JPH1096093A - 防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法 - Google Patents
防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法Info
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- JPH1096093A JPH1096093A JP26941396A JP26941396A JPH1096093A JP H1096093 A JPH1096093 A JP H1096093A JP 26941396 A JP26941396 A JP 26941396A JP 26941396 A JP26941396 A JP 26941396A JP H1096093 A JPH1096093 A JP H1096093A
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- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23G—CLEANING OR DE-GREASING OF METALLIC MATERIAL BY CHEMICAL METHODS OTHER THAN ELECTROLYSIS
- C23G1/00—Cleaning or pickling metallic material with solutions or molten salts
- C23G1/02—Cleaning or pickling metallic material with solutions or molten salts with acid solutions
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- Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 低光沢度で高白色度な防眩性に優れた純チタ
ン薄板を均一に歩留り良く製造する方法を提供する。 【解決手段】 純チタン薄板の表面粗度Raを1.0μ
m以上にして、硝酸とフッ酸の混合水溶液で酸洗するこ
とにより、溶削量が片面10μm程度で光沢度を100
%以下、白色度を75以上にする共に、むらを目立ち難
くすることができる。更に硝酸とフッ酸の混合水溶液の
フッ酸濃度に対する硝酸濃度の比を0.2〜3倍にする
か、或いは結晶粒径を40μm以下にすることにより、
光沢度を50%以下にすることができる。更に硝酸とフ
ッ酸の混合水溶液のフッ酸濃度に対する硝酸濃度の比を
0.2〜3倍にし、且つ結晶粒径を40μm以下にする
ことにより、光沢度を30%以下にすることができる。
ン薄板を均一に歩留り良く製造する方法を提供する。 【解決手段】 純チタン薄板の表面粗度Raを1.0μ
m以上にして、硝酸とフッ酸の混合水溶液で酸洗するこ
とにより、溶削量が片面10μm程度で光沢度を100
%以下、白色度を75以上にする共に、むらを目立ち難
くすることができる。更に硝酸とフッ酸の混合水溶液の
フッ酸濃度に対する硝酸濃度の比を0.2〜3倍にする
か、或いは結晶粒径を40μm以下にすることにより、
光沢度を50%以下にすることができる。更に硝酸とフ
ッ酸の混合水溶液のフッ酸濃度に対する硝酸濃度の比を
0.2〜3倍にし、且つ結晶粒径を40μm以下にする
ことにより、光沢度を30%以下にすることができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防眩性に優れた純
チタン薄板の製造方法に関する。
チタン薄板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】耐食性に優れているチタンは厳しい腐食
環境である臨海地域や温泉地域の建築物の外壁や屋根等
に使用されている。このように建築物の外装に使用され
る場合、通常の金属光沢では景観上眩しいことから、防
眩性が要求されている。一般に防眩性の指標として光沢
度と白色度が用いられており、光沢度が低く白色度が高
いほど人間の眼には防眩性に優れていると感じる。
環境である臨海地域や温泉地域の建築物の外壁や屋根等
に使用されている。このように建築物の外装に使用され
る場合、通常の金属光沢では景観上眩しいことから、防
眩性が要求されている。一般に防眩性の指標として光沢
度と白色度が用いられており、光沢度が低く白色度が高
いほど人間の眼には防眩性に優れていると感じる。
【0003】従来、防眩性を付与する方法として、硝酸
とフッ酸の混合水溶液(硝フッ酸水溶液)で酸洗する方
法がある。特開昭63−103056号公報には建材用
途向けの純チタン薄板の製造方法が開示されおり、酸洗
処理を行なっているが、具体的な酸洗条件は提案されて
いない。また、硝フッ酸水溶液の組成やチタンの結晶粒
径を調整することにより、光沢度がGs45°(JIS
Z 8741 の方法4で入射角と受光角が45°の場合
で、鏡のGS45°が1000%に相当する。)で60
%以下、白色度がL* (JIS Z 8729 )で75程度
の低光沢且つ高白色にすることができる。
とフッ酸の混合水溶液(硝フッ酸水溶液)で酸洗する方
法がある。特開昭63−103056号公報には建材用
途向けの純チタン薄板の製造方法が開示されおり、酸洗
処理を行なっているが、具体的な酸洗条件は提案されて
いない。また、硝フッ酸水溶液の組成やチタンの結晶粒
径を調整することにより、光沢度がGs45°(JIS
Z 8741 の方法4で入射角と受光角が45°の場合
で、鏡のGS45°が1000%に相当する。)で60
%以下、白色度がL* (JIS Z 8729 )で75程度
の低光沢且つ高白色にすることができる。
【0004】しかしながら、一般に粗度の低い平滑なロ
ールで冷間圧延した後に連続焼鈍酸洗するため、十分に
溶削しないと液の濃度や温度のばらつき及び対流の影響
で表面の光沢にばらつきができやすいと共に、冷間圧延
での微細な肌の粗れが不均一にあるために、酸洗後も微
小なすじ模様として残ってしまう。このばらつきやすじ
模様を解消するためには十分に溶削する必要があり、そ
のため歩留が低下する。例えば厚さが0.4mmの板を
片面で20μmずつ溶削した場合、10%も歩留が減少
してしまう。
ールで冷間圧延した後に連続焼鈍酸洗するため、十分に
溶削しないと液の濃度や温度のばらつき及び対流の影響
で表面の光沢にばらつきができやすいと共に、冷間圧延
での微細な肌の粗れが不均一にあるために、酸洗後も微
小なすじ模様として残ってしまう。このばらつきやすじ
模様を解消するためには十分に溶削する必要があり、そ
のため歩留が低下する。例えば厚さが0.4mmの板を
片面で20μmずつ溶削した場合、10%も歩留が減少
してしまう。
【0005】また、このばらつきやすじ模様を目立たな
くするために、表面の荒れた圧延ロールでスキンパス圧
延を行なって薄板の表面を荒らす方法が考えられるが、
酸洗で形成した結晶粒単位の微細な凹凸が若干つぶれて
平滑な部分ができるために、Gs45°が80〜100
%に増加してしまうと共に、圧延油の汚れによりL*が
70〜71に減少してしまい、防眩性を低下してしま
う。また酸洗仕上げでは結晶粒単位の微細な凹凸しか形
成できないため、景観上もっと目の粗い凹凸が要求され
る場合には製造が困難である。
くするために、表面の荒れた圧延ロールでスキンパス圧
延を行なって薄板の表面を荒らす方法が考えられるが、
酸洗で形成した結晶粒単位の微細な凹凸が若干つぶれて
平滑な部分ができるために、Gs45°が80〜100
%に増加してしまうと共に、圧延油の汚れによりL*が
70〜71に減少してしまい、防眩性を低下してしま
う。また酸洗仕上げでは結晶粒単位の微細な凹凸しか形
成できないため、景観上もっと目の粗い凹凸が要求され
る場合には製造が困難である。
【0006】さらに、冷延焼鈍板に表面の荒れた圧延ロ
ールでスキンパス圧延を行なう方法がある。冷延後に真
空またはArなどの不活性ガス雰囲気のバッチ炉で焼鈍
した板を用いた場合、スキンパス圧延前のGs45°が
200%程度有り、荒れた圧延ロールでスキンパス圧延
することにより、Gs45°を30〜60%程度に低下
することができる。しかしながら、L* は65程度であ
り、酸洗した場合に比べ黒っぽい。
ールでスキンパス圧延を行なう方法がある。冷延後に真
空またはArなどの不活性ガス雰囲気のバッチ炉で焼鈍
した板を用いた場合、スキンパス圧延前のGs45°が
200%程度有り、荒れた圧延ロールでスキンパス圧延
することにより、Gs45°を30〜60%程度に低下
することができる。しかしながら、L* は65程度であ
り、酸洗した場合に比べ黒っぽい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】防眩性として要求され
るGs45°とL* は、建材向けステンレス薄板を参考
にすると一般にGs45°が100%以下、望ましくは
50%以下で、L* が73以上と考えられる。したがっ
て、本発明はGs45°が100%以下、更には50%
以下で、且つL* が73以上の防眩性に優れた純チタン
薄板を均一に歩留良く製造する方法を提供することを目
的とする。
るGs45°とL* は、建材向けステンレス薄板を参考
にすると一般にGs45°が100%以下、望ましくは
50%以下で、L* が73以上と考えられる。したがっ
て、本発明はGs45°が100%以下、更には50%
以下で、且つL* が73以上の防眩性に優れた純チタン
薄板を均一に歩留良く製造する方法を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は以下の構成を要旨とする。すなわち、 (1)表面粗度Raが1μm以上の純チタンのコイルま
たは薄板を、硝酸とフッ酸の混合水溶液で酸洗すること
を特徴とする防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法。 (2)冷間圧延後に焼鈍した純チタンのコイルまたは薄
板を、表面粗度Raが1.3μm以上の圧延ロールを用
いて、伸び率1.0%以上のスキンパス圧延を行い、続
いて硝酸とフッ酸の混合水溶液で酸洗することを特徴と
する防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法。 (3)硝酸とフッ酸の混合水溶液において、フッ酸濃度
を3〜100(g/l) 、硝酸濃度をフッ酸濃度の0.2〜
5.0倍、好ましくは0.2〜3.0倍とすることを特
徴とする上記 (1)または(2) 記載の防眩性に優れた純チ
タン薄板の製造方法。 (4)硝酸とフッ酸の混合水溶液で溶削する純チタンの
コイルまたは薄板の表層部の結晶粒径を40μm以下と
することを特徴とする上記 (1)または(2) 記載の防眩性
に優れた純チタン薄板の製造方法。 (5)硝酸とフッ酸の混合水溶液で溶削する純チタンの
コイルまたは薄板の表層部の結晶粒径を40μm以下に
し、且つ硝酸とフッ酸の混合水溶液におけるフッ酸濃度
を3〜100(g/l) 、硝酸濃度をフッ酸濃度の0.2〜
5.0倍、好ましくは0.2〜3.0倍とすることを特
徴とする上記 (1)または(2) 記載の防眩性に優れた純チ
タン薄板の製造方法、である。
に、本発明は以下の構成を要旨とする。すなわち、 (1)表面粗度Raが1μm以上の純チタンのコイルま
たは薄板を、硝酸とフッ酸の混合水溶液で酸洗すること
を特徴とする防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法。 (2)冷間圧延後に焼鈍した純チタンのコイルまたは薄
板を、表面粗度Raが1.3μm以上の圧延ロールを用
いて、伸び率1.0%以上のスキンパス圧延を行い、続
いて硝酸とフッ酸の混合水溶液で酸洗することを特徴と
する防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法。 (3)硝酸とフッ酸の混合水溶液において、フッ酸濃度
を3〜100(g/l) 、硝酸濃度をフッ酸濃度の0.2〜
5.0倍、好ましくは0.2〜3.0倍とすることを特
徴とする上記 (1)または(2) 記載の防眩性に優れた純チ
タン薄板の製造方法。 (4)硝酸とフッ酸の混合水溶液で溶削する純チタンの
コイルまたは薄板の表層部の結晶粒径を40μm以下と
することを特徴とする上記 (1)または(2) 記載の防眩性
に優れた純チタン薄板の製造方法。 (5)硝酸とフッ酸の混合水溶液で溶削する純チタンの
コイルまたは薄板の表層部の結晶粒径を40μm以下に
し、且つ硝酸とフッ酸の混合水溶液におけるフッ酸濃度
を3〜100(g/l) 、硝酸濃度をフッ酸濃度の0.2〜
5.0倍、好ましくは0.2〜3.0倍とすることを特
徴とする上記 (1)または(2) 記載の防眩性に優れた純チ
タン薄板の製造方法、である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。硝フッ酸酸洗前の純チタン薄板の表面粗度Raを1
μm以上にすることにより、酸洗では形成し難い深い凹
凸が既にあるため、一般的な真空またはAr雰囲気で焼
鈍したRaが0.3μm程度の平滑な表面と比べ光沢度
が低く、平滑な表面を硝フッ酸水溶液で溶削するよりも
短時間で、つまり少ない溶削量でGs45゜とL* が目
標値に達する。また少ない溶削量で溶削によるGs45
゜とL* の変化が小さい領域に達するため、Gs45゜
とL* のばらつきを比較的小さくできる。更に、少ない
溶削量でも元々あるRa1μm以上の凹凸により、冷間
圧延時やスキンパス圧延時に発生する微細なすじ模様や
光沢のばらつきが目立ち難くなる。
る。硝フッ酸酸洗前の純チタン薄板の表面粗度Raを1
μm以上にすることにより、酸洗では形成し難い深い凹
凸が既にあるため、一般的な真空またはAr雰囲気で焼
鈍したRaが0.3μm程度の平滑な表面と比べ光沢度
が低く、平滑な表面を硝フッ酸水溶液で溶削するよりも
短時間で、つまり少ない溶削量でGs45゜とL* が目
標値に達する。また少ない溶削量で溶削によるGs45
゜とL* の変化が小さい領域に達するため、Gs45゜
とL* のばらつきを比較的小さくできる。更に、少ない
溶削量でも元々あるRa1μm以上の凹凸により、冷間
圧延時やスキンパス圧延時に発生する微細なすじ模様や
光沢のばらつきが目立ち難くなる。
【0010】また連続焼鈍酸洗で焼鈍する場合には、溶
削量を脱スケールだけを行う最小限度に抑えて、その後
に表面の荒れた圧延ロールでスキンパス圧延してRa1
μm以上の深い凹凸を形成することにより、表面のむら
やばらつき、すじ模様の残存を目立ち難くし、その後に
再度硝フッ酸水溶液で酸洗することにより、連続焼鈍酸
洗仕上げよりも歩留り良くGs45°を低減しL* を増
加できる。
削量を脱スケールだけを行う最小限度に抑えて、その後
に表面の荒れた圧延ロールでスキンパス圧延してRa1
μm以上の深い凹凸を形成することにより、表面のむら
やばらつき、すじ模様の残存を目立ち難くし、その後に
再度硝フッ酸水溶液で酸洗することにより、連続焼鈍酸
洗仕上げよりも歩留り良くGs45°を低減しL* を増
加できる。
【0011】この方法では、連続焼鈍酸洗仕上げに比べ
スキンパス圧延の工程が増えるが、単位重量当たりの素
材単価が高いチタンにおいては、溶削による歩留りの低
下を抑える方がトータルで製造コストを低減できる。ま
た上述したように、Ra1μm以上の深い凹凸により、
最後の酸洗でのむらやばらつきを比較的目立ち難くでき
る。更に、景観上の要求として深い凹凸を付与すること
もできる。
スキンパス圧延の工程が増えるが、単位重量当たりの素
材単価が高いチタンにおいては、溶削による歩留りの低
下を抑える方がトータルで製造コストを低減できる。ま
た上述したように、Ra1μm以上の深い凹凸により、
最後の酸洗でのむらやばらつきを比較的目立ち難くでき
る。更に、景観上の要求として深い凹凸を付与すること
もできる。
【0012】図1に、Ar雰囲気でバッチ焼鈍した結晶
粒径が45μmの純チタンの薄板を、表面粗度の異なる
圧延ロールでスキンパス圧延することにより種々のRa
に調整した後、硝フッ酸水溶液で酸洗した場合の溶削量
に対するGs45°の変化を示す。また図2に溶削量に
対するL* の変化を示す。ここで、スキンパス圧延のロ
ールはショットブラストにより表面を荒らした。酸洗の
条件は硝フッ酸水溶液の硝酸濃度が100(g/l) 、フッ
酸濃度が20(g/l) 、液温が40℃である。
粒径が45μmの純チタンの薄板を、表面粗度の異なる
圧延ロールでスキンパス圧延することにより種々のRa
に調整した後、硝フッ酸水溶液で酸洗した場合の溶削量
に対するGs45°の変化を示す。また図2に溶削量に
対するL* の変化を示す。ここで、スキンパス圧延のロ
ールはショットブラストにより表面を荒らした。酸洗の
条件は硝フッ酸水溶液の硝酸濃度が100(g/l) 、フッ
酸濃度が20(g/l) 、液温が40℃である。
【0013】図1より、Gs45°が安定して100%
以下になるのに必要な溶削量は、酸洗前のRaが1.0
μmの場合には片面約10μm以上で、Raが0.3μ
mと0.7μmの場合には約20μm以上も必要であ
る。これは、酸洗前の表面粗度が高いほど表面の凹凸が
深く、光をより乱反射するために元々光沢度が低く、酸
洗により元々ある深い凹凸に結晶粒単位の微細な凹凸が
付与されるためである。またRaが大きい薄板の方が、
より少ない溶削量でGs45°の変化が小さい領域に達
する。
以下になるのに必要な溶削量は、酸洗前のRaが1.0
μmの場合には片面約10μm以上で、Raが0.3μ
mと0.7μmの場合には約20μm以上も必要であ
る。これは、酸洗前の表面粗度が高いほど表面の凹凸が
深く、光をより乱反射するために元々光沢度が低く、酸
洗により元々ある深い凹凸に結晶粒単位の微細な凹凸が
付与されるためである。またRaが大きい薄板の方が、
より少ない溶削量でGs45°の変化が小さい領域に達
する。
【0014】図2より、L* は酸洗前に65と低い値で
あったが、硝フッ酸水溶液で酸洗することにより、いず
れも片面約5μmという比較的少ない溶削量で73以上
になり、スキンパス圧延で付与した表面粗度の程度によ
る差はほとんどない。これは僅かな溶削で表面に残存し
ている油分による汚れが除去されると共に、酸洗により
極微細な凹凸が形成され可視光波長を散乱するためであ
る。Raが2.1μmの場合には、スキンパス圧延後で
既にGs45°は100%以下であるが、L*が67で
あり、硝フッ酸酸洗により5μm程度溶削することによ
り、L* が75に増加する。また光沢や白さのむらやす
じ模様は、酸洗前の表面のRaが0.3μmと0.7μ
mでは目立ち易いが、Raが1.0μm以上の場合には
目立ち難い。
あったが、硝フッ酸水溶液で酸洗することにより、いず
れも片面約5μmという比較的少ない溶削量で73以上
になり、スキンパス圧延で付与した表面粗度の程度によ
る差はほとんどない。これは僅かな溶削で表面に残存し
ている油分による汚れが除去されると共に、酸洗により
極微細な凹凸が形成され可視光波長を散乱するためであ
る。Raが2.1μmの場合には、スキンパス圧延後で
既にGs45°は100%以下であるが、L*が67で
あり、硝フッ酸酸洗により5μm程度溶削することによ
り、L* が75に増加する。また光沢や白さのむらやす
じ模様は、酸洗前の表面のRaが0.3μmと0.7μ
mでは目立ち易いが、Raが1.0μm以上の場合には
目立ち難い。
【0015】図3に、連続焼鈍酸洗により脱スケールで
きる最小限の溶削量である片面約4μmで酸洗した後、
表面を粗らした圧延ロールでスキンパス圧延して、薄板
の表面粗度を0.5、1.1、2.1μmにして硝フッ
酸水溶液で仕上げ酸洗した場合の、溶削量に対するGs
45°の変化を示す。また図4に溶削量に対するL*の
変化を示す。ここで焼鈍後の結晶粒径は18μmであ
る。スキンパス圧延のロールはショットブラストにより
表面を荒らした。最初の連続焼鈍酸洗後の薄板のGs4
5°は81%で、L* は75である。酸洗の条件は硝フ
ッ酸水溶液の硝酸濃度が100(g/l) でフッ酸濃度が2
0(g/l) 、液温が40℃である。
きる最小限の溶削量である片面約4μmで酸洗した後、
表面を粗らした圧延ロールでスキンパス圧延して、薄板
の表面粗度を0.5、1.1、2.1μmにして硝フッ
酸水溶液で仕上げ酸洗した場合の、溶削量に対するGs
45°の変化を示す。また図4に溶削量に対するL*の
変化を示す。ここで焼鈍後の結晶粒径は18μmであ
る。スキンパス圧延のロールはショットブラストにより
表面を荒らした。最初の連続焼鈍酸洗後の薄板のGs4
5°は81%で、L* は75である。酸洗の条件は硝フ
ッ酸水溶液の硝酸濃度が100(g/l) でフッ酸濃度が2
0(g/l) 、液温が40℃である。
【0016】本薄板を連続焼鈍酸洗で片面20μm溶削
したときのGs45°が40%で、L* が75.3であ
ることから、スキンパス圧延後に硝フッ酸水溶液で仕上
げ酸洗した際の目標の光沢度をGs45°で40%以
下、白色度をL* で75以上とする。
したときのGs45°が40%で、L* が75.3であ
ることから、スキンパス圧延後に硝フッ酸水溶液で仕上
げ酸洗した際の目標の光沢度をGs45°で40%以
下、白色度をL* で75以上とする。
【0017】図3、図4より、薄板のRaが0.5μm
の場合、スキンパス圧延によりGs45°が131%に
増加し、L* が70に低下しており、硝フッ酸水溶液で
仕上げ酸洗した後のGs45°が40%以下になる溶削
量は片面15μm以上である。一方、薄板のRaが1.
1μm及び2.1μmの場合、スキンパス圧延によりG
s45°が109%と85%になり、L* が71以下に
低下しており、硝フッ酸水溶液で仕上げ酸洗した後のG
s45°が40%以下になる溶削量は片面7μm以上で
ある。また低下してしまったL* は5μm程度の溶削で
75に戻る。
の場合、スキンパス圧延によりGs45°が131%に
増加し、L* が70に低下しており、硝フッ酸水溶液で
仕上げ酸洗した後のGs45°が40%以下になる溶削
量は片面15μm以上である。一方、薄板のRaが1.
1μm及び2.1μmの場合、スキンパス圧延によりG
s45°が109%と85%になり、L* が71以下に
低下しており、硝フッ酸水溶液で仕上げ酸洗した後のG
s45°が40%以下になる溶削量は片面7μm以上で
ある。また低下してしまったL* は5μm程度の溶削で
75に戻る。
【0018】トータルの溶削量は酸洗前の薄板の表面粗
度がRaで0.5μmの場合、片面19μmと連続焼鈍
酸洗でばらつきを避けるための溶削量である片面20μ
mとほとんど変わらないが、Raが1.1μm以上の場
合には、片面約11μmと約9μm溶削量を低減でき
る。また光沢や白さのむらやすじ模様は、酸洗前の表面
のRaが0.5μmでは目立ち易いが、Raが1.1μ
m以上の場合には、目立ち難い。
度がRaで0.5μmの場合、片面19μmと連続焼鈍
酸洗でばらつきを避けるための溶削量である片面20μ
mとほとんど変わらないが、Raが1.1μm以上の場
合には、片面約11μmと約9μm溶削量を低減でき
る。また光沢や白さのむらやすじ模様は、酸洗前の表面
のRaが0.5μmでは目立ち易いが、Raが1.1μ
m以上の場合には、目立ち難い。
【0019】従って、焼鈍を真空やArなどの不活性ガ
ス雰囲気でバッチ焼鈍した場合には、溶削量10〜20
μmでGs45°を100%以下、L* を73以上に
し、且つむらやすじ模様を目立ち難くするために、また
焼鈍を連続焼鈍酸洗で行った場合には、溶削量が7〜1
5μmでGs45°が40%以下、L* が73以上に
し、且つむらやすじ模様を目立ち難くするために、硝フ
ッ酸酸洗前の薄板の表面粗度Raを1.0μm以上とし
た。好ましくはRa1.5μm以上である。
ス雰囲気でバッチ焼鈍した場合には、溶削量10〜20
μmでGs45°を100%以下、L* を73以上に
し、且つむらやすじ模様を目立ち難くするために、また
焼鈍を連続焼鈍酸洗で行った場合には、溶削量が7〜1
5μmでGs45°が40%以下、L* が73以上に
し、且つむらやすじ模様を目立ち難くするために、硝フ
ッ酸酸洗前の薄板の表面粗度Raを1.0μm以上とし
た。好ましくはRa1.5μm以上である。
【0020】酸洗前に薄板の表面のRaを1μm以上に
する方法として、冷間圧延の圧延ロールを荒らしたり薄
板の表面にショットブラストをする等が考えられるが、
均一に能率よく薄板の表面を粗らす方法として、表面の
粗れた圧延ロールで焼鈍後にスキンパス圧延するのが良
い。スキンパス圧延により薄板の表面のRaを1μm以
上にするために、冷間圧延後に焼鈍して軟化した後に、
圧延ロールのRaを1.3μm以上で、伸び率を1.0
%以上でスキンパス圧延することとした。これよりスキ
ンパス圧延の圧延ロールの粗度が低かったり、伸び率が
小さいと、薄板の表面にRa1.0μm以上の凹凸を転
写するのは困難である。
する方法として、冷間圧延の圧延ロールを荒らしたり薄
板の表面にショットブラストをする等が考えられるが、
均一に能率よく薄板の表面を粗らす方法として、表面の
粗れた圧延ロールで焼鈍後にスキンパス圧延するのが良
い。スキンパス圧延により薄板の表面のRaを1μm以
上にするために、冷間圧延後に焼鈍して軟化した後に、
圧延ロールのRaを1.3μm以上で、伸び率を1.0
%以上でスキンパス圧延することとした。これよりスキ
ンパス圧延の圧延ロールの粗度が低かったり、伸び率が
小さいと、薄板の表面にRa1.0μm以上の凹凸を転
写するのは困難である。
【0021】表面粗度Raが1.0μm以上の純チタン
薄板を酸洗する硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度に対する硝
酸濃度の比が小さいほど、チタンの結晶方位による溶解
速度の異方性が大きくなるために、より粗れた微細な凹
凸が形成され、硝酸濃度が増加すると平滑な表面にな
る。硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度に対する硝酸濃度の比
が0.2倍未満の場合、酸化性の酸である硝酸が少ない
ために茶色の汚れが発生し、白さを損なう。従って、
0.2倍以上が必要となる。
薄板を酸洗する硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度に対する硝
酸濃度の比が小さいほど、チタンの結晶方位による溶解
速度の異方性が大きくなるために、より粗れた微細な凹
凸が形成され、硝酸濃度が増加すると平滑な表面にな
る。硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度に対する硝酸濃度の比
が0.2倍未満の場合、酸化性の酸である硝酸が少ない
ために茶色の汚れが発生し、白さを損なう。従って、
0.2倍以上が必要となる。
【0022】一方、Gs45°を100%以下にするた
めには5.0倍以下にしなければならない。5.0倍を
超える場合、酸洗により形成される結晶粒単位の微細な
凹凸が比較的平滑なために、望ましい防眩性が得られな
い。好ましくは3.0倍以下にすることにより、Gs4
5°を50%以下にすることができる。すなわち、0.
2〜3.0倍の場合、結晶粒単位の微細な凹凸がより荒
れるため、Gs45°が50%以下になる。
めには5.0倍以下にしなければならない。5.0倍を
超える場合、酸洗により形成される結晶粒単位の微細な
凹凸が比較的平滑なために、望ましい防眩性が得られな
い。好ましくは3.0倍以下にすることにより、Gs4
5°を50%以下にすることができる。すなわち、0.
2〜3.0倍の場合、結晶粒単位の微細な凹凸がより荒
れるため、Gs45°が50%以下になる。
【0023】また表面粗度Raが0.3μm程度の平滑
な表面を硝フッ酸酸洗により微細な凹凸を形成しGs4
5°を50%以下にするには、フッ酸濃度に対する硝酸
濃度の比は0.3〜1.5倍が望ましいが、表面粗度R
aが1.0μm以上ある場合には、フッ酸濃度に対する
硝酸濃度の比は1.5〜3.0倍でも、元々ある深い凹
凸で光沢が低下しているために光沢の低下幅が小さくて
良く、Gs45°を50%以下にできる。従って、Gs
45°を100%以下、好ましくは50%以下にするた
めに、表面粗度Raが1.0μm以上の純チタン薄板を
酸洗する硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度に対する硝酸濃度
の比を0.2〜5.0倍、好ましくは0.2〜3.0倍
とした。更に好ましくは0.5〜1.5倍である。
な表面を硝フッ酸酸洗により微細な凹凸を形成しGs4
5°を50%以下にするには、フッ酸濃度に対する硝酸
濃度の比は0.3〜1.5倍が望ましいが、表面粗度R
aが1.0μm以上ある場合には、フッ酸濃度に対する
硝酸濃度の比は1.5〜3.0倍でも、元々ある深い凹
凸で光沢が低下しているために光沢の低下幅が小さくて
良く、Gs45°を50%以下にできる。従って、Gs
45°を100%以下、好ましくは50%以下にするた
めに、表面粗度Raが1.0μm以上の純チタン薄板を
酸洗する硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度に対する硝酸濃度
の比を0.2〜5.0倍、好ましくは0.2〜3.0倍
とした。更に好ましくは0.5〜1.5倍である。
【0024】また、現実的には酸洗時間は5分程度以下
であることから、フッ酸濃度が3g/l 未満では溶削速度
が遅すぎ、フッ酸濃度が100g/l 超では反応が激しす
ぎて液温が急激に上昇し、光沢にむらが発生し易くなる
ため、硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度を3〜100g/l と
した。好ましくは15〜60g/l である。
であることから、フッ酸濃度が3g/l 未満では溶削速度
が遅すぎ、フッ酸濃度が100g/l 超では反応が激しす
ぎて液温が急激に上昇し、光沢にむらが発生し易くなる
ため、硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度を3〜100g/l と
した。好ましくは15〜60g/l である。
【0025】硝フッ酸水溶液で酸洗すると結晶粒単位の
微細な凹凸が形成されるため、結晶粒が小さいほど単位
面積当たりの凹凸の個数が多くなり、光をより乱反射し
て光沢が低減する。硝フッ酸水溶液で溶削される表層部
の結晶粒径が40μm超の場合、酸洗後のGs45°は
100%を超えることがあり、特に50%以下という低
い値にはならない。すなわち、40μm以下の場合、酸
洗後のGs45°が50%以下になる。従って、好まし
くはGs45°を50%以下にするために、表面粗度R
aが1.0μm以上の純チタン薄板の表層部の結晶粒径
を40μm以下とした。更に好ましくは25μm以下で
ある。この40μm以下の結晶粒径に調整する焼鈍方法
は、連続焼鈍と真空まはたAr中でのバッチ焼鈍があ
り、より均一な細粒を得る方法として、短時間で焼鈍で
きる連続焼鈍が望ましい。
微細な凹凸が形成されるため、結晶粒が小さいほど単位
面積当たりの凹凸の個数が多くなり、光をより乱反射し
て光沢が低減する。硝フッ酸水溶液で溶削される表層部
の結晶粒径が40μm超の場合、酸洗後のGs45°は
100%を超えることがあり、特に50%以下という低
い値にはならない。すなわち、40μm以下の場合、酸
洗後のGs45°が50%以下になる。従って、好まし
くはGs45°を50%以下にするために、表面粗度R
aが1.0μm以上の純チタン薄板の表層部の結晶粒径
を40μm以下とした。更に好ましくは25μm以下で
ある。この40μm以下の結晶粒径に調整する焼鈍方法
は、連続焼鈍と真空まはたAr中でのバッチ焼鈍があ
り、より均一な細粒を得る方法として、短時間で焼鈍で
きる連続焼鈍が望ましい。
【0026】また、安定して更に低い光沢度Gs45°
で30%以下を得るために、純チタン薄板の表面粗度R
aを1.0μm以上、酸洗で溶削する表層部の結晶粒径
を40μm以下として、酸洗する硝フッ酸水溶液のフッ
酸濃度を3〜100g/l 、硝酸濃度をフッ酸濃度の0.
2〜3.0倍とした。更に好ましくは結晶粒径が25μ
m以下、硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度が15〜60g/l
で、硝酸濃度がフッ酸濃度の0.5〜1.5倍である。
で30%以下を得るために、純チタン薄板の表面粗度R
aを1.0μm以上、酸洗で溶削する表層部の結晶粒径
を40μm以下として、酸洗する硝フッ酸水溶液のフッ
酸濃度を3〜100g/l 、硝酸濃度をフッ酸濃度の0.
2〜3.0倍とした。更に好ましくは結晶粒径が25μ
m以下、硝フッ酸水溶液のフッ酸濃度が15〜60g/l
で、硝酸濃度がフッ酸濃度の0.5〜1.5倍である。
【0027】
【実施例】以下の実施例により、本発明をさらに詳しく
説明する。厚さ3mmの工業用純チタン(JIS1種)
の板を厚さ0.4mmに冷間圧延した後、以下に示すよ
うな工程A、工程Bで板を製造し表面肌を調査した。 工程A:冷間圧延→Arガス雰囲気での焼鈍→スキンパ
ス圧延→仕上げ硝フッ酸酸洗 工程B:冷間圧延→大気焼鈍→ソルト処理→硝フッ酸酸
洗→スキンパス圧延→仕上げ硝フッ酸酸洗
説明する。厚さ3mmの工業用純チタン(JIS1種)
の板を厚さ0.4mmに冷間圧延した後、以下に示すよ
うな工程A、工程Bで板を製造し表面肌を調査した。 工程A:冷間圧延→Arガス雰囲気での焼鈍→スキンパ
ス圧延→仕上げ硝フッ酸酸洗 工程B:冷間圧延→大気焼鈍→ソルト処理→硝フッ酸酸
洗→スキンパス圧延→仕上げ硝フッ酸酸洗
【0028】ここで工程Bの大気焼鈍→ソルト処理→硝
フッ酸酸洗の工程は、連続焼鈍酸洗に相当しており、ソ
ルト処理は水酸化ナトリウムを主成分とし硝酸ナトリウ
ムを酸化剤として含有したものを使用し、500℃で3
0秒間浸漬した。また次工程での硝フッ酸酸洗条件は、
硝酸濃度が100(g/l) でフッ酸濃度が20(g/l) 、液
温が40℃である。
フッ酸酸洗の工程は、連続焼鈍酸洗に相当しており、ソ
ルト処理は水酸化ナトリウムを主成分とし硝酸ナトリウ
ムを酸化剤として含有したものを使用し、500℃で3
0秒間浸漬した。また次工程での硝フッ酸酸洗条件は、
硝酸濃度が100(g/l) でフッ酸濃度が20(g/l) 、液
温が40℃である。
【0029】表1(表1−1、表1−2)に焼鈍後の結
晶粒径、スキンパス圧延の条件、スキンパス圧延後の表
面粗度Ra、硝フッ酸酸洗の条件(液の濃度と温度)、
溶削量、焼鈍後とスキンパス圧延後と仕上げ硝フッ酸酸
洗後の光沢度Gs45°(JIS Z 8741 の方法4で
入射角45°の場合)と白色度L* (JIS Z 8729
)、表面のむら・汚れ・すじ模様の目視による評価、
等を示す。ここで結晶粒径は板の表面から深さ約10μ
mの位置で測定した。溶削量は硝フッ酸酸洗の前後での
純チタン薄板の重量変化から換算した。
晶粒径、スキンパス圧延の条件、スキンパス圧延後の表
面粗度Ra、硝フッ酸酸洗の条件(液の濃度と温度)、
溶削量、焼鈍後とスキンパス圧延後と仕上げ硝フッ酸酸
洗後の光沢度Gs45°(JIS Z 8741 の方法4で
入射角45°の場合)と白色度L* (JIS Z 8729
)、表面のむら・汚れ・すじ模様の目視による評価、
等を示す。ここで結晶粒径は板の表面から深さ約10μ
mの位置で測定した。溶削量は硝フッ酸酸洗の前後での
純チタン薄板の重量変化から換算した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】表1の結果より、工程Aの場合、比較例で
あるNo.1〜5に示すように、スキンパス圧延後の板
の表面粗度Raが0.7μm以下と小さい場合には、ス
キンパス圧延後のGs45°は130%以上と高く、仕
上げ酸洗で10〜15μmしか溶削していないNo.
1,3,5はGs45°が138%以上と高く、Gs4
5°を100以下にするにはNo.2,4のように20
μm以上も溶削する必要が有り、連続焼鈍酸洗のみで製
造したNo.24の溶削量20μmとほとんど変わらず
歩留りが改善していない。またNo.1〜5のスキンパ
ス圧延後のL* は65〜66程度と低いが、仕上げ酸洗
により75まで増加する。
あるNo.1〜5に示すように、スキンパス圧延後の板
の表面粗度Raが0.7μm以下と小さい場合には、ス
キンパス圧延後のGs45°は130%以上と高く、仕
上げ酸洗で10〜15μmしか溶削していないNo.
1,3,5はGs45°が138%以上と高く、Gs4
5°を100以下にするにはNo.2,4のように20
μm以上も溶削する必要が有り、連続焼鈍酸洗のみで製
造したNo.24の溶削量20μmとほとんど変わらず
歩留りが改善していない。またNo.1〜5のスキンパ
ス圧延後のL* は65〜66程度と低いが、仕上げ酸洗
により75まで増加する。
【0033】一方、No.6〜13,15〜22のよう
に、スキンパス圧延後の板の表面粗度Raが1.0μm
以上と大きい場合には、スキンパス圧延後のGs45°
は70〜122%と比較的低く、仕上げ酸洗で10μm
程度溶削すればGs45°は100%以下になり、且つ
L* は75以上になる。これはスキンパス圧延により形
成された深い凹凸によりGs45°が元々低いためであ
る。この深い凹凸によりむらやすじ模様が目立ち難くな
っている。
に、スキンパス圧延後の板の表面粗度Raが1.0μm
以上と大きい場合には、スキンパス圧延後のGs45°
は70〜122%と比較的低く、仕上げ酸洗で10μm
程度溶削すればGs45°は100%以下になり、且つ
L* は75以上になる。これはスキンパス圧延により形
成された深い凹凸によりGs45°が元々低いためであ
る。この深い凹凸によりむらやすじ模様が目立ち難くな
っている。
【0034】また仕上げ酸洗のフッ酸濃度に対する硝酸
濃度の比が0.2〜3であるNo.10〜13は、仕上
げ酸洗で10μm前後溶削することによりGs45°が
50%以下になる。これはフッ酸濃度に対する硝酸濃度
の比が小さいほど溶解速度の結晶方位異方性が高まり、
より粗い凹凸が形成されるためである。しかしフッ酸濃
度に対する硝酸濃度の比が0.1のNo.14,23
は、酸化性の酸である硝酸が少ないために汚れが発生
し、L* が66程度と低い。
濃度の比が0.2〜3であるNo.10〜13は、仕上
げ酸洗で10μm前後溶削することによりGs45°が
50%以下になる。これはフッ酸濃度に対する硝酸濃度
の比が小さいほど溶解速度の結晶方位異方性が高まり、
より粗い凹凸が形成されるためである。しかしフッ酸濃
度に対する硝酸濃度の比が0.1のNo.14,23
は、酸化性の酸である硝酸が少ないために汚れが発生
し、L* が66程度と低い。
【0035】結晶粒径が32μmと若干小さく、且つス
キンパス圧延後のRaが2.1μmのNo.18〜22
は、仕上げ酸洗で10μm前後溶削することによりGs
45°が50%以下になる。これは、結晶粒が小さいた
めに仕上げ酸洗で形成される単位長さ当たりの微細な凹
凸の数が多くなり、光がより乱反射されるためである。
また仕上げ酸洗後のL* は75以上になる。
キンパス圧延後のRaが2.1μmのNo.18〜22
は、仕上げ酸洗で10μm前後溶削することによりGs
45°が50%以下になる。これは、結晶粒が小さいた
めに仕上げ酸洗で形成される単位長さ当たりの微細な凹
凸の数が多くなり、光がより乱反射されるためである。
また仕上げ酸洗後のL* は75以上になる。
【0036】更に結晶粒径が32μmでスキンパス圧延
後のRaが2.1μmで、仕上げ酸洗のフッ酸濃度に対
する硝酸濃度の比が0.2〜3であるNo.19〜22
は、仕上げ酸洗で10μm前後溶削することによりGs
45°が30%以下になる。また仕上げ酸洗後のL* は
75以上になる。これは、結晶粒が小さい効果と硝酸濃
度が小さい効果が重なっているためである。
後のRaが2.1μmで、仕上げ酸洗のフッ酸濃度に対
する硝酸濃度の比が0.2〜3であるNo.19〜22
は、仕上げ酸洗で10μm前後溶削することによりGs
45°が30%以下になる。また仕上げ酸洗後のL* は
75以上になる。これは、結晶粒が小さい効果と硝酸濃
度が小さい効果が重なっているためである。
【0037】工程Bの場合は、連続焼鈍酸洗でスキンパ
ス圧延前の板を製造しており、一般的な場合がNo.2
4に相当する。No.24は連続焼鈍酸洗で20μm溶
削しており、Gs45°が40%でL* が75と防眩性
に優れており、このGs45°とL* の値を基準にして
以下を比較する。No.25は連続焼鈍酸洗での溶削量
を4μmに低下させた場合であり、Gs45°が81%
と、基準となるNo.24よりは高く、むらやすじ模様
も目立つ。
ス圧延前の板を製造しており、一般的な場合がNo.2
4に相当する。No.24は連続焼鈍酸洗で20μm溶
削しており、Gs45°が40%でL* が75と防眩性
に優れており、このGs45°とL* の値を基準にして
以下を比較する。No.25は連続焼鈍酸洗での溶削量
を4μmに低下させた場合であり、Gs45°が81%
と、基準となるNo.24よりは高く、むらやすじ模様
も目立つ。
【0038】No.24をスキンパス圧延してRaを
0.5μmにしたNo.26は、スキンパス圧延により
Gs45°が131%に増加すると共にL* も70に低
下してしまい、仕上げ酸洗で10μm溶削しても、基準
となるNo.24のGs45°である40%には達しな
い。No.24をスキンパス圧延してRaを1.1μm
と2.1μmにしたNo.27とNo.29〜31は、
スキンパス圧延によりGs45°は各々109%と85
%で、L* が71以下に低下するが、仕上げ酸洗で10
μm前後溶削することにより、Gs45°が40%以下
で、L* が75以上になる。したがって溶削量をトータ
ルした総溶削量(連続焼鈍酸洗の溶削量+仕上げ酸洗の
溶削量)が11〜14μmで、基準となるNo.24の
溶削量20μmより小さく、同程度のGs45°とL*
を得るのに歩留り良く製造できる。
0.5μmにしたNo.26は、スキンパス圧延により
Gs45°が131%に増加すると共にL* も70に低
下してしまい、仕上げ酸洗で10μm溶削しても、基準
となるNo.24のGs45°である40%には達しな
い。No.24をスキンパス圧延してRaを1.1μm
と2.1μmにしたNo.27とNo.29〜31は、
スキンパス圧延によりGs45°は各々109%と85
%で、L* が71以下に低下するが、仕上げ酸洗で10
μm前後溶削することにより、Gs45°が40%以下
で、L* が75以上になる。したがって溶削量をトータ
ルした総溶削量(連続焼鈍酸洗の溶削量+仕上げ酸洗の
溶削量)が11〜14μmで、基準となるNo.24の
溶削量20μmより小さく、同程度のGs45°とL*
を得るのに歩留り良く製造できる。
【0039】また結晶粒径が18μmでスキンパス圧延
後のRaが2.1μmで、仕上げ酸洗のフッ酸濃度に対
する硝酸濃度の比が1であるNo.31は、仕上げ酸洗
で10μm溶削することにより、Gs45°が21%に
なる。これは、結晶粒が小さい効果と硝酸濃度が小さい
効果とが重なっているためである。
後のRaが2.1μmで、仕上げ酸洗のフッ酸濃度に対
する硝酸濃度の比が1であるNo.31は、仕上げ酸洗
で10μm溶削することにより、Gs45°が21%に
なる。これは、結晶粒が小さい効果と硝酸濃度が小さい
効果とが重なっているためである。
【0040】
【発明の効果】本発明を適用することにより、光沢度G
s45°が100%以下、更には50%以下で、且つ白
色度L* が73以上の防眩性に優れた純チタン薄板を均
一に歩留良く製造できる。
s45°が100%以下、更には50%以下で、且つ白
色度L* が73以上の防眩性に優れた純チタン薄板を均
一に歩留良く製造できる。
【図1】各表面粗度における硝フッ酸酸洗の溶削量と光
沢度Gs45°の関係を示す図。
沢度Gs45°の関係を示す図。
【図2】各表面粗度における硝フッ酸酸洗の溶削量と白
色度L* の関係を示す図。
色度L* の関係を示す図。
【図3】各表面粗度における硝フッ酸酸洗の溶削量と光
沢度Gs45°の関係を示す図。
沢度Gs45°の関係を示す図。
【図4】各表面粗度における硝フッ酸酸洗の溶削量と白
色度L* の関係を示す図。
色度L* の関係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西嶋 知裕 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内
Claims (7)
- 【請求項1】 表面粗度Raが1μm以上の純チタンの
コイルまたは薄板を、硝酸とフッ酸の混合水溶液で酸洗
することを特徴とする防眩性に優れた純チタン薄板の製
造方法。 - 【請求項2】 冷間圧延後に焼鈍した純チタンのコイル
または薄板を、表面粗度Raが1.3μm以上の圧延ロ
ールを用いて、伸び率1.0%以上のスキンパス圧延を
行い、続いて硝酸とフッ酸の混合水溶液で酸洗すること
を特徴とする防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法。 - 【請求項3】 硝酸とフッ酸の混合水溶液において、フ
ッ酸濃度を3〜100(g/l) 、硝酸濃度をフッ酸濃度の
0.2〜5.0倍とすることを特徴とする請求項1また
は2記載の防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法。 - 【請求項4】 硝酸濃度をフッ酸濃度の0.2〜3.0
倍とすることを特徴とする請求項3記載の防眩性に優れ
た純チタン薄板の製造方法。 - 【請求項5】 硝酸とフッ酸の混合水溶液で溶削する純
チタンのコイルまたは薄板の表層部の結晶粒径を40μ
m以下とすることを特徴とする請求項1または2記載の
防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法。 - 【請求項6】 硝酸とフッ酸の混合水溶液で溶削する純
チタンのコイルまたは薄板の表層部の結晶粒径を40μ
m以下にし、且つ硝酸とフッ酸の混合水溶液におけるフ
ッ酸濃度を3〜100(g/l) 、硝酸濃度をフッ酸濃度の
0.2〜5.0倍とすることを特徴とする請求項1また
は2記載の防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法。 - 【請求項7】 硝酸濃度をフッ酸濃度の0.2〜3.0
倍とすることすることを特徴とする請求項6記載の防眩
性に優れた純チタン薄板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26941396A JPH1096093A (ja) | 1996-09-19 | 1996-09-19 | 防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26941396A JPH1096093A (ja) | 1996-09-19 | 1996-09-19 | 防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1096093A true JPH1096093A (ja) | 1998-04-14 |
Family
ID=17472078
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26941396A Pending JPH1096093A (ja) | 1996-09-19 | 1996-09-19 | 防眩性に優れた純チタン薄板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1096093A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1306468A1 (en) * | 2000-07-28 | 2003-05-02 | Nippon Steel Corporation | Titanium material less susceptible to discoloration and method for production thereof |
JP2006249487A (ja) * | 2005-03-10 | 2006-09-21 | Nippon Steel Corp | 屋内環境で使用される製品の部材に用いられるチタンまたはチタン合金の表面の白色度および耐変色性を向上させる処理方法、およびそのチタンまたはチタン合金 |
JP2011026649A (ja) * | 2009-07-23 | 2011-02-10 | Kobe Steel Ltd | 高耐力でプレス成形性に優れたチタン板 |
-
1996
- 1996-09-19 JP JP26941396A patent/JPH1096093A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1306468A1 (en) * | 2000-07-28 | 2003-05-02 | Nippon Steel Corporation | Titanium material less susceptible to discoloration and method for production thereof |
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