JPWO2009093502A1 - 重合体スケール付着防止剤及びそれを使用する重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この重合体スケールの付着は、重合バッチ数を重ねるに従い顕著なものとなり、重合体の収率、重合器内の冷却能力等を低下させる。また、重合器内壁面等から剥離した重合体スケールが得られた重合体に混入して製品の品質が低下するという問題がある。そして、重合器内壁面等に付着した重合体スケールの除去作業は、過大な労力と時間を要するのみならず、重合体スケール中に含まれる未反応の単量体が人体に傷害を及ぼす危険性もある。
特に、重合バッチ数が約900バッチを超えると、著しい場合にはスケール防止剤層が約1.0mm以上の厚さとなり、剥離したスケール防止剤層が重合体製品に混入し、着色異物の原因となるのに加えて、重合器ジャケットの除熱能力が低下する等の不都合が生じている。
また、本発明は、約 60℃以上の高温度での重合反応においても重合体スケール付着防止効果を十分に発揮するスケール防止性塗膜を形成する重合体スケール付着防止剤を提供することを目的とする。
更に、本発明は、重合体製品の品質を向上させることができる重合体スケール付着防止剤を提供することを目的とする。重合体製品の品質の向上とは、具体的には、重合バッチ数が900バッチを超えても、スケール防止性塗膜の厚みを0.2mm以下に抑えることができるので、重合器ジャケットの除熱能力が低下する不都合や、剥離したスケール防止性塗膜が重合体製品に混入し、着色異物の原因となる不都合等を抑えることができることをいう。また、得られる重合体製品への剥離スケールおよび着色粒子の混入を低減し、その結果、フィッシュアイおよび初期着色を著しく減少させることができることもいう。
即ち、本発明は第一に、
(A)アルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物との縮合反応生成物、および
(B)有機リン酸化合物、リン原子数3以上の無機リン酸化合物またはこれらの組み合わせ
を含有する、エチレン性二重結合を有する単量体重合用の重合体スケール付着防止剤を提供するものである。
本発明は第二に、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体を、内壁面及び重合中に該単量体と接触する部分にスケール防止性の塗膜を有する重合器内で重合し該単量体の重合体を製造する方法にして、前記のスケール防止性の塗膜が、上記のスケール防止剤を含んでなる、重合体の製造方法を提供するものである。
2.ジャケット
4.塗布リング
6.水蒸気供給ライン
7.塗布液供給ライン
16.洗浄水供給ライン
18.撹拌翼
21.バッフル
22.原材料供給ライン
23.排気、単量体回収ライン
25.ガスホルダー
30.フィルター
上記(A)成分は、アルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物とを溶媒の存在下で縮合反応させて得られた縮合反応生成物である。
この(A)成分を得る縮合反応等について、以下、詳しく説明する。
(A)成分の反応原料であるアルデヒド化合物としては、アルデヒド基(-CHO)を有する有機化合物であれば、特に制限なく使用することができる。このアルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記に例示したアルデヒド化合物の中でも、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが工業的および経済的観点からみて好適である。
(A)成分の反応原料であるヒドロキシナフタリン系化合物としては、ナフタリン環骨格を有する有機化合物であって、前記骨格を形成する炭素原子に結合した少なくとも1個の水素原子がヒドロキシル基によって置換された化合物であれば、特に制限なく使用することができる。このヒドロキシナフタリン系化合物としては、例えば、1-ナフトール、2-ナフトール、1,3−ジヒドロキシナフタリン、1,5-ジヒドロキシナフタリン、1,7-ジヒドロキシナフタリン、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-1-ナフトエ酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、8-ヒドロキシ-1-ナフトエ酸等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記に例示したヒドロキシナフタリン系化合物の中でも、1-ナフトールおよび 2-ナフトールが好適である。
縮合反応に供するアルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物との使用割合は、前記両者の種類、溶媒および触媒の種類、縮合反応条件等によって調整することが必要となる場合があるので、一概にいえないが、ヒドロキシナフタリン系化合物中に含まれるヒドロキシル基1モルに対する、アルデヒド化合物中に含まれるアルデヒド基(-CHO)のモル数が、通常、0.1〜10モル、特に 0.5〜5モルとなる割合とすることが好ましい。
上記両反応原料の縮合反応に際して用いられる溶媒は、水、有機溶媒またはこれらの混合溶媒である。
前記有機溶媒としては、上記両反応原料を溶解し、均一な溶液を形成できるものであればよく、特に制限されないが、水溶性有機溶媒が好ましい。この有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;下記一般式(1):
(式中、R1 は炭素原子数1〜3のアルキル基であり、Xはメチレン基(-CH2-)または式:-NR2-(R2 は炭素原子数1〜3のアルキル基である)で表される2価の基である)
で表される化合物、等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上の混合溶媒としても使用することができる。また、上記のとおり、これらの有機溶媒と水との混合溶媒を用いることもできる。
この上記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N'-ジメチル-2-イミダゾリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N'-ジエチル-2-イミダゾリドン、N-プロピル-2-ピロリドン、N,N'-ジプロピル-2-イミダゾリドン等を挙げることができ、好ましくは N-メチル-2-ピロリドン、N,N'-ジメチル-2-イミダゾリドンである。上記のとおり、該化合物は1種単独でも2種以上を併用しても用いることができる。
また、溶媒の使用量も、上記両反応原料を溶解し、均一な溶液を形成することができ、縮合反応終了後に縮合反応生成物の均一な溶液を得ることができる量であればよく、特に制限されないが、上記両反応原料の合計 100質量部に対して、通常、2〜500質量部、好ましくは5〜200質量部の範囲とするのがよい。
縮合反応は、上記両反応原料を上記溶媒に均一に溶解させた後に、通常、室温〜200℃、好ましくは 30〜150℃の温度条件において行われる。縮合反応に要する時間は、上記両反応原料の合計量により調整される場合があるが、通常、2〜100時間、好ましく3〜30時間程度である。
上記縮合反応において、縮合反応の開始前、縮合反応中および縮合反応終了後の少なくとも1つの段階で、反応系もしくは縮合反応生成物の溶液に還元剤を添加することが好ましい。特に、縮合反応の開始前および縮合反応中の少なくとも1つの段階で反応系に還元剤を添加することが好ましい。還元剤の添加によって、縮合反応によって得られる縮合反応生成物溶液の均一安定性が向上し、また、長期間保存してもゲル化物が生成することがなく、ゲル化物が重合体製品中に混入することが未然に防止されて製品の品質に影響が及ぶことがないという利点がある。更に、本発明のスケール防止剤から得られるスケール防止性塗膜のスケール付着防止効果が向上するという利点もある。
また、上記に例示した還元剤の中でも、亜硫酸塩および二酸化チオ尿素が好ましい。
(A)成分の縮合物の分子量は、パーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量として、通常10,000以下であり、好ましくは5,000以下であり、特に4,000以下であり、さらには900〜4,000であることが好ましい。この重量平均分子量が高すぎると、重合バッチ数が約900バッチを超えたときに、スケール防止性塗膜が約1.0mm以上の厚さとなり、重合器ジャケットの除熱能力が低下したり、剥離したスケール防止性塗膜が重合体製品に混入し、着色異物の原因となったりする等の不都合が生じるやすい。一方、重平均分子量が4,000以下であると、このような不都合を特に効果的に抑えることができる。ただし、スケール防止効果を向上させるためには、上記(B)成分が必要であり、更に(C)成分を用いることが好ましい。
なお、上述したように合成過程で還元剤を使用することができるが、(A)成分の縮合反応生成物の分子量を4000以下にするには、還元剤を縮合反応の開始前および縮合反応中の少なくとも1つの段階で加えることが望ましい。還元剤を縮合反応終了後に添加すると、縮合反応生成物の分子量は4000以下にならない場合がある。
本発明の重合体スケール付着防止剤では、上記(A)成分の縮合反応生成物とともに、(B)成分として(B1)有機リン酸化合物、(B2)リン原子数3以上の無機リン酸化合物またはこれらの組み合わせを使用する。有機リン酸化合物およびリン原子数3以上の無機リン酸化合物のおのおのは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。(A)成分と(B)成分との組み合わせにより、一段塗布のみによってスケール防止効果が顕著に優れたスケール防止性塗膜の形成が可能となり、品質上全く問題のない重合体製品を製造することができる。更には、重合バッチ数が900バッチを超えても、スケール防止性塗膜の厚みを約0.2mm以下に抑えることができるので、重合器ジャケットの除熱能力を維持したり、重合体製品中の着色異物の増加を抑えたりすることができる。
本発明のスケール防止剤には、上記(A)および(B)成分に加えて、更に(C)(C1)青色の水溶性染料、(C2)黒色の水溶性染料またはこれらの組み合わせを配合してもよい。この(C)成分を併用すると、スケール防止性塗膜の重合器内壁面への吸着力が強くなり、スケール防止効果が向上するという効果があるので、好ましい場合がある。ただし、(C)成分の添加量は、得られる重合体製品の明度指数(L値)が高く維持される範囲で調整することが好ましい。青色の水溶性染料および黒色の水溶性染料は各々1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
青色の水溶性金属錯塩アゾ染料としては、例えば、C.I.アシッドブルー151,154,158,161,166,167,170,171,175,184,192,199,229,234および236が挙げられる。
青色の水溶性アントラキノン染料としては、例えば、C.I.アシッドブルー23、25,27,40,41,43,45,54,62,72,78,80,82,112,126,127,129,130,131,138,140,142,143,182,183,203,204および205が挙げられる。
青色の水溶性インジゴイド染料としては、例えば、C.I.フードブルー1が挙げられる。
青色の水溶性トリフェニルメタン染料としては、例えば、C.I.アシッドブルー1,7,9,15,22,83,90,93,100,103および104;C.I.フードブルー2が挙げられる。
青色の水溶性アジン染料としては例えば、C.I.アシッドブルー59が挙げられる。
黒色の水溶性モノアゾ及びポリアゾ染料としては、例えば、C.I.アシッドブラック1,7,24,26,29,31,44,76,94,109及び110が挙げられる。
黒色の水溶性金属錯塩アゾ染料としては、例えば、C.I.アシッドブラック51,52,58,62,63,64,67,72,107,108,112,115,118,119,121,122,123及び131が挙げられる。
黒色の水溶性アントラキノン染料としては、例えば、C.I.モーダントブラック13が挙げられる。
黒色の水溶性インジゴイド染料としては、例えば、C.I.バットブラック1が挙げられる。
黒色の水溶性アジン染料としては例えば、C.I.アシッドブラック2が挙げられる。
本発明のスケール防止剤には上述した成分の他に本発明の目的および効果を損なわない限り、その他の成分を必要に応じて添加することができる。そのような成分として、例えば、無機コロイド、アルカリ金属ケイ酸塩、水溶性高分子等が挙げられる。
スケール防止剤を調製するに際しては、例えば、上記(A)成分と、上記(B)成分の溶液とを混合する。なお、上記(A)成分の縮合反応によって得られた縮合反応生成物の溶液をそのまま用いて、上記(B)成分の溶液と混合しても差し支えない。また、この混合工程において、必要に応じて、上記(C)成分および他の任意成分の一方または両方も一緒に混合する。
上記溶媒の中でも、水、水と上記アルコール性溶媒との混合溶媒、または水と上記一般式(1)で表される化合物との混合溶媒を用いることが、上記(B)成分の溶解性が良好な点および臭気が比較的少ない点から好ましい。
また、上記(B)成分の溶液の調製に際し、(B)成分が完全に溶解するように、溶液のpHは、通常、7.5以上とすることが必要であり、8.0〜13.0とすることが好ましい。このpH値を達成するために、必要に応じ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エチレンジアミン等のpH調整剤を添加して混合してもよい。
図1はスケール防止性塗膜形成に用いる装置の概略図である。本発明のスケール防止剤を用いるスケール防止性塗膜の形成工程について、図1を参照しながら説明する。なお、本発明のスケール防止剤の塗布方法は特に限定されないが、例えば水蒸気をキャリアーとして用い、重合器の内壁面等に塗布されることが好ましい。
塗布液のキャリアーとして使用される水蒸気は、通常の飽和水蒸気であっても、過熱水蒸気であってもよく、通常、0.196〜3.43 MPa・G(2〜35 kgf/cm2・G)、特に0.196〜1.96 MPa・G(2〜20 kgf/cm2・G)の圧力を有するものが好ましい。水蒸気の温度は、通常、120〜260℃、特に 130〜200℃であることが好ましい。
工程1.(水蒸気による重合器内壁面等の予熱等)
重合器1に付設されているジャケット2に熱水等を通して重合器内壁面の温度を 50℃以上、好ましくは 50〜95℃の温度に予め加熱しておく。この重合器の上部には、環状のパイプからなり下方向きのノズル3aと上方向きのノズル3bを有する塗布リング4が設けられている。該塗布リング4には重合器1の外部から水蒸気および塗布液を一体的に供給できるライン5が接続している。
水蒸気を塗布リング4に供給し、更に塗布液タンク10内に収納された塗布液11をポンプ12またはアスピレーターバルブ(図示せず)によりライン7とライン5を介して塗布リング4に供給する。図中Pは圧力計である。塗布液は水蒸気と一体となったミスト状態で、重合器内壁面、バッフル表面、攪拌翼表面等の重合反応中に単量体が接触する表面に適用され、塗布される。これら表面上に塗布された塗布液は塗布と同時に乾燥されて、スケール防止性塗膜が形成される。したがって、乾燥のための特別の操作は必要ない。
水蒸気および塗布液の供給を止めた後、水タンク13に収納された洗浄用水14で重合器1内の水洗を行う。洗浄水はポンプ15によりライン16を介してノズル17から重合器内に供給される。なお、塗膜の形成状態が良好であり、該水洗工程を省略しても、重合体製品の品質に影響を与えない場合は、該水洗を行わず、工程の簡略化および生産性の向上を図ることができる。
本発明のスケール防止剤は、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合時に適用される。この単量体の例としては、例えば、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらのエステルまたは塩;マレイン酸、フマル酸、およびこれらのエステルまたは酸無水物;ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;スチレン;アクリロニトリル;ビニルエーテル等が挙げられる。
なお、表中の「塗布液No.」等に*を付したものは、本発明の条件を満たさない比較例であり、それ以外は実施例である。
以下の(A)成分である縮合反応生成物の調製例において、得られた生成物の縮合生成物の重量平均分子量は次のようにして測定した。
・重量平均分子量の測定
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の測定条件で、ポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
商品名:shim−pack GPC−800DP(島津製作所社製)
分析カラム
商品名:shim−pack GPC−803D、802D(島津製作所社製)
キャリア:LiBr/DMF=10 mmol/L
流量:1.0 mL/min
検出器:紫外線吸収スペクトル(波長=290 nm)
温度:60℃
耐圧反応器に 1-ナフトール 36.0kg(250モル)と1規定NaOH水溶液 180L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込み、撹拌しながら、70℃に昇温した。次に、反応混合物にホルムアルデヒドを溶解した水溶液 19.75kg(ホルムアルデヒド 1.92質量%含有)を 1.5時間かけて一定速度で滴下した。前記滴下が終了するまでの間、反応器の内温が80℃を越えないように調節した。次に、3時間かけて反応混合物の撹拌を続け、この間に温度を60℃にまで低下させた。次に、反応混合物を 98℃に昇温し、98℃で 1.5時間反応させた。その後、反応混合物を冷却し縮合反応生成物(縮合物 No.1)のアルカリ性溶液を得た。
次に、冷却した反応混合物の溶媒を除去した後残留物を純水で洗浄して、50℃で減圧乾燥した。縮合物 No.1の重量平均分子量を測定した結果は、2,400であった。
調製例1において、反応混合物を70℃に昇温した後、ホルムアルデヒドの滴下開始前に、亜二チオン酸ナトリウムの20質量%水溶液 43.53kg(亜二チオン酸ナトリウム含量 50モル)を 0.1時間かけて一定速度で滴下した以外は、調製例1と同様にして縮合反応生成物(縮合物 No.2、重量平均分子量 1,900)を得た。
調製例2において、亜二チオン酸ナトリウム水溶液に替えて亜硝酸ナトリウムの20質量%水溶液 17.25kg(亜硝酸ナトリウム含量 50モル)を 0.1時間かけて一定速度で滴下した以外は、調製例2と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.3、重量平均分子量1,400)を得た。
調製例1において、1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、N-メチル-2-ピロリドン 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと以外は、調製例1と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.4、重量平均分子量 2,200)を得た。
調製例2において、1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、N-メチル-2-ピロリドン 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだ以外は、調製例2と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.5、重量平均分子量 1,500)を得た。
調製例1において、1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、エタノール 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだ以外は、調製例1と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.6、重量平均分子量 4,700)を得た。
調製例3において、1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、エタノール 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと、およびホルムアルデヒド水溶液に代えて、1L当たり 980gのフルフラールを溶解した水溶液 24.51L(フルフラール含量 250モル)を使用したこと以外は、調製例3と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.7、重量平均分子量 2,500)を得た。
調製例1において、1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、N,N'-ジメチル-2-イミダゾリドン 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと以外は、調製例1と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.8、重量平均分子量 5,600)を得た。
調製例3において、1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、N,N'-ジメチル-2-イミダゾリドン 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと、および亜硝酸ナトリウム水溶液に代えて、亜二チオン酸ナトリウムの 20質量%水溶液 43.53kg(亜二チオン酸ナトリウム含量 50モル)を使用したこと以外は、調製例3と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.9、重量平均分子量 3,100)を得た。
−塗布液 No.101〜119の調製−
No.101〜119の各塗布液の調製において、下記表1に示した縮合物(A)、助剤(B)および助剤(C)を表1に示した (A)/(B)/(C) の質量比で使用した。なお、使用した助剤(B)および助剤(C)は、後述の表3〜4に具体的に示すとおりである。
上記表1記載の助剤(B)として略記したa〜eは、下記表3に記載のものである。
上記表1記載の助剤(C)として略記したI〜VIIは、下記表4に記載のものである。
図2に示す重合装置を用いて、以下の実験を行った。なお、図2において図1と共通する要素は同一番号で示す。
図2に示す重合装置の重合器の内壁等に下記の方法でスケール防止性塗膜を形成する。なお、当初すべてのバルブは閉じているものとする。
該前処理工程では、ジャケット2に熱水を通水して重合器1の内壁面を予め加熱することなく塗布液の塗布を行う。これにより工程の簡略化が可能となる。
バルブV14、V19、V21、V6、V7およびV10を開き、重合器内を1分間水洗し、水洗後の水を廃水タンクに排出する。その後、バルブV14、V19およびV21を閉じる。
バルブV1、V2およびV3を開き、純水 200部、部分ケン化ポリビニルアルコール 0.020部および 2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:メトローズ、信越化学工業社製、メトキシル基置換度:1.9、2-ヒドロキシプロポキシル基置換度:0.25)0.026部を重合器1内に仕込む。その後、バルブV1、V2、V3、V6、V7およびV10を閉じる。
仕込んだ原材料を攪拌しながら、ジャケット2に熱水を通水して昇温し、内温が 66℃に到達した時点で、ジャケット2への冷却水の通水を開始して内温を 66℃に維持し重合を行う。重合器内の圧力が 490 kPa・G(5kgf/cm2・G)に降圧した時点で重合終了とする。
バルブV6、V8、V12およびV9を開き、重合器内圧がほぼ大気圧(101 kPa・G)となるまで、未反応VCMをガスホルダー25に排ガスする。その後バルブV12、V8およびV9を閉じる。バルブV11およびV10を開いてガスホルダー25内に回収されたVCMをライン26を介してVCM回収装置へ送り、その後、バルブV11およびV10を閉じる。
バルブV7およびV10を開き、重合器1の内圧とガスホルダー25の内圧とを同圧にする。
バルブV19およびV20を開き、重合体スラリーを、フィルター30を介して重合器内からスラリータンクに抜出す。なお、該フィルター30は、5〜7メッシュ(目開き 約3〜4mm)の金網状のものである。重合体スラリー中に重合器内壁面等から剥離したスケールが含まれる場合は、このフィルター30に捕集される。
スラリータンク(図示せず)に抜出された重合体スラリーは、その後、脱水乾燥されて塩化ビニル重合体製品となる。重合体スラリーの抜き出し後、バルブV20を閉じる。
バルブ21を開ける。次いで、バルブV14を開き重合器1内を5分間水洗し、洗浄水をフィルター30を介して廃水タンクへ送る。この重合器内の水洗中に、ジャケット2に熱水を通して重合器壁面の温度を 70℃にしておく。この水洗時に、重合器内壁面、特に気液界面付近、攪拌翼、バッフルの頭頂部およびサポート部等から剥離したスケールが洗浄水中に含まれる場合は、このフィルター30に捕集される。
その後、バルブV14、V19、V21、V6、V7およびV10を閉じる。
ジャケット2への熱水の通水を停止する。バルブV18、V21、V19、V15、V16およびV17を開き、240 kg/Hrの流量の 392 kPa・G(4kgf/cm2・G)(143℃)の水蒸気と、0.2 L/minの流量のスケール防止剤を含有する塗布液とをライン5を介して1分間供給し、水蒸気塗布および同時乾燥を行う。その後、バルブV18、V21、V19、V15、V16およびV17を閉じる。
バルブV14、V19およびV21を開き、重合器1内を1分間水洗し、水洗後の水を廃水タンクに排出する。その後、バルブV14、V19およびV21を閉じる。
・重合体スケール付着量の測定
各実験で、最終バッチ(例えば、計200バッチの重合を行った場合は、200バッチ目)終了後に重合器内液相部の重合体スケール付着量、攪拌翼およびバッフル表面、並びに、気相部と液相部との界面付近の重合体スケール付着量を下記の方法で求めた。
上記各対象表面の10cm×10cmの正方形の領域に付着したスケールを、肉眼で確認し得る限り完全にへらで掻き落として、天秤で計量した。その計量値を 100倍することにより、1m2当たりのスケール付着量(g)を求めた。その結果を表5に示す。表5に、各実験で使用した縮合物(A)に関して、重量平均分子量5000以下のものの使用の有無、合成前の反応系への還元剤の添加の有無、および、溶媒として前記一般式(1)の有機溶剤の使用の有無、ならびに助剤(C)の併用の有無を併せて示す。(○は有りを示し、無印は無しを示す。)
各実験で、上記各バッチの重合器内第2水洗工程後かつ仕込み工程前に、フィルター30に捕集された重合器内壁面等から剥離したスケールを分離・回収し、乾燥した後にその質量(g)を測定した。各実験の表5に記載の合計バッチ数分の合計質量(g)を表5に示す。
各実験で、最終バッチ終了後に、重合器直胴部の重合中に気液界面下となる内壁表面の10cm×10cmの正方形の領域に残存して付着しているスケール防止性塗膜を、肉眼で確認し得る限り完全にへらで掻き落として、天秤で計量した。その計量値(g)を10で割ることにより、厚み(mm)を計算した。例えば、1gのスケール防止性塗膜が計量された場合、残存するスケール防止性塗膜の厚みは0.1mmと計算される。なお、スケール防止性塗膜の比重は約1であることから、この計算ではスケール防止性塗膜の比重を1とした。また、上記内壁表面にスケールが付着している場合は、スケールを肉眼で確認し得る限り完全にへらで掻き落としてからスケール防止性塗膜の計量を行った。
各実験で最終バッチ終了後に得られた重合体をシートに成形したときのフィッシュアイ(個数)を、下記の方法で測定した。その結果を表6に示す。
重合体 100部、ジオクチルフタレート 50部、ジブチルすずジラウレート1部、セチルアルコール1部、酸化チタン 0.25部およびカーボンブラック 0.05部を、6インチロールを用いて 150℃で7分間混練した後、厚さ 0.2 mmのシートに成形した。得られたシートの100 cm2当たりに含まれるフィッシュアイの個数を光透過法により調べた。
重合体をシートに成形した際の抗初期着色性を評価するため、明度指数(L値)を下記の方法で測定した。その結果を表6に示す。
得られた重合体 100部、ジブチル錫ラウレート系安定剤(商品名:TS-101、昭島化学社製)1部、カドミウム有機複合体系安定剤(商品名:C-100J、勝田化工社製)0.5部、および可塑剤としてジオクチルフタレート 50部の混合物を、2本ロールミルを用いて 150℃で5分間混練した後、厚さ 0.8mmのシートに成形した。得られたシートを4cm×4cmに裁断し、この裁断片を4cm×4cm×1.5 cmの型枠に入れ、次いで 160℃の温度で5分間予熱した後、2.84〜3.04 MPa(29〜31 kgf/cm2)の圧力をかけて5分間加圧成形することにより、測定用試料を作製した。この試料の明度指数Lを、以下のようにして求めた。
L=10Y1/2
に代入して、L値を算出した。その結果を表6に示す。なお、L値が大きいほど白色度が高い、即ち抗初期着色性が良好であることを意味する。
各実験で最終バッチ終了後に得られた重合体 100部、安定剤として TVS N−2000E(商品名、日東化成社製)2部、および可塑剤としてジオクチルフタレート 20部の混合物を、十分に混錬した後、160mm×130mm×3mmの型枠に入れ、175℃の温度で、3.43 MPa(35 kgf/cm2)の圧力で加圧成形することにより、測定用試料を作製した。この試料について、着色粒子の個数を目視により測定した。
以上の結果を表6に示す。表6には、表5と同様に、各実験で使用した縮合物(A)に関して、重量平均分子量5000以下のものの使用の有無、合成前の反応系への還元剤の添加の有無、および、溶媒として前記一般式(1)の有機溶剤の使用の有無、ならびに助剤(C)の併用の有無を併せて示す。(○は有りを示し、無印は無しを示す。)
表5に記載の結果から明らかなように、本発明の上記(A)および(B)成分を含有するスケール防止剤を用いて、一段塗布で重合器内壁面等へスケール防止性塗膜を形成した実験 No.101、No.103〜No.119 では、66℃との高温の重合反応条件において、1000バッチもの多数回の重合バッチを繰り返しても、特に、重合器内気液界面付近、攪拌翼部、およびバッフル部におけるスケール付着量が顕著に少ないことがわかる。
さらに、重量平均分子量5000以下の縮合物(A)の使用、合成前の反応系へ還元剤を添加して得た縮合物(A)の使用、合成時の溶媒として前記一般式(1)の有機溶剤を使用して得た縮合物(A)の使用、および助剤(C)の併用が、おのおの、スケール防止効果、並びに、製品のフィッシュアイ、着色粒子の量、および抗初期着色性等の品質を高めることが示された。さらに、これらの要素の二以上の組合せが相乗的にかかる効果を一層高めることも示された。
Claims (12)
- (A)アルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物との縮合反応生成物、および
(B)(B1)有機リン酸化合物、(B2)リン原子数3以上の無機リン酸化合物またはこれらの組み合わせ
を含有する、エチレン性二重結合を有する単量体重合用の重合体スケール付着防止剤。 - 前記(A)成分の縮合反応生成物が、縮合反応の開始前および縮合反応中の少なくとも1つの段階で反応系に還元剤を添加して得られたものである、請求項1に係る重合体スケール付着防止剤。
- 前記(A)成分の縮合反応生成物の重量平均分子量が10,000以下である、請求項1に係る重合体スケール付着防止剤。
- 前記(B1)成分の有機リン酸化合物がレシチン、フィチン酸、ヌクレイン酸およびこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に係る重合体スケール付着防止剤。
- 前記(B2)成分のリン原子数3以上の無機リン酸化合物がトリポリリン酸、リン原子数4以上のポリリン酸およびこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に係る重合体スケール付着防止剤。
- (C)(C1)青色の水溶性染料、(C2)黒色の水溶性染料またはこれらの組み合わせ
を更に含有する、請求項1に係る重合体スケール付着防止剤。 - 前記(C1)成分の青色の水溶性染料が青色の水溶性アゾ染料;青色の水溶性アントラキノン染料;青色の水溶性インジゴイド染料;青色の水溶性トリフェニルメタン染料および青色の水溶性アジン染料からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項7に係る重合体スケール付着防止剤。
- 前記(C2)成分の黒色の水溶性染料が黒色の水溶性アゾ染料;黒色の水溶性アントラキノン染料;黒色の水溶性インジゴイド染料;黒色の水溶性トリフェニルメタン染料および黒色の水溶性アジン染料からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項7に係る重合体スケール付着防止剤。
- さらに溶媒を含んで液状であって、固形分の含有量が合計2〜25質量%であり、pHが7.5以上である、請求項1に係る重合体スケール付着防止剤。
- エチレン性不飽和二重結合を有する単量体を、内壁面及び重合中に該単量体と接触する部分にスケール防止性の塗膜を有する重合器内で重合し該単量体の重合体を製造する方法にして、前記のスケール防止性の塗膜が、
(A)アルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物との縮合反応生成物、および
(B)(B1)有機リン酸化合物、(B2)リン原子数3以上の無機リン酸化合物またはこれらの組み合わせ
を含有する、エチレン性二重結合を有する単量体重合用の重合体スケール付着防止剤を含んでなる、重合体の製造方法。 - 前記のスケール防止性の塗膜が、前記重合体スケール付着防止剤の塗布液を水蒸気をキャリアとして塗布することにより形成されたものである、請求項11に係る製造方法。
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