JPH1096093A - 防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法 - Google Patents

防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法

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JPH1096093A
JPH1096093A JP26941396A JP26941396A JPH1096093A JP H1096093 A JPH1096093 A JP H1096093A JP 26941396 A JP26941396 A JP 26941396A JP 26941396 A JP26941396 A JP 26941396A JP H1096093 A JPH1096093 A JP H1096093A
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JP
Japan
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hydrofluoric acid
pickling
pure titanium
nitric acid
concentration
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JP26941396A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Takahashi
一浩 高橋
Tatsuo Yamazaki
達夫 山崎
Junichi Tamenari
純一 爲成
Tomohiro Nishijima
知裕 西嶋
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23GCLEANING OR DE-GREASING OF METALLIC MATERIAL BY CHEMICAL METHODS OTHER THAN ELECTROLYSIS
    • C23G1/00Cleaning or pickling metallic material with solutions or molten salts
    • C23G1/02Cleaning or pickling metallic material with solutions or molten salts with acid solutions
    • C23G1/10Other heavy metals
    • C23G1/106Other heavy metals refractory metals

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  • Metallurgy (AREA)
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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低光沢度で高白色度な防眩性に優れた純チタ
ン薄板を均一に歩留り良く製造する方法を提供する。 【解決手段】 純チタン薄板の表面粗度Raを1.0μ
m以上にして、硝酸とフッ酸の混合水溶液で酸洗するこ
とにより、溶削量が片面10μm程度で光沢度を100
%以下、白色度を75以上にする共に、むらを目立ち難
くすることができる。更に硝酸とフッ酸の混合水溶液の
フッ酸濃度に対する硝酸濃度の比を0.2〜3倍にする
か、或いは結晶粒径を40μm以下にすることにより、
光沢度を50%以下にすることができる。更に硝酸とフ
ッ酸の混合水溶液のフッ酸濃度に対する硝酸濃度の比を
0.2〜3倍にし、且つ結晶粒径を40μm以下にする
ことにより、光沢度を30%以下にすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防眩性に優れた純
チタン薄板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】耐食性に優れているチタンは厳しい腐食
環境である臨海地域や温泉地域の建築物の外壁や屋根等
に使用されている。このように建築物の外装に使用され
る場合、通常の金属光沢では景観上眩しいことから、防
眩性が要求されている。一般に防眩性の指標として光沢
度と白色度が用いられており、光沢度が低く白色度が高
いほど人間の眼には防眩性に優れていると感じる。
【0003】従来、防眩性を付与する方法として、硝酸
とフッ酸の混合水溶液(硝フッ酸水溶液)で酸洗する方
法がある。特開昭63−103056号公報には建材用
途向けの純チタン薄板の製造方法が開示されおり、酸洗
処理を行なっているが、具体的な酸洗条件は提案されて
いない。また、硝フッ酸水溶液の組成やチタンの結晶粒
径を調整することにより、光沢度がGs45°(JIS
Z 8741 の方法4で入射角と受光角が45°の場合
で、鏡のGS45°が1000%に相当する。)で60
%以下、白色度がL* (JIS Z 8729 )で75程度
の低光沢且つ高白色にすることができる。
【0004】しかしながら、一般に粗度の低い平滑なロ
ールで冷間圧延した後に連続焼鈍酸洗するため、十分に
溶削しないと液の濃度や温度のばらつき及び対流の影響
で表面の光沢にばらつきができやすいと共に、冷間圧延
での微細な肌の粗れが不均一にあるために、酸洗後も微
小なすじ模様として残ってしまう。このばらつきやすじ
模様を解消するためには十分に溶削する必要があり、そ
のため歩留が低下する。例えば厚さが0.4mmの板を
片面で20μmずつ溶削した場合、10%も歩留が減少
してしまう。
【0005】また、このばらつきやすじ模様を目立たな
くするために、表面の荒れた圧延ロールでスキンパス圧
延を行なって薄板の表面を荒らす方法が考えられるが、
酸洗で形成した結晶粒単位の微細な凹凸が若干つぶれて
平滑な部分ができるために、Gs45°が80〜100
%に増加してしまうと共に、圧延油の汚れによりL*
70〜71に減少してしまい、防眩性を低下してしま
う。また酸洗仕上げでは結晶粒単位の微細な凹凸しか形
成できないため、景観上もっと目の粗い凹凸が要求され
る場合には製造が困難である。
【0006】さらに、冷延焼鈍板に表面の荒れた圧延ロ
ールでスキンパス圧延を行なう方法がある。冷延後に真
空またはArなどの不活性ガス雰囲気のバッチ炉で焼鈍
した板を用いた場合、スキンパス圧延前のGs45°が
200%程度有り、荒れた圧延ロールでスキンパス圧延
することにより、Gs45°を30〜60%程度に低下
することができる。しかしながら、L* は65程度であ
り、酸洗した場合に比べ黒っぽい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】防眩性として要求され
るGs45°とL* は、建材向けステンレス薄板を参考
にすると一般にGs45°が100%以下、望ましくは
50%以下で、L* が73以上と考えられる。したがっ
て、本発明はGs45°が100%以下、更には50%
以下で、且つL* が73以上の防眩性に優れた純チタン
薄板を均一に歩留良く製造する方法を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は以下の構成を要旨とする。すなわち、 (1)表面粗度Raが1μm以上の純チタンのコイルま
たは薄板を、硝酸とフッ酸の混合水溶液で酸洗すること
を特徴とする防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法。 (2)冷間圧延後に焼鈍した純チタンのコイルまたは薄
板を、表面粗度Raが1.3μm以上の圧延ロールを用
いて、伸び率1.0%以上のスキンパス圧延を行い、続
いて硝酸とフッ酸の混合水溶液で酸洗することを特徴と
する防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法。 (3)硝酸とフッ酸の混合水溶液において、フッ酸濃度
を3〜100(g/l) 、硝酸濃度をフッ酸濃度の0.2〜
5.0倍、好ましくは0.2〜3.0倍とすることを特
徴とする上記 (1)または(2) 記載の防眩性に優れた純チ
タン薄板の製造方法。 (4)硝酸とフッ酸の混合水溶液で溶削する純チタンの
コイルまたは薄板の表層部の結晶粒径を40μm以下と
することを特徴とする上記 (1)または(2) 記載の防眩性
に優れた純チタン薄板の製造方法。 (5)硝酸とフッ酸の混合水溶液で溶削する純チタンの
コイルまたは薄板の表層部の結晶粒径を40μm以下に
し、且つ硝酸とフッ酸の混合水溶液におけるフッ酸濃度
を3〜100(g/l) 、硝酸濃度をフッ酸濃度の0.2〜
5.0倍、好ましくは0.2〜3.0倍とすることを特
徴とする上記 (1)または(2) 記載の防眩性に優れた純チ
タン薄板の製造方法、である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。硝フッ酸酸洗前の純チタン薄板の表面粗度Raを1
μm以上にすることにより、酸洗では形成し難い深い凹
凸が既にあるため、一般的な真空またはAr雰囲気で焼
鈍したRaが0.3μm程度の平滑な表面と比べ光沢度
が低く、平滑な表面を硝フッ酸水溶液で溶削するよりも
短時間で、つまり少ない溶削量でGs45゜とL* が目
標値に達する。また少ない溶削量で溶削によるGs45
゜とL* の変化が小さい領域に達するため、Gs45゜
とL* のばらつきを比較的小さくできる。更に、少ない
溶削量でも元々あるRa1μm以上の凹凸により、冷間
圧延時やスキンパス圧延時に発生する微細なすじ模様や
光沢のばらつきが目立ち難くなる。
【0010】また連続焼鈍酸洗で焼鈍する場合には、溶
削量を脱スケールだけを行う最小限度に抑えて、その後
に表面の荒れた圧延ロールでスキンパス圧延してRa1
μm以上の深い凹凸を形成することにより、表面のむら
やばらつき、すじ模様の残存を目立ち難くし、その後に
再度硝フッ酸水溶液で酸洗することにより、連続焼鈍酸
洗仕上げよりも歩留り良くGs45°を低減しL* を増
加できる。
【0011】この方法では、連続焼鈍酸洗仕上げに比べ
スキンパス圧延の工程が増えるが、単位重量当たりの素
材単価が高いチタンにおいては、溶削による歩留りの低
下を抑える方がトータルで製造コストを低減できる。ま
た上述したように、Ra1μm以上の深い凹凸により、
最後の酸洗でのむらやばらつきを比較的目立ち難くでき
る。更に、景観上の要求として深い凹凸を付与すること
もできる。
【0012】図1に、Ar雰囲気でバッチ焼鈍した結晶
粒径が45μmの純チタンの薄板を、表面粗度の異なる
圧延ロールでスキンパス圧延することにより種々のRa
に調整した後、硝フッ酸水溶液で酸洗した場合の溶削量
に対するGs45°の変化を示す。また図2に溶削量に
対するL* の変化を示す。ここで、スキンパス圧延のロ
ールはショットブラストにより表面を荒らした。酸洗の
条件は硝フッ酸水溶液の硝酸濃度が100(g/l) 、フッ
酸濃度が20(g/l) 、液温が40℃である。
【0013】図1より、Gs45°が安定して100%
以下になるのに必要な溶削量は、酸洗前のRaが1.0
μmの場合には片面約10μm以上で、Raが0.3μ
mと0.7μmの場合には約20μm以上も必要であ
る。これは、酸洗前の表面粗度が高いほど表面の凹凸が
深く、光をより乱反射するために元々光沢度が低く、酸
洗により元々ある深い凹凸に結晶粒単位の微細な凹凸が
付与されるためである。またRaが大きい薄板の方が、
より少ない溶削量でGs45°の変化が小さい領域に達
する。
【0014】図2より、L* は酸洗前に65と低い値で
あったが、硝フッ酸水溶液で酸洗することにより、いず
れも片面約5μmという比較的少ない溶削量で73以上
になり、スキンパス圧延で付与した表面粗度の程度によ
る差はほとんどない。これは僅かな溶削で表面に残存し
ている油分による汚れが除去されると共に、酸洗により
極微細な凹凸が形成され可視光波長を散乱するためであ
る。Raが2.1μmの場合には、スキンパス圧延後で
既にGs45°は100%以下であるが、L*が67で
あり、硝フッ酸酸洗により5μm程度溶削することによ
り、L* が75に増加する。また光沢や白さのむらやす
じ模様は、酸洗前の表面のRaが0.3μmと0.7μ
mでは目立ち易いが、Raが1.0μm以上の場合には
目立ち難い。
【0015】図3に、連続焼鈍酸洗により脱スケールで
きる最小限の溶削量である片面約4μmで酸洗した後、
表面を粗らした圧延ロールでスキンパス圧延して、薄板
の表面粗度を0.5、1.1、2.1μmにして硝フッ
酸水溶液で仕上げ酸洗した場合の、溶削量に対するGs
45°の変化を示す。また図4に溶削量に対するL*
変化を示す。ここで焼鈍後の結晶粒径は18μmであ
る。スキンパス圧延のロールはショットブラストにより
表面を荒らした。最初の連続焼鈍酸洗後の薄板のGs4
5°は81%で、L* は75である。酸洗の条件は硝フ
ッ酸水溶液の硝酸濃度が100(g/l) でフッ酸濃度が2
0(g/l) 、液温が40℃である。
【0016】本薄板を連続焼鈍酸洗で片面20μm溶削
したときのGs45°が40%で、L* が75.3であ
ることから、スキンパス圧延後に硝フッ酸水溶液で仕上
げ酸洗した際の目標の光沢度をGs45°で40%以
下、白色度をL* で75以上とする。
【0017】図3、図4より、薄板のRaが0.5μm
の場合、スキンパス圧延によりGs45°が131%に
増加し、L* が70に低下しており、硝フッ酸水溶液で
仕上げ酸洗した後のGs45°が40%以下になる溶削
量は片面15μm以上である。一方、薄板のRaが1.
1μm及び2.1μmの場合、スキンパス圧延によりG
s45°が109%と85%になり、L* が71以下に
低下しており、硝フッ酸水溶液で仕上げ酸洗した後のG
s45°が40%以下になる溶削量は片面7μm以上で
ある。また低下してしまったL* は5μm程度の溶削で
75に戻る。
【0018】トータルの溶削量は酸洗前の薄板の表面粗
度がRaで0.5μmの場合、片面19μmと連続焼鈍
酸洗でばらつきを避けるための溶削量である片面20μ
mとほとんど変わらないが、Raが1.1μm以上の場
合には、片面約11μmと約9μm溶削量を低減でき
る。また光沢や白さのむらやすじ模様は、酸洗前の表面
のRaが0.5μmでは目立ち易いが、Raが1.1μ
m以上の場合には、目立ち難い。
【0019】従って、焼鈍を真空やArなどの不活性ガ
ス雰囲気でバッチ焼鈍した場合には、溶削量10〜20
μmでGs45°を100%以下、L* を73以上に
し、且つむらやすじ模様を目立ち難くするために、また
焼鈍を連続焼鈍酸洗で行った場合には、溶削量が7〜1
5μmでGs45°が40%以下、L* が73以上に
し、且つむらやすじ模様を目立ち難くするために、硝フ
ッ酸酸洗前の薄板の表面粗度Raを1.0μm以上とし
た。好ましくはRa1.5μm以上である。
【0020】酸洗前に薄板の表面のRaを1μm以上に
する方法として、冷間圧延の圧延ロールを荒らしたり薄
板の表面にショットブラストをする等が考えられるが、
均一に能率よく薄板の表面を粗らす方法として、表面の
粗れた圧延ロールで焼鈍後にスキンパス圧延するのが良
い。スキンパス圧延により薄板の表面のRaを1μm以
上にするために、冷間圧延後に焼鈍して軟化した後に、
圧延ロールのRaを1.3μm以上で、伸び率を1.0
%以上でスキンパス圧延することとした。これよりスキ
ンパス圧延の圧延ロールの粗度が低かったり、伸び率が
小さいと、薄板の表面にRa1.0μm以上の凹凸を転
写するのは困難である。
【0021】表面粗度Raが1.0μm以上の純チタン
薄板を酸洗する硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度に対する硝
酸濃度の比が小さいほど、チタンの結晶方位による溶解
速度の異方性が大きくなるために、より粗れた微細な凹
凸が形成され、硝酸濃度が増加すると平滑な表面にな
る。硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度に対する硝酸濃度の比
が0.2倍未満の場合、酸化性の酸である硝酸が少ない
ために茶色の汚れが発生し、白さを損なう。従って、
0.2倍以上が必要となる。
【0022】一方、Gs45°を100%以下にするた
めには5.0倍以下にしなければならない。5.0倍を
超える場合、酸洗により形成される結晶粒単位の微細な
凹凸が比較的平滑なために、望ましい防眩性が得られな
い。好ましくは3.0倍以下にすることにより、Gs4
5°を50%以下にすることができる。すなわち、0.
2〜3.0倍の場合、結晶粒単位の微細な凹凸がより荒
れるため、Gs45°が50%以下になる。
【0023】また表面粗度Raが0.3μm程度の平滑
な表面を硝フッ酸酸洗により微細な凹凸を形成しGs4
5°を50%以下にするには、フッ酸濃度に対する硝酸
濃度の比は0.3〜1.5倍が望ましいが、表面粗度R
aが1.0μm以上ある場合には、フッ酸濃度に対する
硝酸濃度の比は1.5〜3.0倍でも、元々ある深い凹
凸で光沢が低下しているために光沢の低下幅が小さくて
良く、Gs45°を50%以下にできる。従って、Gs
45°を100%以下、好ましくは50%以下にするた
めに、表面粗度Raが1.0μm以上の純チタン薄板を
酸洗する硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度に対する硝酸濃度
の比を0.2〜5.0倍、好ましくは0.2〜3.0倍
とした。更に好ましくは0.5〜1.5倍である。
【0024】また、現実的には酸洗時間は5分程度以下
であることから、フッ酸濃度が3g/l 未満では溶削速度
が遅すぎ、フッ酸濃度が100g/l 超では反応が激しす
ぎて液温が急激に上昇し、光沢にむらが発生し易くなる
ため、硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度を3〜100g/l と
した。好ましくは15〜60g/l である。
【0025】硝フッ酸水溶液で酸洗すると結晶粒単位の
微細な凹凸が形成されるため、結晶粒が小さいほど単位
面積当たりの凹凸の個数が多くなり、光をより乱反射し
て光沢が低減する。硝フッ酸水溶液で溶削される表層部
の結晶粒径が40μm超の場合、酸洗後のGs45°は
100%を超えることがあり、特に50%以下という低
い値にはならない。すなわち、40μm以下の場合、酸
洗後のGs45°が50%以下になる。従って、好まし
くはGs45°を50%以下にするために、表面粗度R
aが1.0μm以上の純チタン薄板の表層部の結晶粒径
を40μm以下とした。更に好ましくは25μm以下で
ある。この40μm以下の結晶粒径に調整する焼鈍方法
は、連続焼鈍と真空まはたAr中でのバッチ焼鈍があ
り、より均一な細粒を得る方法として、短時間で焼鈍で
きる連続焼鈍が望ましい。
【0026】また、安定して更に低い光沢度Gs45°
で30%以下を得るために、純チタン薄板の表面粗度R
aを1.0μm以上、酸洗で溶削する表層部の結晶粒径
を40μm以下として、酸洗する硝フッ酸水溶液のフッ
酸濃度を3〜100g/l 、硝酸濃度をフッ酸濃度の0.
2〜3.0倍とした。更に好ましくは結晶粒径が25μ
m以下、硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度が15〜60g/l
で、硝酸濃度がフッ酸濃度の0.5〜1.5倍である。
【0027】
【実施例】以下の実施例により、本発明をさらに詳しく
説明する。厚さ3mmの工業用純チタン(JIS1種)
の板を厚さ0.4mmに冷間圧延した後、以下に示すよ
うな工程A、工程Bで板を製造し表面肌を調査した。 工程A:冷間圧延→Arガス雰囲気での焼鈍→スキンパ
ス圧延→仕上げ硝フッ酸酸洗 工程B:冷間圧延→大気焼鈍→ソルト処理→硝フッ酸酸
洗→スキンパス圧延→仕上げ硝フッ酸酸洗
【0028】ここで工程Bの大気焼鈍→ソルト処理→硝
フッ酸酸洗の工程は、連続焼鈍酸洗に相当しており、ソ
ルト処理は水酸化ナトリウムを主成分とし硝酸ナトリウ
ムを酸化剤として含有したものを使用し、500℃で3
0秒間浸漬した。また次工程での硝フッ酸酸洗条件は、
硝酸濃度が100(g/l) でフッ酸濃度が20(g/l) 、液
温が40℃である。
【0029】表1(表1−1、表1−2)に焼鈍後の結
晶粒径、スキンパス圧延の条件、スキンパス圧延後の表
面粗度Ra、硝フッ酸酸洗の条件(液の濃度と温度)、
溶削量、焼鈍後とスキンパス圧延後と仕上げ硝フッ酸酸
洗後の光沢度Gs45°(JIS Z 8741 の方法4で
入射角45°の場合)と白色度L* (JIS Z 8729
)、表面のむら・汚れ・すじ模様の目視による評価、
等を示す。ここで結晶粒径は板の表面から深さ約10μ
mの位置で測定した。溶削量は硝フッ酸酸洗の前後での
純チタン薄板の重量変化から換算した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】表1の結果より、工程Aの場合、比較例で
あるNo.1〜5に示すように、スキンパス圧延後の板
の表面粗度Raが0.7μm以下と小さい場合には、ス
キンパス圧延後のGs45°は130%以上と高く、仕
上げ酸洗で10〜15μmしか溶削していないNo.
1,3,5はGs45°が138%以上と高く、Gs4
5°を100以下にするにはNo.2,4のように20
μm以上も溶削する必要が有り、連続焼鈍酸洗のみで製
造したNo.24の溶削量20μmとほとんど変わらず
歩留りが改善していない。またNo.1〜5のスキンパ
ス圧延後のL* は65〜66程度と低いが、仕上げ酸洗
により75まで増加する。
【0033】一方、No.6〜13,15〜22のよう
に、スキンパス圧延後の板の表面粗度Raが1.0μm
以上と大きい場合には、スキンパス圧延後のGs45°
は70〜122%と比較的低く、仕上げ酸洗で10μm
程度溶削すればGs45°は100%以下になり、且つ
* は75以上になる。これはスキンパス圧延により形
成された深い凹凸によりGs45°が元々低いためであ
る。この深い凹凸によりむらやすじ模様が目立ち難くな
っている。
【0034】また仕上げ酸洗のフッ酸濃度に対する硝酸
濃度の比が0.2〜3であるNo.10〜13は、仕上
げ酸洗で10μm前後溶削することによりGs45°が
50%以下になる。これはフッ酸濃度に対する硝酸濃度
の比が小さいほど溶解速度の結晶方位異方性が高まり、
より粗い凹凸が形成されるためである。しかしフッ酸濃
度に対する硝酸濃度の比が0.1のNo.14,23
は、酸化性の酸である硝酸が少ないために汚れが発生
し、L* が66程度と低い。
【0035】結晶粒径が32μmと若干小さく、且つス
キンパス圧延後のRaが2.1μmのNo.18〜22
は、仕上げ酸洗で10μm前後溶削することによりGs
45°が50%以下になる。これは、結晶粒が小さいた
めに仕上げ酸洗で形成される単位長さ当たりの微細な凹
凸の数が多くなり、光がより乱反射されるためである。
また仕上げ酸洗後のL* は75以上になる。
【0036】更に結晶粒径が32μmでスキンパス圧延
後のRaが2.1μmで、仕上げ酸洗のフッ酸濃度に対
する硝酸濃度の比が0.2〜3であるNo.19〜22
は、仕上げ酸洗で10μm前後溶削することによりGs
45°が30%以下になる。また仕上げ酸洗後のL*
75以上になる。これは、結晶粒が小さい効果と硝酸濃
度が小さい効果が重なっているためである。
【0037】工程Bの場合は、連続焼鈍酸洗でスキンパ
ス圧延前の板を製造しており、一般的な場合がNo.2
4に相当する。No.24は連続焼鈍酸洗で20μm溶
削しており、Gs45°が40%でL* が75と防眩性
に優れており、このGs45°とL* の値を基準にして
以下を比較する。No.25は連続焼鈍酸洗での溶削量
を4μmに低下させた場合であり、Gs45°が81%
と、基準となるNo.24よりは高く、むらやすじ模様
も目立つ。
【0038】No.24をスキンパス圧延してRaを
0.5μmにしたNo.26は、スキンパス圧延により
Gs45°が131%に増加すると共にL* も70に低
下してしまい、仕上げ酸洗で10μm溶削しても、基準
となるNo.24のGs45°である40%には達しな
い。No.24をスキンパス圧延してRaを1.1μm
と2.1μmにしたNo.27とNo.29〜31は、
スキンパス圧延によりGs45°は各々109%と85
%で、L* が71以下に低下するが、仕上げ酸洗で10
μm前後溶削することにより、Gs45°が40%以下
で、L* が75以上になる。したがって溶削量をトータ
ルした総溶削量(連続焼鈍酸洗の溶削量+仕上げ酸洗の
溶削量)が11〜14μmで、基準となるNo.24の
溶削量20μmより小さく、同程度のGs45°とL*
を得るのに歩留り良く製造できる。
【0039】また結晶粒径が18μmでスキンパス圧延
後のRaが2.1μmで、仕上げ酸洗のフッ酸濃度に対
する硝酸濃度の比が1であるNo.31は、仕上げ酸洗
で10μm溶削することにより、Gs45°が21%に
なる。これは、結晶粒が小さい効果と硝酸濃度が小さい
効果とが重なっているためである。
【0040】
【発明の効果】本発明を適用することにより、光沢度G
s45°が100%以下、更には50%以下で、且つ白
色度L* が73以上の防眩性に優れた純チタン薄板を均
一に歩留良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各表面粗度における硝フッ酸酸洗の溶削量と光
沢度Gs45°の関係を示す図。
【図2】各表面粗度における硝フッ酸酸洗の溶削量と白
色度L* の関係を示す図。
【図3】各表面粗度における硝フッ酸酸洗の溶削量と光
沢度Gs45°の関係を示す図。
【図4】各表面粗度における硝フッ酸酸洗の溶削量と白
色度L* の関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西嶋 知裕 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面粗度Raが1μm以上の純チタンの
    コイルまたは薄板を、硝酸とフッ酸の混合水溶液で酸洗
    することを特徴とする防眩性に優れた純チタン薄板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 冷間圧延後に焼鈍した純チタンのコイル
    または薄板を、表面粗度Raが1.3μm以上の圧延ロ
    ールを用いて、伸び率1.0%以上のスキンパス圧延を
    行い、続いて硝酸とフッ酸の混合水溶液で酸洗すること
    を特徴とする防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法。
  3. 【請求項3】 硝酸とフッ酸の混合水溶液において、フ
    ッ酸濃度を3〜100(g/l) 、硝酸濃度をフッ酸濃度の
    0.2〜5.0倍とすることを特徴とする請求項1また
    は2記載の防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法。
  4. 【請求項4】 硝酸濃度をフッ酸濃度の0.2〜3.0
    倍とすることを特徴とする請求項3記載の防眩性に優れ
    た純チタン薄板の製造方法。
  5. 【請求項5】 硝酸とフッ酸の混合水溶液で溶削する純
    チタンのコイルまたは薄板の表層部の結晶粒径を40μ
    m以下とすることを特徴とする請求項1または2記載の
    防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法。
  6. 【請求項6】 硝酸とフッ酸の混合水溶液で溶削する純
    チタンのコイルまたは薄板の表層部の結晶粒径を40μ
    m以下にし、且つ硝酸とフッ酸の混合水溶液におけるフ
    ッ酸濃度を3〜100(g/l) 、硝酸濃度をフッ酸濃度の
    0.2〜5.0倍とすることを特徴とする請求項1また
    は2記載の防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法。
  7. 【請求項7】 硝酸濃度をフッ酸濃度の0.2〜3.0
    倍とすることすることを特徴とする請求項6記載の防眩
    性に優れた純チタン薄板の製造方法。
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