JP2022049105A - チタン材およびチタン材の製造方法 - Google Patents

チタン材およびチタン材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温かつ酸性環境下においても耐変色性に優れるチタン材および同チタン材の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明に係るチタン材は、算術平均粗さRaが最大となる方向の粗さ曲線において、算術平均粗さRaと要素長さRSmの比であるRa/RSmが0.006~0.015であり、かつ、二乗平均平方根傾斜RΔqが0.150~0.280であるチタン基材を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、チタン材およびチタン材の製造方法に関する。
建築物の壁や屋根などの建材に使用されるチタン材(建材用チタン材)は、チタンそのものの銀色を呈している未発色材と、陽極酸化により表面にある程度の厚さの酸化膜を付与することで干渉色を呈している発色材に大別される。
チタン材は、その優れた耐食性から塩分の付着する海浜地区においても建材に用いられている。チタン材が建材に使用され始めてから20年以上経過する。
しかしながら、未発色材であっても、大気環境中などで長期間曝露されると変色が生じる場合がある。この変色は、pH4.5以下の酸性環境、例えば、酸性雨などにより、チタン材の表面の酸化皮膜の厚さが増加することによって生じる干渉色であることが明らかになっている。このような酸化皮膜厚さの増加は、チタンの耐食性を損なうものではない。しかし、建築物の壁や屋根等の外観が重要視される部位等では、酸化皮膜の厚さの増大による変色が生じにくいチタン材が求められており、このようなチタン材の開発が進められている。
例えば、特許文献1には、最表面から100nmの深さの範囲における平均の炭素濃度が14at%以下であり、かつ、最表面に12~40nmの厚さの酸化膜を有することを特徴とする大気環境中において変色を生じにくいチタンが開示されている。
特許文献2には、表面の酸化皮膜中におけるふっ素量が7at%以下であることを特徴とする変色を生じにくいチタン材が開示されている。
特許文献3には、チタン表面に形成された酸化物皮膜のうち、チタン表面から3nmまでの範囲に存在する酸化物皮膜において、チタン酸化物の組成をTiOxとする場合にxが0.8~1.8の範囲内にあり、かつ前記酸化物皮膜の密度が4.2g/cm以上であることを特徴とする、大気環境中において変色を生じにくいチタンが開示されている。特許文献3に開示された技術では、酸洗の最終工程として、チタン表面を、濃度18~40質量%、温度45~80℃の硝酸溶液に3分間以上、塗布または浸漬処理により浸し、その後、洗浄することでチタン表面に皮膜が生成している。
特許文献4には、建材として用いられる純チタン材であって、不純物元素としてのFeが0.08質量%以下,Nbが0.02質量%以下、Coが0.02質量%以下に抑制されていることを特徴とする建材用純チタン材が開示されている。特許文献4に開示された技術では、最終工程において酸洗処理に続き大気中や真空中で130~280℃で所定時間の加熱が実施されている。
特許文献5には、チタン表面に形成された酸化チタン層の表面より40nmの範囲における平均リン含有量が5.5原子%以下であり、かつチタン表面から100nmの深さの範囲における平均炭素濃度が3~15原子%であることを特徴とする、大気環境中において変色を生じにくい発色の純チタンまたはチタン合金が開示されている。
特許文献6には、母材がチタンまたはチタン合金であり、該母材の表面上に厚さが0.2から1.5μmの窒素富化チタン層が形成され、かかる窒素富化チタン層中に平均原子%で、20から60原子%の窒素および1~40原子%の酸素が含有され、かつ最外層の0.1μmの範囲におけるTi(平均原子%値)/N(平均原子%値)の割合が1.2~4.0の範囲にあり、かつ母材表面から内部に向かって0.2μmの深さの範囲における平均の炭素濃度が1原子%以上15原子%以下であり、かつ色彩測定値L、a、bがそれぞれ、40から80、-6から6、-6~9で、銀色の外観を呈することを特徴とする、耐変色性に優れた酸性雨大気環境用チタンが開示されている。特許文献5に開示されたチタン材は、イオンプレーティング法によって製造される。
チタン材の表面の粗さに着目した技術として、例えば、特許文献7には、表面粗度が中心線平均粗さRaで3μm以下であり、且つ表面の酸化皮膜厚さが20Å(2nm)以上であることを特徴とする耐変色性に優れた屋外用チタンまたはチタン合金材が開示されている。特許文献7に開示されたチタン材は、大気中の浮遊物の物理的な付着を抑制するためにRaが規定されている。
特許文献8には、算術平均粗さ(Ra)が0.15~1.5μmの範囲であり、最大高さ(Rz)が1.5~9.0μmの範囲であり、ひずみ度(Rsk)が-3.0~-0.5の範囲であり、且つ表面における測定荷重0.098Nでのビッカース硬さが、測定荷重4.9Nでのビッカース硬さよりも高く、その差が45以下であることを特徴とするチタン板が開示されている。
特許文献9には、潤滑性を高めるために、表面の算術平均粗さRaが1.5~5.0μmであり、Raと凹凸平均間隔Smの比Ra/Smが0.018~0.05であることを特徴とする、表面凹凸を有するチタン材が開示されている。
特開2002-12962号公報 特開2002-47589号公報 特開2005-154882号公報 特開2004-300569号公報 特開2006-336027号公報 特開2010-265531号公報 特開平10-8234号公報 特開2010-255085号公報 特開2005-298930号公報
神尾浩史、今村淳子、上仲秀哉、幸英昭、C-111、「チタンとステンレス鋼の耐すきま腐食性に及ぼす環境因子の影響」、東京電機大2013年5月13-15日、材料と環境2013講演集、公益財団法人 腐食防食学会、p.245-246 宮下勤、「もう一度復習したい表面粗さ」、精密工学会誌、公益社団法人 精密工学会、Vol.73,No.2、2007年、p.201-205
ところで、近年では地球温暖化が進み気温が上昇し、かつ酸性環境により、建材用チタン材の使用環境が過酷になってきており、酸化皮膜厚さが増加しやすい環境となっている。そのため、酸化皮膜厚さの増加を抑制可能であり、さらには、酸化皮膜厚さが増加しても干渉色を呈しにくいチタン材であれば、より一層外観が重視される建築物等に使用可能となる。
特許文献1~5では、変色性の評価を以下のようにしている。pH3~4の硫酸水溶液に60℃で数日間浸漬して、その浸漬前後の色差で、変色性の評価をしている。そして、その色差は、pH3の硫酸水溶液に60℃で7日間または14日間浸漬したときの色差が3~7以下、pH4の硫酸水溶液に60℃で3日間浸漬したときの色差が5未満さらには1未満と記載されている。しかしながら、上記の変色性の評価ではより高温の環境下での使用を十分に反映できない。また、特許文献1~5に記載されたチタン材に対し、80℃、pH4の硫酸水溶液に4日間浸漬した場合、浸漬前後の色差は約15以上であり、従来のチタン材は、より高温の条件では、十分な耐変色性を有していない。
また、特許文献6に開示されたチタン材の変色性は、pH3の硫酸水溶液、80℃、14日間で色差が4以下と優れている。しかしながら、特許文献6に開示されたチタン材の製造には、イオンプレーティング法が用いられる。イオンプレーティング法は、真空炉を用いたバッチ処理であり、真空炉内の真空度を制御する必要があり、その処理時間が長い。また、イオンプレーティング法を用いるには、チタン材は切板とする必要がある。そのため、特許文献6に記載されたチタン材の製造方法は、高コストおよび長工期となる。よって、特許文献6に開示された技術には改善の余地がある。
また、特許文献7に開示されたチタン材は、浮遊物の物理吸着を抑制して耐汚れ性を向上させるためにRaを規定しているが、干渉色の抑制について考慮されたものではない。特許文献8、9に開示されたチタン材は、特許文献7に開示されたチタン材と同様に、干渉色の抑制について考慮されたものではない。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、高温かつ酸性環境下においても耐変色性に優れるチタン材および同チタン材の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、チタン材の表面分析および変色性試験を用いて、チタン材の表面状態と変色性との関係について詳細に検討し、チタン材の表面性状を制御することで酸化皮膜が成長しても干渉作用による変色を抑制可能であることを知見した。そして、本発明者らは、このようなチタン材を製造する方法を見出し、本発明に至った。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]
算術平均粗さRaが最大となる方向の粗さ曲線において、算術平均粗さRaと要素長さRSmの比であるRa/RSmが0.006~0.015であり、かつ、二乗平均平方根傾斜RΔqが0.150~0.280であるチタン基材を備える、チタン材。
[2]
算術平均粗さRaが最大となる方向の粗さ曲線において、前記チタン基材のクルトシスRkuが3超である、[1]に記載のチタン材。
[3]
算術平均粗さRaが最大となる方向の粗さ曲線において、前記チタン基材のスキューネスRskが-0.5超である、[1]または[2]に記載のチタン材。
[4]
F:3原子%以下、および、
C:20原子%以下、
を含有する酸化皮膜を前記チタン基材の表面に備え、
前記酸化皮膜の厚さが、15nm以下である、[1]~[3]のいずれか1項に記載のチタン材。
[5]
チタン素材の表面をJIS R 6001-2:2017に準拠した#320以下の番手の粒度分布を有する研磨微粉を用いて研磨する研磨工程と、次いで、
ふっ酸を1質量%以上含有する水溶液によって前記研磨工程後のチタン素材を表面から3μm以上溶削後に非酸化性の雰囲気下で300~880℃に加熱する溶削工程、または、表面粗さRaが0.5μm以上の圧延ロールを用いて、前記研磨工程後のチタン素材を、総圧下率が0.10%以上となるように圧下する冷延工程の少なくともいずれか一方を有する、チタン材の製造方法。
以上説明したように、本発明によれば、高温かつ酸性環境下においても耐変色性に優れるチタン材および同チタン材の製造方法を提供することが可能となる。
塩化物イオン濃度および温度が純チタンの隙間腐食に及ぼす影響を示す図である。 脱不働態化pHに対する温度の影響を示す図である。 算術平均粗さRaと輪郭曲線要素の平均長さRSmの比であるRa/RSmおよび粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqと耐変色性との関係を示す図である。 クルトシスRkuを説明するための模式図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.背景>
<2.チタン材>
<3.チタン材の製造方法>
<1.背景>
まず、図1、2を参照して、本発明者らが本発明に至った背景を説明する。図1は、塩化物イオン濃度および温度が純チタンの隙間腐食に及ぼす影響を示す図である。図2は、脱不働態化pHに対する温度の影響を示す図である。なお、図1、2は、いずれも、神尾浩史、今村淳子、上仲秀哉、幸英昭、C-111、「チタンとステンレス鋼の耐すきま腐食性に及ぼす環境因子の影響」.東京電機大2013年5月13-15日、材料と環境2013講演集,腐食防食学会、p246に掲載された図である。
図1中の「〇」は、耐隙間腐食性が良好である条件を示しており、「×」は、耐隙間腐食性が不良である条件を示している。図1に示されるように、チタン材の耐隙間腐食性には、塩化物イオン濃度[Cl]よりも温度の影響が大きい。また、図2に示す脱不働態化pH(pHd)は、耐食性を示すことができなくなるpHであり、pHd以下の環境では安定した不働態皮膜が形成されず、チタン材が良好な耐食性を示すことが困難となる。図2に示されるように、温度が高くなると、チタン材のpHdも高くなる。図1、2から分かるように、チタン材の耐食性には温度の影響が極めて顕著であり、不働態皮膜である酸化皮膜の耐性が影響するチタン材の変色においても、温度の影響が大きいことが容易に想定される。したがって、より高温の環境においても変色が抑制されるチタン材が求められる。
例えば、特許文献1~4では、実験室にて変色現象を促進して変色程度を評価する変色促進試験の条件として、チタン材をpH3やpH4の硫酸水溶液中に温度60℃で浸漬していた。しかしながら、本発明では、今日の大気環境の変化から、試験温度を80℃に高めても変色の程度を表す色差が8以下であることを耐変色性の指標とした。従来のチタン材に対し、80℃、pH4の硫酸水溶液に4日間浸漬した場合、浸漬前後の色差は約15以上であり、従来のチタン材は、十分な耐変色性を有していない。本発明者らは、高温かつ酸性環境下においても耐変色性に優れるチタン材を得るために、チタン基材の表面状態を詳細に検討し、本発明をするに至った。
ここまで、本発明者らが本発明に至った背景を説明した。
<2.チタン材>
本実施形態に係るチタン材は、算術平均粗さRaが最大となる方向の粗さ曲線において、算術平均粗さRaと要素長さRSmの比であるRa/RSmが0.006~0.015であり、かつ、二乗平均平方根傾斜RΔqが0.150~0.280であるチタン基材を備える。以下に、詳細に説明する。
(2.1. チタン基材)
本実施形態のチタン材の基材となるチタン基材は、純チタンまたはチタン合金の何れかよりなる。チタン基材は、例えば、Ti含有量が70質量%以上の純チタンまたはチタン合金である。
純チタンには、例えば、JIS規格の1種~4種、およびこれらに対応するASTM規格のGrade1~4で規定される工業用純チタンを含む。すなわち、本発明で対象とする工業用純チタンは、質量%で、C:0.1%以下、H:0.015%以下、O:0.4%以下、N:0.07%以下、Fe:0.5%以下、残部がTiおよび不純物からなる。なお、建築物では、JIS1種やそれと同等であるASTMGr.1で規定される工業用純チタンまたはその同等材が主に使用されている。
チタン合金としては、α型チタン合金、α+β型チタン合金またはβ型チタン合金が挙げられる。
α型チタン合金としては、例えば高耐食性合金(JIS規格の11種~13種、17種、19種~22種、およびASTM規格のGrade7、11、13、14、17、30、31で規定されるチタン合金やさらに種々の元素を少量含有させたチタン合金)、Ti-0.5Cu、Ti-1.0Cu、Ti-1.0Cu-0.5Nb、Ti-1.0Cu-1.0Sn-0.3Si-0.25Nbなどがある。
α+β型チタン合金としては、例えば、Ti-3Al-2.5V、Ti-5Al-1Fe、Ti-6Al-4Vなどがある。
さらに、β型チタン合金としては、例えば、Ti-11.5Mo-6Zr-4.5Sn、Ti-8V-3Al-6Cr-4Mo-4Zr、Ti-13V-11Cr-3Al、Ti-15V-3Al-3Cr-3Sn、Ti-20V-4Al-1Sn、Ti-22V-4Alなどがある。
[Ra/RSm:0.006~0.015]
[RΔq:0.150~0.280]
本発明者らは、チタン材の表面性状と、耐変色性との関係を詳細に検討し、チタン材の耐変色性は、その表面の算術平均粗さRaと輪郭曲線要素の平均長さRSmの比であるRa/RSm、および粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqが極めて重要であることを知見した。
算術平均粗さRa、輪郭曲線要素の平均長さRSm、および粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqは、JIS B 0601:2013に準拠した方法で測定することができる。なお、後述するクルトシスRkuおよびスキューネスRskも、JIS B 0601:2013に準拠した方法で測定することができる。
本実施形態の算術平均粗さRaは、JIS B 0601:2013に規定される算術平均粗さRaであって、基準長さにおける総座標値Zjの絶対値の平均である。算術平均粗さRaは、下記式(1)より算出される。
なお、算術平均粗さRaの算出の基礎となる粗さ曲線は、酸化皮膜の測定断面曲線にカットオフ波長λc=0.8mmの低域フィルタを適用して断面曲線を取得し、更にこの段面曲線に、カットオフ波長λs=2.667μmの高域フィルタを適用することによって得られた粗さ曲線とする。また、粗さ曲線の基準長さは、カットオフ波長λcと等しい長さ、すなわち、0.8mmとする。λcは、粗さ成分とうねり成分との境界を定義するフィルタである。λsは、粗さ成分とそれより短い波長成分との境界を定義するフィルタである。
Figure 2022049105000002
上記式(1)中、nは、測定点数であり、Zjは粗さ曲線においてj番目測定点の高さである。
輪郭曲線要素の平均長さRSmは、下記式(2)より算出される。
Figure 2022049105000003
上記式(2)中、mは、測定点数であり、Xsiは、基準長さにおける輪郭曲線要素の長さである。
粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqは、下記式(3)より算出される。
Figure 2022049105000004
上記式(3)中、Nは測定点数である。(dZj/dXj)は、粗さ曲線においてj番目の測定点における局部傾斜であり、下記式(4)によって定義されている。
Figure 2022049105000005
上記式(4)中、ΔXは測定間隔である。本実施形態において、測定間隔ΔXは、以下のようにして定めればよい。すなわち、測定間隔ΔXは、表面粗さ形状測定機によって設定される値であり、その測定長さLを測定したとき数値データがN点取得された場合、測定間隔でΔXは平均でL/(N-1)となる。例えば、東京精密製 SURFCOM 1900DX、ソフト TIMS Ver.9.0.3を用いて、測定長さ5mmを測定したとき、デジタル数字データが25601点取得された場合、ΔXは5mm/25600点となり平均で約0.195μmとなる。
粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqは、粗さ曲線の基準長さXに対して表面凹凸が形成する微小範囲の傾斜角(局部傾斜dZ/dX)を規定したパラメータである。
本発明者らは、Ra/RSmおよびRΔqを変更したチタン材を作製し、Ra/RSmおよびRΔqが耐変色性に及ぼす影響を検討した。図3は、算術平均粗さRaと輪郭曲線要素の平均長さRSmの比であるRa/RSmおよび粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqと耐変色性との関係を示す図である。
耐変色性は、色差ΔEabおよび外観観察によって評価することができる。
色差ΔEabは、pH4の硫酸水溶液に80℃で4日間浸漬し、浸漬前後のチタン材表面のLを測定して、色差ΔEabを求めた。色差の測定は、JIS Z 8730:2009に準拠して求められる明度Lおよび色度a、bそれぞれの浸漬前後の差ΔL、Δa、Δbから、
色差ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
に従って求めた。色差ΔEabが大きいほど試験前後で変色したことになる。
色差ΔEabを評価するための色調Lの測定では、チタン板の真上に設けられた昼光光源から光を照射する。そのため、実際の見た目とは異なる場合がある。特に、RΔqが大きいチタン板では、色差ΔEabが小さくても太陽光下での目視観察では変色して見える場合がある。よって、耐変色性の評価には、太陽光下での目視観察も重要である。
図3における「〇」は、色差ΔEabが8以下であり且つ目視でも変色が目立たなかった条件を、「△」は、色差ΔEabが8以下であったが目視では変色が目立った条件を、「×」は、色差ΔEabが8超であり且つ目視でも変色が目立った条件を示している。ここで、この目視観察による評価は、本変色促進試験に供していないチタン材と本変色促進試験後のチタン材を平板上に並べておき、太陽光下で様々な角度から見比べて、変色が目立って視認される角度があるか否かを評価した。この目視観察は、実際の建築物の屋根や壁を想定した条件であり、見る角度によって色調が変わることも想定しての評価である。
図3に示すように、本実施形態に係るチタン材は、その表面について、算術平均粗さRaと輪郭曲線要素の平均長さRSmの比であるRa/RSmが0.006~0.015であり、かつ、粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.150~0.280である場合に、耐変色性に優れることが判明した。
Ra/RSmが0.006未満であると、チタン基材表面の凹凸が小さく、その凹凸の間隔が広い。RSmが0.006未満であると、チタン材の表面が比較的平滑であり、酸化皮膜の表面で反射した光とチタン基材表面で反射した光の光路差により、その光路差に応じて強められた光の色が認識される(すなわち、チタン材が変色する)。Ra/RSmが0.006~0.015であれば、チタン材表面の比較的大きな傾斜によって、酸化皮膜の表面で反射した光とチタン基材表面で反射した光の光路差が小さくなり、可視光の範囲で強められる光がないため、変色が抑制されると考えられる。この変色が抑制される機構から考えると、Ra/RSmの上限を0.015に限定する理由はないものの、0.015超のような深く狭い谷状の凹凸を工業的に作製することが困難である。そのため、Ra/RSmの上限を、本発明の効果が明確に得られる0.015とする。
RΔqが0.150以上であると、酸化皮膜におけるより微細な凹凸の傾斜が大きく、この局部的な傾斜によってチタン基材表面に照射する光の正反射が抑制され、拡散反射される。そのため、酸化皮膜の表面で反射する光の方向に反射するチタン基材表面での反射光の強度が小さくなる。その結果、強められた光の色は認識されにくい。RΔqが0.150未満であると、上記作用が生じないため、チタン材が変色する。一方、RΔqが0.280超であると、色差は8以下と小さいものの太陽光下では変色が目立って見える角度がある場合がある。これは、RΔqが0.280超と大きくなると斜めから見た場合、正反射方向となってしまう傾斜が存在してしまい、酸化皮膜厚さが増加したことによる干渉色が強められて、目視で認識されるようになるためと考えられる。
Ra/RSmが0.006~0.015であり、かつ、粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.150~0.280であれば、上記作用が重畳して得られるため、チタン材の変色が抑制される。さらに、上記の表面状態を有するチタン材は、その表面に酸化皮膜が数十nm程度に成長したとしても、色調の変化つまり変色が抑制される。よって、チタン基材は、算術平均粗さRaが最大となる方向の粗さ曲線において、算術平均粗さRaと要素長さRSmの比であるRa/RSmが0.006~0.015であり、かつ、二乗平均平方根傾斜RΔqが0.150~0.280である。Ra/RSmの下限は、好ましくは、0.007である。また、RΔqは、好ましくは、0.190以上である。RΔqが0.190~0.0280になると、本変色促進試験の色差が6以下とさらに高い効果が得られる。
算術平均粗さRaおよび輪郭曲線要素の平均長さRSmは、Ra/RSmが0.006~0.015であれば特段制限されないが、算術平均粗さRaは0.700~3.0μm、輪郭曲線要素の平均長さRSmは、60~300μmであることが好ましい。後述する製造方法にて工業的に比較的容易に実現できることから、上記のRa、RSmの好ましい範囲とした。
[クルトシスRku:3超]
クルトシスRkuは、振幅分布曲線の鋭さを表す指標である。図4は、クルトシスRkuを説明するための図である。なお、図4は、宮下勤、「もう一度復習したい表面粗さ」、精密工学会誌、公益社団法人 精密工学会、Vol.73,No.2、2007年、p.205に掲載された図である。クルトシスRkuは、二乗平均平方根高さRqの四乗によって無次元した基準長さにおいて、Zjの四乗平均を表す。
Figure 2022049105000006
Zjは粗さ曲線においてj番目測定点の高さである。Rqは、二乗平均平方根高さであり、下記式(6)で表される。
Figure 2022049105000007
クルトシスRkuは、高さ分布の鋭さを示す指標であり、クルトシスRkuが3である場合、図4に示されるように、高さ分布が正規分布であり、クルトシスRkuが3未満で値が小さくなるに伴い、表面が平坦になり、クルトシスSkuが3を超えて値が大きくなるに伴い、チタン材の表面に鋭い山や谷が多くなる。
本実施形態に係るチタン基材は、算術平均粗さRaが最大となる方向の粗さ曲線において、クルトシスRkuが3超であることが好ましい。クルトシスRkuが3超であると、チタン材の表面の凹凸が鋭く、凹凸が鋭い表面では、チタン基材の表面で反射する光において、干渉色が顕在化する正反射の成分がより一層抑制されることとなる。その結果、酸化皮膜厚さが増加したとしても、干渉色が、より一層目立ちにくくなるため、チタン材の変色がより一層抑制される。
[表面粗さのスキューネスRsk:-0.5超]
スキューネスRskは、ひずみ度とも呼ばれ、チタン材表面の凹凸の鋭さを表す指標である。スキューネスRskは、二乗平均平方根高さRqの三乗によって無次元化した基準長さにおけるZ(x)三乗平均を表したものであり、下記式(7)で表される。
Figure 2022049105000008
上記式(7)中、Nは、測定点数であり、Zjは粗さ曲線においてj番目測定点の高さである。
粗さ曲線において、谷長さが山長さよりも大きい場合、スキューネスRskは0より大きくなる。言い換えると、スキューネスRskが0より大きいと粗さ曲線の平均線において凹部の割合が高い。つまり、粗さ曲線における山(凸部)の先端が鋭利に尖り、かつ谷(凹部)末端が広幅となる。粗さ曲線の平均線とは、カットオフ波長λcによって遮断される長波長成分を表す曲線を言う。
一方、谷長さが山長さよりも小さい場合、スキューネスRskは0より小さくなる。言い換えると、スキューネスRskは0より小さいと粗さ曲線の平均線において凹部の割合が高い。つまり、粗さ曲線における山(凸部)の先端が広幅となり、かつ谷(凹部)末端が鋭利に尖る。
スキューネスRskが0であると、粗さ曲線における凹凸の形状が平均面に対して対称である。
本実施形態に係るチタン材は、算術平均粗さRaが最大となる方向の粗さ曲線において、スキューネスRskが-0.5超であることが好ましい。スキューネスRskが-0.5超であると、粗さ曲線における山(凸部)の先端が尖り、光源に近い方、つまり山(凸部)にて、チタン基材表面で反射する光がより一層散乱されやすくなり、変色がより一層抑制される。光源から遠い方、つまり谷(凸部)は、山(凸部)によるシャドー効果があるために変色の原因である干渉色が見えにくくなるため、山(凸部)よりも影響しくいと推定される。
(2.2. 酸化皮膜)
本実施形態に係るチタン材は、チタン基材の表面に酸化皮膜の成長が抑制されるような酸化皮膜を有することが好ましい。そのような酸化皮膜として、例えば、厚さが15nm以下であり、F:3原子%以下、およびC:20原子%以下、を含有する酸化皮膜が挙げられる。チタン材がチタンそのものの色である銀色を呈する未発色材となる酸化皮膜である。以下に、詳細に説明する。
まず、F:3原子%以下、およびC:20原子%以下、を含有する酸化皮膜について説明する。
酸化皮膜のF含有量およびC含有量が多いと、変色が生じやすい。これは、ふっ素や炭素またはこれらの化合物がチタン基材の溶出を抑制する酸化皮膜の作用を低下させてチタンが溶出しやすくなること、または酸化皮膜中にチタンとの化合物として存在し、その化合物が溶解しやすいことが要因となり、酸化皮膜が成長するためである。ここで酸化皮膜中のふっ素および炭素は単独で存在する他にチタンおよび水素、酸素などとの化合物として存在している可能性がある。F含有量が3原子%以下およびC含有量が20原子%以下であれば、上記チタン基材のチタンの溶出および上記酸化皮膜の成長が抑制される。よって、F含有量は3原子%以下であることが好ましく、C含有量は20原子%以下であることが好ましい。より好ましくは、F含有量は、1原子%以下であり、C含有量は、15原子%以下である。
酸化皮膜のF含有量およびC含有量は、少ない方が好ましいが、製造上、実質的な下限は、F含有量が0原子%、C含有量が6原子%程度である。
酸化皮膜厚さならびに酸化皮膜中のF含有量およびC含有量は、オージェ電子分光法により得た深さ方向の組成分布より求めることができる。酸化皮膜の厚さは、酸化皮膜表面での酸素濃度の測定値に対して、酸素濃度が半減する位置でのスパッタリング時間を求め、SiO換算のスパッタリング速度と上記素スパッタリング時間を掛けた値を酸化皮膜厚さとする。SiO換算のスパッタリング速度とは、例えば、あらかじめエリプソメーターを用いて厚さを測定したSiO膜を用いて、同一測定条件で求めたときのスパッタリング速度である。
酸化皮膜中の最大ふっ素濃度を酸化皮膜中のF含有量とする。また、最表面は汚染の影響があるため、深さ方向に対して濃度がほぼ単調に減少している炭素については、最表面にて酸素濃度が低下している部分を汚染の影響と考え、酸素濃度が極大となる深さ以降における炭素濃度の最大値を酸化皮膜中のC含有量とする。
本実施形態に係るチタン材の形状は、特段制限されず、板、コイル、または条などである。ここまで、本実施形態に係るチタン材を説明した。
<3. チタン材の製造方法>
続いて、本実施形態に係るチタン材の製造方法を説明する。本実施形態に係るチタン材の製造方法は、チタン素材の表面をJIS R 6001-2:2017に準拠した#320以下の番手の粒度分布を有する研磨微粉を用いて研磨する研磨工程と、次いで、ふっ酸を1質量%以上含有する水溶液によって前記研磨工程後の前記チタン素材を表面から3μm以上溶削する溶削工程、または、表面粗さRaが0.5μm以上の圧延ロールを用いて、前記研磨程後のチタン素材を、総圧下率が0.10%以上となるように圧下する冷延工程の少なくともいずれか一方を有する。以下では、上記研磨工程と上記溶削工程とを有する製造方法を第1の製造方法とし、上記研磨工程と上記冷延工程とを有する製造方法を第2の製造方法とし、上記研磨工程、上記溶削工程、および上記冷延工程とを有する製造方法を複合型の製造方法例の一つとして説明する。
(3.1. 第1の製造方法)
第1の製造方法は、チタン素材の表面を研磨する研磨工程と、ふっ酸を1質量%以上含有する水溶液によって研磨工程後のチタン素材の表面から3μm以上までの部分を溶削する溶削工程、とを有する。
[研磨工程]
本工程では、チタン素材の表面をJIS R 6001-2:2017に準拠した#320以下の番手の粒度分布を有する研磨微粉を用いて研磨する。チタン素材の表面を研磨する手段は特段制限されず、例えば、ブラシロールやコイルグラインダ等、公知の手段を用いることができる。
例えば、コイルグラインダを用いる場合、以下の方法で板コイル状のチタン素材の表面を研磨する。コイルライン研磨機にて、#320以下、例えば#320、#240、#100、#80などの番手の研磨ベルトを用いてチタン材を研磨する。研磨ベルトに用いられる研磨微粉は、好ましくは、#100以下の番手のものである。より、均一な研磨表面を得るために、同一の番手、あるいは番手を変えて、複数回の研磨を施す場合がある。
研磨工程に供するチタン素材には、公知の方法で製造されたものを用いてよい。例えば、スポンジチタンや合金元素を添加するための母合金などを原料として、真空アーク溶解法や電子ビーム溶解法またはプラズマ溶解法等のハース溶解法等の各種溶解法により、上記の成分を有する純チタンまたはチタン合金のインゴットを作製する。次に、得られたインゴットを必要に応じて分塊、熱間鍛造してスラブとする。その後、スラブを熱間圧延して上記の組成を有する純チタンまたはチタン合金の熱延コイルとする。この熱延コイルを冷間圧延し、冷間圧延後のチタン素材に対し研磨工程を実施すればよい。
なお、スラブには、必要に応じて研磨、切削等の前処理が施されていてもよい。また、ハース溶解法で熱延可能な矩形とした場合は、分塊や熱間鍛造等を行わず熱間圧延に供してもよい。
冷間圧延条件も特段制限されず、適宜所望の厚さ、特性等が得られる条件で行えばよい。
[溶削工程]
本工程では、ふっ酸を1質量%以上含有する水溶液によって研磨工程後のチタン素材をその表面から3μm以上溶削(溶削処理)後に非酸化性の雰囲気下で300~880℃に加熱する(加熱処理)。以下では、ふっ酸を1質量%以上含有する水溶液を、単にふっ酸水溶液と呼称することがある。研磨工程後のチタン素材に対し、上記ふっ酸水溶液を用いて5μm以上溶削することで、研磨工程後のチタン素材の表面により局所的な傾斜をなす凹凸が付与される。上記水溶液としては、例えば、1質量%以上のふっ酸を含有する硝ふっ酸溶液、硫ふっ酸水溶液等が挙げられる。このようにふっ酸以外に、硝酸や硫酸など他の薬剤が混合されていてもよい。ふっ酸と硝酸の混合水溶液が、チタンを溶削する際に最も汎用であることから好ましく、さらに好ましくは、色調むらが抑制されることからその硝酸濃度は1~8質量%である。
ふっ酸水溶液の温度は、20~60℃であることが好ましい。ふっ酸水溶液の温度が20~60℃であれば、溶削量の制御が比較的容易となる。60℃超では溶削反応が激しくなり温度上昇の抑制が難しくなる。ふっ酸水溶液の温度は、より好ましくは、30~50℃である。
溶削量は3μm以上である。溶削量が3μm未満であると局所的な傾斜をなす凹凸が十分に付与されず、RΔqが0.150に満たない場合が生じる。よって、溶削量は3μm以上である。溶削量は、好ましくは、5μm以上である。
一方、溶削量の上限は、特段制限されないが、過剰に溶削すると歩留ロスが大きくなるだけであり、さらには所望の厚さのチタン材を得られないことがある。また、過剰に溶削すると歩留まりが低下し、製造コストが増大する。例えば、溶削量の上限は、20μmであり、好ましくは、10μmである。
溶削量の確認は、例えば、以下の方法で行うことができる。すなわち、例えば板や板の帯状コイルの場合、溶削前後の質量を測定しその減少質量、および初期の板厚、幅、長さから、計算することができる。この計算の際、チタン材の密度が必要な場合には、例えば工業用純チタンならば4.51g/cmの値を用いればよい。
上記の研磨工程および溶削工程により、チタン基材表面のRa/RSmが0.006~0.015となり、かつ、粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.150~0.280となる。
上記溶削処理後のチタン材は、溶削条件により、酸化皮膜中にふっ素を多量に含有する場合がある。酸化皮膜にふっ素が多量に含有されると、上述したように、変色が生じる場合がある。酸化皮膜のF含有量を低減するため、溶削処理後のチタン素材を、非酸化性の雰囲気下で300~880℃に加熱する。溶削処理後のチタン素材を非酸化性の雰囲気下で300~880℃に加熱することで、酸化皮膜中のF含有量を低減することが可能となる。これは、ふっ素が拡散、蒸発したためと考えられる。非酸化性の雰囲気は、例えば、真空雰囲気、アルゴン雰囲気、またはヘリウム雰囲気等である。300℃未満では十分にふっ素濃度が低下しない場合があり、880℃を超えると変態や粒成長によって表面にしわが形成されてしまい上述した表面の特徴を損なってしまう場合がある。加熱温度は、好ましくは、320℃以上である。また、加熱温度は、好ましくは、870℃以下である。
なお、ここで言う真空雰囲気は、真空度が、10-2Pa(約10-4Torr)を含み、それよりも低い雰囲気を言う。また、アルゴン雰囲気とは、純度99.99%以上のアルゴンガスからなる雰囲気のことを言い、ヘリウム雰囲気とは、純度99.99%以上のヘリウムガスからなる雰囲気のことを言う。前記真空雰囲気には、上記真空度を満たす範囲で前記アルゴンガスまたはヘリウムガスが含まれても良い。また、非酸化性の雰囲気は、このアルゴンガスとヘリウムガスからなる雰囲気でもよい。加熱の際、チタン材の酸化による着色を防ぐことができることから、上述の雰囲気とする。
加熱時間は、前記で定めたふっ素の濃度が所望以下になれば十分であるため、特段に範囲を制限する理由はない。工業的には10秒~8時間であることが好ましい。
この加熱工程をチタン材の焼鈍と兼ねてもよい。
ここまで、第1の製造方法を説明した。なお、各加工工程の前後で適宜、水洗、アルカリ洗浄、溶剤洗浄の通常の洗浄を実施してもよい。
(3.2. 第2の製造方法)
第2の製造方法は、チタン素材の表面を研磨する研磨工程と、表面粗さRaが0.5μm以上の圧延ロールを用いてチタン素材を、総圧下率が0.10%以上となるように圧下する冷延工程と、を有する。研磨工程は、第1の製造方法で説明した研磨工程と同様であるため、ここでの詳細な説明や省略する。
[冷延工程]
本工程では、表面の算術平均粗さRaが0.5μm以上の圧延ワークロール(以降、圧延ロールと言う。)を用いて研磨工程後のチタン素材を圧下する。上記圧延ロールを用いて研磨工程後のチタン素材を、総圧下率が0.10%以上となるように圧下することで、チタン素材の表面に、より局所的な傾斜をなす凹凸が付与される。圧延ロールの表面の算術平均粗さRaが大きすぎると、研磨工程によって事前に付与した凹凸形状が大きく変化する場合があるため、圧延ロールの表面の算術平均粗さRaは、好ましくは2.0μm以下である。
圧延ロールの表面粗さは、研磨やショットブラストで調整することができる。
総圧下率は、局所的な傾斜をなす凹凸を付与するために0.10%以上、好ましくはコイル全長での表面造り込みの安定性から0.2%以上とする。一方、前工程の研磨で形成した表面粗さを冷延で潰して必要な凹凸形状を消滅させてしまわないように、1.5%以下とすることが好ましい。また、本発明の表面特徴を得るにはこの冷延は1パスでも十分であるが、長尺のコイルにて全長をできるだけ均一な表面に仕上げる点を加味して、冷延を2パス以上の複数回で実施してよい。その点を考慮して総圧下率を規定し、複数パスの場合には、総圧下率は、初期と仕上げの板厚の差から求めた圧下率とする。
上記の研磨工程および冷延工程により、チタン基材表面のRa/RSmが0.006~0.015となり、かつ、粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.150~0.280となる。
ここまで、第2の製造方法について説明した。
(3.3. 複合型の例)
本発明に係るチタン材の製造方法は、第1の製造方法における溶削工程および第2の製造方法における冷延工程のいずれもを含んでもよく、その場合、いずれの工程を先に実施してもよい。溶削工程および冷延工程を実施しても、Ra/RSmが0.006~0.015であり、かつ、粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.150~0.280であるチタン材を製造することが可能である。
なお、上記では、溶削工程における加熱処理を溶削処理に続く処理として説明したが、溶削工程および冷延工程の双方を実施する場合は、溶削処理後は、加熱処理および冷延工程のいずれを先に実施してもよい。言い換えると、溶削処理、加熱処理、冷延工程の順に実施してもよいし、溶削処理、冷延工程、加熱処理の順に実施してもよい。加熱処理および冷延工程のいずれを先に実施してもRa/RSmが0.006~0.015であり、かつ、粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.150~0.280であるチタン材を製造することが可能である。
製造されたチタンは、必要に応じて、機械的特性を調整するための調質圧延または形状を矯正するための引張矯正が施されてもよい。
以上、本実施形態に係るチタン材の製造方法について説明した。
以下に、実施例を示しながら、本発明の実施形態について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明のあくまでも一例であって、本発明が、下記の例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例では、第1の製造方法に基づきチタン材を製造した。本実施例では、JIS H 4600:2012に準拠したJIS1種(ASTM Gr.1相当)板、JIS2種(ASTM Gr.2相当)板、Ti-0.05Pd板(JIS17種(ASTM Gr.7)相当)、Ti-0.15Pd板(JIS11種(ASTM Gr.11)相当)、Ti-0.5Ni-0.05Ru板(JIS21種(ASTM Gr.13)相当)、Ti-3Al-2.5V板(JIS61種(ASTM Gr.9)相当)、Ti-6Al-4V板(JIS60種(ASTM Gr.5)相当)、Ti-15v-3Cr-3Sn-3Al板(ASTM 4914相当)、ならびに、Ti-0.03Ru-0.002Mm板、Ti-5Al-1Fe板およびTi-20V-4Al-1Sn板を用いた。Ti-0.03Ru-0.002Mm板におけるMmは、ミッシュメタルを示す。
JIS1種板、JIS2種板、Ti-0.05Pd板、Ti-0.15Pd板、Ti-0.5Ni-0.05Ru板、Ti-3Al-2.5V板、および、Ti-Ru-Mm板は、冷間圧延、アルカリ洗浄、および、真空雰囲気下、650℃の温度で4時間焼鈍して得られた板であり、板厚を0.5mmとした。
Ti-6Al-4V板、Ti-15V-3Cr-3Sn-3Al板、Ti-5Al-1Fe板、および、Ti-20V-4Al-1Sn板は、冷間圧延、大気雰囲気下、800℃の温度で5分間焼鈍した後、酸洗して得られた板であり、板厚を1.0mmとした。
表1~4に、チタン材の製造条件のうちの研磨工程、および溶削工程の条件を示す。また、表4では、Ti-0.03Ru-0.002Mm板をTi-Ru-Mm板と記載した。また、表1~4に示した「研磨パス数」とは、研磨ベルトを配置した3台の研磨スタンドからなるコイルグラインダのラインへのチタン素材の通板回数を示している。
Figure 2022049105000009
Figure 2022049105000010
Figure 2022049105000011
Figure 2022049105000012
製造したチタン材の表面粗さの各パラメータ(算術平均粗さRa、輪郭曲線要素の平均長さRSm、粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔq、クルトシスRku、スキューネスRsk)を、JIS B 0601:2013に準拠し、以下の条件で測定した。
装置機器:表面粗さ形状測定機((株)東京精密製 SURFCOM 1900DX、解析ソフトウェア:TiMS Ver.9.0.3)
測定子:(株)東京精密製形状測定子(型式:DT43801)
パラメータ算出規格:JIS-01規格
測定種別:粗さ測定
カットオフ種別:ガウシアン
傾斜補正:最小二乗直線補正
測定距離:5.0mm
カットオフ波長λc:0.8mm
測定レンジ:±64.0μm
測定速度:0.3mm/sec
移動・戻り速度:0.6mm/sec
リターン設定:通常測定
予備駆動長さ:(カットオフ波長/3)×2
測定間隔Δx:0.195μm
λsカットオフ比:300
λsカットオフ波長:2.667μm
ピックアップ種別:標準ピックアップ
極性:正転
測定位置は、Raが最大となる方向で3点測定してその平均値を求めた。ここで、Raが最大となる方向は、チタン材が板の場合には圧延方向と平行な方向を0°として、22.5°、45°、90°(圧延方向に垂直な方向)の4方向にて粗さを測定し、Raが最大となる方向を決定した。圧延ロールを用いてチタン素材を圧延してチタン材を場合や、砥粒が埋め込まれたロールを圧延方向に回転させて板表面を研磨した場合には、圧延方向に垂直な方向である90°方向にて、Raが最大となった。
酸化皮膜厚さならびに酸化皮膜中のF含有量、C含有量、P含有量およびS含有量は、オージェ電子分光法により得た深さ方向の組成分布より求めた。酸化皮膜の厚さは、酸化皮膜表面での酸素濃度の測定値に対して、酸素濃度が半減する位置でのスパッタリング時間を求め、SiO換算のスパッタリング速度と上記素スパッタリング時間を掛けた値を酸化皮膜厚さとした。
酸化皮膜中の最大ふっ素濃度を酸化皮膜中のF含有量とした。また、最表面は汚染の影響があるため、深さ方向に対して濃度がほぼ単調に減少している炭素については、最表面にて酸素濃度が低下している部分を汚染の影響と考え、酸素濃度が極大となる深さ以降における炭素濃度の最大値を酸化皮膜中のC含有量とした。酸化皮膜のP含有量およびS含有量は、F含有量と同様の方法で分析した。
得られたチタン材の試料について、変色試験を行った。変色試験は、pH4の硫酸水溶液に80℃で4日間浸漬し、浸漬前後のチタン材表面のLを測定して、色差ΔEabを求めた。色差の測定は、JIS Z 8730:2009に準拠して求められる明度Lおよび色度a、bそれぞれの浸漬前後の差ΔL、Δa、Δbから、
色差ΔEab=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
に従って求めた。なお、色差の測定には、ミノルタ(株)製色彩色差計CR-200bを用いて光源Cにて実施した。
色差ΔEabが6.0以下である場合を耐変色性が極めて良好(◎)であると判断し、色差ΔEabが6.0超8.0以下である場合を耐変色性が良好(〇)であると判断し、色差ΔEabが8.0超である場合を耐変色性が不適(×)であると判断した。
目視観察による評価は、本変色促進試験に供していないチタン材と本変色促進試験後のチタン材を平板上に並べておき、太陽光下で様々な角度から見比べて、変色が目立って視認される角度があった場合を不合格(×)、そのような角度が無かった場合を合格(○)であると判断した。なお、この目視観察は、実際の建築物の屋根や壁を想定した条件であり、見る角度によって色調が変わることも想定しての評価である。
上述した色差と目視観察による評価から、以下および下表のように総合的に変色しにくさを判断した。色差ΔEabが6.0以下「◎」で且つ目視観察が合格「〇」の場合、極めて良好(◎)、色差ΔEabが6.0超8.0以下「〇」で且つ目視観察が合格「〇」の場合、良好(〇)、色差ΔEabが8.0超「×」の場合と、色差ΔEabが8.0以下であっても目視観察が不合格「×」ならば、不適(×)とした。上記の評価基準を表2に示す。
Figure 2022049105000013
表6~9に、得られたチタン材の各特徴(試料の表面粗さの各パラメータ、酸化皮膜の厚さ、酸化皮膜のF含有量、C含有量)と色差ΔEab、目視での評価結果を示す。
Figure 2022049105000014
Figure 2022049105000015
Figure 2022049105000016
Figure 2022049105000017
表1~9に示すように、Ra/RSmが0.006~0.015であり、かつ、粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.150~0.280である場合に、耐変色性が良好であった。また、クルトシスRkuが3超またはスキューネスRskが-0.5超である場合に、耐変色性が極めて良好であった。
また、酸化皮膜が、F:3原子%以下、および、C:20原子%以下を含有する場合、耐変色性が極めて良好であった。
(実施例2)
本実施例では、第2の製造方法に基づきチタン材を製造した。用いたチタン素材は、実施例1と同様の工程を経て得られた板である。表10、11に、チタン材の製造条件のうちの研磨工程および冷延工程の条件を示す。
Figure 2022049105000018
Figure 2022049105000019
作製した試料の表面粗さの各パラメータの測定、酸化皮膜厚さならびに酸化皮膜中のF含有量、C含有量の算出、および色差ΔEab、目視での評価は、実施例1と同様の方法で行った。表12、13に、得られたチタン材の各特徴(試料の表面粗さの各パラメータ、酸化皮膜の厚さ、酸化皮膜のF含有量、C含有量)と色差ΔEab、目視での評価結果を示す。
Figure 2022049105000020
Figure 2022049105000021
表10~13に示すように、Ra/RSmが0.006~0.015であり、かつ、粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.150~0.280である場合に、耐変色性が良好であった。また、クルトシスRkuが3超またはスキューネスRskが-0.5超である場合に、耐変色性が極めて良好であった。
また、酸化皮膜が、F:3原子%以下、および、C:20原子%以下を含有する場合、耐変色性が極めて良好であった。
(実施例3)
本実施例では、溶削工程と冷延工程とを含む複合型の製造方法に基づきチタン材を製造した。実施例1におけるNo.A1、A2*、A3*、A4*、C11~C23を用い、これらに表14に示した冷延工程を施した。また、実施例2におけるNo.B1~B4、D11~D13を用い、これらに表15に示した溶削工程を施した。
Figure 2022049105000022
Figure 2022049105000023
作製した試料の表面粗さの各パラメータの測定、酸化皮膜厚さならびに酸化皮膜中のF含有量、C含有量の算出、および色差ΔEab、目視での評価は、実施例1と同様の方法で行った。表16、17に、得られたチタン材の各特徴(試料の表面粗さの各パラメータ、酸化皮膜の厚さ、酸化皮膜のF含有量、C含有量)と色差ΔEab、目視での評価結果を示す。
Figure 2022049105000024
Figure 2022049105000025
表14~17に示すように、溶削工程および冷延工程のいずれをも実施して作製した試料は、Ra/RSmが0.006~0.015であり、かつ、粗さ曲線要素の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.150~0.280であり、耐変色性が良好であった。
また、酸化皮膜が、F:3原子%以下、および、C:20原子%以下を含有する場合、耐変色性が極めて良好であった。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (5)

  1. 算術平均粗さRaが最大となる方向の粗さ曲線において、算術平均粗さRaと要素長さRSmの比であるRa/RSmが0.006~0.015であり、かつ、二乗平均平方根傾斜RΔqが0.150~0.280であるチタン基材を備える、チタン材。
  2. 算術平均粗さRaが最大となる方向の粗さ曲線において、前記チタン基材のクルトシスRkuが3超である、請求項1に記載のチタン材。
  3. 算術平均粗さRaが最大となる方向の粗さ曲線において、前記チタン基材のスキューネスRskが-0.5超である、請求項1または2に記載のチタン材。
  4. F:3原子%以下、および、
    C:20原子%以下、
    を含有する酸化皮膜を前記チタン基材の表面に備え、
    前記酸化皮膜の厚さが、15nm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のチタン材。
  5. チタン素材の表面をJIS R 6001-2:2017に準拠した#320以下の番手の粒度分布を有する研磨微粉を用いて研磨する研磨工程と、次いで、
    ふっ酸を1質量%以上含有する水溶液によって前記研磨工程後のチタン素材を表面から3μm以上溶削後に非酸化性の雰囲気下で300~880℃に加熱する溶削工程、または、表面粗さRaが0.5μm以上の圧延ロールを用いて、前記研磨工程後のチタン素材を、総圧下率が0.10%以上となるように圧下する冷延工程の少なくともいずれか一方を有する、チタン材の製造方法。
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WO2023170979A1 (ja) * 2022-03-11 2023-09-14 日本製鉄株式会社 チタン材

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