JP3838242B2 - 紫外線硬化性被覆用組成物 - Google Patents

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本発明は、紫外線を照射することにより耐磨耗性、透明性に優れた硬化被膜を形成しうる被覆用組成物、およびこの被覆用組成物の与える硬化被膜により被覆された基材に関する。
近年、ガラスに代わる透明材料として透明プラスチック材料が用いられてきている。とりわけ芳香族ポリカーボネート樹脂は耐破砕性、透明性、軽量性、易加工性に優れ、その特徴を生かして、外壁、アーケード等の大面積の透明部材として各方面で使用されている。しかし、ガラスの代替として使用するには表面の硬度が充分ではなく、傷つきやすく磨耗しやすいことから、透明性が損なわれるという欠点がある。
従来、芳香族ポリカーボネート樹脂の耐擦傷性や耐磨耗性を改良するために多くの試みがなされてきた。最も一般的な方法の一つに分子中にアクリロイル基等の重合性官能基を2以上有する重合硬化性化合物を基材に塗布し、熱または紫外線等の活性エネルギー線により硬化させ、耐擦傷性に優れた成形品を得る方法がある。この方法は、コート液も比較的安定で、特に紫外線硬化できるものは生産性に優れ、成形品に曲げ加工を施した場合でも硬化被膜にクラックが発生することなく表面の耐擦傷性や耐磨耗性を改善できる。しかし、この硬化被膜は有機物のみからなるため長期間の屋外使用等の厳しい条件では耐久性に限界がある。
一方、より高い表面硬度を基材に付与させるための方法として、金属アルコキシド化合物を基材に塗布し熱により硬化させる方法がある。金属アルコキシドとしてはケイ素系の化合物が広く用いられており耐磨耗性にきわめて優れた硬化被膜を基材に付与できる反面、組成物の硬化に高温を要するため生産性が低く、また硬化塗膜とプラスチック基材との密着性に乏しいため、被膜の剥離やクラックが生じやすい等の欠点があった。
これらの技術の欠点を改良する方法として特許文献1に示されるようにコロイド状シリカと重合硬化性化合物の混合物を基材に塗布し、紫外線等の活性エネルギー線により硬化させ、耐擦傷性に優れた成形品を得る方法がある。コロイド状シリカを重合硬化性化合物と併用することにより、かなり高い表面硬度と生産性を両立させうる。しかし一方で、重合硬化性化合物中でのコロイド状シリカの分散安定性に欠けるため、コロイド状シリカの凝集により、コート液が不安定であったり、硬化被膜にヘーズがかかりやすいといった問題がある。
この問題を解決する目的で特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6ではコロイド状シリカ上にあらかじめビニル官能性シラン、アクリロイル官能性シラン、エポキシ官能性シラン、アミノ官能性シラン等で表面修飾したコロイド状シリカを用いる技術が開示されている。これらの表面修飾されたコロイド状シリカを重合硬化性化合物と併用することで、コート液の安定性が向上し、硬化塗膜の耐磨耗性や透明性が向上した。
しかし、たとえばアミノ官能性シランで変性した場合コート被膜が黄褐色に着色しやすく、視認性を損ないやすいといった欠点を生じる。またビニル官能性シラン、アクリロイル官能性シラン、エポキシ官能性シランを用いた場合には、表面修飾の効果が充分でなく、初期ヘーズを生じやすく、コロイド状シリカの耐磨耗性が充分発揮できない傾向がある。またこれらの硬化塗膜を有する芳香族ポリカーボネート樹脂基材では曲げ加工時に硬化塗膜にクラックが発生しやすく、芳香族ポリカーボネート樹脂の大きな長所である曲げ加工性が損なわれるという問題が生じる。
特開昭61−181809号公報 特開平1−188509号公報 特開平1−315403号公報 特開平2−64138号公報 特開平5−93170号公報 特開平5−117545号公報
本発明は前述の欠点を解消しようとするものである。すなわち、充分な表面耐擦傷性、耐磨耗性を有し、透明性に優れた硬化塗膜を付与しうる紫外線硬化性の被覆用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、高度な耐磨耗性と硬化被膜の透明性の両立を目的とし、紫外線硬化性の化合物と特定の処理剤で処理されたコロイド状シリカとの組み合わせについて検討した結果、特定の処理剤の使用により目的を達成しうることを見いだした。本発明はこの特定の処理剤を使用した紫外線硬化性の被覆用組成物、およびその硬化物で表面が被覆された基材にかかわる下記発明である。
紫外線によって重合しうる重合性官能基を2以上有する多官能性化合物であって、かつその20重量%以上がペンタエリスリトールまたはポリペンタエリスリトールとアクリル酸またはメタクリル酸との水酸基を1以上残したポリエステルとポリイソシアネートを反応させて得られるアクリルウレタンである多官能性化合物(a)、メルカプト基を有する有機基と加水分解性基または水酸基とがケイ素原子に結合しているメルカプトシラン化合物で平均粒径1〜200nmのコロイド状シリカを表面修飾して得られる修飾コロイド状シリカ(b)、および、光重合開始剤(c)を含む紫外線硬化性の被覆用組成物であって、曲げ加工性を有する硬化塗膜が表面に形成された基材を得るための被覆用組成物
上記の被覆用組成物から得られる硬化物で表面が被覆された基材。上記の基材を熱曲げ加工することを特徴とする加工方法。
本発明における修飾コロイド状シリカ(b)を含有する上記組成物を塗布し硬化して得られる塗膜(硬化塗膜)は、他の表面処理剤によって表面処理されたコロイド状シリカを同量含有する組成物の硬化塗膜と比較して、芳香族ポリカーボネート樹脂などの基材に対する密着性、透明性、耐磨耗性に優れるうえに、硬化塗膜を有する基材の曲げ加工性を損ないにくいという大きな利点を有する。
修飾コロイド状シリカ(b)表面のメルカプト基は多官能性化合物(a)の重合性官能基に容易に付加反応しうることより、本発明組成物においては紫外線照射の過程において修飾コロイド状シリカ(b)と多官能性化合物(a)が結合すると推測される。すなわち、修飾コロイド状シリカ(b)のメルカプト基と多官能性化合物(a)の重合性官能基が紫外線照射前または紫外線照射中に反応すると考えられる。このために、紫外線照射後もマトリクスとなる硬化樹脂に高度な耐磨耗性を発現させうるコロイド状シリカ微粒子が確実に取り込まれて、高度な耐磨耗性と硬化被膜の透明性が両立しうるものと考えられる。
本発明の紫外線硬化性の被覆用組成物は、メルカプトシラン化合物による修飾がなされていないコロイド状シリカを用いた被覆用組成物に比較して、耐磨耗性に優れ、ヘーズの低い硬化被膜を与える。また、硬化被膜を芳香族ポリカーボネート樹脂のハードコート膜として用いた場合、エポキシシランやアミノシランをコロイド状シリカの表面修飾に用いた場合に比して、耐磨耗性、密着性に優れるだけでなく、芳香族ポリカーボネート樹脂の長所である曲げ加工性を損なうことがないという利点を有する。
本発明における多官能性化合物(a)は、紫外線によって重合しうる重合性官能基を2以上有する多官能性の化合物である。その重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基などの炭素−炭素二重結合を有する基であり、アクリロイル基またはメタクリロイル基であることが好ましい。すなわち、多官能性化合物(a)としては、アクリロイル基およびメタクリロイル基から選ばれる1種以上の重合性官能基を2以上有する化合物が好ましい。さらにそのうちでも紫外線によってより重合しやすいアクリロイル基が好ましい。なお、この多官能性化合物(a)は1分子中に2種以上の重合性官能基を合計2以上有する化合物であってもよい。
多官能性化合物(a)1分子中における重合性官能基の数は2以上であり、その上限は特に限定されない。通常は2〜50個が適当であり、特に2〜30個が好ましい。
以下の説明において、アクリロイル基およびメタクリロイル基を総称して(メタ)アクリロイル基という。(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート等も表現も同様とする。なお、上記のようにこれらの基や化合物のうちでより好ましいものはアクリロイル基を有するもの、たとえばアクリロイルオキシ基、アクリル酸、アクリレート等である。
多官能性化合物(a)として好ましい化合物は(メタ)アクリロイル基を2以上有する化合物である。そのうちでも(メタ)アクリロイルオキシ基を2以上有する化合物、すなわち多価アルコールなどの2以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのポリエステル、が好ましい。
本発明組成物において、多官能性化合物(a)として2種以上の多官能性化合物が含まれていてもよい。また、多官能性化合物(a)とともに、紫外線によって重合しうる重合性官能基を1個有する単官能性化合物が含まれていてもよい。この単官能性化合物としては(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、特にアクリロイル基を有する化合物が好ましい。
本発明組成物においてこの単官能性化合物を使用する場合、多官能性化合物(a)とこの単官能性化合物との合計に対するこの単官能性化合物の割合は、特に限定されないが0〜60重量%が適当である。単官能性化合物の割合が多すぎると硬化塗膜の硬さが低下し耐磨耗性が不充分となるおそれがある。より好ましい単官能性化合物の割合は0〜30重量%である。
多官能性化合物(a)としては、重合性官能基以外に種々の官能基や結合を有する化合物であってもよい。たとえば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、アミド結合などを有していてもよい。特に、ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(いわゆるアクリルウレタン)とウレタン結合を有しない(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。以下これら2つの多官能性化合物について説明する。
ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(以下アクリルウレタンという)は、たとえば、(1)(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有する化合物(a1)と2以上のイソシアネート基を有する化合物(以下ポリイソシアネートという)との反応生成物、(2)化合物(a1)と2以上の水酸基を有する化合物(a2)とポリイソシアネートとの反応生成物、(3)(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを有する化合物(a3)と化合物(a2)との反応生成物、などがある。
これらの反応生成物においては、イソシアネート基が存在しないことが好ましい。しかし、水酸基は存在してもよい。したがって、これらの反応生成物の製造においては、全反応原料の水酸基の合計モル数はイソシアネート基の合計モル数と等しいかそれより多いことが好ましい。
(メタ)アクリロイル基と水酸基とを有する化合物(a1)としては、(メタ)アクリロイル基と水酸基とをそれぞれ1個ずつ有する化合物であってもよく、(メタ)アクリロイル基2個以上と水酸基1個とを有する化合物、(メタ)アクリロイル基1個と水酸基2個以上とを有する化合物、(メタ)アクリロイル基と水酸基とをそれぞれ2個以上有する化合物であってもよい。
具体例として、上記順に、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなどがある。これらは2以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのモノエステルまたは1個以上の水酸基を残したポリエステルである。
さらに化合物(a1)としては、エポキシ基を1個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸との開環反応生成物であってもよい。エポキシ基と(メタ)アクリル酸との反応によりエポキシ基が開環してエステル結合が生じるとともに水酸基が生じ、(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物となる。またエポキシ基を1個以上有する化合物のエポキシ基を開環させて水酸基含有化合物としそれを(メタ)アクリル酸エステルに変換することもできる。
エポキシ基を1個以上有する化合物としては、いわゆるエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドが好ましい。ポリエポキシドとしては、たとえば多価フェノール類−ポリグリシジルエーテル(たとえばビスフェノールA−ジグリシジルエーテル)などのグリシジル基を2個以上有する化合物や脂環族エポキシ化合物が好ましい。さらに、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートと水酸基やカルボキシル基を有する化合物との反応生成物を化合物(a1)として使用することもできる。エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、たとえばグリシジル(メタ)アクリレートがある。
化合物(a1)の上記以外の具体例としてはたとえば以下の化合物がある。
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ブテン−1,4−ジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(ないしペンタ)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物。
ポリイソシアネートとしては、通常の単量体状のポリイソシアネートはもちろん、ポリイソシアネートの多量体や変性体またはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーなどのプレポリマー状の化合物であってもよい。
多量体としては3量体(イソシアヌレート変性体)、2量体、カルボジイミド変性体などがあり、変性体としてはトリメチロールプロパン等の多価アルコールで変性して得られるウレタン変性体、ビュレット変性体、アロハネート変性体、ウレア変性体などがある。プレポリマー状のものの例としては、後述ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどのポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーなどがある。これらポリイソシアネートは2種以上併用して使用できる。
具体的な単量体状のポリイソシアネートとしては、たとえば、以下のポリイソシアネートがある([ ]内は略称)。
2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルイソシアネート)[MDI]、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート[XDI]、水添XDI、水添MDI、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート。
ポリイソシアネートとしては特に無黄変性ポリイソシアネート(芳香核に直接結合したイソシアネート基を有しないポリイソシアネート)が好ましい。具体的にはヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートがある。上記のようにこれらポリイソシアネートの多量体や変性体等も好ましい。
2以上の水酸基を有する化合物(a2)としては、多価アルコールや多価アルコールに比較して高分子量のポリオールなどがある。
多価アルコールとしては、2〜8個の水酸基を有する多価アルコールが好ましく、特に2〜6個の水酸基を有する多価アルコールが好ましい。多価アルコールは脂肪族の多価アルコールはもちろん、脂環族多価アルコールや芳香核を有する多価アルコールであってもよい。
芳香核を有する多価アルコールとしてはたとえば多価フェノール類のアルキレンオキシド付加物や多価フェノール類−ポリグリシジルエーテルなどの芳香核を有するポリエポキシドの開環物などがある。
高分子量のポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどがある。
また、ポリオールとして水酸基含有ビニルポリマーをも使用できる。これら多価アルコールやポリオールは2種以上併用することもできる。
多価アルコールの具体例としてはたとえば以下の多価アルコールがある。
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2,4ートリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキサン、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルの開環物、ビニルシクロヘキセンジオキシドの開環物。
ポリオールの具体例としてはたとえば以下のポリオールがある。
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA−アルキレンオキシド付加物、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール。ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンジオール等の脂肪族ポリオール。ポリε−カプロラクトンポリオール。アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、アゼライン酸、グルタル酸等の多塩基酸と上記多価アルコールとの反応で得られるポリエステルポリオール。1,6−ヘキサンジオールとホスゲンの反応で得られるポリカーボネートジオール。
水酸基含有ビニルポリマーとしてはたとえばアリルアルコール、ビニルアルコール、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有単量体とオレフィンなどの水酸基不含単量体との共重合体がある。
(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを有する化合物(a3)としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネートなどがある。
本発明における多官能性化合物(a)として特に好ましいアクリルウレタンは、ペンタエリスリトールまたはポリペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸との水酸基を1以上残したポリエステル(以下、水酸基含有ペンタエリスリトール系(メタ)アクリレートという)を使用して得られるアクリルウレタン(以下、ペンタエリスリトール系アクリルウレタンという)である。すなわち、水酸基含有ペンタエリスリトール系(メタ)アクリレートとポリイソシアネートの反応生成物、水酸基含有ペンタエリスリトール系(メタ)アクリレートとそれに対して相対的に少量の他の水酸基含有(メタ)アクリレートや2以上の水酸基を有する化合物(a2)などとの混合物をポリイソシアネートと反応させて得られる反応生成物、などである。
原料ポリペンタエリスリトールは重合度の異なるポリペンタエリスリトールの混合物であってもよく、ペンタエリスリトールを含んでいてもよい。水酸基含有ペンタエリスリトール系(メタ)アクリレートも同様にこのようなポリペンタエリスリトールに由来する2種以上の化合物の混合物、1分子中の水酸基や(メタ)アクリロイルオキシ基の異なる2種以上の化合物の混合物、などの2種以上の化合物の混合物であってもよい。ペンタエリスリトール系アクリルウレタンもまた同様である。
多官能性化合物(a)として好ましいウレタン結合を有しない(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、前記化合物(a2)と同様の2以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのポリエステルが好ましい。2以上の水酸基を有する化合物としては前記多価アルコールやポリオールが好ましい。さらに、2以上のエポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物である(メタ)アクリル酸エステル化合物も好ましい。
2以上のエポキシ基を有する化合物としてはエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドがある。たとえば、グリシジルエーテル型ポリエポキシド、脂環型ポリエポキシドなどのエポキシ樹脂として市販されているものを使用できる。
具体的にはたとえば以下のようなポリエポキシドがある。
ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ノボラックポリグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド。
ウレタン結合を含まない多官能性化合物(a)の具体例としてはたとえば以下のような化合物がある。
以下の脂肪族多価アルコールの(メタ)アクリレート。
1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、炭素数14〜15の長鎖脂肪族ジオールのジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールとトリメチロールプロパンとの縮合物からなるジオールのジ(メタ)アクリレート。
以下の芳香核またはトリアジン環を有する多価アルコールや多価フェノールの(メタ)アクリレート。
ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールA、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールS、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールF、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジメタクリレート。
以下の水酸基含有化合物−アルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、水酸基含有化合物−カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンポリオールの(メタ)アクリレート。[ ]内はポリオキシアルキレンポリオールの分子量を表す。
トリメチロールプロパン−エチレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−プロピレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール−カプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール[200〜1000]ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール[200〜1000]ジ(メタ)アクリレート。
下記(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸エステルやリン酸エステル。
ビス(アクリロイルオキシネオペンチルグリコール)アジペート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート。
下記ポリエポキシドの(メタ)アクリル酸付加物(ただし、ポリエポキシドのエポキシ基1個あたり1分子の(メタ)アクリル酸が付加したもの)、およびグリシジル(メタ)アクリレートと多価アルコールもしくは多価カルボン酸との反応生成物(ただし、多価アルコール等の1分子あたりグリシジル(メタ)アクリレートが2分子以上反応したもの)。
ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物、ジシクロペンタジエンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとプロピレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとジエチレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートと1,6−ヘキサンジオールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとグリセロールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとトリメチロールプロパンの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとフタル酸の反応生成物。
上記のような(メタ)アクリレート類でかつ未反応の水酸基を有する化合物のアルキルエーテル化物、アルケニルエーテル化物、カルボン酸エステル化物など(以下、変性ともいう)で、下記のような化合物。
アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のアリルエーテル化物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のメチルエーテル化物、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート。
本発明における多官能性化合物(a)として特に好ましいウレタン結合を有しない(メタ)アクリル酸エステル化合物はイソシアヌレート系ポリオールのポリ(メタ)アクリレート(以下、イソシアヌレート系(メタ)アクリレートという)である。イソシアヌレート系ポリオールとはトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートなどの2以上の水酸基を有するイソシアヌル酸エステルである。イソシアヌレート系ポリオールにおいてイソシアヌレート環の3個の窒素原子にそれぞれ結合した3個の有機基は同一であっても異なっていてもよい。3個の有機基の少なくとも2個はそれぞれ少なくとも1個の水酸基を有することが好ましく、3個の有機基がそれぞれ1個ずつ水酸基を有することがより好ましい。
イソシアヌレート系ポリオールとしてはトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート以外に、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート−アルキレンオキシド付加物やトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート−ラクトン付加物が好ましい。これら付加物におけるアルキレンオキシドやラクトンの付加量はトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート1分子あたり1〜12分子、特に1〜6分子が好ましい。トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートにおけるヒドロキシアルキル基としては炭素数2〜6、特に2〜4のヒドロキシアルキル基が好ましい。具体的には、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基などがあり、好ましくは2−ヒドロキシエチル基と2−ヒドロキシプロピル基である。なお、これらイソシアヌレート系ポリオールは2種以上併用できる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブテンオキシド、2,3−ブテンオキシドなどが好ましく、エチレンオキシドとプロピレンオキシドがより好ましい。ラクトンとしては、ε−カプロラクトンの他、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトンなどが好ましく、ε−カプロラクトンが特に好ましい。
イソシアヌレート系(メタ)アクリレートにおける1分子あたりの(メタ)アクリロイルオキシ基の数は2〜3が適当であり、これらの混合物であってもよい。好ましくは3個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアヌレート系(メタ)アクリレートである。イソシアヌレート系(メタ)アクリレートとしては、前記した化合物を含め以下のような化合物が好ましい。
トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのε−カプロラクトン1〜3分子付加物からなるトリオールのトリ(メタ)アクリレートまたはジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのエチレンオキシド1〜3分子付加物からなるトリオールのトリ(メタ)アクリレートまたはジ(メタ)アクリレート。
本発明における多官能性化合物(a)として特に好ましい化合物は、前記ペンタエリスリトール系アクリルウレタンと上記イソシアヌレート系(メタ)アクリレートである。これらを併用することも好ましい。これら特に好ましい多官能性化合物の全多官能性化合物に対する割合は20重量%以上、さらには40重量%以上、が好ましい。
これら好ましい多官能性化合物(a)の内でさらに好ましい多官能性化合物(a)はイソシアヌレート系(メタ)アクリレートである。イソシアヌレート系(メタ)アクリレートを用いた本発明紫外線硬化性被覆用組成物の硬化塗膜を有する芳香族ポリカーボネート樹脂基材は特に厳しい曲げ加工に耐えうる。たとえばこの硬化塗膜を有する芳香族ポリカーボネート樹脂基材をより高温に加熱して曲げ加工する場合やより強い曲げ加工を行う(より小さい曲率に曲げ加工する)場合に、クラックが発生するおそれが少ない。
多官能性化合物(a)とともに使用できる単官能性化合物としては、たとえば分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。そのような単官能性化合物は、水酸基、エポキシ基などの官能基を有していてもよい。好ましい単官能性化合物は(メタ)アクリル酸エステル、すなわち(メタ)アクリレートである。具体的な単官能性化合物としてはたとえば以下の化合物がある。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物。
本発明の被覆用組成物における成分(b)は、平均粒径1〜200nmのコロイド状シリカをメルカプト基を有する有機基と加水分解性基または水酸基とがケイ素原子に結合しているメルカプトシラン化合物によって表面修飾して得られる修飾コロイド状シリカである。コロイド状シリカとは水や他の分散媒に安定的に分散しているシリカ微粒子をいい、本発明における修飾コロイド状シリカはこのコロイド状シリカに由来する表面修飾されたシリカ微粒子をいう。
本発明における原料コロイド状シリカの平均粒径は1〜200nmであり、好ましくは1〜100nmであり、特に好ましくは1〜50nmである。本発明における修飾によってシリカ微粒子の平均粒径は実質的に変化しないか多少大きくなると考えられるので、得られる修飾コロイド状シリカの平均粒径もこの範囲のものであると考えられる。原料コロイド状シリカは酸性または塩基性の分散体形態で入手できる。いずれの形態でも使用できるが、塩基性コロイド状シリカは本発明の組成物を形成する溶液がゲル化しないように、またシリカがコロイド分散系から沈殿しないように、有機酸の添加のような手段によって分散体を酸性にすることが好ましい。
コロイド状シリカの分散媒としては種々の分散媒が知られており、本発明における原料コロイド状シリカの分散媒は特に限定されない。必要により分散媒を変えて修飾を行うことができ、また修飾後に分散媒を変えることもできる。修飾コロイド状シリカの分散媒はそのまま本発明被覆用組成物の媒体(溶媒)とすることが好ましい。被覆用組成物の媒体としては、乾燥性などの面から比較的低沸点の溶媒、すなわち通常の塗料用溶媒、であることが好ましい。製造の容易さなどの理由により、原料コロイド状シリカの分散媒、修飾コロイド状シリカの分散媒および被覆用組成物の媒体はすべて同一の媒体(溶媒)であることが好ましい。このような媒体としては、塗料用溶媒として広く使用されているような有機媒体が好ましい。
分散媒としては、たとえば以下のような分散媒を使用できる。
水。メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコールのような低級アルコール類。メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類。ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンなど。
前記のように本発明においては特に有機分散媒が好ましく、上記有機分散媒中ではさらにアルコール類およびセロソルブ類が好ましい。なお、コロイド状シリカとそれを分散させている分散媒との一体物をコロイド状シリカ分散液という。
コロイド状シリカの修飾は通常メルカプトシラン化合物を接触させて加水分解することにより行う。たとえば、コロイド状シリカ分散液にメルカプトシラン化合物を添加し、コロイド状シリカ分散液中でメルカプトシラン化合物を加水分解することによって修飾できる。
この場合メルカプトシラン化合物の加水分解物はコロイド状シリカ微粒子表面に化学的にまたは物理的に結合し、その表面を修飾すると考えられる。特にコロイド状シリカ微粒子表面には通常シラノール基が存在することより、このシラノール基がメルカプトシラン化合物の加水分解で生成するシラノール基と縮合してメルカプトシラン化合物の加水分解残基が結合した表面が生成すると考えられる。また、加水分解物自身の縮合反応が進んだものが同様に表面に結合する場合もあると考えられる。したがってまた本発明においてはメルカプトシラン化合物をある程度加水分解を行った後にコロイド状シリカ分散液に添加して修飾を行うこともできる。
ケイ素原子に直接結合している水酸基(シラノール基)を有するメルカプトシラン化合物はすでに加水分解された上記加水分解性基含有メルカプトシラン化合物とみなすことができ、上記のような加水分解を行うことなくコロイド状シリカを修飾できる。しかしこのケイ素原子に直接結合している水酸基を有するメルカプトシラン化合物は安定性が低く取扱が煩雑になるおそれがあり、本発明において好ましくは上記加水分解性基を有するメルカプトシラン化合物を使用する。
本発明に使用するメルカプトシラン化合物はメルカプト基を有する有機基と加水分解性基または水酸基とがケイ素原子に結合している化合物である。メルカプト基を有する有機基としては、典型的にはメルカプト基置換アルキル基があるが、これに限定されず、たとえばメルカプト基以外にさらに他の官能基を有するアルキル基、メルカプト基とさらにエステル結合、エーテル結合、アミド結合などの結合を有する有機基などであってもよい。なお、メルカプト基を有する有機基はケイ素原子に結合する末端が炭素原子である有機基である。また、本発明においてメルカプトシラン化合物は2種以上を併用できる。
ケイ素原子に結合している加水分解性基としては、アルコキシ基などの水酸基含有化合物の水酸基の水素原子を除いた残基、アシル基、アミノ基、ハロゲン原子、その他の水と反応してシラノール基を生成しうる基がある。好ましくはアルコキシ基と塩素原子や臭素原子などのハロゲン原子である。特に炭素数4以下のアルコキシ基が好ましい。メルカプトシラン化合物中のケイ素原子は通常1個であるがジシロキサン誘導体やジシラン誘導体などのケイ素原子2個以上の化合物であってもよい。1個のケイ素原子にメルカプト基を有する有機基(1個)、加水分解性基(1〜3個)、および場合によって他の有機基(好ましくは低級アルキル基)とで合計4個の基を有するシラン化合物が好ましい。
メルカプトシラン化合物としては、下記式(1)で表される化合物が好ましい。ただし、式(1)においてRは2価の炭化水素基、Rは1価の炭化水素基、Xは水酸基または加水分解性基、nは1〜3の整数を表す。
HS−R−SiX 3−n ・・・(1)
式(1)におけるRは炭素数2〜6(最も好ましくは3)のアルキレン基が好ましい。このHS−R−なる基が上記にいうメルカプト基を有する有機基の好ましい例である。Rは炭素数4以下のアルキル基、特にメチル基とエチル基が好ましい。Xは上記のような加水分解性基であることが好ましく、特に炭素数4以下のアルコキシ基が好ましい。このアルコキシ基としてはさらにメトキシ基とエトキシ基が加水分解性が良好であり好ましい。nは2〜3が好ましい。
一般式(1)で表されるメルカプトシラン化合物の代表例を以下に例示する。なお、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Prはn−プロピル基を示す。
HS−CHCHCH−Si(OMe)
HS−CHCHCH−Si(OEt)
HS−CHCHCH−Si(OPr)
HS−CHCHCH−SiMe(OMe)
HS−CHCHCH−SiMe(OEt)
HS−CHCHCH−SiMe(OPr)
HS−CHCHCH−SiMe(OMe)、
HS−CHCHCH−SiMe(OEt)、
HS−CHCHCH−SiMe(OPr)、
HS−CHCHCH−SiCl
HS−CHCHCH−SiBr
HS−CHCHCH−SiMeCl
HS−CHCHCH−SiMeBr
HS−CHCHCH−SiMeCl、
HS−CHCHCH−SiMeBr。
メルカプトシラン化合物によるコロイド状シリカの表面修飾において、メルカプトシラン化合物とともに他のシラン化合物をも使用できる。他のシラン化合物としてはテトラアルコキシシラン、炭化水素基とアルコキシ基を有するシラン化合物、メルカプト基以外の官能基を有する有機基とアルコキシ基を有するシラン化合物などがある。この他のシラン化合物はメルカプトシラン化合物と混合して表面修飾に使用でき、またメルカプトシラン化合物とは別々に表面修飾を行うこともできる。この他のシラン化合物としては、テトラアルコキシシランとアルキル基を1〜3個有するアルキルアルコキシシランが好ましい。
他のシラン化合物としてはたとえば以下の化合物がある。
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラヘキシルオルトシリケート、テトラフェニルオルトシリケート、テトラベンジルオルトシリケート、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メトキシエチルトリエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン。
コロイド状シリカの表面をメルカプトシラン化合物で修飾する場合、メルカプトシラン化合物をコロイド状シリカ分散液に添加混合して、系中の水または新たに加える水により加水分解することにより、この加水分解物で表面が修飾された修飾コロイド状シリカ(b)が得られる。メルカプトシラン化合物の加水分解反応、およびコロイド状シリカ表面のシラノール基とメルカプトシラン化合物またはその部分加水分解物との反応を効果的に促進するために触媒を存在させることが好ましい。
この触媒としては、酸やアルカリがある。好ましくは無機酸および有機酸を使用する。無機酸としては、たとえば塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸等のハロゲン化水素酸や硫酸、硝酸、リン酸等を使用できる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ酸、アクリル酸、メタクリル酸等を使用できる。
加水分解反応を均一に進行せしめるために通常溶媒中で反応が行われる。通常この溶媒は原料コロイド状シリカ分散液の分散媒である。しかし、この分散媒以外の溶媒やこの分散媒と他の溶媒の混合溶媒であってもよい。この溶媒の条件としては、メルカプトシラン化合物を溶解し、水および触媒との相溶性があるものが好ましく、そして、コロイド状シリカの凝集を起こさないものである。
具体的には以下のものを挙げうる。
水。メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールのような低級アルコール類。アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンのようなケトン類。テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類。メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類。ジメチルアセトアミド等。
これらの溶媒は先に述べたコロイド状シリカの分散媒をそのまま用いてもよく、分散媒以外の溶媒に置換して用いてもよい。また分散液にその分散媒以外の溶媒を必要な量新たに加えて用いてもよい。
反応温度としては室温から用いる溶媒の沸点までの間が好ましく、反応時間は温度にもよるが0.5〜24時間の範囲が好ましい。
コロイド状シリカの修飾において、メルカプトシラン化合物の使用量は特に限定されないが、コロイド状シリカ(分散液中の固形分)100重量部に対し、メルカプトシラン化合物1〜100重量部が適当である。メルカプトシラン化合物の量が1重量部未満では表面修飾の効果が得られにくい。また、100重量部超では未反応のメルカプトシラン化合物やコロイド状シリカ表面に担持されていないメルカプトシラン化合物加水分解物が多量に生じ、紫外線硬化の際それらが連鎖移動剤として働き成分(a)の不飽和結合部位に付加して重合部位を減らしてしまうおそれが生じる。
光重合開始剤(c)としては、公知ないし周知のものを使用できる。特に入手容易な市販のものが好ましい。光重合開始剤(c)としては、アリールケトン系光重合開始剤(たとえば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエステル類など)、含イオウ系光重合開始剤(たとえば、スルフィド類、チオキサントン類など)、その他の光重合開始剤がある。光重合開始剤は2種以上併用できる。また、光重合開始剤はアミン類などの光増感剤と組み合わせて使用することもできる。具体的な光重合開始剤としてはたとえば以下のような化合物がある。
4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(1−ヒドロキシ−1−メチル)エチルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリノプロパン−1−オン。
ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4”−ジエチルイソフタロフェノン、α−アシロキシムエステル、メチルフェニルグリオキシレート。
4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、アシルホスフィンオキシド。
本発明組成物において、多官能性化合物(a)と修飾コロイド状シリカ(b)の配合比は、特に限定されないが、(a)100重量部に対し(b)5〜300重量部であることが好ましい。(b)の配合比が5重量部以下の場合充分な耐磨耗性が得られ難い。また、(b)の配合比が300重量部超では硬化被膜にヘーズが生じやすく、かつ、組成物の硬化被膜を形成した後の樹脂成形物の熱曲げ加工などが困難になる。より好ましい配合比は、(a)100重量部に対し(b)50〜200重量部である。
また、(a)、(b)両者間の配合比とは独立して、(a)中の(メタ)アクリロイル基のモル数に対し(b)中のメルカプト基のモル数は50%以下であることが好ましい。モル数が50%超ではマトリクスとなる樹脂の硬化不良が起こりやすく、充分な耐磨耗性が得られないおそれがある。さらに、光重合開始剤(C)の配合比は(a)100重量部に対して0.01〜20重量部、特に0.1〜10重量部が好ましい。
なお、多官能性化合物(a)とともに単官能性化合物を併用する場合は、上記(a)100重量部の代わりに(a)と単官能性化合物の合計100重量部に対する(b)、(C)の割合が上記範囲となることが好ましい。(a)中の(メタ)アクリロイル基のモル数についても同様に(a)と単官能性化合物の合計に対する(b)のメルカプト基のモル数が50%以下であることが好ましい。
本発明の被覆用組成物は上記基本的3成分以外に溶剤や種々の配合剤を含みうる。溶剤は通常必須の成分であり、多官能性化合物(a)が特に低粘度の液体でない限り溶剤が使用される。溶剤としては、通常多官能性化合物(a)を硬化成分とする被覆用組成物に使用される溶剤を使用できる。また原料コロイド状シリカの分散媒をそのまま溶剤としても使用できる。さらに基材の種類により適切な溶剤を選択して用いることが好ましい。溶剤の量は必要とする組成物の粘度、目的とする硬化被膜の厚さ、乾燥温度条件などにより適宜変更できる。通常は多官能性化合物(a)の100倍重量以下、好ましくは0.1〜50倍重量用いる。
溶剤としてはたとえば前記コロイド状シリカの修飾するための加水分解に用いる溶媒として挙げた、低級アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類などの溶剤がある。そのほか、酢酸n−ブチル、ジエチレングリコールモノアセテートなどのエステル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などがある。耐溶剤性の低い芳香族ポリカーボネート樹脂の被覆には低級アルコール類、セロソルブ類、エステル類、それらの混合物などが適当である。
本発明の被覆用組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱重合防止剤などの安定剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料、分散剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面活性剤類、酸、アルカリおよび塩類などから選ばれる硬化触媒等を適宜配合して用いてもよい。
本発明の紫外線硬化性の被覆用組成物は、種々の基材に適用しその表面に硬化被膜を形成できる。基材としては各種合成樹脂、特に透明合成樹脂が好ましい。このような透明合成樹脂としては芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(アクリル樹脂)、ポリスチレン樹脂などがある。特に芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。この基材は成形されたものであり、たとえば平板や波板などのシート状基材、フィルム状基材、各種形状に成形された基材、少なくとも表面層が各種合成樹脂からなる積層体等がある。基材としては、特に芳香族ポリカーボネート樹脂製シートが好ましい。
本発明の被覆用組成物は、基材にディップ法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の方法で塗布し、溶剤を含む組成物の場合は乾燥した後、紫外線を照射して硬化させる。紫外線源としてはキセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等が使用できる。照射時間は、多官能性化合物(a)の種類、光重合開始剤(c)の種類、被膜厚、紫外線源等の条件により適宜変えうる。通常は1〜60秒照射することにより目的が達成される。さらに硬化反応を完結させる目的で、紫外線照射後加熱処理することもできる。
硬化被膜の厚さは、所望により種々の厚さを採用できる。通常は1〜50μmの厚さの硬化被膜、好ましくは3〜20μmの厚さの硬化被膜を形成することが好ましい。
以下、本発明を合成例(例1〜6、例21〜24)、実施例(例9、10、12、29、31)、比較例(例13〜20)、参考例(例7、8、11、25〜28、30、32)に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されない。例7〜20についての各種物性の測定(曲げ加工性試験は下記[曲げ加工性1]、耐候性試験は[耐候性1]による)および評価は以下に示す方法で行い、その結果を表1に示した。また、例25〜32についての各種物性の測定(曲げ加工性試験は下記[曲げ加工性2]、耐候性試験は[耐候性2]による)および評価は以下に示す方法で行い、その結果を表2に示した。
[初期曇価、耐磨耗性]
テーバー磨耗試験法により、2つのCS−10F磨耗輪にそれぞれ500gの重りを組み合わせ100回転と500回転させたときの曇価をヘーズメータにて測定した。なお、曇価(ヘーズ)の測定は磨耗サイクル軌道の4カ所で行い、平均値を算出した。初期曇価は磨耗試験前の曇価の値(%)を、耐磨耗性は(磨耗試験後曇価)−(磨耗試験前曇価)の値(%)を示す。
[密着性]
サンプルに剃刀の刃で1mm間隔で縦横それぞれ11本の切れ目を付け、100個の碁盤の目を作る。そして、市販のセロハンテープをよく密着させた後、90度手前方向に急激にはがした際の、被膜が剥離せずに残存したマス目の数(X)をX/100で表す。
[曲げ加工性1]
50mm×300mmの短冊状のサンプルを60℃、95%RHの湿熱オーブンに4週間コート面を外側に向くようにして、180mmRの曲率を保ったまま保持した後、サンプルのコート面のクラックの有無を観察し、○、△、×の3段階で評価した。
[曲げ加工性2]
50mm×300mmの短冊状のサンプルを170℃のオーブンに10分間コート面を外側に向くようにして保持する。その後それぞれ64mmRの曲率を持った凹型と凸型からなる成形型を用い、サンプルのコート面が凸型表面に接触する様にサンプルを成形型に置いて成形を行った。成形されたサンプルのコート面のクラックの有無を観察し、○、△、×の3段階で評価した。
[耐候性1]
サンシャインウエザーメータを用いてブラックパネル温度63℃で、降雨12分、乾燥48分のサイクルで2000時間暴露後、外観の評価を行った。
[耐候性2]
サンシャインウエザーメータを用いてブラックパネル温度63℃で、降雨12分、乾燥48分のサイクルで3000時間暴露後、外観の評価を行った。
[例1]
エチルセロソルブ分散型コロイド状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)50重量部に3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン5重量部と0.01N塩酸1.5重量部を加え、40℃にて4時間加熱撹拌した後12時間室温下で熟成することにより、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
[例2]
例1と同じエチルセロソルブ分散型コロイド状シリカを50重量部のかわりに100重量部用いた他は例1と同じにして、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
[例3]
エチルセロソルブ分散型コロイド状シリカのかわりにイソプロパノール分散型コロイド状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)50重量部を用いた他は例1と同じにして、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
[例4]
例3と同じイソプロパノール分散型コロイド状シリカを50重量部のかわりに100重量部用いた他は例1と同じにして、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
[例5]
3−メルカプトプロピルトリメトキシシランのかわりに3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部を用いた他は例1と同じにして、エポキシシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
[例6]
3−メルカプトプロピルトリメトキシシランのかわりにN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン5重量部を用いた他は例3と同じにして、アミノシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
[例7]
撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコに、イソプロパノール15g、酢酸ブチル15g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン500mg、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール300mg、およびレベリング剤(ビック・ケミー社製BYK306)200mgを加え溶解させた。
続いて、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート7gと1,6−ヘキサンジオールジアクリレート3gの混合物を加え、遮光しながら常温で1時間撹拌した。次に、この反応容器に例1で得たメルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液14.3gを加え、さらに0.5時間常温で撹拌して、被覆用組成物を得た。
厚さ3mmの透明な芳香族ポリカーボネート樹脂板(150mm×300mm)にバーコータを用いてこの被覆用組成物を塗工して塗膜を形成させ、80℃の熱風循環オーブン中で5分間放置した。そして、これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて3000mJ/cm(波長300〜390nm領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射し、膜厚7μmの硬化被膜を形成させた。このサンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
[例8]
例1で得た修飾コロイド状シリカ分散液のかわりに、例2で得た修飾コロイド状シリカ分散液を同量用いた他は例7と同じにして被覆用組成物を調製し、例7と同じ条件でサンプルを製造した。
[例9]
例7の2種のポリアクリレート合計10gのかわりに、水酸基を有するジペンタエリスリトールポリアクリレートと部分ヌレート化ヘキサメチレンジイソシアネートの反応生成物であるウレタンアクリレート(1分子あたり平均15個のアクリロイル基を含有、以下ウレタンアクリレートAという)10gを用い、かつ例1で得た修飾コロイド状シリカ分散液のかわりに例3で得た修飾コロイド状シリカ分散液を同量用いた他は例7と同じにして被覆用組成物を調製し、例7と同じ条件でサンプルを製造した。
[例10]
例3で得た修飾コロイド状シリカ分散液のかわりに例4で得た修飾コロイド状シリカ分散液を同量用いた他は例9と同じにして被覆用組成物を調製し、例9と同じ条件でサンプルを製造した。
[例11]
例7の2種のポリアクリレート合計10gのかわりに、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(1分子あたり平均6個のアクリロイル基を含有、以下ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートという)5gとヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジアクリレート5gとの混合物を用いた他は例7と同じにして被覆用組成物を調製し、例7と同じ条件でサンプルを製造した。
[例12]
例7の2種のポリアクリレート合計10gのかわりに、例9に用いたものと同じウレタンアクリレートA5gと1,6−ヘキサンジオールジアクリレート5gの混合物を用い、かつ例1で得た修飾コロイド状シリカ分散液のかわりに例3で得た修飾コロイド状シリカ分散液を同量用いた他は例7と同じにして被覆用組成物を調製し、例7と同じ条件でサンプルを製造した。
[例13〜18]
例7〜12で用いた修飾コロイド状シリカ分散液のかわりに、その修飾コロイド状シリカ分散液の原料である未修飾のコロイド状シリカ分散液を同量用いた他は各例と同じにして被覆用組成物を調製し、例7と同じ条件でサンプルを製造した。例13〜18(比較例)は順次例7〜12(実施例)に対応する。
[例19]
例1で得た修飾コロイド状シリカ分散液のかわりに、例5で得た表面修飾されたコロイド状シリカ分散液を同量用いた他は例7と同じにして被覆用組成物を調製し、例7と同じ条件でサンプルを製造した。
[例20]
例1で得た修飾コロイド状シリカ分散液のかわりに、例6で得た表面修飾されたコロイド状シリカ分散液を同量用いた他は例7と同じにして被覆用組成物を調製し、例7と同じ条件でサンプルを製造した。
Figure 0003838242
[例21]
例1と同じエチルセロソルブ分散型コロイド状シリカ50重量部に3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン5重量部と0.1N塩酸1.5重量部を加え、100℃にて6時間加熱撹拌した後12時間室温下で熟成することにより、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
[例22]
例1と同じエチルセロソルブ分散型コロイド状シリカを50重量部のかわりに100重量部用いた他は例21と同じにして、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
[例23]
エチルセロソルブ分散型コロイド状シリカのかわりにイソプロパノール分散型コロイド状シリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)50重量部を用いた他は例21と同じにして、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
[例24]
例23と同じイソプロパノール分散型コロイド状シリカを50重量部のかわりに100重量部用いた他は例21と同じにして、メルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液を得た。
[例25]
撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコに、イソプロパノール15g、酢酸ブチル15g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン500mg、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール300mg、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン200mg、およびレベリング剤(ビック・ケミー社製BYK306)200mgを加え溶解させた。
続いて、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート10gを加え、遮光しながら常温で1時間撹拌した。次に、この反応容器に例21で得たメルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液14.3gを加え、さらに0.5時間常温で撹拌して、被覆用組成物を得た。
厚さ3mmの透明な芳香族ポリカーボネート樹脂板(150mm×300mm)にバーコータを用いてこの被覆用組成物を塗工して塗膜を形成させ、80℃の熱風循環オーブン中で5分間放置した。そして、これを空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて3000mJ/cm(波長300〜390nm領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射し、膜厚7μmの硬化被膜を形成させた。このサンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
[例26]
例21で得た修飾コロイド状シリカ分散液のかわりに、例22で得た修飾コロイド状シリカ分散液を同量用いた他は例25と同じにして被覆用組成物を調製し、例25と同じ条件でサンプルを製造した。
[例27]
撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル7.5g、酢酸ブチル15g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン500mg、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール300mg、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン200mg、およびレベリング剤(ビック・ケミー社製BYK306)200mgを加え溶解させた。
続いて、トリス(2−ヒドロキシシエチル)イソシアヌレート−ε−カプロラクトン1分子付加物のトリアクリレート10gを加え、遮光しながら常温で1時間撹拌した。次に、この反応容器に例23で得たメルカプトシラン修飾コロイド状シリカ分散液28.6gを加え、さらに0.5時間常温で撹拌して、被覆用組成物を得た。
得られた被覆用組成物を用いて例25と同様にして芳香族ポリカーボネート樹脂板上に膜厚7μmの硬化被膜を形成させた。このサンプルを用いて各種物性の測定および評価を行った。
[例28]
例23で得た修飾コロイド状シリカ分散液のかわりに、例24で得た修飾コロイド状シリカ分散液を同量用いた他は例27と同じにして被覆用組成物を調製し、例27と同じ条件でサンプルを製造した。
[例29]
例27におけるイソシアヌレート系アクリレート10gの代わりに、同イソシアヌレート系アクリレート5gとウレタンアクリレートA5gとの混合物を用い、それ以外は例27と同じ組成の被覆用組成物を調製し、例27と同じ条件でサンプルを製造した。
[例30]
例25におけるトリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート10gの代わりに、同トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート5gとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート5gとの混合物を用い、それ以外は例25と同じ組成の被覆用組成物を調製し、例25と同じ条件でサンプルを製造した。
[例31]
例27におけるイソシアヌレート系アクリレート10gの代わりに、同イソシアヌレート系アクリレート1gとウレタンアクリレートA9gとの混合物を用い、それ以外は例27と同じ組成の被覆用組成物を調製し、例27と同じ条件でサンプルを製造した。
[例32]
例25におけるトリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート10gの代わりに、同トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート1gとジペンタエリスリトールヘキサアクリレート9gとの混合物を用い、それ以外は例25と同じ組成の被覆用組成物を調製し、例25と同じ条件でサンプルを製造した。
Figure 0003838242

Claims (7)

  1. 紫外線によって重合しうる重合性官能基を2以上有する多官能性化合物であって、かつその20重量%以上がペンタエリスリトールまたはポリペンタエリスリトールとアクリル酸またはメタクリル酸との水酸基を1以上残したポリエステルとポリイソシアネートを反応させて得られるアクリルウレタンである多官能性化合物(a)、メルカプト基を有する有機基と加水分解性基または水酸基とがケイ素原子に結合しているメルカプトシラン化合物で平均粒径1〜200nmのコロイド状シリカを表面修飾して得られる修飾コロイド状シリカ(b)、および、光重合開始剤(c)を含む紫外線硬化性の被覆用組成物であって、曲げ加工性を有する硬化塗膜が表面に形成された基材を得るための被覆用組成物
  2. 多官能性化合物(a)100重量部に対し、修飾コロイド状シリカ(b)を5〜300重量部、光重合開始剤(c)を0.01〜20重量部含む、請求項1記載の組成物。
  3. メルカプトシラン化合物が、下記式(1)で表される化合物である、請求項1または2記載の組成物。
    HS−R−SiX 3−n ・・・(1)
    ただし、式(1)においてRは2価の炭化水素基、Rは1価の炭化水素基、Xは水酸基または加水分解性基、nは1〜3の整数を表す。
  4. 修飾コロイド状シリカ(b)が、コロイド状シリカが分散した有機分散媒にメルカプトシラン化合物を添加して加水分解することにより得られるコロイド状シリカである、請求項1、2または3記載の組成物。
  5. 請求項1、2、3または4記載の組成物から得られる硬化物で表面が被覆された基材。
  6. 基材が芳香族ポリカーボネート樹脂の成形物である請求項5記載の基材。
  7. 請求項5または6記載の基材を熱曲げ加工することを特徴とする加工方法。
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