JPH11123801A - 積層白色ポリエステルフィルムおよび被記録媒体 - Google Patents

積層白色ポリエステルフィルムおよび被記録媒体

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JPH11123801A
JPH11123801A JP9291877A JP29187797A JPH11123801A JP H11123801 A JPH11123801 A JP H11123801A JP 9291877 A JP9291877 A JP 9291877A JP 29187797 A JP29187797 A JP 29187797A JP H11123801 A JPH11123801 A JP H11123801A
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polyester
film
polyester film
white
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JP9291877A
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Masato Fujita
真人 藤田
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Mitsubishi Kagaku Polyester Film KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルムの表面光沢を十分に高めた白色ポリ
エステルフィルム、特に白色フィルム上にカラー画像を
形成する場合、優れた画像の鮮明性を引き立てることの
できる被記録媒体を提供する。 【解決手段】 ポリエステル(A)層の少なくとも片面
にポリエステル(B)層を積層してなる、透過濃度(O
D)が0.2以上である積層白色ポリエステルフィルム
であって、ポリエステル(B)層により構成される表面
の色相b値が2未満であり、ポリエステル(B)層によ
り構成される表面の60度光沢度が60%以上であるこ
とを特徴とする積層白色ポリエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白色ポリエステル
フィルムに関するものであり、詳しくは、表面光沢特性
の優れた積層白色ポリエステルフィルムおよびそれを用
いた被記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット印刷方式は、騒音
が少なく、高速記録が可能でかつフルカラー化が容易で
あり、しかも、低コストで記録できる等の理由から、各
種ファクシミリやプリンター装置およびプロッタ装置へ
の応用が急速に進んでいる。一方、記録の高速化、フル
カラー化が進むにつれて記録シートに関しても高度な品
質特性が要求されるようになり、記録シートの検討が種
々行われている。例えば、印刷された画像の鮮明性を増
すために、記録シートの色相b値、表面光沢に関する要
求が従来とは異なってきており、合成紙やプラスチック
フイルムを記録シートとして使用する場合においても同
様に検討されている。
【0003】記録シーとして用いられるプラスチックフ
ィルムは、通常、白色顔料を含有させた白色フィルムで
ある。しかしながら、白色顔料を含有した白色フィルム
では単一層からなるフィルムでは色相b値は十分に制御
できるが、表面光沢に関しては光沢度を向上させるには
白色顔料に依存する限界があり、希望する高光沢フィル
ムを得ることは困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その課題は、フィルムの表面
光沢を十分に高めた白色ポリエステルフィルムを得るこ
とにある。すなわち、本発明は、特に白色フィルム上に
カラー画像を形成する場合、優れた画像の鮮明性を引き
立てることのできる被記録媒体を提供することを解決課
題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
鑑み鋭意検討した結果、白色ポリエステルフイルムの少
なくとも一方の表面に別のポリエステル層を積層するこ
とによって、上記課題を容易に解決し得る白色ポリエス
テルフィルムを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明の要旨は、ポリエステル
(A)層の少なくとも片面にポリエステル(B)層を積
層してなる、透過濃度(OD)が0.2以上である積層
白色ポリエステルフィルムであって、ポリエステル
(B)層により構成される表面の色相b値が2未満であ
り、ポリエステル(B)層により構成される表面の60
度光沢度が60%以上であることを特徴とする積層白色
ポリエステルフィルムに存する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、ポリエステルフイルムを構成するポリ
エステルとしては、(A)層、(B)層ともに、構成単
位の80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポ
リエチレンテレフタレート(PET)、構成単位の80
モル%以上がエチレン−2,6−ナフタレートであるポ
リエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、構成単
位の80モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメチレ
ンテレフタレート(PCT)であるポリ−1,4−シク
ロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンイ
ソフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げら
れる。
【0008】上記の優位構成成分以外の共重合成分とし
ては、例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリ
コール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール、トリメチレングリコール、テトラメ
チレングリコール、ヘキサメチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテト
ラメチレングリコール、ポリアルキレングリコール等の
ジオール成分、イソフタル酸、2,7−ナフタレンジカ
ルボン酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、シュウ
酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、フタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン
酸およびオキシモノカルボン酸などのエステル形成性誘
導体が挙げられる。
【0009】また、本発明で使用するポリエステルは、
上記の単独重合体または共重合体の他に、他の樹脂との
小割合のブレンド物であってもよい。本発明において、
ポリエステル(A)層を構成するポリエステルフイルム
は、例えば、(1)ポリエステルと白色顔料との組成物
を延伸する方法、(2)ポリエステルとボイド形成剤と
の組成物を延伸する方法の何れによっても製造すること
ができる。
【0010】上記(1)の製造方法において、白色顔料
としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化マ
グネシウム、炭酸カルシウム等を使用することができ
る。白色顔料の平均粒径は、通常0.05〜0.5μ
m、好ましくは0.1〜0.4μmとされる。平均粒径
が0.05μm未満の場合や0.5μmを超える場合
は、フイルムの透過濃度(OD)が小さくなり、記録シ
ートとした際に光線透過の防止性能が不十分となる傾向
がある。また、白色顔料の添加量は、通常0.5〜20
重量%、好ましくは1〜17重量%である。添加量が
0.5重量%未満の場合は、フイルムの透過濃度が小さ
くなり、記録シートとした際に光線透過の防止性能が不
十分となる傾向がある。逆に、添加量が20重量%を超
える場合は、製膜時にフイルムが破断したり、フイルム
の機械的強度が低下することがある。
【0011】白色顔料としては、隠蔽性の高い二酸化チ
タン粒子が好適である。二酸化チタン粒子の結晶形態
は、アナターゼ型、ルチル型の何れでもよいが、色相b
値および耐候性の点からアナターゼ型が好適である。二
酸化チタン粒子のポリエステルへの分散性および耐候性
を向上させるため、二酸化チタン粒子の表面は、アルミ
ニウム、けい素、亜鉛などの酸化物および/または有機
化合物で処理されていてもよい。
【0012】上記(2)の製造方法において、ボイド形
成剤としては、ポリエステルに対して非相溶性の重合
体、例えば、ポリオレフィン、ポリスチレン系重合体な
どが使用される。そして、当該製造方法によれば、延伸
時にフイルム中に微小な気泡が形成され、その結果、低
密度化の白色ポリエステルフイルムが得られる。得られ
た白色ポリエステルフイルムは、同じ厚さのポリエステ
ルフイルムに比し、重さ、剛性、風合い等の点で紙に類
似している。
【0013】上記のポリオレフィンの種類は、特に限定
されないが、ポリエステルのガラス転移温度以上の温度
領域において、ポリエステルよりも高い弾性率を持つポ
リオレフィンが、ポリエステルフイルム中に微小な気泡
を多数発生させることができるため、好適に使用され
る。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン等が挙げられる。ポリオレフィンのメル
トフローインデックスは、通常0.2〜120、好まし
くは0.5〜50の範囲である。
【0014】上記のポリスチレン系重合体としては、例
えば、スチレンモノマーを重合して得られるポリスチレ
ンホモポリマーのほか、スチレンの繰返し単位を主とす
る他のモノマーとのランダム共重合体、ブロック共重合
体またはグラフト共重合体が挙げられる。具体的には、
例えば、非晶性ポリスチレン、結晶性ポリスチレン、耐
衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体
などが挙げられる。
【0015】上記以外の非相溶性重合体の具体例として
は、例えば、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−
メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4
−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリ
ビニルシクロヘキサン、ポリビニル−t−ブチルエーテ
ル、セルローストリアセテート、セルローストリプロピ
オネート、ポリビニルフルオライド、ポリクロロトリフ
ルオロエチレン等が挙げられる。また、ポリアリレート
系、ポリアクリル系、シリコーン系などの重合体も非相
溶重合体として使用することができる。
【0016】ポリエステルと非相溶性重合体とからなる
組成物において、ポリエステルの含有量を70〜98重
量%、非相溶性重合体の含有量を2〜30重量%の範囲
とすることが好ましい。ポリエステルの含有量が70重
量%未満の場合は、白色ポリエステルフイルムの寸法安
定性が劣る傾向がある。逆に、非相溶の重合体の含有量
が30重量%を超える場合は、生成する気泡が多くなり
過ぎ、延伸性が悪化する傾向がある。非相溶の重合体の
含有量が2重量%未満の場合は、気泡の生成量が少なく
なる傾向がある。
【0017】上記(2)の製造方法によって得られる白
色ポリエステルフイルムの見かけ比重は、通常0.4以
上、好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以
上である。見かけ比重が0.4未満の場合は、フイルム
の凝集力が低下し、易接着樹脂層と被記録層との界面の
接着力より発泡層内部の凝集力の方が小さくなり、易接
着性を特徴とするフイルムには適さない。
【0018】本発明における白色ポリエステルフイルム
は、本発明の目的を損なわない限り、ポリエステルおよ
び非相溶性重合体のほかに、第3成分として、他のポリ
マーを20重量%以下の割合で含有していてもよい。ま
た、上記(2)の製造方法によって得られる白色フイル
ムは、その透過濃度を大きくするために、上記(1)の
製造方法と同様に前述の白色顔料を含有していてもよ
い。併用する白色顔料は、添加濃度と透過濃度の関係か
ら、少量で効果的に透過濃度を改良する顔料として酸化
チタンを用いることが好ましい。酸化チタンは、単一で
白色顔料として用いてもよいし、他の白色顔料と併用し
ていてもよい。
【0019】また、本発明における白色ポリエステルフ
イルムは、蛍光増白剤、安定剤、着色剤、消泡剤、帯電
防止剤、酸化防止剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、光線遮断剤、着色剤などを含
有していてもよい。さらに、フイルムの易滑性を向上さ
せるため、無機滑剤や有機滑剤などの微粒子を含有して
いてもよい。
【0020】上記の微粒子としては、例えば、合成シリ
カ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、
テレフタル酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタ
ン、燐酸カルシウム、フッ化リチウム、架橋ポリマー、
ポリエステルの溶融製膜に際して不溶な高融点有機化合
物などが挙げられる。また、ポリエステル合成時に使用
する金属化合物触媒、例えば、アルカリ金属化合物、ア
ルカリ土類金属化合物などによってポリエステル製造時
にポリマー内部に形成される内部粒子が挙げられる。こ
れらの中では、合成シリカが好ましい。微粒子の平均粒
径は、通常0.001〜3.5μmの範囲、フイルム中
の含有量は、通常0.002〜0.9重量%の範囲であ
る。
【0021】積層構造の白色ポリエステルフイルムは、
共押出法(コ・エクストルージョン法)、ドライラミネ
ート法などが使用されるが、共押出法が好ましい。共押
出法とは、積層の各層を構成するポリエステルチップを
それぞれ予め乾燥した後、それぞれに必要な添加剤を混
合して別々の押出機を使用して溶融混練させ、パイプ内
または口金内で合流させて多層にダイからキャスティン
グドラム(回転冷却ドラム)上にシート状に押し出す方
法である。
【0022】ポリエステルチップの乾燥には、ホッパー
ドライヤー、パドルドライヤー、真空乾燥機などを使用
することができる。押出はTダイ法が好適である。ま
た、キャスティングに際しては、静電密着法の採用が奨
励される。共押出法におけるキャスティングドラムの温
度は低目(約70℃以下)に設定することが好ましい。
得られた未延伸シートは、縦および横方向に延伸し、熱
固定を行う方法が採用される。延伸は、(Tg−10)
℃以上(Tg+50)℃以下の温度範囲で縦横ともに
2.0〜6.0倍の範囲で行うのが好ましく、また、熱
固定は、150℃〜250℃の温度範囲で行うのが好ま
しい。
【0023】熱固定は、一般的には緊張固定下で実施さ
れるが、熱固定時および/または熱固定後の冷却時にフ
イルムの長手方向および/または幅方向に20%以下の
弛緩や巾出しを行うこともできる。本発明のポリエステ
ル(A)層を形成するポリエステルフイルムは、積層構
造であってもよい。少なくとも白色層を構成するポリエ
ステル層に例えば白色顔料や非相溶性重合体を含有させ
ればよい。また、白色ポリエステルフイルムが積層構造
の場合は、その全体または表層の主たる構成がポリエス
テルである限り、その中の各層が個々にはポリエステル
以外のポリマーから構成されていてもよい。
【0024】積層構造の白色ポリエステルフイルムは、
特定の層に対してのみ、白色顔料、非相溶性重合体、粒
子などを効果的に使用することができるため、白色ポリ
エステルフイルムを安価に製造することが可能である。
また、積層構造の白色ポリエステルフイルムの場合は、
非相溶性樹脂含有白色ポリエステルフイルム、白色顔料
含有ポリエステルフィルムから選択される白色フィルム
および/または透明ポリエステルフィルムからなる積層
構造を採用することができるため、ポリエステル自体の
機械的・熱的特性と低密度化白色ポリエステルフイルム
の柔らかさ、しなやかさや風合いを兼ね備えることもで
きる。
【0025】本発明のポリエステル(B)層は、前記例
示したポリエステルから選択される層であり、ポリエス
テル(B)層により構成される表面の60度光沢度を6
0%以上とするものであれば特に制限はない。好ましく
は、添加物すべての総含有比率が0.1〜1000pp
mのポリエステル層、さらに好ましくは0.1〜100
ppm、特に好ましくは添加物の平均分散径が0.01
〜4μmでかつ総含有率が0.1〜100ppmのポリ
エステル層が選択される。
【0026】ポリエステル(B)層の積層厚さが0.5
μm以上の時に最も容易に60度表面光沢が60%以上
となる。ポリエステル(B)層の厚さを2μm以上、さ
らに5μm以上とすることで内部白色隠蔽層のフィルム
最表層への影響を少なくし、フィルム表面の60度光沢
度を十分高めることができる。ポリエステル(B)層の
厚さの上限は特に定めるものではない。最終形態の積層
フィルムとなったあとの透過濃度(OD)が規定の0.
2以上という範囲であり、実際に用いる用途において必
要十分な条件を満たす適切な値が選択される。
【0027】本発明の積層白色ポリエステルフィルムが
被記録媒体として使用される場合、記録面の色調、外観
等の印象から透過濃度、色相b値、60度光沢度は下記
の範囲である。本発明の積層白色ポリエステルフィルム
の透過濃度(OD)は0.2以上であり、好ましくは
0.2〜3、さらに好ましくは0.6〜3の範囲であ
る。透過濃度(OD)が0.2未満では、白色フィルム
として十分な隠蔽性を確保することができないし、被記
録層に形成された記録内容が不鮮明になるし、透過濃度
を必要以上に高くしようとすれば、フィルムの機械的強
度を損なう原因になる。
【0028】本発明の積層白色ポリエステルフィルムの
ポリエステル(B)層により構成される表面の色相b値
は2未満であり、好ましくは−10以上2未満、特に好
ましくは−10以上0未満の範囲である。色相b値が2
以上では、フィルム表面がやや黄みを含んだ色調にな
り、記録媒体としては正確に色再現をすることが難しく
なる。色相b値が−10未満では、フィルム表面がやや
青みを含んだ色調となる。
【0029】本発明でいう色相b値は、JIS Z−8
729に記載の表示方法のb* 値を以て色相b値と定義
した。本発明の積層白色ポリエステルフィルムのポリエ
ステル(B)層により構成される表面の60度光沢度は
60%以上であり、好ましくは80%以上、さらに好ま
しくは100%以上である。60度光沢度を60%以上
にすることにより、記録媒体として、いわゆる写真印画
紙の印象の記録媒体表面を作成することができ、高級感
のある記録面を得ることができるようになる。
【0030】本発明の積層白色ポリエステルフィルムを
被記録媒体として使用する場合、被記録媒体の表面機能
層としての被記録層を形成して利用される場合が多い。
この被記録層を積層白色ポリエステルフィルム表面に設
けるにあたって、各層間の密着力を十分な物とするため
に易接着樹脂層を下引き層として設けることが好まし
い。
【0031】本発明において易接着樹脂層は、ポリエス
テル(B)層上に、水溶性または水分散性のバインダー
樹脂を含む塗布液を塗布し乾燥することにより形成する
ことができる。上記の水分散性バインダー樹脂とは、例
えば、水に溶解しないが分散可能な樹脂を指し、具体的
には、界面活性剤などによって水に強制分散可能な樹脂
が挙げられる。
【0032】水溶性または水分散性バインダー樹脂とし
ては、好ましくは、ポリエーテル類または水酸基などの
ような非イオン性親水性成分、イオン性親水基(好まし
くはアニオン性親水基)を有する自己分散型の樹脂が使
用される。上記のアニオン性基は、共重合などにより樹
脂中に導入され、その具体例としては、例えば、スルホ
ン酸、カルボン酸、燐酸およびそれらのリチウム塩、ナ
トリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩な
どから誘導されるアニオン性基が挙げられる。アニオン
性基の樹脂固形分に対する割合は、通常0.05〜8重
量%の範囲である。アニオン性基量が0.05重量%未
満の場合は、樹脂の水溶性あるいは水分散性が悪くなる
傾向がある。逆に、アニオン性基量が8重量%を超える
場合は、易接着樹脂層の耐水性が劣ることがあり、耐水
性が劣ると、吸湿しやすくなり、易接着性樹脂層を形成
した白色ポリエステルフイルムが相互に固着(ブロッキ
ング)することがある。
【0033】上記のバインダー樹脂としては、水溶性ま
たは水分散性のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂お
よびアクリル樹脂の群から選択される少なくとも1種が
好適に使用される。上記の水溶性または水分散性のポリ
エステルは、以下のような多価カルボン酸および多価ヒ
ドロキシ化合物を原料とする通常の重縮合反応によって
合成することができる。
【0034】多価カルボン酸としては、例えば、テレフ
タル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、
4,4′−ジフェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレ
ンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カリウムス
ルホテレフタル酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、
アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカ
ルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、ト
リメシン酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−
ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩お
よびそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0035】多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、
1,3−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペ
ンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、p−キシリレングリコール、ビスフェノールA−エ
チレングリコール付加物、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、
ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロール
プロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、
ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロー
ルプロピオン酸カリウム等が挙げられる。
【0036】上記のポリウレタンは、以下のようなポリ
オール、ポリイソシアネート、鎖長延長剤、架橋剤など
を原料とする通常の重合反応によって合成することがで
きる。ポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレ
ングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリ
オキシプロピレントリオール、ポリオキシテトラメチレ
ングリコールのようなポリエーテル類、ポリエチレンア
ジペート、ポリエチレン−ブチレンアジペート、ポリプ
ロピレンアジペート、ポリヘキシレンアジペート、ポリ
カプロラクトンのようなポリエステル類、アクリル系ポ
リオール、ひまし油などが挙げられる。
【0037】ポリイソシアネートとしては、例えば、ト
リレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネー
ト、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、
1,5−ナフタレンジイソシアネートのような芳香族系
ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキ
サメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネー
ト、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネートのような脂肪族系ジイ
ソシアネート等が挙げられる。
【0038】鎖長延長剤または架橋剤としては、例え
ば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタ
ンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヒドラジ
ン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,
4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ
ジシクロヘキシルメタン、水などが挙げられる。
【0039】上記のアクリル樹脂としては、例えば、ア
ルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート(A
成分)とこれらと共重合可能でかつ官能基を有するビニ
ル単量体(B成分)とを原料とする通常の共重合によっ
て合成することができる。上記のA成分およびB成分の
合計量に対するA成分の使用割合は、通常30〜90モ
ル%、B成分の使用割合は、通常10〜70モル%の範
囲とされる。
【0040】アルキルアクリレートまたはアルキルメタ
クリレートと共重合可能でかつ官能基を有するビニル単
量体は、アクリル樹脂に親水性を付与して樹脂の水分散
性を良好にし、アクリル樹脂と白色ポリエステルフイル
ムや易接着樹脂層上に設ける被記録層受像との接着性を
良好にし、易接着樹脂層に配合するポリエステルとの親
和性を良好にする官能基を有するものが好ましい。
【0041】上記の官能基としては、例えば、カルボキ
シル基またはその塩、酸無水物基、スルホン酸基または
その塩、アミド基またはアルキロール化されたアミド
基、アミノ基(置換アミノ基を含む)またはアルキロー
ル化されたアミノ基あるいはそれらの塩、水酸基、グリ
シジル基などが挙げられ、特に、カルボキシル基または
その塩、酸無水物基、グリシジル基が好ましい。これら
の基は、アクリル樹脂中に2種類以上含有されていても
よい。
【0042】アルキルアクリレートおよび/またはアル
キルメタクリレートの共重合割合が30モル%以上のア
クリル樹脂は、塗布形成性、塗膜の強度、耐ブロッキン
グ性に優れる。アクリル樹脂中のアルキルアクリレート
および/またはアルキルメタクリレートの使用量を90
モル%以下とした際は、共重合成分として特定の官能基
を有する化合物をアクリル樹脂に導入することにより、
水溶化、水分散化しやすくするとともにその状態を長期
に渡り安定に維持することができ、さらに、白色ポリエ
ステルフイルム易接着樹脂層との接着性の改善、易接着
樹脂層内での反応による易接着樹脂層の強度、耐水性、
耐薬品性の改善などを図ることができる。
【0043】上記のアルキルアクリレートおよびアルキ
ルメタクリレートのアルキル基としては、例えば、メチ
ル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル
基、ステアリル基、シクロヘキシル基などが挙げられ
る。上記の官能基を有するビニル単量体としては、反応
性官能基、自己架橋性官能基、親水性基などの官能基を
有するビニル単量体が使用できる。具体的には、アクリ
ル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などのア
ルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモニウム
塩または無水マレイン酸などが挙げられる。
【0044】また、アミド基またはアルキロール化され
たアミド基を有するビニル単量体としては、例えば、ア
クリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリ
ルアミド、メチロール化アクリルアミド、メチロール化
メタクリルアミド、ウレイドビニルエーテル、β−ウレ
イドイソブチルビニルエーテル、ウレイドエチルアクリ
レート等が挙げられる。
【0045】アミノ基またはアルキロール化されたアミ
ノ基またはそれらの塩を有するビニル単量体としては、
例えば、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、2−ア
ミノエチルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニル
エーテル、2−アミノブチルビニルエーテル、ジメチル
アミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルビ
ニルエーテル、それらのアミノ基をメチロール化したビ
ニル単量体のほか、ハロゲン化アルキル、ジメチル硫
酸、サルトン等により4級化したビニル単量体などが挙
げられる。
【0046】水酸基を有するビニル単量体としては、例
えば、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロ
キシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルア
クリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
β−ヒドロキシビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチ
ルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエー
テル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリ
エチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレ
ングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコ
ールモノメタクリレート等が挙げられる。
【0047】グリシジル基を有するビニル単量体として
は、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタ
クリレート等が挙げられる。さらに、上記のアクリル樹
脂は、共重合成分として、例えば、アクリロニトリル、
スチレン類、ブチルビニルエーテル、マレイン酸モノま
たはジアルキルエステル、フマル酸モノまたはジアルキ
ルエステル、イタコン酸モノまたはジアルキルエステ
ル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、
ビニルトリメトキシシラン等を適宜併用していてもよ
い。
【0048】上記のアクリル樹脂は、その製造過程から
混入される界面活性剤を含有していてもよい。しかしな
がら、バインダー樹脂として、ポリエステル樹脂および
/またはポリウレタン樹脂を併用する場合において、こ
れらに対してアクリル樹脂の割合が多い場合は、アクリ
ル樹脂に含まれる低分子体の界面活性剤が造膜過程で濃
縮され、その結果、粒子と粒子の界面に蓄積し、易接着
樹脂層の界面に移行し、易接着樹脂層の機械的強度、耐
水性、接着性に問題を生じる場合がある。この様な場合
は、界面活性剤を含有しない、いわゆるソープフリー重
合によるアクリル樹脂を使用するのがよい。
【0049】界面活性剤を含有しないアクリル系樹脂の
製造方法としては、経営開発センター出版部編集、経営
開発センター出版部昭和56年1月発行、「水溶性高分
子・水分散型樹脂総合技術資料」第309頁、産業技術
研究会主催「〜最新の研究成果から将来を展望する〜エ
マルジョンの新展開と今後の技術課題」講演会テキスト
(昭和56年12月)等に記載された方法を利用するこ
とができる。
【0050】すなわち、低分子量界面活性剤の代わり
に、オリゴマーまたは高分子量界面活性剤を利用する方
法、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウム等の重合開始
剤を利用して重合体中に親水基を導入する方法、親水基
を有するモノマーを共重合する方法、反応性界面活性剤
を利用する方法、分散体粒子の内部層と外部層の組織を
変化させた、いわゆるシェル−コア型重合体の製造法な
どは、いわゆる界面活性剤を含有しない水分散性アクリ
ル樹脂の製造技術として使用することができる。
【0051】本発明における易接着樹脂層には、必要に
応じ、上記以外に、他の水溶性または水分散性のバイン
ダー樹脂を併用してもよい。かかるバインダー樹脂とし
ては、例えば、エポキシ樹脂、アミド樹脂などが挙げら
れる。これらは、それぞれの骨格構造が共重合などによ
り実質的に複合構造を有していてもよい。複合構造を持
つバインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂グラ
フトポリエステル、アクリル樹脂グラフトポリウレタ
ン、ビニル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラ
フトポリウレタン等が挙げられる。
【0052】易接着樹脂層には、バインダー樹脂に含有
される反応性官能基と反応する成分を含有させることが
できる。反応する成分としては、例えば、メチロール化
またはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナ
ミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系などの化合
物、ポリアミン類、エポキシ化合物、オキサゾリン化合
物、アジリジン化合物、ブロックイソシアネート化合
物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジ
ルコ−アルミネート系カップリング剤、金属キレート、
有機酸無水物、有機過酸化物、熱または光反応性のビニ
ル化合物や感光性樹脂などが挙げられる。
【0053】上記の反応成分は、バインダー樹脂に含有
される反応性官能基が1分子中に2官能以上必ず含まれ
る限りにおいて、低分子量化合物であっても、反応性官
能基を有する高分子重合体の何れであってもよい。そし
て、上記の反応成分の使用により、易接着樹脂層の固着
性(耐ブロッキング性)や耐水性、耐溶剤性、機械的強
度を効果的に改良することができる。
【0054】易接着樹脂層にはその滑り性改良のために
不活性粒子を含有させることができる。不活性粒子とし
ては、例えば、コロイダルシリカ、アルミナ、炭酸カル
シウム、酸化チタン等の無機粒子、ポリスチレン系樹
脂、ポリアクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂などの有機
粒子が挙げられる。不活性粒子の平均粒径(d)は、易
接着樹脂層の平均膜厚を(L)とした際、通常(L/
3)〜(3L)、好ましくは(L/2)〜(2L)の範
囲となるように選択することが好ましい。
【0055】易接着樹脂層を設ける場合、前記のバイン
ダー樹脂を必須成分として含有し、上記の反応性成分お
よび親水性不活性粒子を任意成分として含有する塗布液
を用いる。白色ポリエステルフイルムの少なくとも一方
の表面に易接着樹脂層を形成する際に使用される塗布液
は、通常、安全性や衛生性の点から、水を主たる媒体と
して調製される。そして、上記の塗布液は、水を主たる
媒体とする限りにおいて、水への分散を改良する目的ま
たは造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有し
ていてもよい。有機溶剤は、主たる媒体である水に溶解
する範囲で使用することが好ましい。
【0056】有機溶剤としては、例えば、n−ブチルア
ルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアル
コール、エチルアルコール、メチルアルコール等の脂肪
族または脂環族アルコール類、プロピレングリコール、
エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコ
ール類、n−ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メ
チルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエー
テル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロ
フラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエ
ステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン
類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。
【0057】白色ポリエステルフイルムの表面に易接着
樹脂層を形成する方法は、特に制限されないが、ポリエ
ステルフイルムを製造する工程中で易接着樹脂の塗布液
を塗布する方法が好適に採用される。具体的には、未延
伸シート表面に塗布して乾燥する方法、一軸延伸フイル
ム表面に塗布して乾燥する方法、二軸延伸フイルム表面
に塗布して乾燥する方法などが挙げられる。これらの中
では、一軸延伸フイルム表面に塗布後、フイルムに熱処
理を行う過程で同時に塗布層を乾燥硬化する方法が経済
的である。
【0058】また、易接着樹脂層を形成する方法とし
て、必要に応じ、前述の塗布方法の幾つかを併用した方
法も採用し得る。具体的には、未延伸シート表面に易接
着樹脂第一層を塗布して乾燥し、その後、一軸方向に延
伸後、易接着樹脂第二層を塗布して乾燥する方法などが
挙げられる。本発明においては、一軸延伸フイルムに塗
布し、乾燥または未乾燥の状態でさらに先の一軸延伸方
向と直角の方向に延伸した後に熱処理を施す方法が製造
コスト面の点から推奨される。
【0059】白色ポリエステルフイルムの表面に易接着
樹脂の塗布液を塗布する方法としては、原崎勇次著、槙
書店、1979年発行、「コーティング方式」に示され
るリバースロールコーター、グラビアコーター、ロッド
コーター、エアドクターコーター等を使用することがで
きる。易接着樹脂層は、白色ポリエステルフイルムの片
面だけに形成してもよいし、両面に形成してもよい。片
面のみに形成する場合、その反対面には必要に応じて易
接着樹脂層と異なる層を形成させ、本発明の記録シート
用支持体にさらに他の特性を付与することもできる。な
お、塗布液のフイルムへの塗布性および接着性を改良す
るため、塗布前のフイルムに化学処理や放電処理を施し
てもよい。また、本発明の記録シート用支持体の表面特
性をさらに改良するために、易接着樹脂層形成後に放電
処理を施してもよい。
【0060】易接着樹脂層の乾燥厚は、通常0.01〜
0.5μm、好ましくは、0.03〜0.3μmの範囲
とされる。易接着樹脂層の厚さが0.01μm未満の場
合は、易接着性が十分に発揮されず、0.5μmを超え
る場合は、相互にブロッキングし易くなる。ブロッキン
グの問題は、特にフイルムの両面に易接着樹脂層を設け
た場合に顕著に現れる。
【0061】本発明の被記録媒体は、その易接着樹脂層
の上に被記録層を形成して構成される。かかる被記録層
は、公知の方法に従い、例えば、インクジェット印刷方
式であれば、ポリビニルアルコール樹脂などの親水性バ
インダー樹脂、架橋剤、コロイダルシリカ等の添加剤な
どを含有する水/アルコール混合溶媒溶液として調製す
ることができる。
【0062】本発明の被記録層は、通常、上述と同様の
塗布装置を使用して常法により塗布される。被記録層の
厚さは、その画像形成方式に適した厚さが選択される。
例えば、インクジェット印刷方式で有れば、水性インク
を速やかに垂直方向に吸収して水性インクのはじきやに
じみを最小限にする等の観点から、公知の印刷装置用と
しては少なくとも1〜50μmとするのが好ましい。被
記録層は、さらに3〜、50μm、特には5〜30μm
の層厚さを有することにより、速やかに水性インクを吸
収してにじみの少ない鮮明な印刷物を容易に得ることが
できるようになる。
【0063】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、評価方法は以下
に示すとおりであり、実施例および比較例中の「部」は
「重量部」、「%」は「重量%」を表す。
【0064】(1)積層厚さ測定 走査型電子顕微鏡:SEM(日立製作所製「S450
0」)を使用し、サンプルフィルムの断面写真観察をし
て積層厚さを測定した。測定は10点行い、その平均値
を測定値とした。 (2)透過濃度(OD) マクベス濃度計「TD−904型」を使用し、Gフィル
ター下の透過光濃度(O.D)で表した。透過光濃度
(OD)の値が大きいほど隠蔽度が大きいことを示す。
測定は3点行い、その平均値を測定値とし、以下の基準
にて判定した。
【0065】
【表1】 ──────────────────── 1.0以上 :◎(優秀) 0.6以上、1.0未満 :○(良好) 0.2以上、0.6未満 :△(普通) 0.2未満 :×(不良) ────────────────────
【0066】(3)色相b値 カラーアナライザー(東京電色(株)製「TC−180
0MKII型」)を使用し、JIS Z−8722の方法
に準じて、(A)(B)層が積層された白色積層ポリエ
ステルの(B)層表面を測定し、JIS Z−8729
に記載の表示方法(CIE 1976明度)によりフイ
ルムの色(L* ,a* ,b* )を求め、b* 値を以て色
相b値とした。b* 値が+側に大きいと黄色味が強いこ
とを示す。測定は3点行い、その平均値を測定値とし、
以下の基準にて判定した。以下便宜上「b* 値」を「b
値」と表示する。
【0067】
【表2】 ────────────────── −1未満 :◎(優秀) −1以上、0未満 :○(良好) 0以上、2未満 :△(普通) 2以上 :×(不良) ──────────────────
【0068】(4)60度光沢度 変角光沢度計(日本電色工業製「VGS−1001D
P」)を使用し、JISZ−8741の方法に準じて、
(A)(B)層が積層された白色積層ポリエステルの
(B)層表面へ光源から入射角60度で照射した偏光性
のない入射光で鏡面光沢度を測定した。測定は3点行
い、その平均値を測定値とし、以下の基準にて判定し
た。
【0069】
【表3】 ─────────────────── 100以上 :◎(優秀) 80以上、100未満 :○(良好) 60以上、80未満 :△(普通) 60未満 :×(不良) ───────────────────
【0070】(5)被記録層接着性 被記録層表面に、インクジェットプリンター(キャノン
製BJC−600J)で黒色で印刷(12cm×12c
mの面積)し、約12時間以上風乾する(23℃,50
%RH)。印刷表面にセロテープ(ニチバン製18mm
巾)を貼り、急速に剥離したときの剥離状況を目視観察
し、以下の基準にて判定した。
【0071】
【表4】 ───────────────────── 20%未満剥離 :○(良好) 20%以上、80%未満剥離 :△(普通) 80%以上剥離 :×(不良) ─────────────────────
【0072】実施例および比較例における接着樹脂層お
よび被記録層の詳細は以下のとおりである。 <易接着樹脂層> バインダー樹脂(1):イソフタル酸、エチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコールを主成分とし、水分散官
能基としてカルボン酸塩を導入したポリエステル樹脂、
ポリビニルアルコール(2):ケン化度約94%、ポリ
グリセロールグリシジルエーテル(3)および不活性シ
リカ粒子(4):平均粒径=55nmを、(1):
(2):(3):(4)=35:35:25:5の比率
で混合した塗布液(5%水分散液)を塗布し乾燥し形成
した易接着樹脂層。易接着樹脂層の塗布層厚さは約0.
05μmとした。
【0073】<被記録層>ポリビニルアセタール樹脂
(積水化学社製「エスレック KX−1」)からなる塗
布液(8%,水/イソプロパノール溶液)を塗布し乾燥
し形成したインクジェット印刷用被記録層。被記録層の
塗布層厚さは約8μmとした。
【0074】実施例1 テレフタル酸ジメチル100部とエチレングリコール6
0部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・
4水塩0.09部を反応器に取り、反応開始温度を15
0℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を
上昇させて3時間後に230℃とした。4時間後、実質
的にエステル交換反応を終了した。この反応混合物にエ
チルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチ
モン0.04部を加え、4時間30分重縮合反応を行っ
た。すなわち、温度は230℃から徐々に昇温し280
℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ最終的には
0.3mmHgとした。反応開始後、4時間30分を経
た時点で反応を停止し、反応器から窒素加圧下にポリマ
ーを吐出させた。得られたポリエステルの極限粘度は
0.65であった。
【0075】次いで、得られたポリマーを225℃で
0.3mmHgの条件下に10時間固相重合を行った。
得られたポリエステル(A1)の極限粘度は0.81で
あった。ポリエステル(A1)を乾燥し、ベント式二軸
押出機にて下記表1に示す配合で各種の添加物とブレン
ドしてポリエステル(A2)〜(A4)を得た。
【0076】
【表5】 表1 ────────────────────────────────── ポリエステルタイプ 添加物種 添加物含有量 粒径(μm) ────────────────────────────────── A1 なし A2 二酸化チタン 40% 0.3 A3 非晶質シリカ 3% 3.5 A4 非晶質シリカ 1% 2.4 A5 蛍光増白剤(OB-1)* 1% ────────────────────────────────── *OB-1:商品名(イーストマンコダック社製) 得られたポリエステルA1〜A4を下記表2に記載した割合で均一にブレンド し、各ポリエステル原料を得た。
【0077】
【表6】 表2 ──────────────────────────────── ポリエステル原料 ポリエステルタイプ A1 A2 A3 A4 A5 ──────────────────────────────── W1 50 30 16 4 W2 66 30 4 W3 58 30 8 4 W4 65 15 16 4 W5 73 15 8 4 T1 99 1 ────────────────────────────────
【0078】ポリエステル(A)層としてポリエステル
原料W1、ポリエステル(B)層としてポリエステル原
料T1を選択し、それぞれ180℃で4時間乾燥後、そ
れぞれ285℃に設定した押出機にて溶融した樹脂を、
多層ダイを用いて2種2層に積層されたシート状に押出
し、表面温度を30℃に設定したキャストドラム(回転
冷却ドラム)で静電印加冷却法を利用して急冷固化さ
せ、厚さ約370μmの実質的に非晶質のシートを得
た。
【0079】得られた非晶質シートを縦方向に83℃で
3.0倍延伸した後、上記易接着樹脂層形成のために塗
布液をポリエステル(B)層表面に塗布した後、横方向
に120℃で3.1倍延伸し、230℃で6秒間熱処理
を行い、所定の易接着樹脂塗布層を有する厚さ約40μ
mの二軸延伸白色ポリエステルフイルムを得た。多層ダ
イを用いて積層したポリエステル(B)層の最終厚さは
下記表3のとおりであった。次いで、バーコーターによ
り、ポリエステル(B)層表面に形成した易接着樹脂層
の表面に上述の被記録層形成用塗布液を塗布してインク
ジェット印刷用被記録媒体とした。得られた被記録媒体
の特性を評価し、結果を下記表4に示す。
【0080】実施例2〜4 実施例1において、ポリエステル(B)層の厚さを表3
に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして二
軸延伸白色ポリエステルフイルムおよびインクジェット
印刷用被記録媒体を得、その特性を評価した。結果を表
4に示す。
【0081】実施例5〜8 実施例1において、ポリエステル(A)層としてのポリ
エステル原料W1をW2に変更し、ポリエステル(B)
層の厚さを表3に示すように変更した以外は、実施例1
と同様にして二軸延伸白色ポリエステルフイルムおよび
インクジェット印刷用被記録媒体を得、その特性を評価
した。結果を表4に示す。
【0082】比較例1 実施例1と同様にブレンドした原料を押出機にて溶融し
た樹脂(W1)を押出機にて溶融した樹脂とを単層押出
ダイを使用して無定型シート得た以外は、実施例1と同
様にして二軸延伸白色ポリエステルフイルムおよびイン
クジェット印刷用被記録媒体を得、その特性を評価し
た。結果を表4に示す。
【0083】比較例2〜5 比較例1において、ポリエステル(A)層としてのポリ
エステル原料W1をW2〜W5に変更した以外は、比較
例1と同様にして二軸延伸白色ポリエステルフイルムお
よびインクジェット印刷用被記録媒体を得、その特性を
評価した。結果を表4に示す。
【0084】
【表7】
【0085】
【表8】 表4 ──────────────────────────── 透過濃度 (B)層面 接着性 色相 光沢度 b値 60度 ──────────────────────────── 実施例1 ◎ ◎ △ ○ 実施例2 ◎ ◎ △ ○ 実施例3 ◎ ◎ ○ ○ 実施例4 ◎ ◎ ◎ ○ 実施例5 ◎ ◎ ○ ○ 実施例6 ◎ ◎ ◎ ○ 実施例7 ◎ ◎ ◎ ○ 実施例8 ◎ ◎ ◎ ○ 比較例1 ◎ ◎ × ○ 比較例2 ◎ ◎ × ○ 比較例3 ◎ ◎ × ○ 比較例4 ○ ◎ × ○ 比較例5 ○ ◎ × ○ ────────────────────────────
【0086】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、十分な隠
蔽性、色相の良い、かつ光沢度の高い白色ポリエステル
フィルムを得ることができ、これを用いることで画像の
鮮明性に優れた被記録媒体が提供される。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル(A)層の少なくとも片面
    にポリエステル(B)層を積層してなる、透過濃度(O
    D)が0.2以上である積層白色ポリエステルフィルム
    であって、ポリエステル(B)層により構成される表面
    の色相b値が2未満であり、ポリエステル(B)層によ
    り構成される表面の60度光沢度が60%以上であるこ
    とを特徴とする積層白色ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 ポリエステル(B)層の厚さが、0.5
    μm以上であることを特徴とする請求項1記載の積層白
    色ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 ポリエステル(B)層の上に、水溶性ま
    たは水分散性のバインダー樹脂を含む塗布液を塗布し乾
    燥することにより形成された易接着樹脂層を有すること
    を特徴とする請求項1または2記載の積層白色ポリエス
    テルフィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の積層白色
    ポリエステルフィルムを支持体とすることを特徴とする
    被記録媒体。
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US09/176,349 US6143408A (en) 1997-10-24 1998-10-21 White laminated polyester film and imaging medium
EP19980119940 EP0911152B1 (en) 1997-10-24 1998-10-21 White laminated polyester film and imaging medium
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007055346A1 (ja) * 2005-11-08 2007-05-18 Zeon Kasei Co., Ltd. インクジェット被記録材料

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WO2007055346A1 (ja) * 2005-11-08 2007-05-18 Zeon Kasei Co., Ltd. インクジェット被記録材料

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