JP3052787B2 - 建材用純チタン、純チタン板およびその製造方法 - Google Patents

建材用純チタン、純チタン板およびその製造方法

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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、屋根材、外壁材などの
建材用純チタン、純チタン板およびその製造方法に関
し、特に、安価なチタン原料の使用が可能で、加工性に
優れた建材用純チタン、光線の反射の軽度な、表面光沢
が抑えられた建材用純チタン板およびそれらの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】チタンは、軽量で、かつ極めて耐食性に
優れているために様々な用途に活用されている。最近で
は、内装用建材の他、屋根材、外壁材等の外装用建材と
しての用途も増加している。特に、チタンは海水に対し
て優れた耐食性を持っているため、ウォーターフロント
の開発に伴って、臨海地区の建築物へ適用されることが
多くなっている。
【0003】建材用チタンとしては、成形性、加工性が
要求されるので、おもに軟質の工業用純チタンが用いら
れている。工業用純チタン(以下、純チタンと記す)に
は、JISH4600に規定されている、1種から3種
があり、FeとOの含有率で区分されている。建材用と
しては、その中でもFeとOの少ない1種が多用されて
おり、化学組成としては、重量%で、H≦0.013
%、O≦0.15%、N≦0.05%、Fe≦0.20
%、残部Tiと規定されている。
【0004】純チタンが建材として用いられる場合に
は、その美麗な表面を生かすために無塗装で使用される
ことが多い。チタンが無塗装で用いられる場合には、内
装用としては、落ち着いた表面性状あるいは色調が好ま
れる。また、外装用としては、構造物に落ち着いた雰囲
気を与えること、航空機の運行の妨げのならないこと等
を考慮して、光の反射の抑えられた表面性状のチタン板
が求められている。
【0005】純チタンの薄板は、一般に次の工程で製造
される。まず、原料である純度の高いスポンジ状の金属
チタンをプレス加工し、円柱状の電極を作る。この電極
を消耗式電極として、真空下でアーク溶解し、インゴッ
トを作製する。次に、このインゴットを分塊圧延し、熱
間圧延用のスラブを製造する。表面疵の除去等の表面手
入れが施されたチタンスラブを熱間圧延、冷間圧延後、
焼鈍処理によって軟化させて成形性・加工性を付与して
いる。この焼鈍処理としては、真空下で加熱する真空焼
鈍法と、大気中で帯状のチタン板を連続炉によって加熱
する連続焼鈍法がある。
【0006】連続焼鈍法の場合には、焼鈍後、チタン板
表面に発生したスケールを取り除くために、硝弗酸等の
酸を用いて酸洗処理を施す。この酸洗処理によって、表
面性状のよい、光沢のあるチタン薄板に仕上げられる。
【0007】建材用として純チタンの用途拡大を図る上
で、もっとも強く求められているのは、純チタンの価格
を下げることである。建材用に適していながら、価格が
高いために、広く活用されるまでに至っていないのが実
状である。
【0008】したがって、建材用純チタンについては、
いっそうの用途拡大を図るためには、少なくとも次の
(a)と(b)、外装材として利用するためには、さら
に(c)の課題を同時に解決する必要がある。
【0009】(a)価格(製造コスト)が安いこと。
【0010】(b)加工性、成形性が良いこと。
【0011】(c)表面光沢が抑えられていること。
【0012】チタンの製造コストに対しては、チタン原
料の影響が大きい。現在使用されている高純度のスポン
ジチタンは、その精製に多量の電力を必要とするため価
格が高い。したがって、高純度のスポンジチタンを使用
する方法では、建材用チタンの製造コストを下げること
は難しい。精製度の低い、純度の低い安価なスポンジチ
タンを利用することがコスト節減には有効であるが、N
i、Cr等の不純物が混入するという問題がある。ま
た、高純度のスポンジチタンの代わりに、安価なチタン
スクラップを利用する方法もあるが、FeおよびOの混
入が避けられない。さらに、スクラップ中にステンレス
鋼が混入することがあるため、Ni、Cr等の不純物の
含有率が高くなることがある。Fe、Oが混入し、Fe
が600ppm、Oが900ppmを超えると、純チタ
ンの硬度が高くなり、曲げ加工性が悪くなる。また、N
i、Crも純チタンの硬度を高めるために、純チタンの
成形性・加工性を害する。このように安価な原料の利用
については、これらの問題が解決されていないために、
未だ工業化されていないのが実状である。
【0013】通常、純チタン薄板を成形加工すると、ペ
コと呼ばれる波打ち状の欠陥が発生しやすい。この表面
欠陥が生じると、屋根材、外壁材として使用した場合
に、外観が著しく損なわれるので、チタン特有の表面の
美麗さ等の特色が失われる。純チタン板の成形性を向上
させ、このような欠陥を防止する対策として、特公平6
−10329号公報には、冷間圧延、連続焼鈍によっ
て、平均結晶粒径5〜28μmの成形加工用純チタン薄
板を製造し、焼鈍後から成形加工までの間に弾性限を超
える変形を与えずに成形加工に供される純チタン薄板が
開示されている。
【0014】また、焼鈍処理後のチタン板のスケールを
除去するとともに、ピット疵のない美麗な表面を持つチ
タン板を得るための酸洗処理方法として、特公昭60−
25506号公報には、次の方法が示されている。その
方法では、弗酸2g/l以上を含有する弗酸水溶液、ま
たは弗酸2g/l以上を含有する弗酸水溶液と硫酸の混
合水溶液にチタン板を浸漬するか、またはその水溶液を
スプレーすることによって酸洗処理する方法である。通
常の硝弗酸による酸洗処理に比べて、美麗な表面の製品
が得られるとされている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、チタン
を建材として利用するためには、現状の純チタンの持つ
特性に加えて、(a)安価なこと、(b)成形性・加工
性(以下、成形性と記す)が良いことの2つの課題を同
時に解決する必要があり、外装材として利用するために
は、さらに、(c)光線の反射が抑えらた表面性状であ
ることの3つの課題を解決しなければならない。
【0016】特公平6−10329号公報および特公昭
60−25506号公報の方法では、(a)および
(b)、あるいは(a)ないし(c)を同時に解決する
ことができない。
【0017】本発明は、このような課題を解決するため
になされたものであり、安価で、成形性の良い建材用純
チタン、さらには、光沢度の抑えられた光線の反射が軽
度な表面性状を持つ建材用純チタン板およびそれらの製
造方法を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために、安価なチタン原料として、チタンス
クラップおよび純度の低いスポンジチタンの利用方法に
ついて検討を行った結果、純チタン中に含まれるFe、
O、Ni、Cr量を適度の範囲に制限すれば、成形性を
損なうことがないことを知見した。さらに、適量のF
e、Ni、Crが含まれている純チタン板に、所定の条
件に管理された酸洗処理を施すことにより、表面光沢が
抑えられた、落ち着いた表面性状および色調の建材用に
適した純チタン板が得られるとこを見い出した。本発明
は、これらの結果を基に完成したものであり、下記の
〜を要旨としている。
【0019】 重量割合で、Fe、NiおよびCrの
含有率が下記式(1)、(2)および(3)(単位:p
pm)を満足し、かつ酸素(O)が900ppm以下
で、残部がTiおよび不可避不純物からなる建材用純チ
タン、 100≦Fe≦600 式(1) 100≦Ni+Cr≦700 式(2) Fe+Ni+Cr≦1000 式(3) と同じ化学組成を有し、冷間圧延および焼鈍後の
平均結晶粒径が70μm以下の建材用純チタン板、 純チタンスクラップおよび/またはスポンジチタン
を主原料として溶解する、上記の建材用純チタンの製
造方法、 の建材用純チタン板に対して、下記式(4)、
(5)(単位:いずれも重量%)および(6)を満足す
る硝弗酸水溶液で酸洗処理を施す、建材用純チタン板の
製造方法 2≦HF≦7 式(4) 4≦HNO3 ≦20 式(5) 1≦HNO3 /HF≦5 式(6)
【0020】
【作用】本発明者らは、純チタン製造用の原料として、
チタンスクラップあるいは純度の低いスポンジチタンを
利用する場合でも、Fe、Ni、Crの含有率が適当量
であれば、純チタンの成形性を損なうことがないこと、
さらに、Fe、Ni、Crが適当量含有されている場合
には、表面光沢の抑えられた建材用純チタンの製造に対
して有利であることを知見した。これによって、純チタ
ン製造用の原料として、チタンスクラップあるいは純度
の低いスポンジチタンの利用を可能にした。
【0021】本発明では、純チタンのO、Fe、Ni、
Crの含有率、純チタン板の平均結晶粒径および焼鈍後
の酸洗条件を前記のように規定した。その根拠は下記の
通りである。
【0022】純チタン板の成形性の観点から、上記4元
素の含有率は下記の範囲とする必要がある。FeとO
は、Fe含有率が600ppm、またOの含有率が90
0ppmを超えると、純チタンの硬度が高くなるため、
曲げ加工性(成形性)が悪くなる。したがって、Feと
Oの上限はそれぞれ600ppm、900ppmとし
た。
【0023】また、NiとCrは、純チタンに対してF
eの1/2程度の硬化能を持ち、NiとCrの含有率の
和(Ni+Cr)が700ppmを超え、かつ、Feと
NiとCrの含有率の和(Fe+Ni+Cr)が100
0ppmを超えると純チタンの硬度が高くなり、曲げ加
工性等の成形性が悪くなる。したがって、Ni+Crは
700ppm以下、Fe+Ni+Crは1000ppm
以下とした。
【0024】純チタン板の表面光沢の観点からは、F
e、Ni、Crが適当量含有されている方が良い。これ
らの元素は、純チタンの結晶粒界に偏析する傾向があ
る。この偏析部は、チタン材を冷間圧延し、焼鈍した後
の酸洗の際に、優先的に腐食を受けるため、純チタン表
面に凹凸が形成される。その結果、純チタンの表面は、
光沢が抑えられた、光線を反射しにくい性状となる。一
方、これらの元素の含有率が低過ぎる場合には、酸洗時
に結晶粒界が腐食されにくいので、光沢を抑えられる程
の凹凸が表面に形成されない。そのため、酸洗後の表面
は平滑で光沢度の高い、きらきらとした印象を与える製
品となる。したがって、Fe、Ni、Crの3元素は、
ある程度含有させる必要があり、酸洗によって表面光沢
が抑えられた製品を得るためには、Fe100ppm以
上、Ni+Cr100ppm以上が必要である。 F
e、Ni、Cr含有率が、この下限値と上記の成形性の
観点から定められた上限値との範囲内にある場合には、
本発明の目的とする表面光沢の抑えられた、成形性の良
い純チタン板を得ることができる。
【0025】なお、純チタン中のO含有率は低い方が望
ましいので、下限は特に規定しないが、原料からの混入
が避けられないので、実用的には200ppm程度とな
る。
【0026】純チタン板の表面光沢に対しては、上記の
Fe、Ni、Cr含有率の他に、純チタン板の結晶粒径
が影響を及ぼす。JISH0501求積法によって得ら
れる平均結晶粒径が70μm以上の場合には、表面光沢
の抑制効果が小さい。それぞれの結晶粒が大き過ぎる場
合には、結晶粒界の凹凸が表面光沢の抑制に反映されに
くいためである。したがって、純チタンの結晶粒径は7
0μm以下とすることが望ましい。なお、平均結晶粒径
の下限は特に規定されない。実生産上、下限は5μm程
度となる。
【0027】純チタン板の表面光沢に対しては、上記の
3元素の含有率、平均結晶粒径に加えて、適正な酸洗条
件を選ぶことが望ましい。焼鈍後の純チタン板の酸洗液
としては硝弗酸水溶液を用いる。弗酸(HF)の濃度が
重量%で2%(以下、酸洗液の濃度表示は重量%)未満
の場合には、焼鈍によって生成した純チタン表面のスケ
ールを十分に除去することができない。一方、HFの濃
度が7%を超えると、酸洗時の反応が激しく、純チタン
板表面に酸焼けと称するムラが発生する。また、酸(H
NO3 )の濃度が4%未満の場合には、酸洗後の純チタ
ン表面に酸洗反応生成物が付着して残るために、表面が
汚れて、ムラのある黒みを帯びた状態となる。HNO3
濃度が20%を超えると、表面の光沢度が高くなり過ぎ
るので、表面光沢を抑えた純チタン板が得られない。H
NO3 の濃度が高過ぎる条件では光沢度が高くなる原因
は、硝酸がチタンの酸洗反応を抑える働きがあるため、
結晶粒界の優先的な腐食が起こりにくく、結晶粒界に凹
凸が形成されにくいためである。
【0028】酸洗液については、HF、HNO3 の濃度
の他に、両者の濃度比HNO3 /HFについて適正な条
件を選ぶことが望ましい。HNO3 /HFが1未満で
は、酸洗後の純チタン板表面が汚れて、ムラのある黒み
を帯びた状態となる。HNO3/HFが5を超えると、
純チタン板表面の光沢度が高くなり過ぎるため、表面光
沢を抑えた純チタン板が得られない。
【0029】したがって、本発明に用いる酸洗液として
は、HFの濃度が2%以上、7%以下、HNO3 の濃度
が4%以上、20%以下、両者の濃度比HNO3 /HF
が1以上、5以下の硝弗酸水溶液が適している。
【0030】本発明の純チタンは、前記の範囲内でF
e、NiおよびCrを含むことを許容している。したが
って、純チタン製造用のチタン原料として、チタンスク
ラップまたは純度の低いスポンジチタン等の安価な原料
を使用することができる。これらの原料は、単独で用い
てもよいし、両者を併用してもよい。また、これらの原
料では、Fe、Ni、Cr等の含有率が高くなり過ぎる
場合には、純度の高いスポンジチタンを配合することに
より、成分調整するのがよい。チタンスクラップあるい
は純度の低いスポンジチタン等のチタン原料に含まれる
不純物としてのFe、Ni、Cr等の含有率は、変動幅
がかなり大きい。したがって、これらの原料を使用する
場合には、予め、不純物元素の含有率を調査しておき、
本発明の純チタンの化学組成範囲に入るように、原料配
合を決めることが必要である。
【0031】
【実施例】
(実施例1)実施例1では、純チタン板の成形性、表面
光沢に及ぼす、O、Fe、NiおよびCr含有率の影響
を調査した。
【0032】表1に、供試材作製用に用いた純チタンチ
タンインゴット20本の化学組成を示した。供試材N
o.1〜13は本発明の純チタン、供試材No.14〜
20は比較材としての純チタンである。
【0033】
【表1】
【0034】チタンインゴット溶製用のチタン原料とし
て、供試材No.1〜10およびNo.14〜20に対
しては、純度の高いスポンジチタン(JISH2151
−1種)を用いた。供試材No.11〜13に対して
は、細かい切屑状のチタンスクラップ(O:0.045
%、Fe:0.025%、Ni:0.007%、Cr:
0.0067%、いずれも重量%)を用いた。この他、
Fe、NiおよびCr含有率調整用の原料として、純F
e、純Ni、純Crを用いた。インゴットの溶製は、プ
ラズマアーク炉を利用し、アルゴン雰囲気下で所定の配
合割合の原料を溶解する方法によった。インゴットは大
きさが、厚さ20mm、幅60mm、長さ150mmで
あり、重さが800gである。
【0035】得られたインゴットは、950℃に加熱
し、厚さ10mmまで鍛造した後、さらに、850℃に
加熱して厚さ5mmまで熱間圧延した。圧延後の素材
は、表面のスケールを取り除くために、厚さ4mmまで
表面を機械加工した。その後、厚さ4mmから0.8m
mまで冷間で圧延した。
【0036】圧延後の素材から、幅20mm、長さ15
0mmの試験片を切り出した。その試験片を、大気中で
700℃の温度に、5分間保持することにより焼鈍し
た。焼鈍後の試験片に対して、30℃の硝弗酸水溶液
(HF:3%、HNO3 :10%、HNO3 /HF:
3.3)に2分間浸漬する条件で酸洗処理を施し、焼鈍
の際に生成した試験片表面のスケールを除去した。各試
験片の平均結晶粒径は、10〜80μm程度であった。
【0037】試験片の評価は、成形性をビッカース硬
度、表面光沢をJISZ8741に規定されている60
度鏡面光沢法による光沢度によった。なお、硬度の測定
は試験片の縦断面、光沢度の測定は圧延面で行った。
【0038】表1にこれらの調査結果を併せて示した。
ビッカース硬度が170を超える場合には、硬度が高す
ぎて成形性が悪くなるので、成形性不良(×)とした。
また、光沢度が30を超える場合には、光沢が抑えられ
た表面性状にはならないので、その場合には表面光沢不
良(×)とした。光沢度30以下を良(○)とした理由
は、この範囲が、JISZ8741に準拠し、60度鏡
面光沢の測定条件下で、中光沢の中心視感光沢が得られ
る鏡面光沢度であることとも一致している。
【0039】表1から明かなように、供試材No.1〜
13の本発明の純チタン板は、成形性が良く、表面光沢
も抑えられており、本発明の目的とする建材用に適した
特性を備えている。それに対して、供試材No.14〜
20の比較用の純チタン板は、化学組成の範囲が本発明
の範囲外であるために、成形性または表面光沢が不良と
なることが確認された。また、チタン原料として、チタ
ンスクラップを用いた供試材No.11〜13について
は、化学組成が本発明の範囲内であるために、成形性、
表面光沢ともに良好である。この結果から、チタン原料
として、高純度のスポンジチタン以外の原料を用いて
も、化学組成が本発明の範囲内であれば、純チタン板の
特性には影響がないことが裏付けられた。
【0040】(実施例2)純チタン板の表面光沢に及ぼ
す結晶粒径の影響を調査した。供試材としては、実施例
1で用いた供試材No.6と同じ化学組成の冷間圧延材
を使用した。冷間圧延材から、縦20mm、横20mm
の試験片を切り出し、この試験片を550℃から50℃
おきに850℃までの各温度に5分間保持する条件で焼
鈍し、平均結晶粒径の異なる試験片を調製した。さら
に、焼鈍後の試験片に対して、実施例1と同じ条件で酸
洗処理を施した。得られた試験片について、圧延方向と
平行な縦断面でJISH0501の求積法にしたがっ
て、平均結晶粒径を測定し、また、実施例1と同じ方法
で表面の鏡面光沢度を測定した。表2にその調査結果を
示した。
【0041】
【表2】
【0042】平均結晶粒径が70μm以下の本発明の純
チタン板(試験No.1〜6)は、表面光沢度が30以
下であり、光沢が抑えられた表面性状となっていること
が分かる。それに対して、平均結晶粒径が70μmを超
えると(試験No.7)、表面光沢度が30を超えてお
り、光沢度が高過ぎるといえる。この結果から、純チタ
ン板の平均結晶粒径は70μm以下が適していることが
確認された。
【0043】(実施例3)光沢度に及ぼす酸洗条件の影
響を調査した。供試材としては、実施例1で用いた供試
材No.6と同じ化学組成の冷間圧延材を使用した。冷
間圧延材を700℃、5分間保持の条件で焼鈍し、縦5
0mm、横50mmの試験片を切り出した。この試験片
を、表3に示す各条件の硝弗酸水溶液によって酸洗し
た。酸洗液の温度は30℃、保持時間は2分とした。酸
洗後の試験片について、表面観察により脱スケール性を
含む酸洗の効果を調査し、実施例1と同じ方法で表面光
沢度を測定した。表3にこれらの調査結果を示した。
【0044】
【表3】
【0045】本発明例の試験No.1〜11について
は、酸洗条件が本発明の範囲内であるために、試験片表
面にスケールの残存、汚れなどがなく、表面が清浄であ
る。また、光沢度も30以下で、光沢が抑えられた建材
用に適した表面性状となっている。それに対して、比較
例の試験No.12〜25については、酸洗条件が本発
明の範囲外であるために、試験片表面にスケールの残
存、汚れが認められるものが多い。さらに、光沢度が3
0を超えるものが多い。このように、比較例の場合に
は、スケールの残存、汚れがないこと、光沢度30以下
であることの条件をすべて充たすものはなかった。
【0046】この結果から、酸洗条件としては、本発明
の条件が適していることが確認された。
【0047】
【発明の効果】本発明の建材用純チタンは、O、Fe、
Ni、Crを所定量含むことを許容しているので、純チ
タン製造用の原料として、安価なチタンスクラップある
いは純度の低いスポンジチタンを利用することができ
る。したがって、建材用としての成形性を備えた、価格
の安い純チタンが得られる。また、純チタン中に適当量
のFe、NiおよびCrを含有し、純チタン板の平均結
晶粒径が所定の範囲内にあることに加えて、焼鈍後の酸
洗条件として適切な条件を定めているので、表面光沢の
抑えられた光線の反射の軽度な表面性状を備えた、外装
用に適した建材用純チタン板が得られる。このように、
本発明の建材用純チタン、純チタン板およびその製造方
法によれば、安価な、建材用として好適な純チタンおよ
び純チタン板が得られるので、純チタンの建材への用途
拡大等、産業上優れた効果を奏する。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量割合で、Fe、NiおよびCrの含有
    率が下記式(1)、(2)および(3)(単位:pp
    m)を満足し、かつ酸素(O)が900ppm以下で、
    残部がTiおよび不可避不純物からなることを特徴とす
    る建材用純チタン。 100≦Fe≦600 式(1) 100≦Ni+Cr≦700 式(2) Fe+Ni+Cr≦1000 式(3)
  2. 【請求項2】請求項1の化学組成を有し、冷間圧延およ
    び焼鈍後の平均結晶粒径が70μm以下であることを特
    徴とする建材用純チタン板。
  3. 【請求項3】純チタンスクラップおよび/またはスポン
    ジチタンを主原料として溶解することを特徴とする請求
    項1に記載の建材用純チタンの製造方法。
  4. 【請求項4】請求項2に記載の純チタン板に対して、下
    記式(4)、(5)(単位:いずれも重量%)および
    (6)を満足する硝弗酸水溶液で酸洗処理を施すことを
    特徴とする建材用純チタン板の製造方法。 2≦HF≦7 式(4) 4≦HNO3 ≦20 式(5) 1≦HNO3 /HF≦5 式(6)
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