JP2002348349A - 光学材料用重合体の製造方法 - Google Patents
光学材料用重合体の製造方法Info
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Abstract
して有用なポリチオールオリゴマーを効率よく製造する
方法で得られたポリチオールオリゴマーを原料とする、
光学特性に優れる光学材料用重合体の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 塩基性触媒の存在下、二官能以上のポリ
チオールとイオウとを反応させて、ジスルフィド結合を
有するポリチオールオリゴマーを製造し、得られたポリ
チオールオリゴマーとポリ(チオ)イソシアネート基含
有化合物および/または多官能ビニル基含有化合物とを
共重合させる光学材料用重合体の製造方法である。
Description
の製造方法に関し、さらに詳しくは、光学特性に優れる
光学材料用重合体の原料として有用なジスルフィド結合
を有するポリチオールオリゴマーを原料とする、各種光
学材料用として好適な光学特性に優れる重合体の製造方
法に関するものである。本発明の製造方法により得られ
る光学材料用重合体は、例えば、光学用レンズ、眼鏡レ
ンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、プリズム、光学
フィルター、光ファイバー、光学ディスク基板などに好
ましく用いられる。
で割れにくく、染色が容易なため、近年、各種レンズな
どの光学部品に使用されるようになった。実用化されて
いるプラスチック光学材料としては、ポリ(ジエチレン
グリコールビスアリルカーボネート)、ポリメチルメタ
クリレート、ポリカーボネート等が挙げられる。
る光学材料は、屈折率が高くなるとアッベ数が低くな
り、逆もまた同様である。従って、一般には、屈折率と
アッベ数を同時に高めたプラスチック光学材料を製造す
るのは極めて困難である。
高めたプラスチックレンズとして、2,5−ジメルカプ
トメチル−1,4−ジチアン(以下DMMDという)か
らなるポリチオールをポリイソシアネートと反応させて
得たポリチオウレタンレンズが特開平3−236386
号公報に記載されている。この特許公報に記載されてい
るポリチオウレタンレンズの製造に用いた原料モノマー
であるDMMDは、その屈折率が1.646、アッベ数
が35.2であり、高屈折率、高アッベ数であるため、
得られたポリチオウレタンレンズも高屈折率、高アッベ
数を有するが、さらに高い屈折率、アッベ数を有するプ
ラスチックレンズの開発が望まれていた。
塩化第二鉄等の触媒の存在下、空気で酸化して、DMM
Dのオリゴマー混合物を得たのち、このDMMDオリゴ
マー混合物をポリイソシアネートと反応させてポリチオ
ウレタンレンズを製造する方法が特開平7−11826
3号公報および特開平7−118390号公報に提案さ
れている。
3号公報、特開平7−118390号公報に開示されて
いる方法で得られるものは、反応条件(例えば、温度、
湿度など)が微妙に変化しただけでも屈折率が1.66
5〜1.680、アッベ数が34.3〜35.0と変化
し、不安定であって、このような原料を用いて、一定の
屈折率及びアッベ数を有するポリチオウレタン材料を得
るのは困難であり、上記公報において提案されているD
MMDオリゴマー混合物は、光学材料用原料として、必
ずしも実用的とはいえない。
国特許第237625号明細書には、等モルのアルキル
メルカプタン(モノチオール)とイオウとをアミン触媒
の存在下反応させ、ジスルフィド、トリスルフィド、テ
トラスルフィドの混合物を得る方法が開示されている。
また「ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー
(J. Org. Chem.)」第32巻、第3833頁(19
67年)には、触媒としてn−ブチルアミンを用いて、
モノチオールとイオウを反応させ、ジスルフィド、トリ
スルフィド、テトラスルフィドを製造する方法が記載さ
れている。しかしながら、これらの文献は二官能以上の
ポリチオールを出発原料としてポリチオールオリゴマー
を製造する方法を提案するものではない。
状況下で、二官能以上のポリチオールよりも高い屈折率
と、該ポリチオールに匹敵するアッベ数とを有するポリ
チオールオリゴマーを原料として、安定した高屈折率及
び高アッベ数を有する実用的な光学材料用重合体の製造
方法を提供することを目的とするものである。
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、塩基性触媒の
存在下に、二官能以上のポリチオールとイオウとを反応
させることにより得られたオリゴマーとポリ(チオ)イ
ソシアネート基含有化合物や多官能ビニル基含有化合物
とを共重合させることにより前記の目的を達成しうるこ
とを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至
った。
化合物とポリ(チオ)イソシアネート基含有化合物およ
び/または多官能ビニル基含有化合物とを共重合させる
光学材料用重合体の製造方法であって、前記ポリチオー
ル基含有化合物が、アンモニアまたはアミンからなる塩
基性触媒の存在下、二官能以上のポリチオールとイオウ
とを反応させて得られるレンズ原料用ポリチオールオリ
ゴマーであり、前記二官能以上のポリチオールとイオウ
とのモル比が1:0.1〜1:0.95であり、前記二
官能以上のポリチオールが、2,5−ジメルカプトメチ
ル−1,4−ジチアン、ペンタエリスリトールテトラキ
スメルカプトアセテート、ペンタエリスリトールテトラ
キスメルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパ
ントリスメルカプトアセテート、2,3−ジメルカプト
−1−プロパノール、1,2−(ジメルカプトエチルチ
オ)−3−メルカプトプロパン、1,2−ビス−2−
(メルカプトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、
1,2,3−トリメルカプトプロパン、ビス(2−メル
カプトエチル)スルフィド、ベンゼンジチオール、ベン
ゼントリチオール、トリレンジチオール及びキシリレン
ジチオールの中から選ばれる少なくとも1種である光学
材料用重合体の製造方法によって達成される。
ールオリゴマーの製造方法について説明する。ポリチオ
ールオリゴマーの製造方法においては、原料として二官
能以上のポリチオールが用いられる。この二官能以上の
ポリチオールは直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであっ
てもよく、またメルカプト基(−SH)を二つ以上有し
ていれば、他の官能基、例えばアミン基やヒドロキシル
基などの活性水素をもつ官能基を有していてもよい。こ
のような二官能以上のポリチオールの例としては、2,
5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン(DMM
D)、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトアセ
テート(PETMA)、ペンタエリスリトールテトラキ
スメルカプトプロピオネート(PETMP)、トリメチ
ロールプロパントリスメルカプトアセテート、2,3−
ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−(ジメルカ
プトエチルチオ)−3−メルカプトプロパン、1,2−
ビス−2−(メルカプトエチルチオ)−3−メルカプト
プロパン、1,2,3−トリメルカプトプロパン、ビス
(2−メルカプトエチル)スルフィド、エタンジチオー
ル、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジ
チオール、ブタンジチオール、ヘキサンジチオール、ベ
ンゼンジチオール、ベンゼントリチオール、トリレンジ
チオール、キシリレンジチオール等が挙げられる。これ
らは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用
いてもよい。また、高屈折率、高アッベ数(低分散性)
を有するポリチオールオリゴマーを得るのに特に有用な
化合物は、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチ
アン(DMMD)である。
ては、前記二官能以上のポリチオールとイオウとを、塩
基性触媒の存在下に反応させて、ポリチオールオリゴマ
ーを生成させるが、二官能以上のポリチオールとイオウ
との反応は、例えば生成物が二量体の場合、反応式
くは1、2または3である)で表すことができる。
ては、イオウの使用量は、二官能以上のポリチオール1
モルに対して、0.1〜0.95モルの範囲とするのが
好ましい。この使用量が0.1モル未満ではポリチオー
ルの転化率が低すぎて実用的でないし、0.95モルを
超えると光学材料の原料として好ましくない分子量の大
きな多量体の生成量が多くなるとともに、未反応イオウ
が反応液中に残存するおそれがある。転化率、光学材料
用原料としての性能およびイオウの反応性などを考慮す
ると、特に好ましいイオウの使用量は、二官能以上のポ
リチオール1モルに対して、0.4〜0.7モルの範囲
である。
ば、結晶状、コロイド状、粉末あるいはイオウ華でもよ
い。好ましくは、純度98%以上、さらに好ましくは純
度99%以上のものを用いる。
またはアミンである。アミンは、直鎖、分岐鎖もしくは
環状の脂肪族アミンまたは芳香族アミンのいずれでもよ
く、また、1級アミン、2級アミンまたは3級アミンの
いずれであってもよい。触媒の具体例としては、アンモ
ニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミ
ン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブ
チルアミン,s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n
−アミルアミン、モルホリン、ピペリジン、置換モルホ
リン、置換ピペリジン、アニリンが挙げられ、好ましく
は、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−ブチルア
ミン、モルホリンおよびピペリジンである。これらは単
独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても
よい。触媒として用いるアンモニアまたはアミンの量
は、原料のポリチオールに対して、通常は0.001〜
1.0モル%、好ましくは0.01〜0.1モル%であ
る。
て、反応系への触媒の投入は、触媒をポリチオール及び
イオウと予め混合することにより行ってもよく、また、
ポリチオール及びイオウを混合して、イオウを全部溶解
させた後に触媒を加えることにより行ってもよい。
ては、必要に応じ、溶媒を使用してもよい。使用し得る
溶媒の具体例としては、ジクロロメタン、クロロホル
ム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンな
どのハロゲン化炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水
素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、ト
ルエン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、
イソプロパノール等のアルコール、ジメチルエーテル、
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテルな
どが挙げられる。好ましくは、メタノール、テトラヒド
ロフランである。溶媒の使用量は、出発原料、触媒の種
類、反応条件等に応じて適宜定め得る。
て、反応温度は特に限定されないが、通常は室温〜溶媒
の沸点の範囲の温度、好ましくは室温〜120℃であ
る。
イオウとのモル比、触媒の種類や量、反応温度などの様
々な条件により異なり、一概に定めることはできない
が、実質上未反応のイオウが残存しなくなるまで反応さ
せるのが有利である。反応液をそのまま、あるいは溶媒
を留去させた残液を光学材料用重合体の原料として用い
る場合、未反応イオウの残存は好ましくない。
ゴマーとしては、二量体、三量体および四量体の少なく
とも1種を含有し、かつ未反応ポリチオールを含んでい
てもよいオリゴマーまたはオリゴマー混合物が好適であ
る。通常、反応液中には、未反応ポリチオール及び複数
種のオリゴマーが含有されている。
まない場合はそのままで、また溶媒を含む場合は溶媒を
留去させた残液を、光学材料用重合体の原料として使用
してもよいし、必要ならば、未反応ポリチオール及び各
オリゴマーを単離精製し、それぞれを単体として取得し
てもよい。単離精製方法としては、特に制限はなく、従
来常用されている方法、例えば、反応液を溶媒を含まな
い場合は、そのままカラムクロマトグラフィーに付すこ
とにより、溶媒を含む場合は、溶媒を留去させたのち、
カラムクロマトグラフィーに付すことにより、単離精製
することができる。
ーを光学材料用原料として用いる場合は、二官能以上の
ポリチオールとして、2,5−ジメルカプトメチル−
1,4−ジチアン(DMMD)を用い、このものとイオ
ウとをモル比1:0.4〜1:0.7の割合で反応さ
せ、式
種を含有し、かつ未反応の2,5−ジメルカプトメチル
−1,4−ジチアンを含んでいてもよいオリゴマーまた
はオリゴマー混合物を製造するのが好ましい。
のようにして、オリゴマーを単離精製し、2,5−ジメ
ルカプトメチル−1,4−ジチアンの二量体、三量体お
よび四量体の中から選ばれる少なくとも一つのオリゴマ
ー単体を取得してもよい。
法について説明する。本発明の光学材料用重合体は、ポ
リチオール基含有化合物(モノマー成分A)と、ポリ
(チオ)イソシアネート基含有化合物(モノマー成分
B)および/または多官能ビニル基含有化合物(モノマ
ー成分C)との共重合体であって、安定した高屈折率お
よび高アッベ数(低分散性)の光学材料に適した光学特
性を有している。以下、各モノマー成分について説明す
る。
基含有化合物が用いられ、そして、このポリチオール基
含有化合物として、前述の方法で得られたポリチオール
オリゴマーが使用される。すなわち、二官能以上のポリ
チオールの二量体、三量体および四量体の少なくとも1
種を含有し、かつ未反応ポリチオールを含有する若しく
は含有しないオリゴマーまたはオリゴマー混合物、ある
いは二量体、三量体および四量体などの各種オリゴマー
の単体を好ましく用いることができる。このようなもの
としては、前述の方法で得られた反応液をそのまま(溶
媒を使用しない場合)、または反応液中の溶媒を留去さ
せた残液(溶媒を使用した場合)を用いてもよいし、反
応液中のオリゴマーを単離精製して得られた各種オリゴ
マー単体をそれぞれ用いてもよい。この場合、各種オリ
ゴマー単体を適当に2種以上組み合わせて用いることも
できる。
質上メルカプト基2個以上を有する化合物のみから構成
されており、また分子内にジスルフィド結合を有する化
合物を含有していることから、反応条件を定めることに
より、一定の高い屈折率および一定の高いアッベ数を有
するものになる。したがって、このポリチオールオリゴ
マーを用いることにより、安定した高屈折率および安定
した高アッベ数を有する重合体が得られる。
で、特に二官能以上のポリチオールとして、2,5−ジ
メルカプトメチル−1,4−ジチアン(DMMD)を用
いて得られた、式
種を含有し、かつ未反応の2,5−ジメルカプトメチル
−1,4−ジチアンを含有する若しくは含有しないオリ
ゴマーまたはオリゴマー混合物、あるいは反応液中のオ
リゴマーを単離精製して得られた2,5−ジメルカプト
メチル−1,4−ジチアンの二量体、三量体および四量
体の中から選ばれる少なくとも一つのオリゴマー単体
が、光学特性の点から好適である。
して、前記した方法で得られたポリチオールオリゴマー
と共に、その粘度を調節して重合反応を容易に進行させ
るなどの目的で、所望により、ジスルフィド結合を有し
ないポリチオール化合物を適宜用いることができる。こ
こで、ジスルフィド結合を有しないポリチオール化合物
は、ジスルフィド結合を有しておらず、2個以上のメル
カプト基(−SH)を有するものであるが、メルカプト
基以外に他の官能基、例えばアミノ基、ヒドロキシ基の
ような活性水素を持つ官能基を有していてもよい。ジス
ルフィド結合を有しないポリチオール化合物の具体例と
しては、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチア
ン(DMMD)、ペンタエリスリトールテトラキスメル
カプトアセテート(PETMA)、ペンタエリスリトー
ルテトラキスメルカプトプロピオネート(PETM
P)、トリメチロールプロパントリスメルカプトアセテ
ート、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,
2−(ジメルカプトチオ)−3−メルカプトプロパン、
1,2−ビス−2−(メルカプトエチルチオ)−3−メ
ルカプトプロパン、1,2,3−トリメルカプトプロパ
ン、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、エタン
ジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プ
ロパンジチオール、ブタンジチオール、ヘキサンジチオ
ール、ベンゼンジチオール、ベンゼントリチオール、ト
リレンジチオール、キシリレンジチオール等が挙げられ
る。好ましくは、トリメチロールプロパントリスメルカ
プトアセテート、ペンタエリスリトールテトラキスメル
カプトプロピオネー(PETMP)ト、ペンタエリスリ
トールテトラキスメルカプトアセテート(PETMA)
などである。
ド結合を有しないポリチオール化合物との混合割合は、
特に制限はなく、ポリチオールオリゴマーの粘度などに
応じて適宜選定されるが、重量比で通常100:1〜
1:100の範囲であり、好ましくは100:1〜1:
1の範囲であり、特に好ましくは100:1〜2:1の
範囲である。ジスルフィド結合を有しないポリチオール
化合物の割合が多すぎると、ポリチオールオリゴマーの
特性が失われ、目的とする高屈折率且つ高アッベ数(低
分散性)の光学材料用重合体が得られなくなるおそれが
ある。
オ)イソシアネート基含有化合物が用いられる。ここ
で、ポリ(チオ)イソシアネート基含有化合物は、ポリ
イソシアネート基含有化合物またはポリチオイソシアネ
ート基含有化合物を意味する。すなわち、少なくとも2
個以上のイソシアネート基(−NCO)またはチオイソ
シアネート基(−NCS)を有する化合物からなる。ポ
リ(チオ)イソシアネート基含有化合物としては、光学
材料の分野で用いることができるものであればよく、そ
の種類は特に制限されるものではないが、モノマー成分
Aの粘度が比較的高いことから、一般に粘度の低いポリ
(チオ)イソシアネート化合物が好ましい。本発明で用
いることができるポリ(チオ)イソシアネート化合物の
具体例としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネー
トメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,3−ジイ
ソシアネートシクロヘキサン(CHDI)、1,3,5
−トリイソシアネートシクロヘキサン、ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチ
ル)ビシクロペンタン(NBDI)、ビス(イソシアネ
ートメチル)ビシクロヘプタン、ベンゼンジイソシアネ
ート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシ
アネート、リジンエステルトリイソシアネート、トリイ
ソシアネートシクロヘキサン、トリス(イソシアネート
メチル)シクロヘキサン(HMTI)、ビシクロヘプタ
ントリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネ
ート(LyTI)、2,5−ジイソシアネートメチル−
1,4−ジチアン等のポリイソシアネート、およびこれ
らに対応するポリチオイソシアネートが挙げられるが、
これらの中でポリイソシアネートが好ましい。より好ま
しくは、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン
(HXDI)、1,3−ジイソシアネートシクロヘキサ
ン(CHDI)、1,3,5−トリイソシアネートシク
ロヘキサン、ビス(イソシアネートメチル)ビシクロペ
ンタン(NBDI)、トリス(イソシアネートメチル)
シクロヘキサン(HMTI)及び2,5−ジイソシアネ
ートメチル−1,4−ジチアンであり、特に好ましくは
1,3−ジイソシアネートシクロヘキサン(CHD
I)、1,3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン
及び2,5−ジイソシアネート−1,4−ジチアンであ
る。
て、ポリ(チオ)イソシアネート基含有化合物を1種用
いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ル基含有化合物が用いられる。この多官能ビニル基含有
化合物は、少なくとも1個のビニル基を有する化合物及
び/又は少なくとも一個のビニル基と少なくとも1個の
ビニル基以外の官能基とを有する化合物からなるもので
ある。この多官能ビニル基含有化合物としては、光学材
料の分野で通常用いられるものであれば、その種類は特
に制限はないが、モノマー成分Aの粘度が比較的高いこ
とから、一般に粘度の低い多官能ビニル化合物が好まし
い。本発明で用いることができる多官能ビニル化合物の
具体例としては、2,5−ビス(2−チア−3−ブテニ
ル)−1,4−ジチアン(TBD)、スチレン、クロロ
スチレン、ジブロモスチレン、ジビニルベンゼン、メチ
ル(メタ)アクリレート、N−フェニルマレイミド、N
−シクロヘキシルマレイミド、フェニル(メタ)アクリ
レート、フェニルチオ(メタ)アクリレート、ジ(メ
タ)アクリルフェニルスルフィド等が挙げられる。好ま
しくは2,5−ビス(2−チア−3−ブテニル)−1,
4−ジチアン(TBD)、ジビニルベンゼン等が挙げら
れ、特に好ましくは2,5−ビス(2−チア−3−ブテ
ニル)−1,4−ジチアン(TBD)である。
て、上記多官能ビニル基含有化合物を単独で用いてもよ
いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
る際の各モノマー成分の配合割合について説明する。
ル基含有化合物)と成分B[ポリ(チオ)イソシアネー
ト基含有化合物]の2成分を用いる場合には、成分Aと
成分Bの配合割合は、官能基の当量比で、通常1:2〜
2:1、好ましくは1:2〜1:1、特に好ましくは
1:1.2〜1:1の範囲で選ぶのがよい。また、モノ
マー成分として、成分A(ポリチオール基含有化合物)
と成分C(多官能ビニル基含有化合物)の2成分を用い
る場合には、成分Aと成分Cの配合割合は、官能基の当
量比で、通常1:1000〜1:1、好ましくは1:1
00〜1:1の範囲で選ぶのがよい。さらに、モノマー
成分として、成分Aと成分Bと成分Cの3成分を用いる
場合には、成分Aと成分Bと成分Cの配合割合は、官能
基の当量比で、通常1:10:1000〜10:0.0
1:1、好ましくは1:10:100〜10:0.1:
1の範囲で選ぶのがよい。
おいては、上記モノマー成分A、B及びC以外に、紫外
線吸収剤、酸化防止剤、染料などを必要に応じて適宜加
えることができる。
マー成分Aと、モノマー成分B及び/又はモノマー成分
Cとを少なくとも含むモノマー混合物を調製したのち、
適量の重合触媒の存在下、熱重合、光重合などの公知の
重合方法を用いて行うことができる。重合反応の条件は
特に制限はなく、光学材料の分野で通常用いられている
条件に従い重合すればよい。
る光学製品の製造は、キャスト(注型重合)法、切削研
磨法、射出成形法などによって行うことができる。キャ
スト(注型重合)法で製品を製造する際は、場合によっ
て内部離型剤も併用することがある。
び高アッベ数(低分散性)を有し、かつ製品ロット間の
屈折率及びアッベ数が一定であるので、光学レンズ、眼
鏡レンズ、プリズム、光ファイバー、情報記録用基板、
着色フィルター、赤外線吸収フィルター等の光学製品の
材料として好適に用いることができる。
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。なお、各物性は下記の方法に従って
測定した。 (1)1H−NMRスペクトルJEOL EX−270
NMRスペクトロメータを用いて測定した。 (2)IR吸収スペクトルホリバFT300赤外分光器
を用いて測定した。 (3)屈折率Nd及びアッベ数Vdカルニュー社製精密
屈折計 KPR−200測定器を用いて、特に記載しな
いかぎり、25℃にて測定した。 (4)外観肉眼により観察した。
(0.2モル)、2,5−ジメルカプトメチル−1,4
−ジチアン(DMMD)84.8g(0.4モル、DM
MD/Sのモル比=2/1)、触媒としてのジエチルア
ミン(DEA)0.0146g(DMMDに対して0.
05mol%)、及び溶媒としてのテトラヒドロフラン
(THF)95mlを入れ、60℃の油浴で撹拌しなが
ら加熱した。イオウが溶解し始めると同時に液面に褐色
の色が展開しつつ反応が進行し、多量の硫化水素気泡の
発生が約20分間持続した。約30分間経過して、気泡
の発生が認められなくなったら、浴温を100℃に上げ
てTHFを留去した。大部分のTHFが留去された後、
窒素を2時間通気してTHFを完全に留去した。その
後、100℃で真空脱気して、無色透明の粘性液体8
4.5gを得た。
(東ソーカラム:G2000HXL、検出器:RI、流
速:0.8ml/分、温度:40℃)により分析したと
ころ、 DMMDモノマー :21.7重量% “ ダイマー :26.4 ” “ トリマー :19.2 ” “ テトラマー :13.6 ” “ ペンタマー : 8.7 ” “ ヘキサマー :10.4 ” であった。従って、DMMDのオリゴマーへの転化率は
78.3%であった。
2、アッベ数は34.7であった。さらに、1H−NM
R分析およびIR分析の結果は次のとおりである。1 H−NMR(溶媒:CDCl3、内部標準物質:テトラ
メチルシラン) δ(ppm): 1.61(t,1.0H)、 2.83〜3.24(m,10.0H) IR:2550cm-1(チオールのνSH)、550c
m-1(ジスルフィドのνSS) 図1に1H−NMRスペクトルを、図2にIRスペクト
ルを示す。
は、合成例1と同様の操作を行った。DMMD転化率お
よび得られた粘性液体のオリゴマー混合物(未反応を含
む)の屈折率とアッベ数を表1に示す。
の反応比率を一定にすることにより、屈折率とアッベ数
が一定のオリゴマー混合物(未反応を含む)が、選択的
に安定して得られることが分かった。
のガスクロマトグラフィーによる分析値は下記のとおり
であり、DMMDのオリゴマーへの転化率は78.2%
であった。 DMMDモノマー :21.9重量% “ ダイマー :25.9 ” “ トリマー :19.9 ” “ テトラマー :13.6 ” “ ペンタマー : 8.7 ” “ ヘキサマー :10.0 ”
と同様な操作を行い、オリゴマー混合物(未反応を含
む)を得た。DMMDの転化率およびオリゴマー混合物
(未反応を含む)の屈折率とアッベ数を表1に示す。
アン DEA :ジエチルアミン TEA :トリエチルアミン MPR :モルホリン PPD :ピペリジン
2に示すように変えた以外は合成例1と同じ方法により
ポリチオールのオリゴマー混合物を製造し、その屈折率
及びアッベ数を測定するとともに、転化率を求めた。結
果を表2に示す。
料として使用したポリチオールの屈折率及びアッベ数を
表3に示す。
アン PETMA ペンタエリスリトールテトラキスメルカプ
トアセテート PETMP ペンタエリスリトールテトラキスメルカプ
トプロピオネート TMTG トリメチロールプロパントリスメルカプトア
セテート m−XDT m−キシリレンジオチール DMP 2,3−ジメルカプト−1−プロパノール BMES ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド DMMP 2,3−(ジメルカプトエチルチオ)ー1ー
メルカプトプロパン
により、二官能以上のポリチオールの二量体、三量体等
の、ジスルフィド結合を有するポリチオールオリゴマー
が選択的に、安定して得られることが明らかである。ま
た、表1及び表2を、表3と対比することにより、合成
例1〜12の方法により製造されたポリチオールオリゴ
マーは、出発原料のポリチオールより高い屈折率を有
し、同等のアッベ数を有することが明らかである。
を含む)0.1モル(モノマー成分A)、m−キシリレ
ンジイソシアネート(XDI)0.1モル(モノマー成
分B)及びジメチルスズジクロライド(DMTDC)の
0.05wt%相当量の混合物を充分撹拌して均一にし
た後、二枚のレンズ成形用ガラス型に注入した。これ
を、10時間かけて50℃まで昇温し、その後5時間か
けて60℃まで昇温し、さらに2.5時間かけて120
℃まで昇温し、最後に120℃で2.5時間加熱重合し
て、レンズ形状の無色透明の重合体を得た。得られた重
合体の諸物性を表4に示す。
を含む)0.1モル(モノマー成分A)、2,5−ビス
(2−チア−3−ブテニル)−1,4−ジチアン(TB
D)0.1モル(モノマー成分C)及びアゾビスジメチ
ルバレロニトリル(V−65)の0.05wt%相当量
の混合物を充分撹拌して均一にした後、実施例1と同様
に重合を行い、レンズ材料用重合体を得た。得られた重
合体の諸物性を表4に示す。
ー成分Bとして用いた以外は、実施例1と同様に重合を
行い、レンズ材料用重合体を得た。得られた重合体の諸
物性を表4に示す。
ー成分Bとして、表4に示す配合割合で用い、表4に示
す多官能ビニル基含有化合物をモノマー成分Cとして、
表4に示す配合割合で用いた以外は、実施例1と同様に
重合を行い、レンズ材料用重合体を得た。得られた重合
体の諸物性を表4に示す。
リゴマー混合物(未反応を含む)および2,5−ジメル
カプトメチル−1,4−ジチアン(DMMD)をモノマ
ー成分Aとして用い、また、表4に示す各ポリイソシア
ネート化合物および各多官能ビニル基含有化合物をそれ
ぞれモノマー成分B及びCとして、表4に示す配合割合
で用いた以外は、実施例1と同様に重合を行い、レンズ
材料用重合体を得た。得られた重合体の諸物性を表4に
示す。
MD、モノマー)とm−キシリレンジイソシアネート
(XDI)を、モル比50:50の配合割合で重合させ
て得た重合体(特開平3−236386号公報、実施例
1)の屈折率(nd)は1.66であり、アッベ数(V
d)は32であった。
MD、モノマー)と1,3−ビス(イソシアネートメチ
ル)シクロヘキサン(HXDI)を、モル比50:50
の配合割合で重合させて得た重合体(特開平3−236
386号公報、実施例8)の屈折率(nd)は1.62
であり、アッベ数(Vd)は38であった。
合物 CHDI:1,3−ジイソシアネートシクロヘキサン HMTI:トリス(イソシアネートメチル)シクロヘキ
サン NBDI:ビス(イソシアネートメチル)ビシクロペン
タン HXDI:1,3−ビス(イソシアネートメチル)シク
ロヘキサン TBD:2,5−ビス(2−チア−3−ブテニル)−
1,4−ジチアン DMMD:2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチ
アン LyTI:リジンエステルトリイソシアネート
た重合体は、屈折率(nd)が1.645〜1.694
と極めて高く、かつアッベ数(Vd)も33.0〜3
7.0と高く(分散性が低い)、両物性が同時に向上し
ていることが分かる。これに対し、比較例1では、屈折
率は比較的高められているが、アッベ数は32と低い。
また、比較例2では、アッベ数は38と高いが、屈折率
は低い。
のポリチオールを原料とし、ジスルフィド結合を有する
ポリチオールオリゴマーは原料のポリチオールより高い
屈折率と該ポリチオールと同等のアッベ数を有するもの
である。したがって、このポリチオールオリゴマーを用
いることにより、高屈折率および高アッベ数(低分散
性)を有する光学材料用重合体を提供することができ
る。本発明の製造方法によれば、特開平7−11839
0号公報に開示されているDMMDのオリゴマー混合物
をポリチオール基含有化合物として用いた重合体とは異
なり、反応条件の変動に影響されることがなく、安定し
て、高屈折率且つ高アッベ数(低分散性)を有する光学
材料用重合体を提供することができ、優れた光学的性質
を有するレンズなどの光学製品を工業的に提供すること
ができる。
ル−1,4−ジチアンのオリゴマー混合物の1H−NM
Rスペクトル図である。
ル−1,4−ジチアンのオリゴマー混合物のIR吸収ス
ペクトル図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 ポリチオール基含有化合物とポリ(チ
オ)イソシアネート基含有化合物および/または多官能
ビニル基含有化合物とを共重合させる光学材料用重合体
の製造方法であって、 前記ポリチオール基含有化合物が、アンモニアまたはア
ミンからなる塩基性触媒の存在下、二官能以上のポリチ
オールとイオウとを反応させて得られるレンズ原料用ポ
リチオールオリゴマーであり、 前記二官能以上のポリチオールとイオウとのモル比が
1:0.1〜1:0.95であり、前記二官能以上のポ
リチオールが、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−
ジチアン、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプト
アセテート、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプ
トプロピオネート、トリメチロールプロパントリスメル
カプトアセテート、2,3−ジメルカプト−1−プロパ
ノール、1,2−(ジメルカプトエチルチオ)−3−メ
ルカプトプロパン、1,2−ビス−2−(メルカプトエ
チルチオ)−3−メルカプトプロパン、1,2,3−ト
リメルカプトプロパン、ビス(2−メルカプトエチル)
スルフィド、ベンゼンジチオール、ベンゼントリチオー
ル、トリレンジチオール及びキシリレンジチオールの中
から選ばれる少なくとも1種である光学材料用重合体の
製造方法。 - 【請求項2】 ポリ(チオ)イソシアネート基含有化合
物が、2,5−ジイソシアネートメチル−1,4−ジチ
アン、1,3−ジイソシアネートシクロヘキサン、1,
3,5−トリイソシアネートシクロヘキサン、トリス
(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ビス(イソ
シアネートメチル)ビシクロペンタンおよび1,3−ビ
ス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンの中から選
ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートである請求
項1記載の光学材料用重合体の製造方法。 - 【請求項3】 ポリイソシアネートが、2,5−ジイソ
シアネートメチル−1,4−ジチアンおよび/または
1,3−ジイソシアネートシクロヘキサンである請求項
1に記載の光学材料用重合体の製造方法。 - 【請求項4】 前記二官能以上のポリチオールとイオウ
とのモル比が1:0.4〜1:0.7の割合で反応させ
る請求項1記載の光学材料用重合体の製造方法。 - 【請求項5】 アミンがジエチルアミン、トリエチルア
ミン、ジブチルアミン、モルホリンおよびピペリジンの
中から選ばれる少なくとも1種である請求項1項記載の
光学材料用重合体の製造方法。 - 【請求項6】 多官能ビニル基含有化合物が、2,5−
ビス(2−チア−3−ブテニル)−1,4−ジチアンで
ある請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学材料用重
合体の製造方法。 - 【請求項7】 重合体が、ポリチオール基含有化合物と
ポリ(チオ)イソシアネート基含有化合物とを、官能基
の当量比が1:2〜2:1になるように共重合させてな
るものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学
材料用重合体の製造方法。 - 【請求項8】 重合体が、ポリチオール基含有化合物と
多官能ビニル基含有化合物とを、官能基の当量比が1:
1000〜1:1になるように共重合させてなるもので
ある請求項1記載の光学材料用重合体の製造方法。 - 【請求項9】 重合体が、ポリチオール基含有化合物と
ポリ(チオ)イソシアネート基含有化合物と多官能ビニ
ル基含有化合物とを、官能基の当量比が1:10:10
00〜10:0.01:1になるように共重合させてな
るものである請求項1項に記載の光学材料用重合体の製
造方法。
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