JPH1037077A - 原着シートベルト用低摩擦化処理剤及びシートベルト用原着糸 - Google Patents
原着シートベルト用低摩擦化処理剤及びシートベルト用原着糸Info
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- JPH1037077A JPH1037077A JP19017896A JP19017896A JPH1037077A JP H1037077 A JPH1037077 A JP H1037077A JP 19017896 A JP19017896 A JP 19017896A JP 19017896 A JP19017896 A JP 19017896A JP H1037077 A JPH1037077 A JP H1037077A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 原着シートベルト用の低摩擦化処理剤であ
って、格納性もその耐久性も耐摩耗保持率もともに優れ
たシートベルトを染色せずに製造することを可能とす
る。そして、シートベルトウェビング段階での染色も樹
脂コートもせずに所望のシートベルト特性を得ることを
可能にする。 【解決手段】 平均分子量2000〜15000のポ
リエーテルポリエステルを含有する低摩擦化処理剤を、
原着シートベルト用の低摩擦化処理剤として用いる。
って、格納性もその耐久性も耐摩耗保持率もともに優れ
たシートベルトを染色せずに製造することを可能とす
る。そして、シートベルトウェビング段階での染色も樹
脂コートもせずに所望のシートベルト特性を得ることを
可能にする。 【解決手段】 平均分子量2000〜15000のポ
リエーテルポリエステルを含有する低摩擦化処理剤を、
原着シートベルト用の低摩擦化処理剤として用いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に製糸工程等に
おいてシートベルト用原着糸に付与する場合に好適な低
摩擦化処理剤に関するものである。さらに詳しくは、シ
ートベルト格納性が良好で、且つ、摩耗後も格納性を良
好に保持でき、格納耐久性に優れた原着シートベルトを
得るために有効な低摩擦化処理剤に関するものである。
おいてシートベルト用原着糸に付与する場合に好適な低
摩擦化処理剤に関するものである。さらに詳しくは、シ
ートベルト格納性が良好で、且つ、摩耗後も格納性を良
好に保持でき、格納耐久性に優れた原着シートベルトを
得るために有効な低摩擦化処理剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、シートベルト用原糸を製織してウ
ェビングとし染色した後、シートベルトの引き出しと格
納を円滑にするため、即ち格納性向上のために、樹脂コ
ートを施すことが一般に行われている。また、シートベ
ルト用原糸には、その紡糸・延伸工程において紡糸油剤
などの種々の処理剤が付与されている。
ェビングとし染色した後、シートベルトの引き出しと格
納を円滑にするため、即ち格納性向上のために、樹脂コ
ートを施すことが一般に行われている。また、シートベ
ルト用原糸には、その紡糸・延伸工程において紡糸油剤
などの種々の処理剤が付与されている。
【0003】例えば、シートベルトの耐摩耗性改善のた
めのコート樹脂としては、ウレタンプレポリマーブロッ
ク化合物を主成分とする樹脂が知られている(特公平4
−66948号公報)。この場合、ウレタンプレポリマ
ーブロック化合物を主成分とする樹脂をシートベルトウ
ェビングに付与し、加熱処理を施すことによって架橋を
生じさせて初期の滑り性の絶対値を大きく向上させ、こ
れによって長期間の使用によって滑り性が低下した後も
所望水準の滑り性を得ることを意図している。
めのコート樹脂としては、ウレタンプレポリマーブロッ
ク化合物を主成分とする樹脂が知られている(特公平4
−66948号公報)。この場合、ウレタンプレポリマ
ーブロック化合物を主成分とする樹脂をシートベルトウ
ェビングに付与し、加熱処理を施すことによって架橋を
生じさせて初期の滑り性の絶対値を大きく向上させ、こ
れによって長期間の使用によって滑り性が低下した後も
所望水準の滑り性を得ることを意図している。
【0004】また、従来のシートベルト原糸用の処理剤
としては、分岐アルコールと高級脂肪酸のエステルと非
イオン活性剤との組成物を主成分とする処理剤(例えば
特開平2−175966号公報)が知られている。即
ち、このシートベルト原糸用処理剤は、分岐アルコール
と高級脂肪酸のエステルとを平滑剤として用い、プロピ
レンオキサイドを含有しない非イオン活性剤を用いるこ
とによって、耐光性を改善しようとするものである。
としては、分岐アルコールと高級脂肪酸のエステルと非
イオン活性剤との組成物を主成分とする処理剤(例えば
特開平2−175966号公報)が知られている。即
ち、このシートベルト原糸用処理剤は、分岐アルコール
と高級脂肪酸のエステルとを平滑剤として用い、プロピ
レンオキサイドを含有しない非イオン活性剤を用いるこ
とによって、耐光性を改善しようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、樹脂コート
されたシートベルト、特に前者のような架橋タイプの樹
脂でコートされたシートベルトの場合は、ベルト表面が
硬くなるので長期間使用していると、シートベルトの出
し入れ補助用ガイドであるスルー(ナイロン樹脂製)と
の繰り返し擦過により、表面にコートされた樹脂が徐々
に削り取られて脱落していく。さらに、ベルト表面に汚
れ物が徐々に付着していく。これらの結果、経時的に、
ベルトの格納や引き出しがスムースにいかなくなり、格
納性が経時的に著しく低下していくという大きな問題が
あった。
されたシートベルト、特に前者のような架橋タイプの樹
脂でコートされたシートベルトの場合は、ベルト表面が
硬くなるので長期間使用していると、シートベルトの出
し入れ補助用ガイドであるスルー(ナイロン樹脂製)と
の繰り返し擦過により、表面にコートされた樹脂が徐々
に削り取られて脱落していく。さらに、ベルト表面に汚
れ物が徐々に付着していく。これらの結果、経時的に、
ベルトの格納や引き出しがスムースにいかなくなり、格
納性が経時的に著しく低下していくという大きな問題が
あった。
【0006】また、原着繊維を用いる場合にはシートベ
ルトウェビング段階での染色工程を省略することができ
るので、シートベルト原糸に樹脂コートしても染色時に
そのコート樹脂が脱落するという問題は解消できるの
で、原着繊維の製造工程、例えば原着繊維の巻取り前に
おいてその樹脂を繊維に付与することも試みられてい
る。しかし、従来のシートベルト用樹脂は粘着性が高い
ので、チーズからの原糸の解舒が困難となり、さらに、
ベルト製織工程でのスカムの発生が多くなる等の障害を
生じ、実用化するには至っていない。
ルトウェビング段階での染色工程を省略することができ
るので、シートベルト原糸に樹脂コートしても染色時に
そのコート樹脂が脱落するという問題は解消できるの
で、原着繊維の製造工程、例えば原着繊維の巻取り前に
おいてその樹脂を繊維に付与することも試みられてい
る。しかし、従来のシートベルト用樹脂は粘着性が高い
ので、チーズからの原糸の解舒が困難となり、さらに、
ベルト製織工程でのスカムの発生が多くなる等の障害を
生じ、実用化するには至っていない。
【0007】さらにまた、後者のような従来の原糸付与
処理剤の場合、樹脂コートなしのノンコートベルトとし
て用いると樹脂の脱落等による急激な滑り性の低下はな
いものの、繊維−繊維間摩擦や繊維−金属間摩擦を十分
に低下させることができず、初期の滑り性が劣り、しか
も耐摩耗性も劣るという大きな問題があり、実用化に至
っていない。
処理剤の場合、樹脂コートなしのノンコートベルトとし
て用いると樹脂の脱落等による急激な滑り性の低下はな
いものの、繊維−繊維間摩擦や繊維−金属間摩擦を十分
に低下させることができず、初期の滑り性が劣り、しか
も耐摩耗性も劣るという大きな問題があり、実用化に至
っていない。
【0008】そこで、本発明の主な目的は、上述した従
来技術における問題点を解決し、シートベルト用の原糸
に付与することもウェビングに付与することも可能であ
って特にシートベルト原糸付与用として好適な低摩擦化
処理剤であり、しかも、シートベルトを構成する原着繊
維の摩擦特性が十分に低く、シートベルトの初期の滑り
性が十分に高いとともに、その滑り性等の特性を長期間
の使用後も良好に維持することができるシートベルト、
即ち、格納性もその耐久性も耐摩耗保持率も優れた原着
シートベルトを得ることが可能な低摩擦化処理剤を提供
することにある。さらに、本発明は、原着繊維を用いる
ことによって染色工程を省略する場合に好適な、シート
ベルト原糸付与可能な低摩擦化処理剤の提供を別の目的
とする。
来技術における問題点を解決し、シートベルト用の原糸
に付与することもウェビングに付与することも可能であ
って特にシートベルト原糸付与用として好適な低摩擦化
処理剤であり、しかも、シートベルトを構成する原着繊
維の摩擦特性が十分に低く、シートベルトの初期の滑り
性が十分に高いとともに、その滑り性等の特性を長期間
の使用後も良好に維持することができるシートベルト、
即ち、格納性もその耐久性も耐摩耗保持率も優れた原着
シートベルトを得ることが可能な低摩擦化処理剤を提供
することにある。さらに、本発明は、原着繊維を用いる
ことによって染色工程を省略する場合に好適な、シート
ベルト原糸付与可能な低摩擦化処理剤の提供を別の目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の原着シートベルト用低摩擦化処理剤は、平
均分子量2000〜15000のポリエーテルポリエス
テルを含有することを特徴とする。
め、本発明の原着シートベルト用低摩擦化処理剤は、平
均分子量2000〜15000のポリエーテルポリエス
テルを含有することを特徴とする。
【0010】前記ポリエーテルポリエステルを構成する
ポリオールが、平均分子量が600〜6000であっ
て、かつ、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオ
キサイドの重合体及びポリテトラメチレングリコールの
うちのいずれかであることが好ましく、また、そのポリ
エーテルポリエステルは、ポリエーテルのジオール化合
物と二塩基酸と一価脂肪酸とからのエステル化物である
ことが好ましい。
ポリオールが、平均分子量が600〜6000であっ
て、かつ、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオ
キサイドの重合体及びポリテトラメチレングリコールの
うちのいずれかであることが好ましく、また、そのポリ
エーテルポリエステルは、ポリエーテルのジオール化合
物と二塩基酸と一価脂肪酸とからのエステル化物である
ことが好ましい。
【0011】前記ポリエーテルポリエステルの配合量
は、処理剤全体の30重量%以上を占めることが好まし
く、さらに、2〜50重量%のシリコーン系化合物を含
有させることが好ましく、また、極圧剤成分を含有させ
ることが好ましい。
は、処理剤全体の30重量%以上を占めることが好まし
く、さらに、2〜50重量%のシリコーン系化合物を含
有させることが好ましく、また、極圧剤成分を含有させ
ることが好ましい。
【0012】また、その処理剤を有効成分とする1〜2
0重量%濃度の水系エマルジョン液であって、25℃に
おける表面張力が35ダイン/cm以下、かつ、25℃
におけるキャンパス法浸透性が15秒以下である原着シ
ートベルト用低摩擦化処理液として処理に用いられるこ
とが好ましい。さらにまた、その処理剤の繊維への付着
量は0.05〜5.0重量%が好ましい。
0重量%濃度の水系エマルジョン液であって、25℃に
おける表面張力が35ダイン/cm以下、かつ、25℃
におけるキャンパス法浸透性が15秒以下である原着シ
ートベルト用低摩擦化処理液として処理に用いられるこ
とが好ましい。さらにまた、その処理剤の繊維への付着
量は0.05〜5.0重量%が好ましい。
【0013】このように本発明の処理剤では特定のポリ
エーテルポリエステルを配合しているので浸透性が大き
く、原着シートベルト用原糸の内部に位置するフィラメ
ントの表面にも均一に付着できる。また、原着シートベ
ルトウェビングに付与した場合には、処理剤をシートベ
ルト表面にも、それを構成する内部のフィラメントの表
面にも均一にコートさせることができる。従って、表面
が樹脂コートされた従来のシートベルトのように樹脂層
とベルト(繊維)層との2層構造とはならないから、長
期間の使用によってベルト表面部の繊維が削り取られて
も、ベルト内部の繊維にも処理剤が十分に付着していて
低摩擦性であるので、格納性もその耐摩耗保持率もとも
に高い原着シートベルトとすることができる。
エーテルポリエステルを配合しているので浸透性が大き
く、原着シートベルト用原糸の内部に位置するフィラメ
ントの表面にも均一に付着できる。また、原着シートベ
ルトウェビングに付与した場合には、処理剤をシートベ
ルト表面にも、それを構成する内部のフィラメントの表
面にも均一にコートさせることができる。従って、表面
が樹脂コートされた従来のシートベルトのように樹脂層
とベルト(繊維)層との2層構造とはならないから、長
期間の使用によってベルト表面部の繊維が削り取られて
も、ベルト内部の繊維にも処理剤が十分に付着していて
低摩擦性であるので、格納性もその耐摩耗保持率もとも
に高い原着シートベルトとすることができる。
【0014】さらに、本発明は原糸段階での付与も容易
に行えるので、ウェビング段階での染色も樹脂コートも
省略が可能になるという利点がある。
に行えるので、ウェビング段階での染色も樹脂コートも
省略が可能になるという利点がある。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の処理剤で使用するポリエ
ーテルポリエステルは、ポリエーテルのジオール化合物
とカルボン酸とからのエステル化物であり、その平均分
子量は、滑り性や原糸又はウェビングの内部への浸透性
のために2000〜15000であることを要する。そ
の平均分子量が2000未満と小さ過ぎる場合には油膜
の強さが不十分となり摩耗後の滑り性が悪くなるので、
所望の効果が得られない。また、分子量が15000を
越える場合には摩擦特性を十分に改善できないので、滑
り性が悪くなり、所望の効果が得られない。好ましい平
均分子量は3000〜10000である。
ーテルポリエステルは、ポリエーテルのジオール化合物
とカルボン酸とからのエステル化物であり、その平均分
子量は、滑り性や原糸又はウェビングの内部への浸透性
のために2000〜15000であることを要する。そ
の平均分子量が2000未満と小さ過ぎる場合には油膜
の強さが不十分となり摩耗後の滑り性が悪くなるので、
所望の効果が得られない。また、分子量が15000を
越える場合には摩擦特性を十分に改善できないので、滑
り性が悪くなり、所望の効果が得られない。好ましい平
均分子量は3000〜10000である。
【0016】そのポリエーテルポリエステルとしては、
二塩基酸の両末端が、後述のようなポリエーテルによっ
てエステル化され、さらにその両末端が一価脂肪酸によ
ってエステル化されてなる化合物のように、一価脂肪酸
によるエステル化によって両末端が封鎖されてなるポリ
エーテルポリエステルであることが好ましい。
二塩基酸の両末端が、後述のようなポリエーテルによっ
てエステル化され、さらにその両末端が一価脂肪酸によ
ってエステル化されてなる化合物のように、一価脂肪酸
によるエステル化によって両末端が封鎖されてなるポリ
エーテルポリエステルであることが好ましい。
【0017】そのポリエーテルポリエステルを構成する
ポリエーテル成分は、平均分子量が600〜6000で
あることが好ましく、エチレンオキサイド及び/又はプ
ロピレンオキサイドの重合体やポリテトラメチレングリ
コールが挙げられ、なかでもポリテトラメチレングリコ
ールが好ましい。その平均分子量が600未満と小さ過
ぎる場合には油膜の強さが不十分となり滑り性が悪くな
り易い。また、平均分子量が6000を越える場合では
摩擦が大きくなりすぎて滑り性が悪くなり易い。好まし
い平均分子量は800〜4000である。
ポリエーテル成分は、平均分子量が600〜6000で
あることが好ましく、エチレンオキサイド及び/又はプ
ロピレンオキサイドの重合体やポリテトラメチレングリ
コールが挙げられ、なかでもポリテトラメチレングリコ
ールが好ましい。その平均分子量が600未満と小さ過
ぎる場合には油膜の強さが不十分となり滑り性が悪くな
り易い。また、平均分子量が6000を越える場合では
摩擦が大きくなりすぎて滑り性が悪くなり易い。好まし
い平均分子量は800〜4000である。
【0018】なお本発明でいう平均分子量はGPC(ゲ
ルパーミエイションクロマトグラフィー)等で測定され
る数平均分子量である。
ルパーミエイションクロマトグラフィー)等で測定され
る数平均分子量である。
【0019】また、そのポリエーテルポリエステルを構
成する二塩基酸成分としては、マレイン酸、アジピン
酸、チオジプロピオン酸、セバチン酸などがあげられ
る。好ましくはアジピン酸、チオジプロピオン酸、セバ
チン酸がよい。なお、芳香環のような環状構造を持つ二
塩基酸は摩擦低減の効果の点から好ましくなく、脂肪族
ジカルボン酸が好ましい。
成する二塩基酸成分としては、マレイン酸、アジピン
酸、チオジプロピオン酸、セバチン酸などがあげられ
る。好ましくはアジピン酸、チオジプロピオン酸、セバ
チン酸がよい。なお、芳香環のような環状構造を持つ二
塩基酸は摩擦低減の効果の点から好ましくなく、脂肪族
ジカルボン酸が好ましい。
【0020】さらにまた、一価脂肪酸成分としては、オ
クチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リシノ
ール酸、リノール酸、リノレン酸などがあげられる。好
ましくは、ラウリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸
がよい。
クチル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リシノ
ール酸、リノール酸、リノレン酸などがあげられる。好
ましくは、ラウリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸
がよい。
【0021】さらに、ポリエーテルポリエステルは、常
温(20〜25℃)において液状を保つことができる物
であることが好ましい。これは、処理剤が付与されたシ
ートベルトが日常的に使用される常温条件下でペースト
状とならずに液状を保持でき、低摩擦性という機能が使
用時に十分に発揮できるからである。
温(20〜25℃)において液状を保つことができる物
であることが好ましい。これは、処理剤が付与されたシ
ートベルトが日常的に使用される常温条件下でペースト
状とならずに液状を保持でき、低摩擦性という機能が使
用時に十分に発揮できるからである。
【0022】上記ポリエーテルポリエステルは、処理剤
全体の30〜100重量%を占めることが好ましく、そ
の1種のみの使用でもよいし2種以上の併用でもよい。
その含有量が30重量%未満ではそのポリエーテルポリ
エステルによる所期の効果が十分に発揮され難く、シー
トベルトの滑り性や摩耗後の滑り性の点から好ましくな
い。好ましくは40〜100重量%がよい。
全体の30〜100重量%を占めることが好ましく、そ
の1種のみの使用でもよいし2種以上の併用でもよい。
その含有量が30重量%未満ではそのポリエーテルポリ
エステルによる所期の効果が十分に発揮され難く、シー
トベルトの滑り性や摩耗後の滑り性の点から好ましくな
い。好ましくは40〜100重量%がよい。
【0023】本発明の低摩擦化処理剤は、上記ポリエー
テルポリエステルの他に、シリコーン系化合物(B)及
び/又は極圧剤成分(D)を含有することが好ましく、
また、さらに、上記以外の平滑剤成分(C)や界面活性
剤成分(E)等を含んでいてもよい。それらの含有量の
合計は多くとも70重量%とすることが好ましい。
テルポリエステルの他に、シリコーン系化合物(B)及
び/又は極圧剤成分(D)を含有することが好ましく、
また、さらに、上記以外の平滑剤成分(C)や界面活性
剤成分(E)等を含んでいてもよい。それらの含有量の
合計は多くとも70重量%とすることが好ましい。
【0024】そのシリコーン系化合物(B)としては、
25℃における粘度が100〜10000センチポイズ
の粘度を有するジメチルポリシロキサンやメチルフェニ
ルポリシロキサン、さらに、アミノ変性、ポリエーテル
変性、カルボキシ変性またはアルキル変性などの変性シ
リコーンがあげられる。好ましくは、25℃における粘
度が200〜7000センチストークスのジメチルポリ
シロキサンやアミノ変性シリコーンである。
25℃における粘度が100〜10000センチポイズ
の粘度を有するジメチルポリシロキサンやメチルフェニ
ルポリシロキサン、さらに、アミノ変性、ポリエーテル
変性、カルボキシ変性またはアルキル変性などの変性シ
リコーンがあげられる。好ましくは、25℃における粘
度が200〜7000センチストークスのジメチルポリ
シロキサンやアミノ変性シリコーンである。
【0025】シリコーン系化合物(B)を配合する場合
には、処理剤全体の2〜50重量%を占めることが好ま
しい。特に5〜35重量%が好ましい。2重量%未満で
は、シリコーン化合物を配合したことによる効果が十分
に発揮できないので、低温時(例えば極寒地域の冬期の
気温のような氷点下)における滑り特性、即ち低温時で
の格納性が不十分となる。50重量%を越えるほどに多
いと、前記したポリエーテルポリエステルの効果が十分
に発揮されず、油膜強度が弱くなって摩耗後の滑り性が
悪化するので、所望の摩擦特性が得られ難い。
には、処理剤全体の2〜50重量%を占めることが好ま
しい。特に5〜35重量%が好ましい。2重量%未満で
は、シリコーン化合物を配合したことによる効果が十分
に発揮できないので、低温時(例えば極寒地域の冬期の
気温のような氷点下)における滑り特性、即ち低温時で
の格納性が不十分となる。50重量%を越えるほどに多
いと、前記したポリエーテルポリエステルの効果が十分
に発揮されず、油膜強度が弱くなって摩耗後の滑り性が
悪化するので、所望の摩擦特性が得られ難い。
【0026】その平滑剤成分(C)としては、鉱物油
(精製スピンドル油、流動パラフィン)、動植物油(ヤ
シ油、ヒマシ油など)、脂肪酸エステル(イソステアリ
ルラウレート、オレイルオレート、ジオレイルアジペー
トなど)、アルキルエーテルエステル(ラウリルアルコ
ールのエチレンオキサイド2モル付加物ラウレート、ト
リデシルアルコールのエチレンオキサイド3モル付加物
ラウレートなど)及びワックスなどがあげられ、これら
のうちで好ましいものは、脂肪酸エステルおよびアルキ
ルエーテルエステルである。その平滑剤成分(C)を配
合する場合には、その割合は5〜30重量%、特に10
〜20重量%の範囲がよい。
(精製スピンドル油、流動パラフィン)、動植物油(ヤ
シ油、ヒマシ油など)、脂肪酸エステル(イソステアリ
ルラウレート、オレイルオレート、ジオレイルアジペー
トなど)、アルキルエーテルエステル(ラウリルアルコ
ールのエチレンオキサイド2モル付加物ラウレート、ト
リデシルアルコールのエチレンオキサイド3モル付加物
ラウレートなど)及びワックスなどがあげられ、これら
のうちで好ましいものは、脂肪酸エステルおよびアルキ
ルエーテルエステルである。その平滑剤成分(C)を配
合する場合には、その割合は5〜30重量%、特に10
〜20重量%の範囲がよい。
【0027】極圧剤成分(D)は、処理剤の油膜強度を
高める作用を有する成分であり、例えば、オレイン酸石
鹸、エルシン酸石鹸などの脂肪酸石鹸、ラウリルホスフ
ェートカリウム塩、オレイルホスフェートナトリウム塩
などの有機ホスフェート塩、ラウリルスルフォネートナ
トリウム塩、及び、ドデシルベンゼンスルフォネートナ
トリウム塩などの有機スルフォネート塩などがあげられ
る。
高める作用を有する成分であり、例えば、オレイン酸石
鹸、エルシン酸石鹸などの脂肪酸石鹸、ラウリルホスフ
ェートカリウム塩、オレイルホスフェートナトリウム塩
などの有機ホスフェート塩、ラウリルスルフォネートナ
トリウム塩、及び、ドデシルベンゼンスルフォネートナ
トリウム塩などの有機スルフォネート塩などがあげられ
る。
【0028】その極圧剤成分(D)を配合する場合に
は、その割合は0.02〜10重量%、特に1〜5重量
%の範囲がよい。0.02重量%未満では油膜強度を高
めるという作用が十分に発揮され難く好ましくない。ま
た、10重量%を越えると粘度上昇が大きくなって滑り
性が悪化してくるので好ましくない。
は、その割合は0.02〜10重量%、特に1〜5重量
%の範囲がよい。0.02重量%未満では油膜強度を高
めるという作用が十分に発揮され難く好ましくない。ま
た、10重量%を越えると粘度上昇が大きくなって滑り
性が悪化してくるので好ましくない。
【0029】また、界面活性剤(E)としては、高級ア
ルコールのアルキレンオキサイド付加物(オクチルアル
コールのエチレン、プロピオンオキサイド付加物、ステ
アリルアルコールのエチレン、プロピオンオキサイド付
加物、オレイルアルコールのエチレンオキサイド付加物
など)、多価アルコールエステルのアルキレンオキサイ
ド付加物(硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド25モル
付加物、ソルビタントリオレートのエチレンオキサイド
20モル付加物など)があげられる。
ルコールのアルキレンオキサイド付加物(オクチルアル
コールのエチレン、プロピオンオキサイド付加物、ステ
アリルアルコールのエチレン、プロピオンオキサイド付
加物、オレイルアルコールのエチレンオキサイド付加物
など)、多価アルコールエステルのアルキレンオキサイ
ド付加物(硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド25モル
付加物、ソルビタントリオレートのエチレンオキサイド
20モル付加物など)があげられる。
【0030】その界面活性剤成分(E)を配合する場合
には、その割合は5〜20重量%、特に10〜15重量
%の範囲がよい。
には、その割合は5〜20重量%、特に10〜15重量
%の範囲がよい。
【0031】さらに、本発明の低摩擦化処理剤には、前
記した各成分の他に、アルカリ金属、アルキルアミンの
アルキレンオキサイド付加物などのPH調整剤、酸化防
止剤、紫外線吸収剤およびフッ素化合物などのその他の
添加剤を必要に応じて配合してもよい。
記した各成分の他に、アルカリ金属、アルキルアミンの
アルキレンオキサイド付加物などのPH調整剤、酸化防
止剤、紫外線吸収剤およびフッ素化合物などのその他の
添加剤を必要に応じて配合してもよい。
【0032】上記PH調整剤を配合する場合には、その
割合は0.02〜10重量%、特に0.03〜8重量%
の範囲がよい。それ以外の添加剤を配合する場合には、
それらの割合は、0.02〜10重量%、特に0.03
〜5重量%の範囲がよい。
割合は0.02〜10重量%、特に0.03〜8重量%
の範囲がよい。それ以外の添加剤を配合する場合には、
それらの割合は、0.02〜10重量%、特に0.03
〜5重量%の範囲がよい。
【0033】本発明の低摩擦化処理剤は、1〜20重量
%濃度の水系エマルジョン液として原着シートベルト用
原糸の処理や原着シートベルトウェビングの処理に用い
ることが好ましいが、それら原糸やウェビングへの付着
性や浸透性が損われないならば、さらに高濃度の水系エ
マルジョン液で用いてもよいし、実質的に希釈なしの原
液状態で用いてもよいし、また、有機溶媒で希釈した処
理液として用いてもよい。特に好ましくは、2〜10重
量%濃度の水系エマルジョン液がよい。
%濃度の水系エマルジョン液として原着シートベルト用
原糸の処理や原着シートベルトウェビングの処理に用い
ることが好ましいが、それら原糸やウェビングへの付着
性や浸透性が損われないならば、さらに高濃度の水系エ
マルジョン液で用いてもよいし、実質的に希釈なしの原
液状態で用いてもよいし、また、有機溶媒で希釈した処
理液として用いてもよい。特に好ましくは、2〜10重
量%濃度の水系エマルジョン液がよい。
【0034】1〜20重量%濃度の水系エマルジョンの
処理液にして用いる場合、その処理液の25℃における
表面張力は35ダイン/cm以下、25℃におけるキャ
ンパス浸透性が15秒以下であることが、原糸やウェビ
ングへの付着及びそれらの内部への浸透のために好まし
い。その表面張力が35ダイン/cmを超える場合は原
糸やウェビングへの付着性が不十分となり易い。また、
キャンパス浸透性が15秒を超える場合には、処理剤の
浸透性が悪くなり易いので、格納性の耐久性を高めるた
めに好ましくない。
処理液にして用いる場合、その処理液の25℃における
表面張力は35ダイン/cm以下、25℃におけるキャ
ンパス浸透性が15秒以下であることが、原糸やウェビ
ングへの付着及びそれらの内部への浸透のために好まし
い。その表面張力が35ダイン/cmを超える場合は原
糸やウェビングへの付着性が不十分となり易い。また、
キャンパス浸透性が15秒を超える場合には、処理剤の
浸透性が悪くなり易いので、格納性の耐久性を高めるた
めに好ましくない。
【0035】本発明の低摩擦化処理剤は、処理剤を乳化
させた水系エマルジョン処理液のような処理液にして、
原着シートベルト用原糸を製造する製糸工程において付
与されてもよいし、また原着シートベルトウェビングに
付与されてもよい。
させた水系エマルジョン処理液のような処理液にして、
原着シートベルト用原糸を製造する製糸工程において付
与されてもよいし、また原着シートベルトウェビングに
付与されてもよい。
【0036】例えば、顔料等の原着物質を含有させたポ
リマから合成繊維を製造する工程、即ちそのポリマを紡
糸し延伸、熱処理して巻取るという製糸工程において、
熱処理と巻取りとの間で低摩擦化処理液を付与すればよ
いが、巻取られる原糸に所望量付着させることができる
ならば紡糸油剤として付与することもできる。また、原
着シートベルト用原糸への付与は巻取った後でもよく、
例えば製織の前で付与してもよいが、製糸工程における
巻取り直前の付与が好ましい。原糸への付与には、ロー
ラー給油やガイド給油等の方法を用いればよい。
リマから合成繊維を製造する工程、即ちそのポリマを紡
糸し延伸、熱処理して巻取るという製糸工程において、
熱処理と巻取りとの間で低摩擦化処理液を付与すればよ
いが、巻取られる原糸に所望量付着させることができる
ならば紡糸油剤として付与することもできる。また、原
着シートベルト用原糸への付与は巻取った後でもよく、
例えば製織の前で付与してもよいが、製糸工程における
巻取り直前の付与が好ましい。原糸への付与には、ロー
ラー給油やガイド給油等の方法を用いればよい。
【0037】また、原着シートベルト用原糸を製織して
ウェビングとした後の段階で低摩擦化処理剤を付与する
場合には、ウェビングを液中に浸漬する方法や、ウェビ
ング表面に液を吹付ける方法等の任意の方法でもって付
与すればよい。
ウェビングとした後の段階で低摩擦化処理剤を付与する
場合には、ウェビングを液中に浸漬する方法や、ウェビ
ング表面に液を吹付ける方法等の任意の方法でもって付
与すればよい。
【0038】処理剤の付着量は、原着繊維に対する処理
剤有効成分の量で0.05〜5.00重量%であればよ
く、原糸付与の場合は0.2〜2.0重量%が好まし
く、また、ウェビング付与の場合は0.1〜1.5重量
%が好ましい。
剤有効成分の量で0.05〜5.00重量%であればよ
く、原糸付与の場合は0.2〜2.0重量%が好まし
く、また、ウェビング付与の場合は0.1〜1.5重量
%が好ましい。
【0039】このような本発明の低摩擦化処理剤は、原
糸やウェビングに付与することによってシートベルトに
要求される所望の低摩擦特性を満足させることができる
ので、従来のような樹脂コートを施すことなく原着シー
トベルトとして用いることができる。
糸やウェビングに付与することによってシートベルトに
要求される所望の低摩擦特性を満足させることができる
ので、従来のような樹脂コートを施すことなく原着シー
トベルトとして用いることができる。
【0040】さらに、本発明の低摩擦化処理剤は、従来
の樹脂コートに比較して浸透性が格段に優れているの
で、原糸やウェビングの内部へも大きく浸透し、処理剤
をシートベルトウェビングの表面にも、それを構成する
ベルト内部のフィラメントの表面にも均一にコートさせ
ることができる。従って、ベルト表面のみが樹脂コート
された従来のシートベルトのような樹脂層とベルト(繊
維)層との2層構造とはならないから、長期間の使用に
よってベルト表面部の繊維が削り取られても、ベルト内
部の繊維にも処理剤が付着していて低摩擦性であるの
で、高い格納性を維持することができ、格納性の耐摩耗
保持率が高いシートベルトとできるのである。
の樹脂コートに比較して浸透性が格段に優れているの
で、原糸やウェビングの内部へも大きく浸透し、処理剤
をシートベルトウェビングの表面にも、それを構成する
ベルト内部のフィラメントの表面にも均一にコートさせ
ることができる。従って、ベルト表面のみが樹脂コート
された従来のシートベルトのような樹脂層とベルト(繊
維)層との2層構造とはならないから、長期間の使用に
よってベルト表面部の繊維が削り取られても、ベルト内
部の繊維にも処理剤が付着していて低摩擦性であるの
で、高い格納性を維持することができ、格納性の耐摩耗
保持率が高いシートベルトとできるのである。
【0041】本発明の処理剤の付与対象の原糸やウェビ
ングを構成する原着繊維は、カーボンブラック、フタロ
シアニンブルーのような顔料が添加混合された樹脂を通
常の方法によって製糸して得られる着色された繊維であ
る。なかでも、ポリエステル原着繊維等の原着繊維で構
成されるシートベルト用の原糸やウェビングへの付与に
好適である。
ングを構成する原着繊維は、カーボンブラック、フタロ
シアニンブルーのような顔料が添加混合された樹脂を通
常の方法によって製糸して得られる着色された繊維であ
る。なかでも、ポリエステル原着繊維等の原着繊維で構
成されるシートベルト用の原糸やウェビングへの付与に
好適である。
【0042】本発明の低摩擦化処理剤がシートベルト用
の原着糸や原着ウェビングに付与されて得られる原着シ
ートベルトが、従来の原着シートベルトに比べ、特に長
期間使用した後の滑り性において格段に優れる、即ち格
納耐久性に優れるという理由は、以下の作用メカニズム
によるものと考えられる。
の原着糸や原着ウェビングに付与されて得られる原着シ
ートベルトが、従来の原着シートベルトに比べ、特に長
期間使用した後の滑り性において格段に優れる、即ち格
納耐久性に優れるという理由は、以下の作用メカニズム
によるものと考えられる。
【0043】従来のシートベルトでは、例えばウレタン
プレポリマーブロック化合物を主成分とする樹脂をベル
トに塗布する(特公平4−66948号公報)ことによ
って滑り性を改良しているが、前記した通り、ベルト表
面に被覆された樹脂層が長期間のベルトの繰り返し脱着
時の摩耗によって剥離し、滑り性が著しく悪化していく
という問題点を有していた。場合によっては、摩耗して
剥離した樹脂がスカム状となってかたまったり、摩耗し
た部分に汚れ物が付着して、滑り性の異常を生じること
もあった。そのため、より耐摩耗性の優れた樹脂の開発
や、樹脂層を比較的厚く塗布する方法等の多くの試みが
なされてきたが、十分満足するものは得られていなかっ
た。
プレポリマーブロック化合物を主成分とする樹脂をベル
トに塗布する(特公平4−66948号公報)ことによ
って滑り性を改良しているが、前記した通り、ベルト表
面に被覆された樹脂層が長期間のベルトの繰り返し脱着
時の摩耗によって剥離し、滑り性が著しく悪化していく
という問題点を有していた。場合によっては、摩耗して
剥離した樹脂がスカム状となってかたまったり、摩耗し
た部分に汚れ物が付着して、滑り性の異常を生じること
もあった。そのため、より耐摩耗性の優れた樹脂の開発
や、樹脂層を比較的厚く塗布する方法等の多くの試みが
なされてきたが、十分満足するものは得られていなかっ
た。
【0044】一方、本発明ではベルトの滑り性をコート
樹脂層に依存せずに、ベルトを構成する糸条の個々のフ
ィラメントの表層に滑り性を付与し、それによって所望
の滑り性を得ようとするものである。
樹脂層に依存せずに、ベルトを構成する糸条の個々のフ
ィラメントの表層に滑り性を付与し、それによって所望
の滑り性を得ようとするものである。
【0045】従来のシートベルトにコートされた樹脂層
はベルトの表面を被覆しており、通常、樹脂はベルトの
内部にはその一部が浸透しているに過ぎない。即ち、ベ
ルトの最内層部に位置するフィラメントの表面にはコー
ト樹脂が達しておらず、これは、ベルトを分解した繊維
の表面物質を分析することにより確認できる。
はベルトの表面を被覆しており、通常、樹脂はベルトの
内部にはその一部が浸透しているに過ぎない。即ち、ベ
ルトの最内層部に位置するフィラメントの表面にはコー
ト樹脂が達しておらず、これは、ベルトを分解した繊維
の表面物質を分析することにより確認できる。
【0046】ところが、本発明の処理剤を付与するとベ
ルト表面だけでなく、ベルトの最内層部にも処理剤が十
分に浸透し、ベルト最内層を構成する糸条の各々のフィ
ラメントの表面にも付着しているのであり、この点にお
いて、従来のシートベルトと大きく異なる。
ルト表面だけでなく、ベルトの最内層部にも処理剤が十
分に浸透し、ベルト最内層を構成する糸条の各々のフィ
ラメントの表面にも付着しているのであり、この点にお
いて、従来のシートベルトと大きく異なる。
【0047】また、従来のシートベルト用コート樹脂は
粘着性が高いので、製糸工程におけるシートベルト原糸
に付与すると、チーズからの原糸の解舒が困難となり、
さらに、ベルト製織工程でのスカムの発生が多くなる等
の障害を生じ、実用化することは困難であった。
粘着性が高いので、製糸工程におけるシートベルト原糸
に付与すると、チーズからの原糸の解舒が困難となり、
さらに、ベルト製織工程でのスカムの発生が多くなる等
の障害を生じ、実用化することは困難であった。
【0048】ところが、本発明の処理剤は、従来のシー
トベルト用コート樹脂のような高い粘着性を有さないの
で、製糸工程においてシートベルト用原糸に付与して巻
取っても、巻取られる原糸の表面特性に実質的な変化は
生じない。従って、チーズからの原糸の解舒は容易であ
り、ベルト製織工程でのスカム発生の障害も生じずに、
ベルト製織工程をスムーズに通過させることができる。
トベルト用コート樹脂のような高い粘着性を有さないの
で、製糸工程においてシートベルト用原糸に付与して巻
取っても、巻取られる原糸の表面特性に実質的な変化は
生じない。従って、チーズからの原糸の解舒は容易であ
り、ベルト製織工程でのスカム発生の障害も生じずに、
ベルト製織工程をスムーズに通過させることができる。
【0049】このように原糸段階で処理剤を付与すれ
ば、シートベルトの製造工程における樹脂コート工程を
省略して格納耐久性等の特性に優れたシートベルトを得
ることができ、原着糸でもってシートベルトを製造しよ
うとする場合に特に有効である。
ば、シートベルトの製造工程における樹脂コート工程を
省略して格納耐久性等の特性に優れたシートベルトを得
ることができ、原着糸でもってシートベルトを製造しよ
うとする場合に特に有効である。
【0050】このように、本発明の低摩擦化処理剤は、
原糸製造からシートベルト製造に至る広範囲の製造工程
における任意の段階での付与が可能であり、しかも、い
ずれの段階での付与でも優れた格納耐久性等の望ましい
シートベルト特性を発揮させることができる。
原糸製造からシートベルト製造に至る広範囲の製造工程
における任意の段階での付与が可能であり、しかも、い
ずれの段階での付与でも優れた格納耐久性等の望ましい
シートベルト特性を発揮させることができる。
【0051】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明についてさらに
詳述する。以下の実施例及び比較例における評価は、次
の方法で行い、表示したものである。
詳述する。以下の実施例及び比較例における評価は、次
の方法で行い、表示したものである。
【0052】繊維−繊維間の摩擦: 処理剤が付与され
たシートベルト用原糸について、レーダ式摩擦測定器を
用いて繊維同士間の摩擦係数を測定する。この摩擦の値
が小さいほど、繊維同士の擦過が小さくて柔軟性が高い
ので、滑り性に優れている。
たシートベルト用原糸について、レーダ式摩擦測定器を
用いて繊維同士間の摩擦係数を測定する。この摩擦の値
が小さいほど、繊維同士の擦過が小さくて柔軟性が高い
ので、滑り性に優れている。
【0053】繊維−金属間の摩擦: 上記と同様、処理
剤が付与されたシートベルト用原糸について、東レ
(株)式高荷重ミクロン装置を用いて繊維と金属との間
の摩擦係数を測定する。その測定時の繊維と金属との間
の滑り速度は0.5m/分又は300m/分とする。滑
り速度が0.5m/分の場合の摩擦は、油膜強度の水準
を表し、その値が小さいほど油膜強度が強いことを意味
する。また、滑り速度が300m/分の場合の摩擦は平
滑性の水準を表し、その値が小さいほど滑りが優れてい
ることを意味する。
剤が付与されたシートベルト用原糸について、東レ
(株)式高荷重ミクロン装置を用いて繊維と金属との間
の摩擦係数を測定する。その測定時の繊維と金属との間
の滑り速度は0.5m/分又は300m/分とする。滑
り速度が0.5m/分の場合の摩擦は、油膜強度の水準
を表し、その値が小さいほど油膜強度が強いことを意味
する。また、滑り速度が300m/分の場合の摩擦は平
滑性の水準を表し、その値が小さいほど滑りが優れてい
ることを意味する。
【0054】処理液の表面張力(ダイン/cm): 2
5℃の条件下で処理液の表面張力を協和界面科学(株)
製のCBVP−A3型自動表面張力計を用いて測定す
る。 処理液のキャンパス浸透性(秒): 100ccビーカ
ーに処理液を入れ、25℃の恒温槽で15分間温度調整
した後に、液表面に2cm×2cmの大きさで3mmの
厚みのウールフェルトを静かに浮かべ、液中に沈降する
までの時間(秒)を測定する。5回の測定を行ない平均
値を算出する。
5℃の条件下で処理液の表面張力を協和界面科学(株)
製のCBVP−A3型自動表面張力計を用いて測定す
る。 処理液のキャンパス浸透性(秒): 100ccビーカ
ーに処理液を入れ、25℃の恒温槽で15分間温度調整
した後に、液表面に2cm×2cmの大きさで3mmの
厚みのウールフェルトを静かに浮かべ、液中に沈降する
までの時間(秒)を測定する。5回の測定を行ない平均
値を算出する。
【0055】スルーとの滑り摩擦(%): シートベル
トの一方の端に500gの荷重をセットし、その中間部
をスルーに挿通し、他方の端に角度20°で10kgロ
ードセルをセットする。そのロードセルで荷重を引上げ
る際の強力(F1)及び荷重を基に戻す際の強力(F
2)を測定し、(F2/F1)の平方根×100 の値
を滑り摩擦(%)とする。その滑り摩擦の値が高い程、
摩擦特性が小さく格納性に優れる。
トの一方の端に500gの荷重をセットし、その中間部
をスルーに挿通し、他方の端に角度20°で10kgロ
ードセルをセットする。そのロードセルで荷重を引上げ
る際の強力(F1)及び荷重を基に戻す際の強力(F
2)を測定し、(F2/F1)の平方根×100 の値
を滑り摩擦(%)とする。その滑り摩擦の値が高い程、
摩擦特性が小さく格納性に優れる。
【0056】摩耗後の滑り摩擦(%): シートベルト
を、サンドペーパー(No.500)を摩擦体にして4
00gの荷重をかけて往復500回摩擦させてベルト表
面を摩耗させる。摩耗後にスルーとの滑り摩擦を上記と
同様の方法で測定し、摩耗後の滑り摩擦(%)とする。
を、サンドペーパー(No.500)を摩擦体にして4
00gの荷重をかけて往復500回摩擦させてベルト表
面を摩耗させる。摩耗後にスルーとの滑り摩擦を上記と
同様の方法で測定し、摩耗後の滑り摩擦(%)とする。
【0057】六角棒摩耗保持率(%): 耐摩耗性試験
(JIS−4604法)に準じて、5000回摩耗後の
シートベルトの強力を測定し、摩耗前の強力から強力保
持率を算出する。
(JIS−4604法)に準じて、5000回摩耗後の
シートベルトの強力を測定し、摩耗前の強力から強力保
持率を算出する。
【0058】[実施例1〜5及び比較例1〜3]ポリエ
チレンテレフタレートベースチップ(顔料含まず)と、
ポリエチレンテレフタレートにカーボンブラックを20
重量%含有させたマスターチップとを重量比40:1で
混合してなるブレンドチップを溶融紡糸に供し、通常の
方法で溶融紡糸し、紡糸速度500m/分で引取り、巻
取ることなく引続いて、245℃のホットローラーを用
いる2段延伸により、全延伸倍率5倍に熱延伸し、次い
で、巻取り直前に、表1の組成からなる処理剤の20重
量%水エマルジョン液をオイリングロ−ラを用いて有効
成分量で1.0重量%付与し、3000m/分で巻き取
り、1500デニール144フィラメントの黒原着ポリ
エステルフィラメント糸のシートベルト用原着糸を製造
した。
チレンテレフタレートベースチップ(顔料含まず)と、
ポリエチレンテレフタレートにカーボンブラックを20
重量%含有させたマスターチップとを重量比40:1で
混合してなるブレンドチップを溶融紡糸に供し、通常の
方法で溶融紡糸し、紡糸速度500m/分で引取り、巻
取ることなく引続いて、245℃のホットローラーを用
いる2段延伸により、全延伸倍率5倍に熱延伸し、次い
で、巻取り直前に、表1の組成からなる処理剤の20重
量%水エマルジョン液をオイリングロ−ラを用いて有効
成分量で1.0重量%付与し、3000m/分で巻き取
り、1500デニール144フィラメントの黒原着ポリ
エステルフィラメント糸のシートベルト用原着糸を製造
した。
【0059】表1における処理剤成分の各記号は下記に
示す化合物を表わすものである。A1〜A3は本発明で
特定したポリエーテルポリエステルであり、B1〜B2
はシリコーン系化合物(B)であり、C1〜C2はそれ
以外の平滑剤成分(C)であり、D1〜D3は極圧剤成
分(D)であり、E1〜E4は界面活性剤成分(E)で
あり、また、F1〜E2は、その他の添加剤である。ま
た、R1〜R2は、従来の樹脂コートにおいて用いられ
ている樹脂成分である。
示す化合物を表わすものである。A1〜A3は本発明で
特定したポリエーテルポリエステルであり、B1〜B2
はシリコーン系化合物(B)であり、C1〜C2はそれ
以外の平滑剤成分(C)であり、D1〜D3は極圧剤成
分(D)であり、E1〜E4は界面活性剤成分(E)で
あり、また、F1〜E2は、その他の添加剤である。ま
た、R1〜R2は、従来の樹脂コートにおいて用いられ
ている樹脂成分である。
【0060】A1・・エチレンオキサイド・プロピレン
オキサイド・コポリマ−(1500)とアジピン酸とラ
ウリン酸とのエステル(分子量3500) A2・・ポリテトラメチレングライコ−ル(2200)
とチオジプロピオン酸とオレイン酸とのエステル(分子
量5000) A3・・エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・
コポリマ−(1900)とセバチン酸とイソステアリン
酸とのエステル(分子量4100) B1・・ジメチルポリシロキサン(粘度350センチス
トークス) B2・・アミノ変性シリコーン C1・・オレイルオレート C2・・イソステアリルオレ−ト C3・・ジオレイルチオジプロピオネート
オキサイド・コポリマ−(1500)とアジピン酸とラ
ウリン酸とのエステル(分子量3500) A2・・ポリテトラメチレングライコ−ル(2200)
とチオジプロピオン酸とオレイン酸とのエステル(分子
量5000) A3・・エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・
コポリマ−(1900)とセバチン酸とイソステアリン
酸とのエステル(分子量4100) B1・・ジメチルポリシロキサン(粘度350センチス
トークス) B2・・アミノ変性シリコーン C1・・オレイルオレート C2・・イソステアリルオレ−ト C3・・ジオレイルチオジプロピオネート
【0061】 D1・・ラウリル(EO)2ホスフェ−トK塩 D2・・イソステアリルアルコ−ル(EO)3ホスフェ
−トNa塩 D3・・オレイン酸石鹸 E1・・ラウリルアルコ−ルPO・EO付加物(分子量
1500) E2・・オクチルアルコ−ルPO・EO付加物(分子量
1500) E3・・オレイルアルコ−ルEO付加物(分子量90
0) E4・・硬化ヒマシ油(EO)10モル付加物 F1・・“IRGANOX”245(チバガイギー
(株) 社製) F2・・ステアリルアミン(EO)10モル付加物 R1・・ヒドロキシ含有シリコン、ウレタンプレポリマ
−ブロック化物が主成分の樹脂 R2・・メチロ−ルメラミン樹脂
−トNa塩 D3・・オレイン酸石鹸 E1・・ラウリルアルコ−ルPO・EO付加物(分子量
1500) E2・・オクチルアルコ−ルPO・EO付加物(分子量
1500) E3・・オレイルアルコ−ルEO付加物(分子量90
0) E4・・硬化ヒマシ油(EO)10モル付加物 F1・・“IRGANOX”245(チバガイギー
(株) 社製) F2・・ステアリルアミン(EO)10モル付加物 R1・・ヒドロキシ含有シリコン、ウレタンプレポリマ
−ブロック化物が主成分の樹脂 R2・・メチロ−ルメラミン樹脂
【0062】
【表1】 注) 表中の数字は重量%を示す。
【0063】処理剤が付着されたシートベルト用原着糸
について摩擦特性を評価した結果は、表2に示すとおり
であった。
について摩擦特性を評価した結果は、表2に示すとおり
であった。
【0064】さらに、得られたシートベルト原着糸を用
いて通常の方法で製織してシートベルトウエビングを製
造し、染色も樹脂コートもせずにシートベルトとした。
いて通常の方法で製織してシートベルトウエビングを製
造し、染色も樹脂コートもせずにシートベルトとした。
【0065】得られたシートベルトについてその特性を
評価した結果は表2に示すとおりであった。
評価した結果は表2に示すとおりであった。
【0066】
【表2】
【0067】表2から明らかなように、本発明による実
施例1〜5の場合は、シートベルト用原着糸の摩擦特性
が低く、シートベルトとスルーとの滑り性も良好であ
り、しかも、摩耗させた後でもシートベルトとスルーと
の滑り性は殆ど低下せず、格納性及びその耐久性に優れ
ていた。さらに六角棒摩耗による耐久性にも優れてい
た。
施例1〜5の場合は、シートベルト用原着糸の摩擦特性
が低く、シートベルトとスルーとの滑り性も良好であ
り、しかも、摩耗させた後でもシートベルトとスルーと
の滑り性は殆ど低下せず、格納性及びその耐久性に優れ
ていた。さらに六角棒摩耗による耐久性にも優れてい
た。
【0068】これに対し、本発明で特定したポリエーテ
ルポリエステルを配合しなかった比較例1の場合、及
び、従来のコート樹脂を付与した比較例2、3の場合
は、スルーとの滑り性が良好なものほど摩耗による滑り
の悪化が大きく、いずれも、摩耗殿の滑り性は不満足な
ものであった。さらに、六角棒摩耗による耐久性も劣っ
ていた。
ルポリエステルを配合しなかった比較例1の場合、及
び、従来のコート樹脂を付与した比較例2、3の場合
は、スルーとの滑り性が良好なものほど摩耗による滑り
の悪化が大きく、いずれも、摩耗殿の滑り性は不満足な
ものであった。さらに、六角棒摩耗による耐久性も劣っ
ていた。
【0069】また、実施例1〜5で得られた原着シート
ベルト用原着糸は、低摩擦化処理剤が付着しているにも
かかわらずチーズからの解舒が容易であった。これに対
し、従来のコート樹脂を付与した比較例2、3の場合
は、繊維表面での粘着性が高く、チーズからの原糸の解
舒が困難であった。
ベルト用原着糸は、低摩擦化処理剤が付着しているにも
かかわらずチーズからの解舒が容易であった。これに対
し、従来のコート樹脂を付与した比較例2、3の場合
は、繊維表面での粘着性が高く、チーズからの原糸の解
舒が困難であった。
【0070】[実施例6〜7及び比較例4〜5]製糸工
程における巻取り直前での低摩擦化処理剤の付与を行わ
なかった以外は、実施例1と同様の製糸方法で、150
0デニール144フィラメントの原着ポリエステルフィ
ラメント糸を製造した。
程における巻取り直前での低摩擦化処理剤の付与を行わ
なかった以外は、実施例1と同様の製糸方法で、150
0デニール144フィラメントの原着ポリエステルフィ
ラメント糸を製造した。
【0071】得られた原着ポリエステルフィラメント糸
を用いて通常の方法で製織してシートベルトウエビング
を製造し、表3の組成からなる処理剤の5重量%濃度の
水エマルジョン溶液に侵漬し、ウェビング総重量に対す
る処理剤有効成分量で0.5重量%の処理剤を付着させ
た後、110℃で3分間予備乾燥し、次いで150℃で
3分間加熱処理し、染色せずにシートベルトを製造し
た。表3における処理剤成分の各記号は次を除き前記し
たとおりである。
を用いて通常の方法で製織してシートベルトウエビング
を製造し、表3の組成からなる処理剤の5重量%濃度の
水エマルジョン溶液に侵漬し、ウェビング総重量に対す
る処理剤有効成分量で0.5重量%の処理剤を付着させ
た後、110℃で3分間予備乾燥し、次いで150℃で
3分間加熱処理し、染色せずにシートベルトを製造し
た。表3における処理剤成分の各記号は次を除き前記し
たとおりである。
【0072】A4・・ポリテトラメチレングリコ−ル
(2200)とチオジプロピオン酸とイソステアリル酸
とのエステル(分子量5000) A5・・エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・
コポリマ−(1400)とセバチン酸とイソステアリン
酸とのエステル(分子量3500) B3・・ジメチルポリシロキサン(1000センチスト
ークス)
(2200)とチオジプロピオン酸とイソステアリル酸
とのエステル(分子量5000) A5・・エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・
コポリマ−(1400)とセバチン酸とイソステアリン
酸とのエステル(分子量3500) B3・・ジメチルポリシロキサン(1000センチスト
ークス)
【0073】
【表3】 注) 表中の数字は重量%を示す。
【0074】処理剤を付着させて得られた原着シートベ
ルトウェビングについて、その特性を評価した結果は、
表4に示すとおりであった。
ルトウェビングについて、その特性を評価した結果は、
表4に示すとおりであった。
【0075】
【表4】
【0076】表4から明らかなように、本発明の低摩擦
化処理剤は、原着シートベルトウェビングに付与する場
合でも極めて効果的であり、シートベルト格納性、その
耐久性及び摩耗耐久性に優れた原着シートベルトが得ら
れた。
化処理剤は、原着シートベルトウェビングに付与する場
合でも極めて効果的であり、シートベルト格納性、その
耐久性及び摩耗耐久性に優れた原着シートベルトが得ら
れた。
【0077】これに対し、従来のコート樹脂を付与した
比較例4〜5の場合は、初期の滑り性は優れるものの摩
耗による滑り性悪化が大きく、摩耗後の滑りは不満足な
ものであった。さらに、摩耗耐久性も劣っていた。
比較例4〜5の場合は、初期の滑り性は優れるものの摩
耗による滑り性悪化が大きく、摩耗後の滑りは不満足な
ものであった。さらに、摩耗耐久性も劣っていた。
【0078】
【発明の効果】本発明の低摩擦化処理剤は、シートベル
ト用の原着糸付与することも原着ウェビングに付与する
ことも可能であって製糸工程からシートベルト製造に至
る任意の段階での処理が可能であり、特にシートベルト
原着糸付与用として好適である。即ち、本発明の低摩擦
化処理剤は原着繊維に用いることによって染色工程を省
略しようとする場合に好適である。しかも、原糸段階で
処理剤を付与してもパッケージからの糸条解舒性は良好
であり、また、原着繊維を用いて染色を省略すれば、染
色工程において付着した処理液が脱落するという問題を
解消できるので、原糸段階での処理液付与が容易に行え
ることになる。その結果、シートベルトウェビング段階
での染色も樹脂コートもせずに所望のシートベルト特性
を得ることが可能となる。
ト用の原着糸付与することも原着ウェビングに付与する
ことも可能であって製糸工程からシートベルト製造に至
る任意の段階での処理が可能であり、特にシートベルト
原着糸付与用として好適である。即ち、本発明の低摩擦
化処理剤は原着繊維に用いることによって染色工程を省
略しようとする場合に好適である。しかも、原糸段階で
処理剤を付与してもパッケージからの糸条解舒性は良好
であり、また、原着繊維を用いて染色を省略すれば、染
色工程において付着した処理液が脱落するという問題を
解消できるので、原糸段階での処理液付与が容易に行え
ることになる。その結果、シートベルトウェビング段階
での染色も樹脂コートもせずに所望のシートベルト特性
を得ることが可能となる。
【0079】しかも、その処理剤が付与されてなる原着
シートベルトは、それを構成する原糸の摩擦特性が十分
に低く、シートベルトの初期の滑り性が十分に高いとと
もに、その滑り性等の特性を長期間の使用後も良好に維
持することができるので、格納性もその耐久性も耐摩耗
保持率もともに優れた原着シートベルトとすることがで
きる。
シートベルトは、それを構成する原糸の摩擦特性が十分
に低く、シートベルトの初期の滑り性が十分に高いとと
もに、その滑り性等の特性を長期間の使用後も良好に維
持することができるので、格納性もその耐久性も耐摩耗
保持率もともに優れた原着シートベルトとすることがで
きる。
【0080】特に原着ポリエステル繊維からなるシート
ベルトの場合に効果的であり、滑り性、耐摩耗性、格納
性がともに優れたポリエステル原着繊維製シートベルト
を得ることができる。
ベルトの場合に効果的であり、滑り性、耐摩耗性、格納
性がともに優れたポリエステル原着繊維製シートベルト
を得ることができる。
Claims (8)
- 【請求項1】 原着繊維からなるシートベルト用の低
摩擦化処理剤であって、かつ、平均分子量2000〜1
5000のポリエーテルポリエステルを含有することを
特徴とする原着シートベルト用低摩擦化処理剤。 - 【請求項2】 ポリエーテルポリエステルを構成する
ポリエーテルが、平均分子量が600〜6000であっ
て、かつ、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオ
キサイドの重合体及びポリテトラメチレングリコールの
うちのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項
1記載の原着シートベルト用低摩擦化処理剤。 - 【請求項3】 前記ポリエーテルポリエステルが、ポ
リエーテルのジオール化合物と二塩基酸と一価脂肪酸と
からのエステル化物であることを特徴とする請求項1又
は2記載の原着シートベルト用低摩擦化処理剤。 - 【請求項4】 前記ポリエーテルポリエステルが処理
剤全体の30重量%以上を占めることを特徴とする請求
項1、2又は3記載の原着シートベルト用低摩擦化処理
剤。 - 【請求項5】 平均分子量2000〜15000のポ
リエーテルポリエステルを含有するとともに、シリコー
ン系化合物及び/又は極圧剤成分を含有することを特徴
とする原着シートベルト用低摩擦化処理剤。 - 【請求項6】 前記シリコーン系化合物が処理剤全体
の2〜50重量%を占めることを特徴とする請求項5記
載の原着シートベルト用低摩擦化処理剤。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の
低摩擦化処理剤を有効成分とする1〜20重量%濃度の
水系エマルジョン液であって、25℃における表面張力
が35ダイン/cm以下、かつ、25℃におけるキャン
パス法浸透性が15秒以下であることを特徴とする原着
シートベルト用低摩擦化処理液。 - 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の
低摩擦化処理剤が繊維重量に対して0.05〜5.0重
量%付着していることを特徴とするシートベルト用原着
糸。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19017896A JPH1037077A (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | 原着シートベルト用低摩擦化処理剤及びシートベルト用原着糸 |
IDP972528A ID17617A (id) | 1996-07-19 | 1997-07-21 | Perlakuan untuk mengurangi gesekan tali pengaman |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19017896A JPH1037077A (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | 原着シートベルト用低摩擦化処理剤及びシートベルト用原着糸 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1037077A true JPH1037077A (ja) | 1998-02-10 |
Family
ID=16253751
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19017896A Pending JPH1037077A (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | 原着シートベルト用低摩擦化処理剤及びシートベルト用原着糸 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1037077A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4771681A (en) * | 1986-08-30 | 1988-09-20 | Sanyo Shokuhin Kabushiki Kaisha | Automatic bean curd manufacturing apparatus |
-
1996
- 1996-07-19 JP JP19017896A patent/JPH1037077A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4771681A (en) * | 1986-08-30 | 1988-09-20 | Sanyo Shokuhin Kabushiki Kaisha | Automatic bean curd manufacturing apparatus |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20041109 |
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A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20050308 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |