JPH1088484A - シートベルト用低摩擦化処理剤及びシートベルト用原糸 - Google Patents
シートベルト用低摩擦化処理剤及びシートベルト用原糸Info
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- JPH1088484A JPH1088484A JP18471997A JP18471997A JPH1088484A JP H1088484 A JPH1088484 A JP H1088484A JP 18471997 A JP18471997 A JP 18471997A JP 18471997 A JP18471997 A JP 18471997A JP H1088484 A JPH1088484 A JP H1088484A
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Abstract
て、格納性もその耐久性も耐摩耗保持率も優れさらに低
温下での格納性にも優れたシートベルトとすることがで
きるシートベルト用低摩擦化処理剤を提供する。 【解決手段】 平均分子量2000〜15000のポ
リエーテルポリエステル及びシリコーン系化合物を含有
し、かつ、シリコーン系化合物の含有量が2〜50重量
%である低摩擦化処理剤を、シートベルト用低摩擦化処
理剤として用いる。
Description
おいてシートベルト用原糸に付与する場合に好適な低摩
擦化処理剤に関するものである。さらに詳しくは、シー
トベルト格納性が良好で、且つ、摩耗後も格納性を良好
に保持でき、格納耐久性に優れたシートベルトを得るた
めに有効な低摩擦化処理剤に関するものである。
ェビングとし染色した後、シートベルトの引き出しと格
納を円滑にするため、即ち格納性向上のために、樹脂コ
ートを施すことが一般に行われている。また、シートベ
ルト用原糸には、その紡糸・延伸工程において紡糸油剤
などの種々の処理剤が付与されている。
めのコート樹脂としては、ウレタンプレポリマーブロッ
ク化合物を主成分とする樹脂が知られている(特公平4
−66948号公報)。この場合、ウレタンプレポリマ
ーブロック化合物を主成分とする樹脂をシートベルトウ
ェビングに付与し、加熱処理を施すことによって架橋を
生じさせて初期の滑り性の絶対値を大きく向上させ、こ
れによって長期間の使用によって滑り性が低下した後も
所望水準の滑り性を得ることを意図している。
としては、分岐アルコールと高級脂肪酸のエステルと非
イオン活性剤との組成物を主成分とする処理剤(例えば
特開平2−175966号公報)が知られている。即
ち、このシートベルト原糸用処理剤は、分岐アルコール
と高級脂肪酸のエステルとを平滑剤として用い、プロピ
レンオキサイドを含有しない非イオン活性剤を用いるこ
とによって、耐光性を改善しようとするものである。
されたシートベルト、特に前者のような架橋タイプの樹
脂でコートされたシートベルトの場合は、ベルト表面が
硬くなるので長期間使用していると、シートベルトの出
し入れ補助用ガイドであるスルー(ナイロン樹脂製)と
の繰り返し擦過により、表面にコートされた樹脂が徐々
に削り取られて脱落していく。さらに、ベルト表面に汚
れ物が徐々に付着していく。これらの結果、経時的に、
ベルトの格納や引き出しがスムースにいかなくなり、格
納性が経時的に著しく低下していくという大きな問題が
あった。
の場合、樹脂コートなしのノンコートベルトとして用い
ると樹脂の脱落等による急激な滑り性の低下はないもの
の、繊維−繊維間摩擦や繊維−金属間摩擦を十分に低下
させることができず、初期の滑り性が劣り、しかも耐摩
耗性も劣るという大きな問題があり、実用化に至ってい
ない。
来技術における問題点を解決し、特にシートベルト原糸
付与用として好適な低摩擦化処理剤であって、しかも、
シートベルトを構成する繊維の摩擦特性が十分に低く、
シートベルトの初期の滑り性が十分に高いとともに、そ
の滑り性等の特性を長期間の使用後も良好に維持するこ
とができ、さらに、氷点下のような低温下においても良
好な滑り性を発揮することができるシートベルト、即
ち、格納性もその耐久性も耐摩耗保持率も優れさらに低
温下での格納性にも優れたシートベルトを得ることが可
能な低摩擦化処理剤を提供することにある。
め、本発明のシートベルト用低摩擦化処理剤は、平均分
子量2000〜15000のポリエーテルポリエステル
及びシリコーン系化合物を含有し、かつ、シリコーン系
化合物の含有量が2〜50重量%であることを特徴とす
る。
ポリオールが、平均分子量が600〜6000であっ
て、かつ、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオ
キサイドの重合体及びポリテトラメチレングリコールの
うちのいずれか1種以上であることが好ましく、また、
そのポリエーテルポリエステルは、ポリエーテルのジオ
ール化合物と二塩基酸と一価脂肪酸とからのエステル化
物であることが好ましい。
は、処理剤全体の30重量%以上を占めることが好まし
く、前記シリコーン系化合物は、処理剤全体の5〜35
重量%を占めることが特に好ましく、さらに、極圧剤成
分をも含有させることが好ましい。また、その処理剤を
有効成分とする1〜20重量%濃度の水系エマルジョン
液であって、25℃における表面張力が35ダイン/c
m以下、かつ、25℃におけるキャンパス法浸透性が1
5秒以下であるシートベルト用低摩擦化処理液として処
理に用いられることが好ましい。さらにまた、その処理
剤の繊維への付着量は0.05〜5.0重量%が好まし
い。
エーテルポリエステルを配合しているので浸透性が大き
く、シートベルト用原糸の内部に位置するフィラメント
の表面にも均一に付着できるので、その原糸から構成さ
れるシートベルトは、ベルト内部のフィラメントの表面
にも付着剤が均一にコートされたものとなる。従って、
表面が樹脂コートされた従来のシートベルトのように樹
脂層とベルト(繊維)層との2層構造とはならないか
ら、長期間の使用によってベルト表面部の繊維が削り取
られても、ベルト内部の繊維にも処理剤が十分に付着し
ていて低摩擦性であるので、格納性もその耐摩耗保持率
もともに高いシートベルトとすることができる。
状を保持でき滑りが良好なシリコーン系化合物が併用さ
れているので、低温下において使用する場合でも優れた
滑り性を発揮させることができる。
ーテルポリエステルは、ポリエーテルのジオール化合物
とカルボン酸とからのエステル化物であり、その平均分
子量は、滑り性や浸透性のために2000〜15000
であることを要する。その平均分子量が2000未満と
小さ過ぎる場合には油膜の強さが不十分となり摩耗後の
滑り性が悪くなるので、所望の効果が得られない。ま
た、分子量が15000を越える場合には摩擦特性を十
分に改善できないので、滑り性が悪くなり、所望の効果
が得られない。好ましい平均分子量は3000〜100
00である。
二塩基酸の両末端が、後述のようなポリエーテルによっ
てエステル化され、さらにその両末端が一価脂肪酸によ
ってエステル化されてなる化合物のように、一価脂肪酸
によるエステル化によって両末端が封鎖されてなるポリ
エーテルポリエステルであることが好ましい。
ポリエーテル成分は、平均分子量が600〜6000で
あることが好ましく、エチレンオキサイド及び/又はプ
ロピレンオキサイドの重合体やポリテトラメチレングリ
コールが挙げられ、なかでもポリテトラメチレングリコ
ールが好ましい。その平均分子量が600未満と小さ過
ぎる場合には油膜の強さが不十分となり滑り性が悪くな
り易い。また、平均分子量が6000を越える場合では
摩擦が大きくなりすぎて滑り性が悪くなり易い。好まし
い平均分子量は800〜4000である。
ルパーミエイションクロマトグラフィー)等で測定され
る数平均分子量である。
成する二塩基酸成分としては、マレイン酸、アジピン
酸、チオジプロピオン酸、セバチン酸などがあげられ
る。好ましくはアジピン酸、チオジプロピオン酸、セバ
チン酸がよい。なお、芳香環のような環状構造を持つ二
塩基酸は摩擦低減の効果の点から好ましくなく、脂肪族
ジカルボン酸が好ましい。
クチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リシノ
ール酸、リノール酸、リノレン酸などがあげられる。好
ましくは、ラウリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸
がよい。
温(20〜25℃)において液状を保つことができる物
であることが好ましい。これは、処理剤が付与されたシ
ートベルトが日常的に使用される常温条件下でペースト
状とならずに液状を保持でき、低摩擦性という機能が使
用時に十分に発揮できるからである。
全体の30〜100重量%を占めることが好ましく、そ
の1種のみの使用でもよいし2種以上の併用でもよい。
その含有量が30重量%未満ではそのポリエーテルポリ
エステルによる所期の効果が十分に発揮され難く、シー
トベルトの滑り性や摩耗後の滑り性の点から好ましくな
い。好ましくは40〜100重量%がよい。
合物としては、25℃における粘度が100〜1000
0センチポイズの粘度を有するジメチルポリシロキサン
やメチルフェニルポリシロキサン、さらに、アミノ変
性、ポリエーテル変性、カルボキシ変性、アルキル変性
またはポリエステル変性などの変性シリコーンがあげら
れる。好ましくは、25℃における粘度が200〜70
00センチストークスのジメチルポリシロキサンやアミ
ノ変性シリコーンである。
〜50重量%を占めることが必要であり、好ましくは5
〜35重量%である。2重量%未満では、シリコーン化
合物を配合したことによる効果が十分に発揮できないの
で、低温時(例えば極寒地域の冬期気温のような氷点
下)における滑り特性を満足させることができない。5
0重量%を越えるほどに多いと、前記したポリエーテル
ポリエステルの効果が十分に発揮されず、油膜強度が弱
くなって摩耗後の滑り性が悪化するので、所望の摩擦特
性が得られ難い。
テルポリエステルやシリコーン系化合物以外の平滑剤成
分(C)や極圧剤成分(D)や界面活性剤成分(E)等
を含んでいてもよく、それらの含有量の合計は、多くと
も68重量%とすることが好ましい。
(精製スピンドル油、流動パラフィン)、動植物油(ヤ
シ油、ヒマシ油など)、脂肪酸エステル(イソステアリ
ルラウレート、オレイルオレート、ジオレイルアジペー
トなど)、アルキルエーテルエステル(ラウリルアルコ
ールのエチレンオキサイド2モル付加物ラウレート、ト
リデシルアルコールのエチレンオキサイド3モル付加物
ラウレートなど)及びワックスなどがあげられ、これら
のうちで好ましいものは、脂肪酸エステルおよびアルキ
ルエーテルエステルである。その平滑剤成分(C)を配
合する場合には、その割合は5〜30重量%、特に10
〜20重量%の範囲がよい。
高める作用を有する成分であり、例えば、オレイン酸石
鹸、エルシン酸石鹸などの脂肪酸石鹸、ラウリルホスフ
ェートカリウム塩、オレイルホスフェートナトリウム塩
などの有機ホスフェート塩、ラウリルスルフォネートナ
トリウム塩、及び、ドデシルベンゼンスルフォネートナ
トリウム塩などの有機スルフォネート塩などがあげられ
る。
は、その割合は0.02〜10重量%、特に1〜5重量
%の範囲がよい。0.02重量%未満では油膜強度を高
めるという作用が十分に発揮され難く好ましくない。ま
た、10重量%を越えると粘度上昇が大きくなって滑り
性が悪化してくるので好ましくない。
ルコールのアルキレンオキサイド付加物(オクチルアル
コールのエチレン・プロピオンオキサイド付加物、ステ
アリルアルコールのエチレン・プロピオンオキサイド付
加物、オレイルアルコールのエチレンオキサイド付加物
など)、多価アルコールエステルのアルキレンオキサイ
ド付加物(硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド25モル
付加物、ソルビタントリオレートのエチレンオキサイド
20モル付加物など)があげられる。
には、その割合は5〜20重量%、特に10〜15重量
%の範囲がよい。
記した各成分の他に、アルカリ金属、アルキルアミンの
アルキレンオキサイド付加物などのPH調整剤、酸化防
止剤、紫外線吸収剤およびフッ素化合物などのその他の
添加剤を必要に応じて配合してもよい。
割合は0.02〜10重量%、特に0.03〜8重量%
の範囲がよい。それ以外の添加剤を配合する場合には、
それらの割合は、0.02〜10重量%、特に0.03
〜5重量%の範囲がよい。
%濃度の水系エマルジョン液にしてシートベルト用原糸
の処理に用いることが好ましいが、それらへの付着性や
浸透性が損われないならば、さらに高濃度の水系エマル
ジョン液で用いてもよいし、実質的に希釈なしの原液状
態で用いてもよいし、また、有機溶媒で希釈した処理液
として用いてもよい。特に好ましくは、2〜10重量%
濃度の水系エマルジョン液がよい。
処理液にして用いる場合、その処理液の25℃における
表面張力は35ダイン/cm以下、25℃におけるキャ
ンパス浸透性が15秒以下であることが、原糸への付着
やその内部への浸透のために好ましい。その表面張力が
35ダイン/cmを超える場合は付着性が不十分となり
易い。また、キャンパス浸透性が15秒を超える場合に
は、処理剤の浸透性が悪くなり易いので、格納性の耐久
性を高めるために好ましくない。
させた水系エマルジョン処理液のような処理液にして、
シートベルト用原糸を製造する製糸工程において付与さ
れればよい。
理して巻取るという製糸工程において熱処理と巻取りと
の間で低摩擦化処理液を付与すればよいが、巻取られる
原糸に所望量付着させることができるならば紡糸油剤と
して付与することもできる。また、シートベルト用原糸
への付与は巻取った後でもよく、例えば製織の前で付与
してもよいが、製糸工程における巻取り直前の付与が好
ましい。原糸への付与には、ローラー給油やガイド給油
等の方法を用いればよい。
効成分の量で、0.05〜5.0重量%であればよく、
特に0.2〜2.0重量%が好ましい。
糸に付与することによってシートベルトに要求される所
望の低摩擦特性を満足させることができるので、従来の
ような樹脂コートを施すことなくシートベルトとして用
いることができる。
の樹脂コートに比較して浸透性が格段に優れているの
で、シートベルト用原糸の内部へも大きく浸透でき、こ
れから得られるシートベルトはその内部のフィラメント
にも処理剤が均一にコートされたものとなる。従って、
ベルト表面のみが樹脂コートされた従来のシートベルト
のような樹脂層とベルト(繊維)層との2層構造とはな
らないから、長期間の使用によってベルト表面部の繊維
が削り取られても、ベルト内部の繊維にも処理剤が付着
していて低摩擦性であるので、高い格納性を維持するこ
とができ、格納性の耐摩耗保持率が高いシートベルトと
できるのである。
維等の合成繊維から構成されるシートベルト用原糸に付
与されればよい。
付与された原糸から得られるシートベルトは、従来のシ
ートベルトに比べ、特に長期間使用した後の滑り性にお
いて格段に優れる、即ち格納耐久性に優れるという理由
は、以下の作用メカニズムによるものと考えられる。
プレポリマーブロック化合物を主成分とする樹脂をベル
トに塗布する(特公平4−66948号公報)ことによ
って滑り性を改良しているが、前記した通り、ベルト表
面に被覆された樹脂層が長期間のベルトの繰り返し脱着
時の摩耗によって剥離し、滑り性が著しく悪化していく
という問題点を有していた。場合によっては、摩耗して
剥離した樹脂がスカム状となってかたまったり、摩耗し
た部分に汚れ物が付着して、滑り性の異常を生じること
もあった。そのため、より耐摩耗性の優れた樹脂の開発
や、樹脂層を比較的厚く塗布する方法等の多くの試みが
なされてきたが、十分満足するものは得られていなかっ
た。
樹脂層に依存せずに、ベルトを構成する糸条の個々のフ
ィラメントの表層に滑り性を付与し、それによって所望
の滑り性を得ようとするものである。
はベルトの表面を被覆しており、通常、樹脂はベルトの
内部にはその一部が浸透しているに過ぎない。即ち、ベ
ルトの最内層部に位置するフィラメントの表面にはコー
ト樹脂が達しておらず、これは、ベルトを分解した繊維
の表面物質を分析することにより確認できる。
けでなくベルト最内層を構成する糸条の各々のフィラメ
ントの表面にも処理剤が付着しているのであり、この点
において、従来のシートベルトと大きく異なる。
粘着性が高いので、製糸工程におけるシートベルト原糸
に付与すると、チーズからの原糸の解舒が困難となり、
さらに、ベルト製織工程でのスカムの発生が多くなる等
の障害を生じ、実用化することは困難であった。
トベルト用コート樹脂のような高い粘着性を有さないの
で、製糸工程においてシートベルト用原糸に付与して巻
取っても、巻取られる原糸の表面特性に実質的な変化は
生じない。従って、チーズからの原糸の解舒は容易であ
り、ベルト製織工程でのスカム発生の障害も生じずに、
ベルト製織工程をスムーズに通過させることができる。
る樹脂コート工程を省略しても、格納耐久性等の特性に
優れたシートベルトを得ることができる。
ートベルト用原糸に付与することによって優れた格納耐
久性等の望ましいシートベルト特性を発揮させることが
できる。
詳述する。以下の実施例及び比較例における評価は、次
の方法で行い、表示したものである。
たシートベルト用原糸について、レーダ式摩擦測定器を
用いて繊維同士間の摩擦係数を測定する。この摩擦の値
が小さいほど、繊維同士の擦過が小さくて柔軟性が高い
ので、滑り性に優れている。
剤が付与されたシートベルト用原糸について、東レ
(株)式高荷重ミクロン装置を用いて繊維と金属との間
の摩擦係数を測定する。その測定時の繊維と金属との間
の滑り速度は0.5m/分又は300m/分とする。滑
り速度が0.5m/分の場合の摩擦は、油膜強度の水準
を表し、その値が小さいほど油膜強度が強いことを意味
する。また、滑り速度が300m/分の場合の摩擦は平
滑性の水準を表し、その値が小さいほど滑りが優れてい
ることを意味する。
5℃の条件下で処理液の表面張力を協和界面科学(株)
製のCBVP−A3型自動表面張力計を用いて測定す
る。 処理液のキャンパス浸透性(秒): 100ccビーカ
ーに処理液を入れ、25℃の恒温槽で15分間温度調整
した後に、液表面に2cm×2cmの大きさで3mmの
厚みのウールフェルトを静かに浮かべ、液中に沈降する
までの時間(秒)を測定する。5回の測定を行ない平均
値を算出する。
トの一方の端に500gの荷重をセットし、その中間部
をスルーに挿通し、他方の端に角度20°で10kgロ
ードセルをセットする。そのロードセルで荷重を引上げ
る際の強力(F1)及び荷重を基に戻す際の強力(F
2)を測定し、(F2/F1)の平方根×100 の値
を滑り摩擦(%)とする。その滑り摩擦の値が高い程、
摩擦特性が小さく格納性に優れる。
を、サンドペーパー(No.500)を摩擦体にして4
00gの荷重をかけて往復500回摩擦させてベルト表
面を摩耗させる。摩耗後にスルーとの滑り摩擦を上記と
同様の方法で測定し、摩耗後の滑り摩擦(%)とする。
(JIS−4604法)に準じて、5000回摩耗後の
シートベルトの強力を測定し、摩耗前の強力から強力保
持率を算出する。
チレンテレフタレートを溶融紡糸し、紡糸速度500m
/分で引取り、巻取ることなく引続いて、245℃のホ
ットローラーを用いる2段延伸により、全延伸倍率5倍
に熱延伸し、次いで、巻取り直前に、表1の組成からな
る処理剤の20重量%水エマルジョン液をオイリングロ
−ラを用いて有効成分量で1.0重量%付与し、300
0m/分で巻き取り、1500デニール144フィラメ
ントのポリエステルフィラメント糸のシートベルト原糸
を製造した。
示す化合物を表わすものである。A1〜A3は本発明で
特定したポリエーテルポリエステル、B1〜B3は本発
明で必要なシリコーン系化合物であり、C1〜C2はそ
れ以外の平滑剤成分(C)であり、D1〜D3は極圧剤
成分(D)であり、E1〜E4は界面活性剤成分(E)
であり、また、F1〜E2は、その他の添加剤である。
また、R1〜R2は、従来の樹脂コートにおいて用いら
れている樹脂成分である。
オキサイド・コポリマ−(1700)とアジピン酸とオ
レイン酸とのエステル(分子量4000) A2・・ポリテトラメチレングリコ−ル(2200)と
チオジプロピオン酸とイソステアリン酸とのエステル
(分子量5000) A3・・エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・
コポリマ−とセバチン酸(1400)とイソステアリン
酸とのエステル(分子量3500) B1・・ジメチルポリシロキサン(粘度350センチス
トークス) B2・・ジメチルポリシロキサン(粘度1000センチ
ストークス) B3・・アミノ変性シリコン C1・・オレイルオレート C2・・イソステアリルオレ−ト
K塩 D2・・イソステアリルアルコ−ル(EO)3ホスフェ
−トNa塩 D3・・オレイン酸石鹸 E1・・ラウリルアルコ−ルPO・EO付加物(分子量
1500) E2・・オクチルアルコ−ルPO・EO付加物(分子量
1500) E3・・オレイルアルコ−ルEO付加物(分子量90
0) E4・・硬化ヒマシ油(EO)10モル付加物 F1・・“IRGANOX”245(チバガイギー
(株) 社製) F2・・ステアリルアミン(EO)10モル付加物 R1・・ヒドロキシ含有シリコン、ウレタンプレポリマ
−ブロック化物が主成分の樹脂 R2・・メチロ−ルメラミン樹脂
ついて摩擦特性を評価した結果は、表2に示すとおりで
あった。さらに、得られたシートベルト用原糸を用いて
通常の方法で製織してシートベルトウエビングを製造
し、通常の方法で黒色に染色し、樹脂コートせずにシー
トベルトとした。得られたシートベルトについてその特
性を評価した結果は表2に示すとおりであった。
施例1〜5の場合は、シートベルト原糸の摩擦特性が低
く、シートベルトとスルーとの滑り性も良好であり、し
かも、摩耗させた後でもシートベルトとスルーとの滑り
性は殆ど低下せず、格納性及びその耐久性に優れてい
た。さらに六角棒摩耗による耐久性にも優れていた。
合しなかった比較例1の場合、及び、従来のコート樹脂
を付与した比較例3、4の場合は、スルーとの滑り性が
良好なものほど摩耗による滑りの悪化が大きく、いずれ
も、摩耗後の滑り性は不満足なものであった。さらに、
六角棒摩耗による耐久性も劣っていた。
ため、処理剤を−20℃の低温条件下に24時間放置し
た後の処理剤の性状を、次の基準で評価し、結果を表2
に併記した。 ○:処理剤中に液状物が存在している。 △:液状物が
殆ど存在しない。 ×:全て固形分である。
処理剤が付着したシートベルト用原糸の繊維−金属間摩
擦(300m/分)を−20℃の低温条件下で測定した
ところ、実施例2の場合は摩擦が低く滑り良好であった
が、比較例2の場合は、摩擦が高く滑りが悪かった。
0重量%併用した実施例の処理剤では低温下においても
液状物が存在し、低温下においても良好な低摩擦特性を
発揮させ得たが、シリコーン系化合物の含有量がなし又
は少な過ぎた比較例の場合は、低温下において液状物が
実質的に存在せず、低温下において低摩擦特性を発揮で
きなかった。
によるとシートベルト用原糸への付与によって望ましい
特性のシートベルトを得ることが可能となる。
シートベルトは、それを構成する原糸の摩擦特性が十分
に低く、シートベルトの初期の滑り性が十分に高いとと
もに、その滑り性等の特性を長期間の使用後も良好に維
持することができ、さらに、氷点下のような低温下にお
いても良好な滑り性を発揮できるので、格納性もその耐
久性も耐摩耗保持率も優れさらに低温下での格納性にも
優れたシートベルトとすることができる。
トの場合に効果的であり、滑り性、耐摩耗性、格納性が
ともに優れたポリエステル繊維製シートベルトを得るこ
とができる。
Claims (9)
- 【請求項1】 平均分子量2000〜15000のポ
リエーテルポリエステル及びシリコーン系化合物を含有
し、かつ、シリコーン系化合物の含有量が2〜50重量
%であることを特徴とするシートベルト用低摩擦化処理
剤。 - 【請求項2】 ポリエーテルポリエステルを構成する
ポリエーテルが、平均分子量が600〜6000であっ
て、かつ、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオ
キサイドの重合体及びポリテトラメチレングリコールの
うちのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項
1記載のシートベルト用低摩擦化処理剤。 - 【請求項3】 前記ポリエーテルポリエステルが、ポ
リエーテルのジオール化合物と二塩基酸と一価脂肪酸と
からのエステル化物であることを特徴とする請求項1又
は2記載のシートベルト用低摩擦化処理剤。 - 【請求項4】 前記ポリエーテルポリエステルが処理
剤全体の30重量%以上を占めることを特徴とする請求
項1、2又は3記載のシートベルト用低摩擦化処理剤。 - 【請求項5】 前記シリコーン系化合物が処理剤全体
の5〜35重量%を占めることを特徴とする請求項1、
2、3又は4記載のシートベルト用低摩擦化処理剤。 - 【請求項6】 平均分子量2000〜15000のポ
リエーテルポリエステル、シリコーン系化合物、及び、
極圧剤成分を含有し、かつ、シリコーン系化合物の含有
量が2〜50重量%であることを特徴とするシートベル
ト用低摩擦化処理剤。 - 【請求項7】 前記シリコーン系化合物が、ポリジメ
チルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、アミ
ノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、カル
ボキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリ
エステル変性シリコーンよりなる群から選ばれる1種以
上からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1
項に記載のシートベルト用低摩擦化処理剤。 - 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の
低摩擦化処理剤を有効成分とする1〜20重量%濃度の
水系エマルジョン液であって、25℃における表面張力
が35ダイン/cm以下、かつ、25℃におけるキャン
パス法浸透性が15秒以下であることを特徴とするシー
トベルト用低摩擦化処理液。 - 【請求項9】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の
低摩擦化処理剤が繊維重量に対して0.05〜5.0重
量%付着していることを特徴とするシートベルト用原
糸。
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