JP2011027422A - 恒温槽の制御機能を含んだ測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】旋光度測定装置10は、セルホルダ11のセル部12の試料の旋光度を測定する測定装置本体1と、循環水の温度調整をおこないセルホルダ11へ循環水を供給する恒温槽2と、恒温槽2を制御するコンピュータ3とを備える。測定装置本体1およびコンピュータ3は、第一のUSBケーブル4で接続され、ペルチェ素子13の温度制御範囲の情報Aおよび試料の設定温度の情報Bの授受をおこなう。コンピュータ3は、各情報に基づき循環水の設定温度を演算し、演算した設定温度を含む制御信号Cを第二のUSBケーブル5を経由して恒温槽2へ伝送することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
旋光度は物質の温度によって変化するため、旋光度測定装置によって旋光度を測定する際、試料となる物質の温度管理が重要となる。例えば、薬局法には、試料の温度管理を厳密におこなうことが規定されており、従来の旋光度測定装置には、試料の温度を規定温度に制御する試料温度制御手段が設けられている。試料温度制御手段の設定温度として規定温度を入力すれば、規定温度における試料の旋光度を測定できるようになっている。
従来の測定装置で用いる恒温槽は、一定温度の循環水を供給する機能を有し、循環水の温度や流量を手動で設定できるものの、外部のコンピュータからの信号を受けて温度や流量の設定を自動的に変更するという機能を有さず、単独でのみ動作するものとなっていた。一方、従来のセルホルダは、内蔵する温度センサにより試料の温度を検出し、試料の検出温度をセルホルダが取り付けられた測定装置本体やコンピュータなどに表示させることができるものの、試料の検出温度や試料の設定温度に応じて循環水の温度や流量を自動的に制御することができなかった。
そのため、使用者は、測定中、試料の検出温度などの表示値を注視し続けなければならず、必要に応じて循環水の温度や流量の設定を手動で変更しなければならなかった。また、恒温槽が外部機器と信号を授受する機能を有していないことが、測定の自動化や多機能化を阻害する原因となっていた。
従って、本発明の目的は、使用者の操作性に優れ、かつ、測定の自動化、多機能化を容易にする恒温槽の制御機能を含んだ測定装置を提供することにある。
そして、測定装置本体およびコンピュータは、第一の信号線で接続され、試料の設定温度の情報の授受をおこなう。コンピュータは、前記ペルチェ素子の温度制御範囲の情報および授受した試料の設定温度の情報に基づいて必要な前記基準温度を演算する。恒温槽およびコンピュータは、第二の信号線で接続され、前記基準温度を得るための循環水の設定温度または設定流量を含んだ制御信号の授受をおこなうことを特徴とする。
例えば、試料の設定温度をペルチェ素子の温度制御範囲内において変更する場合であれば、基準温度をそのままにして、ペルチェ素子への電流値を制御するだけで、設定温度に調整できる。しかし、ペルチェ素子の温度制御範囲を超えて、試料の設定温度を変更したい場合、素子裏面の基準温度も変更する必要があり、循環水の温度または流量を調整しなければならない。本発明であれば、コンピュータによって、恒温槽における循環水の温度または流量を制御できるので、従来のような手動操作によらなくとも、試料の設定温度をペルチェ素子の温度制御範囲を超えて容易に変更することができる。
そして、測定装置本体およびコンピュータは、第一の信号線で接続され、試料の設定温度および試料の検出温度の各情報の授受をおこなう。コンピュータは、試料の検出温度を設定温度に調整するために必要な循環水の設定温度または設定流量を演算する。恒温槽およびコンピュータは、第二の信号線で接続され、循環水の設定温度または設定流量を含んだ制御信号の授受をおこなうことを特徴とする。
さらに、測定装置は、前記試料セルの試料と同物質からなるサンプルを入れるサンプル容器部と、前記ウォータージャケットからの循環水の少なくとも一部を受け入れ、受け入れた循環水と前記サンプル容器内のサンプルとの間で熱交換をおこなわせ、熱交換後の循環水を前記恒温槽に向けて排出するサンプル保温水槽と、前記サンプル容器内のサンプルの温度を検出する第二の温度検出部とを備える。
そして、測定装置は、前記恒温槽を制御するプログラムを有し、前記プログラムを実行するコンピュータを備える。測定装置本体およびコンピュータは、第一の信号線で接続され、前記セルホルダにおける試料の検出温度の情報の授受をおこなう。恒温槽およびコンピュータは、第二の信号線で接続され、前記第二の温度検出部から前記恒温槽に送られたサンプルの検出温度の情報の授受をおこなう。コンピュータは、サンプルの検出温度と試料の検出温度とを一致させるのに必要な循環水の設定温度または設定流量を演算し、前記第二の信号線を用いて循環水の設定温度または設定流量を含んだ制御信号を前記恒温槽に伝送することを特徴とする。
<第一実施形態>
図1に示すように、旋光度測定装置10は、セルホルダ11を内蔵する測定装置本体1と、セルホルダ11へ循環水を供給する恒温槽2と、測定装置本体1および恒温槽2に対して信号を授受するコンピュータ3とを備えて構成され、セルホルダ11に循環水を循環させながら試料の旋光度を測定する装置である。
セルホルダ11は、測定装置本体1に対し着脱自在に設けられている。測定装置本体1に取り付けられた状態で、セルホルダ11と測定装置本体1とが循環水用の内部配管で接続されると、測定装置本体1に対して外部の恒温槽2から供給される循環水が内部配管を経由してセルホルダ11に供給されるようになっている。
セル部12は、本発明の試料を入れる試料セルに相当し、測定を終えるとセル内の試料を排出し、次の試料を送入するようになっている。試料用温度センサ15は、本発明の第一の温度検出部に相当する。
試料温度制御部16は、試料用温度センサ15からの検出温度およびセルホルダ11における試料の設定温度に基づいて、両温度の差が小さくなるように、ペルチェ素子13への電流値を決定する。すなわち、セル部12の試料の検出温度が設定温度に近づくように、適宜、電流の方向および電流値を変化させている。
なお、試料温度制御部16は、後述する第一の信号線である第一USBケーブル4で外部のコンピュータ3との間で信号の授受をおこない、コンピュータ3へ試料の検出温度、ペルチェ素子13の温度制御範囲、設定温度の各情報を出力する。ペルチェ素子13の温度制御範囲または試料の設定温度の各情報については、予めコンピュータ3に記憶させておいてもよい。
ウォータージャケット14は、試料の温度を設定温度に高精度に制御するため、試料と循環水との間で熱交換をおこなうためのものである。循環水は、ペルチェ素子13を介して間接的に試料との間で熱量を授受する。具体的には、ウォータージャケット14を流れる循環水によって、ペルチェ素子13の裏面が冷却されて、あるいは加熱されて、ペルチェ素子13の裏面温度が所定の基準温度となるように調整される。ペルチェ素子13による温度調整の範囲は、表面と裏面の温度差によって決定されるため、素子裏面の基準温度を一定に維持することによって試料温度を高精度に制御することができる。このように、ウォータージャケット14は、ペルチェ素子13の裏面を基準温度に調整するためにペルチェ素子13と循環水との間の熱交換をおこなう。そして、ペルチェ素子13は、調整された基準温度と試料温度との差分温度を制御して、試料を所定の設定温度に調整するのである。
以上の構成で、セルホルダ11は内蔵するペルチェ素子13およびウォータージャケット14の循環水によって、試料の温度制御をおこなっている。
軸流ポンプ21は、水槽部23に収納されており、スクリューを回転させて循環水を測定装置本体1へ圧送する。電動機22は、水槽部23の外側に設けられ、軸流ポンプ21と磁気的に連結され、非接触でスクリューを回転させる。軸流ポンプ21と電動機22とが磁気的に連結されているため、水槽部23を完全に密閉させることができ、転倒時の水漏れ防止の効果がある。
また、軸流ポンプ21は、設定された回転数でスクリューを回転させる。温度・流量制御部25は、軸流ポンプ21の回転数を変化させて循環水の流量調整をおこなう。
ペルチェ素子24は、水槽部23内に設けられ、循環水と直接接触して、ペルチェ効果により循環水との間で熱交換をおこなう。温度・流量制御部25は、ペルチェ素子24へ印加する電流を制御し、循環水の温度調整をおこなう。
温度・流量制御部25は、恒温槽2の筐体に設けられた操作パネル26によって入力された設定温度に基づき、ペルチェ素子24を制御する。また、操作パネル26によって入力された設定流量に基づいて、軸流ポンプ21を制御する。さらに、温度・流量制御部25は、コンピュータ3からの制御信号に基づいてペルチェ素子24または軸流ポンプ21を制御することもできる。
図1のように、測定装置本体1およびコンピュータ2は、第一のUSBケーブル4で接続され、セルホルダ11に関する温度制御範囲の情報A、設定温度の情報B、試料の検出温度の情報Dの各情報の授受をおこなう。また、恒温槽2およびコンピュータ3は、第二の信号線である第二のUSBケーブル5で接続され、温度調整用の制御信号Cまたは流量調整用の制御信号Eの授受をおこなう。
コンピュータ3は、プログラムを実行して、試料の検出温度が設定温度となるように、循環水の温度調整用の制御信号Cまたは循環水の流量調整用の制御信号Eを演算し、第二のUSBケーブル5によって演算された制御信号CまたはEを恒温槽2に伝送する。
従来の旋光度測定装置であっても、原理的には、循環水の温度を上げることによって、試料の温度をペルチェ素子の温度制御範囲より高くすることができる。しかし、従来の旋光度測定装置では、恒温槽の操作ボタンなどを用いて手動操作によらなければ、循環水の温度変更をおこなうことができなかった。すなわち、恒温槽を単独で操作する必要があり、非常に操作が不便であった。
また、恒温槽2でのペルチェ素子24による循環水の温度調整と、セルホルダ11でのペルチェ素子13による試料の温度調整とを同時におこなうことによって、試料が設定温度に到達するまでの時間を短縮させることも可能となる。
旋光度測定装置10Aは、図2に示すように、前記実施形態と共通する構成を含む。ここでは、共通する構成の説明を省略し、異なる構成についてのみ説明する。すなわち、本実施形態の旋光度測定装置10Aでは、セルホルダ11から排出される循環水が、測定装置本体1とは別体で配置されるサンプル保温水槽6を通って、恒温槽2に戻るように構成されている点が前記実施形態と大きく異なる。
サンプル容器部61には、セル部12の試料と同物質からなるサンプルが入っており、サンプルの温度を直接検出する第二の温度検出部であるサンプル用温度センサ28が設けられている。
サンプル水槽部62は、ウォータージャケット14からの循環水の少なくとも一部を受け入れ、受け入れた循環水とサンプル容器部61内のサンプルとの間で熱交換をおこなわせ、熱交換後の循環水を恒温槽2Aに向けて排出する。なお、図2のように、セルホルダ11からの循環水がサンプル保温水槽6を通らないで直接恒温槽2Aに戻るバイパスを設けてもよい。
コンピュータ3は、サンプルの検出温度の情報Fおよび試料の検出温度の情報Dに基づき、サンプルの検出温度が試料の検出温度と一致するように、必要な循環水の設定流量を演算するとともに、演算した設定流量を含んだ制御信号Hを恒温槽2Aへ伝送するプログラムを有する。
図3に示すように、恒温槽の筐体31の上面には、温度および流量の設定ボタン26A、26Bを有する操作パネル26が設けられている。
また、図4〜図6に示すように、筐体内部の略中央位置には、内部に軸流ポンプ21を備えた水槽部23が配置されている。この水槽部23はペルチェ素子24を有し、また、水槽部23の上部にはポンプ用モータ22が設けられている。筐体内部の背面寄り(図中の左側)には、ペルチェ素子24への電流供給部32(温度・流量制御部25に相当する。)、第二のUSBケーブルを接続するUSB端子27、サンプル用温度センサを接続する端子30が設けられている。また、一方の側面には、循環水用の外部配管を接続するための一対の接続具33が設けられている。
また、第一実施形態において、循環水の温度調整による方法に代えて、循環水の流量調整による方法を用いてもよいし、第二実施形態において、循環水の流量調整による方法に代えて、循環水の温度調整による方法を用いてもよい。また、いずれか一方の調整方法に限らず、両方の調整方法を同時に用いてもよい。
また、両実施形態では、循環水式のペルチェ恒温セルホルダを用いた場合を説明したが、ペルチェ素子を設けないで試料セルと試料セルを覆うウォータージャケットとを有して構成される循環水式の恒温セルホルダを用いても構わない。
また、図1、2では、コンピュータ3を測定装置本体1とは別体で設ける場合を示したが、コンピュータ3としては測定装置本体1に内蔵されるCPUなどの演算装置などであってもよい。
なお、測定装置本体1のような測定機器に限らず、コンピュータ3に接続される他の測定機器からの情報に基づいて、本発明の恒温槽を制御するようにしてもよい。
2、2A 恒温槽
3 コンピュータ
4 第一の信号線である第一のUSBケーブル
5 第一の信号線である第二のUSBケーブル
6 サンプル保温水槽
10、10A本発明の測定装置である旋光度測定装置
11 セルホルダ
12 試料セルであるセル部
13 ペルチェ素子
14 ウォータージャケット
15 第一の温度検出部である試料用温度センサ
28 第二の温度検出部であるサンプル用温度センサ
61 サンプル容器部
62 サンプル水槽部
Claims (3)
- 試料を入れる試料セル、
前記試料セルを覆ってペルチェ効果により試料を加熱または冷却するペルチェ素子、
前記試料セルとは反対側のペルチェ素子裏面を基準温度に調整するために前記ペルチェ素子と循環水との間で熱交換をおこなうウォータージャケット、
を有し、前記ペルチェ素子により前記基準温度と試料温度との差分温度を制御することで、試料を所定の設定温度に調整するとともに、調整した設定温度における試料の物性を測定する測定装置本体と、
前記測定装置本体とは別体で設けられ、循環水の温度調整または流量調整をおこなうとともに、前記ウォータージャケットへ循環水を供給し、前記ウォータージャケットからの循環水を受け入れる恒温槽と、
前記恒温槽を制御するプログラムを有し、前記プログラムを実行するコンピュータと、を備える測定装置であって、
前記測定装置本体およびコンピュータは、第一の信号線で接続され、試料の設定温度の情報の授受をおこない、
前記コンピュータは、前記ペルチェ素子の温度制御範囲の情報および授受した試料の設定温度の情報に基づいて必要な前記基準温度を演算し、
前記恒温槽およびコンピュータは、第二の信号線で接続され、前記基準温度を得るための循環水の設定温度または設定流量を含んだ制御信号の授受をおこなう、
ことを特徴とする恒温槽の制御機能を含んだ測定装置。 - 試料を入れる試料セル、
前記試料セルを覆って試料を所定の設定温度に調整するために当該試料と循環水との間で熱交換をおこなうウォータージャケット、
試料の温度を検出する第一の温度検出部、
を有し、調整した設定温度における試料の物性を測定する測定装置本体と、
前記測定装置本体とは別体で設けられ、循環水の温度調整または流量調整をおこなうとともに、前記ウォータージャケットへ循環水を供給し、前記ウォータージャケットからの循環水を受け入れる恒温槽と、
前記恒温槽を制御するプログラムを有し、前記プログラムを実行するコンピュータと、を備える測定装置であって、
前記測定装置本体およびコンピュータは、第一の信号線で接続され、試料の設定温度および試料の検出温度の各情報の授受をおこない、
前記コンピュータは、試料の検出温度を設定温度に調整するために必要な循環水の設定温度または設定流量を演算し、
前記恒温槽およびコンピュータは、第二の信号線で接続され、循環水の設定温度または設定流量を含んだ制御信号の授受をおこなう、
ことを特徴とする恒温槽の制御機能を含んだ測定装置。 - 試料を入れる試料セル、
前記試料セルを覆って試料を所定の設定温度に調整するために当該試料と循環水との間で熱交換をおこなうウォータージャケット、
試料の温度を検出する第一の温度検出部、
を有し、調整した設定温度における試料の物性を測定する測定装置本体と、
前記測定装置本体とは別体で設けられ、循環水の温度調整または流量調整をおこなうとともに、前記ウォータージャケットへ循環水を供給し、前記ウォータージャケットからの循環水を受け入れる恒温槽と、
前記試料セルの試料と同物質からなるサンプルを入れるサンプル容器と、
前記ウォータージャケットからの循環水の少なくとも一部を受け入れ、受け入れた循環水と前記サンプル容器内のサンプルとの間で熱交換をおこなわせ、熱交換後の循環水を前記恒温槽に向けて排出するサンプル保温水槽と、
前記サンプル容器内のサンプルの温度を検出する第二の温度検出部と、
前記恒温槽を制御するプログラムを有し、前記プログラムを実行するコンピュータと、
を備える測定装置であって、
前記測定装置本体およびコンピュータは、第一の信号線で接続され、試料の検出温度の情報の授受をおこない、
前記恒温槽およびコンピュータは、第二の信号線で接続され、前記第二の温度検出部から前記恒温槽に送られたサンプルの検出温度の情報の授受をおこない、
前記コンピュータは、サンプルの検出温度と試料の検出温度とを一致させるのに必要な循環水の設定温度または設定流量を演算し、前記第二の信号線を用いて循環水の設定温度または設定流量を含んだ制御信号を前記恒温槽に伝送する、
ことを特徴とする恒温槽の制御機能を含んだ測定装置。
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