使用可能である。
上記の如く得られた抽出液は、茶葉や大きな微粉などの抽出残渣を除去する粗濾過を行うと共に、一次オリの原因物質を除去する濾過を行うのが好ましい。
但し、これらの粗濾過及び一次オリ原因物質除去濾過を製造工程中のどこに挿入するかは任意である。
粗濾過は、ネル、ステンレスフィルター、ストレーナーその他抽出残渣を除去するために現在採用されている濾過方法を任意に採用することができる。
一次オリの原因物質を除去する濾過方法としては、遠心分離に続いて珪藻土濾過或いは適当な膜濾過を行うなどの方法がある。
また、遠心分離する前に、例えば抽出液を5〜40℃程度に冷却すると同時に又はその前後に、必要に応じて、抽出液にアスコルビン酸やアスコルビン酸ナトリウムなどを加えて酸性(pH4〜5)に調整し、冷却或いは酸性調整によって抽出成分の酸化を防ぐと共に、一次オリ原因成分を沈殿させて遠心分離の効率を高めるようにするのが好ましい。
遠心分離は、例えば5000〜10000rpmの回転数で行えばよい。
また、珪藻土濾過を行う場合には必ずしも遠心分離を挿入する必要はないが、前工程に遠心分離を挿入することにより珪藻土濾過の負担軽減、例えば透過流量の増加により濾過時間を短縮することができる。
膜濾過としては、微細濾過、精密濾過、限外濾過、逆浸透膜濾過、電気透析、生物機能性膜などの膜分離を挙げることができ、上記珪藻土濾過などの濾過助剤を用いた濾過と組み合わせて行うようにしてもよい。
上記遠心分離、珪藻土濾過及び膜濾過の方法及び設定条件などは任意に調整可能である。
<烏龍茶エキスB>
烏龍茶エキスBは、上記の烏龍茶抽出液Aと同様に原料茶葉を抽出し、濾過を行った後、得られた烏龍茶抽出液を、例えばsephadex LH20(アマシャムバイオサイエンス社製)を充填したカラムに通液し、例えば99.5%エタノールで溶出させて得られた成分を濃縮乾固し、この濃縮乾固物にポリビニルポリピロリドン(PVPP)を加えて攪拌放置し、その後、遠心分離によって前記PVPPを除去するようにして烏龍茶エキスBを得ることができる。必要によってはアルカリ条件下などで非重合体カテキンを重合させ、ポリフェノール量を増やす操作を行ってもよい。
上記の如く烏龍茶抽出液を処理して得られる烏龍茶エキスBは、非重合カテキンを1ppm〜350ppm、好ましくは1ppm〜100ppm、特に好ましくは1ppm〜50ppm含み、且つ、ポリフェノール(非重合カテキン+重合カテキン)を100ppm〜3000ppm、好ましくは500ppm〜3000ppm、特に好ましくは1000ppm〜3000ppm含み、且つ、O.D340/O.D430は4〜10、好ましくは5〜10、特に好ましくは6〜10であり、且つ、O.D340/O.D540が10〜50、好ましくは20〜50、特に好ましくは25〜50であるものがよい。
このような烏龍茶エキスBであれば、烏龍茶抽出液Aに添加することにより、ポリフェノール濃度を高めることができるが、単純に高めるだけではなく、非重合カテキンに対する重合カテキンの比率を高めつつポリフェノール濃度を高めることができ、しかもそれでいて、色調が暗くならないようにすることができる。
<調合>
調合工程では、上記烏龍茶抽出液Aに上記烏龍茶エキスBを加えると共に、従来或いは現在行われているウーロン茶飲料の製造方法と同様に、水(硬水、軟水、イオン交換水、天然水その他)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、重曹、糖類、デキストリン、香料、乳化剤、安定剤、或いはその他の呈味原料などのいずれか或いはこれらのうち二種以上を添加し、主にpH調製、濃度調製、味の調整を行うようにすればよい。
烏龍茶抽出液Aと烏龍茶エキスBとの混合割合は、ポリフェノール含有量、O.D340/O.D430及びO.D340/O.D540が所定の範囲に入るように適宜調整すればよく、特にその範囲を限定するものではないが、目安としては質量比率で100:0〜20:80、好ましくは90:10〜20:80、より好ましくは90:10〜50:50とするのがよい。
(加熱殺菌)
加熱殺菌工程は、缶飲料とする場合には、必要に応じて再加熱した後、調合液を充填し、レトルト殺菌(例えば、適宜加圧下(1.2mmHgなど)の下、121℃で7分間加熱殺菌する。)を行い、プラスチックボトル飲料や紙パック飲料とする場合にはUHT殺菌(調合液を120〜150℃で1秒〜数十秒保持する。)を行うようにすればよい。
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明の範囲が実施例に限定されるものではない。
(サンプル1)
サンプル1は、暗さ評価の基準とする容器詰め烏龍茶飲料として、現在当社(伊藤園)が市販している容器詰烏龍茶飲料の中でも比較的ポリフェノール量の多いものを選択した。その製法は次のようである。
原料茶葉(茶葉表面色:L値33.10、a値1.81、b値10.56)11.0gを、95℃のイオン交換水275.0mLに投入し、15分間抽出(抽出効率29%)し、冷却後7000rpmで10分間遠心分離して烏龍茶抽出液を得た。
この烏龍茶抽出液275.0mLにイオン交換水を加えて合計1000mLとすると共に、ビタミンC及び重曹を用いてpH6.3に調製した後、133℃、30秒UHT殺菌し、無色透明なPETボトルに充填して、容器詰烏龍茶飲料(サンプル1)を得た。
そして、この容器詰烏龍茶飲料のカテキン量、カフェイン量、ポリフェノール量の測定、340nm、430nm、540nmにおける吸光度の測定、ヘーズの測定、並びに暗さ評価を行なった。
(サンプル2)
原料茶葉(茶葉表面色:L値33.81、a値-1.18、b値11.76)11.0gを、95℃のイオン交換水275.0mLに投入し、15分間抽出(抽出効率29%)し、冷却後7000rpmで10分間遠心分離して烏龍茶抽出液を得た。
この烏龍茶抽出液275.0mLにイオン交換水を加えて合計1000mLとすると共に、ビタミンC及び重曹を用いてpH6.3に調製した後、133℃、30秒UHT殺菌し、無色透明なPETボトルに充填して、容器詰烏龍茶飲料(サンプル2)を得た。
そして、この容器詰烏龍茶飲料のカテキン量、カフェイン量、ポリフェノール量の測定、340nm、430nm及び540nmにおける各吸光度の測定、ヘーズの測定、並びに暗さ評価を行なった。
(サンプル3)
原料茶葉(茶葉表面色:L値33.34、a値-1.00、b値11.58)11.0gを、95℃のイオン交換水275.0mLに投入し、15分間抽出(抽出効率29%)し、冷却後7000rpmで10分間遠心分離して烏龍茶抽出液を得た。
この烏龍茶抽出液275.0mLにイオン交換水を加えて合計1000mLとすると共に、ビタミンC及び重曹を用いてpH6.3に調製した後、133℃、30秒UHT殺菌し、無色透明なPETボトルに充填して、容器詰烏龍茶飲料(サンプル3)を得た。
そして、この容器詰烏龍茶飲料のカテキン量、カフェイン量、ポリフェノール量の測定、340nm、430nm及び540nmにおける各吸光度の測定、ヘーズの測定、並びに暗さ評価を行なった。
(サンプル4)
原料茶葉(茶葉表面色:L値25.31、a値2.60、b値7.19)20.0gを、95℃のイオン交換水500.0mLに投入し、15分間抽出(抽出効率29%)し、冷却後7000rpmで10分間遠心分離して烏龍茶抽出液を得た。
この烏龍茶抽出液500.0mLにイオン交換水を加えて合計1000mLとすると共に、ビタミンC及び重曹を用いてpH6.3に調製した後、133℃、30秒UHT殺菌し、無色透明なPETボトルに充填して、容器詰烏龍茶飲料(サンプル4)を得た。
そして、この容器詰烏龍茶飲料のカテキン量、カフェイン量、ポリフェノール量の測定、340nm、430nm及び540nmにおける各吸光度の測定、ヘーズの測定、並びに暗さ評価を行なった。
(サンプル5)
原料茶葉(茶葉表面色:L値29.04、a値1.69、b値8.71)21.0gを、95℃のイオン交換水525.0mLに投入し、15分間抽出(抽出効率29%)し、冷却後7000rpmで10分間遠心分離して烏龍茶抽出液を得た。
この烏龍茶抽出液525.0mLにイオン交換水を加えて合計1000mLとすると共に、ビタミンC及び重曹を用いてpH6.3に調製した後、133℃30秒UHT殺菌し、無色透明なPETボトルに充填して、容器詰烏龍茶飲料(サンプル5)を得た。
そして、この容器詰烏龍茶飲料のカテキン量、カフェイン量、ポリフェノール量の測定、340nm、430nm、540nmにおける吸光度の測定、ヘーズの測定、並びに暗さ評価を行なった。
(サンプル6)
原料茶葉(茶葉表面色:L値27.42、a値2.35、b値7.83)16.0gを、95℃のイオン交換水400.0mLに投入し、15分間抽出(抽出効率29%)し、冷却後7000rpmで10分間遠心分離して烏龍茶抽出液を得た。
この烏龍茶抽出液400.0mLにイオン交換水を加えて合計1000mLとすると共に、ビタミンC及び重曹を用いてpH6.3に調製した後、133℃30秒UHT殺菌し、無色透明なPETボトルに充填して、容器詰烏龍茶飲料(サンプル6)を得た。
そして、この容器詰烏龍茶飲料のカテキン量、カフェイン量、ポリフェノール量の測定、340nm、430nm、540nmにおける吸光度の測定、ヘーズの測定、並びに暗さ評価を行なった。
(サンプル7)
原料茶葉(茶葉表面色:L値33.33、a値-1.51、b値11.93)11.0gを、95℃のイオン交換水275.0mLに投入し、15分間抽出(抽出効率29%)し、冷却後7000rpmで10分間遠心分離して烏龍茶抽出液を得た。
この烏龍茶抽出液275.0mLに上記の烏龍茶エキスを500mL加え、さらにイオン交換水を加えて合計1000mLとすると共に、ビタミンC及び重曹を用いてpH6.3に調製した後、133℃、30秒UHT殺菌し、無色透明なPETボトルに充填して、容器詰烏龍茶飲料(サンプル7)を得た。
そして、この容器詰烏龍茶飲料のカテキン量、カフェイン量、ポリフェノール量の測定、340nm、430nm及び540nmにおける各吸光度の測定、ヘーズの測定、並びに暗さ評価を行なった。
(サンプル8)
原料茶葉(茶葉表面色:L値33.33、a値-1.51、b値11.93)22.0gを、95℃のイオン交換水550.0mLに投入し、15分間抽出(抽出効率29%)し、冷却後7000rpmで10分間遠心分離して烏龍茶抽出液を得た。
この烏龍茶抽出液550.0mLにイオン交換水を加えて合計1000mLとすると共に、ビタミンC及び重曹を用いてpH6.3に調製した後、133℃、30秒UHT殺菌し、無色透明なPETボトルに充填して、容器詰烏龍茶飲料(サンプル8)を得た。
そして、この容器詰烏龍茶飲料のカテキン量、カフェイン量、ポリフェノール量の測定、340nm、430nm及び540nmにおける各吸光度の測定、ヘーズの測定、並びに暗さ評価を行なった。
(サンプル9)
原料茶葉(茶葉表面色:L値33.33、a値-1.51、b値11.93)5.5gを、95℃のイオン交換水137.5mLに投入し、15分間抽出(抽出効率29%)し、冷却後7000rpmで10分間遠心分離して烏龍茶抽出液を得た。
この烏龍茶抽出液137.5mLにイオン交換水を加えて合計1000mLとすると共に、ビタミンC及び重曹を用いてpH6.3に調製した後、133℃、30秒UHT殺菌し、無色透明なPETボトルに充填して、容器詰烏龍茶飲料(サンプル9)を得た。
そして、この容器詰烏龍茶飲料のカテキン量、カフェイン量、ポリフェノール量の測定、340nm、430nm及び540nmにおける各吸光度の測定、ヘーズの測定、並びに暗さ評価を行なった。
<烏龍茶エキス>
原料茶葉(茶葉表面色:L値33.33、a値-1.51、b値11.93)200gを95℃の熱水5Lで30分間抽出し、冷却後7000rpmで10分間遠心分離して抽出液を得た。この抽出液を、Sephadex LH20を充填したカラムに通液し、99.5%エタノールで溶出させて得られた成分を濃縮乾固し、この濃縮乾固物にポリビニルポリピロリドン(PVPP)を加えて攪拌1時間放置し、その後、7000rpmで10分間遠心分離した後1μmフィルターによる濾過によりPVPPを除去して烏龍茶エキスを得た。
なお、この烏龍茶エキスは、非重合体カテキン量313ppm、重合カテキン1897ppm、D340/O.D430:4.83、O.D340/O.D540:12.45であった。
(サンプル10)
原料茶葉(茶葉表面色:L値33.33、a値-1.51、b値11.93)5.5gを、95℃のイオン交換水137.5mLに投入し、15分間抽出(抽出効率29%)し、冷却後7000rpmで10分間遠心分離して烏龍茶抽出液を得た。
この烏龍茶抽出液137.5mLに上記の烏龍茶エキスを200mL加え、さらにイオン交換水を加えて合計1000mLとすると共に、ビタミンC及び重曹を用いてpH6.3に調製した後、133℃、30秒UHT殺菌し、無色透明なPETボトルに充填して、容器詰烏龍茶飲料(サンプル10)を得た。
そして、この容器詰烏龍茶飲料のカテキン量、カフェイン量、ポリフェノール量の測定、340nm、430nm及び540nmにおける各吸光度の測定、ヘーズの測定、並びに暗さ評価を行なった。
(サンプル11)
原料茶葉(茶葉表面色:L値33.33、a値-1.51、b値11.93)8.25gを、95℃のイオン交換水206.25mLに投入し、15分間抽出(抽出効率29%)し、冷却後7000rpmで10分間遠心分離して烏龍茶抽出液を得た。
この烏龍茶抽出液206.25mLに上記の烏龍茶エキスを400mL加え、さらにイオン交換水を加えて合計1000mLとすると共に、ビタミンC及び重曹を用いてpH6.3に調製した後、133℃、30秒UHT殺菌し、無色透明なPETボトルに充填して、容器詰烏龍茶飲料(サンプル11)を得た。
そして、この容器詰烏龍茶飲料のカテキン量、カフェイン量、ポリフェノール量の測定、340nm、430nm及び540nmにおける各吸光度の測定、ヘーズの測定、並びに暗さ評価を行なった。
(サンプル12)
原料茶葉(茶葉表面色:L値33.33、a値-1.51、b値11.93)2.75gを、95℃のイオン交換水68.75mLに投入し、15分間抽出(抽出効率29%)し、冷却後7000rpmで10分間遠心分離して烏龍茶抽出液を得た。
この烏龍茶抽出液68.75mLに上記の烏龍茶エキスを900mL加え、さらにイオン交換水を加えて合計1000mLとすると共に、ビタミンC及び重炭酸ナトリウムを添加してpH6.0に調製した後、133℃、30秒UHT殺菌し、無色透明なPETボトルに充填して、容器詰烏龍茶飲料(サンプル12)を得た。
そして、この容器詰烏龍茶飲料のカテキン量、カフェイン量、ポリフェノール量の測定、340nm、430nm及び540nmにおける各吸光度の測定、ヘーズの測定、並びに暗さ評価を行なった。
(サンプル13)
上記烏龍茶エキスにビタミンC及び重曹を加えてpH6.3に調製した後、133℃、30秒UHT殺菌し、無色透明なPETボトルに充填して、容器詰烏龍茶飲料(サンプル13)を得た。
そして、この容器詰烏龍茶飲料のカテキン量、カフェイン量、ポリフェノール量の測定、340nm、430nm及び540nmにおける各吸光度の測定、ヘーズの測定、並びに暗さ評価を行なった。
<各種測定・評価>
(茶葉表面色(L値、a値、b値)の測定)
原料茶葉の茶葉表面色(L値、a値、b値)は、n-45 Sa10W10 日本電色工業製SE2000分光測光器を用いて測定した。コーヒー鑑定士検定教本のL値(明度)の測定方法に準拠した。
すなわち、原料茶葉をミルで500μm以下(旧呼称 ME30PASS)に粉砕し、日本電色工業(株)製の測定器の反射率を利用して測定した。
この際、標準白陶板の反射率を100として試料の反射率をL値とした。a値は数値が大きい程(+)側では赤色の度合いが大きく、(−)側では緑色の度合いが大きい。b値は数値が大きい程(+)側では黄色の度合いが大きく、(−)側では青色の度合いが大きい。
セルへの充填は試料の微粉をセルに入れ、セルの底面に隙間がないように微粉を上から軽く押さえた。
測定はセルの角度を変え3回測定した平均値を示した。
(ポリフェノール量、カテキン量、カフェイン量の測定)
ポリフェノール量は、酒石酸鉄法(没食子酸エチルを標品として使用)(『茶の分析法』池ヶ谷賢次郎他(茶業研究報告第71号 1990)で測定した。
カテキン量及びカフェイン量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により下記条件下で測定した。
[HPLC条件]
装置:高速液体クロマトグラフユニット( 日立製作所D-7000 HPLCシステム)
カラム:wakosil5C18HGφ4.6×250mm(Wako pure chemical industries, LTD.)
カラム温度:40℃
移動相:A相 5%アセトニトリル(リン酸0.1%含有)
B相 50%アセトニトリル(リン酸0.1%含有)
流速:1.0mL/min
注入量:5μL
検出:UV230nm
グラジエントプログラム:表1
Figure 0004520396
(吸光度・ヘーズの測定)
吸光度は、分光光度計(島津製作所製「UV-Visible Recording SpectrophotometerUV-160A」を用いて測定した。
ヘーズは、村上色彩技術研究所製「HAZEMETER HM-150」を用いて3回測定した平均値を示した。
(暗さ評価)
飲料の暗さ評価は、白色蛍光灯の下で、各サンプルとサンプル1とを横に並べて暗さを目視にて比較し、サンプル1よりも暗いものを「×」、暗くないものを「○」と評価した。
下記表中において、「茶葉量」は飲料1L当りの茶葉量を示し、「エキス添加」は飲料に占めるエキスの容量%を示し、「非重合カテキン」、「ポリフェノール」及び「カフェイン」はそれぞれ飲料中の濃度(ppm)を示し、「重合/非重合カテキン」は、非重合カテキン濃度に対する重合カテキン濃度の比率を示す。
Figure 0004520396
(考察)
表2の結果より、サンプル1に比べてポリフェノール量が多い800ppm以上であっても、O.D340/O.D430が6.0〜10の範囲であり、且つ、O.D340/O.D540が20〜50の範囲内であれば、サンプル1よりも飲料が暗くならないことが分かった。
また、サンプル10及び11が示すように、烏龍茶エキスの添加によって、ポリフェノール濃度を高めることができると同時に、非重合体カテキンに対する重合カテキンの質量割合を1.0以上に高めることができ、しかも、O.D340/O.D430を6.0〜10の範囲で、且つ、O.D340/O.D540を20〜50の範囲内に調整することができ、サンプル1よりも飲料が暗くならないようにすることができることが分かった。

Claims (1)
Hide Dependent

  1. ポリフェノールを800ppm〜2000ppm含有する容器詰烏龍茶飲料であって、
    波長430nmにおける吸光度O.D430に対する波長340nmにおける吸光度O.D340の比率O.D340/O.D430が6.0より大きく10よりも小さい範囲にあり、且つ、
    波長540nmにおける吸光度O.D540に対する波長340nmにおける吸光度O.D340の比率O.D340/O.D540が20より大きく50よりも小さい範囲にあることを特徴とする容器詰烏龍茶飲料。