JPH1110805A - 透明被覆成形品およびその製造法 - Google Patents

透明被覆成形品およびその製造法

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JPH1110805A
JPH1110805A JP16916497A JP16916497A JPH1110805A JP H1110805 A JPH1110805 A JP H1110805A JP 16916497 A JP16916497 A JP 16916497A JP 16916497 A JP16916497 A JP 16916497A JP H1110805 A JPH1110805 A JP H1110805A
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transparent
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meth
energy ray
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JP16916497A
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Satoshi Kondo
聡 近藤
Toshihiko Higuchi
俊彦 樋口
Hirotsugu Yamamoto
博嗣 山本
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Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐候試験における高い耐候性とクラック発生防
止性能と高い耐磨耗性を両立させた紫外線硬化性組成物
の硬化物層を表面に有する透明被覆成形品を提供する。 【解決手段】紫外線吸収剤含有熱可塑性アクリル系樹脂
層の形成された透明合成樹脂基材上に、熱可塑性アクリ
ル系樹脂層表面に接する紫外線硬化性組成物の硬化物の
層とコロイド状シリカ含有含有紫外線硬化性組成物の硬
化物の層をこの順に形成した透明被覆成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線吸収剤を含
有する透明熱可塑性アクリル系樹脂層の形成された透明
合成樹脂成形基材上に、活性エネルギー線(特に紫外
線)を照射して形成された耐磨耗性、透明性、耐候性な
どに優れた透明硬化物層を有する透明被覆成形品、およ
びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ガラスに代わる透明材料として透
明合成樹脂材料が用いられるようになってきている。と
りわけ芳香族ポリカーボネート樹脂は耐破砕性、透明
性、軽量性、易加工性などに優れ、その特徴を生かし
て、外壁、アーケード等の大面積の透明部材として各方
面で使用されている。しかし、ガラスの代替として使用
するには耐候性が不充分でありまた、表面の硬度が充分
ではなく、傷つきやすく磨耗しやすいことから透明性が
損なわれやすいという欠点を有している。
【0003】従来、芳香族ポリカーボネート樹脂の耐候
性、耐擦傷性や耐磨耗性を改良するために多くの試みが
なされてきた。最も一般的な方法の一つに紫外線吸収剤
等を添加した透明熱可塑性アクリル系樹脂を芳香族ポリ
カーボネート樹脂基材上に形成する方法(特開平4−1
19838、特開平4−270652)があるが、この
方法では表面の耐擦傷性が全く確保できない。
【0004】ある程度の表面耐擦傷性と耐候性を両立さ
せるために紫外線吸収剤等を添加した、分子中にアクリ
ロイル基等の重合性官能基を2以上有する重合硬化性化
合物を基材に塗布し、熱あるいは紫外線等の活性エネル
ギー線により硬化させ、耐擦傷性に優れた透明硬化物層
を有する成形品を得る方法がある。この方法は、コート
液も比較的安定で、特に紫外線硬化が可能であるため生
産性に優れ、成形品に曲げ加工を施した場合でも硬化皮
膜にクラックが発生することがなく表面の耐久性、耐擦
傷性や耐磨耗性を改善することができる。しかし、紫外
線硬化のため添加できる紫外線吸収剤の量に限りがあ
り、また硬化皮膜が有機物のみからなることから長期間
の外使い等の厳しい条件では使用に限界がある。
【0005】一方、より高い表面硬度を基材に付与させ
るための方法として、金属アルコキシド化合物を基材に
塗布し熱により硬化させる方法がある。金属アルコキシ
ドとしてはケイ素系の化合物が広く用いられており、耐
磨耗性に非常に優れた硬化皮膜を形成できる反面、金属
アルコキシドの硬化に高温を必要とするため生産性が低
く、また硬化皮膜と基材との密着性に乏しいため、硬化
皮膜の剥離やクラックを生じやすい等の欠点を有してい
た。
【0006】これらの技術の欠点を改良する方法として
特開昭61−181809に示されるようにアクリロイ
ル基を有する化合物とコロイド状シリカの混合物を基材
に塗布し、紫外線等の活性エネルギー線により硬化さ
せ、耐擦傷性に優れた透明硬化物層を形成する方法があ
る。コロイド状シリカを重合硬化性化合物と併用するこ
とにより、かなり高い表面硬度と生産性を両立させるこ
とが可能である。また、特開平1−188509、特開
平1−315403、特開平2−64138、特開平5
−93170、特開平5−117545には、このよう
な方法においてビニル官能性シラン、アクリル官能性シ
ラン、エポキシ官能性シラン、アミノ官能性シラン等で
表面修飾したコロイド状シリカを用いる技術が開示され
ている。
【0007】しかし、こうした非常に硬い被膜を基材に
直接コートすると、基材と硬化被膜の熱膨張率の差が非
常に大きくなり、耐候試験の過程でマイクロクラックが
生じることがある。こうしたマイクロクラックが生じる
と巨視的には基材のヘーズとなって現れる。さらに、耐
候試験を進めるとこうしたマイクロクラックを起点にし
て硬化被膜が基材からはがれ落ちてしまうといった問題
が生じることが分かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述の欠点を
解消しようとするものである。すなわち、充分な表面耐
擦傷性、耐磨耗性を有し、さらに耐候性に優れた透明硬
化物層を有する成形品およびその製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
の解決目的として検討を行った結果、紫外線吸収剤を含
有する透明熱可塑性アクリル系樹脂層の形成された透明
合成樹脂成形基材に特定の層構成を有する成形品および
その製造方法を見いだした。本発明はこの成形品および
その製造方法にかかわる下記発明である。
【0010】透明合成樹脂成形基材、透明合成樹脂成形
基材表面の少なくとも一部に設けられた紫外線吸収剤を
含有する透明熱可塑性アクリル系樹脂層および透明熱可
塑性アクリル系樹脂層の表面に設けられた少なくとも2
層の活性エネルギー線硬化性被覆組成物の透明硬化物層
を含む透明被覆成形品において、少なくとも2層の透明
硬化物層のうち透明熱可塑性アクリル系樹脂層に接する
層が下記活性エネルギー線硬化性被覆組成物(A)の硬
化物の層でありかつ最外層が下記活性エネルギー線硬化
性被覆組成物(B)の硬化物の層であることを特徴とす
る透明被覆成形品。
【0011】透明合成樹脂成形基材、透明合成樹脂成形
基材表面の少なくとも一部に設けられた紫外線吸収剤を
含有する透明熱可塑性アクリル系樹脂層および透明熱可
塑性アクリル系樹脂層の表面に設けられた少なくとも2
層の活性エネルギー線硬化性被覆組成物の透明硬化物層
を含む透明被覆成形品を製造する方法において、透明合
成樹脂成形基材上の透明熱可塑性アクリル系樹脂層表面
に透明硬化物層を形成するかまたは透明硬化物層を形成
した透明熱可塑性アクリル系樹脂を透明合成樹脂成形基
材に積層して透明被覆成形品を製造し、かつ少なくとも
2層の透明硬化物層のうち透明熱可塑性アクリル系樹脂
層に接する層が下記活性エネルギー線硬化性被覆組成物
(A)の硬化物の層でありかつ最外層が下記活性エネル
ギー線硬化性被覆組成物(B)の硬化物の層であること
を特徴とする透明被覆成形品の製造法。
【0012】被覆組成物(A):活性エネルギー線硬化
性の重合性官能基を2以上有する多官能性化合物と光重
合開始剤とを含み、実質的に有効量のコロイド状シリカ
を含まない被覆組成物。
【0013】被覆組成物(B):活性エネルギー線硬化
性の重合性官能基を2以上有する多官能性化合物、光重
合開始剤および平均粒径200nm以下のコロイド状シ
リカを含む被覆組成物。
【0014】本発明のにおける透明硬化物層は、紫外線
吸収剤含有透明熱可塑性アクリル系樹脂層に接する層
(以下、接触層という)が最外層に比較して柔軟である
ことより前記マイクロクッラクを生じるおそれが少な
く、かつ透明硬化物層の最外層(以下、露出層という)
の表面硬度が高いことより耐擦傷性や耐磨耗性が高い。
したがって、透明硬化物層全体としては非常に耐候性に
優れかつ、従来の表面特性を維持した上でマイクロクッ
ラクの発生が少ないという特徴を有する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明における透明合成樹脂成形
基材は、透明な合成樹脂を成形して得られる成形品であ
り、合成樹脂の種類は問わない。しかし、紫外線吸収剤
含有透明熱可塑性アクリル系樹脂とは異なる材質の合成
樹脂からなる。好ましい基材の合成樹脂は熱可塑性樹脂
であり、たとえば、芳香族ポリカーボネート樹脂、紫外
線吸収剤を含有しないアクリル系樹脂、ポリスチレン樹
脂などの透明な熱可塑性合成樹脂が好ましい。そのうち
でも、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。透明合
成樹脂成形基材の形状は特に限定されるものではない
が、平板や波板などのシート状基材またはフィルム状基
材のものが好ましい。さらに、シート状等の形状のもの
を曲げ加工などの2次加工したもの、またはそれに相当
する形状に成形されたものであってもよい。透明合成樹
脂成形基材としてはあらかじめ成形されたものが用いら
れるが、後述のように共押出し成形により透明熱可塑性
アクリル系樹脂層と一体に成形された基材であってもよ
い。
【0016】本発明における透明熱可塑性アクリル系樹
脂はアルキルメタクリレートやアルキルアクリレートの
単独重合体やそれらの共重合体であり、またそれら単量
体と他の単量体との共重合体であってもよい。さらにこ
れら重合体と他の重合体との混合物であってもよい。よ
り好ましくは、耐候性に優れるポリメチルメタクリレー
ト系樹脂(メチルメタクリレートの単独重合体やそれを
主とする他の共重合性単量体との共重合体)であり、共
重合性単量体としてはポリメチルメタクリレートに可撓
性を付与する単量体が適当である。また、重合体の分子
量は充分な耐候性を発揮するために数平均分子量として
1万以上が好ましい。分子量の上限としては特に制限さ
れず、成形可能な範囲の分子量であればよい。この透明
熱可塑性アクリル系樹脂には紫外線吸収剤以外に他の添
加剤が含まれていてもよい。紫外線吸収剤含有透明熱可
塑性アクリル系樹脂層の厚みとしては、基材の透明合成
樹脂を紫外線から保護するのに充分な厚みが必要であ
り、紫外線吸収剤含有量にもよるが、1μm以上が好ま
しい。またその上限は特に制限を受けないが、200μ
m以下が好ましい。
【0017】透明合成樹脂成形基材(以下、単に基材と
いう)表面の少なくとも一部に紫外線吸収剤を含有する
透明熱可塑性アクリル系樹脂(以下、特に言及しない限
りアクリル系樹脂という)層を設ける手段は特に限定さ
れず、種々の手段を用いることができる。例えば、透明
合成樹脂とアクリル系樹脂を共押出し成形して、基材の
片面ないし両面にアクリル系樹脂層を有する成形された
基材が得られる。また、アクリル系樹脂のシートやフィ
ルムを基材表面に積層することができる。さらに、基材
表面にアクリル系樹脂の溶液を塗布して乾燥する方法、
重合してアクリル系樹脂となる単量体やそのオリゴマー
を基材表面に塗布し重合する方法などによってもアクリ
ル系樹脂層を有する基材を製造することができる。アク
リル系樹脂層が基材シート状等の基材の両面に存在する
場合被覆組成物の硬化物の層はその両面に設けてもよ
く、場合によっては片面のみに設けてもよい。
【0018】活性エネルギー線硬化性被覆組成物の硬化
物の層は、基材上のアクリル系樹脂層表面またはアクリ
ル系樹脂層となるアクリル系樹脂成形物(シートやフィ
ルム)の表面に形成する。後者の場合、得られた硬化物
の層が形成されたアクリル系樹脂成形物を基材と積層し
て透明被覆成形品とする。この場合、アクリル系樹脂成
形物の基材と結合させる面には硬化物の層を形成しない
ことが通例である。
【0019】少なくとも2種の活性エネルギー線硬化性
被覆組成物を用いて少なくとも2層の硬化物の層を形成
する手段も特に限定されるものではない。通常の手段で
は、1つの硬化物層を形成後その上に次の硬化物層を形
成する。本発明においては、この手段を採用することが
できるが、より好ましくは2以上の硬化物層を同時に形
成する手段を採用する。すなわち、被覆組成物を用いて
2以上の未硬化の層を形成し、次いでそれら未硬化層を
同時に硬化させて2以上の硬化物層を形成する。この同
時硬化手段を採用することにより、硬化物層の層間接着
強度が高くなる。
【0020】以下各材料についてさらに詳しく説明す
る。本発明における紫外線吸収剤を含有する透明熱可塑
性アクリル系樹脂に用いられる紫外線吸収剤としては公
知、周知なものを用いることができ、複数の紫外線吸収
剤を併用することもできる。
【0021】具体的な紫外線吸収剤としては、たとえば
以下の化合物がある。2−ヒドロキシベンゾフェノン、
5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−
ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メ
トキシベンゾフェノン、フェニルサリシレート、p−
(t−ブチル)フェニルサリシレート、3−ヒドロキシ
フェニルベンゾエート、2−(2−ヒドロキシ−3,5
−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)−2−
ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチ
ル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリ
アゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロ
キシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(3,5−ジ−t−ペンチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール。
【0022】これらの紫外線吸収剤の添加量としては、
樹脂の厚みにもよるが、透明熱可塑性アクリル系樹脂1
00重量部に対して1〜30重量部、好ましくは3〜2
5重量部である。添加量が1重量部未満では透明合成樹
脂成形基材を紫外線から充分に保護できないことがあ
る。30重量部を超えると紫外線吸収剤が界面にブリー
ドしてきたり、紫外線吸収剤自体の着色が目立ち好まし
くない。
【0023】本発明における透明硬化物層は、組成物
(A)の硬化物からなる接触層と組成物(B)の硬化物
からなる露出層の少なくとも2層構成であることを必須
とする。場合によっては接触層と露出層との間に中間層
を1層以上有していてもよい。中間層は活性エネルギー
線硬化性組成物の硬化物からなることが好ましい。この
中間層の硬化性組成物は組成物(A)と同等〜類似の組
成物であってもよく、組成物(B)と同等〜類似の組成
物であってもよい。たとえば、組成物(B)に比較して
コロイド状シリカの含有量が少ない組成物(B)と同等
の組成物を使用できる。中間層を形成する場合、中間層
形成用組成物の硬化は未硬化層を形成し組成物(A)、
組成物(B)と同時に硬化する方法が好ましい。以下ま
ず組成物(A)、組成物(B)の材料について説明す
る。中間層の材料もこれら材料と同じものを使用でき
る。
【0024】組成物(A)、組成物(B)それぞれにお
ける活性エネルギー線硬化性の重合性官能基を2以上有
する多官能性化合物は、具体的な組成物(A)と組成物
(B)の組み合わせにおいて両者同一の多官能性化合物
であってもよく、同一範疇の異なる化合物であってもよ
く、範疇の異なる化合物であってもよい。たとえば、両
者とも後述アルリルウレタンである異なる化合物の組み
合わせであってもよく、一方がアルリルウレタン、他方
がウレタン結合を有しないアクリル酸エステル化合物で
ある組み合わせであってもよい。以下の説明においては
組成物(A)、(B)における多官能性を区別すること
なく両者共通に使用できる多官能性化合物を説明する。
【0025】活性エネルギー線硬化性の重合性官能基を
2以上有する多官能性化合物における活性エネルギー線
硬化性の重合性官能基としては、アクリロイル基、メタ
クリロイル基、ビニル基、アリル基などのα,β−不飽
和基やそれを有する基であり、アクリロイル基またはメ
タクリロイル基であることが好ましい。すなわち、多官
能性化合物としては、アクリロイル基およびメタクリロ
イル基から選ばれる1種以上の重合性官能基を2以上有
する化合物が好ましい。さらにそのうちでも紫外線によ
ってより重合しやすいアクリロイル基が好ましい。な
お、この多官能性化合物は1分子中に2種以上の重合性
官能基を合計2以上有する化合物であってもよく、また
同じ重合性官能基を合計2以上有する化合物であっても
よい。
【0026】多官能性化合物1分子中における重合性官
能基の数は2以上であり、その上限は特に限定されな
い。通常は2〜50個が適当であり、特に2〜30個が
好ましい。
【0027】以下の説明において、アクリロイル基およ
びメタクリロイル基を総称して(メタ)アクリロイル基
という。(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アク
リル酸、(メタ)アクリレート等も表現も同様とする。
なお、上記のようにこれらの基や化合物のうちでより好
ましいものはアクリロイル基を有するもの、たとえばア
クリロイルオキシ基、アクリル酸、アクリレート等であ
る。
【0028】多官能性化合物として好ましい化合物は
(メタ)アクリロイル基を2以上有する化合物である。
そのうちでも(メタ)アクリロイルオキシ基を2以上有
する化合物、すなわち多価アルコールなどの2以上の水
酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのポリエス
テル、が好ましい。
【0029】組成物(A)、(B)において、多官能性
化合物として2種以上の多官能性化合物が含まれていて
もよい。また、多官能性化合物とともに、活性エネルギ
ー線によって重合しうる重合性官能基を1個有する単官
能性化合物が含まれていてもよい。この単官能性化合物
としては(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ま
しく、特にアクリロイル基を有する化合物が好ましい。
【0030】組成物(A)、(B)においてこの単官能
性化合物を使用する場合、多官能性化合物とこの単官能
性化合物との合計に対するこの単官能性化合物の割合
は、特に限定されないが0〜60重量%が適当である。
単官能性化合物の割合が多すぎると硬化塗膜の硬さが低
下し耐磨耗性が不充分となるおそれがある。したがって
少なくとも組成物(B)においては単官能性化合物の割
合は少ないことが好ましい。多官能性化合物とこの単官
能性化合物との合計に対する単官能性化合物のより好ま
しい割合は組成物(A)、(B)のいずれにおいても0
〜30重量%である。
【0031】多官能性化合物としては、重合性官能基以
外に種々の官能基や結合を有する化合物であってもよ
い。たとえば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原
子、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、チオ
エーテル結合、アミド結合などを有していてもよい。特
に、ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル基含有
化合物(いわゆるアクリルウレタン)とウレタン結合を
有しない(メタ)アクリル酸エステル化合物が好まし
い。以下これら2つの多官能性化合物について説明す
る。
【0032】ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイ
ル基含有化合物(以下アクリルウレタンという)は、た
とえば、(1)(メタ)アクリロイル基と水酸基を有す
る化合物(x1)と2以上のイソシアネート基を有する
化合物(以下ポリイソシアネートという)との反応生成
物、(2)化合物(x1)と2以上の水酸基を有する化
合物(x2)とポリイソシアネートとの反応生成物、
(3)(メタ)アクリロイル基とイソシアネートを有す
る化合物(x3)と化合物(x2)との反応生成物、な
どがある。これらの反応生成物においては、イソシアネ
ート基が存在しないことが好ましい。しかし、水酸基は
存在してもよい。したがって、これらの反応生成物の製
造においては、全反応原料の水酸基の合計モル数はイソ
シアネート基の合計モル数と等しいかそれより多いこと
が好ましい。
【0033】(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する
化合物(x1)としては、(メタ)アクリロイル基と水
酸基をそれぞれ1個ずつ有する化合物であってもよく、
(メタ)アクリロイル基2個以上と水酸基1個を有する
化合物、(メタ)アクリロイル基1個と水酸基2個以上
を有する化合物、(メタ)アクリロイル基と水酸基をそ
れぞれ2個以上有する化合物であってもよい。具体例と
して、上記順に、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレ
ートなどがある。これらは2以上の水酸基を有する化合
物と(メタ)アクリル酸とのモノエステルまたは1個以
上の水酸基を残したポリエステルである。
【0034】さらに化合物(x1)としては、エポキシ
基を1個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸との開
環反応生成物であってもよい。エポキシ基と(メタ)ア
クリル酸との反応によりエポキシ基が開環してエステル
結合が生じるとともに水酸基が生じ、(メタ)アクリロ
イル基と水酸基を有する化合物となる。またエポキシ基
を1個以上有する化合物のエポキシ基を開環させて水酸
基含有化合物としそれを(メタ)アクリル酸エステルに
変換することもできる。
【0035】エポキシ基を1個以上有する化合物として
は、いわゆるエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシ
ドが好ましい。ポリエポキシドとしては、たとえば多価
フェノール類−ポリグリシジルエーテル(たとえばビス
フェノールA−ジグリシジルエーテル)などのグリシジ
ル基を2個以上有する化合物や脂環族エポキシ化合物が
好ましい。さらに、エポキシ基を有する(メタ)アクリ
レートと水酸基やカルボキシル基を有する化合物との反
応生成物を化合物(x1)として使用することもでき
る。エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとして
は、たとえばグリシジル(メタ)アクリレートがある。
【0036】化合物(x1)の上記以外の具体例として
は、たとえば以下の化合物がある。2−ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオール
モノ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモ
ノ(メタ)アクリレート、2−ブテン−1,4−ジオー
ルモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルモノ(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)
アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アク
リレート、ジペンタエリスリトールモノ(ないしペン
タ)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−ジグリシ
ジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物。
【0037】ポリイソシアネートとしては、通常の単量
体状のポリイソシアネートはもちろん、ポリイソシアネ
ートの多量体や変性体またはイソシアネート基含有ウレ
タンプレポリマーなどのプレポリマー状の化合物であっ
てもよい。
【0038】多量体としては3量体(イソシアヌレート
変性体)、2量体、カルボジイミド変性体などがあり、
変性体としてはトリメチロールプロパン等の多価アルコ
ールで変性して得られるウレタン変性体、ビュレット変
性体、アロハネート変性体、ウレア変性体などがある。
プレポリマー状のものの例としては、後述ポリエーテル
ポリオールやポリエステルポリオールなどのポリオール
とポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシア
ネート基含有ウレタンプレポリマーなどがある。これら
ポリイソシアネートは2種以上併用して使用できる。
【0039】具体的な単量体状のポリイソシアネートと
しては、たとえば、以下のポリイソシアネートがある
([ ]内は略称)。2,6−トリレンジイソシアネー
ト、2,4−トリレンジイソシアネート、メチレンビス
(4−フェニルイソシアネート)[MDI]、1,5−
ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トラ
ンスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネート[XDI]、水添XDI、水添
MDI、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレ
ンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,
6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジ
イソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、
1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシ
クロヘプタントリイソシアネート。
【0040】ポリイソシアネートとしては特に無黄変性
ポリイソシアネート(芳香核に直接結合したイソシアネ
ート基を有しないポリイソシアネート)が好ましい。具
体的にはヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族
ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど
の脂環族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネ
ートなどの芳香族ポリイソシアネートがある。上記のよ
うにこれらポリイソシアネートの多量体や変性体等も好
ましい。
【0041】2以上の水酸基を有する化合物(x2)と
しては、多価アルコールや多価アルコールに比較して高
分子量のポリオールなどがある。多価アルコールとして
は、2〜20個の水酸基を有する多価アルコールが好ま
しく、特に2〜15個の水酸基を有する多価アルコール
が好ましい。多価アルコールは脂肪族の多価アルコール
はもちろん、脂環族多価アルコールや芳香核を有する多
価アルコールであってもよい。芳香核を有する多価アル
コールとしてはたとえば多価フェノール類のアルキレン
オキシド付加物や多価フェノール類−ポリグリシジルエ
ーテルなどの芳香環を有するポリエポキシドの開環物な
どがある。
【0042】高分子量のポリオールとしてはポリエーテ
ルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテル
エステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなど
がある。また、ポリオールとして水酸基含有ビニルポリ
マーをも使用できる。これら多価アルコールやポリオー
ルは2種以上併用することもできる。
【0043】多価アルコールの具体例としてはたとえば
以下の多価アルコールがある。エチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオー
ル、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキ
サン、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリス
(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス
(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、ペンタ
エリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタ
エリスリトール、3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウン
デカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメ
チルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5.5]ウンデカン、ビスフェノールA−ジグリシジ
ルエーテルの開環物、ビニルシクロヘキセンジオキシド
の開環物。
【0044】ポリオールの具体例としてはたとえば以下
のポリオールがある。ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオ
キシド付加物、ポリテトラメチレングリコール等のポリ
エーテルポリオール。ポリブタジエンジオール、水添ポ
リブタジエンジオール等の脂肪族ポリオール。ポリε−
カプロラクトンポリオール。アジピン酸、セバシン酸、
フタル酸、マレイン酸、フマル酸、アゼライン酸、グル
タル酸等の多塩基酸と上記多価アルコールとの反応で得
られるポリエステルポリオール。1,6−ヘキサンジオ
ールとホスゲンの反応で得られるポリカーボネートジオ
ール。
【0045】水酸基含有ビニルポリマーとしてはたとえ
ばアリルアルコール、ビニルアルコール、ヒドロキシア
ルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)ア
クリレートなどの水酸基含有単量体とオレフィンなどの
水酸基不含単量体との共重合体がある。(メタ)アクリ
ロイル基とイソシアネートを有する化合物(x3)とし
ては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレー
ト、メタクリロイルイソシアネート、3−または4−イ
ソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネー
トなどがある。
【0046】多官能性化合物として好ましいウレタン結
合を有しない(メタ)アクリル酸エステル化合物として
は、前記化合物(x2)と同様の2以上の水酸基を有す
る化合物と(メタ)アクリル酸とのポリエステルが好ま
しい。2以上の水酸基を有する化合物としては前記多価
アルコールやポリオールが好ましい。さらに、2以上の
エポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反
応生成物である(メタ)アクリル酸エステル化合物も好
ましい。
【0047】2以上のエポキシ基を有する化合物として
はエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドがある。
たとえば、グリシジルエーテル型ポリエポキシド、脂環
型ポリエポキシドなどのエポキシ樹脂として市販されて
いるものを使用できる。
【0048】具体的にはたとえば以下のようなポリエポ
キシドがある。ビスフェノールA−ジグリシジルエーテ
ル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、テトラ
ブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、グリ
セリントリグリシジルエーテル、ノボラックポリグリシ
ジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシ
クロペンタジエンジオキシド。
【0049】ウレタン結合を含まない多官能性化合物の
具体例としてはたとえば以下のような化合物がある。以
下の脂肪族多価アルコールの(メタ)アクリレート。
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、炭素数14
〜15の長鎖脂肪族ジオールのジ(メタ)アクリレー
ト、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールト
リ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アク
リレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジ
トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペン
タエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペン
タエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペン
タエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペ
ンチルグリコールとトリメチロールプロパンとの縮合物
からなるジオールのジ(メタ)アクリレート。
【0050】以下の芳香環またはトリアジン環を有する
多価アルコールや多価フェノールの(メタ)アクリレー
ト。ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビス
フェノールA、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエ
チル)ビスフェノールS、ジ(2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチル)ビスフェノールF、トリス(2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ト
リス(2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)イソ
シアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシ
エチル)−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレー
ト、ビスフェノールAジメタクリレート。
【0051】以下の水酸基含有化合物−アルキレンオキ
シド付加物の(メタ)アクリレート、水酸基含有化合物
−カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、ポリ
オキシアルキレンポリオールの(メタ)アクリレート。
ただし、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオ
キシドを表す。トリメチロールプロパン−EO付加物の
トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−
PO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ル−カプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレー
ト、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート
−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレート。
【0052】下記(メタ)アクリロイル基を有するカル
ボン酸エステルやリン酸エステル。ビス(アクリロイル
オキシネオペンチルグリコール)アジペート、ヒドロキ
シピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチル
グリコールエステル−カプロラクトン付加物のジ(メ
タ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチル)ホスフェート、トリス(2−(メタ)アク
リロイルオキシエチル)ホスフェート。
【0053】下記ポリエポキシドの(メタ)アクリル酸
付加物(ただし、ポリエポキシドのエポキシ基1個あた
り1分子の(メタ)アクリル酸が付加したもの)、およ
びグリシジル(メタ)アクリレートと多価アルコールも
しくは多価カルボン酸との反応生成物(ただし、多価ア
ルコール等の1分子あたりグリシジル(メタ)アクリレ
ート2分子以上反応したもの)。ビスフェノールA−ジ
グリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビニ
ルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加
物、ジシクロペンタジエンジオキシド−(メタ)アクリ
ル酸付加物、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレ
ングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリ
レートとプロピレングリコールの反応生成物、グリシジ
ル(メタ)アクリレートとジエチレングリコールの反応
生成物、グリシジル(メタ)アクリレートと1,6−ヘ
キサンジオールの反応生成物、グリシジル(メタ)アク
リレートとグリセロールの反応生成物、グリシジル(メ
タ)アクリレートとトリメチロールプロパンの反応生成
物、グリシジル(メタ)アクリレートとフタル酸の反応
生成物。
【0054】上記のような(メタ)アクリレート類でか
つ未反応の水酸基を有している化合物のアルキルエーテ
ル化物、アルケニルエーテル化物、カルボン酸エステル
化物など(以下、変性ともいう)で、下記のような化合
物。アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メ
タ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタ
エリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ビニルシク
ロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のア
リルエーテル化物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−
(メタ)アクリル酸付加物のメチルエーテル化物、ステ
アリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレ
ート。
【0055】多官能性化合物としては、アクリルウレタ
ンの場合、ペンタエリスリトールやその多量体であるポ
リペンタエリスリトールとポリイソシアネートとヒドロ
キシアルキル(メタ)アクリレート)の反応生成物であ
るアクリルウレタン、またはペンタエリスリトールやポ
リペンタエリスリトールの水酸基含有ポリ(メタ)アク
リレートとポリイソシアネートとの反応生成物であるア
クリルウレタンであって3官能以上(好ましくは4〜2
0官能)の化合物が好ましい。ウレタン結合を有しない
多官能性化合物としては、ペンタエリスリトール系ポリ
(メタ)アクリレートとイソシアヌレート系ポリ(メ
タ)アクリレートが好ましい。ペンタエリスリトール系
ポリ(メタ)アクリレートとは、ペンタエリスリトール
やポリペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸との
ポリエステル(好ましくは4〜20官能のもの)をい
う。イソシアヌレート系ポリ(メタ)アクリレートと
は、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートま
たはその1モルに1〜6モルのカプロラクトンやアルキ
レンオキシドを付加して得られる付加物と(メタ)アク
リル酸とのポリエステル(2〜3官能のもの)をいう。
これら好ましい多官能性化合物と他の2官能以上の多官
能性化合物(特に多価アルコールのポリ(メタ)アクリ
レート)とを併用することも好ましい。
【0056】多官能性化合物とともに使用できる単官能
性化合物としては、たとえば分子中に1個の(メタ)ア
クリロイル基を有する化合物が好ましい。そのような単
官能性化合物は、水酸基、エポキシ基などの官能基を有
していてもよい。好ましい単官能性化合物は(メタ)ア
クリル酸エステル、すなわち(メタ)アクリレートであ
る。
【0057】具体的な単官能性化合物としてはたとえば
以下の化合物がある。メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル
(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、1,4−ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル
グリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物。
【0058】組成物(A)は実質的に有効量のコロイド
状シリカを含まず、組成物(B)は平均粒径200nm
以下のコロイド状シリカを含む。組成物(A)が実質的
に有効量のコロイド状シリカを含まないとは、マイクロ
クッラクが発生しやすくなる程度の量のコロイド状シリ
カを含まないことを意味し、通常は組成物(A)中の硬
化性成分(多官能性化合物と単多官能性化合物の合計)
100重量部に対して5重量部未満である。勿論この量
は組成物(B)におけるコロイド状シリカの量に比較し
て効果上充分に差異が認められる量である必要がある。
組成物(A)は、好ましくはコロイド状シリカをまった
く含まない。なお、前記した中間層がコロイド状シリカ
を含む場合は、その量は組成物(A)と組成物(B)に
おけるコロイド状シリカ含有量の中間の量であることが
好ましい。
【0059】組成物(B)は露出層の表面硬度を高める
上で有効量の平均粒径200nm以下のコロイド状シリ
カを含む。コロイド状シリカの平均粒径は1〜100n
mであることが好ましく、特に1〜50nmが好まし
い。コロイド状シリカはまた下記表面修飾されたコロイ
ド状シリカであることが、コロイド状シリカの分散安定
性およびコロイド状シリカと多官能性化合物との密着性
向上の面で好ましい。
【0060】組成物(B)におけるこれらコロイド状シ
リカの量は、組成物(B)中の硬化性成分(多官能性化
合物と単多官能性化合物の合計)100重量部に対して
5重量部以上が適当であり、10重量部以上が好まし
い。この量が少ない場合には充分な表面硬度を有する硬
化被膜が得られ難い。また多すぎると硬化被膜にヘーズ
が発生しやすくなり、また得られた透明被覆成形品を熱
曲げ加工などの2次加工を行う場合にはクラックが生じ
やすくなるなどの問題を生じやすくなる。したがって、
組成物(B)におけるコロイド状シリカ量の上限は硬化
性成分100重量部に対して300重量部であることが
好ましい。より好ましい組成物(B)におけるこれらコ
ロイド状シリカの量は硬化性成分100重量部に対して
50〜250重量部である。
【0061】コロイド状シリカとしては表面未修飾のコ
ロイド状シリカを使用することができるが、好ましくは
表面修飾されたコロイド状シリカを使用する。表面修飾
されたコロイド状シリカの使用は組成物中のコロイド状
シリカの分散安定性を向上させる。修飾によってコロイ
ド状シリカ微粒子の平均粒径は実質的に変化しないか多
少大きくなると考えられるが、得られる修飾コロイド状
シリカの平均粒径は上記範囲のものであると考えられ
る。以下組成物(B)に使用する場合を例として表面修
飾されたコロイド状シリカ(以下単に修飾コロイド状シ
リカという)について説明するが、前記のように修飾コ
ロイド状シリカは組成物(B)のみに使用されることに
限定されるものではない。
【0062】修飾コロイド状シリカの原料となる未修飾
のコロイド状シリカは酸性または塩基性の分散体形態で
入手できる。いずれの形態でも使用できるが、塩基性コ
ロイド状シリカを使用する場合は組成物(B)がゲル化
しないように、またシリカがコロイド分散系から沈殿し
ないように、有機酸の添加のような手段によって分散体
を酸性にすることが好ましい。
【0063】コロイド状シリカの分散媒としては種々の
分散媒が知られており、原料コロイド状シリカの分散媒
は特に限定されない。必要により分散媒を変えて修飾を
行うことができ、また修飾後に分散媒を変えることもで
きる。修飾コロイド状シリカの分散媒はそのまま組成物
(B)の媒体(溶媒)とすることが好ましい。組成物
(B)の媒体としては、乾燥性などの面から比較的低沸
点の溶媒、すなわち通常の塗料用溶媒、であることが好
ましい。製造の容易さなどの理由により、原料コロイド
状シリカの分散媒、修飾コロイド状シリカの分散媒およ
び組成物(B)の媒体はすべて同一の媒体(溶媒)であ
ることが好ましい。このような媒体としては、塗料用溶
媒として広く使用されているような有機媒体が好まし
い。
【0064】分散媒としては、たとえば以下のような分
散媒を使用できる。水;メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、n−ブタノール、2−メチルプロパノー
ル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エ
チレングリコールのような低級アルコール類;メチルセ
ロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセ
ロソルブ類;ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレ
ン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトンな
ど。前記のように特に分散媒としては有機分散媒が好ま
しく、上記中の有機分散媒の中ではさらにアルコール類
およびセロソルブ類が好ましい。なお、コロイド状シリ
カとそれを分散させている分散媒との一体物をコロイド
状シリカ分散液という。
【0065】コロイド状シリカの修飾は加水分解性ケイ
素基または水酸基が結合したケイ素基を有する化合物
(以下これらを修飾剤という)を用いて行うことが好ま
しい。加水分解性ケイ素基の加水分解によってシラノー
ル基が生じ、これらシラノール基がコロイド状シリカ表
面に存在すると考えられるシラノール基と反応して結合
し、修飾剤がコロイド状シリカ表面に結合すると考えら
れる。修飾剤は2種以上を併用してもよい。また後述の
ように互いに反応性の反応性官能基を有する修飾剤2種
をあらかじめ反応させて得られる反応生成物を修飾剤と
して用いることもできる。
【0066】修飾剤は2個以上の加水分解性ケイ素基や
シラノール基を有していてもよく、また加水分解性ケイ
素基を有する化合物の部分加水分解縮合物やシラノール
基を有する化合物の部分縮合物であってもよい。好まし
くは1個の加水分解性ケイ素基を有する化合物を修飾剤
として使用する(修飾処理過程で部分加水分解縮合物が
生じてもよい)。また、修飾剤はケイ素原子に結合した
有機基を有し、その有機基の少なくとも1個は反応性官
能基を有する有機基であることが好ましい。好ましい修
飾剤は下記(式1)で表される化合物である。
【0067】Y3-n −SiR1 n2 ・・・(式1)
【0068】ただし、Yは加水分解性基、R1 は反応性
官能基を有しない1価の有機基、R2 は反応性官能基を
有する1価の有機基、nは0、1、または2を表す。
【0069】Yで表される加水分解性基としては、たと
えば、ハロゲン基、アルコキシ基、アシロキシ基、アミ
ド基、アミノ基、アミノキシ基、ケトキシメート基など
があり、特にアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基と
しては、炭素数4以下のアルコキシ基が好ましく、特に
メトキシ基とエトキシ基が好ましい。なお、nは0また
は1であることが好ましい。また、(式1)と同様に表
されかつそのYが水酸基である化合物は上記シラノール
基を有する化合物の例である。
【0070】R1 で表される反応性官能基を有しない1
価の有機基としては、アルキル基、アリール基、アラル
キル基などの炭素数18以下の炭化水素基が好ましい。
この炭化水素基としては、炭素数8以下の炭化水素基、
特に炭素数4以下のアルキル基が好ましい。R1 として
は特にメチル基とエチル基が好ましい。なお、ここにお
ける1価の有機基とは炭素原子によってケイ素原子に結
合する有機基をいう(R2 においても同じ)。
【0071】R2 で表される反応性官能基を有する1価
の有機基としては、反応性官能基を有するアルキル基、
アリール基、アラルキル基などの炭素数18以下の炭化
水素基が好ましい。この有機基には2以上の反応性官能
基を有していてもよい。反応性官能基としては、アミノ
基、メルカプト基、エポキシ基、イソシアネート基、重
合性不飽和基、塩素原子などがある。重合性不飽和基と
してはR2 そのものであってもよく(たとえばビニル
基)、(メタ)アクリロイルオキシ基やビニルオキシ基
などの有機基と結合してR2 となる重合性不飽和基であ
ってもよい。またアミノ基としては1級、2級のいずれ
のアミノ基であってもよく、2級アミノ基の場合素の窒
素原子に結合した有機基はアルキル基、アミノアルキル
基、アリール基など(特に炭素数4以下のアルキル基、
炭素数4以下のアミノアルキル基およびフェニル基)が
好ましい。好ましい反応性官能基はアミノ基、メルカプ
ト基、エポキシ基および(メタ)アクリロイルオキシ基
である。反応性官能基が結合する有機基としては、反応
性官能基を除いて炭素数8以下のアルキレン基やフェニ
レン基が好ましく、特に炭素数2〜4のアルキレン基
(そのうちでもポリメチレン基)が好ましい。
【0072】具体的な修飾剤としては反応性官能基の種
類によって分けると、たとえば以下のような化合物があ
る。(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類;γ−
(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエト
キシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピル
メチルジメトキシシランなど。
【0073】アミノ基含有シラン類;γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミ
ノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、
γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−
ビニルベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメ
トキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリ
メトキシシランなど。
【0074】メルカプト基含有シラン類;γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエ
トキシシランなど。エポキシ基含有シラン類;γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシ
シクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなど。イソ
シアネート基含有シラン類;γ−イソシアネートプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルト
リエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチル
ジエトキシシランなど。
【0075】互いに反応性の反応性官能基を有する修飾
剤2種をあらかじめ反応させて得られる反応生成物とし
ては、たとえば、アミノ基含有シラン類とエポキシ基含
有シラン類との反応生成物、アミノ基含有シラン類と
(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類との反応生
成物、エポキシ基含有シラン類とメルカプト基含有シラ
ン類との反応生成物、メルカプト基含有シラン類同士2
分子の反応生成物などがある。
【0076】コロイド状シリカの修飾は通常、加水分解
性基を有する修飾剤をコロイド状シリカに接触させて加
水分解することにより行う。たとえば、コロイド状シリ
カ分散液に修飾剤を添加し、コロイド状シリカ分散液中
で修飾剤を加水分解することによって修飾できる。この
場合、修飾剤の加水分解物はコロイド状シリカの微粒子
表面に化学的にまたは物理的に結合し、その表面を修飾
すると考えられる。特にコロイド状シリカ表面には通常
シラノール基が存在することより、このシラノール基が
修飾剤の加水分解で生成するシラノール基と縮合して修
飾剤の加水分解残基が結合した表面が生成すると考えら
れる。また、加水分解物自身の縮合反応が進んだものが
同様に表面に結合する場合もあると考えられる。また、
本発明においては修飾剤をある程度加水分解を行った後
にコロイド状シリカ分散液に添加して修飾を行うことも
できる。
【0077】コロイド状シリカの表面を加水分解性基を
有する修飾剤で修飾する場合、修飾剤をコロイド状シリ
カ分散液に添加混合して、系中の水または新たに加える
水により加水分解することにより、この加水分解物で表
面が修飾された修飾コロイド状シリカが得られる。修飾
剤の加水分解反応、およびコロイド状シリカ表面のシラ
ノール基と修飾剤またはその部分加水分解縮合物との反
応を効果的に促進するために触媒を存在させることが好
ましい。シラノール基を有する修飾剤で修飾する場合も
シラノール基同士の反応を促進するために触媒を存在さ
せることが好ましい。
【0078】この触媒としては、酸やアルカリがある。
好ましくは無機酸および有機酸から選ばれる酸を使用す
る。無機酸としては、たとえば塩酸、フッ化水素酸、臭
化水素酸等のハロゲン化水素酸や硫酸、硝酸、リン酸等
を使用できる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ
酸、アクリル酸、メタクリル酸等を使用できる。
【0079】加水分解反応を均一に進行せしめるために
通常溶媒中で反応が行われる。通常この溶媒は原料コロ
イド状シリカ分散液の分散媒である。しかし、この分散
媒以外の溶媒やこの分散媒と他の溶媒の混合溶媒であっ
てもよい。この溶媒の条件としては、修飾剤を溶解し、
水および触媒との相溶性があり、加えてコロイド状シリ
カの凝集を起こしにくいものであることが好ましい。
【0080】具体的には、水;メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノールのような低級ア
ルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチ
ルエチルケトンのようなケトン類、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルセロソル
ブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソル
ブ類;ジメチルアセトアミド等を挙げうる。
【0081】これらの溶媒は先に述べたコロイド状シリ
カの分散媒をそのまま用いてもよく、分散媒以外の溶媒
に置換して用いてもよい。また分散液にその分散媒以外
の溶媒を必要な量新たに加えて用いてもよい。反応温度
としては室温から用いる溶媒の沸点までの間が好まし
く、反応時間は温度にもよるが0.5〜24時間の範囲
が好ましい。
【0082】コロイド状シリカの修飾において、修飾剤
の使用量は特に限定されないが、コロイド状シリカ(分
散液中の固形分)100重量部に対し、修飾剤1〜10
0重量部が適当である。修飾剤の量が1重量部未満では
表面修飾の効果が得られにくい。また、100重量部超
では未反応の修飾剤やコロイド状シリカ表面に担持され
ていない修飾剤の加水分解物〜縮合物が多量に生じ、組
成物(B)の硬化の際それらが連鎖移動剤として働いた
り、硬化後の被膜の可塑剤として働き、硬化被膜の硬度
を低下させるおそれが生じる。
【0083】組成物(A)、(B)に使用される光重合
開始剤としては、共通して公知、周知のものを使用でき
る。特に入手容易な市販のものが好ましい。組成物
(A)、(B)において異なる光重合開始剤を使用して
もよく、同一の光重合開始剤を使用してもよい。光重合
開始剤としては、アリールケトン系光重合開始剤(たと
えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキル
アミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、
ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、
ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエステル
類など)、含イオウ系光重合開始剤(たとえば、スルフ
ィド類、チオキサントン類など)、アシルホスフィン系
重合開始剤、その他の光重合開始剤がある。光重合開始
剤は2種以上併用できる。また、光重合開始剤はアミン
類などの光増感剤と組み合わせて使用することもでき
る。具体的な光重合開始剤としては、たとえば以下のよ
うな化合物がある。
【0084】4−フェノキシジクロロアセトフェノン、
4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブ
チル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフ
ェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプ
ロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1
−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1
−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル
(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロ
キシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−
{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリノプロ
パン−1−オン。
【0085】ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチル
エーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソ
プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベ
ンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル
安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベ
ンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化
ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベ
ンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチ
ルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,10−
フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾス
ベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4”−ジエ
チルイソフタロフェノン、α−アシロキシムエステル、
メチルフェニルグリオキシレート。
【0086】4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニル
スルフィド、チオキサントン、2−クロルチオキサント
ン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオ
キサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジ
クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサント
ン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン。
【0087】2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェ
ニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベン
ゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,
6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィン
オキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジメトキ
シホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾ
イルイソプロポキシフェニルホスフィンオキシド、ベン
ゾイルジエトキシホスフィンオキシド、ベンゾイルジフ
ェニルホスフィンオキシド、2,6−ジメチルベンゾイ
ルジフェニルホスフィンオキシド。
【0088】組成物(A)、(B)における光重合開始
剤の量はそれぞれ硬化性成分(多官能性化合物と単官能
性化合物の合計)100重量部に対して0. 01〜20
重量部、特に0. 1〜10重量部が好ましい。
【0089】組成物(A)、(B)はそれぞれ上記基本
的成分以外に溶剤や種々の配合剤を含むことができる。
溶剤は通常必須の成分であり、多官能性化合物が特に低
粘度の液体でない限り溶剤が使用される。溶剤として
は、通常多官能性化合物を硬化成分とする被覆用組成物
に使用される溶剤を使用できる。また原料コロイド状シ
リカの分散媒をそのまま溶剤としても使用できる。さら
に基材の種類により適切な溶剤を選択して用いることが
好ましい。
【0090】溶剤の量は必要とする組成物の粘度、目的
とする硬化被膜の厚さ、乾燥温度条件などにより適宜変
更できる。通常は組成物中の硬化性成分に対して100
倍重量以下、好ましくは0.1〜50倍重量用いる。溶
剤としてはたとえば前記コロイド状シリカの修飾するた
めの加水分解に用いる溶媒として挙げた、低級アルコー
ル類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類などの溶剤
がある。そのほか、酢酸n−ブチル、ジエチレングリコ
ールモノアセテートなどのエステル類、ハロゲン化炭化
水素類、炭化水素類などがある。耐溶剤性の低い芳香族
ポリカーボネート樹脂の被覆には低級アルコール類、セ
ロソルブ類、エステル類、それらの混合物などが適当で
ある。
【0091】組成物(A)、(B)それぞれには、必要
に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、熱重合
防止剤などの安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、
沈降防止剤、顔料、分散剤、帯電防止剤、防曇剤などの
界面活性剤類、酸、アルカリおよび塩類などから選ばれ
る硬化触媒等を適宜配合して用いてもよい。特に、紫外
線吸収剤や光安定剤の使用が好ましい。紫外線吸収剤と
しては前記したものの他(メタ)アクリロイル基を有す
るベンゾトリアゾール系化合物などの活性エネルギー線
硬化性の紫外線吸収剤の使用が好ましい。なお、本発明
においてはこの活性エネルギー線硬化性の紫外線吸収剤
は前記したような活性エネルギー線硬化性の多官能性化
合物や単官能性化合物の範疇の化合物ではないものとす
る。光安定剤としては2,2,6,6−テトラアルキル
ピペリジン系化合物などのヒンダードアミン系化合物が
好ましい。
【0092】上記のような組成物を硬化させる活性エネ
ルギー線としては特に紫外線が好ましい。しかし、紫外
線に限られるものではなく、電子線やその他の活性エネ
ルギー線を使用することができる。紫外線源としてはキ
セノンランプ、パルスキセノンランプ、低圧水銀灯、高
圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カー
ボンアーク灯、タングステンランプ等が使用できる。
【0093】透明硬化物層における硬化物の層の厚さ
は、所望により種々の厚さを採用できる。通常は接触
層、露出層ともに各々1〜50μmの厚さが適当であ
り、特に各々2〜20μmの厚さであることが好まし
い。中間層が存在する場合はその層の厚さもこの程度で
あるかさらに薄いことが好ましい。透明硬化物層全体の
厚さは4〜30μmであることが特に好ましい。
【0094】本発明の透明被覆成形品は、紫外線吸収剤
を含有する熱可塑性アクリル系樹脂層の形成された透明
合成樹脂基材の少なくとも一部の表面にその表面に接し
て組成物(A)の硬化物からなる層(接触層)を形成
し、その層形成と同時〜その後にその層の上に組成物
(B)の硬化物からなる層(露出層)を形成することに
よって得られる。透明硬化物層が3層以上の構成を有す
る場合は接触層と露出層との間に1層以上の中間層を形
成する。硬化物からなる中間層の形成は接触層形成と同
時であってもよく、形成後であってもよい。露出層の形
成も中間層形成と同時であってもよく、形成後であって
もよい。本発明の透明被覆成形品の製造方法として好ま
しい方法は接触層と露出層(中間層を有する場合はその
中間層も)同時に形成する方法である。この場合、これ
らの(硬化した)層を形成するとは未硬化の組成物の層
を硬化することをいう。また、未硬化層とは被覆組成物
が溶剤などの揮発性成分を含む場合その揮発性成分を乾
燥除去した組成物からなる未硬化組成物の層をいう。
【0095】本発明において透明被覆成形品の上記の好
ましい製造方法は前記したように2層以上の未硬化層を
形成した後それら未硬化層を同時に硬化させる方法であ
る。すなわち、アクリル系樹脂層上に形成された組成物
(A)の未硬化物からなる未硬化層と組成物(B)の未
硬化物からなる最外未硬化層とを有する少なくとも2つ
の未硬化層を形成し、次いでこれらの未硬化層に活性エ
ネルギー線を照射してこれら未硬化層の組成物をほぼ同
時に硬化させる方法である。また、シート状またはフィ
ルム状の紫外線吸収剤含有熱可塑性アクリル系樹脂上
に、組成物(A)の硬化物の層と組成物(B)の硬化物
の層とを形成する場合も、このような同時硬化手段を用
いることが好ましい。
【0096】同時硬化において、硬化に至るまでの間接
触している未硬化層は混合せずに層状態を維持する必要
がある。しかし未硬化層の接触面において組成物やその
成分がわずかに混合ないし浸透することは硬化物層間の
接着強度を高める上で好ましい。硬化性組成物が溶剤を
含む場合、未硬化層間の混合を防止するために、未硬化
層形成後その上に他の未硬化層を形成する前に未硬化層
中の溶剤を除去することが好ましい。未硬化層形成毎に
その層中の溶剤を除去することは、溶剤除去を容易にす
るためにも好ましい。すなわち多層の未硬化層形成後に
各層中の溶剤を除去することは特に全体の層が厚い場合
には困難になりやすい。溶剤を除去した未硬化層の組成
物自体が低粘度で他の未硬化層の組成物と混合しやすい
場合は組成物に増粘剤等を添加しておくことができる。
また、そのような低粘度の未硬化層の場合はその上に次
の未硬化層を形成する前に活性エネルギー線を充分な硬
化に至らない程度に照射して部分硬化させることもでき
る。
【0097】組成物(A)、(B)等を用いて未硬化層
を形成する手段は特に限定されず、公知、周知の方法を
用いることができる。たとえば、ディッピング法、フロ
ーコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコー
ト法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイ
フコート法等の方法を用いることができる。このような
方法で組成物を基材に塗布し、組成物が溶剤を含む場合
は好ましくはその後乾燥し、接触層となる未硬化層を形
成する。この未硬化層は次いで硬化させてもよく、上記
のようにその上に中間層や露出層となる未硬化層を形成
することもできる。
【0098】未硬化層を形成した後活性エネルギー線を
照射して未硬化層を硬化させる。活性エネルギー線の照
射時間は、活性エネルギー線の種類、および各組成物に
おける多官能性化合物の種類、光重合開始剤の種類、未
硬化層の厚さ、などの条件により適宜変えうる。活性エ
ネルギー線が紫外線で多官能性化合物がアクリロイル基
を有する化合物である場合、高圧水銀灯を用いて通常は
1〜60秒照射することにより目的が達成される。さら
に硬化反応を完結させる目的で、活性エネルギー線照射
後加熱処理を加えることもできる。
【0099】
【実施例】以下、本発明を合成例(例1〜7)、実施例
(例8〜13)、比較例(例14〜25)に基づき説明
するが、本発明はこれらに限定されない。例8〜25に
ついての各種物性の測定および評価は以下に示す方法で
行い、その結果を表1に示した。
【0100】[初期曇価、耐磨耗性]テーバー磨耗試験
法により、2つのCS−10F磨耗輪にそれぞれ500
gの重りを組み合わせ100回転と500回転させたと
きの曇価をヘーズメータにて測定した。なお、曇価(ヘ
ーズ)の測定は磨耗サイクル軌道の4カ所で行い、平均
値を算出した。初期曇価は磨耗試験前の曇価の値(%)
を、耐磨耗性は(磨耗試験後曇価)−(磨耗試験前曇
価)の値(%)を示す。
【0101】[密着性]サンプルを剃刀の刃で1mm間
隔で縦横それぞれ11本の切れ目を付け、100個の碁
盤の目を作る。そして、市販のセロハンテープをよく密
着させた後、90度手前方向に急激にはがした際の、被
膜が剥離せずに残存したマス目の数(m)をm/100
で表す。
【0102】[耐候性]サンシャインウエザーメータを
用いてブラックパネル温度63℃で、降雨12分、乾燥
48分のサイクルで3000時間、5000時間暴露
後、それぞれ外観の評価を行った。
【0103】[例1]エチルセロソルブ分散型コロイド
状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)
100重量部に3−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン5重量部と0. 1N塩酸3. 0重量部を加え、10
0℃にて6時間加熱撹拌した後12時間室温下で熟成す
ることにより、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ
分散液を得た。
【0104】[例2]エチルセロソルブ分散型コロイド
状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)
100重量部にγ−アクリロイルオキシプロピルトリメ
トキシシラン5重量部と0. 1N塩酸3. 0重量部を加
え、100℃にて6時間加熱撹拌した後12時間室温下
で熟成することにより、アクリルシラン修飾コロイド状
シリカ分散液を得た。
【0105】[例3]エチルセロソルブ分散型コロイド
状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)
100重量部にN−フェニル−3−アミノプロピルトリ
メトキシシラン5重量部と0. 1N塩酸3. 0重量部を
加え、100℃にて6時間加熱撹拌した後12時間室温
下で熟成することにより、アミノシラン修飾コロイド状
シリカ分散液を得た。
【0106】[例4]エチルセロソルブ分散型コロイド
状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)
100重量部に3−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン5重量部と0. 1N塩酸3. 0重量部を加え、1
00℃にて6時間加熱撹拌した後12時間室温下で熟成
することにより、エポキシシラン修飾コロイド状シリカ
分散液を得た。
【0107】[例5]エチルセロソルブ分散型コロイド
状シリカのかわりにイソプロパノール分散型コロイド状
シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)1
00重量部を用いた他は例1と同じにして、メルカプト
シラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
【0108】[例6]エチルセロソルブ分散型コロイド
状シリカのかわりにイソプロパノール分散型コロイド状
シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)1
00重量部を用いた他は例2と同じにして、アクリルシ
ラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
【0109】[例7]撹拌機および冷却管を装着した3
00mLの4つ口フラスコに、イソプロパノール84.
3g、酢酸ブチル84. 3g、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテル5. 7g、1−ヒドロキシシクロヘキ
シルフェニルケトン450mg、2−(3,5−ジ−t
−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ
ール1. 5g、ビス(1ーオクチロキシ−2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート60
0mg、およびレベリング剤(ビック・ケミー社製BY
K306)600mgを加え溶解させた(例9以下では
これと同様の装置を使用して同じ組成の溶液を同じ量製
造して以下の工程に使用した。以下この溶液を添加物溶
液という)。
【0110】続いて、ビス(2−アクリロイルオキシエ
チル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート21g
と1,6−ヘキサンジオールジアクリレート9gの混合
物を加え、常温で1時間撹拌した。次に、この反応容器
に例1で得たメルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分
散液54. 5gを加え、さらに0. 5時間常温で撹拌し
て、被覆用組成物を得た。
【0111】[例8]撹拌機および冷却管を装着した3
00mLの4つ口フラスコに、イソプロパノール52.
8g、酢酸ブチル52. 8g、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテル26. 4g、アシルホスフィンオキシ
ド0. 45g、2−{2−ヒドロキシ−5−(2−メタ
クリロイルオキシエチル)フェニル}ベンゾトリアゾー
ル1.5g、およびレベリング剤(ビック・ケミー社製
BYK306)600mg、ビス(1,2,2,6,6
−ペンタメチル−4−ピペリジニルセバケート600m
gを加え溶解させた。続いて、ジペンタエリスリトール
ヘキサアクリレート30. 0gを加え、常温で1時間撹
拌した。
【0112】そして、厚さ3mmの透明な芳香族ポリカ
ーボネート樹脂板に、厚さ50μmの紫外線吸収剤含有
変成アクリル樹脂フィルム(三菱レイヨン社製、商品名
「アクリプレン」)を加熱圧着したものを基材とし、ス
プレー塗工装置を用いてこの被覆用組成物をアクリル樹
脂表面に塗工(ウエット厚み10マイクロメートル)し
て、80℃の熱風循環オーブン中で5分間放置した。そ
して、この上にさらに例7で合成した被覆用組成物をも
う一度スプレー塗工装置を用いて塗工(ウエット厚み1
0マイクロメートル)して、80℃の熱風循環オーブン
中で5分間放置した。
【0113】これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて
3000mJ/cm2 (波長300〜390nm領域の
紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射し、膜厚7μ
mの透明硬化物層を形成させた。このサンプルを用いて
各種物性の測定および評価を行った。
【0114】[例9]添加物溶液を製造し、続いて、ビ
ス(2−アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシ
エチルイソシアヌレート21gと1,6−ヘキサンジオ
ールジアクリレート9gの混合物を加え、常温で1時間
撹拌した。次に、この反応容器に例2で得たアクリルシ
ラン修飾コロイド状シリカ分散液54. 5gを加え、さ
らに0. 5時間常温で撹拌して、被覆用組成物を得た。
そして、この組成物を第二層として塗工すること以外は
例8と同じ条件で同じ基材に硬化被膜を形成させ、この
サンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
【0115】[例10]添加物溶液を製造し、続いて、
水酸基を有するジペンタエリスリトールポリアクリレー
トと部分ヌレート化ヘキサメチレンジイソシアネートの
反応生成物であるウレタンアクリレート(1分子あたり
平均15個のアクリロイル基を含有)30gを加え、常
温で1時間撹拌した。次に、この反応容器に例3で得た
アミノシラン修飾コロイド状シリカ分散液54. 5gを
加え、さらに0. 5時間常温で撹拌して、被覆用組成物
を得た。そして、この組成物を第二層として塗工するこ
と以外は例8と同じ条件で硬化被膜を形成させ、このサ
ンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
【0116】[例11]添加物溶液を製造し、続いて、
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのε
−カプロラクトン1分子付加物のトリアクリレート21
gと1,6−ヘキサンジオールジアクリレート9gの混
合物を加え、常温で1時間撹拌した。次に、この反応容
器に例4で得たエポキシシラン修飾コロイド状シリカ分
散液54. 5gを加え、さらに0. 5時間常温で撹拌し
て、被覆用組成物を得た。そして、この組成物を第二層
として塗工すること以外は例8と同じ条件で硬化被膜を
形成させ、このサンプルを用いて各種物性の測定および
評価を行った。
【0117】[例12]添加物溶液を製造し、続いて、
ジペンタエリスリトールポリアクリレート(1分子あた
り平均6個のアクリロイル基を含有)15gとヒドロキ
シピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジアク
リレート15gの混合物を加え、常温で1時間撹拌し
た。次に、この反応容器に例5で得たメルカプトシラン
修飾コロイド状シリカ分散液54. 5gを加え、さらに
0. 5時間常温で撹拌して、被覆用組成物を得た。そし
て、この組成物を第二層として塗工すること以外は例8
と同じ条件で硬化被膜を形成させ、このサンプルを用い
て各種物性の測定および評価を行った。
【0118】[例13]添加物溶液を製造し、続いて、
水酸基を有するジペンタエリスリトールポリアクリレー
トと部分ヌレート化ヘキサメチレンジイソシアネートの
反応生成物であるウレタンアクリレート(1分子あたり
平均15個のアクリロイル基を含有)30gを加え、常
温で1時間撹拌した。次に、この反応容器に例6で得た
アクリルシラン修飾コロイド状シリカ分散液54. 5g
を加え、さらに0. 5時間常温で撹拌して、被覆用組成
物を得た。そして、この組成物を第二層として塗工する
こと以外は例8と同じ条件で硬化被膜を形成させ、この
サンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
【0119】[例14〜19]例8〜13で共通して用
いたアクリル樹脂フィルムを積層した芳香族ポリカーボ
ネート樹脂板を通常の芳香族ポリカーボネート樹脂板に
変更した他は、第一層用(接触層形成用)、第二層用
(露出層形成用)の被覆組成物(コロイド状シリカ含
有)を例8〜13と同じように芳香族ポリカーボネート
樹脂板表面に塗布して硬化させた。得られた被覆成形品
を用いて例8〜13と同様に評価を行った。例14〜1
9は各々この順に例8〜13に対応する比較例である。
【0120】
【表1】
【0121】[例20〜25]例7、例9〜13で調整
したコロイド状シリカ含有被覆用組成物(B)をそれぞ
れ用いて、例8で用いた紫外線吸収剤含有変成アクリル
樹脂フィルム積層芳香族ポリカーボネート樹脂板からな
る基材の変成アクリル樹脂表面にスプレー塗工装置を用
いて塗工し(ウエット厚み16μm)、80℃の熱風循
環オーブン中で5分間放置して乾燥させた。
【0122】これをそれぞれ空気雰囲気中、高圧水銀灯
を用いて3000mJ/cm2 (波長300〜390n
m領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射し、
膜厚4μmの単独層からなる透明硬化物層を形成させ
た。このサンプルを用いて各種物性の測定および評価を
行った。その結果を表2に示す。なお、例20は例7の
組成物を用いた例であり、例21〜25はそれぞれ例9
〜13の組成物を用いた例である。また、「クラック」
は基材と硬化物層との間にマイクロクラックが発生しそ
れによってヘイズを生じたものをいう。
【0123】
【表2】
【0124】
【発明の効果】本発明の透明被覆成形品は透明合成樹脂
成形基材上の紫外線吸収剤含有熱可塑性アクリル系樹脂
層最外表面に、表面硬度が高いコロイド状シリカ含有硬
化物からなる露出層を有し、しかも従来のそのような層
を有する透明被覆成形品に比較してマイクロクラックの
発生が少ない透明硬化物層を有する。これにより本発明
の透明被覆成形品は非常に耐久性が高く、マイクロクラ
ックに起因するヘーズの発生や透明硬化物層の剥離が少
ないという効果を有する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明合成樹脂成形基材、透明合成樹脂成形
    基材表面の少なくとも一部に設けられた紫外線吸収剤を
    含有する透明熱可塑性アクリル系樹脂層および透明熱可
    塑性アクリル系樹脂層の表面に設けられた少なくとも2
    層の活性エネルギー線硬化性被覆組成物の透明硬化物層
    を含む透明被覆成形品において、少なくとも2層の透明
    硬化物層のうち透明熱可塑性アクリル系樹脂層に接する
    層が下記活性エネルギー線硬化性被覆組成物(A)の硬
    化物の層でありかつ最外層が下記活性エネルギー線硬化
    性被覆組成物(B)の硬化物の層であることを特徴とす
    る透明被覆成形品。 被覆組成物(A):活性エネルギー線硬化性の重合性官
    能基を2以上有する多官能性化合物と光重合開始剤とを
    含み、実質的に有効量のコロイド状シリカを含まない被
    覆組成物。 被覆組成物(B):活性エネルギー線硬化性の重合性官
    能基を2以上有する多官能性化合物、光重合開始剤およ
    び平均粒径200nm以下のコロイド状シリカを含む被
    覆組成物。
  2. 【請求項2】透明合成樹脂成形基材、透明合成樹脂成形
    基材表面の少なくとも一部に設けられた紫外線吸収剤を
    含有する透明熱可塑性アクリル系樹脂層および透明熱可
    塑性アクリル系樹脂層の表面に設けられた少なくとも2
    層の活性エネルギー線硬化性被覆組成物の透明硬化物層
    を含む透明被覆成形品を製造する方法において、透明合
    成樹脂成形基材上の透明熱可塑性アクリル系樹脂層表面
    に透明硬化物層を形成するかまたは透明硬化物層を形成
    した透明熱可塑性アクリル系樹脂を透明合成樹脂成形基
    材に積層して透明被覆成形品を製造し、かつ少なくとも
    2層の透明硬化物層のうち透明熱可塑性アクリル系樹脂
    層に接する層が下記活性エネルギー線硬化性被覆組成物
    (A)の硬化物の層でありかつ最外層が下記活性エネル
    ギー線硬化性被覆組成物(B)の硬化物の層であること
    を特徴とする透明被覆成形品の製造法。 被覆組成物(A):活性エネルギー線硬化性の重合性官
    能基を2以上有する多官能性化合物と光重合開始剤とを
    含み、実質的に有効量のコロイド状シリカを含まない被
    覆組成物。 被覆組成物(B):活性エネルギー線硬化性の重合性官
    能基を2以上有する多官能性化合物、光重合開始剤およ
    び平均粒径200nm以下のコロイド状シリカを含む被
    覆組成物。
  3. 【請求項3】被覆組成物(A)の未硬化層と被覆組成物
    (B)未硬化層を形成した後それらを同時に硬化させて
    硬化物層とする、請求項2記載の方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001140172A (ja) * 1999-11-04 2001-05-22 Kawaguchiko Seimitsu Co Ltd カラー着色部品及びその着色方法
JP2004515558A (ja) * 1999-03-26 2004-05-27 エー. ラポイント,デイビッド 耐摩耗コーティング組成物、それらの製造方法及びそれにより被覆された物品
JP2012171193A (ja) * 2011-02-21 2012-09-10 Dainippon Printing Co Ltd 耐候性シート及びその製造方法
JP2014037453A (ja) * 2012-08-10 2014-02-27 Mitsubishi Chemicals Corp 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびそれを用いた積層体

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