JPH11127781A - γ−アミノ酪酸含量の高い茶の製造法 - Google Patents

γ−アミノ酪酸含量の高い茶の製造法

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JPH11127781A
JPH11127781A JP9311609A JP31160997A JPH11127781A JP H11127781 A JPH11127781 A JP H11127781A JP 9311609 A JP9311609 A JP 9311609A JP 31160997 A JP31160997 A JP 31160997A JP H11127781 A JPH11127781 A JP H11127781A
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均 吉冨
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便な処理で、血圧上昇抑制作用を有するγ
−アミノ酪酸含量を大幅に高めた茶を提供すること。 【解決手段】 茶葉を嫌気処理したのち好気処理する操
作を交互に繰り返した後、嫌気処理を行うことを特徴と
するγ−アミノ酪酸含量の高い茶の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、茶葉の嫌気処理と
好気処理を交互に繰り返して行った後、最後に嫌気処理
を施すことにより、γ−アミノ酪酸(以下、GABAと
略記することがある。)含量の高い茶を製造する方法に
関するものである。この茶は、血圧上昇抑制作用などの
生理活性を有している。
【0002】
【従来の技術】日本国民の平均寿命の驚異的な伸長に伴
い、高齢者の比率が高くなっている。その結果、いわゆ
る成人病患者は増加の一途をたどっている。とりわけ、
高血圧性疾患に苦しんでいる患者が増えている。高血圧
性疾患の予防、治療方法としては、薬物によるものが直
接的、かつ有効な手段であるけれども、種々の副作用が
起こる可能性も否めない。したがって、日常的な高血圧
性疾患の予防は、食生活の改善による方が好ましい。食
生活を改善する場合に、食塩摂取の制限がその基本とな
るが、近年は健康食品に対する関心が高まり、それに伴
い血圧上昇抑制作用を有する、幾つかの食品が提唱さ
れ、これら食品の摂取が試みられている。
【0003】さらに、このような作用を有する食品の開
発も種々検討されている。例えば、GABAは血圧降下
作用を有していることが知られているが、このGABA
を茶に蓄積させることによって、血圧降下作用を有する
茶を得る方法が報告されている (津志田ら, 日本農芸化
学会誌, 61, 817 (1987); Tsushida, T. and Murai,T.,
Agric. Biol. Chem., 51, 2865 (1987))。これは、摘
採した茶生葉を一定時間嫌気的条件下におくことによ
り、GABA含量を高めるものである。GABA含量の
高い緑茶は、既に市販されている。
【0004】GABAは、L−グルタミン酸脱炭酸酵素
(EC 4. 1. 1. 15; 以下、GDCと略記する。)によっ
て、グルタミン酸(以下、Gluと略記する。)から脱
炭酸されて生じる遊離アミノ酸である。上記の津志田ら
の方法においてGABA含量の高い茶が得られる理由
は、嫌気処理された茶葉中のGluが、GDCにより脱
炭酸されてGABAが生成するからであると考えられて
いる。このGABA含量の高い緑茶の血圧上昇抑制効果
は、高血圧自然発症ラットへの投与試験により確認され
ている(大森ほか,日本農芸化学会誌,61, 1449 (198
7))。
【0005】従来法による一般的な嫌気的処理は、20
℃で5〜10時間程度である(袴田ら,茶業研究報告,
68, 8 (1988)) 。茶葉を嫌気処理することにより、GA
BA含量の高い茶を得ることができる。しかしながら、
茶に含まれているGABAの前駆体であるGlu量は限
られていることから、茶葉の嫌気処理を行うと、GAB
A含量が最初に著しく増加するものの、一定時間経過後
の増加率は低く、GABA含量のさらなる上昇を図るに
は限界があった(竹内ら,茶業研究報告,80,13 (199
4); 竹内ら, 茶業研究報告, 80, 17 (1994))。しか
も、嫌気処理を行うと、茶葉に特有の臭気が生じる。そ
のため、嫌気処理の条件を工夫したり、火入れ処理を行
う等の品質改善法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、GABA含
量を大幅に高めた茶葉を提供することを目的とする。前
述の如く、単なる嫌気処理のみではGABA生成量に限
界があるので、本発明者らは、これまで、GABA含量
のより高い茶を効率的に生産する技術を確立するために
種々の検討を行ってきた。その結果、嫌気処理と好気処
理を組み合わせることによって、GABA生成量が大幅
に高まることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
茶葉を嫌気処理したのち好気処理する操作を交互に繰り
返した後、嫌気処理を行うことを特徴とするγ−アミノ
酪酸含量の高い茶の製造法である。請求項2記載の発明
は、嫌気処理と好気処理を交互に1〜12回繰り返す請
求項1記載の方法である。請求項3記載の発明は、茶葉
を容器に充填し、嫌気条件と好気条件を交互に切り替え
る操作を1〜12回繰り返した後、最後に嫌気処理を行
う請求項1記載の方法である。請求項4記載の発明は、
茶葉を充填した容器を密封し、容器内を不活性ガスで置
換して10分〜12時間嫌気処理を行った後、該容器を
開封して茶生葉を10分〜3時間好気処理する操作を1
〜12回行った後、再び前記の嫌気処理を10分〜12
時間行う請求項1記載の方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法に用いる茶葉は、制限されず、茶の原料と
して通常用いる茶葉ならいずれも使用することができ
る。原料として用いる茶の種類や製法を適宜選択するこ
とによって、緑茶、紅茶、ウーロン茶など各種タイプの
茶を製造することが可能である。緑茶を製造するための
原料としては、例えばやぶきた、めいりょく、おくゆた
か等の緑茶用品種を用いることが好ましい。また、紅茶
やウーロン茶等を製造する場合は、例えばべにふじ、べ
にほまれ、べにふうき等の紅茶、半発酵茶用品種を用い
ることが好ましい。
【0009】茶葉の摘採時期も特に制限はなく、1番
茶、2番茶、3番茶等のいずれも本発明の原料として使
用できる。ただし、GABA含量のより高い製品を得る
ためには、1番茶を用いることが好ましい。しかし、3
番茶等を原料とする場合でも、前記の嫌気処理に続いて
好気処理を行う操作を複数回繰り返した後、嫌気処理を
実施することによって、GABA含量を高めることがで
きる。なお、本発明の方法によって紅茶やウーロン茶を
製造する場合には、原料の茶葉についてあらかじめ萎凋
処理を済ませておく必要があり、その後に上記した操作
を実施する。
【0010】本発明の方法において嫌気処理とは、原料
である茶葉を嫌気的条件の下に一定期間おくことを意味
し、具体的には、茶葉を密封することなく容器に充填
し、ポンプ等で吸引して真空に近い条件として嫌気処理
したり、あるいは真空にする代わりに不活性ガスを送り
込むことにより嫌気状態としたり、茶葉を入れた容器を
密封し、容器内を窒素、炭酸ガス等の不活性ガスで置換
し、不活性ガス雰囲気下で所定時間経過させることを意
味する。処理時間は10分〜12時間、好ましくは1〜
6時間であり、1番茶を用いるときや嫌気処理と好気処
理の交互繰り返しを頻繁に行うときは比較的短時間でよ
い。この処理によって、茶葉中のGluがGDCにより
脱炭酸されてGABAが生成する。処理時間が下限未満
であると、十分な効果が奏されず、上限を超える長時間
の処理を行ってもそれに見合う効果が得られない。な
お、処理温度については特に制限はなく、通常は10〜
30℃程度で行う。処理温度が低い場合は、処理時間を
長くする必要がある。
【0011】好気処理は、茶葉を好気的状態におくこと
を意味し、具体的には、容器に充填した茶葉を前記の如
く嫌気処理した後、空気を送り込んで好気的条件に切り
替えたり、前述の嫌気処理の段階で不活性ガス雰囲気下
に密封されていた容器を開放し、茶葉を外気にふれるよ
うにすればよい。好気処理を行うことにより、GABA
の一部がGluに戻る他、茶葉中のGABA以外の成分
がGluに変換されるため、Gluの蓄積量が増える。
通常、好気処理は10分〜3時間程度行えばよい。好気
処理時間が下限未満であると、Gluの蓄積量が十分で
なく、その後に行う嫌気処理によるGABAの十分量の
生成を期待できない。一方、上限を超える長時間の処理
を行うと、嫌気処理で生成したGABAの減少量が増す
上に、長時間の処理に見合う効果が得られず好ましくな
い。処理温度は、通常10〜30℃である。
【0012】本発明では、上記の嫌気処理と好気処理を
1組とする操作を交互に繰り返し実施する。通常、この
操作を1〜12回程度繰り返す。このようにして好気処
理が終了した後、最後に再び嫌気処理を行う。このとき
の嫌気処理は、先に述べた条件と同様の条件で行えばよ
く、前記条件の範囲内であれば、処理時間や処理温度等
は前回までの条件と同じである必要はない。
【0013】本発明の方法によれば、嫌気処理のみを行
う従来法に比べて茶葉の香り等の低下は僅かであるが、
所望により火入れ処理(中田ら, 茶業研究報告, 68, 40
-42,1988)等の後処理を行って香り等の改善を図ること
が可能である。火入れ処理は、茶葉の香りや外観等の変
化の程度に応じて行えばよく、例えば前記の処理を行っ
た茶葉を、熱風循環式の電気定温乾燥機を用い110〜
120℃で10〜30分間程度加熱すればよい。
【0014】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳しく説明す
る。 比較例1〔嫌気処理のみ〕 農林水産省野菜・茶業試験場(金谷)の圃場から摘採し
た「やぶきた」1番茶新芽を原料として、以下の処理を
施した。1kg用茶袋(アルミラミネート製)を3つ用
意し、採取した茶葉を1袋当たり50g入れ、袋内を窒
素ガスで置換し封入して嫌気処理を施した。嫌気処理は
25℃で3時間、6時間または9時間実施した。なお、
嫌気処理を行わないもの(0時間)を対照として用意し
た。各処理後の試料は、電子レンジを用いて酵素失活、
乾燥させ、窒素ガス封入して、これをアミノ酸分析に供
試するまで冷蔵保存した。
【0015】各試料について、後藤らの方法(茶業研究
報告,77, 29 (1993))に従い、第1表に示す各種の遊離
アミノ酸量を測定した。測定方法の概略を述べると、オ
ルトフタルアルデヒド(OPA)によりプレカラム誘導
体化を行った後、逆相クロマトグラフィーにより分離、
定量し、日立製のL−6000シリーズの機器を用いて
分析した。各種遊離アミノ酸量の測定値を第1表に示
す。表中のAsnはアスパラギン、Serはセリン、G
lnはグルタミン、Argはアルギニン、Alaはアラ
ニン、Theaはテアニンをそれぞれ表す。また、試料
のうち嫌気処理を9時間行ったものについて、GAB
A、Glu、アラニン(以下、Alaと記載する。)お
よびアスパラギン酸(以下、Aspと記載する。)の量
の経時的変化をそれぞれ図1、2、3、4に◆で示し
た。
【0016】
【表1】 第 1 表 ─────────────────────────────────── 嫌気処理 アミノ酸含量 (mg/g) (時間)────────────────────────────── Asp Glu Asn Ser Gln Arg Ala Thea GABA ─────────────────────────────────── 0 2.00 2.44 0.11 0.94 2.07 4.18 0.26 18.92 0.11 3 0.14 0.17 0.14 0.84 1.54 4.53 1.97 18.50 2.80 6 0.15 0.08 0.17 0.87 1.44 4.29 2.01 18.04 3.30 9 0.24 0.23 0.19 0.93 1.66 4.06 1.88 18.76 3.44 ───────────────────────────────────
【0017】第1表から、嫌気処理を施した試料は、対
照の試料と比較してGABAとAlaの含量が著しく増
加し、GluとAspの含量は減少していることがわか
る。また、図示したように、GABAとAlaの量は、
嫌気処理後3時間で急激に増加するが、その後の変化は
少ない(図1および図3)。また、GluとAspの量
も、嫌気処理後3時間でほとんど0mg/gに等しい量まで
低下し、その後はほとんど変化しない(図2および図
4)。
【0018】しかし、Gluの減少量とGABAの生成
量を比較すると、嫌気処理から9時間後のGluの減少
量は2.21mg/g (0.015mmol/g)であるのに対し、G
ABAの増加量は3.33mg/g (0.032mmol/g)であ
る。GDCにより、1mol のGluから同量のGABA
が生成すると考えると、0.032mmol/gのGABAを生
成させるには、Glu以外の前駆体が存在するか、また
は嫌気処理中に他の物質がGluに変化しているものと
推定される。その他のアミノ酸では、Glnが嫌気処理
中に減少していることから、GluがGlnに変化した
後にGABAが生じる可能性は十分に考えられる。しか
し、Gluがほぼ0mg/gに近いところまで減少するのに
比べると、Glnの減少速度は緩やかである。このこと
から、嫌気条件下では処理開始後3時間程度で、GAB
A前駆体であるGluが消費し尽くされてしまうこと、
またGlnのようにGABAに変化しうる物質が残って
いる可能性はあるが、それが代謝される能力は限界に達
していると考えた。
【0019】実施例1〔嫌気処理→好気処理→嫌気処
理〕 嫌気処理時間を3時間としたこと以外は、比較例1と同
様の原料および条件で3つの試料について嫌気処理を行
った。その後、袋を開けて茶葉を外気に曝し、それぞれ
1,2,3時間の好気処理を行った。好気処理後、再び
嫌気処理を3時間行った。嫌気処理は、比較例1と同様
の条件で行った。
【0020】処理後の各試料について、比較例1と同様
にして遊離アミノ酸量の測定を行った。結果を第2表に
示す。また、各試料のGABA、Glu、Alaおよび
Aspの量の経時的変化をそれぞれ図1、2、3、4に
示す。図中、■は嫌気処理3時間、好気処理1時間、嫌
気処理3時間の結果を、▲は嫌気処理3時間、好気処理
2時間、嫌気処理3時間の結果を、●は嫌気処理3時
間、好気処理3時間、嫌気処理3時間の結果をそれぞれ
示す。
【0021】
【表2】 第 2 表 ──────────────────────────────────── 好気処理1) アミノ酸含量 (mg/g) の時間 ────────────────────────── (時間) Asp Glu Asn Ser Gln Arg Ala Thea GABA ──────────────────────────────────── 1 〔嫌気処理2)前〕 0.77 3.25 0.23 0.93 1.85 4.14 0.69 17.16 2.56 2 〔嫌気処理2)前〕 1.22 3.54 0.23 1.10 1.52 4.93 0.53 16.66 2.42 3 〔嫌気処理2)前〕 1.31 3.46 0.23 1.05 2.15 4.17 0.39 18.95 2.01 1 〔嫌気処理2)後〕 0.21 0.14 0.25 0.89 1.42 4.65 1.23 17.05 5.41 2 〔嫌気処理2)後〕 0.36 0.14 0.26 0.99 1.84 4.62 1.22 18.15 5.16 3 〔嫌気処理2)後〕 0.27 0.16 0.24 1.02 1.57 4.54 1.30 17.90 4.92 ──────────────────────────────────── 1)好気処理:いずれの試料も、好気処理前に3時間の嫌気処理を行っている。 2)嫌気処理:好気処理後に行う嫌気処理(3時間)を指す。
【0022】第2表および図1〜図4より、以下のこと
が明らかである。 (1)嫌気処理後に好気処理した茶葉のアミノ酸含量に
ついて嫌気処理により蓄積したGABAおよびAlaの
含有量は、好気処理の処理時間に比例して減少している
(図1および図3)。GABA量は、好気処理を1時間
行った後で嫌気処理直後の含有量の9%、3時間後には
28%が減少している。また、Ala量は、好気処理1
時間後に嫌気処理後の含有量の65%、3時間後には8
0%が減少している。
【0023】一方、嫌気処理中に減少したGluおよび
Aspは、好気処理の時間に比例して増加している(図
2および図4)。Gluは、好気処理1時間で嫌気処理
前の1.3倍、3時間で1.4倍増加している。Aspも、
好気処理中に嫌気処理前の0.4〜0.7倍も増加を示して
いる。好気処理後におけるGABAの減少量は、0.79
mg/g (0.008mmol/g)であるのに対し、GABAの前
駆体であるGluの増加量は3.30mg/g (0.022mmol
/g)である。両者を比較すると、GABAの一部がGl
uに戻ることも考えられるが、Gluの増加量からみ
て、GABA以外の何らかの物質が好気処理中にGlu
に変換されるものと考えられる。
【0024】(2)嫌気処理後に好気処理した茶葉を再
び嫌気処理した際のアミノ酸含量について好気処理によ
り増加したGlu量は、再び嫌気処理を行うことによ
り、GABAに変化する。GABA量は、最初の嫌気処
理後の含有量と比較すると、好気処理を1時間行った場
合に1.9倍、3時間区行った場合に1.8倍に増加してい
る。次に、本実施例の結果を比較例1の嫌気処理6時間
後の試料のGABA含量と比較すると、好気処理1時間
区では1.6倍、3時間区で1.5倍である。また、比較例
1の嫌気処理9時間後の試料のGABA含量と比較する
と、好気処理1時間区で1.6倍、3時間区で1.4倍であ
る。なお、好気処理中に増加したGluとAspは、再
度の嫌気処理によりほとんど消失した。これらのことか
ら、好気処理によって大幅に増加したGluが、再度の
嫌気処理によりGABAに変化したものと考えられる。
【0025】一方、好気処理によって減少したAla
は、再度の嫌気処理を行った後も最初の嫌気処理後の含
量の6〜7割程度までしか快復せず、GABAの増加率
と比較して僅少である。GABAがこのAlaよりも高
い増加量を得る理由の一つとして、好気処理中において
GABAの減少量がAlaのそれよりも僅かであること
も考えられる。好気処理についての考察の部分ですでに
述べたとおり、好気処理の時間に比例してGABA含量
が漸減する。そのため、再度の嫌気処理後に得られる最
終的なGABA生成量が最高となるのは、結果的に好気
処理時間が短かった場合(1時間)であった。
【0026】上記した如く、本発明に従い3時間の嫌気
処理を行い、1時間の好気処理を挟み、再び3時間の嫌
気処理を行う合計7時間の処理で、従来の10時間近い
嫌気処理のみを行う方法と比較して1.5倍強に及ぶGA
BA生成量を得ることができた。
【0027】実施例2〔嫌気処理と好気処理を複数回実
施後、嫌気処理〕 農林水産省野菜・茶業試験場(金谷)の圃場から摘採し
た「やぶきた」3番茶新芽を原料として、以下の処理を
施した。嫌気処理を3時間を行った後、好気処理を1時
間行う操作を1組として3回実施したのち、最後に嫌気
処理を3時間行った。なお、嫌気処理や好気処理の方法
は比較例1と同じである。各試料のGABA量およびG
lu量の経時的変化を図5および図6に■で示した。
【0028】比較例2〔嫌気処理のみ〕 嫌気処理のみを12時間行ったほかは、実施例2と同様
に行った。各試料のGABA量およびGlu量の経時的
変化を図5および図6に◆で示した。
【0029】図から明らかなように、3番茶を原料とす
る場合でも、好気処理と嫌気処理を複数回繰り返すこと
により、Glu含量はその都度快復を示し、それに伴い
GABA含量も増加することがわかる。本発明法によれ
ば、GABA含量は嫌気処理のみの比較例2の試料の3
倍程度まで増加する。
【0030】実施例3〔嫌気処理→好気処理→嫌気処
理〕 農林水産省野菜・茶業試験場(金谷)の圃場から摘採し
た「やぶきた」3番茶新芽を原料として、以下の処理を
施した。嫌気処理を6時間を行ったのち好気処理を1時
間行った。続いて、再び嫌気処理を6時間行った。な
お、嫌気処理や好気処理の方法は実施例1と同じであ
る。各試料のGABA量およびGlu量の経時的変化を
図5および図6に▲で示した。
【0031】図から明らかなように、3番茶を原料とす
る場合でも、嫌気処理−好気処理−嫌気処理の操作を実
施することにより、嫌気処理のみを行った比較例2と比
べて茶に含まれるGABAの量は明らかに増加すること
がわかる。
【0032】参考例 農林水産省野菜・茶業試験場(金谷)の圃場から摘採し
た4番茶(秋冬番茶)を原料として、以下の処理を施し
た。嫌気処理を30分間または1時間を行ったのち好気
処理を3時間行った。また、対照として好気処理のみを
3時間行った。各試料のGABA量およびGlu量の経
時的変化をそれぞれ図7および図8に示した。図中の◆
は好気処理のみを3時間、■は嫌気処理を30分間、好
気処理を3時間、▲は嫌気処理を1時間、好気処理を3
時間行ったときの結果を示す。この図から、嫌気処理時
間が30分間でもGABA量の増加が認められることか
ら、本発明に従って嫌気処理−好気処理−嫌気処理の操
作を繰り返し実施することによって、GABA含量の高
い茶を製造できることがわかる。
【0033】
【発明の効果】本発明の方法によれば、茶葉中のGAB
A含量を格段に高めることができる。特に、2番茶、3
番茶のような低級茶を原料として用いた場合、GABA
の前駆体含量が少ないため、従来法ではGABAの高い
製品を得ることができなかったが、本発明によれば、従
来法よりもGABA含量を高めることができ、これら低
級茶の付加価値の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 比較例1および実施例1における試料のGA
BA含量の経時的変化を示す図である。
【図2】 比較例1および実施例1における試料のGl
u含量の経時的変化を示す図である。
【図3】 比較例1および実施例1における試料のAl
a含量の経時的変化を示す図である。
【図4】 比較例1および実施例1における試料のAs
p含量の経時的変化を示す図である。
【図5】 実施例2、3および比較例2における試料の
GABA含量の経時的変化を示す図である。
【図6】 実施例2、3および比較例2における試料の
Glu含量の経時的変化を示す図である。
【図7】 参考例における試料のGABA含量の経時的
変化を示す図である。
【図8】 参考例における試料のGlu含量の経時的変
化を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 茶葉を嫌気処理したのち好気処理する操
    作を交互に繰り返した後、嫌気処理を行うことを特徴と
    するγ−アミノ酪酸含量の高い茶の製造法。
  2. 【請求項2】 嫌気処理と好気処理を交互に1〜12回
    繰り返す請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 茶葉を容器に充填し、嫌気条件と好気条
    件を交互に切り替える操作を1〜12回繰り返した後、
    最後に嫌気処理を行う請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 茶葉を充填した容器を密封し、容器内を
    不活性ガスで置換して10分〜12時間嫌気処理を行っ
    た後、該容器を開封して茶生葉を10分〜3時間好気処
    理する操作を1〜12回行った後、再び前記の嫌気処理
    を10分〜12時間行う請求項1記載の方法。
JP9311609A 1997-10-29 1997-10-29 γ−アミノ酪酸含量の高い茶の製造法 Expired - Lifetime JP3038373B2 (ja)

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