JP2000176277A - メソ多孔体からなる炭化水素ガス吸着剤 - Google Patents

メソ多孔体からなる炭化水素ガス吸着剤

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JP2000176277A JP10359752A JP35975298A JP2000176277A JP 2000176277 A JP2000176277 A JP 2000176277A JP 10359752 A JP10359752 A JP 10359752A JP 35975298 A JP35975298 A JP 35975298A JP 2000176277 A JP2000176277 A JP 2000176277A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車のような限られた貯蔵スペースにも多
量にメタン等の炭化水素ガスを貯蔵し得る実用的な炭化
水素ガス吸着剤を提供すること。 【解決手段】 上記課題を解決する本発明の炭化水素ガ
ス吸着剤は、無機系または無機/有機ハイブリッド系の
メソ多孔体であって細孔壁面に有機基および/または官
能基を含む多孔体から実質的に構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタンその他の炭
化水素ガスを可逆的に吸着し、貯蔵し得る炭化水素ガス
吸着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】地球温暖化が環境問題としてクローズア
ップされるなか、自動車の代替燃料としてメタンガス等
の炭化水素ガスが期待されている。例えば、自動車用燃
料としてメタンガスを用いた場合、通常のガソリンを燃
料とした場合に比べて排気ガス中の窒素酸化物、反応性
炭化水素、一酸化炭素等が著しく低減されるとともに、
二酸化炭素排出量も削減することができる。また、メタ
ンガスは天然ガスの主成分であるため、その埋蔵量が豊
富でありさらにオクタン価も高い。
【0003】ところで、産業用燃料として使用し得る炭
化水素ガスやそれを主成分とする天然ガスを貯蔵する手
段としては、従来、圧縮ボンベによる圧縮貯蔵、融点以
下の超低温にする液化貯蔵または繊維状活性炭、ゼオラ
イト等のガス吸収剤を利用した吸着貯蔵があり、用途に
応じてこれら貯蔵手段が使い分けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、自動車
のような貯蔵スペースに限りがある対象物に効率よく多
量に炭化水素ガスを貯蔵する手段がこれまで開発されて
いない。例えば、上記圧縮貯蔵による場合、重たいガス
ボンベを積載するわりに貯蔵量が少なく、ガスボンベ積
載許容量にも限度があるため、燃料補給無しに長距離走
行することが困難であった。また、上記液化貯蔵による
場合、超低温(メタンの場合で−162℃以下)を維持
する装置が必要となるため、実用的でない。また、繊維
状活性炭やゼオライト等のガス吸収剤による従来の吸着
貯蔵による場合、当該ガス吸収剤自体が著しく嵩高であ
ることと容積あたりのガス吸収量が少ないことから、自
動車の限られたスペースに長距離走行に十分な量の炭化
水素ガス(即ち十分量の炭化水素ガスを吸収したガス吸
収剤)を貯蔵することは困難であった。
【0005】本発明は、かかる従来の炭化水素ガス貯蔵
に関する問題点を解決するものであり、その目的とする
ところは、自動車のような限られた貯蔵スペースにも多
量に炭化水素ガスを貯蔵し得る実用的な吸着手段を提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ある種の
メソ多孔体がメタンガスのような常温で気体の低級炭化
水素ガスを常温常圧下においてもよく吸着することを見
出し、本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題
を解決するため、本発明は、無機系または無機/有機ハ
イブリッド系のメソ多孔体であって細孔壁面に有機基お
よび/または官能基を含む多孔体から実質的に構成され
る、炭素数1〜4の炭化水素ガス(これらに該当するガ
スを本明細書において「低級炭化水素ガス」と総称す
る。)を吸着させるための炭化水素ガス吸着剤を提供す
る。本明細書において「メソ多孔体」とは、中心細孔直
径(細孔直径分布曲線における最大ピークを示す細孔直
径をいう。詳細は後述する。)が0.5nm〜50nm
である開放細孔(以下「メソ細孔」という。)を有する
無機系または無機/有機ハイブリッド(混成)系の多孔
質固体材料をいう。ここで無機系とは、多孔体を構成す
る基本骨格(主鎖)中に炭素を含まないものをいい、無
機/有機ハイブリッド系とは、多孔体を構成する基本骨
格(主鎖)中に1又は2以上の炭素原子を含む有機基が
部分的に含まれているものをいう。
【0007】本発明の炭化水素ガス吸着剤によれば、上
記細孔を形成する孔壁部に有機基および/または官能基
を有する結果、常温で常圧またはそれ以下の圧力条件
下、メタンガス等の低級炭化水素ガス即ち常温常圧で気
体状態を保つ炭化水素を効率よく可逆的に吸着すること
ができる。さらに、本発明の炭化水素ガス吸着剤は多孔
質固体材料から実質的に構成されるため、容積比(cc/g)
が比較的小さく、繊維状活性炭のように嵩張ることがな
い。このため、本発明の炭化水素ガス吸着剤によれば、
自動車のような限られた貯蔵スペースに多量のメタンガ
ス等の上記炭化水素ガスをメソ多孔体に吸着した形態で
貯蔵することができる。
【0008】本発明の炭化水素ガス吸着剤として好まし
いものは、上記有機基および/または官能基がチオール
基を含んでいる。これにより、メタンガス等の低級炭化
水素ガスの細孔内への吸着率を向上させることができ
る。このため、より実用的なガス吸収剤を提供すること
ができる。また、上記多孔体自体が金属原子を有してい
るもの或いは該多孔体の細孔内に金属原子を保持してい
るものが本発明のガス吸着剤として好ましい。これによ
り、メタンガス等の上記炭化水素ガスの細孔内への吸着
率をより向上させることができる。このため、特に実用
的なガス吸収剤を提供することができる。かかる金属原
子として銅および/またはニッケルを有しているもの
が、特にメタンガスその他の低級炭化水素ガスの吸着率
を向上させ得る。
【0009】また、本発明の炭化水素ガス吸着剤として
好ましいものは、上記多孔体がシリケート骨格を有する
シリカ系メソ多孔体であって水中で50℃〜200℃の
加熱処理を施して調製された多孔体である。このような
水熱処理を行うことによって、該多孔体の構造規則性
(細孔分布の均一性)が安定化される。このため、重量
および容積あたりのガス吸着効率が向上し、より実用に
適したメタンガスその他の低級炭化水素ガス吸収剤が提
供される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は典型的には以下のように
実施され得る。
【0011】先ず、本発明の炭化水素ガス吸着剤を実質
的に構成するメソ多孔体について説明する。本発明に適
用し得るメソ多孔体は、メタンまたはその他の低級炭化
水素ガスを吸着し得る中心細孔直径が0.5nm〜50
nmである細孔を有する無機系または無機/有機ハイブ
リッド系多孔体である。このような多孔体へのメタン等
の低級炭化水素ガスの吸着(貯蔵)は、典型的には細孔
内への濃縮により起こると考えられる。すなわち、中心
細孔直径が上記範囲内となるメソ多孔体によると、細孔
内に強い吸着ポテンシャルの場が生じ得、結果、メタン
等の低級炭化水素ガスを細孔内に高度に濃縮することが
可能となる。
【0012】本発明に使用する無機系メソ多孔体は、シ
リカ(SiO2)等の無機酸化物からなる3次元の基本骨格
(高分子主鎖)を有するシリカ系その他のメソ多孔体で
あって構造的にメタン等の低級炭化水素ガス分子を十分
に取り込み得る細孔を有する多孔体である。シリケート
基本骨格中のケイ素原子に代え得る原子としてまたはシ
リケート骨格に付加し得る他の原子としては、アルミニ
ウム、チタン、マグネシウム、ジルコニウム、タンタ
ル、ニオブ、モリブデン、コバルト、ニッケル、ガリウ
ム、ベリリウム、イットリウム、ランタン、ハフニウ
ム、スズ、鉛、バナジウム、ホウ素等が挙げられる。シ
リカその他の無機酸化物からなる基本骨格またはその側
鎖にニッケル、銅等の金属原子を有する無機系メソ多孔
体は上記低級炭化水素ガスを吸着する機能が向上するた
め特に好ましい。
【0013】而して、このようなメソ多孔体における無
機酸化物の基本骨格(典型的には-Si-O-からなるシリケ
ート骨格)に対して側鎖として種々の有機基および/ま
たは官能基が結合した構造のメソ多孔体が本発明の炭化
水素ガス吸着剤にかかる無機系メソ多孔体として好まし
い。例えば、シリカ系メソ多孔体の表面に生じたシラノ
ール基(Si-OH) 等に、式:R -Si-(OCH3)3 で表される有
機メトキシシラン等の有機アルコキシシランまたは他の
有機シラン化合物を反応させることにより、当該多孔体
の表面(細孔壁面を含む。以下同じ。)に所望する有機
基や官能基を有するメソ多孔体を製造し得る。このよう
に、側鎖として有機基および/または官能基を導入する
ことによって、当該導入有機基および/または官能基の
性状に応じて細孔内を含むメソ多孔体の表面性状を改変
することができる。例えば、アルキル基等の疎水性基を
側鎖として導入することによって疎水的表面特性を当該
メソ多孔体に付与することができる。かかる疎水性基の
導入によってメソ多孔体の表面における疎水性結合能を
向上させ得る。また、末端にチオール基(-SH) を含む有
機基(例えば-(CH2)n -SH ;nは1以上の整数)を導入
する場合、トリスメトキシメルカプトプロピルシラン(S
i(OCH3) 3C3H6SH)等の末端チオール基含有有機シラン化
合物を反応させることにより、多孔体表面に末端チオー
ル基を含む有機基が付与された無機系メソ多孔体を合成
することができる。同様にして、メチル基(-CH3)やエチ
ル基(-C2H5) 等の低級アルキル基、フェニル基(-C6H5)
、カルボキシル基(-COOH) 、アミノ基(-NH2)等を包含
する種々の有機基を側鎖としてメソ多孔体表面に付与す
ることができる。チオール基、カルボキシル基等の官能
基を細孔壁面に有するメソ多孔体は、ニッケル、銅等の
金属原子(金属イオン、金属塩化物等の化合物に含まれ
る形態を含む。以下同じ。)を細孔内に高効率に結合
(典型的には配位結合)させ得るため、本発明のガス吸
着剤として特に好ましい。かかる金属原子は、メタン等
の低級炭化水素ガスを可逆的に吸着させる能力に優れる
からである。
【0014】一方、本発明に好ましい無機/有機ハイブ
リッド系メソ多孔体は、シリカ等の無機酸化物を基本骨
格(高分子主鎖)とするとともに構造的にメタン等の炭
化水素ガス分子を十分に取り込み得る細孔を有するメソ
多孔体であって該基本骨格中に1または2以上の炭素原
子を含む有機基が含まれる多孔体である。例えば、−S
i−O−からなる基本骨格中のケイ素原子に炭素が直接
結合するいわゆる炭素−ケイ素結合を基本骨格に有する
メソ多孔体が好ましい。このような基本骨格中に組み入
れられる有機基としては、特に限定しないが、アルキル
鎖、アルケニル鎖、ビニル鎖、アルキニル鎖、シクロア
ルキル鎖、ベンゼン環、ベンゼン環を含む炭化水素鎖等
を構成する炭化水素基、例えばメチレン基(-CH2CH2-)や
フェニレン基(-C6H4-)が好ましい。かかる有機基部分に
さらに側鎖として、チオール基(-SH) 、カルボキシル基
(-COOH) 、メチル基(-CH3)やエチル基(-C2H5) 等の低級
アルキル基、フェニル基(-C6H5) 、アミノ基(-NH2)を有
するものが好ましい。また、チオール基、カルボキシル
基等の官能基を細孔壁面に有する無機/有機ハイブリッ
ド系メソ多孔体はニッケル、銅等の金属原子を細孔内に
吸着(典型的には配位結合)させ得る能力が向上するた
め、特に好ましい。
【0015】本発明の炭化水素ガス吸着剤を構成するメ
ソ多孔体の細孔は、炭素数1〜4の炭化水素ガスを効率
よく吸着するように中心細孔直径が0.5nm〜50n
mの範囲内にあることが好ましい。天然ガス等に含まれ
るメタンガスを対象とする場合には、中心細孔直径が
0.5nm〜2nmのメソ多孔体が特に好ましい。さら
にこれらのうち、細孔直径分布曲線における最大ピーク
を示す細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%
以上が含まれる細孔を有するメソ多孔体がメタンガスそ
の他の低級炭化水素ガス等の吸着効率を高めることから
好ましい。
【0016】上記の細孔直径分布曲線は、次のようにし
て求められる。細孔直径分布曲線とは、細孔容積(V)
を細孔直径(D)で微分した値(dv/dD)を細孔直
径(D)に対してプロットした曲線をいう。そして、そ
の細孔直径分布曲線のdv/dD値が最も大きくなる
(最大ピークを示す)細孔直径がここでいう中心細孔直
径である。細孔直径分布曲線は、例えば窒素ガスの吸着
量測定により得られる吸着等温線から種々の計算式で導
かれる。吸着等温線の測定法を以下に例示する。この方
法において最もよく用いられるガスは窒素である。ま
ず、メソ多孔体を、液体窒素温度(−196℃)に冷却
して、窒素ガスを導入し、その吸着量を定容量法あるい
は重量法で求める。導入する窒素ガスの圧力を徐々に増
加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロット
することにより吸着等温線を作成する。この吸着等温線
から、Cranston-Inklay 法、Pollimore -Heal 法、BJ
H法等の計算式により、細孔直径分布曲線を求めること
ができる。そして、例えば、細孔直径分布曲線における
最大のピークが3.00nmにある場合、中心細孔直径
は3.00nmとなる。このとき、「細孔直径分布曲線
における最大ピークを示す細孔直径の±40%の範囲に
全細孔容積の60%以上が含まれる」とは、細孔直径が
1.80〜4.20nmの範囲にある細孔の容積の総計
が、全細孔容積の60%以上を占めているということで
ある。より具体的にいえば細孔直径分布曲線における細
孔直径1.80〜4.20nmにある細孔の細孔容積の
積分値が曲線の全積分値の60%以上を占めているとい
うことである。このような「細孔直径分布曲線における
最大ピークを示す細孔直径の±40%の範囲に全細孔容
積の60%以上が含まれる」ことを特徴とするメソ多孔
体は、実質的には細孔径が十分に均一であることを意味
するものといえる。
【0017】また、本発明で用いるメソ多孔体として、
そのX線回折パターンにおいて、1nm以上の範囲のd
値に相当する回折角度に1本以上のピークを持つことを
特徴とするメソ多孔体を用いることが好ましい。かかる
ピークを持つメソ多孔体は細孔直径がより均一である。
【0018】本発明に好適に使用し得るメソ多孔体は、
例えば、層状のシリケート(カネマイト等)を界面活性
剤の水溶液中で加熱し、縮合反応によって形成すること
ができる。すなわち、界面活性剤のミセルをテンプレー
トとしつつその周囲(隙間)に層状シリケートの層間架
橋による三次元シリケート骨格を形成させ、その後、当
該界面活性剤からなるミセルを除去することによりメソ
多孔体を製造することができる(以下この製造法を「層
間架橋製造法」という。)。使用し得る層状シリケート
としては、カネマイト(NaHSi2O5 ・3H2O) が好ましい。
カネマイトは非晶質状のケイ酸ソーダ(例えば一般に市
販されている乾燥水ガラス)を約700℃で焼成し、水
に浸漬することで容易に得られる。また、本層間架橋製
造法に使用し得る他の層状シリケートとしては、ジケイ
酸ナトリウム結晶(α,β,γ,δ−Na2Si2O5)、マカ
タイト(Na2Si4O9 ・5H2O)、アイアライト(Na2Si8O
17・xH2O)、マガディアイト(Na2Si14O29 ・xH2O)、
ケニヤイト(Na2Si20O41 ・xH2O)等が挙げられる。ま
た、その他の層状シリケートとして、例えば、セピオラ
イト、モンモリロナイト、バーミキュライト、雲母、カ
オリナイト、スメクタイトのような粘土鉱物を酸性水溶
液で処理してシリカ以外の元素を除去したものも使用し
得る。
【0019】一方、層間架橋製造法に使用される界面活
性剤は、種々の溶媒中でミセルを形成し得るものであれ
ば特に制限はなく、陽イオン性、陰イオン性あるいは非
イオン性である各種の界面活性剤を用いることができ
る。典型的にはアルキルトリメチルアンモニウム(C n
H2n+1N(CH3)3;nは2〜18の整数)、アルキルアンモ
ニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルア
ンモニウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水酸化
物等の他、脂肪酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキ
ルリン酸塩、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面
活性剤等が用いられる。アルキルトリメチルアンモニウ
ムが特に好ましく、アルキル鎖の炭素数(上記式中の
n)が8〜18であるアルキルトリメチルアンモニウム
が特に好ましい。アルキル鎖の炭素数に応じて形成され
るミセルのサイズが変更され、結果、それをテンプレー
トとする細孔の径を調節し得る。なお、界面活性剤は、
これらのうち1種類でも、あるいは2種類以上を組み合
わせて用いることができる。以下に本層間架橋製造法の
典型的な一例を示す。
【0020】上記した層状シリケートと界面活性剤とを
溶媒中で混合し、これに酸またはアルカリ触媒を加える
ことにより、脱水縮合反応を行う。好ましくは、界面活
性剤を溶解した溶媒中に上記層状シリケートを分散させ
るとよい。ここで使用する溶媒は典型的には水である
が、使用する界面活性剤をミセル状態とし得る水・アル
コール混合溶媒やその他の溶媒も用いることができる。
ここで縮合反応は、上記層状シリケートを分散させた溶
液を30〜100℃(より好ましくは70〜80℃)の
加熱条件下で行うことが好ましく、また反応時間は2〜
24時間とすることが好ましい。また、加熱反応中は分
散溶液を攪拌するほうが好ましい。分散溶液のpHは縮
合反応中の初期の段階(典型的には1〜5時間)は10
以上に調整するのが好ましく、その後(典型的には1時
間以上)は10以下とするのがよい。pH制御は水酸化
ナトリウム(NaOH)のようなアルカリおよび塩酸のような
酸によって行われ得る。このようなpH制御により、結
晶性および耐熱性に優れるメソ多孔体を得ることができ
る。なお、上記カネマイトはアルカリ性であるので溶媒
が水の場合には、通常、特に処理を施さずとも分散溶液
のpHは10以上となり得る。
【0021】このような脱水縮合反応を行うことによっ
て、使用した界面活性剤からなるミセルをテンプレート
としたメソ孔を有する構造体(メソ多孔体前駆体)が形
成される。而して、縮合反応終了後、分散液より固形生
成物(メソ多孔体前駆体)を濾過・回収する。ここで、
得られた固形生成物を脱イオン水で繰り返し洗浄するこ
とが耐熱性の高いメソ多孔体を得ることができる観点か
ら好ましい。洗浄後、固形生成物を乾燥するとよい。そ
の後、好ましくは550℃以上の温度で焼成処理するか
或いは塩酸/エタノール溶液等による浸漬処理(H+ 置換
処理)することにより、テンプレートとして前駆体細孔
内に取り込まれていた界面活性剤を除去することができ
る。例えば、陽イオン性の界面活性剤を使用した場合
は、少量の塩酸を添加したエタノール中に固形生成物を
分散させ、50〜70℃で加熱しながら攪拌を行う。こ
れにより、陽イオン性界面活性剤がプロトン(H+ ) とイ
オン交換され抽出され得る。陰イオン性の界面活性剤で
あれば、陰イオンを添加した溶媒中で界面活性剤が抽出
され得る。また、非イオン性の界面活性剤の場合は、溶
媒だけで抽出され得る。あるいは、塩酸を添加した水あ
るいは水を溶媒に用いることにより、界面活性剤の抽出
が可能な場合もある。例えば、酸/有機溶媒の組合せで
あれば、塩酸とメタノール以外の酸と有機溶媒との混合
溶液をH+置換処理用溶液として用いることもできる。な
お、上記焼成処理を行う場合には、着火防止のため不活
性ガス(窒素等)雰囲気で行うのが好ましい。しかし、
この場合でも焼成処理の終期には空気等の酸化雰囲気に
したほうがカーボン等の残存防止の観点から好ましい。
【0022】以上の処理工程により、テンプレートが除
去された部分がすなわちメソ孔となり、所望するメソ多
孔体が合成され得る。かかる方法によって得られるメソ
多孔体の細孔構造は好ましくはヘキサゴナル構造であ
る。この構造を模式的に図1に示す。この図に示すよう
に、本製造法において得られ得る好ましいメソ多孔体
は、層状シリケートが層間架橋して形成され、且つ細孔
がヘキサゴナル(六辺形)の対称性で配列したいわゆる
ヘキサゴナル細孔構造多孔体である。図1に示すよう
に、この構造によると所望するサイズの細孔が多孔体表
面に均一に分布するため、本発明の炭化水素ガス吸着剤
として特に好ましい。本製造法によると、テンプレート
とする界面活性剤の分子長を変化させることにより、メ
ソ細孔の孔径を調整することができる。例えば、使用す
る界面活性剤をアルキル鎖の短いものに変更すれば、よ
り小さい径のミセルが形成され、それをテンプレートと
する結果、形成されたメソ多孔体の細孔径も小さくな
る。0.5nm〜10nmのメソ細孔を形成する場合、
特に炭素原子数2〜18のものがよい。炭素原子数8〜
18のものが特に好ましい。なお、以上の処理工程によ
り製造されるメソ多孔体としては例えばFSM−16が
ある(T.Yanagisawaら, Bull.Chem.Soc.,Jpn.,63,988(1
990)、S.Inagaki ら, J.Chem.Soc., Chem.Commun., 68
0(1993) )。このFSM−16は、本発明の炭化水素ガ
ス吸着剤に適用し得るメソ多孔体の好典型例である。
【0023】なお、上記層間架橋製造法によれば、FS
M−16等に限られず、Si以外の元素を含む基本骨格
から成るヘキサゴナル構造メソ多孔体を製造することも
できる。典型的には、上記多孔体にSi以外の元素を添
加する方法として、(1).原料である層状シリケート中に
予めSi以外の元素を組込む方法(即ち他の元素を含む
層状シリケートを使用する方法)、(2).メソ多孔体の合
成中に他元素を含む物質を添加する方法が挙げられる。
すなわち、上記(1).方法としては、水ガラス等のケイ酸
溶液にSi以外の元素(例えばAl、Ti、Mg、B)
の塩を溶解させ、乾燥後、焼成する方法がある。これに
より、溶解させた元素の多くは層状シリケートを構成す
る-Si-O-骨格の中に組込まれ、結果、最終的に合成され
るメソ多孔体の基本骨格中にも上記元素が組込まれるこ
ととなる。また、上記(2).方法としては、例えば、層状
シリケートと界面活性剤とからなるメソ多孔体前駆体に
Si以外の元素の塩の水溶液を含浸させた後、これを焼
成する方法がある。これにより、メソ多孔体の表面に当
該元素が付着または結合するため、当該元素の特性を効
果的に発現させることができる。
【0024】次に、上記層間架橋製造法において製造さ
れるメソ多孔体に有機基を側鎖として含ませる方法の好
ましい一態様を説明する。なお、図2はここで説明する
有機基付与方法を模式的に説明したものである。上記製
造法によって合成されたメソ多孔体(例えばFSM−1
6等の-Si-O-骨格からなる無機系多孔体)には、通常の
カップリング反応および種々の有機シランを用いること
によって所望する有機基を側鎖として導入することがで
きる。すなわち、図2に示すように、得られたメソ多孔
体を水存在下で環流処理を行い、当該メソ多孔体の細孔
壁面表面にシラノール基(Si-OH )を生じさせる(図
2)。次いで、所望する有機基(R)を含む有機シラン
化合物(例えばRSi(OR')3 で表されるトリアルコキシシ
ラン)を含む溶媒中で環流処理を行うことによってシロ
キサン結合を介して当該有機基Rを細孔壁面に付与する
ことができる(図2)。例えば、末端にチオール基を有
するトリメトキシメルカプトプロピルシラン(Si(OCH3)3
C3H6SH) を図2に示すように表面シラノール基に反応さ
せることによって、細孔壁面に有機チオール基(-C3H6S
H) が含まれたメソ多孔体が得られ得る。
【0025】本発明の炭化水素ガス吸着剤に適するメソ
多孔体は、上述の層間架橋製造法に限らず他の方法によ
っても製造し得る。例えば、カネマイト等の上記層状シ
リケートに代えて、ケイ酸ソーダ、シリカ、あるいはア
ルコキシシランを界面活性剤の水溶液中で加熱処理し、
これら原料物質を重合・成長させることによっても製造
することができる(以下この製造法を「重合・成長製造
法」という。)。かかる重合・成長製造法によって得ら
れるメソ多孔体として、M41S(MCM−41、MC
M−48等)がある(C.T.Kresge et al., Nature,359,7
10(1992), J.S.Beck et al., J.Am. Chem.Soc., 114,10
834(1992))がある。この製法の原料物質としては、例え
ば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン等の
アルコキシシランが用いられる。これらの1種類あるい
は2種類以上を組み合わせて用いることもできる。本製
造法に使用する界面活性剤としては、上述の層状シリケ
ートを用いる層間架橋製造法で例示した界面活性剤が好
適に使用し得る。アルキル基及び親水基を有する化合物
を使用するのが好ましい。0.5nm〜4nmのメソ細
孔を形成する場合には炭素原子数2〜18のものがよ
く、上記ヘキサゴナル構造(図1参照)のメソ多孔体を
合成する場合には、アルキル基の炭素数が8〜18のも
のが特に好ましい。一方、好ましい親水基としては、例
えば、-N+ (CH3)3、-NH2、-SO3 - 、-PO4 - 、-COO- 、-O
H が挙げられる。アルキルトリメチルアンモニウムの使
用が特に好ましい。以下に典型的な製造例を示す。
【0026】上記したアルコキシシランと界面活性剤と
を溶媒中で混合し、酸またはアルカリ触媒を加えること
により、縮重合反応を行う。界面活性剤の濃度は、特に
限定しないが、20〜30wt%が好ましい。典型的には
約25wt%である。また、反応原料中の界面活性剤とケ
イ素の比は、合成されるメソ多孔体の構造を決定するの
に重要である。例えば、ケイ素に対する界面活性剤のモ
ル比(以下Sur/Si比という)を1より小さくすると上記
ヘキサゴナル構造(図1参照)のメソ多孔体(例えばM
CM−41)が合成され得る。また、Sur/Si比を1〜
1.5とするとキュービック構造のメソ多孔体(例えば
MCM−48)が合成され得る。また、Sur/Si比を1.
2〜2とするとラメラ構造のメソ多孔体が合成され得
る。また、Sur/Si比を2より大きくとるとケイ酸塩8量
体が形成される。本発明において、上記ヘキサゴナル構
造のメソ多孔体(図1参照)を合成するのが表面上の細
孔分布およびその均一性の観点から好ましい。この場合
のSur/Si比は0.1〜0.6が好適である。また、特に
密度の高いメソ多孔体を合成するには、原料の混合方法
および組成に関する次の2点の条件を満足することが好
ましい。すなわち、(1).最初にアルコキシシランに少量
の水(典型的には1モルのSiに対して0.5〜10モ
ルの水)を添加し、室温で数分〜3時間程度攪拌した後
に界面活性剤を添加することが好ましい。また、(2).反
応液中のH2O/Si比(mol/mol) は1〜10が好ましい。H2
O/Si比が1より小さすぎるとアルコキシシランの加水分
解が起こらず、結果として所望する無機/有機複合体
(界面活性剤とアルコキシシランとからなる前駆体)が
形成されないおそれがある。一方、H2O/Si比が10より
大きすぎると得られる無機/有機複合体の密度が低下す
るおそれがある。
【0027】縮重合反応時の温度は、0〜100℃の範
囲が適するが、後述するようにメソ多孔体の骨格中に有
機基を含ませる場合は反応温度が低い方(好ましくは2
0〜40℃)が得られた固体生成物の構造規則性が高く
なる傾向がある。縮重合反応時間はSi原料の種類によ
って適宜異なり得るが、典型的には12時間〜48時間
またはそれ以上の時間行ってもよい。数時間の攪拌と数
時間の静置を繰り返すのが好ましい。縮重合反応後、生
成した沈殿あるいはゲル状態の無機/有機複合体を濾過
し、必要であれば洗浄を行った後に乾燥、粉砕、篩い分
け等することにより典型的には粒状若しくは紛状の固形
生成物が得られる。この固形生成物(前駆体)は、メソ
多孔体としての基本骨格を既に有しているが、細孔の位
置には界面活性剤(典型的にはミセル)が充填されたま
まになっている。而して、上述の焼成処理またはH+置換
処理と同様の処理を行うことによって、界面活性剤を除
去することによってメソ多孔体が得られる。すなわち、
焼成による方法では、固形生成物を300〜1000℃
(好ましくは400〜700℃)に加熱する。加熱時間
は30分以上が好ましい。完全に有機物を除去するため
には1時間以上加熱することが特に好ましい。なお、上
記と同様、焼成処理は着火防止のために不活性ガス(窒
素等)雰囲気で行うのが好ましく、カーボン等の残存を
防止する観点から焼成処理の終期には空気等の酸化雰囲
気に切り替えてもよい。一方、アルコール等でH+置換処
理する方法では、界面活性剤の溶解度が大きい溶媒に少
量の陽イオン成分を添加した溶液に固形生成物を分散、
攪拌した後に固形成分を回収することにより行う。上記
溶媒としては例えばエタノール、メタノール、アセトン
等を用いることができる。添加する陽イオン成分を含む
物質としては塩酸、酢酸、塩化ナトリウム、塩化カリウ
ム等がある。陽イオンの添加濃度は0.1〜10mol/l
が好ましい。特に限定するものではないが、上記溶媒と
してエタノール溶液を用いた場合、これに対する上記固
形生成物(前駆体)の分散量はエタノール溶液100m
lに対して当該複合体を0.5〜50g分散させること
が好ましい。また、上記分散液の攪拌は25〜100℃
の温度範囲内で行うことが好ましい。
【0028】なお、本重合・成長製造法においても、上
記MCM−41、MCM−48等に限られず、Si以外
の元素(例えば金属元素)を含む基本骨格から成るメソ
多孔体を製造することもできる。典型的には、基本骨格
を形成する原料物質として上記ケイ酸ソーダ、シリカ、
あるいはアルコキシシランとともに他の元素を含む化合
物を加えて上記縮重合反応を行うことによって実現され
る。例えば、Al源として擬ベーマイト、アルミン酸ソ
ーダ、硫酸アルミニウムあるいはジアルコキシアルミノ
トリアルコキシシランを添加することによって、SiO2-A
l2O3からなる基本骨格のメソ多孔体が合成され得る。ま
た、SiをTi、Zr、Ta、Nb、Sn、Hf等の金
属に置き換えた酸化化合物も使用することができる。こ
れにより、種々の金属(Mn+;nは金属の電荷)をシリ
ケート骨格内に含むメタロシリケート系メソ多孔体(SiO
2-MO2/n)を得ることができる。例えば、Ti(OC2H5)4等の
チタネート化合物、硫酸バナジル(VOSO4) 、ホウ酸(H3B
O3) または塩化マンガン(MnCl2) をアルコキシシランに
加えて共縮合反応を行うことによって、それぞれTi、
V、BまたはMnを導入したメタロシリケート系メソ多
孔体を得ることができる。
【0029】同様に、基本骨格を形成する原料物質とし
て上記ケイ酸ソーダ、シリカ、あるいはアルコキシシラ
ンとともに有機基を含む化合物を加えて上記縮合反応を
行うことによって、メソ多孔体に有機基を含ませること
が実現される。このような方法に好ましく使用し得る有
機基含有化合物として例えば、(CH3O) 3Si-CH2-CH2-Si(O
CH3)3 がある。-CH2-CH2の部分を-C6H4-の様な他の有機
基で置き換えた(CH3O)3Si-C6H4-Si(OCH3)3も好適に使用
することができる。また、これら化合物中のSiをA
l、Ti、Zr、Ta、Nb、Sn、Hf等の他の金属
に置き換えた有機化合物も使用することができる。これ
らアルキル鎖部分(-C-C-)を含む有機化合物をアルコキ
シシラン(Si(OR)4) とともに共縮合反応を行うことによ
って、そのようなアルキル鎖部分を有機基として含む基
本骨格から成る無機/有機ハイブリッド系メソ多孔体を
得ることができる。
【0030】なお、導入する有機基はこのようなアルキ
ル鎖に限られず、アルケニル鎖、ビニル鎖、アルキニル
鎖、シクロアルキル鎖、ベンゼン環、ベンゼン環を含む
炭化水素等の各種炭化水素の他、各種水酸基、カルボキ
シル基、チオール基等の官能基と1又は2以上の炭素原
子とを備えた化合物に由来する官能基含有有機基等が使
用し得る。チオール基、カルボキシル基等の官能基はメ
タンガス等の低級炭化水素ガスを高効率に吸着し得るた
め、これら官能基を導入するのが好ましい。また、チオ
ール基、カルボキシル基等の官能基は、メタンガス等の
低級炭化水素ガス高効率吸着に寄与し得る金属原子(イ
オン)またはその塩と結合(典型的には配位)する特性
を示すことから好ましい。導入する有機基および/また
は官能基は1種類に限定されることなく、低級炭化水素
ガス吸着能に悪影響を及ぼさない限り2種類以上を組み
合わせて用いることができる。
【0031】あるいは、シリカ等からなる無機系基本骨
格の側鎖として有機基および/または官能基を導入する
ことができる。例えば、図3に模式的に示すように、原
料物質としてアルコキシシラン(Si(OR')4)と導入したい
有機基(R) を含むトリアルコキシシラン(R-Si(OR')4)と
を適当な界面活性剤とともに溶媒中で共縮合反応を行
う。これにより、上述のとおり、界面活性剤のミセルが
テンプレートとなってメソ多孔体前駆体が形成され、同
時に細孔壁内を含む多孔体表面に有機基(R) が付与され
る。而して、上記H+置換処理を行って、細孔内から界面
活性剤(ミセル)を抽出することによって所望する有機
基(R) を有するメソ多孔体が形成される(図3)。な
お、この方法に限らず、本重合・成長製造法によって得
られたメソ多孔体においても、上述の図2に示した方法
によっても側鎖として有機基を導入し得る。
【0032】次に、メソ多孔体の細孔内に金属原子を保
持させることについて説明する。上記のようにして細孔
内に有機チオール基等の官能基を導入したメソ多孔体に
は、図4に示すように(ヘキサゴナル構造について示
す)、細孔内表面にチオール基等の官能基が存在する。
従って、かかる官能基と金属塩を反応させて所望する金
属原子を細孔内に保持(典型的にはイオンまたは錯体形
態)することができる。例えば、図4に示すようなチオ
ール基を有するメソ多孔体を、CuCl2 、NiCl2、MnCl2
等の金属塩化物を溶解させたエタノール中に分散させ
て、好ましくは50〜60℃に加熱して数時間(典型的
には2〜3時間)反応させる。次いで、分散体を分別・
乾燥することによって、図5に示すように、細孔中に当
該金属を保持(典型的には配位結合)したメソ多孔体が
得られ得る。かかる金属原子が細孔内に保持されたメソ
多孔体は、メタンガス等の低級炭素ガス吸着能に特に優
れており、本発明の炭化水素ガス吸着剤を実質的に構成
するメソ多孔体として好適である。中でも銅および/ま
たはニッケルが細孔内に保持されたものが特に好まし
い。細孔壁面に存在するチオール基、カルボキシル基等
の官能基または該官能基を有する有機基と銅、ニッケル
等の金属とが有機金属錯体を形成して細孔内に保持され
ているものが特に好ましいメソ多孔体である。
【0033】また、本発明の炭化水素ガス吸着剤として
用いるメソ多孔体として特に好ましいものはメソ多孔体
製造過程において後述するような水熱処理が施されたシ
リカ系メソ多孔体である。以下このことを説明する。上
記重合・成長製造法等によって製造された有機基含有メ
ソ多孔体前駆体(即ち界面活性剤が細孔内に充填された
ままのもの)を上記H+置換処理等の界面活性剤を取り除
く処理を行う前に、以下のように水熱処理する。すなわ
ち、上記縮重合反応によって、アルコキシシラン(Si(O
R')4)および有機シラン化合物(R-Si(OR')4等)等の原
料物質から合成して得た有機基含有メソ多孔体前駆体を
水存在下で加熱処理(水熱処理)する。好ましくは、当
該縮重合反応において使用したのと同様の界面活性剤を
含む水溶液(典型的には縮重合反応時と同等かそれ以下
の界面活性剤濃度とする)中に分散させ、当該前駆体を
50℃〜200℃の範囲内で水熱処理する。加熱温度は
好ましくは60〜100℃であり、より好ましくは70
〜80℃である。また、このときのpHはややアルカリ
性がよく、好ましくは8〜8.5である。適宜塩酸また
は水酸化ナトリウムで調整すればよい。この処理時間は
特に制限するものではないが、3時間以上が好ましく、
8時間〜12時間がさらに好ましい。それ以上長時間継
続して行ってもよいが、あまり長時間行っても効果に顕
著な差はみられなくなる。なお、水熱処理は処理液を攪
拌しつつ行うのが好ましい。この水熱処理後、前駆体を
濾過、乾燥し、余剰の処理液を取り去る。而して、上述
のH+置換処理等の界面活性剤を取り除く処理を行うこと
によって、メソ多孔体を得る。なお、前駆体を上記水溶
液中に分散後、水熱処理を開始する前に予め室温で数時
間攪拌処理を行ってもよい。これにより、上記水熱処理
に基づく以下の効果をより高めることができる。
【0034】以上のように水熱処理を施す結果、付与し
た有機基や官能基に特段の悪影響を及ぼすことなく、界
面活性剤テンプレート除去後のメソ多孔体の強度および
構造規則性を向上させることができる。このため、上記
水熱処理を施さないものと比較して、細孔安定性および
構造規則性即ち細孔分布の均一性に優れたメソ多孔体を
提供することができる。従って、例えば上記ヘキサゴナ
ル構造の多孔体前駆体を本水熱処理に供することによっ
て、メソ多孔体(最終生成物)における細孔のサイズ
を、細孔直径分布曲線における最大ピークを示す細孔直
径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれ
る程度に均一化させることができる。従って、上記水熱
処理を施したメソ多孔体によれば、全細孔におけるメタ
ンガス等の吸着に適する孔径(好ましくは中心細孔直
径:0.5nm〜2nm)を有する細孔の存在割合すな
わち表面積あたりの有効細孔容積率が向上する。このた
め、水熱処理を施したメソ多孔体から実質的に構成され
る本発明の炭化水素ガス吸着剤によればメタン等の低級
炭化水素ガスをさらに効率よく吸着することができ、重
量または容積あたりのガス吸着量を向上させることがで
きる。また、かかる多孔体に上述のようにして金属原子
(好ましくは銅および/またはニッケル)を保持させて
成る本発明の炭化水素ガス吸着剤は、メタンガス等の低
級炭化水素ガス吸着能に特に優れている。特に、細孔壁
面に存在するチオール基、カルボキシル基等の官能基を
有する有機基と銅、ニッケル、マンガン等の金属とが有
機金属錯体を形成して細孔内に保持されているものが特
に好ましい水熱処理済みメソ多孔体である。
【0035】本発明の炭化水素ガス吸着剤は、上記のよ
うにして得られた有機基および/または官能基を含むメ
ソ多孔体から実質的に構成されていればよく、その形態
は特に限定されない。粉末または顆粒状のもの、支持膜
等の膜状のもの、あるいは球状や繊維状の形態のもので
もよい。例えば、基板上のバーニングやμmサイズの明
瞭な形態をもつ粒子状等が本発明の炭化水素ガス吸着剤
におけるメソ多孔体の形態の典型例として挙げられる。
例えば、上記重合・成長製造法において縮重合反応液
を、スピンコート法、キャスティング法、ディップコー
ト法等により種々の基材表面にコートさせることによっ
て、当該基材上に無機/有機複合体(即ち前駆体)が生
成される。而して、当該基材に対して上記焼成処理、H+
置換処理等の界面活性剤(テンプレート)除去処理およ
び好ましくは該処理前に水熱処理を施すことによって、
基材にコーティングされた膜形状のメソ多孔体からなる
本発明の炭化水素ガス吸着剤を製造することができる。
なお、かかる膜状ガス吸着剤においても、細孔内に銅、
ニッケル等の金属原子を保持させたものが特に好まし
い。
【0036】また、本発明の炭化水素ガス吸着剤は、上
述の無機系(典型的にはシリカ系)または無機/有機ハ
イブリッド系の多孔体であって、メタンガス吸着能を有
する有機基および/または官能基および/または金属原
子(好ましくは銅、ニッケル)を有する多孔体から実質
的に構成されておればよく、メタンガス吸着能に悪影響
を及ぼさない限りにおいて種々の副成分、例えば、乾燥
剤、芳香剤、着色剤、難燃剤、抗菌防臭剤等を配合して
もよい。
【0037】また、本発明のガス吸着剤に吸着・貯蔵さ
れたメタンガス等の低級炭化水素ガス(即ちメタン、エ
タン、プロパン、ブタン、エチレン、アセチレン、ブテ
ン、イソブテン等)は種々の方法によってふたたび放出
することができる。例えば、これらの低級炭化水素ガス
の吸着剤への吸着・貯蔵を1気圧(大気圧)以上の圧力
をかけることにより行った場合は、圧力を当該吸着させ
たときの圧力より下げることにより、吸着・貯蔵された
ガスが放出される。急速にあるいは大量にガスを放出す
る場合は、吸着剤の温度が脱着熱により下がるため、熱
を加えて吸着剤の温度が一定あるいは上がるようにする
ことが好ましい。
【0038】
【実施例】以下、本発明を具体的に実施した実施例につ
いて説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定さ
れるものではない。
【0039】<実施例1> −水熱処理したメソ多孔体の作製および構造解析− 1000ml容ビーカーに15.1gの6N−NaOH
水溶液と298gのイオン交換水を入れ、さらに界面活
性剤として5.7g(18mmol)のセチルトリメチ
ルアンモニウムクロリド(C16H33N(CH3)3Cl:以下「CT
AC」という)を加えた。次いで、室温で激しく振盪し
ながら、120mmolに相当する量のテトラメトキシ
シラン(Si(OCH3)4) と30mmolに相当する量の式:
R-Si-(OCH 3)3 で表される有機メトキシシランとの混合
物を加えた。なお、本実施例においては、上記RがC
H3 、C2H5、C6H5、C3H6SHおよびC3H6NH2 である計5種
類の有機メトキシシランを別個に使用して得た5種類の
混合物を使用した。上記混合物を添加後、室温で12時
間攪拌した後、14時間放置し、さらに12時間攪拌し
た。攪拌処理終了後、内容物を濾過し、沈殿物をほぼ5
00mlのイオン交換水で3回洗浄した。風乾後、上記
各有機メトキシシラン(各混合物)に対応した計5種類
のメソ多孔体前駆体を得た。
【0040】次に、上記5種類のメソ多孔体前駆体につ
いて以下のように水熱処理を施した。すなわち、4.0
gの前駆体をCTAC溶液(2.304gのCTACを
120mlのイオン交換水に溶解したもの)に入れ、1
N−HClによってpHを8〜8.5に調整した。次い
で、室温で5時間攪拌処理を行い、15時間放置した。
その後、当該CTAC溶液を70〜75℃に至るまで加
熱するとともに同温度域で8時間攪拌処理を行った。こ
の攪拌処理終了後、内容物を濾過して沈殿物を回収し、
風乾した。
【0041】このようにして水熱処理された前駆体に対
し、次にH+置換処理を施した。すなわち、3.8gの濃
塩酸と150mlのエタノールとからなる溶液に1.0
gの水熱処理済み前駆体を加えて50℃で6時間の攪拌
処理を行った。この攪拌処理終了後、内容物を濾過して
沈殿物を回収し、当該沈殿物を風乾した。さらにもう一
度同条件でH+置換処理を施した後、内容物を濾過して沈
殿物を回収し、当該沈殿物を風乾することによって、本
実施例にかかるメソ多孔体(以下「水熱処理済み多孔
体」という。)を得た。なお、得られた多孔体は、それ
ぞれ多孔体表面に、上記Rに応じてCH3 、C2H5、C6H5
C3H6SHまたはC3H6NH2 がそれぞれ付与されている有機基
含有多孔体である。以下、これらをそれぞれCH3 基含有
多孔体、C2H5基含有多孔体、C6H5基含有多孔体、C3H6SH
基含有多孔体およびC3H6NH2 基含有多孔体とよぶ。な
お、比較対照のために、上記5種類の前駆体について水
熱処理を行わずに同様のH+置換処理を施して多孔体(以
下「非水熱処理多孔体」という。)を作製した。
【0042】得られた上記5種の有機基含有多孔体(水
熱処理済みのもの)について、固体 13CNMRスペクト
ルおよび固体29SiNMRスペクトル解析を行った。そ
れぞれの結果を図6および図7に示す。これらの解析図
から明らかなように、いずれの有機基含有多孔体(図中
において各有機基で表示している)のスペクトル解析に
おいても29SiNMRにおけるT2 およびT3 種のシリ
コン共鳴ピーク(図7)および13CNMRにおける各有
機基に対応する炭素共鳴ピーク(図6)が観察された。
これらのことから、各有機基含有多孔体はいずれも当該
含有する有機基またはチオール基等の官能基を含有する
有機基が細孔壁面に付与されていることが確認された。
【0043】次に、X線回折等の手段によって、得られ
た各メソ多孔体および前駆体についての構造解析を行っ
た。先ず、C3H6SH基含有多孔体およびその前駆体につい
てのX線回折パターンを調べた。図8〜図11はそれぞ
れ、C3H6SH基含有多孔体に関する水熱処理前前駆体、非
水熱処理メソ多孔体、水熱処理済み前駆体および水熱処
理済みメソ多孔体についてのX線回折パターンを示すグ
ラフである。これらのグラフから明らかなように、水熱
処理前前駆体では構造規則性の高いヘキサゴナル構造に
対応するX線回折パターンを示した(図8)が、非水熱
処理メソ多孔体(即ち水熱処理をせずに界面活性剤テン
プレートを抽出除去したもの)では、当該規則性の高い
メソ構造がやや崩壊してしまうことを示した(図9)。
これに対して、水熱処理済み前駆体のX線回折パターン
において、熱水処理によってもその回折X線強度ピーク
はシャープであり構造規則性が保持されていることが示
された(図10)。また、水熱処理済みメソ多孔体につ
いても同様に、その回折X線強度ピークはシャープであ
り構造規則性が保持されていることが示された(図1
1)。以上のように、熱水処理を施すことによって、界
面活性剤(テンプレート)を抽出・除去した後も細孔構
造を安定化させ得ること即ちヘキサゴナル構造の規則性
を極めて高く保持し得ることが示された。
【0044】同様に、上記5種類の有機基含有多孔体お
よびその前駆体についてのX線回折パターンを調べた。
図12〜図14は、それぞれ、上記5種の有機基含有メ
ソ多孔体に関する水熱処理前前駆体、水熱処理済み前駆
体および水熱処理済み多孔体(H+置換処理後多孔体)に
ついてのX線回折パターンを示すグラフである。図12
〜図14に表されたチャートはいずれも最上段がC3H6SH
基含有多孔体または前駆体についてのものであり、以
下、C6H5基含有多孔体または前駆体、C2H5基含有多孔体
または前駆体、C3H6NH2 基含有多孔体または前駆体、お
よびCH3 基含有多孔体または前駆体(最下段)の順に示
している。図12〜図14に示すX線回折パターンから
明らかなように、これら有機基含有多孔体のうち、C3H6
SH基含有多孔体、C2H5基含有多孔体およびCH3 基含有多
孔体については、水熱処理前前駆体においてすでにヘキ
サゴナル構造を有していることが認められた(図1
2)。一方、C6H5基含有多孔体およびC3H6NH2 基含有多
孔体については、水熱処理前前駆体の段階では層状構造
を有していることが認められた(図12)が、C6H5基含
有多孔体については水熱処理済み前駆体の段階ではC3H6
SH基含有多孔体、C2H5基含有多孔体およびCH3 基含有多
孔体における水熱処理済み前駆体と同様、ヘキサゴナル
構造を有していることが認められた(図13)。而し
て、これら4種の有機基含有多孔体については、H+置換
処理後においても、ヘキサゴナル構造が安定して保持さ
れていることが確認された(図14)。なかでも官能基
としてチオール基を含んでいるC3H6SH基含有多孔体につ
いては、3本のヘキサゴナル構造に帰属される回折X線
強度ピークが顕著に認められ、特に構造規則性の高い3
次元構造を有していることが示唆された。なお、本実施
例においてはC3H6NH2 基含有多孔体については、水熱処
理後も層状構造であり、H+置換処理後には3次元構造の
崩壊も認められた。従って、C3H6NH2 基含有多孔体につ
いてはH+置換処理に代えて焼成処理によって界面活性剤
テンプレートの除去を行うことが好ましいと思われる。
【0045】次に、ヘキサゴナル構造が認められた上記
4種の有機基含有多孔体について、ヘキサゴナル格子の
100 値を算出した。結果を表1に示す。なお、表中の
前駆体1は水熱処理前前駆体を示し、前駆体2は水熱処
理後前駆体を示す。また、表中の界面活性剤抽出後は上
記塩酸/エタノ−ル溶液への浸漬によるH+置換処理を施
した水熱処理済み多孔体のことである。
【0046】
【表1】
【0047】表1から明らかなように、d値は有機基
(R)の種類によって異なるがいずれも水熱処理済み前
駆体(前駆体2)および界面活性剤抽出後の水熱処理済
み多孔体において、水熱処理前前駆体(前駆体1)より
もd値が小さくなっている。このことは、上記水熱処理
および塩酸/エタノ−ル溶液への浸漬処理によって骨格
内のシリケート縮合が促進され、結果、骨格自体が収縮
したことが示唆される。また、このことは、図15に示
したC6H5基含有多孔体について行った固体29SiNMR
スペクトル解析の結果からも明らかである。図15に示
すように、水熱処理後の前駆体およびテンプレート(界
面活性剤)抽出後の多孔体において、T3とQ4 シリコ
ン種が増えたことは、上記シリケート縮合を裏付けるも
のである。
【0048】次に、上記4種の有機基含有多孔体につい
ての窒素ガス吸着等温線を測定した。結果を図16に示
す。図中の横軸は相対蒸気圧(P/Po)を示しており、縦軸
は各有機基含有多孔体の窒素吸着量(cc/g)を示してい
る。図16に示すように、各有機基含有多孔体とも細孔
の存在が確認された。また、C2H5基含有多孔体およびCH
3 基含有多孔体については相対蒸気圧0.1〜0.3で
吸着量の立ち上がりが見られることから比較的大きな細
孔(1nm以上)の存在が示された。一方、C3H 6SH 基
含有多孔体およびC6H5基含有多孔体については、相対蒸
気圧が0.1より小さい領域で吸着等温線が立ち上がる
いわゆるI型を示しており、より小さな細孔(1nm未
満)の存在が示された。
【0049】次に、上記得られた窒素吸着等温線から上
記4種の有機基含有多孔体についてBET比表面積(m2/
g)を算出し、BJH法によって細孔直径(Å)を算出し
た。結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】表2から明らかなように、本実施例にかか
る有機基含有多孔体はいずれもメタン等の低級炭化水素
ガスを吸着し得るのに十分な細孔直径および比表面積を
有している。また、中心細孔直径の±40%の細孔径範
囲に全細孔容積の80%以上が含まれていた(図示せ
ず)。
【0052】<実施例2> −メソ多孔体の細孔内への金属原子の導入− 振盪攪拌可能な容器中にイオン交換水と所望量のCTA
Cを加え、60mMのCTAC溶液を調製した。この溶
液中にテトラエトキシシラン(Si(OC2H5)4)とトリスメト
キシメルカプトプロピルシラン(HSCH2CH2CH2Si(OC
H3)3)とをモル比が4:1となるようにして加えた。而
して、少量のNaOHを加えてpHを11〜13に調製
後、70℃で7時間の攪拌処理により縮重合反応を行っ
た。得られた沈殿物を吸引濾過し、1N−塩酸/エタノ
ール溶液でテンプレートであるセチルトリメチルアンモ
ニウム塩を除去した。その後、室温で乾燥することによ
って本実施例にかかるチオール基含有多孔体を得た。こ
の多孔体は、上記実施例におけるC3H6SH基含有多孔体と
同様、細孔壁面に有機チオール基が付与されていること
が確認された。
【0053】次に、本実施例に係るチオール基含有多孔
体の細孔内に、金属塩化物として塩化第二銅(CuCl2) 、
塩化ニッケル(NiCl2) および二塩化マンガン(MnCl2) を
それぞれ導入した3種類の金属原子導入多孔体を作製し
た。すなわち、上記金属塩化物0.5モルをエタノール
に溶解して得た溶液を含む密閉可能な容器中に、0.1
gの本実施例にかかるチオール基含有多孔体を入れ、当
該溶液中にかかる多孔体を分散させた。次いで、上記容
器を60℃の湯浴中で3時間反応させた。その後、吸引
濾過して得た沈殿物(多孔体)をエタノールで洗浄後、
室温にて乾燥させた。この結果、有機チオール基が分布
している細孔内に銅、ニッケルまたはマンガンがそれぞ
れ導入(典型的には配位)された3種の金属原子導入多
孔体(以下、それぞれCu−導入多孔体、Ni−導入多孔体
およびMn−導入多孔体という。)を得ることができた
(上述の図5参照)。
【0054】<実施例3> −金属原子導入多孔体に関するメタンガス吸着能の評価
− 次に、上記Cu−導入多孔体、Ni−導入多孔体およびMn−
導入多孔体に関するメタンガス吸着能を以下のようにし
て評価した。本実施例におけるメタンガス吸着試験は、
いわゆるマイクロ天秤を用いた重量法に基づくものであ
る。具体的には、図17に示すようなマイクロ天秤利用
に基づくガス吸着量測定装置1を用いて行った。以下、
詳述する。
【0055】図17において、この装置1には、試料S
(上記金属原子導入多孔体)を配置するための密閉可能
な試料室2が備えられている。この試料室2内には、差
動トランス4を介して石英スプリング5に連結している
秤量管3が備えられている。一方、この試料室2には第
一コック9を介した送気管13が接続されている。ま
た、試料室2および石英スプリング5の周囲には、循環
恒温槽6に連通するウォータージャケット16が備えら
れている。送気管13には真空ポンプ11が接続されて
いる他、コック8,14,15を介してメタンガスボン
ベ7、バッファタンク10および圧力計(10Torrスケールお
よび1000Torrスケールの二連)12a,12bがそれぞれ接
続されている。以下、この装置1を用いたガス吸着量測
定の方法を説明する。
【0056】10mgの試料Sを試料室2内の秤量管3
先端部に配置する。その後、真空ポンプ11を作動させ
つつ第一コック9を開放し、試料室2内を真空排気し
た。同時に、循環恒温槽6を作動させて25℃に水温が
安定した水をウォータージャケット16内に循環させ
た。これにより、試料室および石英スプリング5(測定
部)を常温(ここでは25℃)に保つことができる。而
して、試料Sの重量が一定になったのを確認後、コック
8を開いて所定圧のメタンガスをメタンガスボンベ7よ
り供給する。そして、試料Sにおけるメタンガスの吸着
量を石英スプリング5の負荷量から算出した。なお、石
英スプリング5および試料室2等の浮力の補正値は予め
試料なしの状態で測定したメタン圧−変位の関係から求
めた。なお、本メタンガス吸着試験では、上記3種の金
属原子導入多孔体の他、上記実施例2に係る有機チオー
ル基含有多孔体(即ち金属原子導入前のもの)および上
述の層間架橋製造法に従ってカネマイトと界面活性剤と
から得られた上記FSM−16(即ち有機基を含まない
ヘキサゴナル構造メソ多孔体)についても、同条件でメ
タン吸着能を調べた。併せて、ガス吸着特性の比較対照
として、活性炭繊維(A20;細孔径1.13mm、比表面積
1770m2/g、細孔容積0.97ml/g、嵩密度0.03g/cc)および
キャタラー社製の粒状活性炭(AC)を用いて、同条件
でメタン吸着能を調べた。
【0057】各平衡圧力(50〜700Torr)におけ
る、各試料の容積あたりのメタンガス吸着量(mmol/cc
)を吸着等温線として図18に示す。併せて、700T
orr(0.92 atm)時の各試料の容積あたりおよび重量あた
りのメタンガス吸着量(mmol/ccおよびmmol/g)を表3
に示す。
【0058】
【表3】
【0059】図18および表3から明らかなように、3
種の金属原子含有多孔体および有機チオール基含有多孔
体(表、図中のCuCl2/HS- 、NiCl2/HS- 、MnCl2/HS- お
よびHS- )のいずれもが、常温で常圧またはそれ以下の
圧力条件下において粒状活性炭(表、図中のAC)と同等
またはそれ以上のメタンガス吸着能を有することが示さ
れた。これに対して、繊維状活性炭(A20) および有機基
非含有多孔体(FSM-16)のメタンガス吸着能は上記粒状活
性炭等よりも劣っており、繊維状活性炭(A20)について
の容積あたりのガス吸着能が最低であった。このこと
は、繊維状活性炭が極めて比表面積の大きい嵩高な物質
であるため、容積あたりのガス吸着能が他の供試多孔材
料よりもはるかに劣ることを示している。また、特に金
属原子として銅またはニッケルを導入したものは、容積
(cc)あたりのガス吸着量が粒状活性炭のおよそ1.6〜
1.8倍であることが明らかとなった。また、これら金
属原子導入多孔体は重量あたりのメタンガス吸着量でも
粒状活性炭のそれを上回っていた。このことは、本発明
の炭化水素ガス吸着剤の中でも特に、これら金属原子を
細孔内に導入した多孔体が容積あたりのガス吸着能に優
れており、例えば、自動車のようにガス吸着剤搭載スペ
ースが限られている場合に好適に使用し得るガス吸着剤
であることを示すものである。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、自動車のような限られ
た貯蔵スペースにも多量にメタンおよびその他の低級炭
化水素ガスを貯蔵し得る実用的な炭化水素ガス吸着剤を
提供することができる。すなわち、本発明の炭化水素ガ
ス吸着剤によれば、容積あたりのガス吸着能が優れてお
り、常温で常圧またはそれ以下の圧力条件下において、
メタンガスその他の常温常圧で気体状態を保ち得る低級
炭化水素ガスを効率よく可逆的に吸着することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヘキサゴナル構造多孔体の細孔壁構造を模式的
に示す説明図である。
【図2】シリカ系多孔体の細孔壁に有機基を付与する手
段の一例を示す説明図である。
【図3】シリカ系多孔体の細孔壁に有機基を付与する手
段の一例を示す説明図である。
【図4】ヘキサゴナル構造多孔体の細孔壁に付与された
有機チオール基の状態を模式的に示す説明図である。
【図5】有機チオール基が付与されたヘキサゴナル構造
多孔体の細孔内に金属原子が導入された状態を模式的に
示す説明図である。
【図6】実施例1で得た有機基含有多孔体についての13
CNMRスペクトルを示す図である。
【図7】実施例1で得た有機基含有多孔体についての29
SiNMRスペクトルを示す図である。
【図8】実施例1で得たC3H6SH基含有多孔体に係る水熱
処理前前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図9】実施例1で得た非水熱処理C3H6SH基含有多孔体
のX線回折パターンを示す図である。
【図10】実施例1で得たC3H6SH基含有多孔体に係る水
熱処理後前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図11】実施例1で得た水熱処理済みC3H6SH基含有多
孔体のX線回折パターンを示す図である。
【図12】実施例1で得た各有機基含有多孔体に係る水
熱処理前前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図13】実施例1で得た各有機基含有多孔体に係る水
熱処理後前駆体のX線回折パターンを示す図である。
【図14】実施例1で得た各水熱処理済み有機基含有多
孔体のX線回折パターンを示す図である。
【図15】実施例1で得たC6H5基含有多孔体ならびに該
多孔体の水熱処理前前駆体および水熱処理後前駆体につ
いての29SiNMRスペクトルを示す図である。
【図16】実施例1で得た各有機基含有多孔体の窒素吸
着等温線を示す図である。
【図17】マイクロ天秤利用に基づくガス吸着量測定装
置の一例を示した図である。
【図18】実施例3における各多孔材料のメタンガス吸
着等温線を示す図である。
【符号の説明】
1 装置 2 試料室 5 石英スプリング 7 メタンガスボンベ S 試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 伸二 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4G066 AA02A AA02B AA22A AA22B AA37A AA37B AA39A AA39B AB01D AB06D AB09D AB15A AB15B AB18A AB18B AB21D AD02A AD02B BA22 BA23 BA24 BA32 BA36 CA51 DA04 FA03 FA05 FA11 FA21 FA34 FA38 4G073 BA44 BA48 BA57 BA63 BB19 BB57 BD11 BD16 CA06 CD01 CM07 FB23 FB25 FB26 FC25 GB05 UA06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機系または無機/有機ハイブリッド系
    のメソ多孔体であって細孔壁面に有機基および/または
    官能基を含む多孔体から実質的に構成される、炭素数1
    〜4の炭化水素ガスを吸着させるための炭化水素ガス吸
    着剤。
  2. 【請求項2】 前記多孔体が金属原子を有している、請
    求項1に記載の炭化水素ガス吸着剤。
  3. 【請求項3】 前記有機基および/または官能基がチオ
    ール基を含んでいる、請求項1に記載の炭化水素ガス吸
    着剤。
  4. 【請求項4】 前記多孔体の細孔内に金属原子を保持し
    ている、請求項1または3に記載の炭化水素ガス吸着
    剤。
  5. 【請求項5】 前記金属原子が銅および/またはニッケ
    ルである、請求項2または4に記載の炭化水素ガス吸着
    剤。
  6. 【請求項6】 前記多孔体は、シリケート骨格を有する
    シリカ系メソ多孔体であって水中で50℃〜200℃の
    加熱処理を施して調製された多孔体である、請求項1〜
    5のいずれかに記載の炭化水素ガス吸着剤。
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