JP3398261B2 - Alを含有するフェライト系ステンレス鋼帯の製造方法 - Google Patents
Alを含有するフェライト系ステンレス鋼帯の製造方法Info
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Description
特性に優れたAl(アルミニウム)を含有するフェライ
ト系ステンレス鋼帯の冷延工程における製造方法に関す
るものである。
Alを含有するフェライト系ステンレス鋼が注目されて
きている。これら材料は、自動車用排ガス部品、電磁調
理器用部品等に使用されつつある。しかしながら、Al
を含有するフェライト系ステンレス鋼の冷延鋼帯を大気
中で焼鈍すると、Al系のスケール皮膜が生成されるた
めに、通常の仕上げ酸洗として使用される硝酸電解酸洗
では十分にはデスケールされず、表面にスケール残りと
して残留するという問題がある。さらに、該スケール残
りを除去するための研磨工程を追加するので、著しいコ
ストアップになっている。従って、Alを含有するフェ
ライト系ステンレス鋼冷延鋼帯の焼鈍時のスケーリング
特性、および酸洗時のデスケーリング特性を改善するこ
とが強く要望されている。
しては、例えば特公平6−94575号公報に開示され
ているように、硫酸酸洗と硝フッ酸酸洗の複合酸洗によ
り熱延板焼鈍のスケールを除去する方法がある。しかし
ながら、Alを2.5%以上含有するフェライト系ステ
ンレス鋼冷延焼鈍板においては、前述の酸洗方法ではデ
スケールが過大となって、表面の肌荒れが発生する。
する耐熱・電磁フェライト系ステンレス鋼冷延鋼帯にお
いて、その焼鈍時のスケーリング特性、および酸洗時の
デスケーリング特性を改善することにより、作業性を改
善し、さらに研磨工程を省略することを目的としてい
る。
めに成分、焼鈍条件および酸洗条件を検討した結果完成
したもので、その要旨とするところは下記のとおりであ
る。 (1)重量%にてC:0.05%以下、N:0.05%
以下、Cr:10〜40%、Al:2.5〜7.0%含
有するフェライト系ステンレス鋼の冷間圧延帯を焼鈍し
て、スケール皮膜厚が3.0μm以下で、かつ皮膜中で
のAl濃度が原子%にて15〜60at%である表面スケ
ールを生成し、続いてHF濃度が20〜160g/l、
HNO3 濃度が40〜200g/lの混酸で、液温度が
30〜80℃、Feイオン濃度が30g/l以下である
酸洗でデスケールすること、および(2)上記焼鈍の条
件を、酸素雰囲気が体積%にて、10 vol%以下、保定
温度が800〜1100℃、保定時間が5〜60秒、か
つ600℃〜保定温度間の平均加熱速度が30℃/sec以
上であるような条件とすることにある。
説明する。まず、本発明合金の各元素の限定理由につい
て述べる。Crは、ステンレス鋼の必須元素であり、1
0%未満では耐食性、耐酸化性が劣化する。またCrが
40%を超えると、鋼が脆くなり、加工成形ができなく
なる。従って、Crは10〜40%に限定した。望まし
い範囲は、14〜23%である。
磁特性を確保する基本元素であり、2.5%未満では所
望の耐酸化性や電気比抵抗が得られない。一方、7.0
%を超えて含まれると、熱延板の靭性が極度に低下し製
造性が損なわれる。従って、Alは2.5〜7.0%に
限定した。望ましい範囲は4.0〜6.0%である。
存在する場合、熱延板の靭性を著しく低下させる。従っ
て、C,Nはそれぞれ0.05%以下に限定した。望ま
しい範囲は、C+Nの総量が0.06%以下である。
れるスケール皮膜のデスケール特性に及ぼすスケール皮
膜厚および該皮膜中でのAl濃度の影響を検討した結
果、スケール残りを防止しエッチピットのない良好な表
面性状を得るには焼鈍時のスケール皮膜厚が3.0μm
以下とし、該皮膜中でのAl濃度が15〜60at%とす
ることが有効であることを見出した。
ェライト系ステンレス鋼冷延鋼帯において、焼鈍時のス
ケール皮膜厚と該皮膜中でのAl濃度を種々変化させ、
HF濃度が40g/l(リットル)、HNO3 濃度が6
0g/lの混酸で液温度が60℃、Feイオン濃度が1
5g/lである酸洗条件でデスケールして、スケール残
りの有無を調査した結果を図1に示す。ここで、スケー
ル皮膜厚と該皮膜中でのAl濃度は、オージェ電子分光
分析装置を用いて表面から深さ方向の酸素、Fe,Cr
およびAlの各濃度分布を測定し、酸素濃度曲線とFe
濃度曲線の交点と表面間の深さをスケール皮膜厚とし、
その間でのAl濃度の平均値を該皮膜中でのAl濃度と
して算出した。
が3.0μmまたは該スケール皮膜中でのAl濃度が6
0at%を超えると、スケール残りが発生することがわか
る。また、該スケール皮膜中でAl濃度が15at%未満
ではデスケールされるが、過酸洗によるエッチピットが
顕著に発生し表面性状が劣化する。従って、スケール残
りがなく表面性状が良好であるためには、焼鈍時のスケ
ール皮膜厚は3.0μm以下、かつ該皮膜中でのAl濃
度の範囲は15〜60at%である。望ましくは、スケー
ル皮膜厚は2.0μm以下、該皮膜中でのAl濃度は2
0〜50at%である。
テンレス鋼冷延鋼帯の仕上げ酸洗に使用される硝酸電解
酸洗に比べてデスケール能力が優れており、Al系のス
ケール皮膜を除去するのに有効である。HF濃度は、1
60g/lを超えると、過酸洗によるエッチピットが顕
著に発生し表面性状が劣化する。一方、20g/l未満
ではスケール残りが発生する。HNO3 濃度は、高いほ
どHFによるデスケール能力を向上させるが、その効果
は40g/l未満で小さく、200g/lを超えると過
酸洗によるエッチピットが顕著に発生し表面性状が劣化
する。従って、スケール残りがなく表面性状が良好であ
るためには、HF濃度の範囲は20〜160g/l、H
NO3 濃度の範囲は40〜200g/lである。望まし
くは、HF濃度は30〜100g/l、HNO3 濃度は
50〜100g/lである。
れるスケール皮膜のデスケール特性に及ぼすHFとHN
O3 の混酸において液温度とFeイオン濃度の影響を検
討した結果、スケール残りを防止しエッチピットのない
良好な表面を得るには液温度が30〜80℃、Feイオ
ン濃度が30g/l以下であることが有効であることを
見出した。板厚が1.0mmで、焼鈍によるスケール皮膜
厚が1.0μmで該皮膜中でのAl濃度が38at%であ
る20Cr−5Alフェライト系ステンレス鋼冷延焼鈍
鋼帯を用いて、HF濃度が20g/l、HNO3 濃度が
40g/lの混酸において液温度とFeイオン濃度を種
々変化させた条件で酸洗して、スケール残りの有無を調
査した結果を図2に示す。図2から明らかなように、液
温度が80℃を超えると過酸洗によるエッチピットが顕
著に発生して表面性状が劣化し、一方30℃未満ではス
ケール残りが発生することがわかる。また、Feイオン
濃度が30g/lを超えるとスケール残りが発生するこ
とがわかる。従って、スケール残りがなく表面性状が良
好であるためには、液温度の範囲は30〜80℃、Fe
イオン濃度の範囲は30g/l以下である。望ましく
は、液温度は50〜70℃、Feイオン濃度は20g/
l以下である。
ール生成に係わる重要な要因であり、保定温度が高いほ
どAl系のスケール皮膜が成長し、1100℃を超える
とスケール皮膜厚みが3.0μmを超える。一方、保定
温度が800℃未満では2.5%を超えてAl含有する
フェライト系ステンレス鋼冷延鋼帯の再結晶が十分でな
く材質が硬くなるので、圧延加工や成形加工が難しくな
る。従って、焼鈍時の保定温度の範囲は800〜110
0℃とした。望ましくは、900〜1000℃である。
れるスケール皮膜厚と該皮膜中でのAl濃度に及ぼす焼
鈍時の加熱速度と雰囲気中の酸素濃度の影響を検討した
結果、焼鈍時のスケール皮膜中でのAl濃度を15〜6
0at%とするには、600℃〜保定温度間の平均加熱速
度を30℃/sec以上とし、かつ酸素濃度を0.5〜10
vol%をすることが必要であることを見出した。
ェライト系ステンレス鋼冷延鋼帯を用いて、焼鈍時の加
熱速度および雰囲気中の酸素濃度を種々変化させて、焼
鈍板のスケール皮膜中でのAl濃度を調査した結果を図
3に示す。
00℃〜保定温度間の平均加熱速度が30℃/sec未満で
は、スケール皮膜中でのAl濃度が15〜60at%の範
囲外となることがわかる。また、雰囲気の酸素濃度が
0.5 vol%未満あるいは10vol%を超えると、加熱
速度の傾向と同じようにAl濃度が15〜60at%の範
囲外となることがわかる。
濃度を15〜60%とするためには、600℃〜保定温
度間の平均加熱速度は30〜1000℃/secかつ焼鈍雰
囲気中の酸素濃度は0.5〜10 vol%である。望まし
くは、加熱速度は40〜1000℃/secかつ酸素濃度は
1.0〜6.0 vol%である。尚、加熱速度の上限を1
000℃/secにした理由は、この速度を超えて行うため
の加熱装置は設備投資が多額となり、また製造コストの
負担も膨大になり、経済的でないためである。
を示す。表1−1,2−1には、成分、前履歴、焼鈍条
件および焼鈍板のスケール皮膜厚と該皮膜間でのAl濃
度を示している。また表1−2,2−2には酸洗条件お
よび焼鈍酸洗後の板表面性状および研磨工程の有無も示
している。酸洗板のスケール残りやエッチピットの観察
は、目視および光学顕微鏡で行った。
Alを含有するフェライト系ステンレス鋼冷延鋼帯の焼
鈍酸洗板にスケール残りもなく、過酸洗によるエッチピ
ットが発生しない良好な表面性状が得られており、更に
スケール残りやエッチピットの除去のための研磨工程の
追加もないことがわかる。
l濃度は、オージェ電子分光分析装置を用いて表面から
深さ方向の酸素、Fe,CrおよびAlの各濃度分布を
測定し、酸素濃度曲線とFe濃度曲線の交点と表面間の
深さをスケール皮膜厚とし、その間でのAl濃度の平均
値を該皮膜中でのAl濃度として算出した。
有するフェライト系ステンレス鋼冷延鋼帯を本発明法に
より焼鈍酸洗すれば、焼鈍時のスケーリング特性、およ
び酸洗時のデスケーリング特性を改善し、酸洗板におい
てスケール残りやエッチピットの発生がなく、作業性も
向上し、更に研磨工程を省略できる。
イト系ステンレス鋼冷延鋼帯を用いて、焼鈍時のスケー
ル皮膜厚と該皮膜中でのAl濃度を種々変化させて、H
F濃度が40g/l、HNO3 濃度が60g/lの混酸
において液温度が60℃、Feイオン濃度が15g/l
である条件で酸洗して、スケール残りの有無を調査した
結果を示す図である。
が1.0μmで該皮膜中でのAl濃度が38at%である
20Cr−5Alフェライト系ステンレス鋼冷延焼鈍鋼
帯を用いて、HF濃度が20g/l、HNO3 濃度が4
0g/lの混酸において液温度とFeイオン濃度を種々
変化させた条件で酸洗して、スケール残りの有無を調査
した結果を示す図である。
イト系ステンレス鋼冷延鋼帯を用いて、焼鈍時の加熱速
度および雰囲気の酸素濃度を種々変化させて、焼鈍板の
スケール皮膜中でのAl濃度を調査した結果を示す図で
ある。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%にて、C:0.05%以下、N:
0.05%以下、Cr:10〜40%、Al:2.5〜
7.0%含有するステンレス鋼の冷間圧延帯を焼鈍し
て、スケール皮膜厚が3.0μm以下で、かつ該皮膜中
でのAl濃度が原子%にて15〜60at%であるスケー
ルを生成し、続いてHF濃度が20〜160g/l(リ
ットル)、HNO3 濃度が40〜200g/l(リット
ル)の混酸で、液温度が30〜80℃、Feイオン濃度
が30g/l(リットル)以下である酸液でデスケール
することを特徴とするAlを含有するフェライト系ステ
ンレス鋼帯の製造方法。 - 【請求項2】 前記焼鈍の条件が、焼鈍雰囲気の酸素濃
度が体積%にて0.5〜10 vol%、保定温度が800
〜1100℃、かつ保定時間が5〜60秒、かつ600
℃〜保定温度間の平均加熱速度が30〜1000℃/sec
であることを特徴とする請求項1記載のAlを含有する
フェライト系ステンレス鋼帯の製造方法。
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JP19192795A JP3398261B2 (ja) | 1995-07-27 | 1995-07-27 | Alを含有するフェライト系ステンレス鋼帯の製造方法 |
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CN110814032B (zh) * | 2019-10-18 | 2021-11-19 | 甘肃酒钢集团宏兴钢铁股份有限公司 | 一种2b表面439铁素体不锈钢冷轧方法 |
-
1995
- 1995-07-27 JP JP19192795A patent/JP3398261B2/ja not_active Expired - Fee Related
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