JPH11279781A - 表面に模様のないオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents
表面に模様のないオーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法Info
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Abstract
ス鋼熱延板の製造方法を提案する。 【解決手段】 オーステナイト系ステンレス鋼熱延板に
焼鈍を施したのち、酸洗し、ついで表面を機械的に研削
したのち、硝弗酸溶液中の金属イオン濃度に応じた関係
式を満足するように調整した硝酸濃度およびフリー弗酸
濃度を有する硝弗酸溶液中に浸漬する。Cu:0.03wt%以
上、V:0.03wt%以上、Mo:0.01wt%以上含むオーステ
ナイト系ステンレス鋼熱延板においてとくに有効であ
る。
Description
ステンレス鋼板の製造方法に係り、とくに表面に模様の
ないオーステナイト系ステンレス鋼熱延板の製造方法に
関し、さらに詳しくは熱延板の酸洗方法の改善に関す
る。
系ステンレス鋼は、耐熱性、耐食性、加工性等の特性に
優れ、幅広い用途に用いられている。通常、熱間圧延、
熱延板焼鈍、酸洗、冷間圧延、仕上げ焼鈍、酸洗を順次
施され、所定の材質の製品とされる。
熱間圧延時に生成される熱延スケールが存在し、その表
面は不均一である。このような熱延板を最も一般的な焼
鈍雰囲気である燃焼雰囲気中で焼鈍を行い、ついで酸洗
を行うと、同一鋼板内でも光沢度や白色度のムラが生
じ、模様となる。このような模様は、屋根やパネル等に
使われる鋼板においては、その意匠性が問題となる。
の分野においても、生産性を高め、より低コストで製造
を行うために、冷間圧延として大径ロールによるタンデ
ム圧延を適用するようになってきた。しかしながら、大
径ロールによる冷間圧延では、従来の小径ロールによる
冷間圧延に比べて、光沢ムラが激しくなるという問題が
ある。
ろ、熱延板に生成した表面欠陥が、場所によって冷間圧
延後も消滅せずに残ったためであると考えられている。
その表面欠陥としては、粒界浸食溝、粒内のピッチ状の
浸食、熱間圧延時の噛み込み疵などがあげられる。特
に、オーステナイト系ステンレス鋼の熱延板では、酸洗
での地鉄の溶解量がフェライト系ステンレス鋼に比べて
少ないため、このような表面欠陥が残りやすい。
ば、特開昭60−248889号公報には、オーステナイト系ス
テンレス鋼の熱延板に酸溶解力を強化した硝弗酸水溶液
で脱スケールすることにより、溝状腐食がなく、かつエ
ッチピットのない全面腐食状態とし、ついで冷間圧延、
光輝焼鈍するオーステナイト系ステンレス鋼の製造方法
が提案されている。
体の光沢性をあげることを目的として、焼鈍前にメカニ
カルなデスケーリングを行うことにより粒界浸食溝を減
少させようとする方法が開示されている。また、特開昭
60−177135号公報には、熱延されたままのステンレス鋼
を不活性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気あるいは真空中
で、短時間の焼鈍をした後急冷する熱延焼鈍ステンレス
鋼の製造方法が提案されている。
利用を目的として、溶鋼中にスクラップを積極的に添加
するようになっている。このため、Cu、V、Mo等の不純
物元素の含有量がオーステナイト系ステンレス鋼でも多
くなってきている。このような不純物を含むSUS 304 鋼
では、図3に示すように、鋼A→B→CとCu、V、Mo等
の不純物濃度の増加とともに、酸洗による溶解量が減少
している。この理由は必ずしも明らかではないが、表面
の不動態化、反応電位、表面付近の窒化物等の影響によ
り酸洗性が劣化したためではないかと考えられる。した
がって、溝状腐食、エッチピットが消滅するまで表面を
溶解するためには多大な時間がかかり、特開昭60−2488
89号公報に記載された方法を適用すると、熱延板の生産
性が著しく低下するという問題が残されていた。
方法では、熱延時のスケールが不均一の場合には、メカ
ニカルな脱スケールを均一に行うことは難しく、さらに
下地組織の不均一性を解消することはできない。この方
法では、鋼板全体の光沢度は良くなるが、光沢ムラは解
消されないという問題が残されていた。また、特開昭60
−177135号公報に記載された方法では、焼鈍時の粒界浸
食の発生は抑制されるが、熱延スケールの不均一性を改
善することはできず、鋼板表面に模様の発生は避けられ
なかった。
発生を防止し、大径ロールを用いる冷間圧延を施し冷延
板としても、鋼板表面の光沢度ムラのない表面性状の良
好なステンレス鋼熱延板を効率よく製造することにあ
り、本発明は、酸洗条件を改善し、オーステナイト系ス
テンレス鋼熱延板の、生産性を下げることなしに、鋼板
表面の光沢度が均一になり模様のないオーステナイト系
ステンレス鋼熱延板の製造方法を提案することを目的と
する。
記した課題を達成するため、オーステナイト系ステンレ
ス鋼板に形成されるスケールについて様々な研究を行っ
た。その結果、熱間圧延後に表面に生成するスケールは
主にコランダム型酸化物((Fe,Cr)2O3)とスピネル型酸
化物((Fe,Cr)3O4)であり、その厚みは部分によって異
なることがわかった。また、局部的にFeO が多量に存在
するところも確認されている。これらのスケールの厚み
やスケール中の上記した酸化物の比率によって、熱間圧
延後の焼鈍による酸化反応の形態が異なり、これが熱延
板焼鈍後、熱延板酸洗後に発生する鋼板表面の光沢度の
ムラを生じさせ、熱延板の模様発生の原因の一つとなっ
ていることを発見した。
やV、Mo等の不純物量が増加し、さらに熱延スケールの
むらにより熱間圧延時の母材組織の不均一も生じる。こ
のようなことにより、巻取り時や焼鈍時の酸化の形態が
異なり、その結果、熱延板酸洗後に光沢度ムラが発生
し、熱延板に模様を生じさせていることを発見した。上
記した知見をもとに、本発明者らは、熱延板の模様をな
くすためには、熱間圧延後の表面酸化物をどれか1種類
の酸化物を主体とする、あるいは熱延板焼鈍酸洗時に表
面組織を多量に溶解させることが効果的であることに想
到した。
1種類の酸化物とする鋼板表面酸化物の制御は熱間圧延
条件を調整する必要があり、熱間圧延の生産性を阻害す
る場合がある。そこで、本発明者らは、熱延板焼鈍酸洗
時に表面組織を多量に溶解させる方法をさらに検討し
た。そこで、熱延板焼鈍酸洗後の表層部のCr濃度と表面
組織を観察した。
多量に観察され、表面から深くなるにしたがい、Cr濃度
が高くなり殆どオーステナイトの組織となる。本発明者
らは、種々の実験の結果、熱延板の模様を無くすために
は、表面のスケールおよび表層の不均一組織の除去はも
ちろん、高Cr濃度の殆どオーステナイトの組織を含み地
鉄相当部分を少なくとも5μm 以上溶解する必要がある
ことを見いだした。しかし、この組織は、通常の酸洗条
件(例えば、硫酸200g/l、温度80℃、あるいは硝酸100g
/l+弗酸30g/l 、温度50℃)では、長時間の浸漬を行っ
ても殆ど溶解しない。
純物元素を含むオーステナイトステンレス鋼熱延板の模
様発生を防止するために、鋼板表層の不均一組織および
地鉄相当部分を短時間で、しかも均一に溶解する熱延板
の酸洗方法を検討した。その結果、硝酸濃度を低くし、
金属イオンと錯体を形成していない弗酸(以下、フリー
弗酸と記す)を高くして酸洗を行うのが有効であること
に思い至った。
検討して完成されたものである。すなわち、本発明は、
オーステナイト系ステンレス鋼熱延板に焼鈍を施した後
酸洗を施すオーステナイト系ステンレス鋼熱延板の製造
方法において、前記酸洗として、硫酸、塩酸、または硝
弗酸中で酸洗する工程と、ついで表面を機械的に研削す
る工程と、硝弗酸溶液中の金属イオン濃度に応じ、硝酸
濃度およびフリー弗酸濃度を調整した硝弗酸溶液中に浸
漬する工程を順次施すことを特徴とする鋼板表面に模様
のないオーステナイト系ステンレス鋼熱延板の製造方法
であり、前記オーステナイト系ステンレス鋼熱延板はC
u:0.03wt%以上、V:0.03wt%以上、Mo:0.01wt%以
上含むオーステナイト系ステンレス鋼熱延板としてもよ
い。
レス鋼熱延板に焼鈍を施した後酸洗を施すオーステナイ
ト系ステンレス鋼熱延板の製造方法において、前記酸洗
として、硫酸、塩酸、または硝弗酸中で酸洗する工程
と、ついで表面を機械的に研削する工程と、硝弗酸溶液
中の金属イオン濃度:C(g/l )が0≦C≦25のとき
は、硝酸濃度:A(g/l )およびフリー弗酸濃度:B
(g/l )がそれぞれ次(1)、(2)式 20+1.10×C≦A≦100 ……(1) 100+0.05×C2 ≦B≦ 300+0.05×C2 ……(2) (ここで、A:硝酸濃度(g/l )、B:フリー弗酸濃度
(g/l )、C:硝弗酸溶液中の金属イオン濃度(g/l
))を満足する硝弗酸溶液中に浸漬する工程を、25<
Cのときはそれぞれ次(3)式、(4)式 20+0.75×C≦A≦ 100 ……(3) 132≦B≦ 300 ……(4) (ここで、A:硝酸濃度(g/l )、B:フリー弗酸濃度
(g/l )、C:硝弗酸溶液中の金属イオン濃度(g/l
))を、満足する硝弗酸溶液中に浸漬する工程を、順
次施すことを特徴とする鋼板表面に模様のないオーステ
ナイト系ステンレス鋼熱延板の製造方法であり、前記オ
ーステナイト系ステンレス鋼熱延板はCu:0.03wt%以
上、V:0.03wt%以上、Mo:0.01wt%以上含むオーステ
ナイト系ステンレス鋼熱延板としてもよい。
漬する工程において、鋼板表面に沿い対向流を付与する
のが好ましく、前記対向流は、鋼板表面に沿い鋼板進行
向きと反対向きで、鋼板との相対速度が 0.5〜 5.0 m/s
ecの範囲の速度を有する対向流とするのがよい。
に説明する。本発明で対象とするオーステナイト系ステ
ンレス鋼熱延板の化学組成は、通常公知のオーステナイ
ト系ステンレス鋼がすべて含まれるが、代表的化学組成
としては、C:0.08wt%以下、Si:1.00wt%以下、Mn:
2.00wt%以下、Ni:7.00〜 15.00wt%、Cr:10.00 〜 3
0.00wt%、さらにN:0.25wt%以下を含む。なお、不純
物としてCu:0.03wt%以上、V:0.03wt%以上、Mo:0.
01wt%以上を含むオーステナイト系ステンレス鋼も対象
とする。
系ステンレス鋼熱延焼鈍板に、まず、硫酸、塩酸、また
は硝弗酸中で酸洗する工程と、ついで表面を機械的に研
削する工程とを順次施す。硫酸、塩酸、または硝弗酸中
で行う酸洗は、硫酸、塩酸、硝弗酸いずれを用いても良
いが、好ましくは、硫酸もしくは硝弗酸がよい。酸洗の
濃度、温度等は設備に合わせて決めればよい。
中で酸洗する工程を経たのち、ついで表面をブラシ等に
よる機械的研削を施される。酸洗前にスケールのついた
状態でブラシ等による機械的研削を行っても、表層のCr
濃度の低い脱Cr層の部分しか除去されず、模様の原因と
なる地鉄相当部分は殆ど研削されない。また、スケール
の上から研削をしたのでは、表面が均一に研削されにく
く、かえって模様の原因となる場合がある。そこで、本
発明では、酸を用いて、ある程度、表面のスケールおよ
び脱Cr層を除去した後に機械的研削を行う。機械的研削
量は 2.0μm 以上とするのが好ましい。機械的研削は、
ブラシ以外に、高圧水、砥石等を用いてもよい。
板は仕上げ酸洗として、金属イオン濃度に応じた濃度の
硝弗酸溶液中に浸漬され、脱スケールされる。本発明で
は、使用する硝弗酸溶液中の硝酸濃度:A(g/l )、フ
リー弗酸濃度:B(g/l )は、硝弗酸溶液中の金属イオ
ン濃度:C(g/l )に応じ変化させる。
金属イオンの酸洗性に及ぼす影響を検討し、金属イオン
の増加量と硝酸濃度、フリー弗酸濃度との間に特定の関
係式が成り立つことを見出したことによる。図2に、温
度50℃の硝弗酸溶液(硝酸50g/l 、弗酸150g/l)中での
SUS 304 の酸洗減量(浸漬時間:100sec)と溶液中の金
属イオンとの関係の一例を示す。
一の硝酸濃度、フリー弗酸濃度でも酸洗溶解力は劣るよ
うになり、金属イオン25g/l で飽和している。したがっ
て、酸洗溶解力を安定して維持するためには、金属イオ
ンの濃度に応じた酸の限定が必要であることがわかる。
このことから、本発明では、金属イオン濃度C(g/l )
が25g/l 超えの場合と25g/l 以下の場合で硝弗酸溶液中
の硝酸濃度A(g/l )、フリー弗酸濃度B(g/l )を変
更する。
l )、フリー弗酸濃度:B(g/l )は、硝弗酸溶液中の
金属イオン濃度:C(g/l )が 0≦C≦25のときは、それぞれ(1)、(2)式 20+1.10×C≦A≦100 ……(1) 100+0.05×C2 ≦B≦ 300+0.05×C2 ……(2) を満足する濃度とし、 25<Cのときはそれぞれ(3)式、(4)式 20+0.75×C≦A≦ 100 ……(3) 132≦B≦ 300 ……(4) を、満足する濃度とする。なお、フリー弗酸濃度とは、
金属イオンと錯体を形成していない弗酸濃度であり、特
開平7−294509号公報に開示されたような鉄アセチルア
セトン錯体退色吸光光度法により測定できる。
酸、弗酸両方とも高いほど溶解量は増すが、それより深
い地鉄相当部分や、研削後の表面組織は、硝酸が高くな
ると著しく溶解速度が低減する。また硝酸が低すぎても
水素イオンが少なくなり、また、酸化力がなくなるた
め、Fe2+等を酸化した逆付着しにくいFe3+に変えにくく
なるので溶解量は減少する。このようなことから、本発
明では、硝弗酸溶液中の硝酸濃度:A(g/l )は、溶液
中の金属イオン濃度に応じ、(1)式または(3)式に
限定するのが好ましい。硝弗酸溶液中の硝酸濃度:A
(g/l )が(1)式または(3)式の範囲を外れると酸
洗溶解力が低下する。
面積が少なく、地鉄相当部分は殆ど溶解しない。逆に高
すぎると、イオンの拡散、水素イオンの解離が妨げら
れ、かえって溶解量は低下する。このようなことから、
本発明では、硝弗酸溶液中のフリー弗酸濃度:B(g/l
)は、溶液中の金属イオン濃度に応じ、(2)式また
は(4)式に限定するのが好ましい。硝弗酸溶液中のフ
リー弗酸濃度:B(g/l )が(2)式または(4)式の
範囲を外れると酸洗溶解力が低下する。
酸200g/l、金属イオン0g/l)を有し、温度50℃の硝弗酸
溶液中で、Cu、V、Moの不純物を含むSUS 304 鋼板を酸
洗した場合の酸洗溶解量を調査し図1に示す。本発明範
囲の濃度の硝弗酸溶液で酸洗すれば、酸洗性を悪化させ
るCu、V、Moの不純物元素をCu:0.03wt%以上、V:0.
03wt%以上、Mo:0.01wt%以上を含んでも酸洗の溶解速
度は減少しないことがわかる。
漬する工程において、鋼板表面に沿い対向流を付与する
のが好ましい。対向流は、鋼板表面に沿い鋼板進行向き
と反対向きで、鋼板との相対速度が 0.5〜 5.0 m/secの
範囲の速度を有する対向流とするのがよい。本発明者ら
の検討によれば、硝弗酸溶液中における高Cr濃度の地鉄
相当部分の溶解反応は、フッ素イオンの拡散、水素イオ
ンの拡散およびFe2+の地鉄表面からの拡散により律速さ
れていることが判っている。つまり、フッ素イオンは高
Cr濃度の地鉄相当部分をアッタクし溶解面積を増大さ
せ、水素イオンは地鉄との電荷移動反応を促し、Fe2+の
拡散は表面へのFe2+の再付着を防ぎ溶解面積を増大さ
せ、高Cr濃度の地鉄相当部分の溶解反応を促進させるの
である。
るため、対向流による表面付近の硝弗酸溶液の攪拌を行
う。対向流の発生方法は、とくに限定されないが、浸漬
した鋼板を連続的に走行させるか、あるいは硝弗酸溶液
を鋼板に吹きつける等の方法が好ましい。対向流は、鋼
板表面に沿い、好ましくは鋼板進行の向きと反対向きと
する。対向流の相対速度は、 0.5〜 5.0 m/secの範囲と
した。相対速度が0.5m/sec以上で効果が認められ、5.0m
/sec以上で飽和する。なお、あまり強い対向流は設備的
な負荷が大きいため、対向流の鋼板との相対速度を0.5
〜 5.0 m/secの範囲とするのが好ましい。
や時間、板厚等を特に限定するものではなく、用途によ
って決めればよい。また、硝弗酸溶液の温度に関しては
特に限定はしなかったが、低すぎると溶解反応が進ま
ず、高すぎるとNOx 等のガスの発生が激しくなるので、
好ましくは55℃〜70℃とする。また熱延板の酸洗前のシ
ョットやベンディング等の脱スケール処理も施しても何
ら影響はなく、これらの前処理については特に限定はし
ない。
ナイト系ステンレス鋼を実験室的に溶製し、スラブ加熱
温度1250℃で1hr保持したのち、熱間圧延を行って板厚
4.0mm の熱延板とした。その後、熱延板焼鈍(1150℃×
30sec )とショットブラスト処理を行い、ついで硫酸
(濃度200g/l、80℃)に60sec 間浸漬したのち、ブラシ
による研削処理を行った。ついで、上記した処理を施さ
れた鋼板は、表2に示す各種濃度の硝弗酸溶液中に浸漬
する仕上げ酸洗処理を施された後、3%の調質圧延を施
された。なお、従来例として、温度60℃の硝弗酸溶液
(硝酸100g/l、弗酸30g/l )中で浸漬する酸洗を行っ
た。
した。光沢度はJIS Z 8741の規定に準拠して測定した。
各鋼板から採取したサンプル板10枚から白部と黒部を各
10箇所測定し、その光沢度の差を鋼板の模様として評価
した。その結果を表2に示す。表2から、本発明例は従
来例に比べ、短時間の酸洗で模様が解消され、良好な外
観を有する表面状況の優れた鋼板となることがわかる。
酸濃度が本発明範囲内から外れた比較例では、模様は解
消されないか、模様は解消されても酸洗に多大な時間が
かかることがわかる。
テナイト系ステンレス鋼を実験室的に溶製し、スラブ加
熱温度1250℃で1hr間保持したのち、熱間圧延を行って
板厚4.0mm の熱延板とした。その後、熱延板焼鈍(1150
℃×30sec )とショットブラスト処理を行い、さらに硝
弗酸(硝酸100g/l, 弗酸30g/l 、55℃)溶液中に30sec
浸漬した後、研削ブラシを用いて、表面を平均で4.0 μ
m 研削した。さらに、これら鋼板を、表4に示す各種濃
度の硝弗酸溶液中で、表4に示す鋼板に対する相対速度
を有する対向流を付与して酸洗をした後、3%の調質圧
延を行った。
査した。光沢度はJIS Z 8741の規定に準拠して測定し
た。各鋼板から採取したサンプル板10枚から白部と黒部
を各10箇所測定し、その光沢度の差を鋼板の模様として
評価した。その結果を表4に示す。表4から、本発明例
は、従来例に比べ、さらに短時間の酸洗でも模様が解消
されることがわかる。
03%以上、V:0.03%以上、Mo:0.01%以上の不純物を
含むオーステナイト系ステンレス鋼の熱延板でも、短時
間の酸洗によっても模様、光沢ムラのない、優れた表面
状況とすることができる。
来では酸洗性を阻害するCu、V、Moを含むオーステナイ
ト系ステンレス鋼の熱延板でも、焼鈍後の酸洗を短時間
としても、鋼板表面に模様ムラの発生がないオーステナ
イト系ステンレス鋼板を製造でき、生産性が顕著に向上
するという産業上格段の効果を奏する。
不純物量の影響を示すグラフである。
グラフである。
響を示すグラフであり、(a)は硝弗酸溶液(弗酸:30
g/l 、硝酸:100g/l、温度:50℃)の場合、(b)は硝
弗酸溶液(弗酸:200g/l、硝酸:150g/l、温度:50℃)
の場合である。
Claims (5)
- 【請求項1】 オーステナイト系ステンレス鋼熱延板に
焼鈍を施した後、酸洗を施すオーステナイト系ステンレ
ス鋼熱延板の製造方法において、前記酸洗として、硫
酸、塩酸、または硝弗酸中で酸洗する工程と、ついで表
面を機械的に研削する工程と、硝弗酸溶液中の金属イオ
ン濃度に応じ、硝酸濃度およびフリー弗酸濃度を調整し
た硝弗酸溶液中に浸漬する工程を順次施すことを特徴と
する鋼板表面に模様のないオーステナイト系ステンレス
鋼熱延板の製造方法。 - 【請求項2】 オーステナイト系ステンレス鋼熱延板に
焼鈍を施した後、酸洗を施すオーステナイト系ステンレ
ス鋼熱延板の製造方法において、前記酸洗として、硫
酸、塩酸、または硝弗酸中で酸洗する工程と、ついで表
面を機械的に研削する工程と、硝弗酸溶液中の金属イオ
ン濃度:C(g/l )が0≦C≦25のときは、硝酸濃度:
A(g/l )およびフリー弗酸濃度:B(g/l )がそれぞ
れ下記(1)、(2)式を、25<Cのときはそれぞれ下
記(3)、(4)式を、満足する硝弗酸溶液中に浸漬す
る工程を順次施すことを特徴とする鋼板表面に模様のな
いオーステナイト系ステンレス鋼熱延板の製造方法。 記 20+1.10×C≦A≦100 ……(1) 100+0.05×C2 ≦B≦ 300+0.05×C2 ……(2) 20+0.75×C≦A≦ 100 ……(3) 132≦B≦ 300 ……(4) ここで、A:硝酸濃度(g/l )、 B:フリー弗酸濃度(g/l )、 C:硝弗酸溶液中の金属イオン濃度(g/l ) - 【請求項3】 前記オーステナイト系ステンレス鋼熱延
板が、Cu:0.03wt%以上、V:0.03wt%以上、Mo:0.01
wt%以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記
載のオーステナイト系ステンレス鋼熱延板の製造方法。 - 【請求項4】 前記硝弗酸溶液中に浸漬する工程におい
て、鋼板表面に沿い対向流を付与することを特徴とする
請求項1ないし3のいずれかに記載のオーステナイト系
ステンレス鋼熱延板の製造方法。 - 【請求項5】 前記対向流は、鋼板表面に沿い鋼板進行
向きと反対向きで、鋼板との相対速度が 0.5〜 5.0 m/s
ecの範囲の速度を有することを特徴とする請求項4に記
載のオーステナイト系ステンレス鋼熱延板の製造方法。
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