JP3988201B2 - 紫外線硬化型被覆剤組成物およびその用途 - Google Patents

紫外線硬化型被覆剤組成物およびその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐擦傷性、耐候性が良好であり、かつ密着性に優れた硬化被膜を与える紫外線硬化型被覆剤組成物、並びに該被覆用組成物をプラスチック成形品上で硬化させて硬化被膜を形成する耐擦傷性、耐候性、密着性に優れたプラスチック成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のプラスチック成形品は透明性、耐衝撃性、曲げ加工性等に優れており、近年無機ガラスの代替材料として種々の用途に用いられている。
【0003】
しかし、これらプラスチック成形品はガラスと比べた場合に表面特性に劣るため、耐擦傷性、耐溶剤性等に問題があり用途上の制限がある。また一般にプラスチックは耐候性に劣り、屋外使用時の黄変着色や表面劣化等が問題となりやすく、場合によってはそのままでは屋外での実用には耐えない。
【0004】
このような表面特性と耐候性上の問題点を改良するためにプラスチック成形品の表面に紫外線硬化樹脂被膜を形成する方法が従来より種々提案されている。例えば特開昭56−86847、特開昭56−12284、特開昭56−127635、特開昭56−141309などには、紫外線硬化型被覆剤組成物中に紫外線吸収剤を添加することにより耐候性を付与する方法が提示されている。また、紫外線吸収剤とともに光安定剤を添加してさらに耐候性の向上をはかることも特開昭64−45633等に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、耐候性改良に有効な充分な量の光安定剤を添加した場合には硬化被膜とプラスチック成形品表面との密着性が低下するという問題が生じやすい。密着性の低下は特に耐湿試験において加速され、耐湿試験後の密着性は著しく低くなる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、耐候性を向上させるために光安定剤を充分な量配合しても、初期密着性および耐湿密着性に優れ、かつ耐擦傷性も悪化させない硬化被膜を与える紫外線硬化型被覆剤組成物を開発すべく鋭意検討した結果、重合性光安定剤の使用により上述の問題点を解決しうることを見いだし、本発明を完成するに到った。本発明はこの紫外線硬化型被覆剤組成物およびそれが硬化した硬化被膜を有するプラスチック成形品にかかわる下記発明である。
【0007】
紫外線硬化性の重合性単量体(A)、重合性単量体(A)100重量部に対して0.1〜50重量部の紫外線吸収剤(B)、0.1〜20重量部の光重合開始剤(C)および0.1〜50重量部の光安定剤(D)を含む紫外線硬化型被覆剤組成物であって、重合性単量体(A)の20重量%以上がアクリロイル基またはメタクリロイル基から選ばれた重合性官能基を1分子中に2個以上有する多官能性重合性単量体(a−1)であり、光安定剤(D)の少なくとも一部がアクリロイル基またはメタクリロイル基から選ばれる重合性官能基を有する重合性光安定剤(d−1)であることを特徴とする紫外線硬化型被覆剤組成物。
【0008】
プラスチック成形品表面で上記の紫外線硬化型被覆剤組成物を紫外線照射して形成された厚さ1〜50μmの硬化被膜を有するプラスチック成形品。
【0009】
なお、上記本発明紫外線硬化型被覆剤組成物において、重合性光安定剤(d−1)は重合性単量体(A)の1種ともみなすことができるが、本発明では重合性光安定剤(d−1)は重合性単量体(A)の範疇に含まれないものとし、光安定剤(D)の範疇に含まれる成分とする。したがって、組成物中の成分の量的割合においても重合性光安定剤(d−1)は光安定剤(D)の量の一部〜全部を構成するものとする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明被覆剤組成物における紫外線硬化性の重合性単量体(A)[以下単量体(A)という]としては多官能性重合性単量体(a−1)以外のものであってもアクリロイル基またはメタクリロイル基から選ばれた重合性官能基を有することが好ましい。以下、この両重合性官能基を意味する用語として(メタ)アクリロイル基を使用する。(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等の用語も同様である。
【0011】
重合性官能基としては、重合性が高いこと、特に紫外線による重合性が高いこと、からアクリロイル基が好ましい。したがって、以下の(メタ)アクリロイル基を有する化合物において好ましいものはアクリロイル基を有する化合物である。同様に(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸等においてもアクリロイル基を有する化合物が好ましい。2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物1分子中において、重合性官能基が異なっていてもよい(すなわち、1個以上のアクリロイル基と1個以上のメタクリロイル基を含んでいてもよい)が、好ましくはすべての重合性官能基がアクリロイル基であるものである。
【0012】
単量体(A)のうち少なくとも一部は(メタ)アクリロイル基を1分子中に2個以上有する多官能性重合性単量体(a−1)[以下単量体(a−1)という]からなる。単量体(a−1)以外の単量体(A)としては、(メタ)アクリロイル基を1分子中に1個有する単官能性重合性単量体[以下単量体(a−2)という]や(メタ)アクリロイル基以外の紫外線硬化性の重合性官能基を1個以上有する化合物がある。
【0013】
しかし(メタ)アクリロイル基以外の紫外線硬化性の重合性官能基は紫外線硬化性が充分でないことが多くまた入手も容易でないことより、単量体(a−1)以外の単量体(A)としては、単量体(a−2)が好ましい。したがって、単量体(A)としては単量体(a−1)を含め実質的にすべて(メタ)アクリロイル基を有する化合物の1種以上からなることが好ましい。以下、単量体(a−1)を含め単量体(A)はすべて(メタ)アクリロイル基を有する化合物であるものとして説明する。
【0014】
単量体(A)としては、(メタ)アクリロイル基以外に種々の官能基や結合を有する化合物であってもよい。例えば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、ウレタン結合、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合、アミド結合などを有していてもよい。特に、ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル基含有化合物(以下アクリルウレタンという)とウレタン結合を有しない(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。
【0015】
単量体(a−2)は通常ウレタン結合を有しない化合物である。しかし単量体(a−2)はウレタン結合を有しない化合物に限られるものではない。一方、単量体(a−1)はウレタン結合を有していても有していなくてもよい。単量体(a−1)1分子あたり平均の(メタ)アクリロイル基の数は、特に限定されないが、2〜50個、特に2〜30個が好ましい。
【0016】
アクリルウレタンは、(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物およびイソシアネート基を有する化合物の反応、(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基を有する化合物および(メタ)アクリロイル基を有しない水酸基を有する化合物(以下水酸基含有化合物という)の反応、または、(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物、2個以上のイソシアネート基を有する化合物、および水酸基含有化合物の反応、などにより得られる。
【0017】
これら化合物における(メタ)アクリロイル基、水酸基およびイソシアネート基はそれぞれ1分子中に2以上存在していてもよい。これら化合物の1分子中の官能基の数を選択しまたは反応分子数を調整して反応させることなどにより、(メタ)アクリロイル基を1個以上有するアクリルウレタンが得られる。これらの反応により得られるアクリルウレタンにおいては、イソシアネート基が存在しないことが好ましい。しかし、水酸基は存在してもよい。したがって、これらのアクリルウレタンの製造においては、全反応原料の水酸基の合計数はイソシアネート基の数と等しいかそれより多いことが好ましい。
【0018】
(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物[以下化合物(x)という]としては、1個の(メタ)アクリロイル基と1個の水酸基を有する化合物、2個以上の(メタ)アクリロイル基と1個の水酸基を有する化合物、1個の(メタ)アクリロイル基と2個以上の水酸基を有する化合物、2個以上の(メタ)アクリロイル基と2個以上の水酸基を有する化合物、などがある。イソシアネート基を有する化合物としては1個のイソシアネート基を有する化合物と2個以上のイソシアネート基を有する化合物がある。
【0019】
アクリルウレタンの原料としては2個以上のイソシアネート基を有する化合物(以下ポリイソシアネートという)が好ましい。(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基を有する化合物としては、1個の(メタ)アクリロイル基と1個のイソシアネート基を有する化合物が好ましい。水酸基含有化合物としては、1個の水酸基を有する化合物と2個以上の水酸基を有する化合物がある。アクリルウレタンの原料としては2個以上の水酸基を有する化合物が好ましい。以下特に言及しないかぎり、水酸基含有化合物((メタ)アクリロイル基を有しないもの)とは2個以上の水酸基を有する化合物をいう。
【0020】
アクリルウレタンは、化合物(x)とポリイソシアネートとの反応により、また化合物(x)とポリイソシアネートと水酸基含有化合物との反応により得られるものが好ましい。後者の場合、化合物(x)と水酸基含有化合物は同時にポリイソシアネートと反応させてもよく、いずれか一方とまず反応させてイソシアネート基を有する反応生成物を製造しその後に他方と反応させてもよい。
【0021】
例えば、水酸基含有化合物とポリイソシアネートとをあらかじめ反応させて得られるイソシアネート基含有反応生成物はポリイソシアネートの1種とみなすことができ、これと化合物(x)を反応させてアクリルウレタンが得られる。また、化合物(x)とそれに対して過剰当量のポリイソシアネートをあらかじめ反応させて得られる1個以上のイソシアネート基を有する化合物と水酸基含有化合物とを反応させてもアクリルウレタンが得られる。
【0022】
アクリルウレタンは、また前記のように(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基を有する化合物と水酸基含有化合物との反応により得られる。この(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基を有する化合物は、上記の化合物(x)とそれに対して過剰当量のポリイソシアネートをあらかじめ反応させて得られる1個以上のイソシアネート基を有する化合物であってもよい。それ以外の化合物としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレートやメタクリロイルイソシアネートなどがある。
【0023】
2個以上の水酸基を有する化合物(x)を使用する場合、それとポリイソシアネートを反応させると重合体が生成し、高分子量の反応生成物が生成しやすい。しかし、あまりに高い分子量の反応生成物は、粘度が高すぎる、溶解性が低い、などの問題が生じるおそれがあり、このため、水酸基を残した反応生成物としたり過剰のイソシアネート基を1価アルコールでブロックするなどの方法で所望の分子量や所望の(メタ)アクリロイル基数の反応生成物とすることが好ましい。したがって、アクリルウレタンの原料としては1個の水酸基を有する化合物(x)が好ましい。
【0024】
化合物(x)の具体例としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなどがある。これらは2以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのモノエステルまたは1個以上の水酸基を残したポリエステルである。1個の水酸基を有する化合物(x)としては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物でもよく、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物でもよい。
【0025】
さらに化合物(x)としては、エポキシ基を1個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸との開環反応生成物でもよい。エポキシ基と(メタ)アクリル酸との反応によりエポキシ基が開環してエステル結合が生じるとともに水酸基が生じ、(メタ)アクリロイル基と水酸基を有する化合物となる。またエポキシ基を1個以上有する化合物のエポキシ基を開環させて水酸基含有化合物としそれを(メタ)アクリル酸エステルに変換することもできる。
【0026】
エポキシ基を1個以上有する化合物としては、いわゆるエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドが好ましい。ポリエポキシドとしては、例えば多価フェノール類−ポリグリシジルエーテル(例えばビスフェノールA−ジグリシジルエーテル)などのグリシジル基を2個以上有する化合物や脂環式エポキシ化合物が好ましい。さらに、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートと水酸基やカルボキシル基を有する化合物との反応生成物も化合物(x)として使用できる。エポキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレートがある。
【0027】
化合物(x)の上記以外の具体例としては、例えば以下の化合物がある。
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ブテン−1,4−ジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(ないしペンタ)(メタ)アクリレート、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸2分子付加物。
【0028】
ポリイソシアネートとしては、通常の単量体状のポリイソシアネートでもよく、ポリイソシアネートの多量体や変性体またはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーなどのプレポリマー状の化合物でもよい。多量体としては3量体(イソシアヌレート変性体)、2量体、カルボジイミド変性体などがあり、変性体としてはトリメチロールプロパン等の多価アルコールで変性して得られるウレタン変性体、ビュレット変性体、アロハネート変性体、ウレア変性体などがある。プレポリマー状のものの例としては、後述ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールなどのポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーなどがある。このうち3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートとしては、3量体(イソシアヌレート変性体)や3価以上の多価アルコールやポリオールで変性して得られるウレタン変性体などがある。これらポリイソシアネートは2種以上併用して使用できる。
【0029】
具体的な単量体状のポリイソシアネートとしては、例えば、以下のポリイソシアネートがある([ ]内は略称)。
2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルイソシアネート)[MDI]、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、t−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート[XDI]、水添XDI、水添MDI、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネートなど。
【0030】
ポリイソシアネートとしては特に無黄変性ポリイソシアネート(芳香核に直接結合したイソシアネート基を有しないポリイソシアネート)が好ましい。具体的にはヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートがある。上記のようにこれらポリイソシアネートの多量体や変性体等も好ましい。
【0031】
2以上の水酸基を有する水酸基含有化合物としては、多価アルコールや多価アルコールに比較して高分子量のポリオール、水酸基含有ビニルポリマーなどがある。これら水酸基含有化合物は2種以上併用できる。
【0032】
多価アルコールとしては、2〜8個の水酸基を有する多価アルコール、特に2〜6個の水酸基を有する多価アルコール、が好ましい。多価アルコールは脂肪族の多価アルコールでもよく、脂環族多価アルコールや芳香核を有する多価アルコールでもよい。芳香核を有する多価アルコールとしては、例えば、多価フェノール類のアルキレンオキシド付加物、および多価フェノール類−ポリグリシジルエーテルなどの芳香核を有するポリエポキシドの開環物などがある。
【0033】
高分子量のポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどがある。
【0034】
また、水酸基含有ビニルポリマーとしては、例えばアリルアルコール、ビニルアルコール、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有単量体とオレフィンなどの水酸基不含単量体との共重合体がある。
【0035】
多価アルコールの具体例としては例えば以下の多価アルコールがある。
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2,4ートリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキサン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールA−エチレンオキシド2分子付加物、ビスフェノールA−プロピレンオキシド2分子付加物、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルの開環物、ビニルシクロヘキセンジオキシドの開環物。
【0036】
高分子量のポリオールの具体例としては例えば以下のポリオールがある。
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、上記のような多価アルコールにプロピレンオキシドやエチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを付加して得られる高分子量のポリエーテルポリオール、ビスフェノールA−アルキレンオキシド付加物などの多価フェノール類にアルキレンオキシドを付加して得られる高分子量のポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール。ポリブタジエンジオール、水添ポリブタジエンジオール等の脂肪族ポリオール。ポリε−カプロラクトンポリオール。アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、アゼライン酸、グルタル酸等の多塩基酸と上記多価アルコールとの反応で得られるポリエステルポリオール。1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコールとホスゲンの反応で得られるポリカーボネートジオール。
【0037】
2以上のエポキシ基を有する化合物としてはエポキシ樹脂と呼ばれているポリエポキシドがある。例えば、グリシジルエーテル型ポリエポキシド、脂環型ポリエポキシドなどのエポキシ樹脂として市販されているものを使用できる。
【0038】
具体的には例えば以下のようなポリエポキシドがある。
ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ノボラックポリグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド。
【0039】
(メタ)アクリロイル基を2個以上有するアクリルウレタンは、例えば、化合物(x)とポリイソシアネートを反応させて得られる。化合物(x)が(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物であっても化合物(x)の2分子以上がポリイソシアネート1分子以上と反応することより、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するアクリルウレタンが生成する。
【0040】
化合物(x)は実際上は種々の化合物の混合物である場合がある。例えば、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイル基を0〜6個有する化合物の混合物である場合が多い。1分子あたり平均の(メタ)アクリロイル基の数が比較的多い(例えば3〜5)このポリ(メタ)アクリレートをそれに対して等当量以下のポリイソシアネートと反応させてアクリルウレタンを主成分とする混合物を得ることができる。(メタ)アクリロイル基を0個有する化合物(すなわち、ジペンタエリスリトール)は上記水酸基含有化合物であり、また(メタ)アクリロイル基を6個有する化合物はそれ自身単量体(a−1)の1種である。
【0041】
本発明における単量体(a−1)として好ましいアクリルウレタンは、水酸基含有(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートとポリイソシアネートの反応生成物が好ましい。(ポリ)ペンタエリスリトールとは、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールのようなペンタエリスリトール多量体、またはそれらを主成分とする混合物をいい、その平均の多量化度は約1〜4、特に約1.5〜3が好ましい。
【0042】
そのポリ(メタ)アクリレートとしては2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するエステルであり、1分子あたり平均約3〜6個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。ただし、この(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは1分子あたり平均して約1個以上の水酸基を有する。また、反応生成物であるこのアクリルウレタンにおける1分子あたり平均の(メタ)アクリロイル基の数は4個以上、特に8〜20個が好ましい。
【0043】
ウレタン結合を含まない単量体(a−1)としては水酸基含有化合物の(メタ)アクリレートやポリエポキシドの(メタ)アクリル酸付加物が好ましい。水酸基含有化合物としては前記のような多価アルコールや高分子量ポリオールなどがある。ウレタン結合を含まない単量体(a−1)の具体例としては例えば以下のような化合物がある。
【0044】
以下の脂肪族多価アルコールの(メタ)アクリレート。1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、炭素数14〜15の長鎖脂肪族ジオールのジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールとトリメチロールプロパンとの縮合物からなるジオールのジ(メタ)アクリレート。
【0045】
以下の芳香核またはトリアジン環を有する多価アルコールや多価フェノールの(メタ)アクリレート。ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールA、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールS、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ビスフェノールF、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート。
【0046】
以下の水酸基含有化合物−アルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、水酸基含有化合物−カプロラクトン付加物の(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンポリオールの(メタ)アクリレート。以下において、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシドを表し、[ ]内はポリオキシアルキレンポリオールの分子量を表す。トリメチロールプロパン−EO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−PO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール−カプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−EO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−PO付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール[200〜1000]ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール[200〜1000]ジ(メタ)アクリレート。
【0047】
下記(メタ)アクリロイル基を有するカルボン酸エステルやリン酸エステル。ビス(アクリロイルオキシネオペンチルグリコール)アジペート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート。
【0048】
下記ポリエポキシドの(メタ)アクリル酸付加物(ただし、ポリエポキシドのエポキシ基1個あたり1分子の(メタ)アクリル酸が付加したもの)、およびグリシジル(メタ)アクリレートと多価アルコールもしくは多価カルボン酸との反応生成物(ただし、多価アルコール等の1分子あたりグリシジル(メタ)アクリレート2分子以上反応したもの)。ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物、ジシクロペンタジエンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物、グリシジル(メタ)アクリレートとエチレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとプロピレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとジエチレングリコールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートと1,6−ヘキサンジオールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとグリセロールの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとトリメチロールプロパンの反応生成物、グリシジル(メタ)アクリレートとフタル酸の反応生成物。
【0049】
上記のような(メタ)アクリレート類でかつ未反応の水酸基を有している化合物のアルキルエーテル化物、アルケニルエーテル化物、カルボン酸エステル化物など(以下、変性ともいう)で、下記のような化合物。アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のアリルエーテル化物、ビニルシクロヘキセンジオキシド−(メタ)アクリル酸付加物のメチルエーテル化物、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート。
【0050】
ウレタン結合を含まず2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するポリエステルである単量体(a−1)として好ましいものは、前記したような(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、および水酸基含有イソシアヌレート系化合物のポリ(メタ)アクリレートである。この(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは1分子あたり平均2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物であり、また水酸基は有していても有していなくてもよい。この(ポリ)ペンタエリスリトール部分の多量化度は約1〜4、特に1.5〜3が好ましい。さらに好ましい(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、(ポリ)ペンタエリスリトールの実質的にすべての水酸基が(メタ)アクリロイルオキシ基に変換された(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートである。
【0051】
水酸基含有イソシアヌレート系化合物のポリ(メタ)アクリレートとは、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート、または、そのアルキレンオキシド付加物、そのカプロラクトン付加物などのトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート誘導体から選ばれる2以上の水酸基を有する化合物のポリ(メタ)アクリレートをいう。トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートとしては、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとトリス(2−ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートが好ましい。そのポリ(メタ)アクリレートとしては、トリ(メタ)アクリレートが好ましい。最も好ましい化合物は、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートとトリス(2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレートである。
【0052】
単量体(a−2)である単官能性重合性単量体としては、水酸基、エポキシ基などの官能基を有していてもよい。好ましい単官能性化合物は(メタ)アクリル酸エステル、すなわち(メタ)アクリレートである。
【0053】
具体的な単官能性化合物としては例えば以下の化合物がある。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物。
【0054】
本発明被覆剤組成物において、単量体(a−1)は2種以上を併用することが好ましい場合が多い。そのうち1種以上の単量体(a−1)は(メタ)アクリロイル基を2〜3個有する化合物であり、他の1種以上はそれに比較して多数の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。前者の単量体(a−1)は(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物が好ましい。この(メタ)アクリロイル基の少ない単量体(a−1)は被覆剤組成物の硬化被膜に熱曲げ加工性(この硬化被膜を表面に有するプラスチック成形品を熱曲げ加工することが可能となる性質)を付与するなど硬化被膜があまりに硬く脆くなることを抑制する性質を有する。また、単量体(a−1)として1種のみ使用する場合は(メタ)アクリロイル基を3個有する化合物が好ましい。この化合物は単独で上記特性を発揮しうる場合がある。
【0055】
したがって、硬化被膜に熱曲げ加工性を要求される場合などではある量以上のこの(メタ)アクリロイル基の少ない(特に2個の(メタ)アクリロイル基を有する)単量体(a−1)を使用することが好ましい。相対的に多数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体(a−1)は硬化被膜に高い耐擦傷性を与える性質を有し通常の被覆剤組成物においてある量以上(例えば全単量体(a−1)の30重量%以上)使用されることが好ましい。また、単量体(a−1)として実質的に(メタ)アクリロイル基を3個有する化合物のみを使用する場合は、特に水酸基含有イソシアヌレート系化合物のトリ(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
【0056】
本発明被覆剤組成物において、単量体(A)中における単量体(a−1)の合計の割合は20〜100重量%、特に50〜100重量%、さらには70〜100重量%が好ましい。単量体(a−1)の割合がこれより少ないと耐擦傷性が不充分となるおそれがある。
【0057】
本発明組成物は紫外線吸収剤(B)を単量体(A)100重量部に対して0.1〜50重量部含有する。紫外線吸収剤(B)の量が0.1重量部未満では硬化被膜の耐候性のみならず基材であるプラスチック成形品自体の耐候性も不充分となるおそれが大きい。また、50重量部を超えると紫外線吸収剤が硬化被膜表面にブリードしやすくなり、また本発明組成物の硬化性の低下を招きやすい。より好ましい紫外線吸収剤(B)の使用量は単量体(A)100重量部に対して1〜20重量部である。
【0058】
紫外線吸収剤(B)としては、種々の紫外線吸収剤を使用でき、例えば市販されているような公知〜周知の紫外線吸収剤を使用できる。そのような紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、フェニルトリアジン系紫外線吸収剤などがある。また、紫外線吸収剤(B)の一部〜全部として重合性紫外線吸収剤を使用することもできる。重合性紫外線吸収剤の使用は組成物中に比較的多量の紫外線吸収剤を配合しても紫外線吸収剤の表面へのブリードや耐擦傷性等の著しい低下を伴わないという効果が発揮される。
【0059】
重合性紫外線吸収剤としては、後述の重合性光安定剤と同様(メタ)アクリロイル基と紫外線吸収能を有する骨格とを有する化合物が好ましい。特に、紫外線吸収能を有する骨格としてベンゾトリアゾール骨格またはベンゾフェノン骨格を有し、(メタ)アクリロイル基を有する有機基がこれら骨格に結合した構造を有する化合物が重合性紫外線吸収剤として好ましい。
【0060】
なお、本発明組成物において、重合性光安定剤と同様にこの重合性紫外線吸収剤は重合性単量体(A)の1種ともみなすことができるが、本発明では重合性紫外線吸収剤は重合性単量体(A)の範疇に含まれないものとし、紫外線吸収剤(B)の範疇に含まれる成分とする。
【0061】
以下に紫外線吸収剤(B)の具体例を挙げるがこれらのみに限られるものではない。
オクチル 3−{3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル}プロピオネート、2−(3,5−ジーt−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、p−t−ブチルフェニルサリシレート。
【0062】
2−{2−ヒドロキシ−5−((メタ)アクリロイルオキシ)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−{2−ヒドロキシ−3−メチル−5−((メタ)アクリロイルオキシ)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−{2−ヒドロキシ−5−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−{2−ヒドロキシ−5−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)フェニル}ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ−4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン。
【0063】
本発明組成物は光重合開始剤(C)を単量体(A)100重量部に対して0.1〜20重量部含有する。光重合開始剤(C)の量が0.1重量部未満では硬化性が不充分となるおそれが大きく、また、20重量部を超えると耐候性が不充分となるおそれがある。より好ましい光重合開始剤(C)の使用量は単量体(A)100重量部に対して0.2〜10重量部である。
【0064】
光重合開始剤(C)としては、アリールケトン系光重合開始剤(例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエステル類など)、含硫黄系光重合開始剤(例えば、スルフィド類、チオキサントン類など)、アシルホスフィンオキシド類(例えばアシルジアリールホスフィンオキシドなど)、その他の光重合開始剤がある。光重合開始剤は2種以上併用できる。また、光重合開始剤はアミン類などの光増感剤と組み合わせても使用できる。具体的な光重合開始剤としては、例えば以下のような化合物があるがこれらのみに限定されるものではない。
【0065】
4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルホリノプロパン−1−オン。
【0066】
ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアントラキノン、4’,4”−ジエチルイソフタロフェノン、α−アシロキシムエステル、メチルフェニルグリオキシレート。
【0067】
4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド。
【0068】
本発明組成物は光安定剤(D)を単量体(A)100重量部に対して0.1〜50重量部含有する。かつ、その光安定剤(D)の一部〜全部は重合性光安定剤(d−1)からなる。光安定剤(D)の量が少ない場合は通常その全量が重合性光安定剤(d−1)からなる。すなわち、単量体(A)100重量部に対し重合性光安定剤(d−1)は0.1重量部以上使用することが望ましい。好ましくは単量体(A)100重量部に対し重合性光安定剤(d−1)は1重量部以上使用する。その上限は50重量部であるが、30重量部を上限とすることが好ましい。重合性光安定剤(d−1)を使用することにより、同量の非重合性の光安定剤を使用した場合に比較して硬化被膜のプラスチック成形品表面に対する密着性、特に耐湿密着性が著しく向上する。
【0069】
光安定剤(D)として重合性光安定剤(d−1)以外の非重合性の光安定剤を併用しうるが、これを多量に使用することは好ましくない。多く使用するとしても単量体(A)100重量部に対して20重量部以下(特に10重量部以下)が好ましい。重合性光安定剤(d−1)以外の光安定剤の割合は、特に限定されないが、全光安定剤(D)中0〜80重量%、特に0〜50重量%が好ましい。
【0070】
本発明における重合性光安定剤(d−1)は(メタ)アクリロイル基とヒンダードアミン骨格を有する化合物である。ヒンダードアミン骨格としては2位と6位にそれぞれ1〜2個のアルキル基を有するピペリジン骨格あるいはピペラジン骨格が好ましく、特にピペリジン骨格が好ましい。このヒンダードアミン骨格の1位、3位、4位、5位のいずれか1つの位置にまたはそれらの2以上の位置に(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイル基を有する有機基(以下(メタ)アクリロイル含有基という)を有する化合物が重合性光安定剤(d−1)として好ましい。特に、2位と6位にそれぞれ2個のアルキル基(炭素数4以下のものが好ましい)を有し、かつ1位または4位のいずれかに上記重合性基を有する化合物が好ましい。1位、3位、4位、5位のうち(メタ)アクリロイル含有基が結合した位置以外の位置にはアルキル基(炭素数6以下が好ましい)などの置換基を有していてもよい。
【0071】
(メタ)アクリロイル含有基としては(メタ)アクリロイルオキシ基または下記式(1)で表される有機基であることが好ましい。
【0072】
【化1】
−X1 −R1 −X2 −CO−CR=CH2 ・・・(1)
【0073】
式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、X1 は酸素原子、−OCH2 CH(OH)−または結合手を表し、R1 は2価の炭化水素基を表し、X2 は酸素原子、、−NH−、または−CH(OH)CH2 O−を表す。好ましくは、Rは水素原子、X1 は酸素原子または結合手、R1 は炭素数1〜6のアルキレン基、X2 は酸素原子である。
【0074】
重合性光安定剤(d−1)として最も好ましい化合物は、1位にアルキル基などの置換基を有していてもよい、4位に(メタ)アクリロイルオキシ基または(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を有する2,2,6,6−テトラメチルピペリジンである。
【0075】
具体的な重合性光安定剤(d−1)としては、例えば以下のような化合物があるがこれらのみに限定されるものではない。
4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、1−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン。
【0076】
重合性光安定剤(d−1)以外の光安定剤(D)としては、前記ヒンダードアミン骨格を有し、重合性官能基を有しない化合物がある。このような光安定剤としては種々の光安定剤を使用でき、例えば市販されているような公知〜周知の光安定剤を使用できる。そのような光安定剤としては具体的には例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバセート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバセート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などがある。
【0077】
本発明の被覆剤組成物には、必要に応じて酸化防止剤や熱重合防止剤などの安定剤類、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、顔料分散剤、帯電防止剤、防曇剤などの界面活性剤類、近赤外線吸収剤、その他の添加剤を適宜配合して用いてもよい。
【0078】
さらに、硬化被膜の耐擦傷性をより向上させる目的で被覆剤組成物にコロイダルシリカ(E)を配合してもよい。コロイダルシリカ(E)は、分散媒中にコロイド状に分散した無水ケイ酸の超微粒子であり、分散媒は特に限定されないが、通常、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコールのような低級アルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が使用される。コロイダルシリカ(E)の平均粒径は通常1〜1000nm程度であり、特に限定されないが、好ましくは平均粒径1〜200nm、特に好ましくは平均粒径1〜50nmである。
【0079】
またコロイダルシリカ(E)は分散安定性を向上させるために粒子表面を加水分解性シラン化合物の加水分解物で修飾して使用することもできる。ここで「加水分解物で表面が修飾された」とは、コロイダルシリカ粒子の表面の一部または全部のシラノール基にシラン化合物の加水分解物が保持された状態にあり、これにより表面特性が改質されていることを意味する。なお、加水分解物の縮合反応が進んだものが同様に保持されているシリカ粒子も含まれる。この表面修飾はシリカ粒子存在下にシラン化合物の加水分解性基の一部または全部の加水分解、または加水分解と縮合反応を生じせしめることにより容易に行いうる。
【0080】
加水分解性シラン化合物としては、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基などの官能性基を有する有機基とアルコキシ基などの加水分解性基とがケイ素原子に結合しているシラン化合物が好ましい。例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどがある。
【0081】
コロイダルシリカ(E)を配合する場合、その配合量(固形分)は単量体(A)100重量部に対し500重量部以下、特に300重量部以下が好ましい。コロイダルシリカ(E)を配合する場合、単量体(A)100重量部に対し0.1重量部以上配合することにより、その配合した効果が発揮される。
【0082】
さらに本発明においては、被膜の塗工性やプラスチック成形品との密着性を向上させる目的で被覆剤組成物に有機溶剤を配合してもよい。有機溶剤としては、単量体(A)、紫外線吸収剤(B)、光重合開始剤(C)、光安定剤(D)、その他の添加剤の溶解性に問題がなければ特に限定されず、上記性能を満足させるものであればよい。また2種以上の有機溶剤を併用できる。有機溶剤の使用量は、単量体(A)に対して100倍重量以下、特に50倍重量以下が適当である。
【0083】
有機溶剤としては例えば低級アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類などの有機溶剤がある。そのほか、n−ブチルアセテート、ジエチレングリコールモノアセテートなどのエステル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類なども使用できる。本発明の被覆剤組成物は耐溶剤性の低い芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の被覆用にも用いられることより、芳香族ポリカーボネート樹脂に対する溶解性の低い溶剤を用いることが好ましく、この意味では低級アルコール類、セロソルブ類、エステル類、それらの混合物などが適当である。
【0084】
本発明の被覆用組成物は、プラスチック成形品にディッピング法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法等の方法で塗布し、有機溶剤を含む組成物の場合は乾燥した後、紫外線を照射して硬化させる。
【0085】
紫外線源としてはキセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等が使用できる。照射時間は、単量体(A)の種類、光安定剤(D)の種類、光重合開始剤(C)の種類、被膜厚、紫外線源等の条件により適宜変えうる。通常は1〜60秒照射することにより目的が達成される。さらに硬化反応を完結させる目的で、紫外線照射後加熱処理することもできる。
【0086】
硬化被膜の厚さは、所望により種々の厚さを採用できる。通常は1〜50μmの厚さの硬化被膜、好ましくは2〜20μmの厚さの硬化被膜を形成することが好ましい。硬化被膜の厚さが1μm未満では耐摩耗性や耐候性が不充分となりやすい。厚さが50μm超では被膜深部の硬化が不充分となるおそれがあり、熱曲げ加工性も低下する。最も好ましい硬化被膜の厚さは3〜10μmである。
【0087】
プラスチック成形品の材質としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、MS樹脂等がある。特にこのなかで、芳香族ポリカーボネート樹脂とポリメチルメタクリレート樹脂が耐候性改良の要求性が高いことより本発明の目的に合致し、プラスチック成形品の材質として最適である。
【0088】
【実施例】
以下、本発明を実施例(例1〜3、6)および比較例(例4、5)に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例、比較例についての各種物性の測定および評価は以下に示す方法で行った。また、使用した原料化合物を以下に示す。
【0089】
「耐擦傷性」
テーバー磨耗試験法により、2つのCS−10F磨耗輪にそれぞれ500gの重りを組み合わせ100回転させたときの曇価をヘーズメータにて測定した。なお、曇価(ヘーズ)の測定は磨耗サイクル軌道の4カ所で行い、平均値を算出した。初期曇価は磨耗試験前の曇価の値(%)を、耐擦傷性(ΔH)は(磨耗試験後曇価)−(磨耗試験前曇価)の値(%)で示す。
【0090】
「耐候性」
サンシャインウエザーメータを用いてブラックパネル温度63℃で、降雨12分、乾燥48分のサイクルで1000時間暴露後、外観の変化を評価した。
【0091】
「密着性」
試験前の(初期)サンプル、および60℃、湿度95%の雰囲気で7日間保存した(耐湿試験後)サンプルについて、硬化被膜表面に剃刀で縦、横それぞれ1mm間隔で11本の傷を入れ100個のます目を形成し、25mm幅のセロハン粘着テープ(ニチバン(株)販売)をます目上に密着させて貼りつけ、次いで上方に急激に剥した。密着性は、(残存ます目)/100の数値で表した。
【0092】
「原料化合物」
1)単量体(A)
AE−1:水酸基含有ジペンタエリスリトールポリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートを反応させて得られた1分子あたりの平均アクリロイル基数が15で分子量2300のアクリルウレタン。
AE−2:ビスフェノールA−エチレンオキシド2分子付加物1モルとヘキサメチレンジイソシアネート2モルと2−ヒドロキシエチルアクリレート2モルの反応生成物である分子量1000の2官能性アクリルウレタン。
AE−3:トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート。
【0093】
2)紫外線吸収剤(B)
UV−1:2−{2−ヒドロキシ−5−(2−アクリロイルオキシエチル)フェニル}ベンゾトリアゾール。
UV−2:2−(3,5−ジーt−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール。
【0094】
3)光重合開始剤(C)
LK−1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン。
4)光安定剤(D)
LS−1:4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン。
LS−2:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバセート。
【0095】
5)コロイダルシリカ
CSi−1:エチルセロソルブ分散型コロイダルシリカ(シリカ含量30重量%、平均粒径11nm)50重量部に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン5重量部と0. 01N塩酸1. 5重量部を加え40℃にて4時間加熱撹拌した後、12時間室温下で熟成して得られた、メルカプトシランの加水分解縮合縮合物を表面に有するコロイダルシリカ。
【0096】
[例1]
撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコにイソプロピルアルコール60重量部、酢酸ブチル60重量部、エチルセロソルブ30重量部、UV−1の5重量部、LK−1の1.5重量部、およびLS−1の1重量部を加え溶解させた。続いてこれにAE−1を60重量部とAE−2を40重量部加え被覆剤組成物を得た。
【0097】
この被覆剤組成物を厚さ3mmの透明芳香族ポリカーボネート樹脂板に塗工して被膜を形成させ、80℃の熱風循環オーブン中で5分間放置した。次に、この樹脂板を空気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて3000mJ/cm2 (波長300〜390nm領域の紫外線積算エネルギー量)の紫外線を照射し、膜厚7μmの硬化被膜を形成させた。そして、先に挙げた耐擦傷性、耐候性、密着性の項目について評価した。結果を表2に示す。
【0098】
[例2〜5]
例1の被覆剤組成物中の単量体(A)、紫外線吸収剤(B)、光安定剤(D)を表1記載の種類と量に変更する以外は例1の被覆剤組成物と同じ組成の被覆剤組成物を製造し、被覆剤組成物を用いて例1と同じサンプルを製造して耐擦傷性、耐候性、密着性の項目について評価した。結果を表2に示す。
【0099】
【表1】
Figure 0003988201
【0100】
[例6]
撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコにイソプロピルアルコール60重量部、酢酸ブチル60重量部、エチルセロソルブ30重量部、LK−1の5重量部、UV−1の3重量部、およびLS−1の1重量部を加え溶解させた。続いてこれにAE−1を100重量部加え1時間撹拌し、次いでCSi−1を150重量部加えて更に0.5時間撹拌して被覆剤組成物を得た。
【0101】
得られた被覆剤組成物を用いて例1と同じサンプルを製造して耐擦傷性、耐候性、密着性の項目について評価した。結果を表2に示す。
【0102】
【表2】
Figure 0003988201
【0103】
【発明の効果】
特定の重合性光安定剤を含有する本発明被覆剤組成物を架橋硬化させた被膜は、優れた耐擦傷性、耐候性、密着性を発揮しうる。

Claims (3)

  1. 紫外線硬化性の重合性単量体(A)、重合性単量体(A)100重量部に対して0.1〜50重量部の紫外線吸収剤(B)、0.1〜20重量部の光重合開始剤(C)および0.1〜50重量部の光安定剤(D)を含む紫外線硬化型被覆剤組成物であって、重合性単量体(A)の20重量%以上がアクリロイル基またはメタクリロイル基から選ばれた重合性官能基を1分子中に2個以上有する多官能性重合性単量体(a−1)であり、光安定剤(D)の少なくとも一部がアクリロイル基またはメタクリロイル基から選ばれる重合性官能基を有する重合性光安定剤(d−1)であることを特徴とする紫外線硬化型被覆剤組成物。
  2. 重合性単量体(A)100重量部に対して0.1〜500重量部のコロイダルシリカ(E)をさらに含む、請求項1記載の被覆剤組成物。
  3. プラスチック成形品表面で請求項1または2記載の紫外線硬化型被覆剤組成物を紫外線照射して形成された厚さ1〜50μmの硬化被膜を有するプラスチック成形品。
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