JPH11100428A - 光学材料用組成物並びにプラスチックレンズおよびその製造方法 - Google Patents

光学材料用組成物並びにプラスチックレンズおよびその製造方法

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JPH11100428A
JPH11100428A JP9261427A JP26142797A JPH11100428A JP H11100428 A JPH11100428 A JP H11100428A JP 9261427 A JP9261427 A JP 9261427A JP 26142797 A JP26142797 A JP 26142797A JP H11100428 A JPH11100428 A JP H11100428A
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optical material
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JP9261427A
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English (en)
Inventor
Yukio Ichikawa
幸男 市川
Katsuichi Machida
克一 町田
Masuhiro Shoji
益宏 庄司
Katsumasa Yamamoto
勝政 山本
Kenichi Wakimura
謙一 脇村
Katsuya Ikeda
勝也 池田
Michio Suzuki
道夫 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高屈折率、高アッベ数、高透明性で、物理的
特性が良好な光学材料が得られ、しかも、成形性に優れ
た光学材料用組成物の提供。 【解決手段】 下記A成分、B成分およびC成分を含有
し、A成分のチオール基のモル数X、B成分のグリシジ
リル基およびチオグリシジリル基のモル数Y、C成分の
イソシアナート基およびイソチオシアナート基のモル数
Zが、(Y+Z)/X=0.70〜1.50、Y/X=
0.10〜0.90、Z/X=0.10〜1.40を満
たす。A成分:分子量250以上、硫黄含有量30質量
%以上で、チオール基を3個以上有する化合物60〜1
00質量%およびその他のポリチオール化合物0〜40
質量%よりなる成分,B成分:チオグリシジリル基およ
び/またはグリシジリル基を2個以上有する化合物より
なる成分,C成分:イソシアナート基および/またはイ
ソチオシアナート基を2個以上有する化合物よりなる成

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屈折率およびアッ
ベ数が共に高く、良好な物理的特性を有する光学材料が
得られる光学材料用組成物、並びにこの光学材料用組成
物を重合処理して得られるプラスチックレンズおよびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂は、無機ガラス等に比較して軽
量で取扱いが簡単であることから、近年、各種光学材料
として広く使用されている。光学材料として要求される
種々の物性のうち、高屈折率であること、高アッベ数す
なわち低分散であることおよび良好な物理的特性を有す
ることは、きわめて重要なものである。高屈折率の光学
材料によれば、例えば、顕微鏡、写真機、望遠鏡なとの
光学機器や眼鏡レンズにおいて重要な位置を占めるレン
ズ系をコンパクトにすることができ、軽量化を図ること
および球面などによる収差を小さく抑えることが可能と
なる。一方、光学材料が高アッベ数すなわち低分散であ
ることは、レンズの色収差が小さくなる点できわめて重
要である。
【0003】然るに、合成樹脂製光学材料においても、
無機ガラス製光学材料と同様に、高屈折率の材料は低ア
ッベ数すなわち高分散であり、一方、高アッベ数の材料
は低屈折率である、という傾向がある。例えば、合成樹
脂製光学材料として用いられているものに「CR−39
」と称されるジエチレングリコールジアリルカーボナ
ート樹脂がある。この樹脂はアッベ数が60と高いもの
であるが、屈折率が1.50と極めて低いものであるた
め、レンズとして使用した場合には、コバ厚や中心厚が
厚くなるため、レンズの外観が悪くなり、またレンズの
重量が大きくなる、という問題がある。また、レンズ材
料として一部の分野で使用されているポリメチルメタク
リレート樹脂も、アッベ数は60と高いが、屈折率は
1.49と低いものである。
【0004】一方、光学材料として用いられるその他の
合成樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂が知られているが、これらの合成樹脂は、屈折率
が十分に高いものではなく、また、複屈折が大きく、し
かも、耐熱性や耐衝撃性等の物理的特性が不十分であ
り、必ずしも満足できるものではなかった。
【0005】このような問題点を解決するため、主とし
て屈折率を向上させることを目的として、原子屈折率が
高い硫黄原子を含有する合成樹脂製光学材料の開発が進
められている。
【0006】例えば、特公平4−58489号公報およ
び特開平2−270859号公報には、ポリチオール化
合物と、イソシアネート基および/またはイソチオシア
ネート基を有する化合物とを重合することにより、合成
樹脂製光学材料を得る手段が開示されている。しかしな
がら、この手段においては、高屈折率の合成樹脂製光学
材料が得られるが、重合温度が比較的低く、また重合速
度が速いため、重合時の熱制御が困難となり、その結
果、得られる合成樹脂には、着色や大きい光学歪が生ず
る、という問題がある。また、十分に高い屈折率を有す
る合成樹脂を得る場合には、アッベ数が小さいものとな
ったり、着色度合いが大きくなったりする、という問題
がある。
【0007】また、特開平1−215816号公報に
は、ウレタン反応とエポキシ反応とを平行して行うこと
により、着色の小さい硫黄原子含有ウレタン化エポキシ
系レンズを得る手段が提案されている。しかしながら、
この手段により得られるレンズは、アッベ数が約39と
高いものであるが、屈折率が1.60程度と十分に高い
ものではない。
【0008】また、特願平1−504942号明細書
(国際公開番号WO/89/10575)および特開平
3−81320号公報には、エポキシ基および/または
エピスルフィド基を有する化合物と、ポリチオールなど
の化合物と、内部離型剤との混合物を注型重合すること
により、ポリスルフィド系樹脂製レンズを得る手段が提
案されている。しかしながら、この手段により得られる
レンズは、屈折率が1.66、アッベ数が33と共に高
いものであるが、内部離型剤が含有されているため、透
明性の点で十分なものではない。
【0009】また、特開平8−183816号公報に
は、ビス〔4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェ
ニル〕スルフィドなどのエポキシオリゴマーを含有する
重合性組成物を重合処理することにより、合成樹脂製光
学材料を得る手段が提案されている。しかしながら、こ
の手段においては、屈折率が1.72と極めて高い合成
樹脂が得られるが、アッベ数が十分に高いものではな
い。
【0010】更に、特開平9−3058号公報には、高
屈折率の合成樹脂製光学材料が得られる光学材料用単量
体として、ビス〔4−(2,3−エピチオプロピルチ
オ)フェニル〕スルフィドなどのチオール誘導体が提案
されている。しかしなから、このような単量体は、それ
自体の屈折率は高いものであるが、得られる合成樹脂製
光学材料の光学特性および物理的特性については定かで
はない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来に
おいては、屈折率およびアッベ数が共に高く、透明性が
高いという優れた光学特性を有すると共に、良好な物理
的特性を有し、しかも、優れた成形性を有する合成樹脂
光学材料は知られていない。本発明は、以上のような事
情に基づいてなされたものであって、その目的は、屈折
率およびアッベ数が共に高く、透明性が高いという優れ
た光学特性を有すると共に、良好な物理的特性を有する
光学材料が得られ、しかも、注型重合において優れた成
形性を有する光学材料用組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、屈折率およびアッベ数が共に高
く、透明性が高いという優れた光学特性を有すると共
に、良好な物理的特性を有するプラスチックレンズおよ
びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の光学材料用組成
物は、少なくとも、下記A成分、下記B成分および下記
C成分を含有してなり、A成分におけるチオール基のモ
ル数をX、B成分におけるグリシジリル基およびチオグ
リシジリル基の合計のモル数をY、C成分におけるイソ
シアナート基およびイソチオシアナート基の合計のモル
数をZとしたとき、 条件a (Y+Z)/X=0.70〜1.50、 条件b Y/X=0.10〜0.90、および 条件c Z/X=0.10〜1.40 を満足することを特徴とする。
【0013】〔A成分〕下記A1成分60〜100質量
%および下記A2成分0〜40質量%よりなる成分 A1成分:分子量が250以上であって、分子中の硫黄
含有量が30質量%以上であり、かつ分子内にチオール
基を3個以上有する化合物よりなる成分 A2成分:分子内に少なくとも2個のチオール基を有す
る化合物であって、A1成分に該当しない化合物よりな
る成分 〔B成分〕分子内にチオグリシジリル基および/または
グリシジリル基を少なくとも2個有する化合物よりなる
成分 〔C成分〕分子内にイソシアナート基および/またはイ
ソチオシアナート基を少なくとも2個有する化合物より
なる成分
【0014】本発明のプラスチックレンズは、上記の光
学材料用組成物を重合処理することにより得られる重合
体よりなることを特徴とする。本発明のプラスチックレ
ンズの製造方法は、上記の光学材料用組成物を重合処理
する工程を有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の光学材料用組成物は、後述するA成分、
B成分およびC成分を含有してなるものである。
【0016】〔A成分〕A成分は、下記A1成分および
必要に応じて用いられる下記A2成分よりなるものであ
る。 A1成分:分子量が250以上であって、分子中の硫黄
含有量が30質量%以上であり、かつ分子内にチオール
基を3個以上有する化合物(以下、「特定のポリチオー
ル化合物」という。)よりなる成分, A2成分:分子内に少なくとも2個のチオール基を有す
る化合物であって、A1成分に該当しない化合物(以
下、「他のポリチオール化合物」という。)よりなる成
【0017】A1成分:A1成分として用いられる特定
のポリチオール化合物は、分子量が250以上、好まし
くは300以上であって、分子中の硫黄含有量が30質
量%以上、好ましくは35質量%以上であり、かつ分子
内にチオール基を3個以上有するものである。これらの
分子量、硫黄含有量およびチオール基の数に関する要件
の全てを満足するものでない場合には、得られる重合体
は、屈折率、アッベ数、透明性、機械的特性が低いもの
となる傾向にある。特定のポリチオール化合物は、上記
の分子量、硫黄含有量およびチオール基の数に関する要
件の全てを満足するものであれば特に限定されないが、
好ましいものとしては、下記式(i)で表されるテトラ
キス−(7−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メ
タン、下記式(ii)で表される2,3−(6−メルカプ
ト−1,4−ジチアヘキシル)−1−プロパンチオール
が挙げられる。
【0018】
【化2】
【0019】上記式(i)で表されるテトラキス−(7
−メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタンは、例
えば、ビス−(2−メルカプトエチル)サルファイト
と、ペンタエリスリチルテトラブロミドなどのペンタペ
ンタエリスリチルテトラハライドとを、水酸化ナトリウ
ムなどの塩基の存在下に反応させることにより得られ
る。ビス−(2−メルカプトエチル)サルファイトとペ
ンタペンタエリスリチルテトラハライドとの反応は、両
者を混合し、加熱下で上述の塩基を添加しながら攪拌す
ることにより行われる。また、必要に応じて、テトラ−
n−ブチルアンモニウムブロミドなどの4級アンモニウ
ム塩または4級ホスホニウム塩を、反応触媒として用い
ることができる。以上において、反応温度は、30〜1
20℃に設定することが好ましい。ビス−(2−メルカ
プトエチル)サルファイトおよびペンタペンタエリスリ
チルテトラハライドの使用割合は、ペンタペンタエリス
リチルテトラハライド1モルに対してビス−(2−メル
カプトエチル)サルファイトが4モル以上、特に4〜5
0モルであることが好ましい。また、塩基の使用割合
は、ペンタペンタエリスリチルテトラハライド1モルに
対して4〜6モルであることが好ましい。また、触媒の
使用割合は、ペンタペンタエリスリチルテトラハライド
1モルに対して0.01〜1モルであることが好まし
い。
【0020】上記式(ii)で表される2,3−(6−メ
ルカプト−1,4−ジチアヘキシル)−1−プロパンチ
オールは、例えば、エピハロヒドリンまたは1,3−ジ
ハロゲノ−2−プロパノールと、2−〔(2−メルカプ
トエチル)チオ〕エタノールとを塩基の存在下で反応さ
せることにより、1,3−ビス(6−ヒドロキシ−1,
4−ジチアヘキシル)−2−プロパノールを製造し、こ
の1,3−ビス(6−ヒドロキシ−1,4−ジチアヘキ
シル)−2−プロパノールを鉱酸の存在下に、チオ尿素
と反応させ、得られた反応生成物を塩基を用いてアルカ
リ加水分解することにより得られる。
【0021】上記の化合物以外の特定のポリチオール化
合物の具体例としては、1,2−ビス〔(2−メルカプ
トエチル)チオ〕−3−メルカプトプロパン、4,8−
ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチア−
1,11−ウンデンカンジチオールなどが挙げられる。
これらの特定のポリチオール化合物は、単独でまたは2
種以上を組み合わせてA1成分として用いることができ
る。
【0022】A2成分:A2成分として用いられる他の
ポリチオール化合物は、分子内に少なくとも2個のチオ
ール基を有する化合物であって、かつ特定のポリチオー
ル化合物以外のものである。このような他のポリチオー
ル化合物は、上記の要件を満足するものであれば特に限
定されないが、その具体例としては、1,2−エタンジ
チオール、1,3−プロパンジチオール,1,4−ブタ
ンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,8−
オクタンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオー
ル、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレ
ングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジチオー
ルビスチオグリコレート、ブタンジチオールビスチオプ
ロピオネート、トリメチロールプロパントリチオグリコ
レート、トリメチロールプロパントリチオプロピオネー
ト、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート、ペ
ンタエリスリトールテトラチオプロピオネート等の脂肪
族ポリチオール類、 ビス(2−メルカプトエチル)ス
ルフィド、ビス(3−メルカプトプロピル)スルフィ
ド、ビス(4−メルカプトブチル)スルフィド、ビス
(8−メルカプトオクチル)スルフィド等の脂肪族スル
フィド類、1,2−ベンゼンジチオール、4−メチル−
1,2−ベンゼンジチオール、4−ブチル−1,2−ベ
ンゼンジチオール、4−クロロ−1,2−ベンゼンジチ
オール等の芳香族ジチオール類などが挙げられる。
【0023】本発明においては、A成分におけるA1成
分の含有割合が60質量%以上、好ましくは65質量%
以上とされる。この割合が60質量%未満である場合に
は、得られる重合体の屈折率、アッベ数、透明性および
機械的物性が低下する傾向にある。
【0024】〔B成分〕B成分は、分子中にチオグリシ
ジリル基および/またはグリシジリル基を少なくとも2
個有する化合物よりなるものである。具体的には、チオ
グリシジリル基を2個以上有する化合物、グリシジリル
基を2個以上有する化合物、チオグリシジリル基および
グリシジリル基をそれぞれ1個以上有する化合物が挙げ
られる。
【0025】B成分として用いられる化合物は、分子中
にチオグリシジリル基および/またはグリシジリル基を
少なくとも2個有するものであれば特に限定されない
が、好ましいものとして、下記一般式(I)で表される
化合物が挙げられる。
【0026】
【化3】
【0027】(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、
水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル
基を示し、これらは互いに同一であっても異なっていて
もよい。Xはグリシジリル基またはチオグリシジリル基
を示す。)
【0028】上記一般式(I)におけるR1 、R2 、R
3 およびR4 は、水素原子、ハロゲン原子または炭素数
1〜6のアルキル基を示すが、ハロゲン原子としては、
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、炭素数
1〜6のアルキル基としては、直鎖状、分枝状のアルキ
ル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t
ert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げら
れる。これらの中では、水素原子が好ましい。である。
【0029】上記一般式(I)において、Xがグリシジ
リル基である化合物は、下記一般式(II)で表されるエ
ポキシ化合物(以下、「特定のエポキシ化合物」とい
う。)である。
【0030】
【化4】
【0031】(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、
水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル
基を示し、これらは互いに同一であっても異なっていて
もよい。)
【0032】特定のエポキシ化合物としては、特に限定
されず種々のものを用いることができるが、好ましいも
のとしては、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチ
オ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エポ
キシプロピルチオ)−3−メチルフェニル]スルフィ
ド、ビス[4−(2,3−エポキシプロピルチオ)−
3,5−ジメチルフェニル]スルフィドが挙げられ、よ
り好ましくは、ビス[4−(2,3−エポキシプロピル
チオ)フェニル]スルフィドである。このようなエポキ
シ化合物を製造する方法は、特に限定されるものではな
いが、例えば、下記一般式(III )で表されるジチオー
ル化合物にエピハロヒドリンを付加反応させた後、閉環
反応を行う方法(J.Appl.Poly.Sci,.
39巻、1623(1990年)、米国特許第2731
437号明細書参照)等を挙げることができる。
【0033】
【化5】
【0034】(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、
水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル
基を示し、これらは互いに同一であっても異なっていて
もよい。)
【0035】上記一般式(I)においてXがチオグリシ
ジリル基である化合物(以下、「特定のエピチオ化合
物」ともいう。)は、特開平9−3058号公報に記載
された方法、すなわち上記特定のエポキシ化合物を、チ
オ尿素またはチオシアン酸塩と有機溶媒中で反応させる
ことによってチオグリシジル化することにより、製造す
ることができる。
【0036】以上において、チオシアン酸塩としては、
チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等を
用いることができる。チオ尿素またはチオシアン酸塩の
使用割合は、原料である特定のエポキシ化合物に対し
て、4当量以下、好ましくは3当量以下である。有機溶
媒としては、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、
クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化
炭化水素類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキ
サン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、テトラヒド
ロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、メタノ
ール、エタノール、i−プロパノール等のアルコール類
を用いることができる。反応温度は、0〜80℃、好ま
しくは10〜60℃である。反応終了後、得られた生成
物溶液に水を添加し、次いで、有機溶媒層と水層を分液
し、当該有機溶媒層を水洗した後、有機溶媒を留去する
ことにより、特定のエピチオ化合物が得られる。
【0037】このような化合物よりなるB成分は、重合
反応が均一に進行する点、屈折率、アッベ数および透明
性が高く、優れた機械的物性を有する重合体が得られる
点で、当該B成分におけるチオグリシジリル基のモル数
をY1、グリシジリル基およびチオグリシジリル基の合
計のモル数をYとしたとき、Y1/Y≧0.1、好まし
くはY1/Y≧0.2を満足するものであることが好ま
しい。上記(Y1/Y)の値が0.1未満である場合に
は、得られる重合体の屈折率が低いものとなったり、重
合反応が均一に進行しないために光学歪みが生じたもの
となったりする場合がある。
【0038】Y1/Yの値を調整する方法としては、
(1)原料であるエポキシ化合物のチオグリシジル化に
おいて、反応条件を選択することにより、チオグリシジ
ル化率を制御する方法、(2)チオグリシジル化率の異
なる化合物を混合する方法などを挙げることができる。
上記(2)の方法の一例としては、特定のエポキシ化合
物と、この特定のエポキシ化合物が適度にグリシジル化
された化合物とを混合する方法を挙げることができる。
【0039】〔C成分〕C成分は、分子内にイソシアナ
ート基および/またはイソチオシアナート基を少なくと
も2個有する化合物よりなるものである。具体的には、
イソシアナート基を2個以上有するポリイソシアナート
化合物、イソチオシアナート基を2個以上有するポリイ
ソチオシアナート化合物、イソシアナート基およびイソ
チオシアナート基をそれぞれ1個以上有する化合物が挙
げられる。
【0040】ポリイソシアナート化合物としては、特に
限定されず、例えば脂肪族ポリイソシアナート類、脂環
式ポリイソシアナート類、芳香族ポリイソシアナート
類、含硫黄ポリイソシアナート類などを用いることがで
きる。
【0041】脂肪族ポリイソシアナート類の具体例とし
ては、エチレンジイソシアナート、トリメチレンジイソ
シアナート、テトラメチレンジイソシアナート、ヘキサ
メチレンジイソシアナート、キシレンジイソシアナー
ト、ビス(イソシアナートエチル)ベンゼン、ビス(イ
ソシアナートプロピル)ベンゼン、ビス(イソシアナー
トブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナートメチル)ベ
ンゼン、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシ
アネートカプロレートなどが挙げられる。これらの中で
は、ヘキサメチレンジイソシアナート、キシレンジイソ
シアナート、ビス(イソシアナートエチル)ベンゼン、
2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネート
カプロレートが好ましく、さらに好ましくはキシレンジ
イソシアナート、2−イソシアネートエチル−2,6−
ジイソシアネートカプロレートである。
【0042】脂環式ポリイソシアナート類の具体例とし
ては、イソホロンジイソシアナート、シクロヘキサンジ
イソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナー
ト、ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、ジ
シクロヘキシルメタンジイソシアナート、2,2’−ジ
メチルジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ジシ
クロヘキシルジメチルメタンジイソシアナートなどが挙
げられる。これらの中では、イソホロンジイソシアナー
ト、シクロヘキサンジイソシアナート、ビス(イソシア
ナートメチル)シクロヘキサンが好ましい。
【0043】芳香族ポリイソシアナート類の具体例とし
ては、トリレンジイソシアナート、フェニレンジイソシ
アナート、ジメチルフェニレンジイソシアナート、エチ
ルフェニレンジイソシアナート、ジエチルフェニレンジ
イソシアナート、ベンゼントリイソシアナートトリメチ
ルベンゼントリイソシアナート、ナフタリンジイソシア
ナート、ビフェニルジイソシアナート、4−4’−ジフ
ェニルメタンジイソシアナートトルイジンジイソシアナ
ートなどが挙げられる。これらの中では、トリレンジイ
ソシアナートが好ましい。
【0044】含硫黄ポリイソシアナート類の具体例とし
ては、チオジエチルジイソシアナート、ジチオジエチル
ジイソシアナート、チオジプロピルジイソシアナート、
ジチオジプロピルジイソシアナート、ジフェニルスルフ
ィド−2,4’−ジイソシアナート、ビス(4−イソシ
アナートメチルベンゼン)フルフィド、1,4−ジチア
ン−2,5−ジイソシアナート、ジフェニルジスルフィ
ド−4,4’−ジイソシアナートなどが挙げられる。こ
れらの中では、ジフェニルスルフィド−2,4’−ジイ
ソシアナートが好ましい。
【0045】ポリイソチオシアナート化合物としては、
特に限定されず、例えば脂肪族ポリイソチオシアナート
類、脂環式ポリイソチオシアナート類、芳香族ポリイソ
チオシアナート類、含硫黄ポリイソチオシアナート類な
どを用いることができる。
【0046】脂肪族ポリイソチオシアナート類の具体例
としては、1,2−ジイソチオシアナートエタン、1,
3−ジイソチオシアナートプロパン、1,4−ジイソチ
オシアナートブタン、p−フェニレンジイソプロピリデ
ンジイソチオシアナートなどが挙げられる。脂環式ポリ
イソチオシアナート類の具体例としては、シクロヘキサ
ンジイソチオシアナートなどが挙げられる。
【0047】芳香族ポリイソチオシアナート類の具体例
としては、1,2−ジイソチオシアナートベンゼン、
1,3−ジイソチオシアナートベンゼン、1,4−ジイ
ソチオシアナートベンゼン、2,4−ジイソチオシアナ
ートトルエン、2,5−ジイソチオシアナート−m−キ
シレン、4,4’−ジイソチオシアナート−1,1−ビ
フェニル、1,1’−メチレンビス(4−イソチオシア
ナートベンゼン)などが挙げられる。これらの中では、
1,2−ジイソチオシアナートベンゼン、1,3−ジイ
ソチオシアナートベンゼン、1,4−ジイソチオシアナ
ートベンゼンが好ましい。
【0048】含硫黄ポリイソチオシアナート類の具体例
としては、チオビス(2−イソチオシアナートエタ
ン)、ジチオビス(2−イソチオシアナートエタン)、
チオビス(3−イソチオシアナートプロパン)、ジチオ
ビス(4−イソチオシアナートベンゼン)、スルホニル
ビス(4−イソチオシアナートベンゼン)などが挙げら
れる。
【0049】イソシアナート基およびイソチオシアナー
ト基をそれぞれ1個以上有する化合物としては、特に限
定されず、例えば脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族
化合物、含硫黄化合物などを用いることができる。
【0050】上記脂肪族化合物の具体例としては、1−
イソシアナート−3−イソチオシアナートプロパン、1
−イソシアナート−6−イソチオシアナートヘキサンな
どが挙げられる。上記脂環式化合物の具体例としては、
1−イソシアナート−4−イソチオシアナートシクロヘ
キサンなどが挙げられる。上記芳香族化合物としては、
1−イソシアナート−4−イソチオシアナートベンゼ
ン、4−メチル−3−イソシアナート−1−イソチオシ
アナートベンゼンなどが挙げられる。上記含硫黄化合物
としては、4−イソシアナート−4’−イソチオシアナ
ートジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
【0051】これらの中でも、キシリレンジイソシアナ
ート、トリレンジイソシアナート、イソホロンジイソシ
アナート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソ
シアネートカプロレートは、C成分として特に好ましい
化合物である。
【0052】本発明の光学材料用組成物においては、上
記のA成分、B成分およびC成分が必須の成分として含
有されると共に、更に、以下の条件を満足することが必
要とされる。すなわち、A成分におけるチオール基のモ
ル数をX、B成分におけるグリシジリル基およびチオグ
リシジリル基の合計のモル数をY、C成分におけるイソ
シアナート基およびイソチオシアナート基の合計のモル
数をZとしたとき、 条件a (Y+Z)/X=0.70〜1.50、好まし
くは、(Y+Z)/X=0.80〜1.30、 条件b Y/X=0.10〜0.90、好ましくは、Y
/X=0.15〜0.70、および 条件c Z/X=0.10〜1.40、好ましくはZ/
X=0.15〜1.10 を満足する割合で、A成分、B成分およびC成分が含有
されていることが必要である。
【0053】上記条件a〜条件cを満足しない場合に
は、以下のような問題が生ずる。 (1)条件aについて:(Y+Z)/Xの値が0.70
未満である場合には、得られる重合体は柔軟なものとな
る傾向があり、一方、(Y+Z)/Xの値が1.50を
超える場合には、A成分およびC成分と、B成分との重
合反応が均一に進行しにくく、また、得られる重合体は
着色したものとなる傾向があり、いずれの場合において
も、光学材料として適当な重合体が得られないため、好
ましくない。 (2)条件bについて:Y/Xの値が0.10未満の場
合には、屈折率が十分に高い重合体を得ることが困難と
なる傾向があり、一方、Y/Xの値が0.90を超える
場合には、得られる重合体は柔軟なものになる傾向があ
り、いずれの場合においても、光学材料として適当な重
合体が得られないため、好ましくない。 (3)条件cについて:Z/Xの値が0.10未満の場
合には、得られる重合体は柔軟なものとなる傾向があ
り、一方、Z/Xの値が1.40を超える場合には、A
成分およびC成分と、B成分との重合反応が均一に進行
しにくくなる傾向があり、いずれの場合においても、光
学材料として適当な重合体が得られないため、好ましく
ない。
【0054】本発明の光学材料用組成物においては、上
記のA成分、B成分およびC成分と共に、必要に応じ
て、A成分、B成分およびC成分以外の単量体成分(以
下、「他の単量体成分」という。)が含有されていても
よい。このような他の単量体成分としては、分子中にア
クリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、水酸基、
アミノ基、アミド基、カルボキシキル基等を有する化合
物を用いることができる。他の単量体成分の使用割合
は、A成分、B成分およびC成分の合計100質量部に
対して50質量部以下であることが好ましく、より好ま
しくは30質量部以下である。この割合が50質量部を
超える場合には、高い屈折率を有する重合体を得られに
くくなる。
【0055】本発明の光学材料用組成物においては、必
要に応じて、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、熱安
定剤、酸化防止剤、充填剤、離型剤等を含有させること
ができる。また、硬化反応を促進するため、必要に応じ
て、トリエチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、テ
トラメチルグアニジン等の第三級アミン類;2−エチル
−4−メチルイミダゾール、2,4−ジエチルイミダゾ
ール等のイミダゾール類;ジオクチル錫ジラウレート、
錫オクチレート等の金属塩類等を含有させることができ
る。更に、必要に応じて、カチオン重合開始剤、ラジカ
ル重合開始剤、光重合開始剤を含有させることができ
る。
【0056】本発明のプラスチックレンズは、上記の光
学材料用組成物を、通常の重合方法、例えば熱重合法、
光重合法等によって重合処理することにより得られる。
A成分とB成分およびC成分との付加重合反応を行うた
めの重合方式は、目的とする光学材料としての形状が直
接的に得られる注型重合法を用いることが好ましい。
【0057】注型重合法は周知の技術であり、そのまま
本発明に適用することができる。注型重合用容器として
は、板状、レンズ状、円筒状、角柱状、円錐状、球状、
その他の、目的乃至用途に応じて設計された鋳型或いは
型枠、その他の容器が用いられる。その材質としては、
無機ガラス、プラスチック、金属、その他の目的に応じ
た任意のものを選択することができる。また、注型重合
用容器には、離型性を良くするために、撥水コートなど
の疎水化処理を行うこともできる。実際の重合反応は、
光学材料用組成物を注型重合用容器に注入し、例えば加
熱することにより行われるが、別の反応容器を用いて予
め光学材料用組成物をある程度まで反応させ、粘度が高
くなったプレポリマーまたはシロップを注型重合用容器
に注入して重合を完結する態様によって行うこともでき
る。また、注型重合法によって得られた板状或いは塊状
の重合体から目的とする形状に削り出す方法を利用する
こともできる。このようにして得られたプラスチックレ
ンズには、必要に応じて、表面研磨処理、帯電防止処理
或いは表面に適宜の無機材料や有機系コート剤を塗布し
て表面硬度を高めることなどの後処理を施すこともでき
る。
【0058】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明はこれらによって限定されるものではない。尚、
以下の実施例において、「部」は、「質量部」を意味す
る。また、以下の実施例において、A成分、B成分およ
びC成分として用いた化合物は、以下の通りである。
【0059】〔A成分〕 特定のポリオール化合物(1):攪拌機、温度計および
冷却器を備えた1000ミリリットル容量の四つ口フラ
スコを用意し、この四つ口フラスコ内に、ビス−(2−
メルカプトエチル)サルファイト600g(3.9モ
ル)、ペンタエリスリチルテトラブロミド50g(0.
129モル)および触媒としてテトラ−n−ブチルアン
モニウムブロミド4.1g(0.0127モル)を仕込
み、これを80〜100℃に加熱した後、窒素雰囲気下
で10質量%水酸化ナトリウム水溶液219g(0.5
3モル)を滴下した。その後、反応系を80〜100℃
に維持しながら3時間攪拌した。次いで、得られた反応
液を50℃まで冷却した後、水層を分液し、得られた有
機層を2回水洗し、減圧下で濃縮した。得られた濃縮液
をシリカゲルカラムクロマトクラフィーを用いて精製す
ることにより、式(i)で表されるテトラキス−(7−
メルカプト−2,5−ジチアヘプチル)メタン(分子量
680,硫黄含有量56.5質量%,チオール基の数
4)72.6g(0.107モル)を得た。この化合物
を「特定のポリチオール化合物(1)」とする。
【0060】特定のポリチオール化合物(2):攪拌
機、温度計および冷却器を備えた500ミリリットル容
量の四つ口フラスコを用意し、この四つ口フラスコ内
に、5質量%水酸化ナトリウム水溶液360g(0.4
5モル)を仕込み、これに、窒素雰囲気下で2−〔(2
−メルカプトエチル)チオ〕エタノール62.1g
(0.45モル)を滴下し、均一に混合された溶液を得
た。次いで、この溶液に、エピクロロヒドリン20.3
g(0.22モル)を20〜40℃で1時間かけて滴下
し、さらに、40〜50℃で1時間加熱しなから攪拌し
た。得られた反応液を20℃まで冷却し、これを濾過し
た後、乾燥することにより、1,3−ビス(6−ヒドロ
キシ−1,4−ジチアヘキシル)−2−プロパノール7
0.8gを得た。
【0061】得られた1,3−ビス(6−ヒドロキシ−
1,4−ジチアヘキシル)−2−プロパノール70.8
gを、35質量%塩酸166.9g(1.6モル)に溶
解させ、この溶液にチオ尿素9.12g(1.2モル)
を添加し、100〜110℃で5時間加熱しながら攪拌
した。その後、得られた反応液を室温まで冷却し、これ
に28質量%アンモニア水109.3g(1.8モル)
を20〜40℃で添加することにより、反応液をアルカ
リ性とした後、これを100℃2時間加熱しながら攪拌
した。その後、反応液を室温まで冷却し、これにトルエ
ン250ミリリットルを添加して抽出処理を行い、トル
エン層を分取した。得られた生成物溶液(トルエン層)
を5質量%塩酸水100ミリリットルで洗浄し、さらに
水100ミリリットルで2回洗浄した後、硫酸マグネシ
ウム20gを添加して乾燥処理を行った。次いで、この
生成物溶液からトルエンを減圧下で留去することによ
り、当該溶液を濃縮し、この濃縮液をシリカゲルカラム
クロマトクラフィーを用いて精製することにより、式
(ii)で表される2,3−(6−メルカプト−1,4−
ジチアヘキシル)−1−プロパンチオール(分子量38
0,硫黄含有量58.9質量%,チオール基の数3)を
得た。この化合物を「特定のポリチオール化合物
(2)」とする。
【0062】特定のポリチオール化合物(3):1,2
−ビス〔(2−メルカプトエチル)チオ〕−3−メルカ
プトプロパン(分子量260、硫黄含有量61.5質量
%、チオール基の数3), 他のポリチオール化合物(1):ペンタエリスリトール
チオグリコレート(分子量433、硫黄含有量29.6
質量%、チオール基の数4), 他のポリチオール化合物(2):ビス−(2−メルカプ
トエチル)サルファイド(分子量154,硫黄含有量6
2.3質量%,チオール基の数2)
【0063】〔B成分〕 化合物(B−1):1リットル容量の四つ口フラスコ内
に、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド100
g、エピクロロヒドリン150gおよびジオキサン30
0gを仕込み、次いで、10℃に保ったまま10質量%
水酸化カリウム水溶液20gを滴下し、20℃で2時間
反応させた。その後、60℃に昇温し、45質量%水酸
化ナトリウム水溶液90gを滴下し、60℃で12時間
反応させた。そして、得られた反応液に、水およびトル
エンを添加し、水層と有機層とを分液した。得られた有
機層を中和して水洗した後、溶媒を留去することによ
り、一般式(II)において、R1 、R2 、R3 およびR
4 がそれぞれ水素原子であるビス〔4−(2,3−エポ
キシプロピルチオ)フェニル〕スルフィド140gを得
た。得られたビス〔4−(2,3−エポキシプロピルチ
オ)フェニル〕スルフィドは、無色透明の液体であり、
その屈折率ND は1.669であった。この化合物を化
合物(B−1)とする。
【0064】化合物(B−2):攪拌機、温度計および
ジムロート型冷却管を備えた1lの四つ口フラスコに、
上記の化合物(B−1)72.6g(0.2モル)、塩
化メチレン200gおよびメタノール160gを仕込
み、40℃まで昇温した。次いで、温度を40〜45℃
に保ちながらチオ尿素61g(0.8モル)を添加し、
そのままの温度で4時間攪拌した。その後、室温まで冷
却し、水200gを添加し、30分攪拌した。そして、
有機層と水層とを分離し、得られた有機層を水200g
で2回洗浄し、さらに、溶媒を留去した後、トルエン/
n−ヘキサンの混合溶媒で再結晶することにより、白色
結晶を得た。この白色結晶の構造を決定するため分析を
行った。結果を下記に示す。
【0065】融点:41.5〜43.0℃,屈折率:N
D =1.703, 元素分析値:炭素;54.80質量%(理論値54.7
8質量%),水素;4.55質量%(理論値4.60質
量%),硫黄;40.65質量%(理論値40.62質
量%), 赤外吸収スペクトル(KBrcm-1):2923、14
73、1388、1099、1008、806,1 H−核磁気共鳴スペクトル(CDCl3 溶媒、テトラ
メチルシラン基準)δ(ppm):7.5〜7.2
(m、8H、芳香環水素),3.6〜2.1(m、10
H、エピチオプロピルチオ水素)
【0066】上記の分析結果から白色結晶は、ビス〔4
−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル〕スルフ
ィドと同定された。収量は73.8gで、収率は原料の
ビス〔4−(2,3−エポキシプロピルチオ)フェニ
ル〕スルフィドに対して93.5%であった。得られた
ビス〔4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニ
ル〕スルフィドを化合物(B−2)とする。
【0067】化合物(B−3):上記化合物(B−2)
の調製において、チオ尿素の使用量を61g(0.8モ
ル)から21.3g(0.28モル)に変更した以外は
同様の操作を行うことにより、化合物(B−1)のグリ
シジル基の70%がチオグリシジル化された化合物を得
た。この化合物を化合物(B−3)とする。
【0068】〔C成分〕 化合物(C−1):キシリレンジイソシアネート, 化合物(C−2):イソホロンジイソシアネート, 化合物(C−3):トリレンジイソシアネート, 化合物(C−4):2−イソシアネートエチル−2,6
−ジイソシアネートカプロレート
【0069】〈実施例1〉A成分として特定のポリチオ
ール化合物(1)54部、B成分として化合物(B−
3)31部、およびC成分として化合物(C−1)15
部を均一に加熱混合した後、十分に脱気処理を行うこと
により、光学材料用組成物を調製した。この光学材料用
組成物を、疎水化処理したガラス製レンズ用モールド中
に注入し、60℃で7時間加熱した後、4時間かけて9
0℃まで昇温し、次いで2時間かけて130℃まで昇温
し、130℃で1時間と順次に異なる温度で加熱して重
合を完結させ、これにより、−2.0ジオプターのレン
ズを製造した。
【0070】〈実施例2〜12および比較例1〜7〉表
1および表2に示す処方に従って光学材料用組成物を調
製し、この光学材料用組成物を用いたこと以外は、実施
例1と同様にしてレンズを製造した。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】実施例1〜12および比較例1〜7で得ら
れたレンズについて、下記の性能評価を行った。 (1)成形性:レンズを観察し、重合斑および泡発生が
発生していないものを良好とした。 (2)色調:目視により判定した。 (3)剛性:手でレンズを変形させ、剛性が十分である
ものを○とし、やや不十分であるものを△とし、不十分
であるものを×とした。 (4)透明性:JIS K7105に準じて可視光線透
過率を測定した。 (5)屈折率・アッベ数:アッベ屈折計を用い、20℃
で測定した。 (6)比重:ASTM D792に準じて測定した。 (7)耐衝撃性:米国FDA規格に準じて重さ16.3
3gの鋼球を高さ127cmから試験片に落下させ、破
壊の有無を調べた。破壊しなかったものを○とし、破壊
したものを×とした。結果を表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】表3の結果から明らかなように、実施例1
〜12に係る光学材料用組成物によれば、屈折率が1.
66以上、アッベ数が25.0以上と共に高く、無色透
明で可視光線透過率が90%以上という、特にレンズと
して優れた光学特性を有すると共に、剛性、耐衝撃性等
の物理的特性にも優れた光学材料が得られ、しかも、注
型重合において、良好な成形性が得られることが確認さ
れた。これに対して、比較例1〜7に係る組成物は、以
下のような問題点を有するものであった。
【0076】比較例1に係る組成物においては、A成分
として必須の特定のポリチオール化合物が含有されてい
ないため、得られる重合体は白濁して透明性が極めて低
いものであった。比較例2に係る組成物においては、A
成分として必須の特定のポリチオール化合物が含有され
ていないため、得られる重合体は白濁して透明性が極め
て低いものであり、しかも、剛性が不十分なものであっ
た。比較例3に係る組成物においては、B成分が含有さ
れていないため、得られる重合体は屈折率が低いもので
あった。比較例4に係る組成物においては、C成分が含
有されていないため、注型重合において、泡が発生して
成形性が低く、得られる重合体は、色調が黄色であって
光学材料として不適であり、しかも、剛性が不十分なも
のであった。比較例5に係る組成物においては、(Y+
Z)/Xの値が0.70未満であるため、得られる重合
体は、剛性が不十分なものであった。比較例6に係る組
成物においては、(Y+Z)/Xの値が1.50を超え
ているため、注型重合において、重合斑が発生して成形
性が低く、得られる重合体は、色調が黄色であって光学
材料として不適であり、しかも、剛性が不十分なもので
あった。比較例7に係る組成物においては、Y/Xの値
が0.90を超えているため、注型重合において、泡が
発生して成形性が低く、得られる重合体は、色調が黄色
であって光学材料として不適であり、しかも、剛性が不
十分なものであった。
【0077】
【発明の効果】本発明の光学材料用組成物によれば、屈
折率およびアッベ数が共に高く、透明性が高いという優
れた光学特性を有すると共に、良好な物理的特性を有す
る光学材料が得られる。しかも、本発明の光学材料用組
成物は、注型重合において優れた成形性を有するもので
ある。本発明のプラスチックレンズは、屈折率およびア
ッベ数が共に高く、透明性が高いという優れた光学特性
を有すると共に、良好な物理的特性を有するものであ
る。
フロントページの続き (72)発明者 山本 勝政 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住 友精化株式会社第1研究所内 (72)発明者 脇村 謙一 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住 友精化株式会社第1研究所内 (72)発明者 池田 勝也 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住 友精化株式会社第1研究所内 (72)発明者 鈴木 道夫 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住 友精化株式会社第1研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、下記A成分、下記B成分お
    よび下記C成分を含有してなり、 A成分におけるチオール基のモル数をX、B成分におけ
    るグリシジリル基およびチオグリシジリル基の合計のモ
    ル数をY、C成分におけるイソシアナート基およびイソ
    チオシアナート基の合計のモル数をZとしたとき、 条件a (Y+Z)/X=0.70〜1.50、 条件b Y/X=0.10〜0.90、および 条件c Z/X=0.10〜1.40 を満足することを特徴とする光学材料用組成物。 〔A成分〕下記A1成分60〜100質量%および下記
    A2成分0〜40質量%よりなる成分 A1成分:分子量が250以上であって、分子中の硫黄
    含有量が30質量%以上であり、かつ分子内にチオール
    基を3個以上有する化合物よりなる成分 A2成分:分子内に少なくとも2個のチオール基を有す
    る化合物であって、A1成分に該当しない化合物よりな
    る成分 〔B成分〕分子内にチオグリシジリル基および/または
    グリシジリル基を少なくとも2個有する化合物よりなる
    成分 〔C成分〕分子内にイソシアナート基および/またはイ
    ソチオシアナート基を少なくとも2個有する化合物より
    なる成分
  2. 【請求項2】 A1成分が、テトラキス−(7−メルカ
    プト−2,5−ジチアヘプチル)メタンおよび/または
    2,3−(6−メルカプト−1,4−ジチアヘキシル)
    −1−プロパンチオールよりなることを特徴とする請求
    項1に記載の光学材料用組成物。
  3. 【請求項3】 B成分は、当該B成分におけるチオグリ
    シジリル基のモル数をY1としたとき、Y1/Y≧0.
    1を満足するものであることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の光学材料用組成物。
  4. 【請求項4】 B成分が、下記一般式(I)で表される
    化合物よりなることを特徴とする請求項1乃至請求項3
    のいずれか一に記載の光学材料用組成物。 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、水素原子、ハ
    ロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基を示し、こ
    れらは互いに同一であっても異なっていてもよい。Xは
    グリシジリル基またはチオグリシジリル基を示す。)
  5. 【請求項5】 B成分が、式(1)において、R1 、R
    2 、R3 およびR4が、それぞれ水素原子である化合物
    よりなることを特徴とする請求項4に記載の光学材料用
    組成物。
  6. 【請求項6】 C成分が、キシリレンジイソシアナー
    ト、トリレンジイソシアナート、イソホロンジイソシア
    ナートおよび2−イソシアネートエチル−2,6−ジイ
    ソシアネートカプロレートから選ばれる少なくとも1種
    の化合物よりなることを特徴とする請求項1乃至請求項
    5のいずれか一に記載の光学材料用組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれか一に記
    載の光学材料用組成物を重合処理することにより得られ
    る重合体よりなることを特徴とするプラスチックレン
    ズ。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項6のいずれか一に記
    載の光学材料用組成物を重合処理する工程を有すること
    を特徴とするプラスチックレンズの製造方法。
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