JPH11114410A - 蒸気吸放出材料 - Google Patents
蒸気吸放出材料Info
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- JPH11114410A JPH11114410A JP30367897A JP30367897A JPH11114410A JP H11114410 A JPH11114410 A JP H11114410A JP 30367897 A JP30367897 A JP 30367897A JP 30367897 A JP30367897 A JP 30367897A JP H11114410 A JPH11114410 A JP H11114410A
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Abstract
が大きく,蒸気の吸放出が起こる蒸気圧の範囲が広く,
蒸気の吸放出の速度が速く,蒸気の吸放出が起こる蒸気
圧を精密に制御することができる,蒸気吸放出材料を提
供すること。 【解決手段】 細孔直径が1〜10nmの範囲内にある
細孔を有し,該細孔の内部に液体の蒸気圧を低下させる
降圧剤を添着したメソ多孔体よりなる。
Description
び放出する特性を持つ材料に関するもので,具体的には
冷房及び暖房装置に利用する吸着ヒートポンプ用吸着
材,湿度調節用吸着材(調湿材),蒸発溶媒の回収用の
吸着材として利用可能な蒸気吸放出材料に関する。
金属塩や表面に多くの細孔を有する多孔体が知られてい
る。上記金属塩としては例えばLiBrやLiCl等が
知られており,これら金属塩の水溶液は水蒸気に対する
吸放出特性を示す(水蒸気の吸収及び放出が可能であ
る)ことから,吸着ヒートポンプ用吸着材,湿度調整用
吸着材として利用されている。
ル,活性炭,ゼオライト等が知られている。シリカゲル
及び活性炭は種々の蒸気に対する吸放出特性を示し,吸
着ヒートポンプ用,湿度調整用,溶剤回収用の各種吸着
材として利用(あるいは利用についての検討が)が行わ
れている。ゼオライトについても同様である。
収用の吸着材には,相対蒸気圧の変化に対して,より多
くの蒸気を吸放出できるという特性が求められる。例え
ば,吸着ヒートポンプでは,吸着材の温度を変化させる
ことにより相対蒸気圧を変化させ,蒸気の吸着と脱離と
を行っている。一般に,吸着ヒートポンプには多量の吸
着材が必要とされることから,自動車のエアコン等,特
に設置面積の限られた場所に使用する小型吸着ヒートポ
ンプには,蒸気の吸放出量の多い吸着材が必要とされ
る。
効率よく湿気を吸収可能であるし,溶剤の回収も効率よ
く行うことができるため,調湿材,溶剤回収用の吸着材
としての使用についても好ましい。更に,蒸気の吸放出
速度が速ければ湿気や溶剤の吸収をより効率よく行うこ
とができる。よって,このような蒸気吸放出材料の需要
は大変高い。
可能である材料を吸着ヒートポンプにおける吸着材とし
て使用すれば,汲み上げ温度差を大きくすることができ
る。また,このような材料を調湿剤として使用すれば,
低湿度での調湿を可能とすることができる。よって,低
蒸気圧における蒸気の吸放出可能な蒸気吸放出材料に対
する需要も大きい。
かる各材料には以下に示すごとき問題がある。まず,上
記金属塩であるが,これらは吸放出可能な蒸気量が小さ
いこと,通常は水に溶解させ液体状態で使用するため取
り扱いが難しいという問題がある。また,上記シリカゲ
ル及び活性炭は,保有する細孔直径の分布にある幅があ
り,一定量の蒸気を吸放出させるためには,蒸気圧を大
きく変化させないといけないという問題がある。更に,
金属塩,シリカゲル,活性炭は低蒸気圧での蒸気の吸放
出が困難であるという問題もある。
直径は原子レベルで均一に揃っており,細孔直径分布が
シャープであるという長所がある。しかし,ゼオライト
の細孔直径は最大でも1.3nm程度であり,工業的に
利用されているゼオライトの細孔直径は通常1nm以下
となっている。よって,多くの蒸気は極めて低い蒸気圧
で吸放出が起こり,特に蒸気の脱離には真空引きや10
0℃以上の加熱操作が必要であるという問題があり,使
い勝手上で不便であった。また,ゼオライトの細孔容積
はシリカゲルや活性炭と比較して小さいことから,吸放
出可能な蒸気量がシリカゲルや活性炭よりも小さいとい
う問題もある。
では吸放出を起こす蒸気圧の範囲は限られており,特に
低蒸気圧で吸放出を起こすことが困難であった。また,
特に多孔体よりなる蒸気吸放出材料においては,吸放出
の蒸気圧を低くするために細孔直径を小さくすると細孔
容積が減少して吸放出可能な蒸気量が減少するという問
題があった。
径が大きくかつ細孔直径分布がシャープであるメソ多孔
体,メソポーラスモレキュラーシーブが合成された。な
お,メソ多孔体とは各種の多孔体の中で特に細孔直径が
中程度(1〜50nm)であるものの総称である。特開
平9−227249号に記載されたメソ多孔体は中心細
孔直径が1〜10nmの範囲にあり,しかも細孔直径の
分布がシャープであることから,蒸気圧の変化が小さく
とも多量の蒸気を吸放出することができる。
て湿度が20〜80%の水蒸気を吸放出する特性を示す
ことから,調湿材(特開平6−304437号)や吸着
ヒートポンプ用吸着材(特開平9−178292号)と
しての用途が開示されている。また,有機蒸気の吸着特
性についても優れることから,蒸発溶媒の回収用吸着材
(特開平6−15165号)の用途も開示されている。
着ヒートポンプの構造,システム構成,用途等によっ
て,最適な吸着材に要求される吸放出の蒸気圧,蒸気圧
の変化の幅が異なる。上記メソ多孔体は細孔直径をある
間隔でしか制御することができないため(自由に設定す
ることはできない),あるヒートポンプに対して最適な
性能を発揮する吸着材を得ることは困難であった。よっ
て,近年,蒸気を吸放出する際の蒸気圧を自由に制御可
能な蒸気吸放出材料が求められている。
変化量に対する吸放出可能な蒸気量が大きく,蒸気の吸
放出が起こる蒸気圧の範囲が広く,蒸気の吸放出の速度
が速く,更に蒸気の吸放出が起こる蒸気圧を精密に制御
することができる,蒸気吸放出材料を提供しようとする
ものである。
10nmの範囲内にある細孔を有し,該細孔の内部には
液体の蒸気圧を低下させる降圧剤を添着したメソ多孔体
よりなることを特徴とする蒸気吸放出材料にある。
の液体の飽和蒸気圧を低下させる効果をもつ物質のこと
である。例えば,水にNaClを溶解させると水の飽和
水蒸気圧は低下する。水の飽和水蒸気圧(25℃)は2
3.8mmHgであるが,NaCl飽和水溶液の飽和水
蒸気圧(25℃)は18.1mmHgである。
を示す物質は他にも多く見られる(例えば,『化学便覧
3版 基礎編 II−143』等)。本発明にかかる降
圧剤としてこのような物質を使用することができる。ま
た,飽和水蒸気圧を低下させる物質を降圧剤として選択
することにより,調湿剤,吸着ヒートポンプ吸着剤,蓄
熱材等として利用可能な蒸気吸放出材料を得ることがで
きる。
物質を上記降圧剤として選択することもできる。例え
ば,有機溶媒の飽和蒸気圧を低下させる物質を使用する
ことにより,該溶媒の回収用の吸着材として使用可能な
蒸気吸放出材料を得ることができる。この他にも,ガス
貯蔵剤という用途に利用可能な蒸気吸放出材料を得るこ
とができる。また,液体に溶解した状態でなくとも,固
体の状態で飽和蒸気圧以下で蒸気が凝縮するような物質
を降圧剤として使用することもできる。
ては各種の塩の効果が著しく強いためこのような物質を
利用することが好ましい。中でも,特に強い効果を持っ
ていることから金属塩が好ましい。このような金属塩と
しては,LiF,NaF,KF,CaF2 ,MgF2 ,
Li2 SO4 ,Na2 SO4 ,K2 SO4 ,CaS
O4 ,MgSO4 ,LiNO3,NaNO3 ,KN
O3 ,Ca(NO3 )2 ,Mg(NO3 )2 ,NaC
l,LiCl,LiBrより選択される少なくとも1種
であることが好ましい。また,例えば糖類,ビタミン,
アルコール等の液体に溶解する物質を降圧剤として使用
することもできる。
方法は特に限定しないが,例えば,降圧剤を溶解させた
液体にメソ多孔体を浸し,乾燥する方法がある。また,
降圧剤をメソ多孔体の細孔内にだけ添着し,細孔外への
付着を避けたい場合には,メソ多孔体を浸した溶液を濾
過してメソ多孔体のみを取出し,取出したメソ多孔体を
洗浄した後に乾燥する方法がある。また,上記乾燥を速
くするためにはメソ多孔体に浸込む最小量の液体に降圧
剤を溶解させ,その後メソ多孔体を乾燥する方法があ
る。
である場合には,吸着容量が小さいため,必要な性能を
得るには多量の吸着剤を必要とするおそれがある。一
方,10nmより大である場合には,蒸気の吸着性に効
果が見られないおそれがある。なお,本発明にかかるメ
ソ多孔体についての詳細は後述する。
発明にかかる蒸気吸放出材料は,メソ多孔体の細孔内に
降圧剤を添着して構成してある。メソ多孔体は毛管凝縮
により飽和蒸気圧以下で蒸気を吸放出する特性を有し,
吸収した蒸気はメソ多孔体の細孔内に捕らえ,保持され
る。また,降圧剤は上述したごとく液体の飽和蒸気圧を
下げることができる性質を有する物質である。
する蒸気は降圧剤にて飽和蒸気圧を下げられた後に,メ
ソ多孔体の細孔に捕らえられる。また,その後細孔内よ
り放出される。従って,本発明の蒸気吸放出材料はより
低い蒸気圧の蒸気を吸放出することができる(実施形態
例1,図1参照)。また,降圧剤の種類により飽和蒸気
圧の低下量が異なる。従って,降圧剤の種類を選択する
ことにより,任意の蒸気圧で蒸気を吸放出できる蒸気吸
放出材料を得ることができる(実施形態例2参照)。
孔体の細孔直径分布をそのまま踏襲することができる
(実施形態例1,図5参照)。従って,本発明にかかる
蒸気吸放出材料はメソ多孔体の特質である蒸気圧の変化
量に対して吸放出可能な蒸気量が高いという性能を有す
る。また,降圧剤の添着により,多孔体への蒸気の親和
性が増し,蒸気の吸放出の速度を速くすることができる
(実施形態例1,図2参照)。
変化量に対する吸放出可能な蒸気量が大きく,蒸気の吸
放出が起こる蒸気圧の範囲が広く,蒸気の吸放出の速度
が速く,更に蒸気の吸放出が起こる蒸気圧を精密に制御
することができる,蒸気吸放出材料を提供することがで
きる。
明にかかるメソ多孔体は細孔直径が1〜10nmである
細孔(メソポア)を有する多孔体である。このような細
孔(メソポア)を有する多孔体であればいかなるもので
も用いることができる。なお,以下に特に好ましいメソ
多孔体について記載する。
細孔直径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径
(中心細孔直径)の−40〜+40%の直径範囲に全細
孔容積の60%以上が含まれているメソ多孔体を用いる
ことが好ましい。このようなメソ多孔体は細孔直径の分
布がシャープであり,細孔直径がより均一である。この
ため,より確実に本発明にかかる効果を得ることができ
る。なお,60%未満である場合には,一定の蒸気圧変
化量に対する蒸気吸放出量を大きく取れないおそれがあ
る。
明する。細孔直径分布曲線とは,細孔容積(V)を細孔
直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径
(D)に対しプロットした曲線のことである。細孔直径
分布曲線は例えば以下に示す気体吸着法により作成する
ことができる。なお,この方法において最もよく用いら
れる気体は窒素である。
で窒素ガスを導入し,その吸着量を定容量法あるいは重
量法で求める。導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加さ
せ,各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットする
ことにより吸着等温線を作成する。この吸着等温線か
ら,例えばCranston−Inklay法,Pol
limore−Heal法の計算法を用いて,細孔直径
分布曲線を求めることができる。
を示す細孔直径の−40〜+40%に全細孔容積の60
%以上が含まれる』というのは,次の様に説明できる。
例えば図26の細孔直径分布曲線における最大のピーク
(FSM/16)が2.8nmであるとすると,細孔直
径が1.62nm〜3.78nmの範囲にある細孔の容
積の総計が,全細孔容積の60%以上を占めている。具
体的には,細孔直径分布曲線の細孔直径が1.62nm
〜3.78nmの範囲の積分値が,曲線の全積分値の6
0%以上を占めている(図26のFSM/16はピーク
の面積がこの範囲にあることを示している)。
X線回折パターンにおいて,1nm以上の範囲のd値に
相当する回折角度に1本以上のピークを持つメソ多孔体
を用いることが好ましい。このようなメソ多孔体は細孔
直径がより均一である。このため,小さい蒸気圧の変化
で多量の蒸気の吸放出が可能となる。
そのピークの回折角度に相当するd値の周期構造が試料
中にあることを意味する。従って,『1nm以上のd値
に相当する回折角度に1本以上のピークを持つ』X線回
折パターンは,細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列
した構造を持っていると考えることができる。従って,
かかるX線回折パターンを有するメソ多孔体は細孔直径
に均一性があるとみなすことができる。
しては,1次元的にトンネル状に延びたもの,3次元的
に箱状の細孔が結合したもの等を挙げることができる。
本発明にかかるメソ多孔体の形態(形状)としては,粉
末状,顆粒状,バルク固体,ハニカムコート,あるいは
基板にコートする等の方法で膜状にしたものを使用する
ことができる。なお,顆粒状のメソ多孔体は,圧粉する
方法,液体と混合して乾燥させる方法等により作製する
ことができ,特に限定しない。なお,顆粒状,ハニカム
コートした形態で用いる場合には,適当なバインダーを
含有していてもよい。
は,例えば,シリカの骨格よりなる物質を挙げることが
できる。また,その他に,アルミニウム(A1),チタ
ニウム(Ti),マグネシウム(Mg),ジルコニウム
(Zr),モリブデン(Mo),コバルト(Co),ニ
ッケル(Ni),ガリウム(Ga),ベリリウム(B
e),イットリウム(Y),ランタン(La),スズ
(Sn),鉛(Pb),バナジウム(V),ホウ素
(B)等を含んだシリカよりなる物質を使用することも
できる。
いメソ多孔体としては,例えば,層状シリケートに界面
活性剤を作用させて合成したメソ多孔体を挙げることが
できる(T.Yanagisawa et al.,B
ull. Chem. Soc., Jpn., 6
3,988−992(1990))。
ケートシートが凸部で上下結合した構造を有しており,
該シリケートシートの隙間には均一に揃った細孔が無数
に存在する。その細孔直径は1〜10nmの範囲内の特
定の値を中心とする狭い範囲に分布している。このメソ
多孔体のX線回折パターンは,2nm以上のd値を持つ
位置に1本以上のピークが観察された。また,上記メソ
多孔体の中のあるものは六方構造を示す2〜4本の回折
ピークが見られ,その電子顕微鏡写真には蜂の巣状に配
列した細孔が観察された(S.Inagaki et
al., J.Chem.Soc.,Chem.Com
mun.,No.8,680−682(1993))。
剤のミセル構造を鋳型として合成したメソポーラスモレ
キュラーシーブ(M41S)を挙げることができる
(C.T. Kresge et al., Natu
re, 359, 710−712(1992))。
範囲にあり,該細孔は規則的に配列した構造を有してお
り,該細孔直径は上記と同様狭い範囲に分布している。
M41Sの1つであるMCM−41は,先の層状シリケ
ートから合成したメソ多孔体と同様に蜂の巣状の断面を
呈した六方構造を有するが,上述した層状シリケートか
ら合成したメソ多孔体とは細孔壁内の構造が異なる。M
41SのX線回折パターンは1nm以上のd値に相当す
る回折角度に1本以上のピークが観察される。
nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピーク
を観察することができる。これは細孔直径1〜10nm
の細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列した構造を反
映したものである。
作用させて合成したメソ多孔体の合成方法について以下
に説明する。なお,以下にかかる合成方法において,層
状シリケートのかわりに水ガラス,珪酸ソーダ,Siア
ルコキシド,シリカ等を用いて,本発明にかかるメソ多
孔体を製造することができる。
ネマイト(NaHSi2 O5 ・3H2 O)を使用するこ
とが好ましい。また,他の層状シリケートとしては,ジ
ケイ酸ナトリウム結晶(α,β,γ,δ−Na2 Si2
O5 ),マカタイト(Na2Si4 O9 ・5H2 O),
アイアライト(Na2 Si8 O17・xH2 O),マガデ
ィアイト(Na2 Si14O29・xH2 O),ケニヤイト
(Na2 Si20O41・xH2 O)等を使用することがで
きる。
例えば,セピオライトのような粘土鉱物を酸の水溶液で
処理して二酸化珪素以外の元素を除去した層状シリケー
トを使用することもできる。この場合の粘土鉱物として
は,セピオライトの他にモンモリロナイト,バーミキュ
ライト,雲母,カオリナイト,スメクタイトが代表的で
あるが,これらに限定することなく用いることができ
る。
トリメチルアンモニウム,ジメチルアルキルアンモニウ
ム,アルキルアンモニウム,ベンジルアンモニウムの塩
化物,臭化物,ヨウ化物あるいは水酸化物等を使用する
ことができる。
の反応であるが,例えば,界面活性剤が溶解した溶媒に
対し,層状シリケートを分散させることが好ましい。上
記溶媒としては水が好ましいが,水・アルコール混合溶
媒や,その他の溶媒も用いることもできる。なお,上記
溶媒に対する界面活性剤の濃度は,0.05M〜1Mと
することが好ましい。
リケートの種類によって異なる。例えば,カネマイトを
用いた場合には,0.1Mの界面活性剤の水溶液(ある
いは他の溶媒に対する溶液)1000ミリリットルに対
し5〜200gを分散さえることが好ましい。
液は30〜150℃で加熱することが好ましく,また加
熱時間は1〜24時間とすることが好ましい。また,加
熱中に分散溶液は撹件するほうが好ましい。
は10以上で,残りの時間は10以下とpH制御するこ
とが好ましい。なお,カネマイト等,一部の層状シリケ
ートはアルカリ性であるので特に処理を施さずとも分散
溶液のpHは10以上となる。また,pHが10以上に
ならない場合には水酸化ナトリウム等のアルカリを添加
してpHを10以上にする。上記pH制御により結晶性
及び耐熱性の特に高いメソ多孔体を得ることかできる。
成物を濾過して回収する。得られた固形生成物を脱イオ
ン水で繰り返し洗浄することにより,耐熱性の高いメソ
多孔体を得ることができる。洗浄の後,固形生成物を乾
燥,更にその後,550℃以上の温度で焼成する,ある
いは塩酸/エタノール混合溶液で処理することにより,
取り込まれた界面活性剤が除去され,メソ多孔体が生成
する。なお,焼成するときは,空気,酸素,窒素等の雰
囲気で1時間以上加熱するのが好ましい。なお,上述し
た塩酸/メタノール溶液であるが,酸/有機溶媒の組合
せであれば,塩酸とメタノール以外の酸と有機溶媒との
混合溶液を用いることもできる。
方法からSi以外の他の元素を含んだメソ多孔体を製造
することもできる。即ち,上記メソ多孔体にSi以外の
元素を添加する方法としては,(1)原料である層状シ
リケート中に予めSi以外の元素を組込む方法(他の元
素を含んだ層状シリケートを使用する方法)と,(2)
メソ多孔体の合成中に添加する方法とがある。
ては,水ガラス等の珪酸溶液にSi以外の元素の塩を溶
解させ,乾燥後,焼成する方法がある。溶解させた元素
の多くは層状シリケートを構成するSiO4 骨格の中に
組込まれているため,最終的に生成するメソ多孔体のS
iO4 骨格の中にも上記元素は組込まれる。このような
メソ多孔体より構成された蒸気吸放出材料は,より低圧
の蒸気を吸放出し易くなる。
としては,例えば,層状シリケートと界面活性剤とより
なるメソ多孔体前駆体にSi以外の元素の塩の水溶液を
含浸させた後,これを焼成する方法がある。この方法で
は元素が比較的メソ多孔体の表面に付着するため,元素
の特性を効果的に発現させることができる。このような
メソ多孔体より構成された蒸気吸放出材料は,少量の元
素の添加により水ガラス原料に元素を溶融させる方法と
同じ効果を得ることができる。
コキシシランを用いる方法がある。アルコキシシランと
しては,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラ
ン,テトラプロポキシシランあるいは,メチルトリメト
キシシラン等のアルキルアルコキシシラン等が用いられ
る。これらの1種類あるいは2種類以上を組み合わせて
用いることもできる。
基を有する化合物を使用する。アルキル基としては,炭
素原子数2〜18のものが好ましい。親水基としては,
例えば,−N+ (CH3 )3 ,−NH2 ,−SO3 - ,
−PO4 - ,−COO- ,−OHを挙げることができ
る。界面活性剤としては,具体的には,Cn H2n+1N
(CH3 )3 X(式中,nは2〜18の整数であり,X
は塩化物イオン,臭化物イオン等のハロゲン化イオン,
HSO4 または酢酸イオン等の有機アニオンである。)
で表現されるアルキルトリメチルアンモニウム等を挙げ
ることができる。中でもアルキルトリメチルアンモニウ
ムの使用が最も好ましい。
に限定しないが,最初にアルコキシシランに少量の水
(1モルのSiに対して0.5〜10モルの水)を添加
し,室温で数分〜3時間程度攪拌した後に界面活性剤を
添加することが好ましい。
すると,各成分が溶解し均一な溶液が調製できるため好
ましい。溶液のpHは1〜4の範囲が好ましい。酸とし
ては,希塩酸(例えば2規定)をよく用いるが,硝酸や
硫酸等の他の酸でもよい。また,界面活性剤は粉末のま
まで添加してもよいが,少量の水に溶解させて添加する
こともできる。これにより,無機/有機複合体が形成さ
れる。なお,上記無機/有機複合体とはアルコキシシラ
ンと界面活性剤より形成された中間体である。後述する
工程で該無機/有機複合体より有機物が除去されること
により,メソ多孔体が形成される。
に添加した水の総量に対するアルコキシシラン中のSi
とのモル比を示すものである。原料中のH2 O/Siモ
ル比が10以上の場合,例えば,アルコキシシランが加
水分解・縮合して生成する金属酸化物の微粒子同士の隙
間が大きくなり,結果として生成した金属酸化物の密度
が低下する。一方,その比が1未満の場合には,アルコ
キシシランの加水分解が起こらず,結果として金属酸物
が得られないおそれがある。
ランが含有するSi1モルに対し,1〜10モルとする
ことが好ましい。10モルより多い場合には無機/有機
複合体の形成に寄与しない余剰の界面活性剤が混在し,
メソ多孔体の純度が低下するおそれがある。また,1モ
ル未満である場合には,無機/有機複合体形成に寄与し
ない余剰のSiが混在し,またシリカ層が厚くなり,メ
ソ多孔体の細孔容積が減少するおそれがある。
合体を含む溶液は,そのまま放置することにより全体が
均一な状態に維持されつつ固化することができる。この
放置であるが,溶液を密閉容器,または開放容器に保持
して放置することができる。または,基板の上に溶液を
コートし,この状態で放置することもできる。
液は塊状に固化する。これを乾燥・粉砕し,ふるいに掛
けることにより,好みの粒径のメソ多孔体を得ることが
できる。基板にコートして放置した場合,溶液は膜状に
固化する。なお,基板に対するコート法であるが,スピ
ンコート法,キャステイング法,ディップコート法等を
利用することができる。以上により固化した有機/無機
複合体を得ることができる。
(界面活性剤)を除去して,メソ多孔体を得る。除去の
方法は,焼成による方法とアルコール等で処理する方法
とがある。焼成による方法では,有機/無機複合体を3
00〜1000℃(好ましくは400〜700℃)に加
熱する。加熱時間は30分以上とすればよい。但し,完
全に有機物を除去するためには1時間以上加熱すること
が好ましい。この加熱の雰囲気は空気を流通させればよ
いが,多量の燃焼ガスが発生するため,加熱の初期は窒
素等の不活性ガスを流通させてもよい。
性剤の溶解度が大きい溶媒に少量の陽イオン成分を添加
した溶液に,有機/無機複合体を分散・攪拌した後に固
形成分を回収することにより行う。上記溶媒としては,
例えばエタノール,メタノール,アセトン等を用いるこ
とができる。添加する陽イオン成分を含む物質として
は,塩酸,酢酸,塩化ナトリウム,塩化カリウム等があ
る。陽イオンの添加濃度は,0.1〜10モル/リット
ルが好ましい。
いた場合,これに対する有機/無機複合体の分散量は,
エタノール溶液100ccに対して,有機/無機複合体
を0.5〜50g分散させることが好ましい。また,上
記分散液の攪拌は25℃〜100℃の温度範囲で行うこ
とが好ましい。なお,粉砕やふるい分け,あるいは成形
は,界面活性剤を除去する前でも後でも行うことができ
る。
界面活性剤の種類により(界面活性剤のアルキル鎖を始
めとする疎水性部分の長さ等),メソ多孔体の細孔直径
を制御することができる。従って,このような製造方法
により得られたメソ多孔体を本発明にかかるメソ多孔体
として使用することにより,細孔分布が均一となり,小
さい蒸気圧の変化で多量の蒸気の吸放出が可能となる。
は,充填密度が0.5g/cc以上であるものを使用す
ることが好ましい。これにより,一定の空間に,より多
くの多孔体の充填が可能となり高い性能の発現が期待で
きる。
合には,多孔体を充填した装置が大型化する,または一
定容積の装置に充填可能な多孔体量が少ないため充分な
性能を発現できないという問題がある。なお,上記充填
密度が0.5g/ccであるとは,1ccの容積の器に
0.5gのメソ多孔体を充填できる,ということを意味
している。
につき,図1〜図6を用いて説明する。本例の蒸気吸放
出材料は,細孔直径が1〜10nmの範囲内にある細孔
を有し,該細孔の内部には水の蒸気圧を低下させ,Na
Clよりなる降圧剤を添着した後述の実施形態例3に示
したメソ多孔体(TMOS/12)よりなる。
当たり,降圧剤の添着方法について説明する。まず,上
記メソ多孔体(TMOS/12)に一様にしみこむ量の
水に,上記降圧剤を溶解した。次いで,該水溶液をメソ
多孔体(TMOS/12)に染み込ませ,次にこれを風
乾した。最後にこれをメッシュによりふるい分け,粒度
を揃えた。
て,粒度0.1mm,0.5mm,0.8mm,l.6
mmであるという記載は,それぞれの粒径の分布が0.
1〜0.15mm,0.42〜0.5mm,0.71〜
0.8mm,1.19〜1.68mmであることを表し
ている。
線図に示すごとく,乾燥状態にあるメソ多孔体100g
に対し,それぞれ0g〜32gの範囲で適宜添着を行
い,各測定に当たっての試料とした。後述する各線図に
おいて『0.5%NaCl』とあるのは降圧剤としてN
aClを用い,メソ多孔体100gに対して0.5gの
降圧剤を添着した,ということを示している。また,
『0%』という記載はメソ多孔体そのものについての測
定結果で,比較のために各線図に掲載した。
等温線を日本ベル製のBELSORP18を用いて以下
に示す条件の下で測定した。 蒸気吸放出材料温度:25℃, 空気恒温槽温度:50℃, 基準容量:180.98ミリリットル, 平衡時間:500秒, なお,測定に際して,蒸気吸放出材料に施す前処理とし
て,温度25℃,圧力10-2〜10-3mmHgという条
件で,3時間以上の真空排気を行った。
気吸着量の経時変化(水蒸気吸着速度)の測定は図6に
示すごとき石英スプリング11を使用したマイクロバラ
ンス装置10を利用して以下に示すごとく行った。上記
マイクロバランス装置10は上記吸放出材料を収納する
バスケット1が石英スプリング11に釣り下げられた構
造になっている。水の入ったサンプル管130は恒温槽
13により10℃に略一定に保たれており,10℃の水
の飽和蒸気圧を発生している。水の蒸気圧は圧力センサ
14により測定され,センサ制御装置17を経てレコー
ダ19に記録される。
ル)15を含む真空ラインの部分に一旦溜められ,その
後真空コック10を開けることにより,水蒸気はマイク
ロバランスの吸着塔に導入され,石英スプリング11は
伸び,その変化は差動トランス12[1501−9BA
L]により電気信号に変換し,変位メータ18[602
2−19]を経てレコーダ19において記録した。
11,作動トランス12及び蒸気吸放出材料の周りには
循環恒温槽16から20℃の水が供給され,20℃の一
定の温度に保たれている。
す前処理として,温度20℃,圧力10-2〜10-3mm
Hgという条件の真空排気を行った。また,上記測定に
際しては,蒸気吸放出材料1の温度が20℃に保持され
ていることから,また水蒸気の相対蒸気圧(P/P0 )
は0.525となる。
て水蒸気吸着等温線を測定し,その結果につき図1に記
載した。なお,同図において,縦軸の水蒸気吸着量とは
単位重量あたりのメソ多孔体(添着したNaClの重量
は含めない)に吸着した水蒸気の重量を示す。横軸は水
蒸気の相対蒸気圧(P/P0 )である。なお,図中の白
抜きのプロットは吸着側を黒塗りのプロットは脱離側を
示す。また,添着量0%の場合については吸着側のみを
示した(他の線図においても同様である)。
ないメソ多孔体(0%NaCl)に対し,添着したもの
(本例にかかる蒸気吸放出材料,0.5〜32%NaC
l)については,吸着等温線が全体的に低蒸気圧側にシ
フトしたことが分かった。また,NaClの添着量が多
いほどシフト量が大きくなる傾向のあることが分かっ
た。つまり,メソ多孔体に降圧剤であるNaClを添着
することにより,より低圧の水蒸気が吸着し易くなり,
また降圧剤の添着量を制御することにより,蒸気の吸放
出の生じる蒸気圧を制御できることが分かった。
0 =0.4〜0.7)は,NaClの添着により殆ど変
化しておらず,吸着容量を減らすことなく,低圧水蒸気
の吸着性が向上したことが分かった。なお,P/P0 =
0.8以上で吸着等温線が垂直に立ちあがっているの
は,細孔外にあるNaClに水蒸気が凝縮したために起
こったものである。
て水蒸気吸着量の経時変化(水蒸気吸着速度)を測定
し,その結果につき,図2に記載した。この測定に使用
した蒸気吸放出材料は粒度が0.8mmである。なお,
同図において,縦軸の蒸気吸着量とは単位重量あたりの
メソ多孔体(添着したNaClの重量は含めない)に対
する吸着した水蒸気の重量を示す。
メソ多孔体に対し,本例にかかる蒸気吸放出材料は吸着
速度が速く,吸着量が速く飽和に達した。また,降圧剤
の添着量が多いほど,吸着量がより速く飽和に達する傾
向のあることが分かった。つまり,メソ多孔体に降圧剤
であるNaClを添着することにより,水蒸気の吸着速
度を速めることができたことが分かった。
して作製した蒸気吸放出材料の吸着量の経時変化を,使
用するメソ多孔体の粒度を変化させて測定した。この結
果を図3に記載した。同図によれば,メソ多孔体の粒度
が小さいほど水蒸気の吸着速度が速くなることが分かっ
た。
料の細孔直径分布曲線を,液体窒素温度における窒素吸
着等温線からCranston−Inklay法を利用
して求めた。上記測定結果を図4及び図5にそれぞれ記
載した。なお,図5において縦軸は単位重量あたりのメ
ソ多孔体(添着したNaClの重量は含めない)の細孔
容積の微分値である。
蒸気吸放出材料の中心細孔直径は共に1.7nmである
ことが分かった。また,メソ多孔体,本例にかかる蒸気
吸放出材料の細孔直径及び細孔容積は殆ど変わらないこ
とが分かった。即ち,メソ多孔体に降圧剤を添着するこ
とによる細孔直径及び細孔容積の変化は殆どないことが
分かった。つまり,本例にかかる蒸気吸放出材料はメソ
多孔体の特質である蒸気圧の変化量に対して吸放出可能
な蒸気量が高いという性能を有することが分かった。
対する吸放出可能な蒸気量が大きく,蒸気の吸放出が起
こる蒸気圧の範囲が広く,蒸気の吸放出の速度が速く,
更に蒸気の吸放出が起こる蒸気圧を精密に制御すること
ができる,蒸気吸放出材料を提供することができる。
ソ多孔体に添着して作製した蒸気吸放出材料にかかる特
性について示すものである。図7〜図14に,メソ多孔
体TMOS/12(後述の実施形態例3参照)に対し種
々の降圧剤を添着して作製した蒸気吸放出材料の水蒸気
吸着等温線を記載した。
OS/16(後述の実施形態例3参照)に対し種々の降
圧剤を添着して作製した蒸気吸放出材料の水蒸気吸着等
温線を記載した。また,これらの水蒸気吸着等温線の測
定は,実施形態例1と同様に行った。なお,図中の白抜
きのプロットは吸着側を,黒塗りのプロットは脱離側を
示す。添着量0%については吸着側のみを示した。
いメソ多孔体(0%)に対し,本例にかかる各蒸気吸放
出材料は,いずれも水蒸気吸着等温線が全体的に低蒸気
圧側にシフトしたことが分かった。また,そのシフト量
は降圧剤の種類と添着量により変化することが分かっ
た。以上により,本例にかかる蒸気吸放出材料はより低
圧の水蒸気を吸着し易く,その蒸気圧は降圧剤の種類と
添着量により制御できることが分かった。
〜0.15mm)である蒸気吸放出材料(メソ多孔体;
TMOS/12,降圧剤をそれぞれ20%添着)の水蒸
気吸着量の経時変化を測定し,その結果を記載した。
孔体(TMOS/12と付された線)に対し,本例にか
かる各蒸気吸放出材料は吸着量が速く飽和に達し,水蒸
気の吸着速度が速くなったことが分かった。図18に
は,20%Ca(NO3 )2 を添着したメソ多孔体(T
MOS/12)よりなる蒸気吸放出材料の吸着量の経時
変化をメソ多孔体の粒度を変化させて測定し,その結果
を記載した。これにより,メソ多孔体の粒径が小さい
程,水蒸気の吸着速度が速くなることが分かった。
いては,いずれも水蒸気を吸放出可能な蒸気吸放出材料
について記載したが,例えば,糖類,ビタミン,アルコ
ールという降圧剤を利用することにより,有機物の蒸気
を吸放出可能な蒸気吸放出材料を得ることができる。そ
して,このような蒸気吸放出材料についても実施形態例
1と同様の効果を得ることができる。
のメソ多孔体の製造方法について説明するものである。
製造方法] まず,1216gのテトラメチルオルトシリケート(T
MOS)に,288gの水(イオン交換水)と,2gの
2規定塩酸水溶液を添加し,その後室温で1時間攪拌し
た。その後,616gのドデシルトリメチルアンモニウ
ムブロマイド(C12H25N(CH3 )3 Br)を溶解さ
せた後に容器を密閉し25℃の恒温槽に17時間静置し
た。
60℃で加熱したところ,約6時間後に混合液はゲル化
した。ゲルを密開状態で30℃の恒温槽にいれ,48時
間静置した。その後,ゲルを容器から取りだし,バット
に広げ,室温で24時間風乾した。
時間乾燥し,乾燥ゲルとした。脱脂処理として,該乾燥
ゲルを窒素ガス気流下で室温から200℃まで1時間で
昇温し,200℃から450℃まで6時間で昇温し,4
50℃で3時間保持した。その後,脱脂された乾燥ゲル
を空気中,550℃で6時間焼成した。以上により,メ
ソ多孔体TMOS/12を得た。なお,上記メソ多孔体
TMOS/12の充填密度は0.65g/cc(粒径:
0.1〜0.15mm)であった。
製造方法] まず,1216gのテトラメチルオルトシリケート(T
MOS)に,288gの水(イオン交換水)と,8.1
ccの0.1規定塩酸水溶液を添加し,室温で2時間撹
拝した。その後,1054gのへキサデシルトリメチル
アンモニウムクロライド[C16 H33N(CH3 )3 C
lのメタノール溶液(界面活性剤濃度60.7%)を添
加し,その後室温で4時間撹拝した。
のメタノール溶液を少しづつ滴下したところ,溶液は徐
々にゲル化した。次いで,ゲルを密閉状態で室温で3日
間静置した。その後,ゲルとメタノールを分離して,ゲ
ルをバットに広げ,室温で24時間風乾した。
て,440℃で10時間加熱した後,550℃で4時間
空気中で焼成した。以上により,メソ多孔体をTMOS
/16を得た。なお,上記メソ多孔体TMOS/16の
充填密度は0.55g/cc(粒径:0.1〜0.15
mm)であった。
/10,FSM/12,FSM/14,FSM/16)
の製造方法] 日本化学工業(株)製の粉末ケイ酸ソーダ(SiO2 /
Na2 O=2.00)を700℃で6時間,空気中で焼
成し,ジケイ酸ソーダ(δ−Na2 Si2 O5)に結晶
化させた。この結晶50gを500ccの水に分散さ
せ,3時間攪拌した。その後,濾過により固形分を回収
してカネマイト結晶を得た。
0gのカネマイトを0.1Mのヘキサデシルトリメチル
アンモニウムクロライド[C16H33N(CH3 )3 C
l]水溶液1000ミリリットルに分散させ,70℃で
3時間攪拌しながら加熱した。加熱初期の分散液のpH
は12.3であった。
の塩酸を添加して分散液のpHを8.5に下げた。それ
から更に70℃で3時間加熱してから室温まで放冷し
た。固形生成物を一旦濾過し,1000ミリリットルの
イオン交換水に分散させ攪拌した。この濾過・分散攪拌
を5回繰り返してから60℃で24時間乾燥した。 得
られた試料を窒素ガス中450℃で3時間加熱した後,
空気中550℃で6時間焼成することによりメソ多孔体
を得た。
サデシルトリメチルアンモニウムクロライドの代わりに
アルキル[Cn H2n+1]鎖長の長さ(n)が異なる4種
類のアルキルトリメチルアンモニウム[ Cn H2n+1N
(CH3 )3 ] クロライド(n=14)あるいはブロマ
イド(n=8,10,12)を用いて,計5種類のメソ
多孔体を製造した。
ニウムのアルキル鎖長の長さの数字(n)を付け,FS
M/8,FSM/10,FSM/12,FSM/14,
FSM/16と記号を付けた。これらの各多孔体の充填
密度は0.35g/cc(粒径:0.1〜0.15m
m)であった。
SM/M10,HFM/M20)の製造方法] 上述した(1)の製造方法において,0.1モルのへキ
サデシルトリメチルアンモニウムクロライドに加え,メ
シチレン[C6 H3 (CH3 )3 ]を添加して,他は同
じ条件でメソ多孔体の製造を行った。メシチレンの添加
量は0.05,0.1,0.2モルの3条件で製造を行
った。それぞれ得られた多孔体に対し,FSM/M0
5,FSM/M10,HFM/M20と記号を付けた。
これら各多孔体の充填密度は0.3g/cc(粒径:
0.1〜0.15mm)であった。
M/16D)] 無定型のケイ酸ソーダ(日本化学工業:粉末ケイ酸ソー
ダ,SiO2 /Na20 =2.00)50g,あるいは
粉末ケイ酸ソーダを700℃で6時間空気中で焼成して
得たδ−Na2 Si2 O550gを,0.1Mのへキサ
デシルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液100
ミリリットルに分散させ,70℃で3時間撹拝しながら
加熱した。その後,2規定の塩酸水溶液を滴下すること
により分散液のpHを8.5に調整した。それから更に
70℃で3時間加熱してから,室温まで冷却した。
リリットルのイオン交換水に分散させてから約5分間攪
拌して再び濾過を行った。この分散と濃過の操作を5回
繰り返した。生成物を乾燥した後,550℃で焼成し
て,2種類のメソ多孔体を得た。それぞれ,FSM/1
6PとFSM/16Dと記号を付けた。これら各多孔体
の充填密度は,0.35g/cc(粒径:0.l〜0.
15mm)であった。
おいて作製した各メソ多孔体のX線回折パターンを測定
し,その結果について述べたものである。本例において
は,理学RAD−B装置を用い,CuKαをX線源とし
て2度(2θ)/分でスキャンした。スリット幅は,1
度−0.3mm−1度である。その結果を図19〜21
に記載した。
nmの回折角度に1本のピークを示した。FSM/8〜
16,FSM/M05〜20(図20),FSM/16
P,16D(図21)についても,回折角度(2θ)が
10度以下に数本のピークが観察された。ピークの回折
角度をd値に変換した値を表1に示した。
6,FSM/M05,FSM/16P,FSM/16C
については,d=1nm以上のd値を持つピークが3〜
4本観察された。これらのピークは六方構造に指数付け
することができる。
M/10,FSM/M10については,d=1m以上の
d値を持つピークが1〜2本観察された。また,FSM
/M20については,1nm以上のd値を持つ明瞭なピ
ークが見られなかった。これらのX線回折パターンの結
果から,FSM/M20を除くこれらメソ多孔体は規則
的な周期構造を持っていることが分かった。
おいて作製した各メソ多孔体の細孔直径分布曲線につい
て測定し,その結果について述べたものである。なお,
メソ多孔体の細孔直径分布曲線は窒素吸着等温線から求
めた。
く測定した。まず使用した装置であるが,ガラス製の真
空ラインに圧力センサ[MKS,Baratron 1
27AA,レンジ1000mmHg]及びコントロール
バルブ[MKS,248A]2個が接続されたものを用
いた。なお,この装置は窒素ガスの真空ラインへの導入
及びサンプル管への導入が自動で行えるように構成され
ている。
g,ガラス製のサンプル管に入れて,真空ライン部に接
続した。そして,上記メソ多孔体を室温で約2時間真空
脱気した。この時の到達真空度は10-4mmHgであっ
た。
し,真空ライン部に所定の圧力の窒素ガスを導入する。
サンプル管中の圧力が安定した後,該サンプル管のコン
トロールバルブを開き,圧力が一定になった後,平衡圧
を記録する。平衡圧が0〜760mmHgの範囲で16
〜18点同じ操作を繰り返した。平衡までの時間は圧力
により変化するが20分から60分の範囲であった。こ
の平衡圧と圧力変化から求めた吸着量をプロットするこ
とにより,各メソ多孔体の窒素吸着等温線を得た。結果
を図22〜図24に記載した。
−Inklay法により細孔直径分布曲線を求めた。結
果を図25〜図27に記載した。細孔直径分布曲線にお
ける最大のピークを示す細孔直径(中心細孔直径),全
細孔容積及び中心細孔直径の−40〜+40%の細孔直
径範囲に含まれる細孔容積の全細孔容積に対する割合を
表2に示した。
10nmの範囲にあり,かつ細孔直径分布曲線における
最大のピークを示す細孔直径の−40〜+40%の細孔
直径範囲に全細孔容積の60%以上が含まれる。
A型),ゼオライト(ZSM−5)の窒素吸着等温線と
細孔直径分布曲線とを同様に測定し,結果を図28,図
29に記載した。中心細孔直径,全細孔容積,中心細孔
直径の−40〜+40%の細孔直径範囲に含まれる細孔
容積の全細孔容積に対する割合(同表において,−40
〜+40%細孔率と記載した列)を表2に示した。
nmの範囲にあるが,−40〜+40%細孔率が60%
未満であり,細孔直径分布がブロードであることが分か
った。また,ゼオライトは,−40〜+40%細孔率が
60%以上であるが,中心細孔直径が0.5nmであ
り,小さ過ぎることが分かった。
中心細孔径が1〜10nmの範囲内にあり,かつ狭い細
孔径範囲に分布していることが分かった。
の変化量に対する吸放出可能な蒸気量が大きく,蒸気の
吸放出が起こる蒸気圧の範囲が広く,蒸気の吸放出の速
度が速く,更に蒸気の吸放出が起こる蒸気圧を精密に制
御することができる,蒸気吸放出材料を提供することが
できる。
/12と降圧剤・NaClよりなる蒸気吸放出材料の水
蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を示
す線図。
る蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量の時間経過を示す線
図。
なる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量の時間経過を示す線
図。
吸着等温線を示す線図。
分布曲線を示す線図。
するためのマイクロバランス装置を示す説明図。
/12と降圧剤・Li2 SO4よりなる蒸気吸放出材料
の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係
を示す線図。
/12と降圧剤・Na2 SO4よりなる蒸気吸放出材料
の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係
を示す線図。
/12と降圧剤・LiNO3 よりなる蒸気吸放出材料の
水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を
示す線図。
S/12と降圧剤・Ca(NO3)2 よりなる蒸気吸放
出材料の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧と
の関係を示す線図。
S/12と降圧剤・MgSO4 よりなる蒸気吸放出材料
の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係
を示す線図。
S/12と降圧剤・NH4 Clよりなる蒸気吸放出材料
の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係
を示す線図。
S/12と降圧剤・CaI2 よりなる蒸気吸放出材料の
水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を
示す線図。
S/12と降圧剤・LiIよりなる蒸気吸放出材料の水
蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を示
す線図。
S/16と降圧剤・Ca(NO3)2 よりなる蒸気吸放
出材料の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧と
の関係を示す線図。
S/16と降圧剤・LiIよりなる蒸気吸放出材料の水
蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を示
す線図。
る蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量の時間経過を示す線
図。
異なる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量の時間経過を示す
線図。
S/12のX線回折パターンを示す線図。
線回折パターンを示す線図。
線回折パターンを示す線図。
S/12の窒素吸着等温線を示す線図。
素吸着等温線を示す線図。
素吸着等温線を示す線図。
S/12の細孔分布曲線を示す線図。
孔分布曲線を示す線図。
孔分布曲線を示す線図。
ライトの窒素吸着等温線を示す線図。
ライトの細孔分布曲線を示す線図。
Claims (1)
- 【請求項1】 細孔直径が1〜10nmの範囲内にある
細孔を有し,該細孔の内部に液体の蒸気圧を低下させる
降圧剤を添着したメソ多孔体よりなることを特徴とする
蒸気吸放出材料。
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