JP2004229607A - セルロース含有材から加水分解生成物を製造する方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】木粉等のセルロース含有材をアルコール32で処理し、次いで水34で前処理する。その後、高温高圧状態で加水分解処理を行う。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木材や紙,ワラ等といったセルロース含有材を原料として、単糖やオリゴ糖等の加水分解生成物を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
産業廃棄物や家庭から排出される廃棄物には、多量の天然有機高分子や合成高分子が含まれているが、その殆どは再利用されることなく焼却や埋立てにより廃棄されているのが現状である。これらの高分子材料は貴重な化学原料やエネルギー資源となり得るものであり、上記高分子材料を大量に処理して有効活用できる技術の開発が望まれている。
【0003】
高分子材料資源のうち最も期待されているものの一つとして、紙,木材,ワラ等の農林生産物に含まれるセルロースが挙げられる。セルロースはグルコースがβ−1,4−グルコシド結合した多糖類であり、これを加水分解することによりグルコースや各種オリゴ糖を得ることが可能である。
【0004】
ところでグルコース等の単糖や各種オリゴ糖は様々に有効活用されている材料であり、例えば機能性食品の素材等として用いられている。尚オリゴ糖とは二糖ないし十数糖が重合した糖質のことを言い、一般的には単糖が2〜6つ重合したものを指すことが多い。
【0005】
以上の様な点から上記セルロースを原料としてグルコースや各種オリゴ糖を製造するべく様々な方法が提案されている。この方法としては▲1▼熱分解法、▲2▼酸触媒を用いた高温加水分解法、▲3▼酵素による加水分解法等が従来より知られているが、上記▲1▼熱分解法は反応の制御が不可能であり、この為に単糖レベルよりも更に分解され、結果としてオリゴ糖等の生成率が低くなるという問題がある。また上記▲2▼酸触媒を用いた高温加水分解法では、添加する酸によって装置が腐食したり、生成物から酸を除去する工程等が必要となり、製造工程が煩雑化するという問題があり、仮にこの様な問題を回避する為に酸の濃度を低く抑えると、オリゴ糖等の生成率が低くなる問題がある。上記▲3▼酵素による加水分解法では、反応速度が遅い為に、工業的な生産方法としての利用がままならない。
【0006】
そこで酸や酵素を用いずにセルロースの加水分解を行う方法が新たに提案されている(特許文献1,2)。特許文献1に記載の方法は、セルロース粉末を200〜300℃の加圧熱水と接触させて加水分解を行うという方法であり、これにより水溶性オリゴ糖類を得ることができるというものである(従来法▲4▼)。また特許文献1には上述の様にして得られた水溶性オリゴ糖類を、更に酵素による分解処理を施すことにより単糖を得るという方法も開示されている(従来法▲5▼)。
【0007】
特許文献2に記載の方法は、触媒としてランタノイドイオンを用い、セルロース又はセルロース含有物質の粉末を上記ランタノイドイオンの存在下で220〜270℃の加圧熱水と接触させて加水分解を行うというものであり、これにより水溶性オリゴ糖類等が得られる(従来法▲6▼)。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−327900号公報
【特許文献2】
特開2002−85100号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記の如くセルロースから単糖やオリゴ糖を得る場合には、木材等の原料に水を付与して加水分解を行うが、木材等が有する撥水作用のために木材等と水の接触が不十分となり、この為に加水分解反応の進行が妨げられ、その結果、処理に長時間を要したり、またオリゴ糖等の生成量が少なくなる等の問題がある。なお上記従来法▲4▼や▲6▼においては木材等のセルロース原料を粉末化して水との接触面積を大きくしているものの、上記の如く撥水作用の為に濡れ性に劣ることから、加水分解反応の進行がおもわしくない。
【0010】
また木材片等の廃材を原料として用いる場合において、該廃材は通常乾燥した状態にあり、そしてこの木材片等の有する細孔内も乾いた状態にあることから、該細孔の奥深くまで水を侵入させなければ加水分解反応を良好に進行させることができない。従って該木材片の処理が不十分となり、低い収集率でしかオリゴ糖等の生成物を得ることができず、また処理に長時間を要するといった問題がある。
【0011】
本発明は以上の様な問題に鑑みてなされたものであって、木材等のセルロース含有材から加水分解生成物を製造するにあたり、その加水分解反応の効率を高め、高い収率でオリゴ糖等の加水分解生成物を得ることのできる製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る製造方法は、セルロース含有材から加水分解生成物を製造する方法であって、前記セルロース含有材を水で前処理し、その後、高温高圧状態で加水分解処理を行うことを特徴とする。尚上記加水分解生成物とは、オリゴ糖や単糖を指す。
【0013】
上記の様に予めセルロース含有材を水で前処理することによって、セルロース含有材の細孔内部にまで水が侵入したり、またセルロース含有材の細胞や空胞内に水が浸透したりして、加水分解され易い状態となる。従って加水分解処理の効率が上がり、加水分解生成物の収率が向上する。尚上記加水分解処理においては、前処理で用いた水を加熱,加圧することにより高温高圧状態として加水分解する様にしても良いし、或いは前処理で用いた水とは別の高温高圧状態の水を前処理済みのセルロース含有材に作用させる様にしても良い。
【0014】
上記前処理としては、セルロース含有材を水に浸漬する方法等が挙げられ、殊に、セルロース含有材に水を浸透させる含水処理が好ましい。この浸透させる含水処理とは、具体的には例えばセルロース含有材が木材やワラ等の場合には、これらを水に浸けることによって、木材等の細胞表面に水を接触させると共に、細胞内に水を浸透させる処理であり、またセルロース含有材が紙や布等の場合には、水に浸けることによって、該紙等を構成する繊維の内部にまで水を浸透させる処理等であり、即ちセルロース含有材の内部に水を染み込ませる処理である。
【0015】
この様に水が浸透されることにより、セルロース含有材の水馴染みがより良くなり、加水分解処理が円滑に進み、加水分解生成物の収率が向上する。
【0016】
また上記前処理としては、前記セルロース含有材を水中に浸漬した状態で脱気することにより行われることが好ましい。例えば容器内の水に木片を浸し、この容器に蓋をして容器上部の空気を吸引すると、引圧となって木片が有する細孔内の空気が抜き出される一方、この細孔内に水が侵入することとなる。またセルロース含有材を水中に浸漬し、これに超音波を作用させることによって、細孔内の空気が抜き出されて水が侵入する。更に上記吸引と超音波処理を併せて行うことにより、脱気がより円滑に行われる。
【0017】
この様にして細孔内に水を侵入させれば、細孔内部の水馴染みも良くなり、加水分解処理が円滑に進んで加水分解生成物の収率が上がる。
【0018】
更に前記前処理に先だって前記セルロース含有材をアルコール処理することが好ましい。
【0019】
アルコールであればセルロース含有材は弾くことなく細孔内への侵入等が容易に進み、そしてアルコールは容易に水と混じることから、この後の水での前処理においてアルコールが水に容易に置換されてセルロース含有材が直ぐに水に馴染み、前処理の時間が短縮されると共に、一層水馴染みが良くなっているから加水分解処理の効率がより向上する。
【0020】
使用するアルコールとしては常温で液体のものが良く、好ましくは低級アルコール(炭素数1〜6)、最も好ましくはメタノールである。より低級のアルコールの方が、セルロース含有材の内部への浸透が容易だからである。
【0021】
【発明の実施の形態】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係るセルロース含有材からの加水分解生成物製造方法を説明する為の図であって、該製造方法のうちのアルコール処理工程及び前処理工程を表している。
【0022】
原料として用いるセルロース含有材としては、特に限定されるものではなく、パルプ,木材粉,木材片,木綿,トウモロコシ芯,おがくず,麦ワラ等、様々なセルロース含有材を用いることができる。尚例えば木材として、不要になった建築解体廃棄物や森林伐採時に生じる間伐材等を用いれば、廃棄物の有効活用を図ることができる。
【0023】
処理にあたっては、まずセルロース含有材31をアルコール32に浸漬する[アルコール処理](図1の(a))。アルコールは表面張力が小さく細孔内への侵入性等に優れる為、該アルコール処理によりセルロース含有材31の細孔内等は容易にアルコールで満たされる。この様なアルコール処理は浸漬等の簡単な操作で実施することができる。またアルコールはセルロース含有材に速やかに浸透することから、浸漬時間としては数分〜数時間程度の短時間で十分に効果を発揮し得る。
【0024】
次いで上記アルコール処理の容器38に水34を流し入れて容器38のアルコール32を水34に置換し(図1の(b))、容器38内を水34で満たす(図1の(c))。これにより、セルロース含有材31からアルコール32が除去されると共に、セルロース含有材31に水34が浸潤する[前処理]。尚水の入った容器を準備し、この水の中に、アルコール32中から掬い上げたセルロース含有材31を浸漬することによって、アルコール分の除去及び水の付与をする様にしても良い。但し、上記のように容器38中を流水を用いて置換する方が、アルコールの除去及び水の付与がより速く進行するから、処理時間を短縮できて好ましい。またアルコール32中から掬い上げたセルロース含有材31を流水に曝す様にしても良い。但し、アルコール32中からの掬い上げ後、直ちに水に曝さないと、アルコールが乾いてアルコール処理の効果が低減する虞がある。
【0025】
上記の様な前処理によって、セルロース含有材の細胞に水が浸透したり、また細孔のあるセルロース含有材にあっては該細孔内に水が侵入する等して、セルロース含有材は非常に水に馴染んだ状態となる。
【0026】
その後、この様にして含水処理されたセルロース含有材31に、加水分解処理装置を用いて加水分解処理を施す。
【0027】
ここで加水分解処理装置について説明する。図2は加水分解処理装置の一例を表すブロック図である。反応器14は水を導入/排出できる様になっており、その導入側には、高圧ポンプ12及び予熱器13を介して水タンク11が接続されている。また反応器14の排出側には熱交換器16が接続され、反応器14から排出される高温溶液を冷却できる様になっている。そしてこの熱交換器16には冷却ユニット17が取り付けられている。熱交換器16を経た下流側には固液分離フィルター18を介して気液分離器20が接続され、ここから液回収部21とガスパック22が繋がっている。尚フィルター18と気液分離器20の間には圧力保持バルブ19が取り付けられており、高圧ポンプ12から圧力保持バルブ19の間を高圧状態に保つことができる様になっている。また反応器14にはヒーター15が取り付けられており、補助加熱できる様になっている。
【0028】
加水分解処理法としては、上述の様に反応器14内にセルロース含有材31を仕込み、水タンク11から反応器14に水を供給する。このとき予熱器13により水を加熱して供給し、反応器14内において水が200〜450℃になるようにすると共に、圧力保持バルブ19を閉めて加圧ポンプ12によって反応器14内が上記温度における水の蒸気圧以上となる様にする。
【0029】
この様に上記加水分解処理においては、200〜450℃の水により処理するのが好ましい。セルロースを効率良く分解する為には、200℃以上とするのが良いからであり、より好ましくは230°以上である。一方450℃超の場合は、加水分解生成物の熱分解が支配的となり、オリゴ糖等の有用成分の回収率が低下してしまうからである。より好ましくは350℃以下である。殊にセルロース含有材として木材を用いた場合には230〜400℃が好ましい。
【0030】
また加水分解処理における水の圧力としては、上記の如く温度における水の蒸気圧以上にするのが好ましく、この様な高温高圧状態の水を用いることにより、セルロースをオリゴ糖や単糖にまで効率よく分解することができるからである。
【0031】
尚水の蒸気圧以上となる圧力とは、具体的には例えば反応器14内の水の温度を230℃とした場合には圧力を2.8MPa以上とし、水の温度を350℃とした場合には圧力を16.5MPa以上とする。水の臨界温度(374℃)以上では水の飽和蒸気圧は存在しないが、反応器14内の温度を水の臨界温度(374℃)以上とする場合には、臨界圧力(22.1MPa)以上に加圧すれば良好に加水分解を行うことができる。
【0032】
こうして反応器14においてセルロース含有材31中のセルロースを加水分解し、次に加水分解により生成した液を反応器14から排出して熱交換器16に通過させ、70〜30℃程度まで冷却する。この様に分解直後に急冷することにより、加水分解生成物(オリゴ糖や単糖)が更に分解されることを抑制することができる。
【0033】
その後、上記冷却した生成液を固液分離フィルター18に通過させて固体成分を除去し、気液分離器20によりガスと液体を分離する。尚加圧により溶存していた気体成分が、大気圧に減圧されることにより気化してガスとして現れる。ガスはガスパック22に収容し、また液体成分(生成液)は液回収部21に回収する。この回収された液体成分にはオリゴ糖等の加水分解生成物が含まれている。
【0034】
尚回収された液体成分(生成液)は、加水分解生成物が多量の水で希釈された状態にあるので、逆浸透膜等により濃縮することが実用的である。
【0035】
前述の様に、原料のセルロース含有材に対してアルコール処理及び前処理を行っているから、セルロース含有材は加水分解を受け易い状態となり、従ってその後の加水分解処理が良好に進行し、オリゴ糖といった加水分解生成物を高い収率で回収できる。また加水分解処理に要する時間を従来よりも短縮することができる。
【0036】
<実施形態2>
図3は本発明の実施形態2に係る製造方法における前処理工程を説明する為の図である。
【0037】
容器35内の水44に原料のセルロース含有材31を浸漬して容器35の蓋35aをし、吸引ポンプ37により空気を吸引して−0.05MPa程度に減圧する。また容器35に設けられた超音波発生装置36により超音波を発生し、セルロース含有材31に作用させる。吸引による減圧と超音波処理により、セルロース含有材31の細孔から空気が円滑に取り除かれ、これに伴って細孔に水44が侵入する。
【0038】
減圧の程度や超音波の強度等の処理条件は、セルロース含有材31の処理量に合わせて決定すると良い。尚この様に水中にセルロース含有材を浸漬して前処理を行う場合には、該前処理の初期段階においてはセルロール含有材から多量の気泡が発生し、含水処理の進行とともに気泡の発生が減少することとなるので、上記処理条件としては処理時の気泡の発生状態を勘案して決定するのが好ましい。
【0039】
この様に前処理を施すことにより含水したセルロース含有材31を、上記実施形態1と同様に加水分解処理する。
【0040】
本実施形態2においても、前処理によってセルロース含有材は水に馴染んだ状態となっているから、その後の加水分解処理が良好に進行し、高収率でオリゴ糖等の加水分解生成物を得ることができる。また上記と同様に加水分解処理に要する時間を従来よりも短縮することができる。
【0041】
<実施形態3>
上記実施形態1で述べた様にセルロース含有材31にアルコール処理を施した後、水34を流しかける処理を行い(図1)、次いで上記実施形態2の様に水44に浸漬して減圧下で超音波処理を行う(図3)。この様にアルコール処理と水中浸漬状態での減圧・超音波処理を行うことにより、セルロース含有材31は極めて水馴染みが良くなる。従ってこの後加水分解処理を行った際には、非常に高い分解効率を示すこととなり、高い収率でオリゴ糖等の加水分解生成物を得ることができる。また加水分解処理に要する時間を一層短縮することができる。
【0042】
【実施例】
<実験例1>
原料であるセルロース含有材には、乾燥した木粉を用いた。また加水分解処理装置としては図2に示す装置を用いた。
【0043】
上記木粉2gを反応器14に仕込み、水タンク11からの水を高圧ポンプ12で加圧して、65g/分の流量で反応器14に供給し、また圧力保持バルブ19を調節して、反応器14内が25MPaとなる様にした。このとき供給する水を予熱器13によりその出口温度で300℃となるように加熱した。尚反応器14内において300℃以下となった場合には、ヒーター15により300℃となる様に加熱した。木粉はこの様な高温高圧状態の水に曝されることにより、木粉中のセルロースに加水分解が起こり、オリゴ糖等が生成する。
【0044】
この様にして加水分解処理を0.5時間行った後、生成した液を熱交換器16に通して熱交換器出口温度が約40℃となるように冷却した。その後、固液分離フィルター(細孔径が0.5μmのステンレス製焼結金属フィルター)18に通過させて分離液を得、更に気液分離器20を経て液回収部21に、上記加水分解で生成した生成液を回収した。
【0045】
得られた生成液について、高速液体クロマトグラフィーを用いてオリゴ糖濃度を測定した。この結果を下記表1に示す。
【0046】
<実験例2>
原料のセルロース含有材として実験例1と同じく、乾燥した木粉を用いる。
【0047】
この木粉2gを、水の中に浸漬し、大気圧の状態で超音波処理を1時間施す[前処理]。
【0048】
その後、この水を含ませた木粉を反応器14に仕込み、実験例1と同じ条件で加水分解処理を行い、同じく約40℃に冷却して、固液分離及び気液分離を行い、液回収部21に加水分解で生成した生成液を回収した。
【0049】
得られた生成液について、高速液体クロマトグラフィーを用いてオリゴ糖濃度を測定した。この結果を下記表1に併せて示す。
【0050】
<実験例3>
原料のセルロース含有材として実験例1,2と同じく、乾燥した木粉を用いた。
【0051】
この木粉2gを、図3に示す様に水の中に浸漬し、減圧状態(−0.05MPa)で超音波処理を1時間施した[前処理]。
【0052】
その後、この水を含ませた木粉を反応器14に仕込み、実験例1と同じ条件で加水分解処理を行い、同じく約40℃に冷却して、固液分離及び気液分離を行い、液回収部21に加水分解で生成した生成液を回収した。
【0053】
得られた生成液について、高速液体クロマトグラフィーを用いてオリゴ糖濃度を測定した。この結果を下記表1に併せて示す。
【0054】
<実験例4>
原料のセルロース含有材として実験例1〜3と同じく、乾燥した木粉を用いる。
【0055】
この木粉2gを、図1(a)に示す様にメタノールに5分間浸漬し[アルコール処理]、次に容器38内に水を流速10ml/分で3時間流通させて容器38内を水34に置換し、これによりメタノール除去及び水の付与を行った[前処理](図1(b),(c))。
【0056】
その後この水を含ませた木粉を反応器14に仕込み、実験例1と同じ条件で加水分解処理を行い、同じく約40℃に冷却して、固液分離及び気液分離を行い、液回収部21に加水分解で生成した生成液を回収した。
【0057】
得られた生成液について、高速液体クロマトグラフィーを用いてオリゴ糖濃度を測定した。この結果を下記表1に併せて示す。
【0058】
<実験例5>
原料のセルロース含有材として実験例1〜4と同じく、乾燥した木粉を用いた。
【0059】
この木粉2gを、図1(a)に示す様にメタノールに5分間浸漬し[アルコール処理]、次に容器38内に水を流速10ml/分で3時間流通させて容器38内を水34に置換し、メタノール除去及び水の付与を行った[第1の前処理](図1(b),(c))。次いでこの木粉を、図3に示す様に水の中に浸漬し、減圧状態(−0.05MPa)で超音波処理を1時間施した[第2の前処理]。
【0060】
その後この水を含ませた木粉を反応器14に仕込み、実験例1と同じ条件で加水分解処理を行い、同じく約40℃に冷却して、固液分離及び気液分離を行い、液回収部21に加水分解で生成した生成液を回収した。
【0061】
得られた生成液について、高速液体クロマトグラフィーを用いてオリゴ糖濃度を測定した。この結果を下記表1に併せて示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示す結果から分かる様に、前処理を行っていない実験例1に比べて、前処理を行った実験例2〜5はオリゴ糖の収率が高く、本発明の様に加水分解処理に先立って、セルロース含有材内部まで十分に水を含ませる前処理を行えば、セルロースの加水分解効率が向上することが分かる。前処理によって、例えば木粉における細孔への加圧熱水(加水分解処理の為の熱水)の進行が容易となり、この様に水との接触が改善されることで、加水分解反応が促進されたからであると考えられる。
【0064】
加えて実験例2〜5のうちでも、前処理に先立ってアルコール処理を行った実験例4,5は、よりオリゴ糖収率が高く、加水分解効率がより優れている。また実験例2,3の比較から分かる様に、減圧して強制的に気泡を除去したものの方が、より加水分解効率に優れる。更にアルコール処理と、水中での減圧状態による超音波処理を施した実験例5にあっては、非常に優れた加水分解効率を発揮することが分かる。
【0065】
以上の様に、本発明に係る製造方法に関して、例を示す図面を参照しつつ具体的に説明したが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0066】
【発明の効果】
本発明に係る加水分解生成物の製造方法によれば、木材等のセルロース含有材を原料とした加水分解反応を、効率良く行うことができ、オリゴ糖等の加水分解生成物を高い収率で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るセルロース含有材からの加水分解生成物の製造方法を説明する為の図。
【図2】加水分解処理装置の一例を表すブロック図。
【図3】本発明の実施形態2に係る製造方法を説明する為の図。
【符号の説明】
11 水タンク
12 高圧ポンプ
13 予熱器
14 反応器
21 液回収部
31 セルロース含有材
32 アルコール
34,44 水
36 超音波発生装置
37 吸引ポンプ
Claims (5)
- セルロース含有材から加水分解生成物を製造する方法において、
前記セルロース含有材を水で前処理し、その後、高温高圧状態で加水分解処理を行うことを特徴とする加水分解生成物の製造方法。 - 前記前処理が、セルロース含有材に水を浸透させる含水処理である請求項1に記載の製造方法。
- 前記前処理は、前記セルロース含有材を水中に浸漬した状態で脱気することにより行われる請求項1に記載の製造方法。
- 前記前処理に先だって前記セルロース含有材をアルコール処理する請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記加水分解生成物がオリゴ糖である請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
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