JP2002361303A - 耐汚れ性と耐食性に優れたステンレス鋼板とその製造方法。 - Google Patents

耐汚れ性と耐食性に優れたステンレス鋼板とその製造方法。

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常の設備・条件を使用して、耐指紋性、耐
汚れ性、耐食性を備えたステンレス鋼板とそれを安価
に、簡便に製造する経済的な方法を提供する。 【解決手段】 ステンレス鋼帯を連続焼鈍・酸洗した後
の冷間仕上げ圧延において、最終パスをダルロールによ
り、十点平均粗さRzが3.5 μm 以上、6.5 μm以下、表
面凹凸の平均間隔Smが120 μm 以上、250 μm 以下、凸
部面積率が15%以上、45%以下の表面に仕上げた後、光
輝焼鈍を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐汚れ性と耐食性
に優れたステンレス鋼板とその製造方法に関する。より
詳述すれば、本発明は建物の外壁に代表される外装建材
や、エレベータやエスカレータのドアや側板、内壁など
の内装材、電車、バスなどの車両用鋼板、業務用厨房機
器や家電製品の外板、厨房および台所まわり、さらには
コンピュータハードディスクケースなどのエレクトロニ
クス部品に使用される、指紋汚れをはじめとする各種の
汚れに対する抵抗性を示す耐指紋性、耐汚れ性 (以下、
耐汚れ性と総称することもある) と耐食性に優れたダル
仕上げステンレス鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、建物の内外装や電車などの外板、
また、厨房、台所周りで、SUS304やSUS316を代表とする
オーステナイト系ステンレス鋼板や、SUS430に代表され
るフェライト系ステンレス鋼板が多く用いられている。
【0003】従来よりこれらの用途分野にはブライト仕
上げと呼ばれる鏡面状のステンレス鋼板や、研磨目をつ
けたHL仕上げなどのステンレス鋼板が使用されてきた
が、周囲の環境への配慮から太陽光の反射を抑える防眩
性が重視され、表面を梨地状に荒らしたダル仕上げステ
ンレス鋼板が用いられるようになった。しかし、ダル仕
上げステンレス鋼板は、指紋をはじめとする汚れが付き
やすく、その汚れ跡が目立つために美観を悪くし、その
メンテナンスに多大な労力がかかるという問題があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、可能な限り通常の設備・条件を使用して、耐指紋
性、つまり指紋汚れに対する抵抗性をはじめとする各種
の汚れに対する耐汚れ性、耐食性を兼ね備えたステンレ
ス鋼板と、それを安価に、簡便に製造する経済的な方法
とを提供することである。
【0005】これらの問題に対して、特許第2755356 号
公報において、耐汚染性に優れたダル仕上げステンレス
鋼板を製造するため、ダル仕上げ材の表面にみられる凹
凸に丸みを付けることが有効であるとして、グリッド−
ショット投射法を提案した。この方法はかなりの効果が
あるものの、まだ十分ではなかった。
【0006】その後の調査から、ダル仕上げ加工による
凹凸部以外にもステンレス鋼板表面に汚れが堆積する部
位があることを見出した。すなわち、ステンレス鋼板表
面に露出している結晶粒界が、焼鈍後の通常の酸洗で侵
食されて凹状の溝に進展する。またこのときには微細な
凹状の溝であっても、次工程のダル仕上げ加工でこの部
分に力が加わって溝が拡がり、より大きな鋭角的な凹状
の溝に成長する場合がある。これらの部位は汚れが付着
しやすく、一旦汚れが付着すると容易に洗浄されない。
そこでこれらの部位も耐汚染性向上のために制御する必
要があることが判明した。
【0007】そして、特開2000−233205号公報において
提案しているように、軽酸洗で脱スケールを完了させる
とともに、鏡面仕上げロールそしてダルロールと異なっ
た表面性状のロールを用いた調質圧延を2段に行うこと
で耐汚染性に優れたダル仕上げステンレス鋼板を開発
し、実際に使用に供してきた。しかし、このような手段
は浮遊塵埃の付着に対しては有効であったが、人の手に
接触する機会が多い部位に使用した時にその酸洗肌の色
調により指紋汚れが目立つことが判明した。さらに軽酸
洗仕上げであるため、焼鈍時に生じる粒界のCr欠乏層の
除去が完全にはなされず、長期的な耐食性という観点か
ら、更なる改良が必要であることが判明した。
【0008】ところで、特に指紋汚れ、つまり耐指紋性
に対しては、その表面形状を制御したダル仕上げ金属板
について種々の提案がなされている。特開平6−335705
号公報には、金属表面に微細な凹凸を付与した場合、人
の手が軽く接触しても凸部のみしか指紋が付かないこと
に着眼して、凸部面積率が30%以下とするような技術が
開示されているが、強く手を押し付けると凹部にも指紋
汚れが付着する。
【0009】特開平7−9007号公報には、指紋形状に良
く似た凹凸模様を金属表面に付与すると指紋が目立ちに
くいという技術が提案されているが、見る方向によって
色調が異なるため意匠性に劣るという問題がある。
【0010】特開平11−226606号公報においては、中心
線平均粗さ(Ra)が0.5 μm 以上で、かつ、表面租さのパ
ワースペクトル解析で10μm 以下の波長領域における最
大の振幅が0.02μm 以下であることにより指紋が目立た
ない金属表面が提案されているが、その10μm 以下の波
長領域の形状制御が困難であることが発明者らによって
記されている。
【0011】また、特公平7−90247 号公報には、冷間
圧延→ダル仕上げ圧延(十点平均粗さRz:10〜30μm 、
圧下率:3〜30%)→光輝焼鈍の工程を経た、防眩性、
光沢およびクリナビリティーに優れたステンレス冷延鋼
板の製造方法が提案されている。これは、通常の酸洗処
理による微細な表面凹凸の出現を防止するために光輝焼
鈍を実施しているが、冷間圧延後のダル仕上げ圧延は圧
延ロールの消耗が激しく、平均的な表面凹凸の転写の維
持が困難であるため色調の均一性を図りにくく、また耐
指紋汚れに対しては言及していない。
【0012】耐食性については、特開平6−182401号公
報において、冷間圧延→焼鈍・酸洗→ダル仕上げ圧延→
大気焼鈍、または光輝焼純→酸洗の各工程からなる、防
眩性、色調均一性、及び耐食性に優れたダル仕上げステ
ンレス鋼板の製造方法を提案している。これは、ダル仕
上げ圧延によって生じた表面起伏の微細なかさぶりやか
じりを除去するのが目的で酸洗を実施しており、工程の
増加による製造コスト増大とダル仕上げ圧延後に酸洗を
実施することによる製品歩留りの低下は免れない。
【0013】このように、従来にあっても種々の提案は
あるが、特に今日強く求められている、指紋汚れをはじ
めとする耐汚れ性、耐食性を兼ね備えたステンレス鋼板
で経済的なものは見出されていない。
【0014】
【課題を解決するための手段】前述の特開2000−233205
号公報においては、耐汚染性に優れたステンレス鋼板を
製造するに当り、ステンレス鋼板に汚れが付着しやすい
鋭角的な凹状の溝が存在しないことが重要であり、その
ために焼鈍後の酸洗を軽酸洗にすることを提案している
が、そのような軽酸洗ではCr欠乏層の残存による耐食性
劣化の懸念があった。
【0015】そこで本発明者らは、焼鈍後の酸洗にお
いては、通常のAPラインでの酸洗を行いCr欠乏層を溶解
させ、その後に最終ダル仕上げ圧延を含む仕上げ圧延
を行ない、ダル仕上げ圧延後に行う焼鈍を光輝焼鈍に
することにより、スケール除去のための酸洗により再度
表面が荒らされることなく圧延ままの表面が維持される
ことから、優れた耐汚れ性を稚特しながら耐食性を確保
できることを見出した。
【0016】指紋汚れについては、酸洗肌のように白っ
ぽい表面ではその周囲に対して黒ずんで、またブライト
仕上げのような黒光りする表面では逆に白色の付着物と
して目立つことが経験的に知られている。これに対して
は、前述の特開平11−226606号公報においては、理論的
な考察から、指紋が目立ちにくい金属表面を光学的設計
しているが、その製造方法については確立されていな
い。
【0017】そこで本発明者らは、指紋付着部位が少な
く、一旦付着した指紋汚れが目立ちにくい金属表面とす
るとの観点から、表面形状を様々に変化させた光輝焼鈍
板について調査した。その結果、光輝焼鈍仕上げの高光
沢表面を適度に荒らしていくことで、指紋が付着する部
位が少なく、かつ指紋が目立ちにくくなる色調を有する
表面形態を発見し、本発明を完成した。
【0018】本発明の要旨は以下の通りである。 (1) 十点平均粗さRzが3.5 μm 以上、6.5 μm 以下、表
面凹凸の平均間隔Smが120 μm 以上、250 μm 以下、凸
部面積率が15%以上、45%以下の表面を有することを特
徴とする耐汚れ性と耐食性に優れたステンレス鋼板。
【0019】(2) ステンレス鋼帯を連続焼鈍・酸洗した
後の冷間仕上げ圧延において、最終パスをダルロールに
より、十点平均粗さRzが3.5 μm 以上、6.5 μm 以下、
表面凹凸の平均間隔Smが120 μm 以上、250 μm 以下、
凸部面積率が15%以上、45%以下の表面に仕上げた後、
光輝焼鈍を行うことを特徴とする耐汚れ性と耐食性に優
れたステンレス鋼板の製造方法。
【0020】(3) 前記光輝焼鈍を、水素ガス濃度50体積
%以上、残部が窒素ガスから成り、露点が−60℃以上、
−35℃以下の雰囲気中で行うこと特徴とする上記(2) 記
載の耐汚れ性と耐食性に優れたステンレス鋼板の製造方
法。
【0021】(4) 前記冷間仕上げ圧延の最終パスを、厚
さ3〜35μmのCrメッキを施されたダルロールにより行
うことを特徴とする上記(2) または(3) 記載の耐汚れ性
と耐食性に優れたステンレス鋼板の製造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明において限定した諸条件に
ついて以下に説明する。本発明の対象にするステンレス
鋼板は慣用の方法で溶製、熱間圧延、冷間圧延を経て製
造されるが、この点に関しては特に制限されない。また
鋼種としてもフェライト系、オーステナイト系等、特に
制限されない。
【0023】表面形態の規定 (1) 十点平均粗さ(Rz) JIS B 0601で規定する十点平均粗さRzで3.5 μm 以上、
6.5 μm 以下に限定する。耐汚れ性の観点から、丸みの
ある凹凸部が望ましいが、その凹凸の深さと耐指紋性が
関係あることが判明した。比較的凹凸が小さいと表面の
光沢が強く、指紋汚れが目立ちやすく、Rzで3.5 μm 以
上で良好な耐指紋性が得られるようになる。望ましくは
Rzで4.5 μm 以上である。しかし、表面凹凸が大きくな
りすぎると、汚れなどの異物が溜まりやすく、それが発
銹の原因にもなることから、Rzで6.5 μm 以下とした。
【0024】(2) 凹凸の平均間隔(Sm) JIS B 0601で規定する表面凹凸の平均間隔Smを120 μm
以上、250 μm 以下に限定する。耐汚れ性の観点から、
丸みのある凹凸部が望ましいが、その凹凸の間隔と耐指
紋性が関係あることが判明した。凹凸の間隔が狭くなる
と、凸部の面積が増大し、指紋付着する部位が増し、ま
た表面光沢が高くなり、指紋汚れが目立ちやすくなるこ
とから平均間隔Smを120 μm 以上とした。
【0025】また凹凸の間隔が拡がると、凹部の面積が
増大し、強く押し付けると凹部にも指紋が付着しやすく
なり、全面的に平滑になり光沢が上昇し、指紋が目立ち
やすくなることから、Smを250 μm以下とした。望まし
くは、Smが150 μm 以上、200 μm 以下である。
【0026】(3) 凸部面積率 凸部面積率は15%以上、45%以下と限定した。凸部は指
紋が付着しやすい部位であり、少ないほど指紋は付着し
にくいと考えられる。前述したように、耐指紋性を向上
させるためとは、指紋が付着しにくいこと、さらに目立
たないことが重要である。しかし、凸部面積率が余り小
さいと、凹部の面積が大きくなり、凹部にも指紋が付着
しやすくなることから15%以上とした。また凸部面積が
大きいと、指紋付着部位が増加し、さらには表面光沢が
高くなり、指紋汚れが目立ちやすくなるので45%以下と
した。望ましくは25%以上、35%以下である。
【0027】(4) ダルロール 本発明においては、ダルロールを用いた仕上げ圧延によ
って、十点平均粗さRzが3.5 μm 以上、6.5 μm 以下、
凹凸の平均間隔Smが120 μm 以上、250 μm 以下、凸部
面積率が15%以上、45%以下の範囲で規定される指紋汚
れをはじめ耐汚れ性と耐食性に優れた表面を付与する。
つまり、そのとき用いるロール表面に鋭角的な凹凸が形
成されると、このロールで鋼板表面にそのような凹凸部
を転写した場合、ステンレス鋼板表面にも上記規定範囲
外の鋭角的な凹凸が形成され、そこが汚れの堆積場所に
なるので、工業的に可能な限りこれらを軽減することが
重要となる。
【0028】本発明におけるこのような表面形態の鋼板
を製造可能なダルロールの調整方法については特に規定
しないが、アルミナ粒等の投射、放電、レーザー、電子
ビームあるいは化学エッチングで加工したロールの鋭角
的な凹凸部にCrメッキし、その鋭角的な凹凸を丸くする
ことが有効である。
【0029】Crメッキは、アルミナ投射などによりロー
ル表面に形成した鋭角的な凹凸部をそのまま残すのでは
なく、鋭角的な凹凸の凸部にCrメッキを瘤状に析出させ
てロール表面を被覆するために行う。なお、Crメッキは
通常の工業用硬質Crメッキを施せばよく、メッキ厚みと
して3〜35μm が望ましい。好ましくは5〜20μm であ
る。メッキ厚みが薄い場合、瘤状の析出が十分に起こら
ず、鋭角的な凹凸形状がそのまま残る場合がある。この
ような表面では、圧延荷重が高くなりすぎることや、製
品の反射特性に強い方向性が残り色調の均一性に劣った
り、耐食性が低下するなどの不具合が生じる。逆にメッ
キ厚みが厚くなりすぎると下地の凹凸の効果が低減し、
転写された鋼板が平滑になり、光沢が強すぎて耐指紋汚
れ性に劣ることになる。したがってメッキ厚みは100 μ
m を上限とするのが好ましい。
【0030】Crメッキの下地処理としてNiメッキを施す
ことで微細な凹部へのメッキを施し、凸部の先端部をCr
メッキにより瘤状にしてもいい。特にNiメッキを施さな
くても、Crメッキのみでも上記効果は得られる。しか
し、凹凸が大きい場合にNiメッキを施すと凹部に優先的
にNiメッキがなされ、後工程のCrメッキが容易となる。
Niメッキの厚さはあまり厚くなると剥離しやすいので10
μm 以下にするのが望ましい。
【0031】製造条件の規定 (1) 光輝焼鈍 仕上げ圧延により加工硬化した鋼板を軟化させるために
焼鈍を行うが、光輝焼鈍は、非酸化性雰囲気で焼鈍を行
うことにより酸化スケールの生成がなく、それに続く酸
洗が不要となるため、酸洗による鋭角的な凹凸部の生成
がなくなる。つまり、最終パスをダルロールにより、十
点平均粗さRzが3.5 μm 以上、6.5 μm以下、表面凹凸
の平均間隔Smが120 μm 以上、250 μm 以下、凸部面積
率が15%以上、45%以下の範囲に仕上げた表面をそのま
ま最終製品として製造することが可能となる。また鋼板
表面にCr、Mo、Siが濃化した酸化皮膜が生成するため、
通常の大気焼純−酸洗材に比べて耐食性が優れる鋼板と
なる。
【0032】本発明者らは、規定範囲の表面形状にダル
仕上げ圧延を行った鋼板を用いて、雰囲気ガスと露点を
変化させて光輝焼鈍を行い、その耐指紋性を評価した結
果、水素ガス濃度50体積%以上、露点−35℃以下の条件
で焼鈍することにより、耐指紋性が良好であることを見
出した。
【0033】水素ガス濃度が50体積%未満だとテンパー
カラーといわれる表面着色により、付着した指紋汚れが
目立つようになることから50体積%以上とした。上限は
水素ガス濃度100 体積%となるが、製造コストが上昇す
ることから、75体積%以上、85体積%以下が望ましい。
また、露点が−35℃を越えるとテンパーカラー発生によ
り、付着した指紋汚れが自立つようになることから−35
℃以下とした。露点は低ければ低いほど望ましいが、製
造コストが上昇することから−60℃以上とする。望まし
くは−40℃以下である。
【0034】鋼板を軟質化し加工性を高めるには熱処理
温度を800 ℃以上にする必要があるが、1150℃超に加熱
すると結晶粒が粗大化し加工性が低下するため、熱処理
温度は800 ℃以上、1150℃以下とする。
【0035】(2) 酸洗 連続焼鈍により生成した酸化スケールおよびCr欠乏層を
除去するために酸洗を行うが、酸洗条件については特に
規定しない。通常APラインで用いられる硫酸、硝酸とフ
ッ酸との混酸など公知の方法で良い。また酸洗前処理と
して、溶融アルカリ塩処理や中性塩を用いた電解処理を
行ってもよい。
【0036】
【実施例】
【0037】
【実施例1】以下実施例によって本発明をさらに具体的
に説明する。板厚3.0mm のSUS304の熱延鋼帯を用い、通
常のAPラインによる連続焼鈍・酸洗後、冷間圧延を行
い、最終パスにて様々な形状のダルロールを用いて厚さ
0.8mmに仕上げた後、光輝焼鈍を行い、ダル仕上げ鋼板
とした。なお、ダルロールは放電加工にCrメッキしたも
のであり、75体積%水素+25体積%窒素混合ガス(アン
モニア分解ガス) 中、露点−40℃、1100℃で在炉2分の
光輝焼鈍を行った。
【0038】これらの鋼板の表面形状と耐指紋性、耐汚
れ性、耐食性を以下の方法で評価した。 <耐指紋性>鋼板表面に指を強く押し付けて、指紋が目
立ちにくいかどうかを目視判定した。目立たないものを
○、目立つものを×とした。
【0039】<耐汚れ性>外装材の汚れである浮遊粉塵
を想定した炭素粉末を水にといてスラリー状にした液を
ステンレス鋼板の試片に塗り付け、室温で24時間保持
後、スポンジで流水洗浄した。そして試験前後の試片に
ついて、JIS Z 8729で規定されているL*、a*、b*を測定
して色差△E を算出し、耐汚れ性指標とした。△E ≦3
を耐汚れ性良好とした。
【0040】<耐食性>海岸より約1km離れた工業地帯
で6ケ月間の大気曝露試験を実施した。評価としては、
JIS Z 2371の付属書に示されているレイティングナンバ
ー(R.N.)表と発銹状況を対比して発銹の程度を判定し
た。R.N.≧9 を耐食性良好とした。
【0041】結果を表1に示す。これより明らかなよう
に、本発明で規定する範囲の鋼板は、耐指紋性、耐汚れ
性、および耐食性に優れているが、規定範囲を外れた鋼
板は、耐指紋性、耐汚れ性、および耐食性のいずれか1
つまたは複数が劣る結果となった。
【0042】
【表1】
【0043】
【実施例2】板厚3.0mm のSUS304の熱延鋼帯を用い、通
常のAPラインによる連続焼鈍・酸洗後、冷間圧延を行
い、最終パスにて様々な方法で作製したCrメッキ厚さを
変化させたダルロールを用いて厚さ0.8mm に仕上げ、こ
れらの鋼板の表面形状と耐指紋性、耐汚れ性、耐食性を
実施例1と同様に評価した。
【0044】結果を表2に示す。これより明らかなよう
に、本発明で規定する範囲の鋼板は、耐指紋性、耐汚れ
性、および耐食性に優れているが、規定範囲を外れた条
件で製造した鋼板は、耐指紋性、耐汚れ性、および耐食
性のいずれか1つまたは複数が劣る結果となった。
【0045】
【表2】
【0046】
【実施例3】実施例1で、表面形態がRz:4.5 μm、S
m:187 μm、凸部面積率:28%に仕上げたマーク3の
光輝焼鈍前の鋼板を用いて、1100℃で、ガス雰囲気と露
点を変え、在炉2分の光輝焼鈍を行い、これらの鋼板の
耐指紋性、耐汚れ性、耐食性を実施例1と同様に評価し
た。
【0047】結果を表3に示す。これより明らかなよう
に、本発明で規定する範囲の鋼板は、耐指紋性、耐汚れ
性、および耐食性に優れているが、規定範囲を外れた条
件で製造した鋼板は、耐指紋性と耐食性が劣る結果とな
った。
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】従来の製造方法では、ダル仕上げ圧延に
よる表面形状制御により、防眩性や耐指紋性を付与する
試みが行われてきたが、その色調によって指紋汚れが目
立ちやすく、また表面凹凸に汚れなどの異物が溜まりや
すい、また、意匠性に劣るものや形状の制御が困難など
の問題があったが、本発明によれば、汚れの付着を減ら
し、しかも付着した指紋汚れなどが目立ちにくく、かつ
耐食性に優れた鋼板を、通常の設備・条件を用いて製造
し提供することを可能にした。
【0050】本発明にかかるステンレス鋼板は、落ち着
いた意匠性を有しているため、常時人間の目に触れる分
野での利用を増やし、また美観維持の労力を減少するこ
とが可能であるため、社会的貢献が大きいものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 十点平均粗さRzが3.5 μm 以上、6.5 μ
    m 以下、表面凹凸の平均間隔Smが120 μm 以上、250 μ
    m 以下、凸部面積率が15%以上、45%以下の表面を有す
    ることを特徴とする耐汚れ性と耐食性に優れたステンレ
    ス鋼板。
  2. 【請求項2】 ステンレス鋼帯を連続焼鈍・酸洗した後
    の冷間仕上げ圧延において、最終パスをダルロールによ
    り、十点平均粗さRzが3.5 μm 以上、6.5 μm 以下、表
    面凹凸の平均間隔Smが120 μm 以上、250 μm 以下、凸
    部面積率が15%以上、45%以下の表面に仕上げた後、光
    輝焼鈍を行うことを特徴とする耐汚れ性と耐食性に優れ
    たステンレス鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記光輝焼鈍を、水素ガス濃度50体積%
    以上、残部が窒素ガスから成り、露点が−60℃以上、−
    35℃以下の雰囲気中で行うこと特徴とする請求項2記載
    の耐汚れ性と耐食性に優れたステンレス鋼板の製造方
    法。 【請求項4 】前記冷間仕上げ圧延の最終パスを、厚さ3
    〜35μmのCrメッキを施されたダルロールにより行うこ
    とを特徴とする請求項2または3記載の耐汚れ性と耐食
    性に優れたステンレス鋼板の製造方法。
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Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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