JPH11113600A - 穀類外皮から水溶性糖類を製造する方法 - Google Patents
穀類外皮から水溶性糖類を製造する方法Info
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Abstract
皮に含まれるアラビノキシラン等のヘミセルロースから
高収率で水溶性多糖、オリゴ糖及び/又は単糖から成る
水溶性糖類を得る方法を提供すること。 【解決手段】 ヘミセルロースを含む穀類外皮から水溶
性糖類を得る方法において、該外皮をpH1.0〜3.0で酸
処理した後、120〜150℃の温度で湿式加熱処理すること
を特徴とするキシロース、アラビノース又はガラクトー
スから選ばれる1種以上の糖を構成糖とする水溶性多
糖、オリゴ糖及び/又は単糖の製造方法。
Description
小麦ふすま、とうもろこし外皮、もみ殻又は大豆皮など
の繊維質に含まれるヘミセルロースを食品用途等で有効
に活用するために、穀類外皮からヘミセルロースを高収
率で可溶化する方法に関するものである。
らの繊維質はセルロースやヘミセルロースなどから構成
される。小麦ふすま、とうもろこし外皮又はもみ殻のヘ
ミセルロースは、主にキシロースとアラビノースから成
るアラビノキシランという多糖であることが知られてい
る。また、大豆皮にはヘミセルロースとしてアラビノガ
ラクタンが含まれている。
外皮に含まれるヘミセルロースを分離する従来技術とし
ては、アルカリ水を用いて抽出する方法、爆砕処理
後に水または熱水を用いて抽出する方法、加熱処理後
の酵素分解によってヘミセルロースを可溶化する方法等
が知られている。
うもろこし外皮を水洗した残部からヘミセルロースを主
成分とする物質をアルカリ水で抽出する方法(特開平 1
−242530号)が、小麦ふすまを水洗した残部のアルカリ
水による処理で溶出する主成分がヘミセルロースである
区分を限外濾過膜及びイオン交換樹脂で精製する方法
(特開平 2−1701号)が、また、上記の方法として
は、小麦ふすまを爆砕処理した後に水又は熱水で抽出し
て分子量10万以上の物質を分画して得る方法(特開平 2
−169594号)が、更に、上記の方法としては、小麦ふ
すま等を水分存在下で加熱処理した後に植物細胞壁崩壊
酵素の作用によってヘミセルロース(アラビノキシラ
ン)を可溶化させる方法(特開平 5−219976号)が、そ
れぞれ、挙げられる。
では、小麦ふすまやとうもろこし外皮に含まれるヘミセ
ルロースの一部しか得ることができない。また、上記
の爆砕処理を利用した抽出法は、爆砕に特殊な装置を必
要とすること、並びに10〜20kg/cm2G(概ね180〜215
℃)の高圧蒸気を使用することから経済性が低いのみな
らず、高温高圧下での処理であるためにフェノール性の
酸などの好ましくない物質を生成するという欠点があ
る。更に、上記の酵素による可溶化法では、水分存在
下での加熱処理(100〜145℃)によって小麦ふすま等の
繊維質構造が破壊されて酵素分解を受け易くなることか
らヘミセルロース(アラビノキシラン)の酵素分解によ
る可溶化率は加熱処理を施さない場合に較べて高まる。
しかし、この方法でも顕著な量のヘミセルロース(アラ
ビノキシラン)が可溶化できずに残渣に残るので、満足
できる収率が得られないという問題があった。
ふすまやとうもろこし外皮などの穀類外皮に含まれるア
ラビノキシラン等のヘミセルロースから高収率で水溶性
多糖、オリゴ糖及び/又は単糖から成る水溶性糖類を得
る方法を提供することにある。
題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、小麦ふす
まやとうもろこし外皮などの穀類外皮を特定範囲のpH
で酸処理し、次いで、特定範囲の温度で湿式加熱処理す
れば、アラビノキシラン等のヘミセルロースを選択的、
且つ高収率で可溶化できること、また、該処理後、更
に、繊維質分解酵素処理を行うと、高収率でオリゴ糖及
び/又は単糖から成る水溶性糖類を得ることを見い出
し、本発明を完成した。
ものである。
水溶性糖類を得る方法において、該外皮をpH1.0〜3.0
で酸処理した後、120〜150℃の温度で湿式加熱処理する
ことを特徴とするキシロース、アラビノース又はガラク
トースから選ばれた1種類以上の糖を構成糖とする水溶
性多糖、オリゴ糖及び/又は単糖から成る水溶性糖類の
製造方法。
水溶性糖類を得る方法において、該外皮をpH1.5〜3.0
で酸処理した後、120〜150℃の温度で湿式加熱処理し、
更に、繊維質分解酵素処理することを特徴とするキシロ
ース、アラビノース又はガラクトースから選ばれた1種
類以上の糖を構成糖とする水溶性多糖、オリゴ糖及び/
又は単糖の製造方法。
上記(1)又は(2)記載のキシロース、アラビノース
又はガラクトースから選ばれた1種類以上の糖を構成糖
とする水溶性多糖、オリゴ糖及び/又は単糖の製造方
法。
ある上記(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のキシ
ロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれた1
種類以上の糖を構成糖とする水溶性多糖、オリゴ糖及び
/又は単糖の製造方法。
ま又はコーンファイバーを用いて、酸処理をpH1.5〜
3.0、湿式加熱処理を120〜150℃で行った後、繊維質分
解酵素で処理する方法を採用するのが好ましい。
(pH1.0〜3.0)で酸処理した後、特定の温度(120〜1
50℃)で湿式加熱処理することにより、穀類外皮中のア
ラビノキシラン等のヘミセルロースを殆ど回収すること
ができるが、該2つの処理後、更に、繊維質分解酵素処
理を行うことにより、キシロース、アラビノース又はガ
ラクトースから選ばれた1種類以上の糖を構成糖とする
水溶性多糖、オリゴ糖及び/又はキシロースやアラビノ
ース等の単糖から成る水溶性糖類を高収率で得ることが
できる。
ビノース等の単糖を主成分とするものを直接、高収率で
得ることができる。
シラン等の分子量1,000以上の水溶性多糖を殆ど含まな
いものを得ることができる。
び120〜150℃の湿式加熱という比較的穏和な条件下の処
理にもかかわらず、穀類外皮中のヘミセルロースから、
高い収率で、キシロース、アラビノース又はガラクトー
スから選ばれた1種類以上の糖を構成糖とする水溶性多
糖、オリゴ糖及び/又は単糖から成る水溶性糖類が得ら
れが、このことは、食品産業において汎用される機器を
利用できることになるから、経済性に優れた方法であ
る。
して利用できる他、アラビノキシラン由来の単糖である
キシロースやアラビノースは、褐変反応性が高いことか
ら水産練り製品等の色づけに有効であり、オリゴ糖は、
ビフィズス菌増殖活性などの生理機能を持つことが知ら
れているが、本発明では、このような食品用途での有用
性が非常に高い糖類素材を、小麦ふすま等の穀類外皮か
ら直接得ることができる。
を可溶化した後の残渣は、その主成分が水不溶性蛋白や
セルロースであるが、酸処理や繊維質分解酵素処理の効
果で消化性が向上しているので良好な飼料原料、堆肥原
料、等として使用することができるし、この残渣は、成
形加工することで生分解性の園芸用ポットや緩衝材等の
素材とすることも可能である点においても、価値の高い
ものである。
定の3つの処理方法を併用することにより、水溶性アラ
ビノキシラン等の水溶性多糖を殆ど含まない、キシロー
ス、アラビノース又はガラクトースから選ばれた1種類
以上の糖を構成糖とするオリゴ糖及び/又はキシロース
やアラビノース等の単糖が、しかも、該単糖を主成分と
して、高収率で得られるという予想外の結果が得られて
いる点において、格別の発明であることが分かる。
皮としては、小麦ふすま、とうもろこし外皮、もみ殻、
大豆皮などが挙げられる。小麦ふすまとしては、通常の
製粉工程で発生する一般ふすま及びそれ以外のふすまの
何れも利用できる。また、とうもろこし外皮には、コー
ンファイバー、コーンブラン、コーンハルと呼ばれるも
のの他にグルテンフィード等も含む。小麦ふすまやとう
もろこし等の外皮であれば、それらの成分組成や生成過
程は問わないが、ヘミセルロース以外の成分を予め除い
た小麦ふすま等を使用することが好ましい。
て水溶性蛋白、少糖類、ミネラル類などの水溶性成分を
除去し、本発明の方法に供すれば、純度のより高い水溶
性アラビノキシラン等を高収率で得られる。
素を作用させて澱粉を完全に除去し、場合によっては更
に蛋白分解酵素の作用で水不溶性蛋白を除いてから、本
発明の方法に供すれば、更に純度の高い水溶性アラビノ
キシラン等を高収率で得ることができる。
の小麦ふすま等を水洗して、水溶性蛋白や少糖類などを
除去するのが好ましい。水洗時の水温や分散方法につい
ては特に限定されない。固液分離は、濾過、遠心分離、
湿式分級などの一般的な方法であれば何れの方法を採用
してもよい。固液分離によって回収した小麦ふすま等
は、更に、澱粉を除去してから本発明の方法に供するの
が望ましいが、必ずしも澱粉の除去を行う必要はない。
澱粉分解酵素を作用させる必要がある。澱粉分解酵素と
しては、ノボノルディスクバイオインダストリー(株)
の「ターマミル」やナガセ生化学工業(株)の「グルコ
チームDB」等が使用できる。例えば、「ターマミル」
を用いる場合には、水洗後の固液分離によって得られた
小麦ふすま等に10〜15倍容量程度の水を加え、小麦ふす
ま等に対して 0.1%(w/w)の「ターマミル」を添加し
て75〜95℃で1〜2時間も反応させれば十分である。澱粉
分解反応終了後の固液分離は、濾過、遠心分離、湿式分
級など何れの方法で行ってもよい。
必要はないが、澱粉分解酵素を作用させる場合には、粉
砕によって予め粒度をある程度細かくしておくのが望ま
しい。粉砕は乾式または湿式の何れを採用してもよく、
粉砕操作は水洗前後の何れで行っても構わない。ただ
し、過度の粉砕によって固液分離の効率に影響するほど
粒子が細かくなりすぎるのは好ましくない。また、水洗
後に乾式で粉砕するには、水洗後に固液分離で回収した
小麦ふすま等を乾燥する必要があるので、経済的にはあ
まり望ましくない。
外皮を本発明の方法で処理する。
類外皮を、pH1.0〜 3.0で酸処理した後、120〜150℃
の温度(蒸気圧:1〜4 kg/cm2G)で湿式加熱処理し、次
いで、更に、繊維質分解酵素処理を行うものであるが、
該繊維質分解酵素処理は、酸処理を、pH1.5〜 3.0の
範囲で行った場合に、特に有効である。
がよい。
た後、小麦ふすま等の穀類外皮に、水を加えてシュウ酸
等の酸で所定のpHに調整し、その状態のまま、又は、
固液分離し、得られる小麦ふすま等の穀類外皮を、次の
湿式加熱処理に供する。酸処理は、通常、希酸への浸漬
により行われるが、前述した、酸処理の前段で行う水洗
又は澱粉分解酵素処理の最終段階で行ってもよく、その
場合には、pH調整後、固液分離で得られる小麦ふすま
等の穀類外皮を湿式加熱処理に供すればよい。
ふすま等に対する希酸水量や浸漬時間などは特に限定さ
れない。使用する酸についても、小麦ふすま等の浸漬液
をpH1.0〜 3.0に調整できるものであれば特に制限は
ないが、その中でも特に好ましい酸としては、シュウ
酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。
ような方法で目的を達成することができる。
気を用いる方法が好ましく、回分式と連続式の何れの装
置で行うこともできる。過熱水を用いる方法の具体的な
例としては、小麦ふすま等の希酸水浸漬液を耐圧容器に
入れて間接加熱によって過熱水とする方法、又はジェッ
トクッカーのように連続的に過熱水処理できる装置を利
用する方法などが挙げられる。一方、過熱水蒸気を用い
る方法の具体的な例としては、希酸浸漬した小麦ふすま
等を耐圧容器に入れて過熱水蒸気を導入する方法、又は
連続式の蒸煮装置や蒸解装置を利用する方法などが挙げ
られる。尚、湿式加熱に供する小麦ふすま等の含水量は
特に制限されないが、湿式加熱に過熱水蒸気を使用する
場合には、小麦ふすま等の乾物重量に対して8倍量程度
以下であるのが望ましい。過熱水蒸気による処理では、
小麦ふすま等に含まれる水量が多すぎると熱効率の低下
や圧力の損失を招く原因となることから望ましくない。
加熱時間は品温が所定の温度に到達してから30分以内で
十分に目的が達せられる。30分を越えて加熱してもアラ
ビノキシランの収率はあまり上がらない。そればかり
か、余り加熱時間が長くなると、副反応による著しい着
色や可溶化したアラビノキシランの損失などを生じ、後
工程での精製負荷の増大やアラビノキシランの収率低下
などを招くので好ましくない。
後、必要に応じて水を加え、炭酸カルシウム、水酸化カ
ルシウム、水酸化ナトリウムなどを用いて中和する。そ
して、中和後に固液分離によってアラビノキシランの可
溶化液を回収し、必要に応じて、酵素分解、酸分解、脱
色、脱塩、分画、精製、濃縮、乾燥などの操作を施す。
尚、酸処理等における固液分離には、濾過、遠心分離、
湿式分級などの一般的な方法を採用することができる。
にして行うのがよい。
合、その後、この繊維質分解酵素処理を行うことで、単
糖及び/又はオリゴ糖を含む水溶性糖類を得ることがで
きる。
必要に応じて水を加え、使用する繊維質分解酵素の至適
範囲にpHと温度を調整してから、繊維質分解酵素を作
用させることにより行う。また、湿式加熱処理終了後、
必要に応じて水を加える及び/又は中和するなどの措置
を施し、その後の固液分離によって得られる残部に水を
加えて使用する繊維質分解酵素の至適範囲にpHと温度
を調整してから、繊維質分解酵素を作用させることもで
きる。
炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム
などを使用することができる。
は、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼなどが
挙げられる。現在市販されている酵素製剤では、新日本
化学工業(株)の「スミチームAC」、「スミチーム
C」、「スミチームX」、ノボノルディスクバイオイン
ダストリー(株)の「ウルトラフロ」、「フィニザイ
ム」、「ビスコザイム」、「セルクラスト」、「セレフ
ロ」、天野製薬(株)の「ヘミセルラーゼアマノ90」、
阪急バイオインダストリー(株)の「セルロシンTP2
5」、「セルロシンHC100」、「セルロシンAL」、
「セルロシンPEL」、「セルロシンHC」、「セルロ
シンAF」、ナガセ生化学工業(株)の「セルレースナ
ガセ」、ヤクルト薬品工業(株)の「セルラーゼY−N
C」、「セルラーゼオノズカ3S」、(株)樋口商会よ
り入手した「ロハメント」、「ステルンザイムG」、
「ステルンザイムH」等があるが、この中でも「スミチ
ームAC」、「スミチームX」、「ウルトラフロ」、
「ヘミセルラーゼアマノ90」、「セルラーゼY−NC」
等が特に好ましい。これらの繊維質分解酵素を作用させ
る条件は、使用する酵素製剤によって多少異なるが、p
H3.0〜 7.0且つ30〜70℃の範囲が好ましい。しかし、
酵素分解反応中の発酵抑制を考慮に入れると、pH5.0
以下且つ60℃以上にて、繊維質分解酵素を作用させるの
が望ましい。また、繊維質分解酵素を作用させる時間
は、攪拌の有無に拘わらず2〜24時間もあれば十分であ
る。以上のような繊維質分解酵素処理を行った後、固液
分離によってアラビノキシランの可溶化液を回収し、必
要に応じて、酵素分解、酸分解、脱色、脱塩、分画、精
製、濃縮、乾燥などの操作を施す。尚、繊維質分解酵素
処理における固液分離にも、濾過、遠心分離、湿式分級
などの一般的な方法を採用することができる。
又は単糖から成る水溶性多糖を含む溶液は、活性炭等に
よる脱色、イオン交換樹脂等による脱塩、効用缶等によ
る濃縮などを経て、食品用の糖液とすることができる。
更に、目的に応じて噴霧乾燥等によって粉末品とするこ
ともできる。また、当然のことながら、途中段階におい
て結晶化やクロマト分画等の精製工程を入れても構わな
い。
に詳細に説明するが、本発明はこれらのものに限定され
ない。
シランが含まれているものとして、アラビノキシランの
回収率を求めた。
60℃にて30分間攪拌し、FRYMAコロイドミル(神鋼
パンテック(株))を用いて湿式粉砕した。湿式粉砕後
の分散液を遠心分離に供し、沈殿した小麦ふすまを回収
した。続いて、回収した小麦ふすまに10倍容量の水を加
えて塩酸でpHを5.0に調整し、固形分に対して0.1%
(w/w)の澱粉分解酵素「グルコチームDB」を60℃に
て24時間作用させた。酵素反応終了後、吸引濾過で小麦
ふすまを濾別し、希酸処理に供した。
理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに10 mlの水を
加え、この分散液に10%(w/v)硫酸水を添加してpH
を1.0に調整した。次に、遠心分離によって上澄みを除
去し、回収した沈殿を120℃の飽和蒸気下にて15分間蒸
煮した。蒸煮終了後、直ちに冷却し、15 mlの水を加え
た。そして、水酸化カルシウムを用いて中和し、遠心分
離で上澄みを回収した。残渣には更に15 mlの水を加え
て、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の
遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30 mlの
アラビノキシラン可溶化液を得た。このアラビノキシラ
ン可溶化液の糖組成をShiibaらの方法(Cereal Chem.,
70, 209, 1993)に準じて測定し、キシロースとアラビ
ノースの合計量をアラビノキシラン量として求めた。
澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5
gに10 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)硫酸水
を添加してpHを1.0(実施例2)、1.5(実施例3)、また
は2.0(実施例4)に調整した。次に、遠心分離で上澄み
を除去し、回収した沈殿を150℃の飽和蒸気下に10分間
蒸煮した。蒸煮終了後、直ちに冷却し、15 mlの水を加
えた。そして、水酸化カルシウムを用いて中和し、遠心
分離で上澄みを回収した。残渣には15 mlの水を加え
て、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の
遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30 mlの
アラビノキシラン可溶化液を得た。実施例1と同様に、
アラビノキシラン可溶化液の糖組成を分析し、アラビノ
キシラン量を求めた。
分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに1
0 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)シュウ酸水
を添加してpHを3.0に調整した。次に、遠心分離で上
澄みを除去し、回収した沈殿を150℃の飽和蒸気下に 20
分間蒸煮した。蒸煮終了後、直ちに冷却し、15 mlの水
を加えた。そして、水酸化カルシウムを用いて中和し、
遠心分離で上澄みを回収した。残渣には15 mlの水を加
えて、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回
の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30 ml
のアラビノキシラン可溶化液を得た。実施例1と同様
に、アラビノキシラン可溶化液の糖組成を分析し、アラ
ビノキシラン量を求めた。
分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5gに1
0mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)硫酸水を添加
してpHを3.0に調整した。次に、遠心分離で上澄みを
除去し、回収した沈殿を130℃の飽和蒸気下に10分間蒸
煮した。蒸煮終了後、直ちに冷却し、15mlの水を加え
た。そして、水酸化カルシウムを用いて中和し、遠心分
離で上澄みを回収した。残渣には15mlの水を加えて、再
度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の遠心分
離によって回収した上澄みを合わせて、30mlのアラビノ
キシラン可溶化液を得た。実施例1と同様に、アラビノ
キシラン可溶化液の糖組成を分析し、アラビノキシラン
量を求めた。
澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5
gに10 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)シュウ
酸水を添加してpHを1.5(実施例7)または2.0(実施
例8)に調整した。次に、遠心分離によって上澄みを除
去し、回収した沈殿を150℃飽和蒸気下にて10分間蒸煮
した。蒸煮後、直ちに冷却して 15 mlの水を加え、水酸
化カルシウムを用いてpH 5.0に中和した。続いて、小
麦ふすまに対して1%(w/w)の「スミチームAC」を
添加し、60℃にて24時間酵素分解した。酵素分解終了
後、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には15 mlの水
を加え、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2
回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30 m
lのアラビノキシラン可溶化液を得た。アラビノキシラ
ン量は実施例1と同様に求めた。
分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)50 gに
80 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)シュウ酸水
を添加してpHを3.0に調整した。次に、遠心分離によ
って上澄みを除去し、回収した沈殿を150℃飽和蒸気下
にて20分間蒸煮した。蒸煮後、速やかに冷却して150ml
の水を加え、水酸化カルシウムを用いてpH 5.0に中和
した。続いて、小麦ふすまに対して1%(w/w)の「スミ
チームAC」を添加し、60℃にて16時間酵素分解した。
酵素分解終了後、遠心分離で上澄みを回収した。残渣に
は100 mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄みを
回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合
わせて、250 mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。
処理(80℃、40分)により脱色した後、イオン交換樹脂
「MB−3」を用いて脱塩した。そして、脱塩後の可溶
化液をロータリーエバポレーターによる減圧濃縮に供
し、10 mlの糖液を得た。この糖液に含まれるアラビノ
キシラン量は、実施例1と同様に求めた。
チ製造工程から発生するコーンファイバーの乾燥物 1 g
をスクリューキャップ付き試験管に採取し、10 mlの水
を加えた。次に、10%(w/v)シュウ酸水を用いてpH
を3.0に調整した。試験管を密閉した後、ブロックヒー
ター中にて120℃で30分間加熱した。加熱終了後、直ち
に水冷し、水酸化ナトリウム溶液を用いて中和した。そ
して、10 mlの0.2M 酢酸緩衝液(pH 5.0)を加え、
更に10 mgの「ウルトラフロ」を添加した。そして、60
℃にて4時間酵素分解を行った後、遠心分離で上澄みを
回収した。残渣には10 mlの水を加え、再度遠心分離す
ることで上澄みを回収した。2回の遠心分離で得た上澄
みを合わせて、25 mlのアラビノキシラン可溶化液を得
た。この可溶化液に含まれるアラビノキシラン量は、実
施例1と同様に求めた。
及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80
%)5gに10mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)硫
酸水を添加してpH1.0に調整した。次に、遠心分離に
よって上澄みを除去し、回収した沈殿を150℃(実施例l
l)、140℃(実施例12)、130℃(実施例13)の飽和蒸
気下にて10分間蒸煮した。蒸煮後、速やかに冷却して15
mlの水を加え、水酸化カルシウムを用いてpH5.0に中
和した。続いて、小麦ふすまに対して1%(w/w)の「ス
ミチームAC」を添加し、60℃にて24時間酵素分解し
た。酵素分解終了後、遠心分離で上澄みを回収した。残
渣には10mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄み
を回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを
合わせて、30mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。実
施例1と同様に、アラビノキシラン可溶化液の糖組成を
分析し、アラビノキシラン量を求めた。
及び澱粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80
%)5gに10mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)硫
酸水を添加してpHを1.5に調整した。次に、遠心分離
によって上澄みを除去し、回収した沈殿を140℃(実施
例14)または130℃(実施例15)の飽和蒸気下にて10分
間蒸煮した。蒸煮後、速やかに冷却して15mlの水を加
え、水酸化カルシウムを用いてpH5.0に中和した。続
いて、小麦ふすまに対して1%(w/w)の「スミチームA
C」を添加し、60℃にて24時間酵素分解した。
した。残渣には10mlの水を加え、再度遠心分離すること
で上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回収した
上澄みを合わせて、30mlのアラビノキシラン可溶化液を
得た。実施例1と同様に、アラビノキシラン可溶化液の
糖組成を分析し、アラビノキシラン量を求めた。
粉分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5gに
10mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)シュウ酸水を
添加してpHを2.0に調整した。次に、遠心分離によっ
て上澄みを除去し、回収した沈殿を130℃の飽和蒸気下
にて20分間蒸煮した。蒸煮後、速やかに冷却して15mlの
水を加え、水酸化ナトリウムを用いてpH5.0に中和し
た。続いて、小麦ふすまに対して1%(w/w)の「スミチ
ームAC」を添加し、60℃にて24時間酵素分解した。酵
素分解終了後、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には
10mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄みを回収
した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせ
て、30mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。実施例1
と同様に、アラビノキシラン可溶化液の糖組成を分析
し、アラビノキシラン量を求めた。
分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに1
0 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)硫酸水を添
加してpHを4.0に調整した。次に、遠心分離によって
上澄みを除去し、回収した沈殿を120℃飽和蒸気下にて2
0分間蒸煮した。蒸煮後、直ちに冷却して15 mlの水を加
え、水酸化カルシウムを用いて中和した。そして、遠心
分離で上澄みを回収し、残渣には15 mlの水を加えた。
残渣に水を加えた分散液は再度遠心分離することで上澄
みを回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄み
を合わせて、30 mlのアラビノキシラン可溶化液を得
た。アラビノキシラン量は実施例1と同様に求めた。
分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに1
0 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)シュウ酸水
を添加してpHを4.0に調整した。遠心分離で上澄みを
除去し、回収した沈殿を150℃飽和蒸気下にて10分間蒸
煮した。蒸煮終了後、速やかに冷却して15 mlの水を加
えた。そして、水酸化カルシウムを用いて中和した後、
遠心分離で上澄みを回収した。残渣には15 mlの水を加
え、再度遠心分離することで上澄みを回収した。2回の
遠心分離によって回収した上澄みを合わせて、30 mlの
アラビノキシラン可溶化液を得た。アラビノキシラン量
は実施例1と同様に求めた。
分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに1
0 mlの水を加えた。この分散液(pH 4.9)を遠心分離
し、上澄みを除去した。回収した沈殿を150℃飽和蒸気
下にて10分間蒸煮した。蒸煮終了後、速やかに冷却して
15 mlの水を加え、遠心分離で上澄みを回収した。残渣
には15 mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄み
を回収した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを
合わせて、30 mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。
アラビノキシラン量は実施例1と同様に求めた。
分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに1
0 mlの水を加え、この分散液に10%(w/v)シュウ酸水
を添加してpHを4.0に調整した。次に、遠心分離で上
澄みを除去し、回収した沈殿を150℃飽和蒸気下にて 20
分間蒸煮した。蒸煮後、速やかに冷却して15 mlの水を
加え、水酸化カルシウムを用いてpH 5.0に中和した。
続いて、小麦ふすまに対して1%(w/w)の「スミチー
ムAC」を添加し、60℃にて24時間酵素分解した。酵素
分解終了後、遠心分離で上澄みを回収した。残渣には15
mlの水を加え、再度遠心分離することで上澄みを回収
した。2回の遠心分離によって回収した上澄みを合わせ
て、30 mlのアラビノキシラン可溶化液を得た。アラビ
ノキシラン量は実施例1と同様に求めた。
分解酵素処理を施した小麦ふすま(水分:80%)5 gに1
0 mlの水を加えた。この分散液(pH 4.9)を遠心分離
し、上澄みを除去した。回収した沈殿を150℃飽和蒸気
下にて20分間蒸煮した。蒸煮終了後、速やかに冷却して
15 mlの水を加えた。続いて、小麦ふすまに対して1%
(w/w)の「スミチームAC」を添加し、60℃にて24時
間酵素分解した。酵素分解終了後、遠心分離で上澄みを
回収した。残渣には15 mlの水を加え、再度遠心分離す
ることで上澄みを回収した。2回の遠心分離によって回
収した上澄みを合わせて、30 mlのアラビノキシラン可
溶化液を得た。アラビノキシラン量は実施例1と同様に
求めた。
ノキシランの回収率及びアラビノキシラン可溶化液の糖
組成を表1に示した。
3から、酸処理におけるpHが4.0以上では、小麦ふす
まに含まれるアラビノキシランの半分以下しか可溶化で
きないが、本発明のpH1.0〜3.0で酸処理を行えば、ヘ
ミセルロース(アラビノキシラン)の可溶化が効果的に
図れることが分かる。特に、酸処理をpH1.0で行った
実施例1及び2では、小麦ふすまに含まれるアラビノキ
シランがほぼ完全に回収されることが分かる。
ら、pH1.0〜3.0の範囲で酸処理を行い、加熱処理後、
繊維質分解酵素等で酵素処理を行うことにより、分子量
1,000を超える水溶性多糖を殆ど含まないところの、オ
リゴ糖及びアラビノースやキシロース等の単糖からなる
水溶性糖類を、該単糖を主成分として、高収率で得るこ
とができることが分かる。
キシロース、アラビノース又はガラクトースから選ばれ
た1種類以上の糖を構成糖とするオリゴ糖及び/又はキ
シロースやアラビノース等の単糖から成る水溶性糖類
が、高収率で得られる点で優れている。
ロースやアラビノース等の単糖を主成分とするものが、
直接、高収率で得られる。
溶性アラビノキシラン等の分子量1,000を超える水溶性
多糖を殆ど含まないものを得ることができる。
び120〜150℃の湿式加熱という比較的穏和な条件下の処
理にもかかわらず、穀類外皮中のヘミセルロースから、
高い収率で、キシロース、アラビノース又はガラクトー
スから選ばれた1種類以上の糖を構成糖とするオリゴ糖
及び/又は単糖から成る水溶性糖類が得られるが、この
ことは、食品産業において汎用される機器を利用できる
ことになるから、経済性に優れた方法である。
して利用できる他、アラビノキシラン由来の単糖である
キシロースやアラビノースは、褐変反応性が高いことか
ら水産練り製品等の色づけに有効であり、オリゴ糖は、
ビフィズス菌増殖活性などの生理機能を持つことが知ら
れているが、本発明では、このような食品用途での有用
性が非常に高い糖類素材を、小麦ふすま等の穀類外皮か
ら直接得ることができる。
を可溶化した後の残渣は、その主成分が水不溶性蛋白や
セルロースであるが、酸処理や繊維質分解酵素処理の効
果で消化性が向上しているので良好な飼料原料、堆肥原
料等として使用することができるし、この残渣は、成形
加工することで生分解性の園芸用ポットや緩衝材とする
ことも可能である点においても、本発明は、価値の高い
ものである。
Claims (4)
- 【請求項1】 ヘミセルロースを含む穀類外皮から水溶
性糖類を得る方法において、該外皮をpH1.0〜3.0で酸
処理した後、120〜150℃の温度で湿式加熱処理すること
を特徴とするキシロース、アラビノース又はガラクトー
スから選ばれる1種類以上の糖を構成糖とする水溶性多
糖、オリゴ糖及び/又は単糖の製造方法。 - 【請求項2】 ヘミセルロースを含む穀類外皮から水溶
性糖類を得る方法において、該外皮をpH1.5〜3.0で酸
処理した後、120〜150℃の温度で湿式加熱処理し、次い
で、繊維質分解酵素処理することを特徴とするキシロー
ス、アラビノース又はガラクトースから選ばれる1種類
以上の糖を構成糖とする水溶性多糖、オリゴ糖及び/又
は単糖の製造方法。 - 【請求項3】 酸がシュウ酸、塩酸又は硫酸である請求
項1又は請求項2記載のキシロース、アラビノース又は
ガラクトースから選ばれた1種類以上の糖を構成糖とす
る水溶性多糖、オリゴ糖及び/又は単糖の製造方法。 - 【請求項4】 穀類が小麦、コーン、大豆又は米である
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のキシロー
ス、アラビノース又はガラクトースから選ばれた1種類
以上の糖を構成糖とする水溶性多糖、オリゴ糖及び/又
は単糖の製造方法。
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