JPH1098933A - コンバインの縦搬送装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 穀稈の搬送姿勢を適正な状態に修正できるコ
ンバインの縦搬送装置を提供する。 【解決手段】 穂先側係止搬送装置１５と株元側挾持搬
送装置１４とを並設するとともに、前記穂先側係止搬送
装置１５と株元側挾持搬送装置１４との駆動速度の差を
変更調節自在に構成してあるコンバインの縦搬送装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、穂先側係止搬送装
置と株元側挾持搬送装置とを並設してあるコンバインの
縦搬送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のコンバインの縦搬送装置
にあっては、例えば実開昭６４‐１３９２９号公報に開
示されているように、株元側挾持搬送装置と穂先側係止
搬送装置とを同一駆動軸に連動させる状態でその伝動が
成されて駆動されるようにしていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従って、従来の縦搬送
装置では、縦搬送装置の搬送始端部で受け止められた刈
取穀稈はその受け止めた穀稈姿勢のまま後方に搬送され
て、フィードチェーンへ受け渡すようになっていた。こ
のため、縦搬送装置の搬送始端部での刈取穀稈の受け止
め姿勢が傾いていたりすると、その傾いた姿勢のまま後
方に搬送されてフィードチェーンへ受け渡されることに
なり、脱穀処理時に扱残しが生じたりする等の不具合が
あった。尚、具体的には、植立穀稈の稈長の違いにより
その稈長に応じた扱深さ制御を行うために縦搬送装置の
穀稈挾持姿勢が異なることで搬送穀稈姿勢の違いが生じ
ること、植立穀稈の引起しを行う引起し装置の引起し速
度が異なると刈取時の穀稈姿勢に違いが生じること、刈
取の左右幅での穀稈条の位置による違いで刈取後の穀稈
の搬送姿勢に違いが生じること、倒伏穀稈に対する向か
い刈りや追い刈りにより縦搬送時での搬送姿勢に違いが
生じること、また、刈り始めや刈り終わりのときと、そ
の中間での刈取時とで搬送穀稈のボリュームに違いが生
じること等が、穀稈の搬送姿勢の傾きの原因としてあげ
られる。

【０００４】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
であって、穀稈の搬送姿勢を適正な状態に修正できるコ
ンバインの縦搬送装置の提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

（構成） 本発明の請求項１にかかるコンバインの縦搬
送装置は、穂先側係止搬送装置と株元側挾持搬送装置と
を並設するとともに、前記穂先側係止搬送装置と株元側
挾持搬送装置との駆動速度の差を変更調節自在に構成し
てあることを特徴構成とする。

【０００６】（作用） 本発明の請求項１にかかる構成
によれば、縦搬送装置の搬送始端部における刈取穀稈の
受け止め姿勢に応じて、穂先側係止搬送装置と株元側挾
持搬送装置との駆動速度の差を変更調節することで、縦
搬送装置で搬送される穀稈の穂先側の方が遅れる状態で
搬送されるときは穂先側の搬送速度を株元側の搬送速度
より速めにし、株元側の方が遅れる状態で搬送されると
きは株元側の搬送速度を穂先側の搬送速度より速めにす
ることで、フィードチェーンへの受け渡し位置での穀稈
姿勢を適正となるように修正することができる。

【０００７】（効果） 従って、本発明の請求項１にか
かる構成によれば、縦搬送装置で搬送される穀稈の稈身
が適正な状態から搬送方向に対して傾くようなことがあ
っても、その傾きを修正するように、穂先側係止搬送装
置の搬送速度と株元側挾持搬送装置の搬送速度とに適宜
な差が生じる状態で速度設定することでフィードチェー
ンへの穀稈受け渡し姿勢を適正にできるから、脱穀処理
姿勢が適正なものとなり、穀稈姿勢の傾きで脱粒できず
に穀粒が穀稈に残留する等の不具合を解消できるに至っ
た。

【０００８】（構成） 本発明の請求項２にかかるコン
バインの縦搬送装置は、請求項１記載のものにおいて、
前記株元側挾持搬送装置から前記穂先側係止搬送装置へ
伝動する伝動機構を設けるとともに、該伝動機構に前記
穂先側係止搬送装置を変速して前記株元側挾持搬送装置
との駆動速度の差を変更調節する変速装置を設けてある
ことを特徴構成とする。

【０００９】（作用） 本発明の請求項２にかかる構成
によれば、株元側挾持搬送装置から穂先側係止搬送装置
へ伝動する伝動機構を設けるとともに、該伝動機構に穂
先側係止搬送装置を変速して株元側挾持搬送装置との駆
動速度の差を変更調節する変速装置を設けてあるから、
株元側挾持搬送装置と、穂先側係止搬送装置とをそれぞ
れ別の動力で駆動するものに比較して伝動機構が共通化
される分、部品点数が少なくなるとともに、構造簡単に
なる。

【００１０】（効果） 従って、本発明の請求項２にか
かる構成によれば、刈取前処理装置のフレームに支持さ
れた状態で縦搬送装置の株元側挾持搬送装置へ前記フレ
ーム内の伝動機構から動力伝達が成され、次いで株元側
挾持搬送装置から穂先側係止搬送装置への伝動を行う伝
動機構が設けられる通常の伝動機構を利用して、その伝
動機構中に変速装置を設けることで、穂先側係止搬送装
置の搬送速度を株元側挾持搬送装置に対して変更調節で
きるものとなっているから、株元側挾持搬送装置から穂
先側係止搬送装置へ伝動を行う本来構造を利用したもの
となって極めて構造が簡単でありながら、搬送穀稈の姿
勢調節を良好に行えるに至った。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図１及び図３に、コンバインを示
している。このコンバインは、左右一対のクローラ走行
装置１，１に支持された機体フレーム２に、脱穀装置
３、搭乗操縦部４、グレンタンク５等を搭載するととも
に、機体フレーム２の前端部に、横軸芯Ｑ周りで揺動昇
降自在に刈取前処理装置６を装着して構成している。

【００１２】図１に示すように、刈取前処理装置６に
は、左右に並設された固定分草具７、分草された穀稈を
引起す引起し装置８、引起された穀稈を刈り取る刈取装
置９、刈り取られた穀稈を脱穀装置３のフィードチェー
ン１０へ搬送する縦搬送装置１１等を備えて構成してい
る。縦搬送装置１１は、前記横軸芯Ｑと同じ軸芯周りで
揺動自在に支持されているとともに、この揺動姿勢を電
動モータ（図示せず）又は操作レバー（図示せず）の人
為操作によって変更することで穀稈の稈長に対応した適
正な扱深さとなるように穀稈の搬送時の保持位置を設定
する構成となっている。この縦搬送装置１１は、図１及
び図２に示すように、下部側に株元側挾持搬送装置１４
を配置し、上部側に穂先側係止搬送装置１５を配置して
設けている。株元側挾持搬送装置１４は、無端回動チェ
ーン１４ａとこのチェーン１４ａと相対向する状態に配
置した挾持レール１４ｂとで構成され、穂先側係止搬送
装置１５は、所定間隔おきに係止突起１５ａを備える無
端回動チェーン１５ｂで構成されている。そして、図２
に示すように、刈取前処理装置６への伝動を行う左右方
向に沿った伝動軸１６とベベルギア機構１７を介して延
出された駆動軸１８に伝動され、その駆動軸１８は株元
側挾持搬送装置１４の駆動スプロケット１４Ａを一体回
転駆動する。尚、図中、Ｆは、刈取前処理装置６の前記
刈取装置９や引起し装置８等へ伝動する伝動軸を内装す
るとともに引起し装置８等の支持を行うパイプ製フレー
ム部材である。さらに、駆動軸１８は穂先側係止搬送装
置１５がわに延出され、その先端部に駆動プーリ１９Ａ
を設けている。この駆動プーリ１９Ａに巻き掛けた伝動
ベルト１９Ｂは従動プーリ１９Ｃにも巻き掛けられてい
る。従動プーリ１９Ｃと一体に回転する回転支軸２０は
穂先側係止搬送装置１５寄りに延出されているととも
に、その先端に駆動スプロケット２１Ａを設けている。
この駆動スプロケット２１Ａに巻き掛けた無端回動チェ
ーン２１Ｂは従動スプロケット２１Ｃに巻き掛けられ，
この従動スプロケット２１Ｃの出力軸２２と一体回転す
るよう穂先側係止搬送装置１５の駆動スプロケット１５
Ａが設けられている。

【００１３】さらに、図２に示すように、前記駆動プー
リ１９Ａは割りプーリに構成されているとともに、従動
プーリ１９Ｃとにわたって巻き掛けた伝動ベルト１９Ｂ
に対してテンション調節するためのテンションアーム１
９Ｄを設けている。そして、このテンションアーム１９
Ｄによるテンション調節によって駆動プーリ１９Ａにお
ける伝動ベルト１９Ｂの巻き掛け径を変更できるものと
なっており、これら駆動プーリ１９Ａ、伝動ベルト１９
Ｂ、従動プーリ１９Ｃ、テンションアーム１９Ｄによっ
て変速装置１９を構成している。ここで、前記駆動軸１
８及び変速装置１９は穂先側係止搬送装置１５へ伝動す
る伝動機構を構成している。この変速装置１９を変速調
節するために、テンションアーム１９Ｄを電動アクチュ
エータ２３でベルトテンションを変更する状態に変位操
作するようにしているとともに、電動アクチュエータ２
３は制御装置２４からの駆動信号によって制御駆動され
るようにしている。そして、この制御装置２４へは、引
起し速度設定用レバーの操作位置に対応して第１ポテン
ショメータ２５で検出される引起し装置９における引起
し速度設定信号、及び前記横軸芯Ｑ周りでの縦搬送装置
１１の揺動角度を検出する第２ポテンショメータ２６か
らの検出信号が入力されるようにしているとともに、人
為的にも前記変速装置１９を変速操作できるように人為
的な操作で変速用操作信号を発生されるための第３ポテ
ンショメータ２７と連係する操作ダイヤル２８を搭乗操
縦部４に設け、この第３ポテンショメータ２７からの出
力信号も制御装置２４に入力している。さらに、前記挾
持レール１４ｂを支持するためのパイプフレーム２９に
設けた稈長検出センサ３０からの稈長検出信号に基づい
て前記制御装置２４によって前記電動モータを駆動制御
して、縦搬送装置１１の穀稈挾持位置を適正高さで行う
ように前記横軸芯Ｑ周りで縦搬送装置１１の姿勢を自動
的に変更調節するようにしている。

【００１４】上記構成により、制御装置２４では、稈長
検出センサ３０の検出結果により例えば長稈状態のと
き、縦搬送装置１１を上昇側に操作する浅扱状態とな
り、そのときの第２ポテンショメータ２６からの検出信
号に基づいて、刈取穀稈の株元側の方が穂先側よりも先
に挾持されて搬送される傾向となるから、穂先側係止搬
送装置１５の駆動速度の方が株元側挾持搬送装置１４よ
りも速めになるように変速装置１９を調節する信号を電
動アクチュエータ２３に出力する。逆に、短稈のときに
は、穂先側係止搬送装置１５を浅扱状態のときよりも駆
動速度が低くなるように変速装置１９を調節する信号を
電動アクチュエータ２３に出力する。又、引起し速度が
遅めのときは、植立穀稈の立ち上がりが遅めになるの
で、刈取された穀稈の縦搬送装置１１の受け渡しで、引
起し速度が速めのときより穂先側の受け渡しが株元側よ
り遅れる傾向になるため、制御装置２４は、穂先側係止
搬送装置１５の駆動速度の方が株元側挾持搬送装置１４
よりも速めになるように変速装置１９を調節する信号を
電動アクチュエータ２３に出力する。従って、制御装置
２４では、これら第１及び第２ポテンショメータ２５，
２６の検出結果に基づいて上記条件を適宜演算して、変
速装置１９の変速調節、つまり、株元側挾持搬送装置１
４に対する穂先側係止搬送装置１５の駆動速度を設定す
るのである。

【００１５】さらに、人為的に変速装置１９を調節し
て、株元側挾持搬送装置１４に対する穂先側係止搬送装
置１５の駆動速度を設定することも、自動と手動の切り
換えを行って、前記操作ダイヤル２８を適宜操作するこ
とで行える。

【００１６】次に、機体左側の未刈り穀稈がわに臨む箇
所に装備した分草杆構造について説明する。図３に示す
ように、刈取前処理装置６の未刈り側端部の固定分草具
７と、機体フレーム２の後端部における未刈り側端部と
にわたって、未刈り穀稈を機体から離間させるように押
しやるための分草杆３１を設けている。この分草杆３１
は、刈取前処理部１１の横側部に位置する前側分草杆３
１Ｆと、脱穀装置３の横側部に位置する後側分草杆３１
Ｒとに２分割されているとともに、前側分草杆３１Ｆ，
後側分草杆３１Ｒ共に丸パイプ材製であって、前側分草
杆３１Ｆ，後側分草杆３１Ｒ同士を連結する中間連結具
３２には、前側分草杆３１Ｆ，後側分草杆３１Ｒの各パ
イプ孔に出退自在に挿入される出退棒部３２ａ，３２ａ
を縦軸芯周りで左右揺動自在に枢着している。尚、前側
分草杆３１Ｆの前端は左側端部の分草具７又は分草具７
の支持杆に枢着しているとともに、後側分草杆３１Ｒの
後端は機体フレーム２の後端近くの左側端箇所に枢着し
ている。そして、図３に示すように、中間連結具３２に
前後揺動自在に枢着したラックギア体３３を左右方向に
出退自在にガイド部材（図示せず）で案内する状態で支
持し、かつ、このラックギア体３３を左右に出退操作す
るためにラックギアに歯合するピニオンギア３５を第２
電動モータ３６で回転駆動自在に設けている。この第２
電動モータ３６は、前述の制御装置２４からの出力信号
に基づいて駆動されるのであり、図３に示すように、通
常の作業時の張り出し位置Ａを越えた外方への張り出し
位置Ｂと、機体側に引退させた収納位置Ｄとにわたって
出退自在に構成している。尚、人手による操作で第２電
動モータ３６を駆動して分草杆３１を出退させても良い
ものに構成しているとともに、機体横側に障害物があっ
て、通常の作業時に張り出し位置Ａを越えて張り出そう
としても張り出せない状態が所定時間以上継続する場合
は、張り出し側への操作を自動的に停止するように構成
している。

【００１７】尚、図４及び図５に示すように、左右方向
に沿ったラックギア３７を、前後方向に沿う軸芯Ｘ周り
で枢支され、かつ遊端部に前記分草杆３１を係止するア
ーム部材３８に連結する構成にしても良い。

【００１８】〔別の実施の形態〕 株元側挾持搬送装置と、穂先側挾持搬送装置とを独
立して各別に駆動する駆動手段を設け、株元側挾持搬送
装置と、穂先側挾持搬送装置とのそれぞれの駆動速度を
検出して、その検出結果に基づいて、相対的な駆動速度
の差を適宜設定するように構成しても良い。 刈取前処理装置の穀稈導入箇所に導入穀稈の存否検
出を行える検出手段を設け、刈り幅のどの位置に穀稈が
導入されているかを判断して、例えば刈り幅の一部のみ
に偏って穀稈が導入される少数条の刈取作業の場合と、
刈り幅全域に穀稈条が導入される通常の刈取作業の場合
とを識別して、株元側挾持搬送装置と、穂先側挾持搬送
装置との相対速度の差を変更調節するようにしても良
い。 向かい刈り作業状態であることと、追い刈り作業状
態であることとを人為的に切り換え設定できるようにし
て、各作業状態に対応するように、穂先側挾持搬送装置
との相対速度の差を変更調節するようにしても良い。 刈り始め時、刈り終わり時、それらの中間の通常の
刈取作業時であることを人為的に切り換え設定できるよ
うにして、各作業時に対応するように、穂先側挾持搬送
装置との相対速度の差を変更調節するようにしても良
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンバインの前部を示す側面図

【図２】要部を示す概略説明図

【図３】コンバインを示す全体平面図

【図４】別の実施の形態の分草杆出退構造を示す縦断正
面図

【図５】別の実施の形態の分草杆出退構造を示す平面図

【符号の説明】

１４ 株元側挾持搬送装置 １５ 穂先側係止搬送装置 １９ 変速装置

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 穂先側係止搬送装置と株元側挾持搬送装
   置とを並設するともとに、前記穂先側係止搬送装置と株
   元側挾持搬送装置との駆動速度の差を変更調節自在に構
   成してあるコンバインの縦搬送装置。
2. 【請求項２】 前記株元側挾持搬送装置から前記穂先側
   係止搬送装置へ伝動する伝動機構を設けるとともに、該
   伝動機構に前記穂先側係止搬送装置を変速して前記株元
   側挾持搬送装置との駆動速度の差を変更調節する変速装
   置を設けてある請求項１記載のコンバインの縦搬送装
   置。