JP3687230B2 - 透明被覆成形品およびその製造方法 - Google Patents

透明被覆成形品およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明プラスチック基材上に、活性エネルギー線(特に紫外線)を照射して形成された耐磨耗性、透明性、耐候性などに優れた透明被覆層を有する透明被覆成形品、およびこの透明被覆成形品を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガラスに代わる透明材料として透明プラスチック材料が用いられるようになってきている。とりわけ芳香族ポリカーボネート樹脂は耐破砕性、透明性、軽量性、易加工性などに優れ、その特徴を生かして、外壁、アーケード等の大面積の透明部材として各方面で使用されている。しかし、ガラスの代替として使用するには表面の硬度が充分ではなく、傷つきやすく磨耗しやすいことから透明性が損なわれやすいという欠点を有している。
【0003】
従来、芳香族ポリカーボネート樹脂の耐擦傷性や耐磨耗性を改良するために多くの試みがなされてきた。最も一般的な方法の一つに分子中にアクリロイル基等の重合性官能基を2以上有する重合硬化性化合物を基材に塗布し、熱あるいは紫外線等の活性エネルギー線により硬化させ、耐擦傷性に優れた透明被覆層を有する成形品を得る方法がある。この方法は、コート液も比較的安定で、特に紫外線硬化が可能であるため生産性に優れ、成形品に曲げ加工を施した場合でも硬化皮膜にクラックが発生することがなく表面の耐擦傷性や耐磨耗性を改善することができる。しかし、硬化皮膜が有機物のみからなることから長期間の外使い等の厳しい条件では使用に限界がある。
【0004】
一方、より高い表面硬度を基材に付与させるための方法として、金属アルコキシド化合物を基材に塗布し熱により硬化させる方法がある。金属アルコキシドとしてはケイ素系の化合物が広く用いられており、耐磨耗性に非常に優れた硬化皮膜を形成できる反面、金属アルコキシドの硬化に高温を必要とするため生産性が低く、また硬化皮膜と基材との密着性に乏しいため、硬化皮膜の剥離やクラックを生じやすい等の欠点を有していた。
【0005】
これらの技術の欠点を改良する方法として特開昭61−181809に示されるようにアクリロイル基を有する化合物とコロイド状シリカの混合物を基材に塗布し、紫外線等の活性エネルギー線により硬化させ、耐擦傷性に優れた透明被覆層を形成する方法がある。コロイド状シリカを重合硬化性化合物と併用することにより、かなり高い表面硬度と生産性を両立させることが可能である。また、特開平1−188509、特開平1−315403、特開平2−64138、特開平5−93170、特開平5−117545には、このような方法においてビニル官能性シラン、アクリル官能性シラン、エポキシ官能性シラン、アミノ官能性シラン等で表面修飾したコロイド状シリカを用いる技術が開示されている。
【0006】
しかし、こうした非常に硬い被膜を透明プラスチック基材に直接コートすると、基材と硬化被膜の熱膨張率の差が非常に大きくなり、耐候試験の過程でマイクロクラックが生じることがある。こうしたマイクロクラックが生じると巨視的には透明基材のヘーズとなって現れる。さらに、耐候試験を進めるとこうしたマイクロクラックを起点にして硬化被膜が基材からはがれ落ちてしまうといった問題が生じることが分かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前述の欠点を解消しようとするものである。すなわち、充分な表面耐擦傷性、耐磨耗性を有し、さらに耐候性に優れた透明被覆層を有する成形品およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決目的として検討を行った結果、特定の層構成を有する成形品およびその製造方法を見いだした。本発明はこの成形品およびその製造方法にかかわる下記発明である。
【0009】
透明プラスチック基材の表面に活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなる少なくとも2層構造の透明被覆層を有する透明被覆成形品において、透明被覆層の基材表面に接する層が活性エネルギー線硬化性の下記組成物(A)の硬化物からなる層であり、透明被覆層の最外層が活性エネルギー線硬化性の下記組成物(B)の硬化物からなる層であることを特徴とする透明被覆成形品。
【0010】
透明プラスチック基材の表面に活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなる少なくとも2層構造の透明被覆層を有する透明被覆成形品を製造する方法において、活性エネルギー線硬化性の下記組成物(A)と活性エネルギー線硬化性の下記組成物(B)の少なくとも2つの活性エネルギー線硬化性組成物を用い、透明プラスチック基材上に、組成物(A)の未硬化物からなる基材に接した未硬化層と組成物(B)の未硬化物からなる最外未硬化層とを有する少なくとも2つの未硬化層を形成し、次いでこれら未硬化層に活性エネルギー線を照射してこれら未硬化層の組成物をほぼ同時に硬化させることを特徴とする透明被覆成形品の製造方法。
【0011】
組成物(A):(メタ)アクリロイル基を2以上有する多官能性化合物(a)と光重合開始剤とを含み、実質的に有効量のコロイド状シリカを含まない組成物。
組成物(B):(メタ)アクリロイル基を2以上有する多官能性化合物(b)、光重合開始剤および平均粒径200nm以下のコロイド状シリカを含む組成物。
【0012】
本発明のにおける透明被覆層は、透明プラスチック基材の表面に接する層(以下、基材接触層という)が最外層に比較して柔軟であることより前記マイクロクッラクを生じるおそれが少なく、かつ透明被覆層の最外層(以下、露出層という)の表面硬度が高いことより耐擦傷性や耐磨耗性が高い。したがって、透明被覆層全体としては従来の表面特性を維持した上でマイクロクッラクの発生が少ないという特徴を有する。加えて本発明の製造方法は、上記透明被覆成形品の特徴に加えて、未硬化層の形成工程が増加すること以外は従来と同様の製造方法で製造することができることより従来法と同程度の製造効率を維持することができ、さらに透明被覆層の層間接着強度も高いという特徴を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のにおける透明被覆層は、組成物(A)の硬化物からなる基材接触層と組成物(B)の硬化物からなる露出層の少なくとも2層構成であることを必須とする。場合によっては基材接触層と露出層との間に中間層を1層以上有していてもよい。中間層は活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなることが好ましい。この中間層の硬化性組成物は組成物(A)と同等〜類似の組成物であってもよく、組成物(B)と同等〜類似の組成物であってもよい。たとえば、組成物(B)に比較してコロイド状シリカの含有量が少ない組成物(B)と同等の組成物を使用できる。中間層を形成する場合、中間層形成用組成物の硬化は未硬化層を形成し組成物(A)、組成物(B)と同時に硬化する方法が好ましい。以下まず組成物(A)、組成物(B)の材料について説明する。中間層の材料もこれら材料と同じものを使用できる。
【0014】
組成物(A)、組成物(B)における(メタ)アクリロイル基を2以上有する多官能性化合物(a)、(b)は、具体的な組成物(A)と組成物(B)の組み合わせにおいて両者同一の多官能性化合物であってもよく、同一範疇の異なる化合物であってもよく、範疇の異なる化合物であってもよい。たとえば、両者ともアリルウレタンである異なる化合物の組み合わせであってもよく、一方がアリルウレタン、他方がウレタン結合を有しないアクリル酸エステル化合物である組み合わせであってもよい。以下の説明においては多官能性化合物(a)、(b)を区別することなく両者共通に「多官能性化合物」という。
【0015】
官能性化合物は、アクリロイル基およびメタクリロイル基から選ばれる1種以上の重合性官能基を2以上有する化合物である。そのうちでも紫外線によってより重合しやすいアクリロイル基が好ましい。なお、この多官能性化合物は1分子中に2種の重合性官能基を合計2以上有する化合物であってもよく、また同じ重合性官能基を合計2以上有する化合物であってもよい。
【0016】
多官能性化合物1分子中における(メタ)アクリロイル基の数は2以上であり、その上限は特に限定されない。通常は2〜50個が適当であり、特に2〜30個が好ましい。
【0017】
以下の説明において、アクリロイル基およびメタクリロイル基を総称して(メタ)アクリロイル基という。(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート等も表現も同様とする。なお、上記のようにこれらの基や化合物のうちでより好ましいものはアクリロイル基を有するもの、たとえばアクリロイルオキシ基、アクリル酸、アクリレート等である。
【0018】
多官能性化合物として好ましい化合物は(メタ)アクリロイル基を2以上有する化合物である。そのうちでも(メタ)アクリロイルオキシ基を2以上有する化合物、すなわち多価アルコールなどの2以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのポリエステル、が好ましい。
【0019】
組成物(A)、(B)において、多官能性化合物として2種以上の多官能性化合物が含まれていてもよい。また、多官能性化合物とともに、活性エネルギー線によって重合しうる重合性官能基を1個有する単官能性化合物が含まれていてもよい。この単官能性化合物としては(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、特にアクリロイル基を有する化合物が好ましい。
【0020】
組成物(A)、(B)においてこの単官能性化合物を使用する場合、多官能性化合物とこの単官能性化合物との合計に対するこの単官能性化合物の割合は、特に限定されないが0〜60重量%が適当である。単官能性化合物の割合が多すぎると硬化塗膜の硬さが低下し耐磨耗性が不充分となるおそれがある。したがって少なくとも組成物(B)においては単官能性化合物の割合は少ないことが好ましい。多官能性化合物とこの単官能性化合物との合計に対する単官能性化合物のより好ましい割合は組成物(A)、(B)のいずれにおいても0〜30重量%である。
【0021】
多官能性化合物としては、(メタ)アクリロイル基以外に種々の官能基や結合を有する化合物であってもよい。たとえば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、アミド結合などを有していてもよい。特に、ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(いわゆるアクリルウレタン)とウレタン結合を有しない(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。以下これら2つの多官能性化合物について説明する。
【0022】
ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(以下アクリルウレタンという)は、たとえば、(1)(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物(x1)と2以上のイソシアネート基を有する化合物(以下ポリイソシアネートという)との反応生成物、(2)化合物(x1)と2以上の水酸基を有する化合物(x2)とポリイソシアネートとの反応生成物、(3)(メタ)アクリロイル基とイソシアネートを有する化合物(x3)と化合物(x2)との反応生成物、などがある。これらの反応生成物においては、イソシアネート基が存在しないことが好ましい。しかし、水酸基は存在してもよい。したがって、これらの反応生成物の製造においては、全反応原料の水酸基の合計モル数はイソシアネート基の合計モル数と等しいかそれより多いことが好ましい。
【0023】
(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物(x1)としては、(メタ)アクリロイル基と水酸基をそれぞれ1個ずつ有する化合物であってもよく、(メタ)アクリロイル基2個以上と水酸基1個を有する化合物、(メタ)アクリロイル基1個と水酸基2個以上を有する化合物、(メタ)アクリロイル基と水酸基をそれぞれ2個以上有する化合物であってもよい。具体例として、上記順に、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなどがある。これらは2以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのモノエステルまたは1個以上の水酸基を残したポリエステルである。
【0024】
さらに化合物(x1)としては、エポキシ基を1個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸との開環反応生成物であってもよい。エポキシ基と(メタ)アクリル酸との反応によりエポキシ基が開環してエステル結合が生じるとともに水酸基が生じ、(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物となる。またエポキシ基を1個以上有する化合物のエポキシ基を開環させて水酸基含有化合物としそれを(メタ)アクリル酸エステルに変換することもできる。
【0025】
エポキシ基を1個以上有する化合物としては、いわゆるエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドが好ましい。ポリエポキシドとしては、たとえば多価フェノール類−ポリグリシジルエーテル(たとえばビスフェノールA−ジグリシジルエーテル)などのグリシジル基を2個以上有する化合物や脂環族エポキシ化合物が好ましい。さらに、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートと水酸基やカルボキシル基を有する化合物との反応生成物を化合物(x1)として使用することもできる。エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、たとえばグリシジル(メタ)アクリレートがある。
【0026】
化合物(x1)の上記以外の具体例としては、たとえば以下の化合物がある。2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ブテン−1,4−ジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(ないしペンタ)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物。
【0027】
ポリイソシアネートとしては、通常の単量体状のポリイソシアネートはもちろん、ポリイソシアネートの多量体や変性体またはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーなどのプレポリマー状の化合物であってもよい。
【0028】
多量体としては3量体(イソシアヌレート変性体)、2量体、カルボジイミド変性体などがあり、変性体としてはトリメチロールプロパン等の多価アルコールで変性して得られるウレタン変性体、ビュレット変性体、アロハネート変性体、ウレア変性体などがある。プレポリマー状のものの例としては、後述ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどのポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーなどがある。これらポリイソシアネートは2種以上併用して使用できる。
【0029】
具体的な単量体状のポリイソシアネートとしては、たとえば、以下のポリイソシアネートがある([ ]内は略称)。2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルイソシアネート)[MDI]、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート[XDI]、水添XDI、水添MDI、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート。
【0030】
ポリイソシアネートとしては特に無黄変性ポリイソシアネート(芳香核に直接結合したイソシアネート基を有しないポリイソシアネート)が好ましい。具体的にはヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートがある。上記のようにこれらポリイソシアネートの多量体や変性体等も好ましい。
【0031】
2以上の水酸基を有する化合物(x2)としては、多価アルコールや多価アルコールに比較して高分子量のポリオールなどがある。
【0032】
多価アルコールとしては、2〜20個の水酸基を有する多価アルコールが好ましく、特に2〜15個の水酸基を有する多価アルコールが好ましい。多価アルコールは脂肪族の多価アルコールはもちろん、脂環族多価アルコールや芳香核を有する多価アルコールであってもよい。
【0033】
芳香核を有する多価アルコールとしてはたとえば多価フェノール類のアルキレンオキシド付加物や多価フェノール類−ポリグリシジルエーテルなどの芳香核を有するポリエポキシドの開環物などがある。
【0034】
高分子量のポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどがある。また、ポリオールとして水酸基含有ビニルポリマーをも使用できる。これら多価アルコールやポリオールは2種以上併用することもできる。
【0035】
多価アルコールの具体例としてはたとえば以下の多価アルコールがある。エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキサン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルの開環物、ビニルシクロヘキセンジオキシドの開環物。
【0036】
ポリオールの具体例としてはたとえば以下のポリオールがある。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオキシド付加物、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール。ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンジオール等の脂肪族ポリオール。ポリε−カプロラクトンポリオール。アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、アゼライン酸、グルタル酸等の多塩基酸と上記多価アルコールとの反応で得られるポリエステルポリオール。1,6−ヘキサンジオールとホスゲンの反応で得られるポリカーボネートジオール。
【0037】
水酸基含有ビニルポリマーとしてはたとえばアリルアルコール、ビニルアルコール、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有単量体とオレフィンなどの水酸基不含単量体との共重合体がある。
【0038】
(メタ)アクリロイル基とイソシアネートを有する化合物(x3)としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネート、3−または4−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどがある。
【0039】
多官能性化合物として好ましいウレタン結合を有しない(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、前記化合物(x2)と同様の2以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのポリエステルが好ましい。2以上の水酸基を有する化合物としては前記多価アルコールやポリオールが好ましい。さらに、2以上のエポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物である(メタ)アクリル酸エステル化合物も好ましい。
【0040】
2以上のエポキシ基を有する化合物としてはエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドがある。たとえば、グリシジルエーテル型ポリエポキシド、脂環型ポリエポキシドなどのエポキシ樹脂として市販されているものを使用できる。
具体的にはたとえば以下のようなポリエポキシドがある。ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ノボラックポリグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド。
【0041】
ウレタン結合を含まない多官能性化合物の具体例としてはたとえば以下のような化合物がある。
【0042】
以下の脂肪族多価アルコールの(メタ)アクリレート。1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、炭素数14〜15の長鎖脂肪族ジオールのジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールとトリメチロールプロパンとの縮合物からなるジオールのジ(メタ)アクリレート。
【0043】
以下の芳香核またはトリアジン環を有する多価アルコールや多価フェノールの(メタ)アクリレート。ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールA、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールS、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールF、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジメタクリレート。
【0044】
以下の水酸基含有化合物−アルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、水酸基含有化合物−カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンポリオールの(メタ)アクリレート。ただし、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシドを表し、[ ]内はポリオキシアルキレンポリオールの分子量を表す。トリメチロールプロパン−EO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−PO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール−カプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール[200〜1000]ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール[200〜1000]ジ(メタ)アクリレート。
【0045】
下記(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸エステルやリン酸エステル。ビス(アクリロイルオキシネオペンチルグリコール)アジペート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート。
【0046】
下記ポリエポキシドの(メタ)アクリル酸付加物(ただし、ポリエポキシドのエポキシ基1個あたり1分子の(メタ)アクリル酸が付加したもの)、およびグリシジル(メタ)アクリレートと多価アルコールもしくは多価カルボン酸との反応生成物(ただし、多価アルコール等の1分子あたりグリシジル(メタ)アクリレート2分子以上反応したもの)。ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物、ジシクロペンタジエンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとプロピレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとジエチレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートと1,6−ヘキサンジオールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとグリセロールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとトリメチロールプロパンの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとフタル酸の反応生成物。
【0047】
上記のような(メタ)アクリレート類でかつ未反応の水酸基を有している化合物のアルキルエーテル化物、アルケニルエーテル化物、カルボン酸エステル化物など(以下、変性ともいう)で、下記のような化合物。アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のアリルエーテル化物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のメチルエーテル化物、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート。
【0048】
多官能性化合物とともに使用できる単官能性化合物としては、たとえば分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。そのような単官能性化合物は、水酸基、エポキシ基などの官能基を有していてもよい。好ましい単官能性化合物は(メタ)アクリル酸エステル、すなわち(メタ)アクリレートである。
【0049】
具体的な単官能性化合物としてはたとえば以下の化合物がある。メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物。
【0050】
組成物(A)は実質的に有効量のコロイド状シリカを含まず、組成物(B)は平均粒径200nm以下のコロイド状シリカを含む。組成物(A)が実質的に有効量のコロイド状シリカを含まないとは、マイクロクッラクが発生しやすくなる程度の量のコロイド状シリカを含まないことを意味し、通常は組成物(A)中の硬化性成分(多官能性化合物と単多官能性化合物の合計)100重量部に対して5重量部未満である。勿論この量は組成物(B)におけるコロイド状シリカの量に比較して効果上充分に差異が認められる量である必要がある。組成物(A)は、好ましくはコロイド状シリカをまったく含まない。なお、前記した中間層がコロイド状シリカを含む場合は、その量は組成物(A)と組成物(B)におけるコロイド状シリカ含有量の中間の量であることが好ましい。
【0051】
組成物(B)は露出層の表面硬度を高める上で有効量の平均粒径200nm以下のコロイド状シリカを含む。コロイド状シリカの平均粒径は1〜100nmであることが好ましく、特に1〜50nmが好ましい。コロイド状シリカはまた下記表面修飾されたコロイド状シリカであることが、コロイド状シリカの分散安定性およびコロイド状シリカと多官能性化合物との密着性向上の面で好ましい。
【0052】
組成物(B)におけるこれらコロイド状シリカの量は、組成物(B)中の硬化性成分(多官能性化合物と単多官能性化合物の合計)100重量部に対して5重量部以上が適当であり、10重量部以上が好ましい。この量が少ない場合には充分な表面硬度を有する硬化被膜が得られ難い。また多すぎると硬化被膜にヘーズが発生しやすくなり、また得られた透明被覆成形品を熱曲げ加工などの2次加工を行う場合にはクラックが生じやすくなるなどの問題を生じやすくなる。したがって、組成物(B)におけるコロイド状シリカ量の上限は硬化性成分100重量部に対して300重量部であることが好ましい。より好ましい組成物(B)におけるこれらコロイド状シリカの量は硬化性成分100重量部に対して50〜250重量部である。
【0053】
コロイド状シリカとしては表面未修飾のコロイド状シリカを使用することができるが、好ましくは表面修飾されたコロイド状シリカを使用する。表面修飾されたコロイド状シリカの使用は組成物中のコロイド状シリカの分散安定性を向上させる。修飾によってコロイド状シリカ微粒子の平均粒径は実質的に変化しないか多少大きくなると考えられるが、得られる修飾コロイド状シリカの平均粒径は上記範囲のものであると考えられる。以下組成物(B)に使用する場合を例として表面修飾されたコロイド状シリカ(以下単に修飾コロイド状シリカという)について説明するが、前記のように修飾コロイド状シリカは組成物(B)のみに使用されることに限定されるものではない。
【0054】
修飾コロイド状シリカの原料となる未修飾のコロイド状シリカは酸性または塩基性の分散体形態で入手できる。いずれの形態でも使用できるが、塩基性コロイド状シリカを使用する場合は組成物(B)がゲル化しないように、またシリカがコロイド分散系から沈殿しないように、有機酸の添加のような手段によって分散体を酸性にすることが好ましい。
【0055】
コロイド状シリカの分散媒としては種々の分散媒が知られており、原料コロイド状シリカの分散媒は特に限定されない。必要により分散媒を変えて修飾を行うことができ、また修飾後に分散媒を変えることもできる。修飾コロイド状シリカの分散媒はそのまま組成物(B)の媒体(溶媒)とすることが好ましい。組成物(B)の媒体としては、乾燥性などの面から比較的低沸点の溶媒、すなわち通常の塗料用溶媒、であることが好ましい。製造の容易さなどの理由により、原料コロイド状シリカの分散媒、修飾コロイド状シリカの分散媒および組成物(B)の媒体はすべて同一の媒体(溶媒)であることが好ましい。このような媒体としては、塗料用溶媒として広く使用されているような有機媒体が好ましい。
【0056】
分散媒としては、たとえば以下のような分散媒を使用できる。水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−メチルプロパノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールのような低級アルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトンなど。前記のように特に分散媒としては有機分散媒が好ましく、上記中の有機分散媒の中ではさらにアルコール類およびセロソルブ類が好ましい。なお、コロイド状シリカとそれを分散させている分散媒との一体物をコロイド状シリカ分散液という。
【0057】
コロイド状シリカの修飾は加水分解性ケイ素基または水酸基が結合したケイ素基を有する化合物(以下これらを修飾剤という)を用いて行うことが好ましい。加水分解性ケイ素基の加水分解によってシラノール基が生じ、これらシラノール基がコロイド状シリカ表面に存在すると考えられるシラノール基と反応して結合し、修飾剤がコロイド状シリカ表面に結合すると考えられる。修飾剤は2種以上を併用してもよい。また後述のように互いに反応性の反応性官能基を有する修飾剤2種をあらかじめ反応させて得られる反応生成物を修飾剤として用いることもできる。
【0058】
修飾剤は2個以上の加水分解性ケイ素基やシラノール基を有していてもよく、また加水分解性ケイ素基を有する化合物の部分加水分解縮合物やシラノール基を有する化合物の部分縮合物であってもよい。好ましくは1個の加水分解性ケイ素基を有する化合物を修飾剤として使用する(修飾処理過程で部分加水分解縮合物が生じてもよい)。また、修飾剤はケイ素原子に結合した有機基を有し、その有機基の少なくとも1個は反応性官能基を有する有機基であることが好ましい。好ましい修飾剤は下記(式1)で表される化合物である。
【0059】
3-n −SiR1 n2 ・・・(式1)
ただし、Yは加水分解性基、R1 は反応性官能基を有しない1価の有機基、R2 は反応性官能基を有する1価の有機基、nは0、1、または2を表す。
【0060】
Yで表される加水分解性基としては、たとえば、ハロゲン基、アルコキシ基、アシロキシ基、アミド基、アミノ基、アミノキシ基、ケトキシメート基などがあり、特にアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数4以下のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基とエトキシ基が好ましい。なお、nは0または1であることが好ましい。また、(式1)と同様に表されかつそのYが水酸基である化合物は上記シラノール基を有する化合物の例である。
【0061】
1 で表される反応性官能基を有しない1価の有機基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭素数18以下の炭化水素基が好ましい。この炭化水素基としては、炭素数8以下の炭化水素基、特に炭素数4以下のアルキル基が好ましい。R1 としては特にメチル基とエチル基が好ましい。なお、ここにおける1価の有機基とは炭素原子によってケイ素原子に結合する有機基をいう(R2 においても同じ)。
【0062】
2 で表される反応性官能基を有する1価の有機基としては、反応性官能基を有するアルキル基、アリール基、アラルキル基などの炭素数18以下の炭化水素基が好ましい。この有機基には2以上の反応性官能基を有していてもよい。反応性官能基としては、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、イソシアネート基、重合性不飽和基などがある。重合性不飽和基としてはR2 そのものであってもよく(たとえばビニル基)、(メタ)アクリロイルオキシ基やビニルオキシ基などの有機基と結合してR2 となる重合性不飽和基であってもよい。またアミノ基としては1級、2級のいずれのアミノ基であってもよく、2級アミノ基の場合素の窒素原子に結合した有機基はアルキル基、アミノアルキル基、アリール基など(特に炭素数4以下のアルキル基、炭素数4以下のアミノアルキル基およびフェニル基)が好ましい。好ましい反応性官能基はアミノ基、メルカプト基、エポキシ基および(メタ)アクリロイルオキシ基である。反応性官能基が結合する有機基としては、反応性官能基を除いて炭素数8以下のアルキレン基やフェニレン基が好ましく、特に炭素数2〜4のアルキレン基(その内でもポリメチレン基)が好ましい。
【0063】
具体的な修飾剤としては反応性官能基の種類によって分けると、たとえば以下のような化合物がある。
【0064】
(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなど。
【0065】
アミノ基含有シラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル−β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなど。
【0066】
メルカプト基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなど。
【0067】
エポキシ基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなど。
【0068】
イソシアネート基含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシランなど。
【0069】
互いに反応性の反応性官能基を有する修飾剤2種をあらかじめ反応させて得られる反応生成物としては、たとえば、アミノ基含有シラン類とエポキシ基含有シラン類との反応生成物、アミノ基含有シラン類と(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類との反応生成物、エポキシ基含有シラン類とメルカプト基含有シラン類との反応生成物、メルカプト基含有シラン類同士2分子の反応生成物などがある。
【0070】
コロイド状シリカの修飾は通常、加水分解性基を有する修飾剤をコロイド状シリカに接触させて加水分解することにより行う。たとえば、コロイド状シリカ分散液に修飾剤を添加し、コロイド状シリカ分散液中で修飾剤を加水分解することによって修飾できる。この場合、修飾剤の加水分解物はコロイド状シリカの微粒子表面に化学的にまたは物理的に結合し、その表面を修飾すると考えられる。特にコロイド状シリカ表面には通常シラノール基が存在することより、このシラノール基が修飾剤の加水分解で生成するシラノール基と縮合して修飾剤の加水分解残基が結合した表面が生成すると考えられる。また、加水分解物自身の縮合反応が進んだものが同様に表面に結合する場合もあると考えられる。また、本発明においては修飾剤をある程度加水分解を行った後にコロイド状シリカ分散液に添加して修飾を行うこともできる。
【0071】
コロイド状シリカの表面を加水分解性基を有する修飾剤で修飾する場合、修飾剤をコロイド状シリカ分散液に添加混合して、系中の水または新たに加える水により加水分解することにより、この加水分解物で表面が修飾された修飾コロイド状シリカが得られる。修飾剤の加水分解反応、およびコロイド状シリカ表面のシラノール基と修飾剤またはその部分加水分解縮合物との反応を効果的に促進するために触媒を存在させることが好ましい。シラノール基を有する修飾剤で修飾する場合もシラノール基同士の反応を促進するために触媒を存在させることが好ましい。
【0072】
この触媒としては、酸やアルカリがある。好ましくは無機酸および有機酸から選ばれる酸を使用する。無機酸としては、たとえば塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸等のハロゲン化水素酸や硫酸、硝酸、リン酸等を使用できる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ酸、アクリル酸、メタクリル酸等を使用できる。
【0073】
加水分解反応を均一に進行せしめるために通常溶媒中で反応が行われる。通常この溶媒は原料コロイド状シリカ分散液の分散媒である。しかし、この分散媒以外の溶媒やこの分散媒と他の溶媒の混合溶媒であってもよい。この溶媒の条件としては、修飾剤を溶解し、水および触媒との相溶性があり、加えてコロイド状シリカの凝集を起こしにくいものであることが好ましい。
【0074】
具体的には、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールのような低級アルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ジメチルアセトアミド等を挙げうる。
【0075】
これらの溶媒は先に述べたコロイド状シリカの分散媒をそのまま用いてもよく、分散媒以外の溶媒に置換して用いてもよい。また分散液にその分散媒以外の溶媒を必要な量新たに加えて用いてもよい。
【0076】
反応温度としては室温から用いる溶媒の沸点までの間が好ましく、反応時間は温度にもよるが0.5〜24時間の範囲が好ましい。
【0077】
コロイド状シリカの修飾において、修飾剤の使用量は特に限定されないが、コロイド状シリカ(分散液中の固形分)100重量部に対し、修飾剤1〜100重量部が適当である。修飾剤の量が1重量部未満では表面修飾の効果が得られにくい。また、100重量部超では未反応の修飾剤やコロイド状シリカ表面に担持されていない修飾剤の加水分解物〜縮合物が多量に生じ、組成物(B)の硬化の際それらが連鎖移動剤として働いたり、硬化後の被膜の可塑剤として働き、硬化被膜の硬度を低下させるおそれが生じる。
【0078】
組成物(A)、(B)に使用される光重合開始剤としては、共通して公知〜周知のものを使用できる。特に入手容易な市販のものが好ましい。組成物(A)、(B)において異なる光重合開始剤を使用してもよく、同一の光重合開始剤を使用してもよい。光重合開始剤としては、アリールケトン系光重合開始剤(たとえば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエステル類など)、含イオウ系光重合開始剤(たとえば、スルフィド類、チオキサントン類など)、その他の光重合開始剤がある。光重合開始剤は2種以上併用できる。また、光重合開始剤はアミン類などの光増感剤と組み合わせて使用することもできる。具体的な光重合開始剤としては、たとえば以下のような化合物がある。
【0079】
4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリノプロパン−1−オン。
【0080】
ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4”−ジエチルイソフタロフェノン、α−アシロキシムエステル、メチルフェニルグリオキシレート。
【0081】
4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、アシルホスフィンオキシド。
【0082】
組成物(A)、(B)における光重合開始剤の量はそれぞれ硬化性成分(多官能性化合物と単官能性化合物の合計)100重量部に対して0. 01〜20重量部、特に0. 1〜10重量部が好ましい。
【0083】
組成物(A)、(B)はそれぞれ上記基本的成分以外に溶剤や種々の配合剤を含むことができる。溶剤は通常必須の成分であり、多官能性化合物が特に低粘度の液体でない限り溶剤が使用される。溶剤としては、通常多官能性化合物を硬化成分とする被覆用組成物に使用される溶剤を使用できる。また原料コロイド状シリカの分散媒をそのまま溶剤としても使用できる。さらに基材の種類により適切な溶剤を選択して用いることが好ましい。
【0084】
溶剤の量は必要とする組成物の粘度、目的とする硬化被膜の厚さ、乾燥温度条件などにより適宜変更できる。通常は組成物中の硬化性成分に対して100倍重量以下、好ましくは0.1〜50倍重量用いる。溶剤としてはたとえば前記コロイド状シリカの修飾するための加水分解に用いる溶媒として挙げた、低級アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類などの溶剤がある。そのほか、酢酸n−ブチル、ジエチレングリコールモノアセテートなどのエステル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などがある。耐溶剤性の低い芳香族ポリカーボネート樹脂の被覆には低級アルコール類、セロソルブ類、エステル類、それらの混合物などが適当である。
【0085】
組成物(A)、(B)それぞれには、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱重合防止剤などの安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料、分散剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面活性剤類、酸、アルカリおよび塩類などから選ばれる硬化触媒等を適宜配合して用いてもよい。
【0086】
上記のような組成物を硬化させる活性エネルギー線としては特に紫外線が好ましい。しかし、紫外線に限られるものではなく、電子線やその他の活性エネルギー線を使用することができる。紫外線源としてはキセノンランプ、パルスキセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等が使用できる。
【0087】
透明被覆層における硬化物の層の厚さは、所望により種々の厚さを採用できる。通常は基材接触層、露出層ともに各々1〜50μmの厚さが適当であり、特に各々2〜20μmの厚さであることが好ましい。中間層が存在する場合はその層の厚さもこの程度であるかさらに薄いことが好ましい。透明被覆層全体の厚さは4〜30μmであることが特に好ましい。
【0088】
本発明における透明プラスチック基材の材料としては各種透明合成樹脂を使用し得る。たとえば、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(アクリル樹脂)、ポリスチレン樹脂などの透明合成樹脂を透明プラスチック基材の材料として使用しうる。特に芳香族ポリカーボネート樹脂からなる基材が好ましい。この透明プラスチック基材は成形されたものであり、たとえば平板や波板などのシート状基材、フィルム状基材、各種形状に成形された基材、少なくとも表面層が各種透明合成樹脂からなる積層体等がある。透明プラスチック基材としては、特に芳香族ポリカーボネート樹脂製シートが好ましい。このシートの両面あるいは片面に透明被覆層が形成される。
【0089】
本発明の透明被覆成形品は、透明プラスチック基材の少なくとも一部の表面にその表面に接して組成物(A)の硬化物からなる層(基材接触層)を形成し、その層形成と同時〜その後にその層の上に組成物(B)の硬化物からなる層(露出層)を形成することによって得られる。透明被覆層が3層以上の構成を有する場合は基材接触層と露出層との間に1層以上の中間層を形成する。硬化物からなる中間層の形成は基材接触層形成と同時であってもよく、形成後であってもよい。露出層の形成も中間層形成と同時であってもよく、形成後であってもよい。本発明の透明被覆成形品の製造方法として好ましい方法は基材接触層と露出層(中間層を有する場合はその中間層も)同時に形成する方法である。この場合、これらの層を形成するとは未硬化組成物の層を硬化することをいう。
【0090】
本発明はまた、透明被覆成形品の上記の好ましい製造方法である。すなわち、組成物(A)の未硬化物からなる透明プラスチック基材に接した未硬化層と組成物(B)の未硬化層からなる最外未硬化層とを有する少なくとも2つの未硬化層を形成し、次いでこれらの未硬化層に活性エネルギー線を照射してこれら未硬化層の組成物をほぼ同時に硬化させる方法である。基材に接した未硬化層が硬化することにより基材接触層が形成され、最外未硬化層が硬化することにより露出層が形成される。
【0091】
本発明の製造方法において、硬化に至るまでの間接触している未硬化層は混合せずに層状態を維持する必要がある。しかし未硬化層の接触面において組成物やその成分がわずかに混合ないし浸透することは硬化物層間の接着強度を高める上で好ましい。硬化性組成物が溶剤を含む場合、未硬化層間の混合を防止するために、未硬化層形成後その上に他の未硬化層を形成する前に未硬化層中の溶剤を除去することが好ましい。未硬化層形成毎にその層中の溶剤を除去することは、溶剤除去を容易にするためにも好ましい。すなわち多層の未硬化層形成後に各層中の溶剤を除去することは特に全体の層が厚い場合には困難になりやすい。溶剤を除去した未硬化層の組成物自体が低粘度で他の未硬化層の組成物と混合しやすい場合は組成物に増粘剤等を添加しておくことができる。また、そのような低粘度の未硬化層の場合はその上に次の未硬化層を形成する前に活性エネルギー線を充分な硬化に至らない程度に照射して部分硬化させることもできる。
【0092】
組成物(A)、(B)等を用いて未硬化層を形成する手段は特に限定されず、公知〜周知の方法を用いることができる。たとえば、ディッピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の方法を用いることができる。このような方法で組成物を基材に塗布し、組成物が溶剤を含む場合は好ましくはその後乾燥し、基材接触層となる未硬化層を形成する。同様な方法によりその上に中間層や露出層となる未硬化層を形成する。
【0093】
必要なすべての未硬化層を形成した後活性エネルギー線を照射してそれらの未硬化層をすべてほぼ同時に硬化させる。活性エネルギー線の照射時間は、活性エネルギー線の種類、および各組成物における多官能性化合物の種類、光重合開始剤の種類、各未硬化層の厚さ、などの条件により適宜変えうる。活性エネルギー線が紫外線で多官能性化合物がアクリロイル基を有する化合物である場合、高圧水銀灯を用いて通常は1〜60秒照射することにより目的が達成される。さらに硬化反応を完結させる目的で、活性エネルギー線照射後加熱処理を加えることもできる。
【0094】
【実施例】
以下、本発明を合成例(例1〜7)、実施例(例8〜13)、比較例(例14〜19)に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されない。例8〜19についての各種物性の測定および評価は以下に示す方法で行い、その結果を表1に示した。
【0095】
[初期曇価、耐磨耗性]
テーバー磨耗試験法により、2つのCS−10F磨耗輪にそれぞれ500gの重りを組み合わせ100回転と500回転させたときの曇価をヘーズメータにて測定した。なお、曇価(ヘーズ)の測定は磨耗サイクル軌道の4カ所で行い、平均値を算出した。初期曇価は磨耗試験前の曇価の値(%)を、耐磨耗性は(磨耗試験後曇価)−(磨耗試験前曇価)の値(%)を示す。
【0096】
[密着性]
サンプルを剃刀の刃で1mm間隔で縦横それぞれ11本の切れ目を付け、100個の碁盤の目を作る。そして、市販のセロハンテープをよく密着させた後、90度手前方向に急激にはがした際の、被膜が剥離せずに残存したマス目の数(m)をm/100で表す。
【0097】
[耐候性]
サンシャインウエザーメータを用いてブラックパネル温度63℃で、降雨12分、乾燥48分のサイクルで2000時間、3000時間暴露後、それぞれ外観の評価を行った。「クラック発生」という評価結果は本発明にいうマイクロクラックが発生したことを示す。
【0098】
[例1]
エチルセロソルブ分散型コロイド状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)100重量部に3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン5重量部と0. 1N塩酸3. 0重量部を加え、100℃にて6時間加熱撹拌した後12時間室温下で熟成することにより、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
【0099】
[例2]
エチルセロソルブ分散型コロイド状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)100重量部にγ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5重量部と0. 1N塩酸3. 0重量部を加え、100℃にて6時間加熱撹拌した後12時間室温下で熟成することにより、アクリルシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
【0100】
[例3]
エチルセロソルブ分散型コロイド状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)100重量部にN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン5重量部と0. 1N塩酸3. 0重量部を加え、100℃にて6時間加熱撹拌した後12時間室温下で熟成することにより、アミノシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
【0101】
[例4]
エチルセロソルブ分散型コロイド状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)100重量部に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部と0. 1N塩酸3. 0重量部を加え、100℃にて6時間加熱撹拌した後12時間室温下で熟成することにより、エポキシシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
【0102】
[例5]
エチルセロソルブ分散型コロイド状シリカのかわりにイソプロパノール分散型コロイド状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)100重量部を用いた他は例1と同じにして、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
【0103】
[例6]
エチルセロソルブ分散型コロイド状シリカのかわりにイソプロパノール分散型コロイド状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)100重量部を用いた他は例2と同じにして、アクリルシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
【0104】
[例7]
撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコに、イソプロパノール15g、酢酸ブチル15g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン500mg、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール300mg、およびレベリング剤(ビック・ケミー社製BYK306)200mgを加え溶解させた(例9以下ではこれと同様の装置を使用して同じ組成の溶液を同じ量製造して以下の工程に使用する。以下この溶液を添加物溶液という)。
【0105】
続いて、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート7gと1,6−ヘキサンジオールジアクリレート3gの混合物を加え、常温で1時間撹拌した。次に、この反応容器に例1で得たメルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液14. 3gを加え、さらに0. 5時間常温で撹拌して、被覆用組成物を得た。
【0106】
[例8]
撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコに、イソプロパノール64. 2g、酢酸ブチル34. 2g、アシルホスフィンオキシド1. 5g、2−{2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル}ベンゾトリアゾール1. 5g、およびレベリング剤(ビック・ケミー社製BYK306)600mgを加え溶解させた。続いて、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30. 0gを加え、常温で1時間撹拌した。
【0107】
そして、厚さ3mmの透明な芳香族ポリカーボネート樹脂板(150mm×300mm)にバーコータを用いてこの被覆用組成物を塗工(ウエット厚み10マイクロメートル)して、80℃の熱風循環オーブン中で5分間放置した。そして、この上にさらに例7で合成した被覆用組成物をもう一度バーコータを用いて塗工(ウエット厚み10マイクロメートル)して、80℃の熱風循環オーブン中で5分間放置した。
【0108】
これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて3000mJ/cm2 (波長300〜390nm領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射し、膜厚7μmの透明被覆層を形成させた。このサンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
【0109】
[例9]
添加物溶液を製造し、続いて、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート7gと1,6−ヘキサンジオールジアクリレート3gの混合物を加え、常温で1時間撹拌した。次に、この反応容器に例2で得たアクリルシラン修飾コロイド状シリカ分散液14. 3gを加え、さらに0. 5時間常温で撹拌して、被覆用組成物を得た。そして、この組成物を第二層として塗工すること以外は例8と同じ条件で硬化被膜を形成させ、このサンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
【0110】
[例10]
添加物溶液を製造し、続いて、水酸基を有するジペンタエリスリトールポリアクリレートと部分ヌレート化ヘキサメチレンジイソシアネートの反応生成物であるウレタンアクリレート(1分子あたり平均15個のアクリロイル基を含有)10gを加え、常温で1時間撹拌した。次に、この反応容器に例3で得たアミノシラン修飾コロイド状シリカ分散液14. 3gを加え、さらに0. 5時間常温で撹拌して、被覆用組成物を得た。そして、この組成物を第二層として塗工すること以外は例8と同じ条件で硬化被膜を形成させ、このサンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
【0111】
[例11]
添加物溶液を製造し、続いて、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート7gと1,6−ヘキサンジオールジアクリレート3gの混合物を加え、常温で1時間撹拌した。次に、この反応容器に例4で得たエポキシシラン修飾コロイド状シリカ分散液14. 3gを加え、さらに0. 5時間常温で撹拌して、被覆用組成物を得た。そして、この組成物を第二層として塗工すること以外は例8と同じ条件で硬化被膜を形成させ、このサンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
【0112】
[例12]
添加物溶液を製造し、続いて、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(1分子あたり平均6個のアクリロイル基を含有)5gとヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジアクリレート5gの混合物を加え、常温で1時間撹拌した。次に、この反応容器に例5で得たメルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液14. 3gを加え、さらに0. 5時間常温で撹拌して、被覆用組成物を得た。そして、この組成物を第二層として塗工すること以外は例8と同じ条件で硬化被膜を形成させ、このサンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
【0113】
[例13]
添加物溶液を製造し、続いて、水酸基を有するジペンタエリスリトールポリアクリレートと部分ヌレート化ヘキサメチレンジイソシアネートの反応生成物であるウレタンアクリレート(1分子あたり平均15個のアクリロイル基を含有)10gを加え、常温で1時間撹拌した。次に、この反応容器に例6で得たアクリルシラン修飾コロイド状シリカ分散液14. 3gを加え、さらに0. 5時間常温で撹拌して、被覆用組成物を得た。そして、この組成物を第二層として塗工すること以外は例8と同じ条件で硬化被膜を形成させ、このサンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
【0114】
[例14〜19]
例8〜13で共通して用いた1層目(基材接触層形成用)の被覆組成物を塗工しない他は第二層用(露出層形成用)の被覆組成物(コロイド状シリカ含有)を例8〜13と同じように芳香族ポリカーボネート樹脂板に塗布して硬化させた。この1層のみの透明被覆層を有する被覆板を用いて例8〜13と同様に評価を行った。例14〜19は各々この順に例8〜13に対応する比較例である。
【0115】
【表1】
Figure 0003687230
【0116】
【発明の効果】
本発明の透明被覆成形品は、表面硬度が高いコロイド状シリカ含有硬化物からなる露出層を有し、しかも従来のそのような層を有する透明被覆成形品に比較してマイクロクラックの発生が少ない透明被覆層を有する。これにより本発明の透明被覆成形品はマイクロクラックに起因するヘーズの発生や透明被覆層の剥離が少ないという効果を有する。

Claims (6)

  1. 透明プラスチック基材の表面に活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなる少なくとも2層構造の透明被覆層を有する透明被覆成形品において、透明被覆層の基材表面に接する層が活性エネルギー線硬化性の下記組成物(A)の硬化物からなる層であり、透明被覆層の最外層が活性エネルギー線硬化性の下記組成物(B)の硬化物からなる層であることを特徴とする透明被覆成形品。
    組成物(A):(メタ)アクリロイル基を2以上有する多官能性化合物(a)と光重合開始剤とを含み、実質的に有効量のコロイド状シリカを含まない組成物。
    組成物(B):(メタ)アクリロイル基を2以上有する多官能性化合物(b)、光重合開始剤および平均粒径200nm以下のコロイド状シリカを含む組成物。
  2. コロイド状シリカが加水分解性ケイ素基を有する化合物により表面修飾されている、請求項1の透明被覆成形品。
  3. 透明プラスチック基材が芳香族ポリカーボネート樹脂からなる請求項1の透明被覆成形品。
  4. 透明プラスチック基材の表面に活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなる少なくとも2層構造の透明被覆層を有する透明被覆成形品を製造する方法において、活性エネルギー線硬化性の下記組成物(A)と活性エネルギー線硬化性の下記組成物(B)の少なくとも2つの活性エネルギー線硬化性組成物を用い、透明プラスチック基材上に、組成物(A)の未硬化物からなる基材に接した未硬化層と組成物(B)の未硬化物からなる最外未硬化層とを有する少なくとも2つの未硬化層を形成し、次いでこれら未硬化層に活性エネルギー線を照射してこれら未硬化層の組成物をほぼ同時に硬化させることを特徴とする透明被覆成形品の製造方法。
    組成物(A):(メタ)アクリロイル基を2以上有する多官能性化合物(a)と光重合開始剤とを含み、実質的に有効量のコロイド状シリカを含まない組成物。
    組成物(B):(メタ)アクリロイル基を2以上有する多官能性化合物(b)、光重合開始剤および平均粒径200nm以下のコロイド状シリカを含む組成物。
  5. コロイド状シリカが加水分解性ケイ素基を有する化合物により表面修飾されている、請求項4の製造方法。
  6. 透明プラスチック基材が芳香族ポリカーボネート樹脂からなる請求項4の製造方法。
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