JP2012171193A - 耐候性シート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材シート、表面保護層A、及び表面保護層Bを順に有し、該表面保護層Aが電離放射線硬化性樹脂A、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Aの硬化物からなり、該表面保護層Bが電離放射線硬化性樹脂B、反応性官能基αを有する紫外線吸収剤及び反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Bの硬化物からなり、該表面保護層Bの厚さが10μm以上である耐候性シートである。
【選択図】図1
Description
2.下記の工程を順に有する耐候性シートの製造方法。
工程(1A):基材シート上に表面保護層A、及び表面保護層Bを順に有し、該表面保護層Aが電離放射線硬化性樹脂A、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Aを塗布する工程
工程(2A):電離放射線硬化性樹脂組成物Aの未硬化樹脂層上に、電離放射線硬化性樹脂B、反応性官能基αを有する紫外線吸収剤及び反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Bを塗布する工程
工程(3A):電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物A及び電離放射線硬化性樹脂組成物Bを硬化させて、各々表面保護層A及び表面保護層Bを形成する工程
3.下記の工程を順に有する耐候性シートの製造方法。
工程(1B):基材シート上に、表面保護層A、及び表面保護層Bを順に有し、該表面保護層Aが電離放射線硬化性樹脂A、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物A、及び電離放射線硬化性樹脂B、反応性官能基αを有する紫外線吸収剤及び反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Bを同時に塗布する工程
工程(2B):電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物A及び電離放射線硬化性樹脂組成物Bを硬化させて、各々表面保護層A及び表面保護層Bを形成する工程
本発明の耐候性シートは、基材シート、表面保護層A、及び表面保護層Bを順に有し、該表面保護層Aが電離放射線硬化性樹脂A、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Aの硬化物からなり、該表面保護層Bが電離放射線硬化性樹脂B、反応性官能基αを有する紫外線吸収剤及び反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Bの硬化物からなり、該表面保護層Bの厚さが10μm以上であることを特徴とするものである。図1は、本発明の耐候性シートの態様の一つについて、その断面を示す模式図である。図1に示す態様は、基材シート2、表面保護層A及び表面保護層Bが順に積層する構成を有するものである。
本発明のコーティングフィルムで用いられる基材シートとしては、プラスチックシートが好ましく、ポリオレフィン樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂などからなるものが好ましく挙げられる。なかでも、可視光透過性や作業性などを考慮すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーなどのポリオレフィン樹脂、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などのセルロース樹脂などからなる基材シートが好ましい。
本発明で用いられる基材シートは、耐候性を向上させる目的で、紫外線吸収剤を好ましく含有することができる。紫外線吸収剤としては、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、サリチレート系、アクリロニトリル系などが好ましく挙げられる。なかでも、紫外線吸収能が高く、また紫外線などの高エネルギーに対しても劣化しにくい、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系、及びベンゾフェノン系がより好ましい。
また、基材シートは、該基材シートと表面保護層Aとの層間密着性や、各種の被着材との接着性の強化などのためのプライマー層や、裏面プライマー層を形成するなどの処理を施してもよい。プライマー層の形成に用いられる材料としては特に限定されず、アクリル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂などが挙げられる。なお、裏面プライマー層に用いられる材料は被着材によって、適宜選択される。
また、本発明の耐候性シートの性能を阻害しない範囲内であれば、用途によっては、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
表面保護層Aは、電離放射線硬化性樹脂A、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Aの硬化物からなる層であり、本発明の耐候性シートに耐候性をはじめとし、耐傷性などの表面特性を付与するものである。
電離放射線硬化性樹脂組成物Aは、電離放射線硬化性樹脂A、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含む組成物であり、電離放射線硬化性を有するものである。ここで、本明細書において電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他に、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
電離放射線硬化性樹脂Aは、従来電離放射線硬化性の樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができるが、良好な硬化特性を得る観点から、ブリードアウトしにくく、固形分基準として95〜100%程度としても塗布性を有し、かつ硬化する際に硬化収縮を生じにくいものが好ましい。そのような電離放射線硬化性樹脂の代表例を以下に記載する。また、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
有機ポリイソシアネートとしては、2個のイソシアネート基を有するものが好ましく、黄変を抑制する観点から、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが好ましく挙げられる。また、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられる。
表面保護層Aは、耐候性を向上させる目的で、紫外線吸収剤を含む。紫外線吸収剤としては、上記した無機系、有機系のものが好ましく挙げられ、なかでもトリアジン系、ベンゾトリアゾール系、及びベンゾフェノン系がより好ましい。また、表面保護層Aにおいては、ブリードアウトなどの軽減の観点から、反応性官能基を有する紫外線吸収剤も好ましく使用することができる。ここで、反応性官能基は、電離放射線硬化性樹脂Aと反応性を有する官能基であれば特に制限はなく、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられる。
本発明において、紫外線吸収剤は、要求される性能により適宜選択すればよい。例えば、より高い耐候性を要求される場合には反応性官能基を有しない非反応性紫外線吸収剤、すなわち上記した無機系、有機系のものを使用すればよく、またブリードアウトによる性能低下の抑制が特に問題になるような場合には、反応性官能基を有する紫外線吸収剤を使用すればよい。
これらの紫外線吸収剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
表面保護層Aは、耐候性を向上させる目的で、ヒンダードアミン系光安定剤を含むことが好ましい。本発明で用いられるヒンダードアミン系光安定剤は、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが好ましく挙げられる。
これらのヒンダードアミン系光安定剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物Aにおいては、本発明の耐候性シートの表面保護層Aの所望物性に応じて、本発明の目的が損なわれない範囲で各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。
表面保護層Bは、電離放射線硬化性樹脂B、反応性官能基αを有する紫外線吸収剤及び反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Bの硬化物からなる層であり、本発明の耐候性シートにおいて下層からのブリードを抑制し、かつ更なる耐候性と、耐傷性などの表面特性を付与するものである。
電離放射線硬化性樹脂組成物Bは、電離放射線硬化性樹脂B、反応性官能基αを有する紫外線吸収剤及び反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤を含む組成物であり、電離放射線硬化性を有するものである。
電離放射線硬化性樹脂Bは、上記した電離放射線硬化性樹脂Aと同じものであり、上記した中でも、ウレタン(メタ)アクリレート系、及びカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーであることが好ましい。また、これらのオリゴマーは、多官能性の重合性オリゴマーが好ましく、官能基数としては、2〜16が好ましく、2〜8がより好ましく、4〜8がさらに好ましい。これらの重合性オリゴマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、表面保護層Aに非反応性紫外線吸収剤を用いる場合、電離放射線硬化性樹脂Bは、電離放射線硬化性樹脂Aよりも高い官能基数を有することがブリードアウトを抑制する観点から好ましい。
電離放射線硬化性樹脂Bとしてこれらのオリゴマーを用いると、後述する反応性官能基を有する紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤との組合せにより、優れた耐候性、耐傷性などの表面特性も得られるので好ましい。また、表面保護層Bは本発明の耐候性シートにおいて最表面に設けられる層であることから、特にブリードアウトによる悪影響が生じやすい。そこで、これらの組合せとすることにより、該紫外線吸収剤と光安定剤が電離放射線の照射によって、それ自体が重合して高分子量化したり、あるいは共存する電離放射線硬化性樹脂と共重合することにより、ブリードアウトを抑制することが可能となる。
本発明の電離放射線硬化性樹脂組成物Bで用いられる紫外線吸収剤は、反応性官能基αを有するものである。本発明において、最表面層となる表面保護層Bに反応性官能基αを有する紫外線吸収剤を含有することにより、特にブリードアウトが軽減され、ブリードアウトによる性能低下を効果的に抑制することが可能となる。
紫外線吸収剤としては、上記した無機系、有機系のものが好ましく挙げられ、なかでもトリアジン系、ベンゾトリアゾール系、及びベンゾフェノン系がより好ましく挙げられる。また、反応性官能基αとしては、上記の反応性官能基、すなわち、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられる。なお、これらの紫外線吸収剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の電離放射線硬化性樹脂組成物Bで用いられるヒンダードアミン系光安定剤は、反応性官能基βを有するものである。本発明において、最表面層となる表面保護層Bに反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤を含有することにより、特にブリードアウトが軽減され、ブリードアウトによる性能低下を効果的に抑制することが可能となる。
反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤としては、上記した反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤が好ましく挙げられる。また、反応性官能基βとしては、上記の反応性官能基αとして例示したものが好ましく挙げられ、反応性官能基αとβとは同じでも異なっていてもよい。なお、これらの光安定剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物Bにおいては、本発明の耐候性シートの表面保護層Bの所望物性に応じて、本発明の目的が損なわれない範囲で各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、電離放射線硬化性樹脂組成物Aの各種添加剤と同じものが好ましく挙げられる。
本発明の耐候性シートの製造方法の第一の態様は、工程(1A):基材シート上に表面保護層A、及び表面保護層Bを順に有し、該表面保護層Aが電離放射線硬化性樹脂A、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Aを塗布する工程、工程(2A):電離放射線硬化性樹脂組成物Aの未硬化樹脂層上に、電離放射線硬化性樹脂B、反応性官能基αを有する紫外線吸収剤及び反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Bを塗布する工程、及び工程(3A):電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物A及び電離放射線硬化性樹脂組成物Bを硬化させて、各々表面保護層A及び表面保護層Bを形成する工程を有するものである。
工程(1A)は、基材シート上に表面保護層A、及び表面保護層Bを順に有し、該表面保護層Aが電離放射線硬化性樹脂A、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Aを塗布する工程である。
電離放射線硬化性樹脂組成物Aの塗布は、硬化後の厚さが上記範囲内、すなわち好ましくは1〜20μm、より好ましくは1〜10μmとなるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート、ダイコートなどの公知の方式、好ましくはダイコートにより行う。
工程(2A)は、電離放射線硬化性樹脂組成物Aの未硬化樹脂層上に、電離放射線硬化性樹脂B、反応性官能基αを有する紫外線吸収剤及び反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Bを塗布する工程である。電離放射線硬化性樹脂組成物Bの塗布は、上記した電離放射線硬化性樹脂組成物Aの硬化処理を行わない状態、すなわち未硬化の未硬化樹脂層を形成した状態で、該未硬化樹脂層上に行う。電離放射線硬化性樹脂組成物Bの塗布も、電離放射線硬化性樹脂組成物Aの塗布と同様に、硬化後の厚さが上記範囲内、すなわち10〜20μm、好ましくは10〜15μmとなるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート、ダイコートなどの公知の方式、好ましくはダイコートにより行う。
工程(3A)は、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物A及び電離放射線硬化性樹脂組成物Bを硬化させて、表面保護層A及び表面保護層Bを形成する工程である。すなわち、工程(3A)は、上記の工程(1A)及び(2A)で形成した、電離放射線硬化性樹脂組成物Aの未硬化樹脂層A及び電離放射線硬化性樹脂組成物Bの未硬化樹脂層Bを、電離放射線を照射して、各々表面保護層A及び表面保護層Bを形成する工程である。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
本発明の耐候性シートの製造方法の第二の態様は、工程(1B):基材シート上に、表面保護層A、及び表面保護層Bを順に有し、該表面保護層Aが電離放射線硬化性樹脂A、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物A、及び電離放射線硬化性樹脂B、反応性官能基αを有する紫外線吸収剤及び反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Bを同時に塗布する工程、ならびに工程(2B):電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物A及び電離放射線硬化性樹脂組成物Bを硬化させて、各々表面保護層A及び表面保護層Bを形成する工程を有するものである。
本発明の製造方法の第二の態様の工程(1B)は、上記した電離放射線硬化性樹脂組成物A及び電離放射線硬化性樹脂組成物Bを、同時に塗布する工程である。これら組成物A及びBを、同時に塗布することで、優れた層間密着性、作業効率が得られる。
このような同時に塗布する方法としては、スライド塗布法、エクストルージョン塗布法、カーテン塗布法などが好ましく挙げられ、これらの塗布法に用いられる塗布装置としては、スライド型ダイコータ、エクストルージョン型ダイコータ、カーテン型ダイコータが挙げられる。また、樹脂組成物の塗布量は、硬化後の各層の厚さが上記の範囲内となるように設定すればよい。
本発明の製造方法の第二の態様の工程(2B)は、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物A及びBを硬化させて、各々表面保護層A及び表面保護層Bを形成する工程である。すなわち、工程(2B)は、上記の工程(1B)により形成した電離放射線硬化性樹脂組成物A及びBの未硬化樹脂層に電離放射線を照射することで、これらの未硬化樹脂層を同時に硬化させて、各々表面保護層A及びBを形成する工程である。このように、同時に硬化させることで、優れた層間密着性及び作業効率が得られる。
これらの未硬化樹脂層の形成は、上記の工程(3A)と同じである。
(評価方法)
(1)ブリードアウトの評価
実施例及び比較例で得られた耐候性シートを、80℃温水浸漬の条件下で放置した後の、該耐候性シートについて、そのブリードアウトの様子を下記の基準で評価した。
◎ :7日間放置しても、ブリードアウトは確認されなかった
○ :3日間放置しても、ブリードアウトは確認されなかった
× :3日間放置すると、ブリードアウトが確認された
(2)耐候性の評価(外観の評価)
実施例及び比較例で得られた耐候性シートを、スーパーUV試験(超促進耐候性試験)300時間後に、その外観を目視観察し、下記の基準で評価した。
○ :外観変化は確認されなかった
△ :外観変化は若干確認されるものの、実用上の問題はなかった
× :外観変化が確認された
(3)耐スチールウール性(耐傷性)
実施例及び比較例で得られた耐候性シートを、スチールウール(#0000)を用いて、1500g/cm2の荷重をかけて10往復擦った後、該耐候性シートの表面を、目視観察し、下記の基準で評価した。
○ :表面にほとんど変化がなかった
△ :表面に若干の傷付きや艶変化があったものの、実用上問題なかった
× :表面に著しい傷付きがあり、艶変化も顕著であった
(4)密着性
実施例及び比較例で得られた耐候性シートをクロスカットし、その表面にセロテープ(登録商標)ニチバン製を貼付けて急激に剥離する操作を5回行った。このときの、基材上に設けた各層が剥離するかどうかを目視観察し、下記の基準で評価した。
◎ :層の剥離は全く確認されなかった
○ :層の剥離はほとんど確認されなかった
△ :層の剥離は若干確認されたが、実用上問題なかった
× :層の著しい剥離が確認された
基材フィルムとして、透明PET(厚さ:100μm)からなる樹脂フィルムを準備した。該基材フィルムに下記の電離放射線硬化性樹脂組成物Aをダイコート法で5g/m2の塗布量で塗布して未硬化樹脂層Aを形成し、さらに下記の電離放射線硬化性樹脂組成物Bをダイコート法で12g/m2の塗布量で塗布して未硬化樹脂層Bを形成した。次いで、165keV及び15Mrad(150kGy)の条件で電子線を照射して上記未硬化樹脂層A及びBを架橋硬化させることにより、表面保護層A及びBを形成し、耐候性シートを得た。得られた表面保護層A及びBの厚さは、各々5μm及び12μmであった。
得られた耐候性シートについて、上記の評価を行った。その評価結果を第1表に示す。
カプロラクトン系ウレタンアクリレートオリゴマー(3官能,重量平均分子量:1200):100質量部
紫外線吸収剤(非反応性UVA1,「チヌビン479(商品名)」,BASFジャパン株式会社製,ヒドロキシフェニルトリアジン系):10質量部
ヒンダードアミン系光安定剤(非反応性HALS,「チヌビン123(商品名)」,BASFジャパン株式会社製,ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート):3質量部
カプロラクトン系ウレタンアクリレートオリゴマー(3官能,重量平均分子量:1200):100質量部
反応性官能基を有する紫外線吸収剤(反応性UVA,「RUVA−93(商品名)」,2−[2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール_,大塚化学株式会社製):3質量部
反応性官能基を有する光安定剤(反応性HALS,商品名「サノールLS−3410」,1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート,BASFジャパン株式会社製):3質量部
実施例1において、表面保護層A及びBの形成を第1表に示される組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして耐候性シートを得た。
基材フィルムとして、透明PETフィルム(厚さ:100μm)からなる樹脂フィルムを準備した。この表面にコロナ放電処理を施した後、上記の電離放射線硬化性樹脂組成物A及び電離放射線硬化性組成物Bをエクストルージョン型ダイコータのスリットより同時に塗出して積層し、165keV及び15Mrad(150kGy)の条件で電子線を照射して、該電離放射線硬化性樹脂組成物Aおよび該電離放射線硬化性樹脂組成物Bを一括で硬化させることで表面保護層Aおよび表面保護層Bを形成し、耐候性シートを得た。得られた表面保護層A及びBの厚さは、各々5μm及び12μmであった。
得られた耐候性シートについて、上記の評価を行った。その評価結果を第1表に示す。
実施例1及び2において、電離放射線硬化性樹脂組成物Bを塗布しなかった以外は実施例1及び2と同様にして、各々比較例5及び6の耐候性シートを得た。
2.基材シート
3.表面保護層A
4.表面保護層B
Claims (9)
- 基材シート、表面保護層A、及び表面保護層Bを順に有し、該表面保護層Aが電離放射線硬化性樹脂A、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Aの硬化物からなり、該表面保護層Bが電離放射線硬化性樹脂B、反応性官能基αを有する紫外線吸収剤及び反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Bの硬化物からなり、該表面保護層Bの厚さが10μm以上である耐候性シート。
- 電離放射線硬化性樹脂A及びBが、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーから選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の耐候性シート。
- 電離放射線硬化性樹脂Aの官能基数が2〜4であり、かつ電離放射線硬化性樹脂Bの官能基数が4〜8である請求項1又は2に記載の耐候性シート。
- 電離放射線硬化性樹脂B100質量部に対する紫外線吸収剤の含有量が、1〜20質量部である請求項1〜3のいずれかに記載の耐候性シート。
- 電離放射線硬化性樹脂A100質量部に対する紫外線吸収剤の含有量が、1〜20質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の耐候性シート。
- 下記の工程を順に有する耐候性シートの製造方法。
工程(1A):基材シート上に表面保護層A、及び表面保護層Bを順に有し、該表面保護層Aが電離放射線硬化性樹脂A、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Aを塗布する工程
工程(2A):電離放射線硬化性樹脂組成物Aの未硬化樹脂層上に、電離放射線硬化性樹脂B、反応性官能基αを有する紫外線吸収剤及び反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Bを塗布する工程
工程(3A):電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物A及び電離放射線硬化性樹脂組成物Bを硬化させて、各々表面保護層A及び表面保護層Bを形成する工程 - 下記の工程を順に有する耐候性シートの製造方法。
工程(1B):基材シート上に、表面保護層A、及び表面保護層Bを順に有し、該表面保護層Aが電離放射線硬化性樹脂A、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物A、及び電離放射線硬化性樹脂B、反応性官能基αを有する紫外線吸収剤及び反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物Bを同時に塗布する工程
工程(2B):電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物A及び電離放射線硬化性樹脂組成物Bを硬化させて、各々表面保護層A及び表面保護層Bを形成する工程 - 電離放射線硬化性樹脂A及びBが、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーから選ばれる少なくとも一種である請求項6又は7に記載の耐候性シートの製造方法。
- 電離放射線硬化性樹脂Aの官能基数が2〜4であり、かつ電離放射線硬化性樹脂Bの官能基数が4〜8である請求項6〜8のいずれかに記載の耐候性シートの製造方法。
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JP2011035127A JP5729002B2 (ja) | 2011-02-21 | 2011-02-21 | 耐候性シート及びその製造方法 |
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