JPH1095804A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JPH1095804A
JPH1095804A JP12651997A JP12651997A JPH1095804A JP H1095804 A JPH1095804 A JP H1095804A JP 12651997 A JP12651997 A JP 12651997A JP 12651997 A JP12651997 A JP 12651997A JP H1095804 A JPH1095804 A JP H1095804A
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Masakuni Yamamoto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩化ビニル等の重合器内における水性媒体
での重合において、従来困難であった、バッフルの重合
器内壁面に面する表面等への重合体スケールの付着を防
止すると共に、初期着色の少ない高品質の重合体製品が
得られる塩化ビニル系重合体の製造法を提供する。 【解決手段】 塩化ビニル単量体又は該単量体を主体と
するビニル系単量体混合物を水性媒体中で重合開始剤を
用いて重合し、塩化ビニル系重合体を製造する際に、該
重合をFe(II)又はFe(III)をキレート化し得るキレート
化剤の存在下で行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は重合体スケールの生
成を制御して塩化ビニル系重合体を製造する方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体
とその他のビニル系単量体との混合物を、重合触媒の存
在下、水性媒体中で懸濁重合または乳化重合する方法に
於いては、重合器の内壁面や重合過程で重合器付属設備
のうち攪拌機表面などの単量体が接触する部分、つまり
重合器の内表面に重合体がスケールとして付着するとい
う問題がある。このように重合体スケールが重合器の内
表面に付着すると、重合器壁の伝熱効率、重合体収率な
どが低下するほか、付着スケールが重合器から剥離して
製品中に混入しいわゆるフィッシュアイの原因になるな
ど製品品質を低下させる。更に、このスケールを除去す
るためには多大な労力と時間が必要であり、重合器の稼
働率低下など好ましくない多くの不利益をもたらすこと
になる。特に懸濁重合の場合には、重合器内に付着する
スケールは同時に生産される正常な重合体に比べてポロ
シティー(多孔性)が低いので、スケールが剥離して正
常な重合体に混ざると、重合体と成型加工時に添加され
る可塑剤を始めとする加工用添加剤との親和性が悪くな
り、最終製品に部分的に溶け合わない粒子(いわゆるフ
ィッシュアイ)を発生させる事になる。さらに、スケー
ルを重合器から除かずにそのまま重合を繰り返すと、ス
ケールの蓄積のために重合器内部の形状までが変わって
しまい、特に攪拌機へのスケール蓄積が多くなった場合
には懸濁システム全体が大きな影響を受け、得られる重
合体粒子の形状、粒度分布、収率などにも影響が及ぶ事
がある。
【0003】この様な理由で定期的に重合器内表面から
スケールを取り除く事が不可欠である。これには重合器
の運転を停止ないし休止させる必要があり、重合体の生
産に直接関わらない費用がかさむ事にもなる。このスケ
ールの除去は内表面から機械的に剥ぎ取ったり、高速ジ
ェット水流をスケールに当てたり、或は有機溶剤で溶解
したりして行うのが一般的である。この様な作業の一部
では作業員が器内に入って作業を行う必要が有るが、こ
れには発癌性が疑われている塩化ビニル単量体と触れる
恐れが伴い、極めて望ましくない。またスケールを重合
器から機械的に除去する事は内表面を損傷させる可能性
が高く、これは次回の重合でのスケール生成を助長する
事になる。この他溶剤を使用しスケールを除去する方法
には、溶剤回収設備とその運転費用・経費が余分にかか
る事になる。
【0004】そこで、このような重合体スケールの付着
を防止する方法として、重合器内壁等にスケール付着防
止剤の塗膜を形成する方法が知られており、種々のスケ
ール付着防止剤が提案されている。スケール付着防止剤
としては、例えば染料または顔料(特公昭45-30835
);極性有機化合物(特公昭45-30343);ポリ芳香族
アミン化合物(特開昭53-23381);フェノール化合物と
ホルマリンあるいはベンズアルデヒドとの縮合物(特開
昭54-36389)などが提案されている。これらスケール付
着防止剤の塗膜の形成は、次のように行われる。重合終
了後に重合器内より生成した重合体スラリーを抜き出
し、重合器内を水洗した後、(1)重合器内気相部上部
に設けられたスプレーノズルより重合体スケール付着防
止剤塗布液を重合器内壁面等の重合中、ビニル系単量体
が接触する部分にスプレー塗布する(塗布工程)、
(2)スプレー塗布後の塗布面を乾燥して、乾燥した塗
膜を得る(乾燥工程)、及び(3)乾燥した塗膜を水洗
する(水洗工程)、という3工程からなるものである。
【0005】このようにしてスケール防止剤の塗膜を形
成した後に、重合器内に塩化ビニル単量体その他の原材
料を仕込み、重合を行い塩化ビニル重合体を製造するの
であるが、近年、生産性向上のために、重合体スケール
付着防止性塗膜の形成→原料仕込み工程→重合反応工程
→未反応単量体の回収及び重合体スラリーの抜き出し工
程→重合器内水洗工程の一連のプロセスのリサイクル時
間の短縮が望まれている。その一環として塗膜形成に要
する時間の短縮も求められている。
【0006】同時に、最近においては、生産性向上の目
的で40m3 以上の容量を有する大型重合器を使用し、
なおかつ重合反応が短縮することができる重合方法が採
用されている。このように重合時間が短縮可能な重合方
法では重合開始剤を増量する方法が採用されている。重
合開始剤を増量すると単位時間当たりの発熱量が多いの
で、除熱効率の向上が必要になる。除熱手段としては、
冷却ジャケットとリフラックスコンデンサーが代表的で
ある。重合器の容積が40m3 以上に大型化すると、ジ
ャケットによる除熱では不十分であるため、リフラック
スコンデンサーによる除熱の割合を大きくする必要が生
じる。ところが、リフラックスコンデンサーの除熱負荷
を大きくしていくと、重合器内のスラリーの発泡が高ま
りリフラックスコンデンサー内部へスラリーが溢流する
結果、リフラックスコンデンサーの除熱能力が低下した
り、該コンデンサー内に重合体スケールの付着が発生す
る。場合によっては、溢流した重合体粒子によって配管
が詰まり、コンデンサーの運転が不可能になったりす
る。さらに、コンデンサーを重合初期から使用すると、
得られる重合体粒子の粒度が粗くなったり、泡状の重合
体が生成する等の問題もある。したがって、大型重合器
を使用して重合反応時間を短縮する重合方法を採用する
場合には、ジャケットとリフラックスコンデンサーのみ
では除熱能力が不十分とならざるを得ず、不足する除熱
能力は他の冷却方式で補わざるを得なかった。そのよう
な他の冷却手段として、重合器内に冷却コイル、ドラフ
トチューブ、冷却用円筒バッフル等の内部冷却装置が設
けられている。
【0007】ところで、重合体スケール付着防止剤の塗
膜を形成する際は、従来、上述のように効率のよいスプ
レー塗布法が用いられている。しかし、このスプレー塗
布法では重合器内でスプレーノズル部からみて陰になる
部分、例えば重合器内に付設されているバッフルの重合
器内壁面に面している面に十分な塗布が行われず、塗布
ムラが生じ易い。特に、上述のように内部冷却装置によ
り重合器内の構造が複雑になると塗布が不十分な箇所が
増す。その為、繰り返す重合バッチ数が多くなると、十
分な塗膜が形成されていない部分には重合体スケールが
付着してくる。この対策として、塗布ムラが生じない様
に十分にスプレー塗布を施すこと、すなわち、塗布工程
で時間をかけて多量の重合体スケール付着防止剤塗布液
を塗布することが行われている。しかしその結果、乾燥
工程で必要な乾燥時間を塗布液の増加に応じて長くする
必要が生じることが多い上に、水洗工程でも残余の重合
体スケール付着防止剤塗布液が多いためこれを除去する
ために水洗時間を長くする必要がある。このような塗膜
形成に要する時間の長期化は、上述した重合時間の短縮
化の要請に逆行するという、不都合が生じていた。さら
に、多量の重合体スケール付着防止剤塗布液の使用は、
重合して得られる塩化ビニル系重合体製品の初期着色性
を低下させたり、製品中のスケール防止剤由来の着色異
物を増加させるなどの悪影響をもたらす。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は重合器内の内表面、特にスプレー塗布に際して陰にな
る部分、即ち液相部においてバッフル等や内部冷却手段
の重合器内壁面に面している表面等の従来スケールの付
着防止が困難であった所においても重合体スケールの付
着を効果的に防止することができ、かつ得られる塩化ビ
ニル系重合体の初期着色性、着色異物等の品質に悪影響
を及ぼさない塩化ビニル系重合体の製造方法を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するものとして、重合器内で塩化ビニル単量体又は
塩化ビニル単量体を主体とするビニル系単量体混合物を
水性媒体中、重合開始剤によって重合し、塩化ビニル系
重合体を製造するに際し、該重合を前記単量体又は単量
体混合物を含む水性重合系中でFe(II)又はFe(III)の錯
体を生成する能力を有するキレート化剤の存在下で行う
ことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法を提供
する。本発明方法では、更に前記重合器の内壁面及び重
合中に前記単量体が接触するその他の部分に重合体スケ
ール付着防止剤からなる塗膜が形成されていることが好
ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき更に詳しく説
明する。単量体 本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法で重合されるビ
ニル系単量体としては、塩化ビニル単独の他、塩化ビニ
ルを主体とし、これと共重合し得る他の単量体との混合
物(通常、塩化ビニルを50重量%以上)を用いることが
でき、この塩化ビニルと共重合される単量体としては、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エ
ステルもしくはメタクリル酸エステル、エチレン、プロ
ピレン等のオレフィン、無水マレイン酸、アクリロニト
リル、スチレン、塩化ビニリデン、その他塩化ビニルと
共重合可能な単量体が例示される。
【0011】キレート化剤 キレート化剤は水性媒体中において重合器壁面のステン
レス表面の酸化鉄と反応して鉄分をFe(II)錯塩又はFe(I
II) 錯塩として溶出させ、或いはステンレス表面に安定
な錯体保護層を形成するものと考えられる。その結果、
重合器内壁を構成するステンレス鋼の金属Fe分或いはFe
(II)イオンと触媒として用いられる過酸化物との反応に
よるレドックス分解やラジカル生成が抑制され、ひいて
はスケールの生成が抑制されるものと推定される。本発
明に使用し得るキレート化剤は、塩化ビニル単量体又は
塩化ビニル単量体を主体とするビニル系単量体混合物を
含む水性の反応混合物(重合系)中においてFe(II)又は
Fe(III) の錯体を生成する能力を持つことが必須であ
る。したがって、該キレート化剤は、水溶性のものであ
り、具体的には、例えば縮合リン酸系キレート化剤、ア
ミノカルボン酸系キレート化剤及びオキシカルボン酸系
キレート化剤を用いるのが好ましい。
【0012】(A) 縮合リン酸系キレート化剤としては、
例えば、 1)ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、
ペンタポリリン酸等の一般式[HO(HPO 3 ) n H, n≧2]で
表される直線状縮合リン酸; 2)トリメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリ
ン酸等の一般式[(HPO 3) n , n ≧3]で表される環状縮
合リン酸; 3)一般式[xH 2 O ・yP2 O 5 (O<x/y<1)]で表わされる
網目構造を有するウルトラリン酸;及び 4)上記例示された直鎖状縮合リン酸、環状縮合リン
酸、ウルトラリン酸の塩等が挙げられる。4)の塩とし
ては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属
塩、アンモニウム塩等が挙げられ、これらは正塩、酸性
塩(水素塩)、単塩、複塩等のいずれの形態であっても
よく何ら制限されない。4)の塩の場合、酸根に対応す
る複数の水素カチオンのうち一部あるいは全部がアルカ
リ金属塩、アンモニア塩等の塩の状態で存在してもよ
い。ただし、その場合、塩を形成するカチオン(アルカ
リ金属カチオン、アンモニアカチオン等)部分の含有量
は該縮合リン酸系キレート化剤中に含有されるリンの含
有量に対して50モル%以下であることが好ましく、30モ
ル%以下であることがより好ましい。
【0013】さらに、縮合リン酸系キレート化剤の分子
量は、170 以上が好ましく、250 以上であることがより
好ましい。より好ましくは、縮合リン酸系キレート化剤
の分子量が170 以上であり、かつ塩を形成しているカチ
オン部分の含有量が50モル%以下である場合である。こ
のような好ましい態様においては、縮合リン酸系キレー
ト化剤のキレート能力が向上し、スケール付着防止効果
が向上する。さらには上記例示された縮合リン酸系キレ
ート化剤の中でトリポリリン酸、テトラポリリン酸、ト
リメタリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸が
特に好ましい。
【0014】(B) アミノカルボン酸(アミノ酸)系キレ
ート化剤としては、エチレンジアミン−N−モノ酢酸、
エチレンジアミン -N, N'-二酢酸、エチレンジアミン-
N,N,N',N'- 四酢酸、N-(2- ヒドロキシエチル)エチレ
ンジアミン-N,N',N'- 三酢酸、N-(2- ヒドロキシエチ
ル)イミノ二酢酸、イミノ二酢酸、ジエチレントリアミ
ン-N, N, N', N'', N''-五酢酸、trans-1,2-シクロヘキ
サンジアミン -N, N, N',N'- 四酢酸、3,6-ジオキサ-1、
8- オフタンジアミン -N, N, N', N'- 四酢酸、ニトリ
ロ三酢酸、トリエチレンテトラミン -N, N, N', N'',
N''', N'''-六酢酸及びこれらのアルカリ金属塩、 アン
モニウム塩、 エステル類等が挙げられる。
【0015】(C) オキシカルボン酸系キレート剤として
は、 一分子内にカルボキシル基と水酸基とを持つもので
あり、 例えば、 グリコール酸、 グルコン酸、乳酸、ヒド
ロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルト
ロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等の脂肪族オキシ
カルボン酸、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オ
キシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸、トロパ酸等の芳
香族オキシカルボン酸及びこれらのアルカリ金属塩、ア
ンモニウム塩、エステル類等が挙げられるが特にこれら
に限定されない。また、これらのオキシカルボン酸とし
て不斉炭素原子(光学異性体)を持つものは、D−体,
L−体,DL−体のいずれでも良い。以上のオキシカル
ボン酸の中でも、好ましくは、タルトロン酸、リンゴ
酸、酒石酸、クエン酸等の多価カルボン酸(一分子内に
二つ以上のカルボン酸基を持つ)系のオキシカルボン酸
が用いられる。
【0016】上記例示されたキレート化剤は、一種単独
で用いてもよいし、二種以上の混合物として用いてもよ
い。上記例示されたキレート化剤の中で縮合リン酸系キ
レート化剤を用いるのが好ましい。
【0017】本発明において、重合系に、キレート化剤
は仕込まれる単量体に対して重量基準で、好ましくは10
〜1000ppm 、より好ましくは50〜500 ppm 、特に好まし
くは50〜200 ppm 添加される。キレート化剤の量が少な
すぎると、十分なスケール付着防止効果が得られず、多
すぎると得られる塩化ビニル系重合体の粒度分布がブロ
ードになる恐れがある等の不都合が生じる。キレート化
剤は、通常、重合開始前に仕込み原料に添加される。
【0018】製造方法 キレート化剤は、通常、重合開始前に仕込み原料に添加
される。
【0019】その他の重合条件は、以下に一端を説明す
るように、水性媒体中における重合により塩化ビニル系
重合体を製造する際に従来用いられてきたものと同様で
よい。
【0020】重合開始剤としては、油溶性重合開始剤、
水溶性重合開始剤が用いられる。油溶性重合開始剤とし
ては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネー
ト、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート等のパ
ーカーボネート化合物;t−ブチルパーオキシネオデカ
ネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブ
チルパーオキシネオデカネート等のパーエステル化合
物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、
2,4,4-トリメチルペンチル-2- パーオキシフェノキシア
セテート等の過酸化物;アゾビス-2,4-ジメチルバレロ
ニトリル、アゾビス-(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロ
ニトリル)等のアゾ化合物などがあげられる。また水溶
性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫
酸アンモニウム、過酸化水素等が例示される。これら例
示された重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を
組み合わせて使用することができる。
【0021】重合開始剤は、 水又は単量体の仕込み中、
あるいは仕込み終了後に添加すれば良く、予め単量体に
均一に混合して単量体と共に仕込んでも良く、さらに
は、水性エマルジョンとして水性媒体と共に仕込んでも
良い。これらの重合開始剤は、仕込まれる単量体100
重量部当たり0.01〜0.2重量部を使用すると好適であ
る。
【0022】分散安定剤も従来より塩化ビニル単量体の
重合に使用されているものを使用することができ、具体
的には水溶性でんぷん系エーテル類;ポリアクリル酸等
のアクリル酸重合体、ゼラチン、部分ケン化ポリビニル
アルコール、セルロースエーテル等の水溶性ポリマー;
油溶性の部分ケン化ポリビニルアルコール;ソルビタン
モノラウレート、ソルビタントリオレート、ソルビタン
モノステアレート、グリセリントリステアレート、エチ
レンオキシド・プロピレンオキシドブロックコポリマー
等の油溶性乳化剤;ポリオキシエチレンソルビタンモノ
ラウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレート、
ラウリン酸ナトリウム等の水溶性乳化剤;炭酸カルシウ
ム、りん酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウムなどがあり、これらは単独で又は2種以上の組
み合せで使用される。これらの分散安定剤の合計添加量
は、通常、仕込まれる単量体100重量部当たり0.02〜1
重量部の範囲で適宜調整すればよい。
【0023】また、必要に応じて、塩化ビニル単量体の
重合に適宜使用される重合調整剤、連鎖移動剤、pH調
整剤、ゲル化改良剤、帯電防止剤等を添加することも可
能である。単量体の重合体成分を分散させるために使用
する水性媒体の仕込み量は、従来の方法と同様、単量体
との仕込み比(水/単量体)が1.0〜1.5程度でも良く、
必要に応じて重合の途中で水を追加することができる。
また、重合温度も、従来の方法と同様、40〜70℃程
度とすれば良い。
【0024】さらに、重合器への水性媒体、塩化ビニル
単量体、場合によって使用される他のコモノマー、分散
助剤、重合開始剤などの仕込み方法も従来と同様にして
行えば良く、これらの仕込み量等もまた同様で良い。
【0025】本発明において、水性媒体中での重合方法
として、懸濁重合、乳化重合があげられるが、懸濁重合
を用いるのが好ましい。
【0026】本発明の上記製造方法で得られる塩化ビニ
ル系重合体の中で、特に縮合リン酸系キレート化剤の存
在下に重合して得られ、リンが0.1〜100ppm含有される
塩化ビニル系重合体は、熱安定性が改良されるという利
点を有する。
【0027】本発明方法は、内容積が40m3以上、好
ましくは80m3以上で、攪拌機及びジャケットが付設
されている重合器を用いる場合において効果的である。
更には、該重合器内に冷却バッフルを2本以上、好まし
くは4本以上有する重合器を用いる場合において特に効
果的である。
【0028】また本発明の製造方法においては、使用さ
れる重合器の内壁面及び重合中に前記単量体が接触する
その他の部分に重合体スケール付着防止剤からなる塗膜
が形成されていることが好ましい。以下、この塗膜の形
成に使用される重合体スケール付着防止剤、塗布液の調
製方法及び塗膜の形成方法について説明する。
【0029】重合体スケール付着防止剤 塗布液に使用される重合体スケール付着防止剤は有効成
分として、共役π結合を10以上有する有機化合物(以下
共役π結合化合物という)を含むものであり、かつ該有
機化合物の分子量が1000以上、好ましくは1500以上であ
る。該有機化合物の分子量の上限としては50,000以下で
あることが好ましい。この共役π結合の分子量はゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィ(GPC) で測定されるも
のである。このような共役π結合化合物として好ましい
ものを以下例示する。
【0030】アルデヒド化合物/芳香族ヒドロキシ系化
合物縮合生成物 アルデヒド化合物/芳香族ヒドロキシ系化合物縮合生成
物はアルデヒド化合物と芳香族ヒドロキシ系化合物との
縮合生成物である。このようなアルデヒド化合物/芳香
族ヒドロキシ系化合物縮合生成物を重合体スケール付着
防止剤に用いることについては、例えば特開昭57−1
92413、特公平06−62709、特開昭57−1
64107等に記載されている。アルデヒド化合物とし
ては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プ
ロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイ
ン、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラ
ール、フェニルアセトアルデヒド、3−フェニルプロピ
オンアルデヒド、2−フェニルプロピオンアルデヒド等
が挙げられるが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド
が工業的、経済的に有利である。芳香族ヒドロキシ系化
合物としては、例えばジヒドロキシビフェニル系化合
物、ナフトール系化合物、フェノール系化合物、タンニ
ン類等が挙げられる。ジヒドロキシビフェニル系化合物
の例としては、2,2′−ジヒドロキシビフェニル、
2,2′−ジヒドロキシ−5,5′−ジメチルビフェニ
ル、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′、5,5′−テ
トラメチルビフェニル、2,2′−ジヒドロキシ−5,
5′−ジクロロビフェニル、2,2′−ジヒドロキシ−
5,5′−ジジクロヘキシルビフェニル、2,2′−ジ
ヒドロキシ−5,5′−ジ−tert−ブチルビフェニル等
が挙げられ、なかでも工業的には2,2′−ジヒドロキ
シビフェニルがとくに好適である。ナフトール系化合物
の例としては1−ナフトール、1,3−ジヒドロキシ−
ナフタレン、及び1,5−ジヒドロキシ−ナフタレンお
よび1,7−ジヒドロキシ−ナフタレン等が挙げられ
る。フェノール系化合物としては、フェノール、クレゾ
ール、ピロガロール、ヒドロキシヒドロキノン、レゾル
シン、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、
ヒドロキシ安息香酸、サルチル酸等が挙げられる。タン
ニン類としては、タンニン酸、五倍子タンニン、没食子
タンニン、スマックタンニン、ケブラチョタンニン、カ
キ渋タンニン等が挙げられる。
【0031】上記アルデヒド化合物と芳香族ヒドロキシ
系化合物との縮合生成物はこれらの反応成分を適当な媒
体中、触媒存在下、通常、室温〜200 ℃で2〜100 時
間、好ましくは30〜150 ℃で3〜30時間反応させること
により製造される。
【0032】上記の縮合反応を行う媒体としては、例え
ば、水、アルコール類、ケトン類、エステル類等の有機
溶媒が挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、プ
ロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチル
ケトン等のケトン類及び酢酸メチル、酢酸エチル等のエ
ステル類が挙げられる。上記縮合反応を行う媒体のpHは
通常1〜13の範囲であり、pH調整剤は特に制約なく使用
することができる。
【0033】上記縮合反応に使用される触媒としては例
えば硫酸、塩酸、過塩素酸、P−トルエンスルホン酸、
メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の
酸性触媒;NaOH、KOH 、NH4 OH等の塩基性触媒等が用い
られる。縮合反応を行う際のアルデヒド類と芳香族ヒド
ロキシ系化合物との割合は使用するアルデヒド化合物、
芳香族ヒドロキシ系化合物、溶媒、及び触媒の種類、反
応時間、反応温度等に影響されるが、通常、芳香族ヒド
ロキシ系化合物1モルに対してアルデヒド化合物を0.1
〜10モルとすることが好ましい。
【0034】ピロガロール/アセトン縮合生成物 ピロガロール/アセトン縮合生成物は、ピロガロールと
アセトンとの縮合生成物であり、通常、ピロガロール/
アセトンのモル比が1/0.1 〜1/10の範囲にあり、通
常、融点100 〜500 ℃である。融点は分子量が大きいほ
ど高く、例えば、融点160 〜170 ℃は分子量1450〜1650
に、融点200 〜220 ℃は分子量2600〜4000に相当する。
このようなピロガロール/アセトン縮合生成物を重合体
スケール付着防止剤に用いることについては、例えば特
開平4−328104等に記載されている。ピロガロー
ル/アセトン縮合生成物は、ピロガロールをアセトンに
溶解し、縮合触媒の存在下で縮合させることにより製造
される。このとき、ピロガロールは、アセトン100 重量
部当り、通常、1〜100 重量部用いられ、縮合触媒とし
ては例えば、オキシエンカリン等が使用される。反応
は、室温〜100 ℃で行えばよい。
【0035】多価フェノール自己縮合生成物及び多価ナ
フトール自己縮合生成物 多価フェノールは、例えばカテコール、レゾルシノー
ル、クロロレゾルシノール、ヒドロキノン、クロログル
シノール、ピロガロール等;ジヒドロキシトルエンおよ
びキシレン;トリヒドロキシトルエンおよびキシレン;
エチル、プロピル、ブチルおよびベンチルジーおよびト
リヒドロキシベンゼン等であり、多価ナフトールは1,
3−、1,4−、1,5−、又は1,7−ジヒドロキシ
ナフタリン等のナフトール誘導体が例示される。このよ
うな多価フェノール自己縮合生成物又は多価ナフトール
自己縮合生成物を重合体スケール付着防止剤に用いるこ
とについては、例えば特開昭54−7487等に記載さ
れている。多価フェノール自己縮合生成物又は多価ナフ
トール自己縮合生成物は、多価フェノールもしくは多価
ナフトールを窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下200
〜350 ℃の温度範囲において4〜100 時間加熱すること
により製造される。この反応には、塩化亜鉛、塩化アル
ミニウム、水酸化ナトリウムなどの種々な触媒を使用で
きる。
【0036】芳香族アミン系化合物縮合生成物 芳香族アミン系化合物縮合生成物としては、例えば、 芳香族アミン系化合物の自己縮合生成物、 芳香族アミン系化合物とフェノール系化合物との縮合
生成物、 芳香族アミン系化合物と芳香族ニトロ化合物との縮合
生成物、及び 芳香族アミン系化合物と芳香族ニトロ化合物との縮合
生成物をアルカリ金属塩もしくはアンモニウム化合物に
よりベース化したもの、があげられる。このような芳香
族アミン化合物縮合生成物を重合体スケール付着防止剤
に用いることについては、例えば特公昭59−1656
1、同60−30681等に記載されている。芳香族ア
ミン化合物としては、アニリン、オルソ,メタ又はパラ
フェニレンジアミン、オルソ,メタ又はパラアミノフェ
ノール、オルソ,メタ又はパラクロロアニリン、パラア
ミノアゾベンゼン、2,4−ジアミノアゾベンゼン、パ
ラ−アミノアセトアニリド、オルソ,メタ又はパラメチ
ルアニリン、4−アミノジフェニルアミン、2−アミノ
ジフェニルアミン、4,4−ジアミノジフェニルアミ
ン、N,N−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、4
−アミノ−3′−メトキシジフェニルアミン、4−アミ
ノ−4′−ヒドロキシジフェニルアミン、4−クロロ−
オルソ−フェニレンジアミン、4−メトキシ−オルソ−
フェニレンジアミン、2−アミノ−4−クロロフェノー
ル、2,3−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノフェ
ノール、4−アミノジフェニルアミン、2−アミノジフ
ェニルアミン、4,4′−ジアミノジフェニルアミン、
4−アミノ−3′−メトキシジフェニルアミン、4−ア
ミノ−4′−ヒドロキシジフェニルアミン等のジフェニ
ルアミン類が例示される。
【0037】フェノール系化合物は、具体的には、フェ
ノール、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、
ヒドロキシヒドロキノン、ピロガロール、オルソ、メタ
もしくはパラ−クロロフェノール、オルソ,メタもしく
はパラ−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安
息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒ
ドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、
3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−、2,6−又
は3,5−ジヒドロキシトルエン等のフェノール誘導体
が例示される。
【0038】芳香族ニトロ化合物としては、ニトロベン
ゼン、オルソ,メタ又はパラオキシニトロベンゼン、オ
ルソ,メタ又はパラニトロアニソール、オルソ,メタ又
はパラニトロフェネトール、オルソ,メタ又はパラクロ
ロニトロベンゼン、オルソ,メタ又はパラアミノニトロ
ベンゼン、オルソ,メタ又はパラニトロ安息香酸、オル
ソ,メタ又はパラニトロベンゼンスルホン酸、オルソ,
メタ又はパラニトロアニリン、2−ニトロ−パラ−フェ
ニレンジアミン、2−アミノ−4−ニトロフェノール、
2−アミノ−5−ニトロフェノール、4−アミノ−2−
ニトロフェノールなどが例示される。
【0039】前記した芳香族アミン系化合物単独の自己
縮合反応、芳香族アミン系化合物とフェノール系化合物
との縮合反応、及び芳香族アミン系化合物と芳香族ニト
ロ化合物との縮合反応を行わせるには、鉱酸および縮合
触媒が使用されるが、この鉱酸としては塩酸、硝酸、臭
化水素酸、リン酸および硫酸などが例示される。また好
適な縮合触媒としては、過マンガン酸、過マンガン酸カ
リウムのような過マンガン酸およびその塩、三酸化クロ
ム、重クロム酸カリウム、塩化クロム酸ナトリウムのよ
うなクロム酸関連化合物、硝酸銀、硝酸鉛のような金属
硝酸塩、ヨウ素、臭素のようなハロゲン、過酸化水素、
過酸化ナトリウム、ベンゾイルパーオキサイド、過硫酸
カリウム、過硫酸アンモニウム、過酢酸、キュメンハイ
ドロパーオキサイド、過安息香酸、p−メンタンハイド
ロパーオキサイドのような過酸化物、ヨウ素酸、ヨウ素
酸カリウム、塩素酸ナトリウムのような酸素酸あるいは
酸素酸塩、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸銅、塩化第一
銅、塩化第二銅、酢酸鉛のような金属塩類、オゾンおよ
び酸化銅、酸化水銀、酸化セリウム、二酸化マンガン、
オスミウム酸のような酸化物などが例示される。また、
過酸化水素を塩化第一鉄と組み合せて使用することも有
効である。
【0040】前記した芳香族アミン系化合物単独の自己
縮合反応、芳香族アミン系化合物とフェノール系化合物
との縮合反応、及び芳香族アミン系化合物と芳香族ニト
ロ系化合物との縮合反応は縮合触媒の存在下100 〜350
℃で2〜100 時間行われる。芳香族アミン系化合物とフ
ェノール系化合物との縮合反応、及び芳香族アミン系化
合物と芳香族ニトロ系化合物との縮合反応における芳香
族アミン系化合物、フェノール系化合物または芳香族ニ
トロ系化合物の割合は使用される芳香族アミン系化合
物、フェノール系化合物、芳香族ニトロ系化合物及び触
媒の種類、反応時間、反応温度等によるが、通常芳香族
アミン系化合物1モルに対してフェノール系化合物又は
芳香族ニトロ系化合物0.1 〜10モルとすることが好まし
い。芳香族アミン系化合物と芳香族ニトロ化合物との縮
合生成物をアルカリ金属塩もしくはアンモニウム化合物
によりベース化するには、例えば芳香族アミン系化合物
と芳香族ニトロ化合物との縮合生成物100 重量部を水に
分散させ、これにNaOH、KOH 、Na2 CO3 、NH4 OH、(NH
4) 2 CO3 などのアルカリもしくはアンモニウム化合物1
0〜20重量部を加え、混合物を90〜140 ℃で加熱処理す
る。アルカリもしくはアンモニウム化合物は縮合反応時
に使用した鉱酸を中和するのに足りる量であればよい。
【0041】キノン系化合物縮合生成物 キノン系化合物縮合生成物としては、例えば、(A) キノ
ン系化合物と、(B) 芳香族ヒドロキシ系化合物及び芳香
族アミン系化合物の中から選択される1種以上の化合物
との縮合生成物があげられる。このようなキノン系化合
物縮合生成物又は多価ナフトール自己縮合生成物を重合
体スケール付着防止剤に用いることについては、例えば
特開平5−112603、同6−56911等に記載さ
れている。キノン系化合物(A) としては、例えば、オル
ソ,メタもしくはパラ−ベンゾキノン、トル−パラ−キ
ノン、オルソ−キシロ−パラ−キノン、チモキノン、2
−メトキベンゾキノン、ゲンチシルキノン、ポリポール
酸、ユビキノンn等のベンゾキノン類及びこれらの誘導
体;6−メチル−1,4−ナフトキノン、2−メチル−
1,4ナフトキノン、α−ナフトキノン、ユグロン、ロ
ーソン、ブルンバギン、アルカンニン、エキノクロム
A、ビタミンK1 、ビタミンK2 、シコニン、β,β′
−ジメチルアクリルシコニン、β−ヒドロキシイソワレ
ルシコニン、テラクリルシコニン等のナフトキノン類及
びこれらの誘導体;テクトキノン、3−ヒドロキシ−2
−メチルアントラキノン、アントラキノン、2−ヒドロ
キシアントラキノン、アリザリン、キサントブルブリ
ン、ルビアジン、ムンジスチン、クリソフェン酸、カル
ミン酸、ケルメシン酸、ラッカイン酸A等のアントラキ
ノン類及びこれらの誘導体;フェナントレンキノン等の
フェナントレンキノン類が挙げられる。
【0042】反応成分(B) として用いられる芳香族アミ
ン化合物としては、具体的には、アニリン、オルソ,メ
タもしくはパラ−フェニレンジアミン、オルソ,メタも
しくはパラ−クロロアリニン、オルソ,メタもしくはパ
ラ−メチルアニリン、N,N−ジメチルパラフェニレン
ジアミン、4−クロロ−オルソフェニレンジアミン、4
−メトキシオルソフェニレンジアミン、2−アミノ−4
−クロロフェノール、2,3−ジアミノトルエン、4−
アミノ−2−アミノフェノール、具体的には、o−、m
−もしくはp−アミノフェノール、o−、m−もしくは
p−アミノ安息香酸、2,3−、2,4−、2,5−、
2,6−、3,4−、3,5−もしくは4、6−ジアミ
ノ安息香酸、3−もしくは4−アミノフタル酸、2−、
4−もしくは5−アミノイソフタル酸、4,6−ジアミ
ノイソフタル酸、2,5−もしくは2,6−ジアミノテ
レフタル酸、3−、4−もしくは5−アミノサリチル
酸、4−オキシアントラニル酸、o−、m−もしくはp
−アミノベンゼンスルホン酸、2,3−、2,4−,
2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジアミ
ノベンゼンスルホン酸、2−アミノ−1−フェノール−
4−スルホン酸、6−アミノ−4−クロロ−1−フェノ
ール−2−スルホン酸等が例示される。具体的には、α
−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1,5−ジア
ミノナフタリン、1−アミノ−5−ヒドロキシナフタリ
ン、1,8−ジアミノナフタリン、2,3−ジアミノナ
フタリン等が例示される。具体的には、4−アミノ−1
−ナフトール、1−アミノ−5−ナフトール、1,2−
ナフチレンジアミン−7−カルボン酸、1,5−ナフチ
レンジアミン−2−カルボン酸、1,5−ナフチレンジ
アミン−4−カルボン酸、1,6−ナフチレンジアミン
−4−カルボン酸、1,8−ナフチレンジアミン−4−
カルボン酸、1,2−ナフチレンジアミン−3−スルホ
ン酸、1,2−ナフチレンジアミン−4−スルホン酸、
1,2−ナフチレンジアミン−5−スルホン酸、1,2
−ナフチレンジアミン−6−スルホン酸、1,2−ナフ
チレンジアミン−7−スルホン酸、1,3−ナフチレン
ジアミン−5−スルホン酸、1,3−ナフチレンジアミ
ン−6−スルホン酸、1,4−ナフチレンジアミン−2
−スルホン酸、1,4−ナフチレンジアミン−7−スル
ホン酸、1,5−ナフチレンジアミン−2−スルホン
酸、1,5−ナフチレンジアミン−4−スルホン酸、
1,5−ナフチレンジアミン−7−スルホン酸、1,6
−ナフチレンジアミン−2−スルホン酸、1,6−ナフ
チレンジアミン−4−スルホン酸、1,6−ナフチレン
ジアミン−7−スルホン酸、1,8−ナフチレンジアミ
ン−4−スルホン酸、1,8−ナフチレンジアミン−
3,6−ジスルホン酸、1,8−ナフチレンジアミン−
4,5−ジスルホン酸、α−アミノ−β−ナフタレンプ
ロピオン酸、α−アミノ−β−ナフタレンカルボン酸、
2−ナフチルアミン−1−スルホン酸、8−ナフチルア
ミン−1−スルホン酸、5−ナフチルアミン−1−スル
ホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン
酸、2−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸(γ
酸)、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸
(J酸)、1−アミノ−8−ナフトール−3,6−ジス
ルホン酸(H酸)等が例示される。具体的には、4−ア
ミノジフェニルアミン、2−アミノジフェニルアミン、
4,4′−ジアミノジフェニルアミン、4−アミノ−
3′−メトキシジフェニルアミン、4−アミノ−4′−
ヒドロキシジフェニルアミン、具体的には、4−ヒドロ
キシジフェニルアミン、4−アミノ−4′−ヒドロキシ
ジフェニルアミン、4−カルボキシジフェニルアミン、
4−アミノ−4′−カルボキシジフェニルアミン、4−
スルホジフェニルアミン、4−アミノ−4′−スルホジ
フェニルアミン等のジフェニルアミン類が例示される。
また、反応成分(B) として用いられる芳香族ヒドロキシ
系化合物としては、フェノール、ヒドロキノン、レゾル
シノール、カテコール、ヒドロキシヒドロキノン、ピロ
ガロール、オルソ,メタもしくはパラ−クロロフェノー
ル、オルソ,メタもしくはパラ−ヒドロキシ安息香酸、
2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ
安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジ
ヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、
(2,5−、2,6−,3,5−)ジヒドロキシトルエ
ン等のフェノール誘導体が例示される。具体的には、α
−ナフトール、β−ナフトール、(1,3−、1,4
−、1,5−、2,3−、2,6−、2,7−)ジヒド
ロキシナフタリン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、
3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトール誘導体
が例示される。
【0043】前記した(A) 成分と(B) 成分との縮合は、
有機溶媒系媒体中、必要に応じて縮合触媒の存在下で行
われる。上記有機溶媒系媒体のpHは1〜13の範囲であ
り、好ましくは、pH4〜10である。pH調整剤は特に制約
されることなく使用することができ、酸性化合物として
は、例えば、リン酸、硫酸、フィチン酸、酢酸等が使用
され、アルカリ性化合物としては、例えば、LiOH、KOH
、NaOH、Na2 CO3 、Na2SiO 3 、Na2HPO 4 、NH4 OH等
のアルカリ金属化合物或いはアンモニウム化合物、エチ
レンジアミン、モノエタノールアミン、トリエタノール
アミン等の有機アミン化合物等が使用される。
【0044】縮合反応の媒体としては、有機溶媒、例え
ばアルコール類、ケトン類、エステル類等;水と混和性
を有する駆動有機溶媒と水の混合溶媒が好ましい。水と
混和性を有する媒体としては、例えばメタノール、エタ
ノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン類及び酢酸メチル、酢酸エ
チル等のエステル類が使用できる。
【0045】また、必要に応じて縮合触媒が使用される
が、縮合触媒としては、α,α′−アゾビスイソブチロ
ニトリル、α,α′−アゾビス−2,4−ジメチルバレ
ロニトリル等のアゾ触媒、ヨウ素、臭素、塩素等の元素
ないし分子状の単体ハロゲン、過酸化水素、過酸化ナト
リウム、ベンゾイルパーオキサイド、過硫酸カリウム、
過硫酸アンモニウム、過酢酸、キュメンハイドロパーオ
キサイド、過安息香酸、p−メンタンハイドロバーオキ
サイド等の過酸化物、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過ヨウ素
酸カリウム、過塩素酸ナトリウム等の酸素酸あるいは酸
素酸塩が例示される。なお、キノン化合物が縮合触媒と
して作用するので、縮合触媒を使用しなくても縮合反応
は行われる。
【0046】(A) 成分と(B) 成分を前記した有機溶媒系
媒体中で、必要に応じて縮合触媒下、室温〜200 ℃で0.
5 〜100 時間反応することにより、縮合生成物が得られ
る。縮合生成物は芳香族アミン系化合物、キノン系化合
物、芳香族ヒドロキシ系化合物の種類、組成比及び反応
温度、反応時間に影響されるが、本発明においては、
(A) 成分1モル当たり、(B) 成分を0.01〜10.0モルとす
ることが好ましい。用いる重合体スケール付着防止剤
は、pH7.5 〜13.5であることが好ましく、特に、pH 8.0
〜12.5であることが好ましい。pH調整に使用するアルカ
リ化合物としては、例えば、LiOH、NaOH、KOH 、Na2 CO
3 、Na2 HPO 4 、NH4 OH等のアルカリ金属化合物或いは
アンモニア化合物、エチレンジアミン、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等
の有機アミン化合物等が使用可能である。
【0047】重合体スケール付着防止剤塗布液の調製 重合体スケール付着防止剤の調製に使用する溶媒として
は、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プ
ロパノール、2−メチル−2−プロパノール、3−メチ
ル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、2
−ペンタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系
溶剤;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、アセト酢酸メチル等のエステル系溶剤;4−メチル
ジオキソラン、エチレングリコールジエチルエーテル等
のエーテル系溶剤;フラン類;ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の非プロトン
系溶剤等が挙げられる。これらは適宜単独で又は二種以
上の混合溶媒として使用される。上記溶媒の中で好まし
いものは、水、及び水と混和性を有する有機溶媒と水と
の混合溶媒である。上記した有機溶媒の中で水と混和性
を有する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、
プロパノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチル
エチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチ
ル等のエステル系溶剤が挙げられる。特にアルコール系
溶媒を用いることが好ましい。水と混和性を有する有機
溶媒と水との混合溶媒を使用する場合の有機溶媒の含有
量は、引火、揮発等の危険がなく、毒性等の取扱上の安
全の問題がない量とするのが好ましく、具体的には、有
機溶媒が50重量%以下であることが好ましく、更に、30
重量%以下であることが好ましい。また塗布液として
は、pH=9.0〜12.5の範囲にあるものを使用す
ることが好ましい。この範囲内にあると、重合体スケー
ル付着防止効果がいっそう向上する。スケール付着防止
剤を塗布する際の塗布液中の共役π結合化合物の濃度は
0.01〜10重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.05
〜3.0 重量%である。
【0048】上記の重合体スケール付着防止剤は、スケ
ールの付着防止効果をより向上させるため、無機コロイ
ド及びアルカリ金属のケイ酸塩からなる群から選ばれる
少なくと1種を含有することが好ましい。該添加剤は、
恐らく共役π結合化合物と相互作用して、得られるスケ
ール付着防止剤からなる塗膜の表面の親水性を高めた
り、重合体スケール付着防止剤の重合器内壁への付着を
高めたりする作用があると推定される。無機コロイドと
しては、例えば、アルミニウム、トリウム、チタン、ジ
ルコニウム、アンチモン、スズ、鉄等から選択される金
属の酸化物及び水酸化物のコロイド、タングステン酸、
五酸化バナジウム、金及び銀のコロイド、ヨウ化銀ゾ
ル、セレン、イオウ、シリカ等のコロイド等が挙げられ
る。これらの中で好ましいものは、アルミニウム、チタ
ン、ジルコニウム、スズ及び鉄から選択される金属の酸
化物及び水酸化物のコロイド、並びにコロイドシリカで
ある。無機コロイドはどのような製造方法で得られたも
のでもよく、製造方法は特に限定されない。例えば、水
を分散媒とする分散法や、凝集法により製造される粒子
コロイドでよい。コロイド粒子の大きさは1〜500mμが
好ましい。アルカリ金属のケイ酸塩としては、例えば、
リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のメ
タケイ酸塩( M2 SiO 3 ) 、オルトケイ酸塩(M4 SiO
4 )、二ケイ酸塩(M2 Si2 O 3 ) 、三ケイ酸塩(M3 Si3
O 7 ) 、セスキケイ酸(M4 Si3 O 10) 等(なお、ここで
Mはリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属
を示す。)、並びに水ガラスが挙げられる。無機コロイ
ド及びアルカリ金属ケイ酸塩は、1種単独でも2種以上
を組み合わせても使用可能である。また、無機コロイド
及びアルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる成分の量は、前
記共役π結合化合物1重量部当たり、通常、0.01〜10重
量部であり、好ましくは、0.05〜5重量部である。
【0049】また、上記の重合体スケール付着防止剤
は、重合体スケール付着防止効果をより向上させるた
め、水溶性高分子化合物を含有することが好ましい。こ
れも、恐らく共役π結合化合物と相互作用して塗膜表面
の親水性を高める作用があるためと推定される。水溶性
高分子化合物としては、例えば、ゼラチン、カゼイン等
の両性高分子化合物;例えば、ポリアクリル酸、ポリス
チレンスルホン酸、カルボキシメチルセルロース、アル
ギン酸等のアニオン性高分子化合物;例えば、ポリビニ
ルピロリドン、ポリアクリルアミド等のカチオン性含窒
素高分子化合物;例えば、ポリビニルアルコール、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ペクチン等のヒドロキシル基含有高分子化合物等が
例示される。
【0050】塗膜の形成 上記のようにして調製される塗布液を用いて重合器内壁
面に塗膜を形成するには、まず、塗布液を重合器内壁面
に塗布し、次いで、例えば室温から100 ℃までの温度範
囲で充分に乾燥させた後、さらに必要に応じて水洗す
る。また、前記塗布液は、重合器内壁面だけでなく、重
合中に単量体が接触する他の部位にも塗布することが好
ましい。例えば、攪拌翼、攪拌軸、バッフル、コンデン
サ、ヘッダ、サーチコイル、ボルト、ナット等が挙げら
れる。更に好ましくは、前記塗布液は重合中に単量体が
接触する部位以外であっても、重合体スケールが付着す
る恐れのある部位、例えば未反応単量体の回収系統の機
器及び配管の内面等には、前記塗膜を形成した方がよ
い。具体的には、モノマー蒸留塔、コンデンサ、モノマ
ー貯蔵タンク、バルブ等の内面が挙げられる。このよう
にして、重合中に単量体が接触する部位、及びそれ以外
の重合体スケールが付着する恐れのある部位に塗膜を形
成すると、それらの部位への重合体スケールの付着が防
止される。なお、塗布液を重合器内壁面に塗布する方法
は、特に限定されず、例えばハケ塗り、スプレー塗布、
塗布液で重合器を満たした後に抜き出す方法等を始めと
して、そのほか例えば特開昭57-61001号、同55-36288
号、特公昭56-501116 号、同56-501117 号、特開昭59-1
1303号等に記載の N2 ガス圧でのスプレー、モノマーガ
ス圧でのスプレー、低圧水蒸気による噴霧等の塗布方法
を用いることができる。いずれの塗布方法によっても塗
布ムラが生じることがあり得るが、その場合でも本発明
の方法によれば、スケールの付着をこれまでよりも効果
的に防止することができる。塗布を行う際の重合器のジ
ャケット温度は、通常10〜95℃の範囲でよく、好ましく
は40〜80℃である。塗布後の乾燥は、ジャケット温度30
〜95℃、好ましくは40〜80℃で器内を開放することなく
器内を減圧にして乾燥する。
【0051】
【実施例】以下実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細
に説明する。なお、「部」は重量部を意味する。実施例1〜4、 比較例1〜3 各例において、内容積2.1m3の平板バッフル 攪拌機及
びジャケット付きステンレス製重合器に、表1に示され
た量のキレート化剤と、部分ケン化ポリビニルアルコー
ル350gを脱イオン水890kgに溶かして重合器内に投入し
た。重合器内を50mmHg(6.5kPa)になるまで排気した
後、塩化ビニル単量体700kgを仕込んだ。次いで攪拌し
ながら、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシネオデ
カノエート280g及び2−エチルヘキシルパーオキシジ
カーボネート145gをポンプで圧入した。そして、この
圧入と同時に昇温を始めて重合を開始した。重合中は重
合温度55℃に保ち、重合器内の圧力が6.0kg/cm2G(690k
Pa)に達した時点で重合を停止した。
【0052】重合終了後、重合器内より、未反応単量体
を回収し、得られた重合体をスラリー状で器外に抜き出
し後、重合器内を水洗して重合器内にある残存樹脂を除
去した。以後、原料の仕込みから重合を経て及び水洗ま
での操作を1バッチとして同じ操作を表1に示したバッ
チ数繰り返した。最終バッチ終了後に、重合中に液相部
に存在した重合器内壁面と、平板バッフルの重合器内壁
面に面している表面とにおける重合体スケール付着状況
を観察した。その観察結果を表2に記した。
【0053】また最終バッチ終了後に重合器内より抜き
出して得られた重合体スラリーの脱水、乾燥を行って塩
化ビニル重合体を得た。得られた塩化ビニル重合体につ
いて下記の方法で初期着色性試験及びその結果を表2に
記した。 <初期着色性測定方法>塩化ビニル重合体100重量部に
ラウリン酸錫1.0部、カドミウム系安定剤0.5 部及び可
塑剤DOP50部を配合し、6インチロールを用いて160
℃で5分間混練した後、厚さ0.8mmのシートを形成し
た。次にこのシートを裁断して重ねて4cm×4cm×1.5cm
の型枠に入れて、150℃、65〜70kgf/cm2で加熱、加圧
成形して測定試料を作成した。この測定試料について光
電色彩計(日本電色工業(株)製)を用いてJIS Z-8730
に記載のハンターの色差式におけるL値、a値、b値を
測定して評価した。同時に肉眼観察によって評価した。
【0054】また、実施例1、4で得られた塩化ビニル
重合体について下記に示した方法で重合体中に含まれる
リンの定量を行い、その結果を表3に示した。 <重合体中のリンの定量法>あらかじめ重量のわかって
いるるつぼ中に、試料約2gを正確に計量し、これにH2SO
4 30ml、H3ClO4 3mlを加えて、400℃のサンドバスで加
熱分解する。これを室温まで冷却し、内容量が10gとな
るようにH2SO4を加えた後、純水20mlを加える。これを
ICP発光分光測定装置(日本ジャレルアッシュー製、
商品名ICP 575型)を用いてリン量を測定する。これと
は別に空試験、及びリン酸二水素カリウム水溶液を用い
て調製したリン添加量既知のサンプルを2〜3点につい
て同様な操作で測定を行い、検量線を作成する。得られ
た検量線と測定結果からリン量を定量する。
【0055】また実施例1、4、比較例3で得られた塩
化ビニル重合体について下記に示した方法で、熱安定性
試験を行い、その結果を表3に示した。
【0056】<熱安定性試験>得られた塩化ビニル重合
体100部に、Ba-Zn系複合安定剤2部及びジオクチルフタ
レート45部を配合し、2本ロールミルを用いて160℃で
5分間混練した後、厚さ0.8 mmのシートに成形した。
【0057】上記シートを裁断して試験片を作り、これ
を180 ℃のオーブン中に保持し、黒化するまでの時間を
測定した。比較例4 実施例1で用いた重合器を用い、重合体スケール付着防
止剤塗布液として、 (A) C.I. ダイレクトブルー1(商品名:アルドリッチ
製 染料) (B) C.I. ダイレクトブルー12(商品名:アルドリッチ
製 染料)及び (C) フィチン酸 を、重量比(A)/(B)/(C)=5/1/9で、かつ{(A)+
(B)+(C)}の合計濃度が5重量%の水溶液を重合器気相
部の上部に設置されたノズルより重合器内全体にスプレ
ー塗布した。スプレー塗布は100g/minの割合で2分間塗
布した。次に乾燥工程で塗膜を乾燥形成させるのに50℃
で10分間要した。次に水洗工程で残余の塗布液を除去す
るのに2分間要した。従って、重合体スケール付着防止
剤からなる塗膜の形成に要した時間(重合体スケール付
着防止剤塗布液の塗布開始から水洗工程終了までの時
間)は14分であった。
【0058】こうして重合器内壁面等の塩化ビニル単量
体が接触する部分に重合体スケール付着防止剤の塗膜を
形成させた後、比較例3と同様な条件で塩化ビニルの重
合を行った。重合終了後、重合器内より未反応単量体を
回収し、得られた重合体をスラリー状で器外に抜き出し
後、重合器内を水洗して重合器内にある残存樹脂を除去
した。以後、重合体スケール付着防止剤の塗膜の形成、
原料の仕込み、重合から水洗までの操作を1バッチとし
て同じ操作を表2に示したバッチ数繰り返した。最終バ
ッチ終了後に、重合中に液相部に存在した重合器内壁面
と、平板バッフルの重合器内壁面に面している表面とに
おける重合体スケール付着状況を観察した。その観察結
果を表2に記した。又、初期着色試験の結果を表2に記
した。比較例5 比較例4において、スプレー塗布を100g/minの割合で5
分間行った以外は同様にして塗布作業を行った。その結
果、乾燥工程で塗膜を乾燥形成させるのに50℃で10分間
要した。水洗工程では残余の塗布液を除去するのに2分
間要した。その他は、比較例4と同様に重合を行った。
また、同様に、表2に示したバッチ数繰り返した。最終
バッチ終了後に重合器内液層部、重合器壁面と重合器壁
面に面している平板バッフル表面の重合体スケール付着
状況を観察した。その観察結果を表2に記した。又、初
期着色試験の結果を表2に記した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】以下の実施例では各種縮合生成物を有効成
分とする重合体スケール付着防止剤を使用した。これら
縮合生成物の製造例を以下に示す。縮合生成物の製造 以下の製造例において、得られた縮合生成物の分子量は
次のようにして測定した。 ・分子量の測定 ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によ
り、下記の測定条件で、ポリスチレン換算の重量平均分
子量を測定した。 カラム: ガードカラム 商品名 slim-pack GPC-800DP 、島津製作所社製 分析カラム 商品名 slim-pack GPC-803D、802D、島津製作所社製 移動相: 10mM LiBr/DMF 流量 : 1.0ml/min 検出器: RI 温度 : 60℃
【0063】製造例1 縮合生成物No.1の製造:耐圧反応器にメタノール30,000
モル(960kg) 、1,8−ジアミノナフタリン100 モル(1
5.8kg)、パラベンゾキノン50モル(5.4kg) 、ピロガロー
ル250 モル(31.5kg)を仕込み、攪拌しながら80℃に昇温
した。80℃で5時間反応させた後、冷却し、縮合生成物
のメタノール溶液を得た。このようにして縮合生成物N
o.1の溶液を得た。縮合生成物No.1の重量平均分子量は
2,000 であった。
【0064】製造例2 縮合生成物No.2の製造:特公平6-62709 の製造例3を参
照して、スケール付着防止剤を製造した。耐圧反応器に
2,2′−ジヒドロキシビフェニル30モル(5.59kg)、純
度95%のパラホルムアルデヒド22.5モル(0.711kg) 、パ
ラトルエンスルホン酸0.19kgおよびエチレングリコール
ジメチルエーテル10Lを仕込み、攪拌しながら130 ℃に
昇温した。130 ℃で17時間反応させた後、50℃に冷却
し、反応混合物を水50L中に投入した。水に投入するこ
とにより析出した樹脂をろ過、水洗後乾燥して、5.1kg
の2,2′−ジヒドロキシビフェニル−ホルマリン縮合
樹脂(縮合生成物No.2)を得た。縮合生成物No.2の重量
平均分子量は4300であった。
【0065】製造例3 縮合生成物No.3の製造:特開昭57-164107 の製造例1を
参照して、スケール付着防止剤を製造した。耐圧反応器
に1−ナフトール250 モル(36.0kg)と1規定NaOH水溶液
(NaOH 180モル、7.2kg 含有)180 Lを仕込み、攪拌し
ながら、70℃に昇温した。次に、反応混合物にホルムア
ルデヒド(38w/v%水溶液19.75 L、250 モル)を1.5 時
間に亘って滴下した。この間反応器の内温が80℃を超え
ないようにした。次に攪拌を続けながら反応混合物を3
時間かけて60℃に冷却した。次に、反応混合物を98℃に
昇温し、98℃で0.5 時間反応させた。その後反応混合物
を冷却し縮合生成物(縮合生成物No.3) のアルカリ性溶
液を得た。縮合生成物No.3の重量平均分子量は1500であ
った。
【0066】製造例4 縮合生成物No.4の製造:特開昭57-192413 の塗布化合物
の合成2を参照してスケール付着防止剤を製造した。耐
圧反応器にピロガロール100 モル(12.6kg)及び水100 L
を仕込み、ピロガロールを水に溶解させた。次に、得ら
れた溶液にベンズアルデヒド200 モル(21.2kg)及びりん
酸300 モル(29.4kg)を加え、それらの混合物を100 ℃で
6時間反応させたところ、水に不溶な赤褐色の生成物が
得られた。この水不溶性生成物をエーテルで洗浄後、該
水不溶性生成物中からメタノールでメタノール可溶性成
分を抽出し、次に抽出液からメタノールを乾燥により除
去して残渣として縮合生成物No.4(ピロガロール−ベン
ズアルデヒド縮合物)を得た。重量平均分子量は4000で
あった。
【0067】製造例5 縮合生成物No.5の製造:特公昭59-16561の製造例1を参
照して、スケール付着防止剤を製造した。耐圧反応器に
m−フェニレンジアミン100 モル(10.8kg)、レゾルシノ
ール200モル(22.0kg)及び触媒として35%塩酸1.04kg(HC
lとして10モル) を仕込み、305℃に昇温した。反応容器
内の混合物が305 ℃に達したら、直ちに冷却した。昇温
及び反応の過程で生成した水蒸気は除去し、内圧は150k
Pa以下に保った。冷却後、得られたm−フェニレンジア
ミン−レゾルシノール縮合物を粉砕して縮合生成物No.5
を得た。重量平均分子量は3000であった。
【0068】製造例6 縮合生成物No.6の製造:特公昭59-16561の製造例VIを参
照して、スケール付着防止剤を製造した。耐圧反応器に
p−アミノフェノール100 モル(10.9kg)及び30%塩酸0.
99kg(HClとして9.5 モル) を仕込み、169 ℃に昇温し
た。169 ℃に達したら、キシレン18Lを徐々に添加し
た。キシレンの添加目的は縮合反応中に生成する水を共
沸混合物として除去するためである。次に、反応混合物
を222 ℃に昇温し、222 ℃で3時間反応させた。反応中
に発生するキシレンと水との混合蒸気を除去し、内圧は
150kPa以下に保った。3時間の反応後、反応混合物を冷
却した。得られた反応生成物は固体であった。次に、該
反応生成物を粉砕し微粒状態にした後、水で洗浄し、ろ
過しそして乾燥して縮合生成物No.6を得た。重量平均分
子量は2500であった。
【0069】製造例7 縮合生成物No.7の製造:特開昭54-7487 の実施例1を参
照して、スケール付着防止剤を製造した。反応器にレゾ
ルシノール200 モル(22.0kg)を仕込み、窒素雰囲気下で
加熱した。レゾルシノールを300 ℃に昇温し、300 ℃で
8時間反応させた後、冷却した。得られた固体状の自己
縮合レゾルシノールを粉砕して縮合生成物No.7を得た。
重量平均分子量は1700であった。 塗布液の調製:上記得られた縮合生成物No.1〜7と、表
4に示す溶媒及びpH調整剤とを用いて下記に示す条件で
塗布液〜を調製した。
【0070】
【表4】
【0071】実施例5 図1〜図3に示した重合装置を使用した。図1は、該重
合装置の重合器1の縦断面の概略を示し、図2は該重合
器の上部に設けられた塗布装置6の位置におけるA−A
水平断面図であり、図3はB−B水平断面図である。こ
の重合器1はほぼ円筒状の側壁1a、ほぼ半球状の天井
1b及び底1cからなり、内容積が2m3 、円筒状部内空
間の水平断面積が0.865m2 である。また重合器1の中央
に配置されている攪拌軸3に設けられているパドル翼2
の翼直径は517mm である。また冷却手段として図示され
ていないが重合器の上部に還流コンデンサーが、また外
側にジャケットを備えている。さらに、重合器内上部に
は、上向スプレー塗布ノズル13と下向スプレー塗布ノ
ズル14が計12ケ付設されている重合塗布装置6が付設
されている。該塗布装置6には配管7が接続し、該配管
7は、塗布液配管ライン18と洗浄水配管ライン19と
に分岐している。冷却用バッフル4としては、外径60.5
mm、内径52.7mmのオーステナイト系ステンレス鋼製円筒
状パイプからなる冷却用バッフルを4本(冷却水が流線
5のように流れる)、前記パドル翼の回転を妨害しない
位置(重合器の中心から455mm の位置)に等間隔に点対
称に設けられている。これら4本のバッフルの水平断面
積の総和は、0.01149m2 である。重合器1の底には配管
20が接続し、重合体スラリー取り出し配管ライン10
と排液取り出し配管12とは分岐している。
【0072】重合体スケール付着防止剤の塗膜形成工
程: 付設されているジャケットに50℃の温水を通水し
た。 バルブ16、バルブ9を閉にした。バルブ17、バルブ
15、バルブ8及びバルブ11を開にした。重合体スケール
付着防止剤塗布液の配管ライン18を通じて重合体スケ
ール付着防止剤塗布液を重合体スケール付着防止剤塗布
装置6に送り、付設されているスプレーノズル13、14よ
りスプレー塗布した。スプレー塗布は1200g/min の流量
で2分間行った。スプレー塗布中、重合器内底部に残留
する重合体スケール付着防止塗布液を排液取り出し配管
ライン12より回収した。 スプレー塗布終了後、バルブ15、17を閉にした。塗
膜を乾燥形成させるのに50℃で10分間要した。その後付
設されているジャケットへの温水の通水を停止した。 次に水洗工程でバルブ16、バルブ15を開にする。洗
浄水配管ライン19を通じて、洗浄水を塗布装置6に送
り、付設されているスプレー塗布ノズル13、14よりスプ
レー噴霧して重合器内に残留している重合体スケール付
着防止塗布液を除去した。水洗中、重合器内底部に残留
する洗浄液を排液取り出し配管ライン12より回収した。
水洗工程で残余の重合体スケール付着防止塗布液を除去
するのに2分間要した。従って、重合体スケール付着防
止剤からなる塗膜の形成に要した時間は14分であっ
た。次に水平工程終了後バルブ16、15、8、11を閉にす
る。
【0073】重合工程:この重合器に、表5に示された
キレート化剤を同表に示した量、脱イオン水900kg 、部
分ケン化ポリビニルアルコール330g、ジ−2−エチルヘ
キシルパーオキシジカーボネート429gを仕込み、重合器
内を50mmHgになるまで排気した後、塩化ビニル単量体66
0kg を仕込み、パドル翼2を回転させて、攪拌をしなが
らジャケットに熱水を通水し、内温を57℃に昇温して重
合を開始した。内温が57℃に達した時点で冷却用バッフ
ル、及びジャケットに冷却水を流して内温を57℃に保持
して重合反応を続けた。また重合転化率が5%に達した
時点から還流コンデンサーの作動を開始して重合反応を
続けた。重合器内の圧力が6.5kg/cm2G(740kPa)に降圧
後、反応を停止した(重合時間は4.5 時間であった)。
重合終了後、重合器内より未反応単量体を回収し、得ら
れた重合体をスラリー状でバルブ8、9を開にして重合
体スラリー取り出し配管ライン10より抜き出し後、重
合器内を水洗して重合器内にある残存樹脂を除去した。
以後、重合体スケール付着防止剤の塗膜形成工程→重合
工程(原料仕込みから重合を経て及び水洗)までの操作
を1バッチとして同じ操作を表6に示したバッチ数を繰
り返した。最終バッチ終了後に、重合器内壁面と冷却バ
ッフルの重合器内壁面に面している表面(スケール防止
剤のスプレー塗布の際に、陰になり塗布が不十分になり
易い)とにおける重合体スケール付着状況を観察した。
その観察結果を表6に記した。また最終バッチ終了後に
重合器内より抜き出して得られた重合体スラリーを脱
水、乾燥を行って塩化ビニル重合体を得た。得られた塩
化ビニル重合体について実施例1〜4に記載した方法で
初期着色性試験を、また下記の方法でフィッシュアイ試
験、異物評価試験を行い、その結果を表6に記した。
【0074】〈フィシュアイ測定方法〉得られた塩化ビ
ニル重合体100 部、DOP 50部、ステアリン酸バリウム0.
1 部、ステアリン酸カドミウム0.1 部、セタノール0.8
部、スズ系安定剤2.0 部、二酸化チタン0.5 部及びカー
ボンブラック0.1 部を、140 ℃の6インチロールで5分
間混合混練し、厚さ0.3mm のシートとして分取し、この
シート100cm 2 中の白色透明粒子の数で示した。 〈異物評価試験方法〉得られた塩化ビニル重合体50gを
白い紙上に置き、除電液5mlを加えよく混合した後、目
視にて塩化ビニル重合体粉以外の異物をスプーンで拾い
取る。異物数は(拾い取った個数)×2=(塩化ビニル
重合体100g中の異物数)で表示する。
【0075】実施例6〜8、比較例6〜8 表5に示したキレート化剤を同表に示した量添加し、あ
るいは全く添加しなかった以外は実施例5と同様に塩化
ビニル重合体の製造を行った。
【0076】比較例9 重合体付着防止剤塗布液を1200g/min の割合で5分間塗
布し、キレート化剤を添加しなかった以外は実施例5と
同様に塩化ビニル重合体の製造を行った。
【0077】比較例10 表4に示したキレート化剤を同表に示した量添加し、重
合体スケール付着防止剤塗布液を塗布しなかった以外は
実施例5と同様に塩化ビニル重合体の製造を行った。
【0078】実施例9〜14 塗布液を表7に示すものに変更した以外は実施例5と同
様に塩化ビニル重合体の製造を行った。結果を表8に示
す。
【0079】
【表5】
【0080】
【表6】
【0081】
【表7】
【0082】
【表8】
【0083】実施例15 図1〜図3に示したものと同様の構造であるが、大型の
重合装置を使用した。この重合器1は内容積が80m 3
円筒状直胴部の水平断面積が10.2m 2 である。又重合器
1の中央に配置されている攪拌軸3に設けられているパ
ドル翼2の翼直径は1775mmとなっている。また冷却手段
として図示されていないが還流コンデンサーを上部に、
ジャケットが側面に設けられている。さらには重合器内
上部にはスプレー塗布ノズル13、14を計12ケ付設されて
いる。塗布装置6が設けられている。冷却用バッフル4
としては、外径190mm 、内径178mm のオーステナイト系
ステンレス鋼製円筒状パイプからなるバッフルを4本、
前記パドル翼の回転を妨害しない位置(重合器の中心か
ら1565mmの位置)に等間隔にかつ軸3に対して点対称に
設けられている。
【0084】重合体スケール付着防止剤からなる塗膜の
形成工程: 付設されているジャケット50℃の温水を通水した。 バルブ16、バルブ9を閉にする。バルブ17、バルブ
15、バルブ8及びバルブ11を開にする。重合体スケール
付着防止剤塗布液の配管ライン18を通じて重合体スケー
ル付着防止剤塗布液を重合体スケール付着防止剤塗布装
置6に送り付設されているスプレー塗布ノズル13、14よ
りスプレー塗布する。スプレー塗布は150l/minの流量で
1分間塗布した。スプレー塗布中、重合器内底部に残留
する重合体スケール付着防止塗布液を排液取り出し配管
ライン10より回収した。 スプレー塗布工程終了後、バルブ15、17を閉にす
る。塗膜を乾燥形成させるのに50℃で15分間要した。そ
の後付設されているジャケットへの温水の通水を停止し
た。 次に水洗工程でバルブ16、バルブ15を開にする。洗
浄水配管ライン19を通じて、洗浄水を重合体スケール付
着防止剤塗布装置6に送り、付設されているスプレー塗
布ノズル13、14より噴霧して重合器内に残留している重
合体スケール付着防止剤塗布液を除去した。水洗中、重
合器内底部に残留する洗浄液を排液取り出し配管ライン
12より回収した。水洗工程で残余の重合体スケール付着
防止塗布液を除去するのに8分間要した。水洗工程終了
後、バルブ16、15、8、11も閉にした。
【0085】重合工程:この重合器に、表9に示された
キレート化剤を同表に示した量、脱イオン水38.2t 、部
分ケン化ポリビニルアルコール14kg、ジ−2−エチルヘ
キシルパーオキシジカーボネート18.2kg、を仕込み、重
合器内を50mmHgになるまで排気した後、塩化ビニル単量
体28t を仕込み、攪拌をしながらジャケットに熱水を通
水し、内温を57℃に昇温して重合を開始した。内温が57
℃に達した時点でバッフル及びジャケットに冷却水を流
して内温を57℃に保持して重合反応を続けた。また重合
率が5%に達した時点から還流コンデンサーの作動を開
始して重合反応を続けた。重合器内の圧力が6.5kg/cm2G
(740kPa)に降圧後、反応を停止した(重合時間は4.1
時間であった)。重合終了後、重合器内より回収ライン
(図示せず)を通して未反応単量体を回収し、得られた
重合体をスラリー状でバルブ8、9を開にして重合体ス
ラリー取り出し配管ライン10より抜き出し後、重合器内
を水洗して重合器内にある残存樹脂を除去した。以後、
重合体スケール付着防止剤の塗膜形成工程→重合工程
(原料仕込みから重合を経て及び水洗)までの操作を1
バッチとして同じ操作を表10に示したバッチ数を繰り
返した。最終バッチ終了後に、重合器内壁面と冷却バッ
フルの重合器内壁面に面している表面とにおける重合体
スケール付着状況を観察した。その観察結果を表10に
記した。また最終バッチ終了後に重合器内より抜き出し
て得られた重合体スラリーの脱水、乾燥を行って塩化ビ
ニル重合体を得た。得られた塩化ビニル重合体について
前記の方法で初期着色性試験、異物フィシュアイ試験及
び異物評価試験を行い、その結果を表10に記した。
【0086】比較例11 重合系中にキレート化剤を添加しなかった以外は実施例
15と同様に塩化ビニル重合体の製造を行った。
【0087】比較例12 重合体スケール防止剤塗布液1の塗布方法を下記に示す
通りにし、且つ重合系中にキレート化剤を添加しなかっ
た以外は実施例15と同様に塩化ビニル重合体の製造を
行った。スプレー塗布は、150l/minの流量で噴霧を2分
間行い、乾燥は50℃で17分間行った。さらに水洗工程で
10分間要した。
【0088】
【表9】
【0089】
【表10】
【0090】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば重合器の内壁
面は勿論、冷却コイル、ドラフトチューブ、冷却用円筒
バッフル等の内部冷却装置が設けられ、構造が複雑であ
るため、従来、スケールの付着が部分的に起り易かった
重合器内のその他の部分においても有効にスケールの付
着を防止することができ、初期着色の少ない高品質の塩
化ビニル系重合体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で用いた重合装置の縦断面を簡略して
示す図である。
【図2】 図1の重合装置のA−A線に沿う概略的な水
平断面図である。
【図3】 図1の重合装置のB−B線に沿う概略的な水
平断面図である。
【符号の説明】
1:重合器 2:パドル翼 3:攪拌軸 4:冷却用バッフル 6:塗布装置 10:重合体スラリー取り出し配管ライン 12:排液取り出し配管ライン 13:上向スプレー塗布ノズル 14:下向スプレー塗布ノズル 18:重合体スケール付着防止剤塗布液配管ライン 19:洗浄水配管ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 天野 正 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地 信 越化学工業株式会社塩ビ技術研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合器内で塩化ビニル単量体又は塩化ビ
    ニル単量体を主体とするビニル系単量体混合物を水性媒
    体中で重合開始剤により重合器内で重合し、塩化ビニル
    系重合体を製造するに際し、該重合を前記単量体又は単
    量体混合物を含む水性重合系中でFe(II)又はFe(III)の
    錯体を生成する能力を有するキレート化剤の存在下で行
    うことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記重合器の内壁面及び重合中に前記単
    量体が接触する部分に重合体スケール付着防止剤からな
    る塗膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
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