JP3757041B2 - 蒸気吸放出材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,水,各種有機物の蒸気を吸収及び放出する特性を持つ材料に関するもので,具体的には冷房及び暖房装置に利用する吸着ヒートポンプ用吸着材,湿度調節用吸着材(調湿材),蒸発溶媒の回収用の吸着材として利用可能な蒸気吸放出材料に関する。
【0002】
【従来技術】
従来,蒸気吸放出材料としては,ある種の金属塩や表面に多くの細孔を有する多孔体が知られている。
上記金属塩としては例えばLiBrやLiCl等が知られており,これら金属塩の水溶液は水蒸気に対する吸放出特性を示す(水蒸気の吸収及び放出が可能である)ことから,吸着ヒートポンプ用吸着材,湿度調整用吸着材として利用されている。
【0003】
また,上記多孔体としては例えばシリカゲル,活性炭,ゼオライト等が知られている。
シリカゲル及び活性炭は種々の蒸気に対する吸放出特性を示し,吸着ヒートポンプ用,湿度調整用,溶剤回収用の各種吸着材として利用(あるいは利用についての検討が)が行われている。ゼオライトについても同様である。
【0004】
ここに吸着ヒートポンプ,調湿材,溶剤回収用の吸着材には,相対蒸気圧の変化に対して,より多くの蒸気を吸放出できるという特性が求められる。
例えば,吸着ヒートポンプでは,吸着材の温度を変化させることにより相対蒸気圧を変化させ,蒸気の吸着と脱離とを行っている。一般に,吸着ヒートポンプには多量の吸着材が必要とされることから,自動車のエアコン等,特に設置面積の限られた場所に使用する小型吸着ヒートポンプには,蒸気の吸放出量の多い吸着材が必要とされる。
【0005】
勿論,蒸気の吸放出量が多ければ多い程,効率よく湿気を吸収可能であるし,溶剤の回収も効率よく行うことができるため,調湿材,溶剤回収用の吸着材としての使用についても好ましい。更に,蒸気の吸放出速度が速ければ湿気や溶剤の吸収をより効率よく行うことができる。
よって,このような蒸気吸放出材料の需要は大変高い。
【0006】
また,蒸気圧が低い状態で蒸気の吸放出が可能である材料を吸着ヒートポンプにおける吸着材として使用すれば,汲み上げ温度差を大きくすることができる。また,このような材料を調湿剤として使用すれば,低湿度での調湿を可能とすることができる。
よって,低蒸気圧における蒸気の吸放出可能な蒸気吸放出材料に対する需要も大きい。
【0007】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来にかかる各材料には以下に示すごとき問題がある。
まず,上記金属塩であるが,これらは吸放出可能な蒸気量が小さいこと,通常は水に溶解させ液体状態で使用するため取り扱いが難しいという問題がある。
また,上記シリカゲル及び活性炭は,保有する細孔直径の分布にある幅があり,一定量の蒸気を吸放出させるためには,蒸気圧を大きく変化させないといけないという問題がある。更に,金属塩,シリカゲル,活性炭は低蒸気圧での蒸気の吸放出が困難であるという問題もある。
【0008】
一方,ゼオライトは結晶であるため,細孔直径は原子レベルで均一に揃っており,細孔直径分布がシャープであるという長所がある。
しかし,ゼオライトの細孔直径は最大でも1.3nm程度であり,工業的に利用されているゼオライトの細孔直径は通常1nm以下となっている。
よって,多くの蒸気は極めて低い蒸気圧で吸放出が起こり,特に蒸気の脱離には真空引きや100℃以上の加熱操作が必要であるという問題があり,使い勝手上で不便であった。
また,ゼオライトの細孔容積はシリカゲルや活性炭と比較して小さいことから,吸放出可能な蒸気量がシリカゲルや活性炭よりも小さいという問題もある。
【0009】
まとめると,従来存在する蒸気吸放出材料では吸放出を起こす蒸気圧の範囲は限られており,特に低蒸気圧で吸放出を起こすことが困難であった。
また,特に多孔体よりなる蒸気吸放出材料においては,吸放出の蒸気圧を低くするために細孔直径を小さくすると細孔容積が減少して吸放出可能な蒸気量が減少するという問題があった。
【0010】
ところで,最近,ゼオライトよりも細孔直径が大きくかつ細孔直径分布がシャープであるメソ多孔体,メソポーラスモレキュラーシーブが合成された。なお,メソ多孔体とは各種の多孔体の中で特に細孔直径が中程度(1〜50nm)であるものの総称である。
特開平9−227249号に記載されたメソ多孔体は中心細孔直径が1〜10nmの範囲にあり,しかも細孔直径の分布がシャープであることから,蒸気圧の変化が小さくとも多量の蒸気を吸放出することができる。
【0011】
例えば,上記メソ多孔体は細孔直径に応じて湿度が20〜80%の水蒸気を吸放出する特性を示すことから,調湿材(特開平6−304437号)や吸着ヒートポンプ用吸着材(特開平9−178292号)としての用途が開示されている。また,有機蒸気の吸着特性についても優れることから,蒸発溶媒の回収用吸着材(特開平6−15165号)の用途も開示されている。
【0012】
しかしながら,吸着ヒートポンプは,該吸着ヒートポンプの構造,システム構成,用途等によって,最適な吸着材に要求される吸放出の蒸気圧,蒸気圧の変化の幅が異なる。上記メソ多孔体は細孔直径をある間隔でしか制御することができないため(自由に設定することはできない),あるヒートポンプに対して最適な性能を発揮する吸着材を得ることは困難であった。
よって,近年,蒸気を吸放出する際の蒸気圧を自由に制御可能な蒸気吸放出材料が求められている。
【0013】
本発明は,かかる問題点に鑑み,蒸気圧の変化量に対する吸放出可能な蒸気量が大きく,蒸気の吸放出が起こる蒸気圧の範囲が広く,蒸気の吸放出の速度が速く,更に蒸気の吸放出が起こる蒸気圧を精密に制御することができる,蒸気吸放出材料を提供しようとするものである。
【0014】
請求項1の発明は,細孔直径が1〜10nmの範囲内にある細孔を有し,該細孔の内部に液体の蒸気圧を低下させる降圧剤を添着したメソ多孔体よりなり,
該メソ多孔体は,1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有するX線回折パターンを示す多孔体であることを特徴とする蒸気吸放出材料にある。
【0015】
上記降圧剤とは,液体に溶解させた時にその液体の飽和蒸気圧を低下させる効果をもつ物質のことである。
例えば,水にNaClを溶解させると水の飽和水蒸気圧は低下する。
水の飽和水蒸気圧(25℃)は23.8mmHgであるが,NaCl飽和水溶液の飽和水蒸気圧(25℃)は18.1mmHgである。
【0016】
このような飽和水蒸気圧を低下させる効果を示す物質は他にも多く見られる(例えば,『化学便覧3版 基礎編 II−143』等)。本発明にかかる降圧剤としてこのような物質を使用することができる。
また,飽和水蒸気圧を低下させる物質を降圧剤として選択することにより,調湿剤,吸着ヒートポンプ吸着剤,蓄熱材等として利用可能な蒸気吸放出材料を得ることができる。
【0017】
また,水以外の液体の蒸気圧を低下させる物質を上記降圧剤として選択することもできる。例えば,有機溶媒の飽和蒸気圧を低下させる物質を使用することにより,該溶媒の回収用の吸着材として使用可能な蒸気吸放出材料を得ることができる。この他にも,ガス貯蔵剤という用途に利用可能な蒸気吸放出材料を得ることができる。
また,液体に溶解した状態でなくとも,固体の状態で飽和蒸気圧以下で蒸気が凝縮するような物質を降圧剤として使用することもできる。
【0018】
また,液体の蒸気圧を低下させる物質としては各種の塩の効果が著しく強いためこのような物質を利用することが好ましい。中でも,特に強い効果を持っていることから金属塩が好ましい。
このような金属塩としては,LiF,NaF,KF,CaF2 ,MgF2 ,Li2 SO4 ,Na2 SO4 ,K2 SO4 ,CaSO4 ,MgSO4 ,LiNO3 ,NaNO3 ,KNO3 ,Ca(NO3 2 ,Mg(NO3 2 ,NaCl,LiCl,LiBrより選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また,例えば糖類,ビタミン,アルコール等の液体に溶解する物質を降圧剤として使用することもできる。
【0019】
また,メソ多孔体に上記降圧剤を添着する方法は特に限定しないが,例えば,降圧剤を溶解させた液体にメソ多孔体を浸し,乾燥する方法がある。
また,降圧剤をメソ多孔体の細孔内にだけ添着し,細孔外への付着を避けたい場合には,メソ多孔体を浸した溶液を濾過してメソ多孔体のみを取出し,取出したメソ多孔体を洗浄した後に乾燥する方法がある。
また,上記乾燥を速くするためにはメソ多孔体に浸込む最小量の液体に降圧剤を溶解させ,その後メソ多孔体を乾燥する方法がある。
【0020】
また,メソ多孔体の細孔直径が1nm未満である場合には,吸着容量が小さいため,必要な性能を得るには多量の吸着剤を必要とするおそれがある。
一方,10nmより大である場合には,蒸気の吸着性に効果が見られないおそれがある。
なお,本発明にかかるメソ多孔体についての詳細は後述する。
【0021】
本発明の作用につき,以下に説明する。
本発明にかかる蒸気吸放出材料は,メソ多孔体の細孔内に降圧剤を添着して構成してある。メソ多孔体は毛管凝縮により飽和蒸気圧以下で蒸気を吸放出する特性を有し,吸収した蒸気はメソ多孔体の細孔内に捕らえ,保持される。また,降圧剤は上述したごとく液体の飽和蒸気圧を下げることができる性質を有する物質である。
【0022】
このため,蒸気吸放出材料が吸収しようとする蒸気は降圧剤にて飽和蒸気圧を下げられた後に,メソ多孔体の細孔に捕らえられる。また,その後細孔内より放出される。従って,本発明の蒸気吸放出材料はより低い蒸気圧の蒸気を吸放出することができる(実施形態例1,図1参照)。
また,降圧剤の種類により飽和蒸気圧の低下量が異なる。従って,降圧剤の種類を選択することにより,任意の蒸気圧で蒸気を吸放出できる蒸気吸放出材料を得ることができる(実施形態例2参照)。
【0023】
また,蒸気吸放出材料は基になったメソ多孔体の細孔直径分布をそのまま踏襲することができる(実施形態例1,図5参照)。従って,本発明にかかる蒸気吸放出材料はメソ多孔体の特質である蒸気圧の変化量に対して吸放出可能な蒸気量が高いという性能を有する。
また,降圧剤の添着により,多孔体への蒸気の親和性が増し,蒸気の吸放出の速度を速くすることができる(実施形態例1,図2参照)。
【0024】
以上のように,本発明によれば,蒸気圧の変化量に対する吸放出可能な蒸気量が大きく,蒸気の吸放出が起こる蒸気圧の範囲が広く,蒸気の吸放出の速度が速く,更に蒸気の吸放出が起こる蒸気圧を精密に制御することができる,蒸気吸放出材料を提供することができる。
【0025】
以下にメソ多孔体において記載する。
本発明にかかるメソ多孔体は細孔直径が1〜10nmである細孔(メソポア)を有する多孔体である。このような細孔(メソポア)を有する多孔体であればいかなるものでも用いることができる。なお,以下に特に好ましいメソ多孔体について記載する。
【0026】
本発明にかかるメソ多孔体としては,特に細孔直径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径(中心細孔直径)の−40〜+40%の直径範囲に全細孔容積の60%以上が含まれているメソ多孔体を用いることが好ましい。
このようなメソ多孔体は細孔直径の分布がシャープであり,細孔直径がより均一である。このため,より確実に本発明にかかる効果を得ることができる。
なお,60%未満である場合には,一定の蒸気圧変化量に対する蒸気吸放出量を大きく取れないおそれがある。
【0027】
なお,細孔直径分布曲線について以下に説明する。
細孔直径分布曲線とは,細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対しプロットした曲線のことである。細孔直径分布曲線は例えば以下に示す気体吸着法により作成することができる。なお,この方法において最もよく用いられる気体は窒素である。
【0028】
メソ多孔体に液体窒素温度(−196℃)で窒素ガスを導入し,その吸着量を定容量法あるいは重量法で求める。導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ,各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットすることにより吸着等温線を作成する。
この吸着等温線から,例えばCranston−Inklay法,Pollimore−Heal法の計算法を用いて,細孔直径分布曲線を求めることができる。
【0029】
『細孔直径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径の−40〜+40%に全細孔容積の60%以上が含まれる』というのは,次の様に説明できる。
例えば図26の細孔直径分布曲線における最大のピーク(FSM/16)が2.8nmであるとすると,細孔直径が1.62nm〜3.78nmの範囲にある細孔の容積の総計が,全細孔容積の60%以上を占めている。
具体的には,細孔直径分布曲線の細孔直径が1.62nm〜3.78nmの範囲の積分値が,曲線の全積分値の60%以上を占めている(図26のFSM/16はピークの面積がこの範囲にあることを示している)。
【0030】
また,本発明にかかるメソ多孔体としてはX線回折パターンにおいて,1nm以上の範囲のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを持つメソ多孔体を用いることが好ましい。
このようなメソ多孔体は細孔直径がより均一である。このため,小さい蒸気圧の変化で多量の蒸気の吸放出が可能となる。
【0031】
なお,X線回折パターンにおけるピークはそのピークの回折角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。従って,『1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを持つ』X線回折パターンは,細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列した構造を持っていると考えることができる。従って,かかるX線回折パターンを有するメソ多孔体は細孔直径に均一性があるとみなすことができる。
【0032】
本発明にかかるメソ多孔体の細孔の形状としては,1次元的にトンネル状に延びたもの,3次元的に箱状の細孔が結合したもの等を挙げることができる。
本発明にかかるメソ多孔体の形態(形状)としては,粉末状,顆粒状,バルク固体,ハニカムコート,あるいは基板にコートする等の方法で膜状にしたものを使用することができる。
なお,顆粒状のメソ多孔体は,圧粉する方法,液体と混合して乾燥させる方法等により作製することができ,特に限定しない。
なお,顆粒状,ハニカムコートした形態で用いる場合には,適当なバインダーを含有していてもよい。
【0033】
また,本発明にかかるメソ多孔体としては,例えば,シリカの骨格よりなる物質を挙げることができる。
また,その他に,アルミニウム(A1),チタニウム(Ti),マグネシウム(Mg),ジルコニウム(Zr),モリブデン(Mo),コバルト(Co),ニッケル(Ni),ガリウム(Ga),ベリリウム(Be),イットリウム(Y),ランタン(La),スズ(Sn),鉛(Pb),バナジウム(V),ホウ素(B)等を含んだシリカよりなる物質を使用することもできる。
【0034】
また,本発明において使用するのに好ましいメソ多孔体としては,例えば,層状シリケートに界面活性剤を作用させて合成したメソ多孔体を挙げることができる(T.Yanagisawa et al.,Bull. Chem. Soc., Jpn., 63,988−992(1990))。
【0035】
このメソ多孔体は,周期的に湾曲したシリケートシートが凸部で上下結合した構造を有しており,該シリケートシートの隙間には均一に揃った細孔が無数に存在する。
その細孔直径は1〜10nmの範囲内の特定の値を中心とする狭い範囲に分布している。このメソ多孔体のX線回折パターンは,2nm以上のd値を持つ位置に1本以上のピークが観察された。
また,上記メソ多孔体の中のあるものは六方構造を示す2〜4本の回折ピークが見られ,その電子顕微鏡写真には蜂の巣状に配列した細孔が観察された(S.Inagaki et al., J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,No.8,680−682(1993))。
【0036】
また,他のメソ多孔体としては,界面活性剤のミセル構造を鋳型として合成したメソポーラスモレキュラーシーブ(M41S)を挙げることができる(C.T. Kresge et al., Nature, 359, 710−712(1992))。
【0037】
上記M41Sの細孔直径は1〜10nmの範囲にあり,該細孔は規則的に配列した構造を有しており,該細孔直径は上記と同様狭い範囲に分布している。
M41Sの1つであるMCM−41は,先の層状シリケートから合成したメソ多孔体と同様に蜂の巣状の断面を呈した六方構造を有するが,上述した層状シリケートから合成したメソ多孔体とは細孔壁内の構造が異なる。M41SのX線回折パターンは1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークが観察される。
【0038】
これらのメソ多孔体においてはいずれも1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを観察することができる。これは細孔直径1〜10nmの細孔が1nm以上の間隔で規則的に配列した構造を反映したものである。
【0039】
なお,上記層状シリケートに界面活性剤を作用させて合成したメソ多孔体の合成方法について以下に説明する。
なお,以下にかかる合成方法において,層状シリケートのかわりに水ガラス,珪酸ソーダ,Siアルコキシド,シリカ等を用いて,本発明にかかるメソ多孔体を製造することができる。
【0040】
上記層状シリケートとしては,例えば,カネマイト(NaHSi2 5 ・3H2 O)を使用することが好ましい。また,他の層状シリケートとしては,ジケイ酸ナトリウム結晶(α,β,γ,δ−Na2 Si2 5 ),マカタイト(Na2 Si4 9 ・5H2 O),アイアライト(Na2 Si8 17・xH2 O),マガディアイト(Na2 Si1429・xH2 O),ケニヤイト(Na2 Si2041・xH2 O)等を使用することができる。
【0041】
また,その他の層状シリケートとしては,例えば,セピオライトのような粘土鉱物を酸の水溶液で処理して二酸化珪素以外の元素を除去した層状シリケートを使用することもできる。
この場合の粘土鉱物としては,セピオライトの他にモンモリロナイト,バーミキュライト,雲母,カオリナイト,スメクタイトが代表的であるが,これらに限定することなく用いることができる。
【0042】
次に,上記界面活性剤としては,アルキルトリメチルアンモニウム,ジメチルアルキルアンモニウム,アルキルアンモニウム,ベンジルアンモニウムの塩化物,臭化物,ヨウ化物あるいは水酸化物等を使用することができる。
【0043】
次に,上記層状シリケートと界面活性剤との反応であるが,例えば,界面活性剤が溶解した溶媒に対し,層状シリケートを分散させることが好ましい。
上記溶媒としては水が好ましいが,水・アルコール混合溶媒や,その他の溶媒も用いることもできる。なお,上記溶媒に対する界面活性剤の濃度は,0.05M〜1Mとすることが好ましい。
【0044】
層状シリケートの分散量は使用する層状シリケートの種類によって異なる。
例えば,カネマイトを用いた場合には,0.1Mの界面活性剤の水溶液(あるいは他の溶媒に対する溶液)1000ミリリットルに対し5〜200gを分散さえることが好ましい。
【0045】
また,層状シリケートを分散させた分散溶液は30〜150℃で加熱することが好ましく,また加熱時間は1〜24時間とすることが好ましい。また,加熱中に分散溶液は撹件するほうが好ましい。
【0046】
また,分散溶液のpHは初めの1〜5時間は10以上で,残りの時間は10以下とpH制御することが好ましい。
なお,カネマイト等,一部の層状シリケートはアルカリ性であるので特に処理を施さずとも分散溶液のpHは10以上となる。また,pHが10以上にならない場合には水酸化ナトリウム等のアルカリを添加してpHを10以上にする。上記pH制御により結晶性及び耐熱性の特に高いメソ多孔体を得ることかできる。
【0047】
その後,加熱の終了した分散液より固形生成物を濾過して回収する。得られた固形生成物を脱イオン水で繰り返し洗浄することにより,耐熱性の高いメソ多孔体を得ることができる。
洗浄の後,固形生成物を乾燥,更にその後,550℃以上の温度で焼成する,あるいは塩酸/エタノール混合溶液で処理することにより,取り込まれた界面活性剤が除去され,メソ多孔体が生成する。
なお,焼成するときは,空気,酸素,窒素等の雰囲気で1時間以上加熱するのが好ましい。なお,上述した塩酸/メタノール溶液であるが,酸/有機溶媒の組合せであれば,塩酸とメタノール以外の酸と有機溶媒との混合溶液を用いることもできる。
【0048】
また,以下に記載するごとく,上述の製造方法からSi以外の他の元素を含んだメソ多孔体を製造することもできる。
即ち,上記メソ多孔体にSi以外の元素を添加する方法としては,(1)原料である層状シリケート中に予めSi以外の元素を組込む方法(他の元素を含んだ層状シリケートを使用する方法)と,(2)メソ多孔体の合成中に添加する方法とがある。
【0049】
層状シリケート中に元素を組込む方法としては,水ガラス等の珪酸溶液にSi以外の元素の塩を溶解させ,乾燥後,焼成する方法がある。
溶解させた元素の多くは層状シリケートを構成するSiO4 骨格の中に組込まれているため,最終的に生成するメソ多孔体のSiO4 骨格の中にも上記元素は組込まれる。
このようなメソ多孔体より構成された蒸気吸放出材料は,より低圧の蒸気を吸放出し易くなる。
【0050】
また,メソ多孔体の合成中に添加する方法としては,例えば,層状シリケートと界面活性剤とよりなるメソ多孔体前駆体にSi以外の元素の塩の水溶液を含浸させた後,これを焼成する方法がある。
この方法では元素が比較的メソ多孔体の表面に付着するため,元素の特性を効果的に発現させることができる。
このようなメソ多孔体より構成された蒸気吸放出材料は,少量の元素の添加により水ガラス原料に元素を溶融させる方法と同じ効果を得ることができる。
【0051】
また,メソ多孔体の別の製法として,アルコキシシランを用いる方法がある。アルコキシシランとしては,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,テトラプロポキシシランあるいは,メチルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン等が用いられる。これらの1種類あるいは2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0052】
界面活性剤としては,アルキル基及び親水基を有する化合物を使用する。アルキル基としては,炭素原子数2〜18のものが好ましい。親水基としては,例えば,−N+ (CH3 3 ,−NH2 ,−SO3 - ,−PO4 - ,−COO- ,−OHを挙げることができる。界面活性剤としては,具体的には,Cn 2n+1N(CH3 3 X(式中,nは2〜18の整数であり,Xは塩化物イオン,臭化物イオン等のハロゲン化イオン,HSO4 または酢酸イオン等の有機アニオンである。)で表現されるアルキルトリメチルアンモニウム等を挙げることができる。
中でもアルキルトリメチルアンモニウムの使用が最も好ましい。
【0053】
この製造方法における原料の混合方法は特に限定しないが,最初にアルコキシシランに少量の水(1モルのSiに対して0.5〜10モルの水)を添加し,室温で数分〜3時間程度攪拌した後に界面活性剤を添加することが好ましい。
【0054】
この時にpH調整剤として少量の酸を添加すると,各成分が溶解し均一な溶液が調製できるため好ましい。溶液のpHは1〜4の範囲が好ましい。酸としては,希塩酸(例えば2規定)をよく用いるが,硝酸や硫酸等の他の酸でもよい。また,界面活性剤は粉末のままで添加してもよいが,少量の水に溶解させて添加することもできる。
これにより,無機/有機複合体が形成される。
なお,上記無機/有機複合体とはアルコキシシランと界面活性剤より形成された中間体である。後述する工程で該無機/有機複合体より有機物が除去されることにより,メソ多孔体が形成される。
【0055】
原料中のH2 O/Siモル比とは,この間に添加した水の総量に対するアルコキシシラン中のSiとのモル比を示すものである。原料中のH2 O/Siモル比が10以上の場合,例えば,アルコキシシランが加水分解・縮合して生成する金属酸化物の微粒子同士の隙間が大きくなり,結果として生成した金属酸化物の密度が低下する。
一方,その比が1未満の場合には,アルコキシシランの加水分解が起こらず,結果として金属酸物が得られないおそれがある。
【0056】
上記界面活性剤の添加量は,アルコキシシランが含有するSi1モルに対し,1〜10モルとすることが好ましい。10モルより多い場合には無機/有機複合体の形成に寄与しない余剰の界面活性剤が混在し,メソ多孔体の純度が低下するおそれがある。また,1モル未満である場合には,無機/有機複合体形成に寄与しない余剰のSiが混在し,またシリカ層が厚くなり,メソ多孔体の細孔容積が減少するおそれがある。
【0057】
上述の方法により調製された無機/有機複合体を含む溶液は,そのまま放置することにより全体が均一な状態に維持されつつ固化することができる。
この放置であるが,溶液を密閉容器,または開放容器に保持して放置することができる。または,基板の上に溶液をコートし,この状態で放置することもできる。
【0058】
密閉容器,開放容器にて放置した場合,溶液は塊状に固化する。これを乾燥・粉砕し,ふるいに掛けることにより,好みの粒径のメソ多孔体を得ることができる。
基板にコートして放置した場合,溶液は膜状に固化する。なお,基板に対するコート法であるが,スピンコート法,キャステイング法,ディップコート法等を利用することができる。
以上により固化した有機/無機複合体を得ることができる。
【0059】
次に,上記有機/無機複合体より有機物(界面活性剤)を除去して,メソ多孔体を得る。除去の方法は,焼成による方法とアルコール等で処理する方法とがある。
焼成による方法では,有機/無機複合体を300〜1000℃(好ましくは400〜700℃)に加熱する。加熱時間は30分以上とすればよい。但し,完全に有機物を除去するためには1時間以上加熱することが好ましい。この加熱の雰囲気は空気を流通させればよいが,多量の燃焼ガスが発生するため,加熱の初期は窒素等の不活性ガスを流通させてもよい。
【0060】
アルコール等で処理する方法では,界面活性剤の溶解度が大きい溶媒に少量の陽イオン成分を添加した溶液に,有機/無機複合体を分散・攪拌した後に固形成分を回収することにより行う。
上記溶媒としては,例えばエタノール,メタノール,アセトン等を用いることができる。添加する陽イオン成分を含む物質としては,塩酸,酢酸,塩化ナトリウム,塩化カリウム等がある。陽イオンの添加濃度は,0.1〜10モル/リットルが好ましい。
【0061】
また,上記溶媒としてエタノール溶液を用いた場合,これに対する有機/無機複合体の分散量は,エタノール溶液100ccに対して,有機/無機複合体を0.5〜50g分散させることが好ましい。また,上記分散液の攪拌は25℃〜100℃の温度範囲で行うことが好ましい。
なお,粉砕やふるい分け,あるいは成形は,界面活性剤を除去する前でも後でも行うことができる。
【0062】
以上に示した製造方法においても,用いる界面活性剤の種類により(界面活性剤のアルキル鎖を始めとする疎水性部分の長さ等),メソ多孔体の細孔直径を制御することができる。
従って,このような製造方法により得られたメソ多孔体を本発明にかかるメソ多孔体として使用することにより,細孔分布が均一となり,小さい蒸気圧の変化で多量の蒸気の吸放出が可能となる。
【0063】
また,本発明にかかるメソ多孔体としては,充填密度が0.5g/cc以上であるものを使用することが好ましい。
これにより,一定の空間に,より多くの多孔体の充填が可能となり高い性能の発現が期待できる。
【0064】
上記充填密度が0.5/cc未満である場合には,多孔体を充填した装置が大型化する,または一定容積の装置に充填可能な多孔体量が少ないため充分な性能を発現できないという問題がある。
なお,上記充填密度が0.5g/ccであるとは,1ccの容積の器に0.5gのメソ多孔体を充填できる,ということを意味している。
【0065】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかる蒸気吸放出材料とその性能につき,図1〜図6を用いて説明する。
本例の蒸気吸放出材料は,細孔直径が1〜10nmの範囲内にある細孔を有し,該細孔の内部には水の蒸気圧を低下させ,NaClよりなる降圧剤を添着した後述の実施形態例3に示したメソ多孔体(TMOS/12)よりなる。
【0066】
次に,本例の蒸気吸放出材料を作製するに当たり,降圧剤の添着方法について説明する。
まず,上記メソ多孔体(TMOS/12)に一様にしみこむ量の水に,上記降圧剤を溶解した。次いで,該水溶液をメソ多孔体(TMOS/12)に染み込ませ,次にこれを風乾した。最後にこれをメッシュによりふるい分け,粒度を揃えた。
【0067】
なお,以降の実施形態例及び各線図において,粒度0.1mm,0.5mm,0.8mm,l.6mmであるという記載は,それぞれの粒径の分布が0.1〜0.15mm,0.42〜0.5mm,0.71〜0.8mm,1.19〜1.68mmであることを表している。
【0068】
上記降圧剤の添着量であるが,後述する各線図に示すごとく,乾燥状態にあるメソ多孔体100gに対し,それぞれ0g〜32gの範囲で適宜添着を行い,各測定に当たっての試料とした。後述する各線図において『0.5%NaCl』とあるのは降圧剤としてNaClを用い,メソ多孔体100gに対して0.5gの降圧剤を添着した,ということを示している。また,『0%』という記載はメソ多孔体そのものについての測定結果で,比較のために各線図に掲載した。
【0069】
本例にかかる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着等温線を日本ベル製のBELSORP18を用いて以下に示す条件の下で測定した。
蒸気吸放出材料温度:25℃,
空気恒温槽温度:50℃,
基準容量:180.98ミリリットル,
平衡時間:500秒,
なお,測定に際して,蒸気吸放出材料に施す前処理として,温度25℃,圧力10-2〜10-3mmHgという条件で,3時間以上の真空排気を行った。
【0070】
また,本例にかかる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量の経時変化(水蒸気吸着速度)の測定は図6に示すごとき石英スプリング11を使用したマイクロバランス装置10を利用して以下に示すごとく行った。
上記マイクロバランス装置10は上記吸放出材料を収納するバスケット1が石英スプリング11に釣り下げられた構造になっている。水の入ったサンプル管130は恒温槽13により10℃に略一定に保たれており,10℃の水の飽和蒸気圧を発生している。水の蒸気圧は圧力センサ14により測定され,センサ制御装置17を経てレコーダ19に記録される。
【0071】
水蒸気圧はバッファータンク(2リットル)15を含む真空ラインの部分に一旦溜められ,その後真空コック10を開けることにより,水蒸気はマイクロバランスの吸着塔に導入され,石英スプリング11は伸び,その変化は差動トランス12[1501−9BAL]により電気信号に変換し,変位メータ18[6022−19]を経てレコーダ19において記録した。
【0072】
マイクロバランス吸着塔の石英スプリング11,作動トランス12及び蒸気吸放出材料の周りには循環恒温槽16から20℃の水が供給され,20℃の一定の温度に保たれている。
【0073】
なお,測定に際して蒸気吸放出材料1に施す前処理として,温度20℃,圧力10-2〜10-3mmHgという条件の真空排気を行った。
また,上記測定に際しては,蒸気吸放出材料1の温度が20℃に保持されていることから,また水蒸気の相対蒸気圧(P/P0 )は0.525となる。
【0074】
まず,本例にかかる蒸気吸放出材料について水蒸気吸着等温線を測定し,その結果につき図1に記載した。
なお,同図において,縦軸の水蒸気吸着量とは単位重量あたりのメソ多孔体(添着したNaClの重量は含めない)に吸着した水蒸気の重量を示す。横軸は水蒸気の相対蒸気圧(P/P0 )である。
なお,図中の白抜きのプロットは吸着側を黒塗りのプロットは脱離側を示す。また,添着量0%の場合については吸着側のみを示した(他の線図においても同様である)。
【0075】
同図より,NaClをまったく添着していないメソ多孔体(0%NaCl)に対し,添着したもの(本例にかかる蒸気吸放出材料,0.5〜32%NaCl)については,吸着等温線が全体的に低蒸気圧側にシフトしたことが分かった。また,NaClの添着量が多いほどシフト量が大きくなる傾向のあることが分かった。
つまり,メソ多孔体に降圧剤であるNaClを添着することにより,より低圧の水蒸気が吸着し易くなり,また降圧剤の添着量を制御することにより,蒸気の吸放出の生じる蒸気圧を制御できることが分かった。
【0076】
また,吸着が飽和に達する吸着量(P/P0 =0.4〜0.7)は,NaClの添着により殆ど変化しておらず,吸着容量を減らすことなく,低圧水蒸気の吸着性が向上したことが分かった。なお,P/P0 =0.8以上で吸着等温線が垂直に立ちあがっているのは,細孔外にあるNaClに水蒸気が凝縮したために起こったものである。
【0077】
次に,本例にかかる蒸気吸放出材料について水蒸気吸着量の経時変化(水蒸気吸着速度)を測定し,その結果につき,図2に記載した。この測定に使用した蒸気吸放出材料は粒度が0.8mmである。
なお,同図において,縦軸の蒸気吸着量とは単位重量あたりのメソ多孔体(添着したNaClの重量は含めない)に対する吸着した水蒸気の重量を示す。
【0078】
同図によれば,NaClが添着していないメソ多孔体に対し,本例にかかる蒸気吸放出材料は吸着速度が速く,吸着量が速く飽和に達した。また,降圧剤の添着量が多いほど,吸着量がより速く飽和に達する傾向のあることが分かった。
つまり,メソ多孔体に降圧剤であるNaClを添着することにより,水蒸気の吸着速度を速めることができたことが分かった。
【0079】
なお,5%のNaClをメソ多孔体に添着して作製した蒸気吸放出材料の吸着量の経時変化を,使用するメソ多孔体の粒度を変化させて測定した。この結果を図3に記載した。
同図によれば,メソ多孔体の粒度が小さいほど水蒸気の吸着速度が速くなることが分かった。
【0080】
また,本例において使用した蒸気吸放出材料の細孔直径分布曲線を,液体窒素温度における窒素吸着等温線からCranston−Inklay法を利用して求めた。上記測定結果を図4及び図5にそれぞれ記載した。
なお,図5において縦軸は単位重量あたりのメソ多孔体(添着したNaClの重量は含めない)の細孔容積の微分値である。
【0081】
同図によれば,メソ多孔体,本例にかかる蒸気吸放出材料の中心細孔直径は共に1.7nmであることが分かった。また,メソ多孔体,本例にかかる蒸気吸放出材料の細孔直径及び細孔容積は殆ど変わらないことが分かった。
即ち,メソ多孔体に降圧剤を添着することによる細孔直径及び細孔容積の変化は殆どないことが分かった。
つまり,本例にかかる蒸気吸放出材料はメソ多孔体の特質である蒸気圧の変化量に対して吸放出可能な蒸気量が高いという性能を有することが分かった。
【0082】
従って,本例によれば,蒸気圧の変化量に対する吸放出可能な蒸気量が大きく,蒸気の吸放出が起こる蒸気圧の範囲が広く,蒸気の吸放出の速度が速く,更に蒸気の吸放出が起こる蒸気圧を精密に制御することができる,蒸気吸放出材料を提供することができる。
【0083】
実施形態例2
本例は,図7〜図16に示すごとく,各種の降圧剤をメソ多孔体に添着して作製した蒸気吸放出材料にかかる特性について示すものである。
図7〜図14に,メソ多孔体TMOS/12(後述の実施形態例3参照)に対し種々の降圧剤を添着して作製した蒸気吸放出材料の水蒸気吸着等温線を記載した。
【0084】
また,図15,図16にはメソ多孔体TMOS/16(後述の実施形態例3参照)に対し種々の降圧剤を添着して作製した蒸気吸放出材料の水蒸気吸着等温線を記載した。また,これらの水蒸気吸着等温線の測定は,実施形態例1と同様に行った。なお,図中の白抜きのプロットは吸着側を,黒塗りのプロットは脱離側を示す。添着量0%については吸着側のみを示した。
【0085】
これらの線図より,降圧剤を添着していないメソ多孔体(0%)に対し,本例にかかる各蒸気吸放出材料は,いずれも水蒸気吸着等温線が全体的に低蒸気圧側にシフトしたことが分かった。また,そのシフト量は降圧剤の種類と添着量により変化することが分かった。
以上により,本例にかかる蒸気吸放出材料はより低圧の水蒸気を吸着し易く,その蒸気圧は降圧剤の種類と添着量により制御できることが分かった。
【0086】
また,図17には粒度0.1mm(0.1〜0.15mm)である蒸気吸放出材料(メソ多孔体;TMOS/12,降圧剤をそれぞれ20%添着)の水蒸気吸着量の経時変化を測定し,その結果を記載した。
【0087】
同図より,降圧剤を添着していないメソ多孔体(TMOS/12と付された線)に対し,本例にかかる各蒸気吸放出材料は吸着量が速く飽和に達し,水蒸気の吸着速度が速くなったことが分かった。
図18には,20%Ca(NO3 2 を添着したメソ多孔体(TMOS/12)よりなる蒸気吸放出材料の吸着量の経時変化をメソ多孔体の粒度を変化させて測定し,その結果を記載した。これにより,メソ多孔体の粒径が小さい程,水蒸気の吸着速度が速くなることが分かった。
【0088】
なお,実施形態例1及び実施形態例2においては,いずれも水蒸気を吸放出可能な蒸気吸放出材料について記載したが,例えば,糖類,ビタミン,アルコールという降圧剤を利用することにより,有機物の蒸気を吸放出可能な蒸気吸放出材料を得ることができる。
そして,このような蒸気吸放出材料についても実施形態例1と同様の効果を得ることができる。
【0089】
実施形態例3
本例は,本発明にかかる蒸気吸放出材料を構成する各種のメソ多孔体の製造方法について説明するものである。
【0090】
(1)[メソ多孔体(TMOS/12)の製造方法]
まず,1216gのテトラメチルオルトシリケート(TMOS)に,288gの水(イオン交換水)と,2gの2規定塩酸水溶液を添加し,その後室温で1時間攪拌した。
その後,616gのドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド(C1225N(CH3 3 Br)を溶解させた後に容器を密閉し25℃の恒温槽に17時間静置した。
【0091】
その後,容器内の混合液を攪拌しながら,60℃で加熱したところ,約6時間後に混合液はゲル化した。ゲルを密開状態で30℃の恒温槽にいれ,48時間静置した。その後,ゲルを容器から取りだし,バットに広げ,室温で24時間風乾した。
【0092】
続いて,ゲルを45℃の乾燥器で更に24時間乾燥し,乾燥ゲルとした。
脱脂処理として,該乾燥ゲルを窒素ガス気流下で室温から200℃まで1時間で昇温し,200℃から450℃まで6時間で昇温し,450℃で3時間保持した。
その後,脱脂された乾燥ゲルを空気中,550℃で6時間焼成した。
以上により,メソ多孔体TMOS/12を得た。
なお,上記メソ多孔体TMOS/12の充填密度は0.65g/cc(粒径:0.1〜0.15mm)であった。
【0093】
(2)[メソ多孔体(TMOS/16)の製造方法]
まず,1216gのテトラメチルオルトシリケート(TMOS)に,288gの水(イオン交換水)と,8.1ccの0.1規定塩酸水溶液を添加し,室温で2時間撹拝した。
その後,1054gのへキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド[C16 33N(CH3 3 Clのメタノール溶液(界面活性剤濃度60.7%)を添加し,その後室温で4時間撹拝した。
【0094】
その後,92ccの0.05規定NaOHのメタノール溶液を少しづつ滴下したところ,溶液は徐々にゲル化した。次いで,ゲルを密閉状態で室温で3日間静置した。その後,ゲルとメタノールを分離して,ゲルをバットに広げ,室温で24時間風乾した。
【0095】
続いて,得られた乾燥ゲルを脱脂炉を用いて,440℃で10時間加熱した後,550℃で4時間空気中で焼成した。
以上により,メソ多孔体をTMOS/16を得た。
なお,上記メソ多孔体TMOS/16の充填密度は0.55g/cc(粒径:0.1〜0.15mm)であった。
【0096】
(3)[メソ多孔体(FSM/8,FSM/10,FSM/12,FSM/14,FSM/16)の製造方法]
日本化学工業(株)製の粉末ケイ酸ソーダ(SiO2 /Na2 O=2.00)を700℃で6時間,空気中で焼成し,ジケイ酸ソーダ(δ−Na2 Si2 5 )に結晶化させた。
この結晶50gを500ccの水に分散させ,3時間攪拌した。
その後,濾過により固形分を回収してカネマイト結晶を得た。
【0097】
このカネマイトを乾燥せず,乾燥重量で50gのカネマイトを0.1Mのヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド[C1633N(CH3 3 Cl]水溶液1000ミリリットルに分散させ,70℃で3時間攪拌しながら加熱した。加熱初期の分散液のpHは12.3であった。
【0098】
その後70℃で加熱・攪拌しながら2規定の塩酸を添加して分散液のpHを8.5に下げた。それから更に70℃で3時間加熱してから室温まで放冷した。固形生成物を一旦濾過し,1000ミリリットルのイオン交換水に分散させ攪拌した。この濾過・分散攪拌を5回繰り返してから60℃で24時間乾燥した。 得られた試料を窒素ガス中450℃で3時間加熱した後,空気中550℃で6時間焼成することによりメソ多孔体を得た。
【0099】
なお,上記製造方法と同様の操作で,ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドの代わりにアルキル[Cn 2n+1]鎖長の長さ(n)が異なる4種類のアルキルトリメチルアンモニウム[ Cn 2n+1N(CH3 3 ] クロライド(n=14)あるいはブロマイド(n=8,10,12)を用いて,計5種類のメソ多孔体を製造した。
【0100】
それぞれ用いたアルキルトリメチルアンモニウムのアルキル鎖長の長さの数字(n)を付け,FSM/8,FSM/10,FSM/12,FSM/14,FSM/16と記号を付けた。これらの各多孔体の充填密度は0.35g/cc(粒径:0.1〜0.15mm)であった。
【0101】
(4)[メソ多孔体(FSM/M05,FSM/M10,HFM/M20)の製造方法]
上述した(1)の製造方法において,0.1モルのへキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドに加え,メシチレン[C6 3 (CH3 3 ]を添加して,他は同じ条件でメソ多孔体の製造を行った。メシチレンの添加量は0.05,0.1,0.2モルの3条件で製造を行った。それぞれ得られた多孔体に対し,FSM/M05,FSM/M10,HFM/M20と記号を付けた。
これら各多孔体の充填密度は0.3g/cc(粒径:0.1〜0.15mm)であった。
【0102】
(5)メソ多孔体(FSM/16PとFSM/16D)]
無定型のケイ酸ソーダ(日本化学工業:粉末ケイ酸ソーダ,SiO2 /Na2 0 =2.00)50g,あるいは粉末ケイ酸ソーダを700℃で6時間空気中で焼成して得たδ−Na2 Si2 O550gを,0.1Mのへキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液100ミリリットルに分散させ,70℃で3時間撹拝しながら加熱した。
その後,2規定の塩酸水溶液を滴下することにより分散液のpHを8.5に調整した。それから更に70℃で3時間加熱してから,室温まで冷却した。
【0103】
その後,固形生成物を濃過し,1000ミリリットルのイオン交換水に分散させてから約5分間攪拌して再び濾過を行った。この分散と濃過の操作を5回繰り返した。生成物を乾燥した後,550℃で焼成して,2種類のメソ多孔体を得た。それぞれ,FSM/16PとFSM/16Dと記号を付けた。
これら各多孔体の充填密度は,0.35g/cc(粒径:0.l〜0.15mm)であった。
【0104】
実施形態例4
本例は,図19〜図21に示すごとく,実施形態例3において作製した各メソ多孔体のX線回折パターンを測定し,その結果について述べたものである。
本例においては,理学RAD−B装置を用い,CuKαをX線源として2度(2θ)/分でスキャンした。スリット幅は,1度−0.3mm−1度である。その結果を図19〜21に記載した。
【0105】
TMOS/12(図19)はd値が2.6nmの回折角度に1本のピークを示した。FSM/8〜16,FSM/M05〜20(図20),FSM/16P,16D(図21)についても,回折角度(2θ)が10度以下に数本のピークが観察された。ピークの回折角度をd値に変換した値を表1に示した。
【0106】
FSM/12,FSM/14,FSM/16,FSM/M05,FSM/16P,FSM/16Cについては,d=1nm以上のd値を持つピークが3〜4本観察された。これらのピークは六方構造に指数付けすることができる。
【0107】
一方,TMOS/12,FSM/8,FSM/10,FSM/M10については,d=1m以上のd値を持つピークが1〜2本観察された。また,FSM/M20については,1nm以上のd値を持つ明瞭なピークが見られなかった。
これらのX線回折パターンの結果から,FSM/M20を除くこれらメソ多孔体は規則的な周期構造を持っていることが分かった。
【0108】
【表1】
Figure 0003757041
【0109】
実施形態例5
本例は,図22〜図29に示すごとく,実施形態例3において作製した各メソ多孔体の細孔直径分布曲線について測定し,その結果について述べたものである。なお,メソ多孔体の細孔直径分布曲線は窒素吸着等温線から求めた。
【0110】
蒸気窒素吸着等温線は以下に記載したごとく測定した。
まず使用した装置であるが,ガラス製の真空ラインに圧力センサ[MKS,Baratron 127AA,レンジ1000mmHg]及びコントロールバルブ[MKS,248A]2個が接続されたものを用いた。なお,この装置は窒素ガスの真空ラインへの導入及びサンプル管への導入が自動で行えるように構成されている。
【0111】
測定しようとするメソ多孔体を約40mg,ガラス製のサンプル管に入れて,真空ライン部に接続した。そして,上記メソ多孔体を室温で約2時間真空脱気した。この時の到達真空度は10-4mmHgであった。
【0112】
次に,上記サンプル管に液体窒素を浸漬し,真空ライン部に所定の圧力の窒素ガスを導入する。サンプル管中の圧力が安定した後,該サンプル管のコントロールバルブを開き,圧力が一定になった後,平衡圧を記録する。平衡圧が0〜760mmHgの範囲で16〜18点同じ操作を繰り返した。
平衡までの時間は圧力により変化するが20分から60分の範囲であった。
この平衡圧と圧力変化から求めた吸着量をプロットすることにより,各メソ多孔体の窒素吸着等温線を得た。結果を図22〜図24に記載した。
【0113】
この窒素吸着等温線からCranston−Inklay法により細孔直径分布曲線を求めた。結果を図25〜図27に記載した。
細孔直径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径(中心細孔直径),全細孔容積及び中心細孔直径の−40〜+40%の細孔直径範囲に含まれる細孔容積の全細孔容積に対する割合を表2に示した。
【0114】
これらのメソ多孔体は中心細孔直径が1〜10nmの範囲にあり,かつ細孔直径分布曲線における最大のピークを示す細孔直径の−40〜+40%の細孔直径範囲に全細孔容積の60%以上が含まれる。
【0115】
一方,比較試料として,シリカゲル(市販A型),ゼオライト(ZSM−5)の窒素吸着等温線と細孔直径分布曲線とを同様に測定し,結果を図28,図29に記載した。中心細孔直径,全細孔容積,中心細孔直径の−40〜+40%の細孔直径範囲に含まれる細孔容積の全細孔容積に対する割合(同表において,−40〜+40%細孔率と記載した列)を表2に示した。
【0116】
シリカゲルは中心細孔直径が1.4〜10nmの範囲にあるが,−40〜+40%細孔率が60%未満であり,細孔直径分布がブロードであることが分かった。また,ゼオライトは,−40〜+40%細孔率が60%以上であるが,中心細孔直径が0.5nmであり,小さ過ぎることが分かった。
【0117】
以上により,本発明にかかるメソ多孔体の中心細孔径が1〜10nmの範囲内にあり,かつ狭い細孔径範囲に分布していることが分かった。
【0118】
【表2】
Figure 0003757041
【0119】
【発明の効果】
上記のごとく,本発明によれば,蒸気圧の変化量に対する吸放出可能な蒸気量が大きく,蒸気の吸放出が起こる蒸気圧の範囲が広く,蒸気の吸放出の速度が速く,更に蒸気の吸放出が起こる蒸気圧を精密に制御することができる,蒸気吸放出材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,メソ多孔体・TMOS/12と降圧剤・NaClよりなる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を示す線図。
【図2】実施形態例1における,降圧剤の添着量の異なる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量の時間経過を示す線図。
【図3】実施形態例1における,メソ多孔体の粒度の異なる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量の時間経過を示す線図。
【図4】実施形態例1における,蒸気吸放出材料の窒素吸着等温線を示す線図。
【図5】実施形態例1における,蒸気吸放出材料の細孔分布曲線を示す線図。
【図6】実施形態例1における,窒素吸着等温線を測定するためのマイクロバランス装置を示す説明図。
【図7】実施形態例2における,メソ多孔体・TMOS/12と降圧剤・Li2 SO4 よりなる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を示す線図。
【図8】実施形態例2における,メソ多孔体・TMOS/12と降圧剤・Na2 SO4 よりなる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を示す線図。
【図9】実施形態例2における,メソ多孔体・TMOS/12と降圧剤・LiNO3 よりなる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を示す線図。
【図10】実施形態例2における,メソ多孔体・TMOS/12と降圧剤・Ca(NO3 2 よりなる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を示す線図。
【図11】実施形態例2における,メソ多孔体・TMOS/12と降圧剤・MgSO4 よりなる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を示す線図。
【図12】実施形態例2における,メソ多孔体・TMOS/12と降圧剤・NH4 Clよりなる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を示す線図。
【図13】実施形態例2における,メソ多孔体・TMOS/12と降圧剤・CaI2 よりなる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を示す線図。
【図14】実施形態例2における,メソ多孔体・TMOS/12と降圧剤・LiIよりなる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を示す線図。
【図15】実施形態例2における,メソ多孔体・TMOS/16と降圧剤・Ca(NO3 2 よりなる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を示す線図。
【図16】実施形態例2における,メソ多孔体・TMOS/16と降圧剤・LiIよりなる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量と降圧剤の添着量と相対蒸気圧との関係を示す線図。
【図17】実施形態例2における,降圧剤の種類の異なる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量の時間経過を示す線図。
【図18】実施形態例2における,メソ多孔体の粒度の異なる蒸気吸放出材料の水蒸気吸着量の時間経過を示す線図。
【図19】実施形態例4における,メソ多孔体・TMOS/12のX線回折パターンを示す線図。
【図20】実施形態例4における,各種メソ多孔体のX線回折パターンを示す線図。
【図21】実施形態例4における,各種メソ多孔体のX線回折パターンを示す線図。
【図22】実施形態例5における,メソ多孔体・TMOS/12の窒素吸着等温線を示す線図。
【図23】実施形態例5における,各種メソ多孔体の窒素吸着等温線を示す線図。
【図24】実施形態例5における,各種メソ多孔体の窒素吸着等温線を示す線図。
【図25】実施形態例5における,メソ多孔体・TMOS/12の細孔分布曲線を示す線図。
【図26】実施形態例5における,各種メソ多孔体の細孔分布曲線を示す線図。
【図27】実施形態例5における,各種メソ多孔体の細孔分布曲線を示す線図。
【図28】実施形態例5における,シリカゲル及びゼオライトの窒素吸着等温線を示す線図。
【図29】実施形態例5における,シリカゲル及びゼオライトの細孔分布曲線を示す線図。

Claims (5)

  1. 細孔直径が1〜10nmの範囲内にある細孔を有し,該細孔の内部に液体の蒸気圧を低下させる降圧剤を添着したメソ多孔体よりなり,
    該メソ多孔体は,1nm以上のd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有するX線回折パターンを示す多孔体であることを特徴とする蒸気吸放出材料。
  2. 請求項1において,上記メソ多孔体は,中心細孔直径が1〜10nmであり,かつ全細孔容積に占める中心細孔直径の±40%の範囲内の直径を有する細孔の全容積の割合が60%以上であることを特徴とする蒸気吸放出材料。
  3. 請求項1又は2において,上記メソ多孔体は,水蒸気吸着等温線において,相対蒸気圧が0.2変化したときの吸着量変化の最大が0.1g/g以上の部分を有することを特徴とする蒸気吸放出材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において,上記降圧剤は,金属塩であることを特徴とする蒸気放出材料。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項において,上記降圧剤は,糖類,ビタミン,アルコールであることを特徴とする蒸気放出材料。
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