JP5603566B2 - 球状メソポーラスカーボン及びその製造方法 - Google Patents

球状メソポーラスカーボン及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、球状メソポーラスカーボン及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、吸着剤、触媒、触媒担体、電気二重層キャパシタ、センサー、電極等に用いることができる球状メソポーラスカーボン及びその製造方法に関する。
カーボン多孔体は、熱安定性、水熱安定性、化学的耐久性、脂溶性等に優れているために、吸着剤、リチウム二次電池等の各種電気化学デバイス、エネルギー又は水素の貯蔵材料などへの応用が期待されている。従来、この種の用途には、主として、活性炭の使用が検討されていたが、活性炭は、形状が不規則であり、細孔分布が広いという欠点がある。そのため、活性炭に代わるカーボン多孔体の合成に関する研究が盛んである。
例えば、非特許文献1には、メソポーラスシリカを鋳型とするカーボン多孔体の製造方法が開示されている。このようにして合成されるカーボン多孔体は、メソポーラスシリカの形状が転写されるので、使用するシリカの形状に応じて様々な形状をとることが可能である。
また、特許文献1には、球状メソポーラスシリカのメソ細孔内にフルフリルアルコールを充填し、フルフリルアルコールを重合及び炭化させ、球状メソポーラスシリカを除去することにより得られる単分散球状カーボン多孔体が開示されている。
同文献には、このような方法により、細孔分布が0.5nm〜2.0nmにピークを持つ単分散球状カーボン多孔体が得られる点が記載されている。
さらに、特許文献2には、球状メソポーラスシリカを規則配列させ、球状メソポーラスシリカのメソ細孔内にフルフリルアルコールを充填し、フルフリルアルコールを重合及び炭化させ、球状メソポーラスシリカを除去することにより得られる多孔質カーボン配列体が開示されている。
同文献には、このような方法により、細孔分布が0.5nm〜2.0nmにピークを持つ単分散球状カーボン多孔体の規則配列体が得られる点が記載されている。
特開2006−219322号公報 特開2007−197305号公報
A.B.Fuertes, J.Mater.Chem., 2003, 13, 3085-3088
球状メソポーラスシリカのメソ細孔内に炭素源を導入し、炭素源を炭化させ、球状メソポーラスシリカを除去すると、球状カーボン多孔体が得られる。しかしながら、従来の方法により得られる球状カーボン多孔体は、いずれも中心細孔径(細孔分布のピーク値)が2nm以下であり、中心細孔径が2nmを超える球状カーボン多孔体が得られた例は、従来にはない。
本発明が解決しようとする課題は、中心細孔径が2nmを超える球状メソポーラスカーボン及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る球状メソポーラスカーボンは、カーボンナノロッドから構成され、前記カーボンナノロッドの間隔が2nm超であり、前記カーボンナノロッドは、放射状に配列していることを要旨とする。
また、本発明に係る球状メソポーラスカーボンの製造方法は、
球状メソポーラスシリカの骨格を形成するシリカ原料に、含窒素官能基を備えた含窒素化合物を99:1〜80:20(モル比)で混合し、界面活性剤共存下で前記含窒素化合物と前記シリカ原料とを共重合させ、球状メソポーラスシリカのメソ細孔内に界面活性剤が充填された前駆体粒子を得る前駆体粒子製造工程と、
前記中心細孔径が4nm以上となるように前記メソ細孔を拡径する拡径工程と、
前記メソ細孔内に充填されている有機物を除去する有機物除去工程と、
前記メソ細孔内に炭素源を導入し、前記炭素源を炭化させる炭化工程と、
前記メソ細孔内に炭素が充填された前記球状メソポーラスシリカからシリカを溶解除去するシリカ除去工程と
を備えていることを要旨とする。
球状メソポーラスシリカのメソ細孔内に炭素源を導入し、炭素源を炭化させると、メソ細孔内にカーボンナノロッドが生成する。カーボンナノロッドの鋳型となる球状メソポーラスシリカを合成する場合において、含窒素系官能基を備えた含窒素化合物を原料に用いると、その骨格内に含窒素官能基が導入された球状メソポーラスシリカが得られる。このような球状メソポーラスシリカのメソ細孔を所定の大きさ以上に拡径した後、メソ細孔内に炭素源を導入し、炭素源を炭化させると、カーボンナノロッドの間隔(中心細孔径)が2nmを超える球状メソポーラスカーボンが得られる。これは、球状メソポーラスシリカに含窒素官能基を共重合させて拡径処理を行うことで、拡径後のシリカの壁厚と細孔径が増大し、その結果、カーボンナノロッドの直径が増大してカーボンナノロッドの強度が向上するとともに、炭化時のメソ細孔の収縮が抑制されてロッド間の距離が維持されるためと考えられる。
実施例1〜4及び比較例1で得られた球状メソポーラスカーボンの細孔径分布である。 実施例1、5で得られた球状メソポーラスカーボンの細孔径分布である。 実施例4及び比較例2で得られた球状メソポーラスカーボンの細孔径分布である。 実施例2及び比較例1、3で得られた球状メソポーラスカーボンの細孔径分布である。 実施例2及び比較例4で得られた球状メソポーラスカーボンの細孔径分布である。 含窒素化合物の共重合量と球状メソポーラスカーボンのカーボンナノロッド間の距離との関係を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 球状メソポーラスカーボン]
本発明に係る球状メソポーラスカーボンは、カーボンナノロッドから構成され、前記カーボンナノロッドの間隔が2nm超である。
[1.1 カーボンナノロッド]
カーボンナノロッドとは、カーボンからなる中実の棒状粒子をいう。後述するように、球状メソポーラスカーボンは、球状メソポーラスシリカを鋳型に用いて製造される。そのため、カーボンナノロッドは、球状メソポーラスシリカのメソ細孔の配列にほぼ対応した配列を取る。
例えば、メソ細孔が放射状に配列している球状メソポーラスシリカを鋳型に用いた場合、カーボンナノロッドが放射状に配列している球状メソポーラスカーボンが得られる。
ここで、「カーボンナノロッドが放射状に配列している」とは、球の中心から表面に向かってカーボンナノロッドが枝分かれしつつ放射状に伸びる内部構造をいう。カーボンナノロッドの隙間は、中心から表面に向かって放射状に伸びる細孔を形成している。カーボンナノロッドを放射状に配列させると、細孔の利用効率が向上するという利点がある。
[1.2 カーボンナノロッドの間隔]
本発明において、カーボンナノロッドの間隔は、2nm超である。この点が、従来の球状メソポーラスカーボンとは異なる。カーボンナノロッドの間隔が2nmを超える球状メソポーラスカーボンは、後述する条件を満たす球状メソポーラスシリカを鋳型に用いることにより製造することができる。
ここで、「カーボンナノロッドの間隔」とは、細孔分布曲線のピーク(中心細孔径)をいう。
[1.3 形状]
「球状」とは、同一条件下で製造された複数個(好ましくは、20個以上)の粒子を顕微鏡観察した場合において、各粒子の真球度の平均値が、13%以下であることをいう。また、「真球度」とは、各粒子の外形の真円からのずれの程度を表す指標であって、粒子の表面に接する最小の外接円の半径(r)に対する、外接円と粒子表面の各点との半径方向の距離の最大値(Δrmax)の割合(=Δrmax×100/r(%))で表される値をいう。後述する方法を用いると、真球度が7%以下、あるいは、3%以下である球状メソポーラスカーボンが得られる。
[1.4 平均粒径]
球状メソポーラスカーボンの平均粒径は、鋳型に用いる球状メソポーラスシリカの粒径により制御することができる。球状メソポーラスシリカの製造条件を最適化すると、平均粒径が0.1〜2μmである球状メソポーラスカーボンが得られる。
[1.5 単分散度]
球状メソポーラスカーボンは、直径のばらつきが大きくても良い。しかしながら、直径のばらつきを小さくすると、球状粒子が規則配列している集積体を得ることができる。鋳型として用いられる球状メソポーラスシリカの製造条件を最適化すると、単分散度が10%以下は、あるいは、5%以下である球状メソポーラスカーボンが得られる。
ここで、「単分散度」とは、(1)式で表される値をいう。
単分散度=(粒子径の標準偏差)×100/(粒子径の平均値) ・・・(1)
[2. 球状メソポーラスカーボンの製造方法]
本発明に係る球状メソポーラスカーボンの製造方法は、前駆体粒子製造工程と、拡径工程と、有機物除去工程と、炭化工程と、シリカ除去工程とを備えている。
[2.1 前駆体粒子製造工程]
前駆体粒子製造工程は、球状メソポーラスシリカの骨格を形成するシリカ原料に、含窒素官能基を備えた含窒素化合物を99:1〜80:20(モル比)で混合し、界面活性剤共存下で含窒素化合物とシリカ原料とを共重合させ、球状メソポーラスシリカのメソ細孔内に界面活性剤が充填された前駆体を得る工程である。
[2.1.1 含窒素化合物]
「含窒素化合物」とは、
(1)1以上の含窒素官能基を備え、かつ、
(2)後述するシリカ原料と共重合可能なもの、すなわち、シリカ原料と反応してSi−O−Siのネットワークに取り込まれるもの、
をいう。
「含窒素官能基」とは、−NH2基、−NH−基及び−N=基から選ばれるいずれか1以上を含む官能基をいう。含窒素化合物には、これらのいずれか1種の含窒素官能基が含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
1個以上の含窒素官能基を分子鎖に持つ含窒素化合物としては、例えば、
(1)3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンなどの分子内に含窒素官能基を1個有するトリアルコキシシラン(ケイ素化合物)、
(2)3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどの分子内に含窒素官能基を1個有するジアルコキシシラン(ケイ素化合物)、
(3)N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどの分子内に含窒素官能基を2個有するトリアルコキシシラン(ケイ素化合物)、
(4)N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどの分子内に含窒素官能基を2個有するジアルコキシシラン(ケイ素化合物)、
(5)2−[2−(3−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル−トリメトキシシランなどの分子内に含窒素官能基を3個有するトリアルコキシシラン(ケイ素化合物)、
などがある。
[2.1.2 シリカ原料]
「シリカ原料」とは、球状メソポーラスシリカの骨格を形成することができ、かつ、含窒素化合物と共重合可能な原料をいう。
シリカ原料には、
(1)テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン(シラン化合物)、
(2)トリメトキシシラノール、トリエトキシシラノール、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、トリエトキシ−3−グリシドキシプロピルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン(シラン化合物)、
(3)ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン等のジアルコキシシラン(シラン化合物)、
(4)メタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)、オルトケイ酸ナトリウム(Na4SiO4)、二ケイ酸ナトリウム(Na2Si25)、四ケイ酸ナトリウム(Na2Si49)、水ガラス(Na2O・nSiO2、n=2〜4)等のケイ酸ナトリウム、
(5)カネマイト(NaHSi25・3H2O)、二ケイ酸ナトリウム結晶(α、β、γ、δ−Na2Si25)、マカタイト(Na2Si49)、アイアライト(Na2Si817・xH2O)、マガディアイト(Na2Si1417・xH2O)、ケニヤイト(Na2Si2041・xH2O)等の層状シリケート、
(6)Ultrasil(登録商標)(Ultrasil社)、Cab−O−Sil(登録商標)(Cabot社)、Hi−Sil(登録商標)(Pittsburgh Plate Glass社)等の沈降性シリカ、コロイダルシリカ、Aerosil(登録商標)(Degussa−Huls社)等のフュームドシリカ、
などを用いることができる。
また、シリカ原料には、ヒドロキシアルコキシシランも用いることができる。ヒドロキシアルコキシシランとは、アルコキシシランのアルコキシ基の炭素原子にヒドロキシ基(−OH)がついたものをいう。ヒドロキシアルコキシシランとしては、ヒドロキシアルコキシ基を4個有するテトラキス(ヒドロキシアルコキシ)シラン、ヒドロキシアルコキシ基を3個有するトリス(ヒドロキシアルコキシ)シランを用いることができる。
ヒドロキシアルコキシ基の種類及びヒドロキシ基の数は特に制限されないが、2−ヒドロキシエトキシ基、3−ヒドロキシプロポキシ基、2−ヒドロキシプロポキシ基、2,3−ジヒドロキシプロキシ基等のように、ヒドロキシアルコキシ基中の炭素原子の数が比較的少ないもの(炭素数が1〜3程度のもの)が反応性の点から有利である。
テトラキス(ヒドロキシアルコキシ)シランとしては、テトラキス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、テトラキス(3−ヒドロキシプロポキシ)シラン、テトラキス(2−ヒドロキシプロキシ)シラン、テトラキス(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)シラン、などがある。
トリス(ヒドロキシアルコキシ)シランとしては、メチルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、エチルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、フェニルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、3−メルカプトプロピルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、3−クロロプロピルトリス(2−ヒドロキシエトキシ)シラン、などがある。
これらのヒドロキシアルコキシシランは、アルコキシシランとエチレングリコールやグリセリンなどの多価アルコールとを反応させることにより合成することができる(例えば、Doris Brandhuber et al., Chem.Mater. 2005, 17, 4262参照)。
これらの中でも、テトラアルコキシシラン及びテトラキス(ヒドロキシアルコキシ)シランは、加水分解により生ずるシラノール結合の数が多くなり、強固な骨格を形成することができるので、シリカ原料として好適である。
なお、これらのシリカ原料は、単独で用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。但し、2種以上のシリカ原料を用いると、前駆体粒子の製造時の反応条件が複雑化する場合がある。このような場合には、シリカ原料は、単独で使用するのが好ましい。
[2.1.3 Si以外の金属元素Mを含む原料]
前駆体粒子を構成する球状メソポーラスシリカは、シリカのみを含むものでも良く、あるいは、シリカ以外の金属元素Mの酸化物を含んでいても良い。金属元素Mは、特に限定されるものではないが、2価以上の金属アルコキシドを製造可能なものが好ましい。金属元素Mが2価以上の金属アルコキシドを製造可能なものである場合、金属元素Mの酸化物を含む球状粒子を容易に製造することができる。このような金属元素Mとしては、具体的には、Al、Ti、Mg、Zrなどがある。
球状メソポーラスシリカがシリカ以外の金属元素Mの酸化物を含む場合には、シリカ原料として、Si以外の金属元素Mを含む原料を用いることができる。
すなわち、球状メソポーラスシリカの骨格を形成するために、Si以外の金属元素Mを含む原料を用いる場合において、「シリカ原料」というときは、Siを含む原料だけでなく、Si以外の金属元素Mを含む原料も含まれる。
Si以外の金属元素Mを含む原料には、
(1)アルミニウムブトキシド(Al(OC49)3)、アルミニウムエトキシド(Al(OC25)3)、アルミニウムイソプロポキシド(Al(OC37)3)等のAlを含むアルコキシド類、及び、アルミン酸ナトリウム、塩化アルミニウム等の塩類、
(2)チタンイソプロポキシド(Ti(Oi−C37)4)、チタンブトキシド(Ti(OC49)4)、チタンエトキシド(Ti(OC25)4)等のTiを含むアルコキシド、
(3)マグネシウムメトキシド(Mg(OCH3)2)、マグネシウムエトキシド(Mg(OC25)2)等のMgを含むアルコキシド、
(4)ジルコニウムイソプロポキシド(Zr(Oi−C37)4)、ジルコニウムブトキシド(Zr(OC49)4)、ジルコニウムエトキシド(Zr(OC25)4)等のZrを含むアルコキシド、
などを用いることができる。
[2.1.4 界面活性剤]
界面活性剤は、粒子内にメソ細孔を形成するための鋳型となる。界面活性剤の種類は、特に限定されるものではなく、種々の界面活性剤を用いることができる。使用する界面活性剤の種類、添加量などに応じて、粒子内の細孔構造を制御することができる。
界面活性剤は、特に、アルキル4級アンモニウム塩が好ましい。アルキル4級アンモニウム塩とは、次の(a)式で表されるものをいう。
CH3−(CH2)n−N+(R1)(R2)(R3)X- ・・・(a)
(a)式中、R1、R2、R3は、それぞれ、炭素数が1〜3のアルキル基を表す。R1、R2、及び、R3は、互いに同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。アルキル4級アンモニウム塩同士の凝集(ミセルの形成)を容易化するためには、R1、R2、及び、R3は、すべて同一であることが好ましい。さらに、R1、R2、及び、R3の少なくとも1つは、メチル基が好ましく、すべてがメチル基であることが好ましい。
(a)式中、Xはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子の種類は特に限定されないが、入手の容易さからXは、Cl又はBrが好ましい。
(a)式中、nは7〜21の整数を表す。一般に、nが小さくなるほど、メソ孔の中心細孔径が小さい前駆体粒子が得られる。一方、nが大きくなるほど、中心細孔径は大きくなるが、nが大きくなりすぎると、アルキル4級アンモニウム塩の疎水性相互作用が過剰となる。その結果、層状の化合物が生成し、球状の前駆体粒子が得られない。nは、好ましくは、9〜17、さらに好ましくは、13〜17である。
(a)式で表されるものの中でも、アルキルトリメチルアンモニウムハライドが好ましい。アルキルトリメチルアンモニウムハライドとしては、例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムハライド、ノニルトリメチルアンモニウムハライド、デシルトリメチルアンモニウムハライド、ウンデシルトリメチルアンモニウムハライド、ドデシルトリメチルアンモニウムハライド等がある。
これらの中でも、特に、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリドが好ましい。
前駆体粒子を合成する場合において、1種類のアルキル4級アンモニウム塩を用いても良く、あるいは、2種以上を用いても良い。しかしながら、アルキル4級アンモニウム塩は、粒子内にメソ細孔を形成するためのテンプレートとなるので、その種類は、メソ細孔の形状に大きな影響を与える。より均一なメソ細孔を有する前駆体粒子を合成するためには、1種類のアルキル4級アンモニウム塩を用いるのが好ましい。
[2.1.5 溶媒]
溶媒には、水、アルコールなどの有機溶媒、水と有機溶媒の混合溶媒などを用いる。アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール等の1価のアルコール、エチレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン等の3価のアルコールのいずれでも良い。
水と有機溶媒の混合溶媒を用いる場合、混合溶媒中の有機溶媒の含有量は、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、溶媒中に適量の有機溶媒を添加すると、粒径や粒度分布の制御が容易化する。
[2.1.6 塩基性物質]
これらの原料を含む溶液には、溶液を塩基性とし、含窒素化合物及びシリカ原料を加水分解させるために、塩基性物質を加える。塩基性物質としては、具体的には、水酸化ナトリウム、アンモニア水等がある。
[2.1.7 配合比]
含窒素化合物とシリカ原料の配合比は、カーボンナノロッドの間隔に影響を与える。カーボンナノロッドの間隔が2nm超である球状メソポーラスカーボンを得るためには、シリカ原料と含窒素化合物とをモル比で99:1〜80:20で配合する必要がある。
含窒素化合物の配合比が少なすぎると、カーボンナノロッドの間隔が2nm超である球状メソポーラスカーボンが得られない。従って、含窒素化合物は、シリカ原料:含窒素化合物のモル比が少なくとも99:1以上となるように配合する必要がある。シリカ原料:含窒素化合物のモル比は、さらに好ましくは、98:2以上である。
一般に、原料全体に占める含窒素化合物の割合が多くなるほど、カーボンナノロッドの間隔が増大する。しかしながら、含窒素化合物の割合が過剰になると、単分散性が低下する。従って、含窒素化合物は、シリカ原料:含窒素化合物のモル比が最大でも80:20となるように配合する必要がある。
また、原料中にSi以外の金属元素Mを含む原料が含まれる場合、「シリカ原料」には、Si以外の金属元素Mを含む原料も含まれる。
含窒素化合物及びシリカ原料(以下、これらを総称して「骨格原料」という)以外の配合比は、目的に応じて最適な配合比を選択すれば良い。
一般に、骨格原料の濃度が低すぎると、前駆体粒子を高収率で得ることができない。また、粒径及び粒度分布の制御が困難となり、粒径の均一性が低下する。従って、骨格原料の濃度は、0.005mol/L以上が好ましい。骨格原料の濃度は、さらに好ましくは、0.008mol/L以上である。
一方、骨格原料の濃度が高すぎると、メソ細孔を形成するためのテンプレートとして機能する界面活性剤が相対的に不足し、規則配列したメソ細孔が得られない。従って、骨格原料の濃度は、0.03mol/L以下が好ましい。骨格原料の濃度は、さらに好ましくは、0.015mol/L以下である。
一般に、界面活性剤の濃度が低すぎると、メソ細孔を形成するためのテンプレートが不足し、規則配列したメソ細孔が得られない。従って、界面活性剤の濃度は、0.003mol/L以上が好ましい。界面活性剤の濃度は、さらに好ましくは、0.01mol/L以上である。
一方、界面活性剤の濃度が高すぎると、前駆体粒子を高収率で得ることができない。従って、界面活性剤の濃度は、0.03mol/L以下が好ましい。界面活性剤の濃度は、さらに好ましくは、0.02mol/L以下である。
一般に、塩基性物質の添加量が少なすぎると、収率が極端に低下する。一方、塩基性物質の添加量が多すぎると、前駆体粒子の形成が困難となる場合がる。
例えば、塩基性物質が強塩基である場合、塩基性物質の添加量は、具体的には、塩基性物質のアルカリ当量を骨格原料中の金属元素M(Siを含む)のモル数で除した値で、0.1〜0.9が好ましく、さらに好ましくは、0.2〜0.5である。
また、塩基性物質が弱塩基である場合、塩基性物質の添加量は、塩基性物質のアルカリ当量を骨格原料中の金属元素M(Siを含む)のモル数で除した値で、0.2〜5が好ましく、さらに好ましくは、1〜3である。
[2.1.8 反応条件]
シリカ原料として、アルコキシシラン、ヒドロキシアルコキシシラン等のシラン化合物を用いる場合には、これをそのまま出発原料として用いる。
一方、シリカ原料としてシラン化合物以外の化合物を用いる場合には、予め、水(又は、必要に応じてアルコールが添加されたアルコール水溶液)にシリカ原料を加えて、水酸化ナトリウム等の塩基性物質を加える。塩基性物質の添加量は、シリカ原料中のケイ素原子と等モル程度の量とするのが好ましい。シラン化合物以外のシリカ原料を含む溶液に塩基性物質を加えると、シリカ原料中に既に形成されているSi−(O−Si)4結合の一部が切断され、均一な溶液が得られる。溶液中に含まれる塩基性物質の量は、前駆体粒子の収量や気孔率に影響を及ぼすので、均一な溶液が得られた後、溶液に希薄酸溶液を加え、溶液中に存在する過剰の塩基性物質を中和させる。希薄酸溶液の添加量は、シリカ原料中のケイ素原子に対して1/2〜3/4倍モルに相当する量が好ましい。
所定量の界面活性剤を含む溶媒中に、骨格原料を加え、加水分解及び重縮合を行う。これにより、界面活性剤がテンプレートとして機能し、球状メソポーラスシリカのメソ細孔内が界面活性剤で充填された前駆体粒子が得られる。
反応条件は、骨格原料の種類、前駆体粒子の粒径等に応じて、最適な条件を選択する。一般に、反応温度は、−20〜100℃が好ましい。反応温度は、さらに好ましくは、0〜80℃、さらに好ましくは、10〜40℃である。
[2.2 拡径工程]
拡径工程は、中心細孔径が4nm以上となるように前駆体粒子のメソ細孔を拡径する工程である。拡径後のメソ細孔の中心細孔径が4nm未満であると、ロッドの間隔が2nmを超える球状メソポーラスカーボンが得られない。
拡径処理は、具体的には、合成された前駆体粒子(界面活性剤が充填された球状メソポーラスシリカ)を、拡径剤を含む溶液中で水熱処理することにより行う。この処理によって球状メソポーラスシリカの細孔径を拡大することができる。
[2.2.1 拡径剤]
このような拡径剤としては、具体的には、鎖状炭化水素、環状炭化水素、鎖状脂肪族アミン、鎖状脂肪族アルコール、ヘテロ環化合物などがある。これらは、いずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
この場合、拡径剤が溶媒から、より疎水性の高い前駆体粒子の細孔内に導入されることにより、細孔径が拡大する。
なお、拡径剤として、アルキルアンモニウムハライドを用いる方法が知られているが、この方法では、細孔径の拡張が不十分となり、4nm以上の中心細孔径を持つ球状メソポーラスシリカは得られない。
(1) 鎖状炭化水素:
鎖状炭化水素は、鎖状の炭化水素であれば良く,特に限定されないが、炭素数が6〜26(より好ましくは、6〜12)の鎖状炭化水素が好ましい。鎖状炭化水素の炭素数が下限未満では、疎水性が小さくなり、前駆体粒子の細孔内に導入され難くなる傾向がある。他方、上限を超えると、溶解性が低下する傾向がある。
このような鎖状炭化水素としては、例えば、ヘキサン、メチルペンタン、ジメチルブタン、ヘプタン、メチルヘキサン、ジメチルペンタン、トリメチルブタン、オクタン、メチルヘプタン、ジメチルヘキサン、トリメチルペンタン、イソプロピルペンタン、ノナン、メチルオクタン、エチルヘプタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等が挙げられる。疎水性や溶解性等の観点から、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンが好ましい。
(2) 環状炭化水素:
環状炭化水素は、その骨格に環状の炭化水素を含有するものであれば良く、特に限定されないが、環数が1〜3で炭素数が6〜20(より好ましくは、6〜16)の環状炭化水素が好ましい。環状炭化水素の炭素数が下限未満では、疎水性が小さくなり、前駆体粒子の細孔内に導入され難くなる傾向にある。他方、上限を超えると、溶解性が低下するため、細孔径の拡大が図れなくなる傾向にある。また、環状炭化水素の環数が3を超えると溶解性が低下するため、細孔径の拡大が図れなくなる傾向にある。
このような環状炭化水素としては、例えば、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン、トリイソプロピルベンゼン、インデン、ナフタレン、テトラリン、アズレン、ビフェニレン、アセナフチレン、フルオレン、フェナントレン、アントラセン等が挙げられる。疎水性や溶解性の観点から、シクロヘキサン、ベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、トリイソプロピルベンゼン、ナフタレンが好ましい。
(3) 鎖状脂肪族アミン:
鎖状脂肪族アミンは、鎖状の脂肪族アミンであれば良く,特に限定されないが、炭素数が6〜26(より好ましくは、6〜20)の鎖状脂肪族アミンが好ましい。鎖状脂肪族アミンの炭素数が下限未満では、疎水性が小さくなり、前駆体粒子の細孔内に導入され難くなる傾向にある。他方、上限を超えると、溶解性が低下する傾向にある。
このような鎖状脂肪族アミンとしては、例えば、ヘキシルアミン、メチルペンチルアミン、ジメチルブタチルアミン、ヘプチルアミン、メチルヘキシルアミン、ジメチルペンチルアミン、トリメチルブチルアミン、オクチルアミン、メチルヘプチルアミン、ジメチルヘキシルアミン、トリメチルペンチルアミン、イソプロピルペンチルアミン、ノニルアミン、メチルオクチルアミン、エチルヘプチルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、N,N'−ジメチル−n−へキシルアミン、N,N'−ジメチル−n−オクチルアミン、N,N'−ジメチル−n−デシルアミン、N,N'−ジメチル−n−ドデシルアミン、N,N'−ジメチル−n−テトラデシルアミン、N,N'−ジメチル−n−パルミチルアミンが挙げられる。疎水性や溶解性の観点から、N,N'−ジメチル−n−デシルアミン、N,N'−ジメチル−n−ドデシルアミン、N,N'−ジメチル−n−テトラデシルアミン、N,N'−ジメチル−n−パルミチルアミンが好ましい。
(4) 鎖状脂肪族アルコール:
鎖状脂肪族アルコールは、鎖状の脂肪族アルコールであれば良く,特に限定されないが、炭素数が6〜26(より好ましくは、6〜20)の鎖状脂肪族アルコールが好ましい。鎖状脂肪族アルコールの炭素数が下限未満では、疎水性が小さくなり,前駆体粒子の細孔内に導入され難くなる傾向にある。他方、上限を超えると,溶解性が低下する傾向にある。
このような鎖状脂肪族アルコールとしては、例えば、ヘキサノール、メチルペンタノール、ジメチルブタノール、ヘプタノール、メチルヘキサノール、ジメチルペンタノール、トリメチルブタノール、オクタノール、メチルヘプタノール、ジメチルヘキサノール、トリメチルペンタノール、イソプロピルペンタノール、ノナノール、メチルオクタノール、エチルヘプタノール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコールが挙げられる。疎水性や溶解性の観点から、ヘキサノール、オクタノール、デカノールが好ましい。
(5) ヘテロ環化合物:
ヘテロ環化合物は、その骨格にヘテロ環を含有するものであれば良く、特に限定されないが、環数が1〜3で炭素数が4〜18(より好ましくは、5〜12)で、ヘテロ原子が窒素、酸素及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1種の原子であるヘテロ環化合物が好ましい。ヘテロ環化合物の炭素数が下限未満では、疎水性が小さくなり、前駆体粒子の細孔内に導入され難くなる傾向にある。他方、上限を超えると溶解性が低下するため、細孔径の拡大が図れなくなる傾向にある。また、ヘテロ環化合物の環数が3を超えると溶解性が低下するため、細孔径の拡大が図れなくなる傾向にある。
このようなヘテロ環化合物としては、例えば、ピロール、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン等が挙げられる。疎水性や溶解性の観点から、ピリジン、キノリン、アクリジン、フェナントロリンが好ましい。
[2.2.2 溶液組成]
溶媒には、水とアルコールとの混合溶媒を用いる。このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の1価のアルコール、エチレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン等の3価のアルコールのいずれでも良い。
溶媒中のアルコールの含有量は、40〜90容量%である必要がある。アルコールの含有量は、50〜85容量%であることが好ましく、55〜75容量%であることがより好ましい。
この溶媒中におけるアルコールの含有量が90容量%を超える場合には、細孔内への鎖状炭化水素や環状炭化水素や鎖状脂肪族アミンや鎖状脂肪族アルコールやヘテロ環化合物の導入が十分に進まなくなる。
他方、この溶媒中におけるアルコールの含有量が40容量%未満の場合は、水の割合が多くなるため、鎖状炭化水素、環状炭化水素、鎖状脂肪族アミン、鎖状脂肪族アルコール、ヘテロ環化合物が溶媒中に十分に溶解しなくなる。さらに、高温の水によって,シリカネットワークの再構築が促進された前駆体粒子の形状が変化してしまったり、あるいは、シリカネットワークが崩壊したりする。
さらに、この溶媒中における拡径剤の濃度は、溶液の全容量を基準として0.05〜10mol/L(好ましくは、0.05〜5mol/L、より好ましくは、0.1〜1mol/L)とする必要がある。また、このような溶媒中における拡径剤の濃度の上限値としては、溶液の全容量を基準として0.2mol/L以下であることがさらに好ましく、0.18mol/L以下であることが特に好ましい。
拡径剤の濃度が0.05mol/L未満の場合は、細孔内への鎖状炭化水素や環状炭化水素や鎖状脂肪族アミンや鎖状脂肪族アルコールやヘテロ環化合物の導入が十分に進行せず、得られる粒子の粒径や細孔構造の規則性が低下し、さらには細孔径を十分に拡大することができない。
他方、拡径剤の濃度が10mol/Lを超える場合は、粒径及び粒径分布の制御が困難となって、得られる粒子の粒径の均一性が低くなる。
[2.2.3 処理条件]
拡径処理は、60〜150℃の温度条件下で行われる必要があり、70〜120℃の温度条件下で行われることが好ましい。また、このような温度条件の上限の値としては、100℃(さらに好ましくは90℃、特に好ましくは80℃)以下であることがより好ましい。このような温度が60℃未満では、細孔内への鎖状炭化水素や環状炭化水素や鎖状脂肪族アミンや鎖状脂肪族アルコールやヘテロ環化合物の導入が十分に進行しない。他方、150℃を超えると、粒径及び粒径分布の制御が困難となる。
また、拡径処理後のメソ細孔の中心細孔径は、拡径剤の種類、拡径剤の濃度、処理温度、処理時間などにより制御することができる。
[2.3 有機物除去工程]
有機物除去工程は、メソ細孔内に充填されている有機物を除去する工程である。
拡径後の前駆体粒子は、メソ細孔内に界面活性剤、拡径剤などの有機物が充填されている。これを乾燥後、前駆体粒子から有機物を除去すると、球状メソポーラスシリカが得られる。界面活性剤の除去方法としては、
(1) 前駆体粒子を大気中又は不活性雰囲気下において、300〜1000℃(好ましくは、300〜600℃)で、30分以上(好ましくは、1時間以上)焼成する焼成方法、
(2) 前駆体粒子を界面活性剤の良溶媒(例えば、少量の塩酸を含むメタノール)中に浸漬し、所定の温度(例えば、50〜70℃)で加熱しながら攪拌し、薄膜中の界面活性剤を抽出するイオン交換法、
などがある。
[2.4 炭化工程]
炭化工程は、有機物除去後の球状メソポーラスシリカのメソ細孔内に炭素源を導入し、炭素源を炭化させる工程である。
メソ細孔内にカーボンを析出させる方法としては、以下のような方法がある。
[2.4.1 第1の方法]
カーボンを析出させる第1の方法は、メソ細孔内にカーボン前駆体を導入し、カーボン前駆体を重合及び炭化させる方法である。
「カーボン前駆体」とは、炭素源となるものであり、熱分解によって炭素を生成可能なものであればよい。このようなカーボン前駆体としては、具体的には、
(1) 常温で液体であり、かつ、熱重合性のポリマー前駆体(例えば、フルフリルアルコール、アニリン等)、
(2) 炭水化物の水溶液と酸の混合物(例えば、スクロース(ショ糖)、キシロース(木糖)、グルコース(ブドウ糖)などの単糖類、あるいは、二糖類、多糖類と、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などの酸との混合物)、
(3) 2液硬化型のポリマー前駆体の混合物(例えば、フェノールとホルマリン等)、
などがある。
これらの中でも、ポリマー前駆体は、溶媒で希釈することなくメソ細孔内に含浸させることができるので、相対的に少数回の含浸回数で、相対的に多量の炭素をメソ細孔内に生成させることができる。また、重合開始剤が不要であり、取り扱いも容易であるという利点がある。
液体又は溶液のカーボン前駆体を用いる場合、1回当たりの液体又は溶液の吸着量は、多いほど良く、メソ細孔全体が液体又は溶液で満たされる量が好ましい。
また、カーボン前駆体として炭水化物の水溶液と酸の混合物を用いる場合、酸の量は、有機物を重合させることが可能な最小量とするのが好ましい。
さらに、カーボン前駆体として、2液硬化型のポリマー前駆体の混合物を用いる場合、その比率は、ポリマー前駆体の種類に応じて、最適な比率を選択する。
メソ細孔内にカーボン前駆体を導入した後、前駆体を重合させる。
例えば、カーボン前駆体が、ポリマー前駆体、炭水化物の水溶液と酸の混合物、又は、2液硬化型のポリマー前駆体の混合物である場合、カーボン前駆体の重合は、これを吸着させた球状メソポーラスシリカを所定温度で所定時間加熱することにより行う。最適な重合温度及び重合時間は、カーボン前駆体の種類により異なるが、通常、重合温度は50℃〜400℃、重合時間は5分〜24時間である。
さらに、重合させたカーボン前駆体をメソ孔内において炭化させる。
カーボン前駆体の炭化は、非酸化雰囲気中(例えば、不活性雰囲気中、真空中など)において、球状メソポーラスシリカを所定温度に加熱することにより行う。加熱温度は、具体的には、500℃以上1200℃以下が好ましい。加熱温度が500℃未満であると、カーボン前駆体の炭化が不十分となる。一方、加熱温度が1200℃を超えると、シリカと炭素が反応するので好ましくない。加熱時間は、加熱温度に応じて、最適な時間を選択する。
なお、メソ細孔内に生成させる炭素量は、球状メソポーラスシリカを除去した時に、カーボンロッドで構成される球状メソポーラスカーボンが得られ、かつカーボン粒子が形状を維持できる量以上であればよい。従って、1回の充填、重合及び炭化で生成する炭素量が相対的に少ない場合には、これらの工程を複数回繰り返すのが好ましい。この場合、繰り返される各工程の条件は、それぞれ、同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
また、充填、重合及び炭化の各工程を複数回繰り返す場合、各炭化工程は、相対的に低温で炭化処理を行い、最後の炭化処理が終了した後、さらにこれより高い温度で、再度、炭化処理を行っても良い。最後の炭化処理を、それ以前の炭化処理より高い温度で行うと、複数回に分けて細孔内に導入されたカーボンが一体化しやすくなる。
[2.4.2. 第2の方法]
カーボンを析出させる第2の方法は、メソ孔内に、直接、カーボンを析出させる方法である。すなわち、第2の方法は、気相蒸着法を用いて球状メソ多孔体の少なくともメソ細孔内にカーボンを析出させる方法である。
具体的には、不飽和結合を有する重合性のガス(例えば、アセチレン、プロピレン等)を炭素源として用いて、これを不活性ガス(N、アルゴン、ヘリウム等)で希釈して、球状メソポーラスシリカを設置した流通型反応管に流し、所定温度で所定時間加熱する(いわゆる「熱CVD法」)。これにより、メソ細孔内への炭素源の吸着と同時に重合と炭化が起こる。同様の方法で、液体の炭素源を不活性ガスでバブリングし、一工程でメソ細孔内に炭素を析出させることもできる。加熱温度は、ガスの種類に応じて最適な温度を選択する。
第2の方法において、カーボンの析出は、球状メソポーラスシリカの表面側から生じる。従って、析出時間が相対的に短い場合、球状メソ多孔体の表面近傍のメソ細孔にのみカーボンが析出するので、中空のカーボン粒子が得られる。一方、析出時間が相対的に長い場合、メソ細孔の中心部までカーボンが析出するので、中実のカーボン粒子が得られる。
[2.5 シリカ除去工程]
シリカ除去工程は、メソ細孔内に炭素が充填された球状メソポーラスシリカからシリカを溶解除去するシリカ工程である。
球状メソポーラスシリカと炭素の複合体から球状メソポーラスシリカを除去する方法としては、具体的には、
(1) 複合体を水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液中で加熱する方法、
(2) 複合体をフッ化水素酸水溶液でエッチングする方法、
などがある。
[3. 球状メソポーラスカーボン及びその製造方法の作用]
球状メソポーラスカーボンは、球状メソポーラスシリカのメソ細孔内に炭素源を導入し、炭素源を炭化させ、球状メソポーラスシリカを除去することにより製造することができる。しかしながら、メソ細孔内に炭素源を導入し、炭化のために加熱すると、カーボンナノロッドが生成すると同時に、カーボンナノロッド及びシリカ壁の収縮が起こる。
また、炭素源の導入及び炭化の前に球状メソポーラスシリカのメソ細孔を拡径する処理を行った場合も同様であり、炭化時の加熱によってシリカ壁が収縮する。そのため、拡径処理を行った場合であっても、従来の方法では、カーボンナノロッドの間隔が2nmを超える球状メソポーラスカーボンが得られない。
これに対し、鋳型となる球状メソポーラスシリカを合成する場合において、含窒素系官能基を備えた含窒素化合物を原料に用いると、その骨格内に含窒素官能基が導入された球状メソポーラスシリカが得られる。このような球状メソポーラスシリカのメソ細孔を所定の大きさ以上に拡径した後、メソ細孔内に炭素源を導入し、炭素源を炭化させると、カーボンナノロッドの間隔(中心細孔径)が2nmを超える球状メソポーラスカーボンが得られる。これは、球状メソポーラスシリカに含窒素官能基を共重合させることによって、炭化時のメソ細孔の収縮が抑制されるためと考えられる。
さらに、球状メソポーラスカーボンは、球状メソポーラスシリカの構造が転写される。そのため、球状メソポーラスシリカのメソ細孔が放射状に配置されている場合には、カーボンナノロッドが放射状に配置され、そのロッド間に2nm超の空間が形成された球状メソポーラスカーボンが得られる。このような球状メソポーラスカーボンは、粒子の表面の開口率が高く、物質が出入りしやすく、また、反応物質も拡散しやすい。
また、細孔径が2nm以下である球状メソポーラスカーボンは、チロシンなどの分子径の大きな酵素を配位させることができない。そのため、カーボンを通じて電場で分子を引き寄せ、酵素で分解する化学反応の効率が低い。
これに対し、細孔径が2nmを超える球状メソポーラスカーボンは、このような酵素を配位させることができるので、酵素を用いた化学反応の効率が高い。
(実施例1)
[1. 試料の作製]
[1.1. 大細孔径単分散球状メソポーラスシリカ(MMSS)の作製]
精製水:4126g及びメタノール(MeOH):3810gの混合溶媒にヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド(C16TMACl)35.2gを溶解し、25℃に保ち、攪拌した。さらに、1M NaOH:34.2gを加えた後、テトラメトキシシラン(TMOS):23.6gと、3−アミノプロピル−トリエトキシシラン(APTES)3.11g(モル比TMOS:APTES=90:10に相当)をMeOH:30gで希釈して加えた。約8時間攪拌し、一晩静置した後、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した。その後、45℃で乾燥し、白色粉末(16.85g)を得た。
精製水:297mL、EtOH:243mLの混合溶媒に、得られた白色粉末:9gを超音波処理によって分散させ、さらにトリメチルベンゼン(TMB):19.3gを加えて攪拌した。白色粉末を分散させた溶液を、容量1Lの内筒容器を持つオートクレーブに入れ、100℃×3日間水熱処理した。水熱処理後にオートクレーブを冷却し、減圧して生成物を取り出した。生成物のろ過とEtOHへの再分散を2回繰り返し、洗浄した。その後、45℃で乾燥させた後、大気中550℃×6時間焼成し、大細孔径MMSS:4gを得た。得られた大細孔径MMSSは、粒子径0.440μm、細孔径:5.3nm、単分散度4.0%の単分散球状粒子であった。
[1.2. 単分散球状メソポーラスカーボンの作製]
PFA製容器(容量15mL)に大細孔径MMSS:0.5gを入れ、フルフリルアルコール(FA)を細孔容量分だけ加えて、シリカの細孔内に浸透させた。これを150℃×24h熱処理することにより、FAを重合させた。さらに、これを窒素雰囲気中で500℃×6h熱処理し、FAの炭素化を進めた。これを2回繰り返した後、窒素雰囲気中で900℃×6h熱処理して、大細孔径MMSS/カーボン複合体を得た。
この複合体を12%HF溶液に12h浸漬し、シリカ成分を溶解した。溶解後、ろ過、洗浄を繰り返し、さらに45℃で乾燥して、単分散球状メソポーラスカーボンを得た。
[2. 評価]
得られた単分散球状メソポーラスカーボンは、BET比表面積:1177m2/g、細孔容量:1.403mL/g、ロッド間距離:4.1nm、粒子径:0.415μm、単分散度:4.5%であった。図1及び図2に、実施例1で得られた単分散球状メソポーラスカーボンの細孔径分布を示す。
(実施例2)
[1. 試料の作製]
TMOSの量を25.08g、APTESの量を1.55g(モル比TMOS:APTES=95:5に相当)とした以外は、実施例1と同一条件下で、大細孔径MMSSを作製した。得られた大細孔径MMSSの細孔径は、6.2nmであった。
次に、得られた大細孔径MMSSを用いて、実施例1と同一条件下で、単分散球状メソポーラスカーボンを作製した。
[2. 評価]
得られた単分散球状メソポーラスカーボンは、BET比表面積:1165m2/g、細孔容量:1.024mL/g、ロッド間距離:2.7nm、粒子径:0.522μm、単分散度:4.8%であった。図1、図4及び図5に、実施例2で得られた単分散球状メソポーラスカーボンの細孔径分布を示す。
(実施例3)
[1. 試料の作製]
TMOSの量を25.74g、APTESの量を0.78g(モル比TMOS:APTES=97.5:2.5に相当)とした以外は、実施例1と同一条件下で、大細孔径MMSSを作製した。得られた大細孔径MMSSの細孔径は、7.2nmであった。
次に、得られた大細孔径MMSSを用いて、実施例1と同一条件下で、単分散球状メソポーラスカーボンを作製した。
[2. 評価]
得られた単分散球状メソポーラスカーボンは、BET比表面積:1300m2/g、細孔容量:0.965mL/g、ロッド間距離:2.3nm、粒子径:0.548μm、単分散度:4.6%であった。図1に、実施例3で得られた単分散球状メソポーラスカーボンの細孔径分布を示す。
(実施例4)
[1. 試料の作製]
[1.1 大細孔径MMSSの作製]
精製水:4366g、MeOH:2850g、及びエチレングリコール:720gの混合溶媒にC16TMACl:35.2gを溶解し、25℃に保ち、攪拌した。さらに、1M NaOH:34.2gを加えた後、TMOS:25.08gと、APTES:1.55g(モル比TMOS:APTES=95:5に相当)をMeOH:30gで希釈して加えた。約8時間攪拌し、一晩静置した後、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した。その後、45℃で乾燥し、白色粉末(15.53g)を得た。
精製水:148.5mL、EtOH:121.5mLの混合溶媒に、得られた白色粉末:4.5gを超音波処理によって分散させ、さらにTMB:10.125gを加えて攪拌した。白色粉末を分散させた溶液を、容量1Lの内筒容器を持つオートクレーブに入れ、100℃×3日間水熱処理した。水熱処理後にオートクレーブを冷却し、減圧して生成物を取り出した。生成物のろ過とEtOHへの再分散を2回繰り返し、洗浄した。その後、45℃で乾燥させた後、大気中550℃×6時間焼成し、大細孔径MMSS:4gを得た。得られた大細孔径MMSSの細孔径は、6.2nmであった。
[1.2 単分散球状メソポーラスカーボンの作製]
[1.1]で得られた大細孔径MMSSを用いた以外は、実施例1と同一条件下で、単分散球状メソポーラスカーボンを作製した。
[2. 評価]
得られた単分散球状メソポーラスカーボンは、BET比表面積:1142m2/g、細孔容量:1.007mL/g、ロッド間距離:2.6nm、粒子径:0.301μm、単分散度:8.5%であった。図1及び図3に、実施例4で得られた単分散球状メソポーラスカーボンの細孔径分布を示す。
(実施例5)
[1. 試料の作製]
APTES:1.55gに代えて、[3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル]トリエトキシシラン(AEAPTES)1.92gを用いた(モル比TMOS:AEAPTES=95:5)以外は、実施例2と同一条件下で、大細孔径MMSSを作製した。得られた大細孔径MMSSの細孔径は、6.3nmであった。
次に、得られた大細孔径MMSSを用いて、実施例2と同一条件下で、単分散球状メソポーラスカーボンを作製した。
[2. 評価]
得られた単分散球状メソポーラスカーボンは、BET比表面積:1249m2/g、細孔容量:1.221mL/g、ロッド間距離:2.7nm、粒子径:0.485μm、単分散度:7.5%であった。図2に、実施例5で得られた単分散球状メソポーラスカーボンの細孔径分布を示す。
(比較例1)
[1. 試料の作製]
精製水:3166g、MeOH:4770gの混合溶媒にC16TMACl:38.3gを溶解し、25℃に保ち、攪拌した。さらに、1M NaOH:34.2g、MeOH:30gで希釈したTMOS:26.4gを加えた。約8時間攪拌し、一晩静置した後、ろ過と精製水への再分散とを2回繰り返した。その後、45℃で乾燥し、白色粉末(19.25g)を得た。
得られた白色粉末を用いて、実施例1と同一条件下で拡径処理を行い、大細孔径MMSSを得た。得られた大細孔径MMSSの細孔径は、6.2nmであった。
次に、得られた大細孔径MMSSを用いて、実施例1と同一条件下で、炭素源の導入及び炭化を行い、単分散球状メソポーラスカーボンを得た。
[2. 評価]
得られた単分散球状メソポーラスカーボンは、BET比表面積:1564m2/g、細孔容量:0.849mL/g、ロッド間距離:1.9nm、粒子径:0.550μm、単分散度:4.9%であった。図1及び図4に、比較例1で得られた単分散球状メソポーラスカーボンの細孔径分布を示す。
(比較例2)
[1. 試料の作製]
[1.1 大細孔径MMSSの作製]
実施例4と同一の方法を用いてで、白色粉末15.53gを得た。
精製水:135mL、EtOH:135mLの混合溶媒に、得られた白色粉末:4.5gを超音波処理によって分散させ、さらにベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(C22TMCl):12.24gを加えて攪拌した。白色粉末を分散させた溶液を、容量1Lの内筒容器を持つオートクレーブに入れ、80℃×7日間水熱処理した。水熱処理後にオートクレーブを冷却し、減圧して生成物を取り出した。生成物のろ過とEtOHへの再分散を2回繰り返し、洗浄した。その後、45℃で乾燥させた後、大気中550℃×6時間焼成し、大細孔径MMSS:2.2gを得た。得られた大細孔径MMSSの細孔径は、3.5nmであった。
[1.2. 単分散球状メソポーラスカーボンの作製]
PFA製容器(容量15mL)に大細孔径MMSS:0.5gを入れ、FAを細孔容量分だけ加えて、シリカの細孔内に浸透させた。これを150℃×24h熱処理することにより、FAを重合させた。さらに、これを窒素雰囲気中で500℃×6h熱処理し、FAの炭素化を進めた。これを2回繰り返した後、窒素雰囲気中で900℃×6h熱処理して、大細孔径MMSS/カーボン複合体を得た。
この複合体を12%HF溶液に12h浸漬し、シリカ成分を溶解した。溶解後、ろ過、洗浄を繰り返し、さらに45℃で乾燥して、単分散球状メソポーラスカーボンを得た。
[2. 評価]
得られた単分散球状メソポーラスカーボンは、BET比表面積:1608m2/g、細孔容量:0.958mL/g、ロッド間距離:1.6nm、粒子径:0.283μm、単分散度:8.1%であった。図3に、比較例2で得られた単分散球状メソポーラスカーボンの細孔径分布を示す。
(比較例3)
[1. 試料の作製]
APTES:1.55gに代えて、3−メルカプトプロピル−トリエトキシシラン(MPTES)1.70gを用いた(モル比TMOS:MPTES=95:5に相当)以外は、実施例2と同一条件下で、大細孔径MMSSを作製した。得られた大細孔径MMSSの細孔径は、6.2nmであった。
次に、得られた大細孔径MMSSを用いて、実施例2と同一条件下で、単分散球状メソポーラスカーボンを作製した。
[2. 評価]
得られた単分散球状メソポーラスカーボンは、BET比表面積:1619m2/g、細孔容量:0.920mL/g、ロッド間距離:1.9nm、粒子径:0.622μm、単分散度:5.6%であった。図4に、比較例3で得られた単分散球状メソポーラスカーボンの細孔径分布を示す。
(比較例4)
[1. 試料の作製]
(1)MMSSを合成する際にAPTESを用いなかった点、及び、
(2)精製水:297mL、EtOH:243mLの混合溶媒に、3−アミノ−プロパノール:3.15gを添加して拡径処理を行った点、
以外は、実施例1と同一条件下で、大細孔径MMSSを作製した。得られた大細孔径MMSSの細孔径は、5.3nmであった。
次に、得られた大細孔径MMSSを用いて、実施例1と同一条件下で、単分散球状メソポーラスカーボンを作製した。
[2. 評価]
得られた単分散球状メソポーラスカーボンは、BET比表面積:1613m2/g、細孔容量:0.891mL/g、ロッド間距離:1.9nm、粒子径:0.455μm、単分散度:6.6%であった。図5に、比較例4で得られた単分散球状メソポーラスカーボンの細孔径分布を示す。
図6に、含窒素化合物の共重合量とロッド間の距離との関係を示す。
図1〜6より、
(1)含窒素化合物の共重合量が高いほど、得られる球状メソポーラスカーボンのロッド間の間隔(中心細孔径)は増大する(図1:実施例1〜4+比較例1)、
(2)シリカの細孔径は、4nm以上まで拡張する必要があり、3.5nmまでの拡張では、十分な効果が得られない(図3、比較例2、実施例4)
(3)アミノ基の代わりに、−SH基などの他の官能基を共重合させても効果がない(図4:比較例3、実施例2、比較例1)、
(4)アミノ基は共重合されていることが必要であり、拡径処理時に、処理液にアミノ基を含む化合物を添加しても効果がない(図5:比較例4、実施例2)、
ことがわかる。
なお、透過電子顕微鏡(TEM)観察からは、球状メソポーラスカーボンがカーボンナノロッドから構成されるのか、カーボンナノパイプから構成されるのかを判別するのが困難である。しかしながら、N2の吸着等温線の結果と組み合わせることで、ロッドとパイプの判別が可能である。
すなわち、カーボンナノパイプの集積体の場合は、パイプの内部の細孔とパイプ間の隙間に相当するN2の吸着ピークが2本観察される。一方、カーボンナノロッドの場合は、比較的シャープなN2の吸着ピークが1本観察されるだけである。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る球状メソポーラスカーボンは、吸着剤、触媒、触媒担体、電気二重層キャパシタ、センサー、電極等に用いることができる。

Claims (4)

  1. カーボンナノロッドから構成され、前記カーボンナノロッドの間隔が2nm超であり、
    前記カーボンナノロッドは、放射状に配列している球状メソポーラスカーボン。
  2. 平均粒径が0.1〜2μmである請求項1に記載の球状メソポーラスカーボン。
  3. 単分散度が10%以下である請求項1又は2に記載の球状メソポーラスカーボン。
  4. 球状メソポーラスシリカの骨格を形成するシリカ原料に、含窒素官能基を備えた含窒素化合物を99:1〜80:20(モル比)で混合し、界面活性剤共存下で前記含窒素化合物と前記シリカ原料とを共重合させ、球状メソポーラスシリカのメソ細孔内に界面活性剤が充填された前駆体粒子を得る前駆体粒子製造工程と、
    前記中心細孔径が4nm以上となるように前記メソ細孔を拡径する拡径工程と、
    前記メソ細孔内に充填されている有機物を除去する有機物除去工程と、
    前記メソ細孔内に炭素源を導入し、前記炭素源を炭化させる炭化工程と、
    前記メソ細孔内に炭素が充填された前記球状メソポーラスシリカからシリカを溶解除去するシリカ除去工程と
    を備えた球状メソポーラスカーボンの製造方法。
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