JPH09143461A - 蓄熱材 - Google Patents

蓄熱材

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JPH09143461A
JPH09143461A JP7329847A JP32984795A JPH09143461A JP H09143461 A JPH09143461 A JP H09143461A JP 7329847 A JP7329847 A JP 7329847A JP 32984795 A JP32984795 A JP 32984795A JP H09143461 A JPH09143461 A JP H09143461A
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heat storage
porous body
pores
storage material
pore diameter
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JP7329847A
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English (en)
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Kazuhiro Fukumoto
和広 福本
Shinji Inagaki
伸二 稲垣
Yoshiaki Fukushima
喜章 福嶋
Mitsumasa Horii
満正 堀井
Seiji Onoda
誠次 小野田
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過冷却が少なく,かつ出力温度の制御が容易
な蓄熱材を提供する。 【解決手段】 多数の細孔を有する多孔体と,該多孔体
の細孔内に配置された蓄熱物質とよりなる。多孔体の細
孔は,細孔径分布曲線における最大ピークを示す中心細
孔直径が1nm〜10nmの範囲内にあることが好まし
い。多孔体の細孔の60〜100%が,上記中心細孔直
径の±40%の範囲内にあることが好ましい。多孔体と
しては,シリカよりなる多孔体を用いることが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,多孔体の細孔内に蓄熱物質を設
けた蓄熱材に関する。
【0002】
【従来技術】蓄熱材は,例えば,給湯器,暖房器,冷蔵
庫等の分野に用いられている。かかる蓄熱材は,特定温
度において,融解,凝固等に伴う相変化,又は分子構
造,粒子構造等が変化する。そして,その変化の際に,
潜熱を吸収し,または放出することにより,保温,保冷
効果を発揮する。
【0003】例えば,暖房器では50℃前後の温度が必
要であるが,この近辺に融点を持つ実用的な潜熱蓄熱材
としては,従来,融点48.5℃のチオ硫酸ナトリウム
5水塩,融点58℃の酢酸ナトリウム3水塩等が知られ
ている(特開平1─26784号公報)。また,潜熱蓄
熱材の過冷却現象を利用して,必要な時に潜熱を利用す
ることも開示されている(特開昭61─93394号公
報)。
【0004】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の蓄
熱材は,過冷却が大きい。例えば,融点100℃の蓄熱
材を内蔵したマホー瓶に熱湯を入れて,保温する場合の
問題点を考える。この場合,熱湯の注入によりマホー瓶
がほぼ100℃近くまで加熱される。しかし,マホー瓶
に内蔵した蓄熱材の過冷却が大きいので,100℃付近
では,液体から固体への相転移がおこらず,そのままの
相状態を維持しながら温度降下をもたらす。そのため,
100℃付近の温度を保持することが困難となる。
【0005】また,従来の蓄熱材は,その融点によって
出力温度が決まってしまう。そのため,出力温度を変更
したい場合には,蓄熱材の種類を変える必要があり,出
力温度の任意な制御は困難である。
【0006】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,過冷
却が少なく,かつ出力温度の制御が容易な蓄熱材を提供
しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】請求項1に記載の発明は,多数の細
孔を有する多孔体と,該多孔体の細孔内に配置された蓄
熱物質とよりなることを特徴とする蓄熱材である。
【0008】上記蓄熱材においては,多孔体の細孔内に
蓄熱物質を配置しているため,蓄熱物質の過冷却を防止
することができる。その理由は明らかではないが,細孔
内に存在する不純物(異物)や吸着水が結晶核形成材と
して作用し,所定の温度で蓄熱物質が相転移を起こすた
めであると考えられる。また,多孔体の中心細孔直径を
変化させることにより,任意に出力温度を制御すること
ができる(図3参照)。即ち,多孔体の中心細孔直径が
小さいほど蓄熱物質の融点が降下する。
【0009】更に,請求項2に記載の発明のように,上
記多孔体の細孔は,細孔径分布曲線における最大ピーク
を示す中心細孔直径が1nm〜10nmの範囲内にある
ことが好ましい。上記中心細孔直径が1nm未満の場合
には,細孔内に配置した蓄熱物質が凍結せず,潜熱を取
り出すことが困難となるおそれがある。一方,上記中心
細孔直径が10nmを越える場合には,蓄熱材が過冷却
しやすくなるおそれがある。尚,上記のように中心細孔
直径が1nm〜10nmの範囲にある細孔を有する多孔
体はメソ多孔体と呼ばれるものであり,以下,この多孔
体をメソ多孔体という。
【0010】更に,請求項3に記載の発明のように,上
記多孔体の細孔の60〜100%が,細孔の細孔径分布
曲線における最大ピークを示す上記中心細孔直径の±4
0%の範囲内にあることが好ましい。これは,多孔体の
細孔径分布がシャープなほど細孔内に配置された蓄熱物
質の融点が明確に現れ,逆に細孔径分布がブロードであ
るほど融点の幅が広くなるという特性による。即ち,上
記請求項3に記載の発明により,一定温度での蓄熱が可
能になり,余分な顕熱が不要となる。
【0011】尚,多孔体の細孔の60〜100%が,上
記細孔直径の±40%の範囲を越える場合には,蓄熱物
質の融点が不揃いになり,融解熱を十分に利用すること
ができないおそれがある。即ち,特定温度において相変
化が均一におこらず,大容量の潜熱を得ることができな
いおそれがある。
【0012】上記多孔体は,熱安定性に優れ,細孔径が
均一なものが好ましい。多孔体としては,無機多孔体,
又は有機多孔体がある。この中,有機多孔体は,高温に
おいて燃焼するおそれがあるため,火災の危険防止の観
点より,無機多孔体を用いることが好ましい。
【0013】かかる観点より,多孔体としては,無機の
メソ多孔体を用いることが好ましい。その理由は,無機
のメソ多孔体は熱安定性に優れているからである。かか
る無機のメソ多孔体としては,例えば,シリカ,アルミ
ナ,チタニア,タングステン酸化物等の金属酸化物,或
いはシリカ─アルミナ,シリカ─チタニア,シリカ─マ
グネシア,シリカ─ジルコニア,シリカ─ランタニア,
シリカ─バリウム酸化物,シリカ─ストロンチウム酸化
物等の複合金属酸化物を用いることができる。また,無
機多孔体の中でも,請求項4に記載の発明のように,シ
リカよりなる多孔体が好ましい。その理由は,シリカよ
りなる多孔体は,骨格が安定しており,熱安定性が非常
に優れているからである。
【0014】多孔体に形成される細孔の中心細孔直径と
は,細孔径分布曲線において,最大のピークを示した細
孔直径をいう。ここで,上記細孔径分布曲線とは,細孔
容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/d
D)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線をいう
(図2参照)。
【0015】細孔径分布曲線は,例えば,以下に示す気
体吸着法により作成される。この方法において最もよく
用いられる気体は,窒素である。まず,多孔体に液体窒
素温度(─196℃)で窒素ガスを導入し,その吸着量
を定容量法或いは重量法で求める。導入する窒素ガスの
圧力を徐々に増加させ,各圧力に対する窒素ガスの吸着
量をプロットすることにより吸着等温線を作成する。こ
の吸着等温線から,Cranston−Inclay
法,Pollimore−Heal法等の計算法を用い
て,上記細孔径分布曲線を求める。
【0016】上記細孔の60%以上とは,多孔体の全表
面積に対する,中心細孔直径の±40%の範囲内にある
細孔の表面積の比率が60%以上であることをいう。こ
の比率の算出には,多孔体の比表面積の細孔直径に対す
る積分値を細孔直径に対してプロットした曲線を用い
る。この曲線は,窒素の吸着等温線からCransto
n−Inclay法等を用いて作成することができる。
【0017】また,細孔径分布曲線において,最大のピ
ークが2個以上ある場合には,そのうちの少なくとも1
つの最大ピークを示す細孔直径が1〜10nmの範囲に
存在すればよい。また,1〜10nmの範囲に最大ピー
クが2個以上ある場合には,それら最大ピークの中に,
細孔の60%以上が最大ピークの細孔直径の±40%の
範囲内の直径を有するという条件を満たす最大ピークが
少なくとも1個存在すればよい。
【0018】上記蓄熱物質は,多孔体の細孔の中に入る
ことが可能であればその種類を問わないが,以下の特徴
を有する物質が蓄熱物質として優れている。 1)単位重量当たり,単位体積当たりの蓄熱密度が大き
いこと。 2)安定な物質で,変質しないこと。 3)毒性,危険性及び引火性のおそれがなく,安全なこ
と。 4)熱伝導度が大きく,熱的応答性が良いこと。 5)安価なこと。 6)熱的損失がないこと。 7)物質的損失がないこと。 8)装置面や操作面での複雑さがないこと。
【0019】かかる優れた特徴を有する蓄熱物質として
は,例えば,図4に示すごとく,パラフィン,有機物,
無機物,共晶物等を用いることができる。尚,図4は,
多孔体の細孔内に配置することができる,各種潜熱型蓄
熱物質の融点と,そのエネルギー密度(潜熱量)(kJ
/dm3 )との関係を示す図である。
【0020】上記パラフィンとしては,例えば,パラフ
ィン5913,パラフィン6106,パラフィン583
8,パラフィン6035,パラフィン6403,パラフ
ィン6499,又はオクタデカン等を用いることができ
る。
【0021】上記有機物としては,例えばカプリル酸,
ポリグリコールE600,カプリン酸,ラウリン酸,ミ
リスチン酸,ポリグリコールE6000,ロキシオール
G32,パルミチン酸,ステアリン酸,ビフェニル,プ
ロピオンアミド,ナフタレン,又はアセトアミド等を用
いることができる。
【0022】上記無機物としては,例えば,水(H
2 O),LiClO3 ・3H2 O,NaOH・3.5
(2H2 O),KF・4H2 O,LiNO3 ・3H
2 O,CaCl2 ・6H2 O,Na2 SO4 ・10H2
O,Na2 CO3 ・10H2 O,Na2HPO4 ・12
2 O,Zn(NO3 2 ・6H2 O,CaBr2 ・6
2 O,KF・2H2 O,Na2 2 3 ・5H2 O,
Ni(NO3 2 ・6H2 O,NaCH3 COO・3H
2 O,NaOH・H2 O,Ba(OH)2 ・8H2 O,
Mg(NO3 2 ・6H2 O,又はMgCl2 ・6H2
O等を用いることができる。
【0023】上記共晶物としては,例えば,プロピオン
アミド(21.1重量%)+パルミチン酸(78.9重
量%),Mg(NO3 2 ・6H2 O(53mol.
%)+MgCl2 ・6H2 O(47mol.%),又は
LiNO3 (27mol.%)+NH4 NO3 (68m
ol.%)+NH4 Cl(5mol.%)等を用いるこ
とができる。
【0024】また,上記の蓄熱物質の中,イオン性結
晶,分子性結晶においては,融点が同じであり,且つ細
孔内に入ったことによる融点降下が同じ場合には,イオ
ン性結晶の方が分子性結晶よりも蓄熱物質として好まし
い。その理由は,イオン性結晶は,分子性結晶に比べて
一般に融解の潜熱が大きいためである(図4参照)。
【0025】次に,上記多孔体の細孔内に配置する蓄熱
物質の含有量は,蓄熱物質が凍結しても多孔体が破壊し
ないような空隙を設けることができる程度の量であるこ
とが好ましい。具体的に説明すると,細孔内に入る溶解
状態の蓄熱物質の量をC,蓄熱物質が凍結したときの蓄
熱物質の容積の増加割合をA%,細孔内の空隙容量をB
とするとき,C(1+A/100)≦B,即ちC/B≦
100/(100+A)の関係が成り立つときは,多孔
体に応力がかからない(多孔材料,近藤連一著)。例え
ば,蓄熱物質が水の場合は,水が凍結したときの水の容
積の増加割合Aが9%である。そのため,細孔内の水の
飽和係数(C/B)が0.91よりも小さいときには,
水の凍結による多孔体の破壊は起こらない。
【0026】Bの求め方は研究者によっていろいろ異な
っている。Bの求め方には,例えば次の方法がある。 (1) 煮沸方法(2〜5時間煮沸) (2) 加圧方法(50〜150気圧下に24時間放
置) (3) 真空方法(24時間真空に保つ)
【0027】この場合,W1 を普通浸入吸水量,W2
煮沸浸入吸水量,W3 を高圧浸入吸水量,W4 を真空中
浸入吸水量とすると,飽和係数は,W1 /W2 ,W1
3,W1 /W4 の3通りになる。多くの場合,W1
2 <W3 <W4 の順になる。飽和係数をどのようにし
て求めるかは研究者によって異なっているが,イギリス
とアメリカではSchurechtの飽和係数を広く採
用している。すなわち室温で試験体を水中に48時間放
置して求めた吸水量をW1 とし,48時間吸水させての
ち5時間煮沸して求めた吸水量をW2 とする。
【0028】上記蓄熱材は,給湯,暖房,冷房,保温,
保冷等に用いる潜熱型蓄熱材として用いることができ
る。上記蓄熱材は,例えば,粉末状,顆粒状,粒状,板
状等のいずれの形態で使用することができる。また,細
孔中の蓄熱物質の蒸気圧が高く,蓄熱物質が蒸発しやす
い場合には,密封して使用することが好ましい。これに
より,蓄熱物質の蒸発を防止し,蓄熱材を繰り返し使用
することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる蓄熱材について,図1を用
いて説明する。本例の蓄熱材は,多数の細孔を有する多
孔体と,該多孔体の細孔内に配置された蓄熱物質とより
なる。多孔体の細孔は,細孔径分布曲線における最大ピ
ークを示す中心細孔直径が2.7nmである。多孔体の
細孔の93%が,上記中心細孔直径の±40%の範囲内
にある。多孔体としては,無機のメソ多孔体(シリカ)
を用いる。蓄熱物質は,水である。
【0030】上記蓄熱材を製造するに当たっては,ま
ず,多孔体を製造する。その製造方法の一例を説明す
る。先ず,粉末ケイ酸ソーダ(SiO2 /Na2 O=
2.00,日本化学工業製)を700℃,空気中で6時
間焼成した。50gの焼成粉末ケイ酸ソーダを粒径1m
m以下に粉砕した後,500mlの水に分散させ,室温
で3時間攪拌した。その後,ブフナーロートを用い,固
形分を濾別し,層状ケイ酸塩の1種であるカネマイト
(NaHSi25 ・3H2 O)を合成した。
【0031】次に,このカネマイトを乾燥せずに,湿っ
た状態で,n=16のアルキル鎖長のアルキルトリメチ
ルアンモニウム〔Cn 2n+1+ (CH33 〕水溶液
に分散させた。このアルキルトリメチルアンモニウム水
溶液は,0.1モルのアルキルトリメチルアンモニウム
クロライドを1000mlの水に溶解させることにより
調製した。
【0032】次に,この分散液を2000ml容量のフ
ラスコに入れた。まず,70℃で3時間,攪拌モータで
攪拌しながらウォーターバス中で加熱した。その後,2
N塩酸水溶液を滴下して,そのpHをゆっくり8.5に
調整した。その後,更に,70℃で3時間攪拌しながら
加熱した。次に,分散液を室温まで冷却した後,固形生
成物を濾別した。1000mlのイオン交換水で合計5
回洗浄した後,乾燥した。これらの粉末を,550℃,
空気中で6時間焼成し,多孔体を得た。
【0033】次に,得られた上記多孔体を水の中に浸漬
し,3時間煮沸した。その後,多孔体を水中から取り出
し,多孔体表面に付着した余分な水を濾紙により拭き取
った。これにより,多孔体の細孔内に水が入り込み,上
記蓄熱材を得た。
【0034】次に,上記蓄熱材の作用効果について説明
する。蓄熱材に温度変化を与えると,蓄熱物質である水
が融解又は凝固によって相変化を起こす。この相変化の
際には,蓄熱材は温度変化を伴わずに,潜熱を吸収又は
放出する。本例の蓄熱材は,このような水の相変化に伴
う潜熱の変化を利用して,熱を蓄えることができる。
【0035】次に,本例の蓄熱材の凝固過程及び融解過
程における相変化をDSC(示差走査熱量計)を用いて
測定し,その結果を図1に示した。図1より知られるよ
うに,水の相変化は─48℃〜─41℃,─17℃〜─
5℃において起こる。前者の場合には多孔体の細孔内に
配置した細孔内水が相変化を起こしており,また,後者
の場合には多孔体の粒子の間に存在する粒子間水が相変
化を起こしているものと考えられる。
【0036】そして,上記のごとく,細孔内水の相変化
は,粒子間水の場合よりも狭い温度範囲内で起こること
から,細孔内水は,粒子間水よりも過冷却が小さいとい
える。これは,多孔体の細孔内に結晶核形成材(微細シ
リカ粒子)が存在する,細孔内の吸着水が氷晶の役割を
果たすためであると考えられる。このことから,本例の
蓄熱材は,─48〜─41℃において蓄熱機能を有効に
発揮することができることがわかる。
【0037】また,多孔体の細孔内の水は細孔壁の影響
を受け,通常の水の融点,凝固点(0℃)よりも,著し
く低い温度で融解,凝固を起こす。以上のごとく,本例
の蓄熱材は,過冷却が少なく,出力温度の制御を正確に
行うことができる。
【0038】実施形態例2 本例においては,多孔体の中心細孔直径と細孔内の蓄熱
物質の融点との関係を測定した。多孔体としては,細孔
特性の異なる5種類(FSM─20,23,24,2
8,28+MES)のものを用いた。これらの細孔特性
を図2及び表1に示した。これらの中,FSM─20,
23,24,28は,中心細孔直径が2.0nm,2.
3nm,2.3nm,2.8nmである。FSM−28
+MESは,中心細孔直径が4.7nnmであり,アル
キルトリメチルアンモニウムに加え,更にメシチレンを
添加することにより細孔直径を拡大した点が,FSM─
28とは異なる。尚,表1中の±40%細孔率とは,多
孔体の中心細孔直径の±40%の範囲内にある細孔の割
合をいう。
【0039】
【表1】
【0040】上記多孔体の製造方法について説明する。
まず,実施形態例1と同様にカネマイトを合成する。こ
のカネマイトを乾燥せずに湿った状態で,5種類のアル
キル鎖長の異なるアルキルトリメチルアンモニウム〔C
n 2n+1+ (CH3 3 〕水溶液にそれぞれ分散させ
た上記5種類のアルキルトリメチルアンモニウム水溶液
は,0.1モルのアルキルトリメチルアンモニウムクロ
ライド(n=14,16)或いはアルキルトリメチルア
ンモニウムブロマイド(n=10,12)を1000m
lの水に溶解させることにより調製した。
【0041】その後,実施形態例1と同様に加熱,冷
却,濾別,洗浄,焼成を行い,各種多孔体を得た。これ
らの多孔体を,アルキル鎖長(n=10,12,14,
16)の短い方から順に,FSM−20,23,24,
28とした。また,上記の多孔体(FSM−28+ME
S)は,界面活性剤としてヘキサデシルトリメチルアン
モニウムクロライドに加え,メシチレン(C6 3 (C
33 )を添加して合成を行なったものである。メシ
チレンの添加量は,ヘキサデシルトリメチルアンモニウ
ムクロライド0.1モルに対して,0.2モルである。
【0042】次に,上記多孔体の細孔内に蓄熱物質とし
ての水を入り込ませ,蓄熱材を得た。得られた蓄熱材を
試料20,23,24,28,28+MESとした。
【0043】次に,これらの試料の融点を測定した。そ
の結果を図3に示した。図3の中,実線は実験値を,点
線は理論値を示す。理論値とは,融点の理論式に従って
計算した計算値をいう。FSM−20の融点は,−15
0℃以下であった。図3より,多孔体の中心細孔直径が
小さくなるにつれて,融点が低くなることがわかる。こ
のことから,多孔体の中心細孔直径を変化させることに
より,蓄熱物質の相変化温度を任意に且つ容易に制御で
きることがわかる。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば,過冷却が少なく,かつ
出力温度の制御が容易な蓄熱材を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,多孔体の細孔内の水の
相変化の特性を示す特性図。
【図2】実施形態例2における,多孔体の細孔特性を示
す線図。
【図3】実施形態例2における,多孔体の細孔内の水の
融点を示す線図。
【図4】本発明における,各種潜熱型蓄熱物質の融点と
エネルギー密度(潜熱量)(kJ/cm3 )との関係を
示す説明図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福嶋 喜章 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 堀井 満正 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 小野田 誠次 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の細孔を有する多孔体と,該多孔体
    の細孔内に配置された蓄熱物質とよりなることを特徴と
    する蓄熱材。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記多孔体の細孔
    は,細孔径分布曲線における最大ピークを示す中心細孔
    直径が1nm〜10nmの範囲内にあることを特徴とす
    る蓄熱材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,上記多孔体の
    細孔の60〜100%が,細孔の細孔径分布曲線におけ
    る最大ピークを示す上記中心細孔直径の±40%の範囲
    内にあることを特徴とする蓄熱材。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項において,
    上記多孔体は,シリカよりなることを特徴とする蓄熱
    材。
JP7329847A 1995-11-24 1995-11-24 蓄熱材 Pending JPH09143461A (ja)

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