JP2001234477A - 収納性に優れたシートベルト及びその製造方法 - Google Patents

収納性に優れたシートベルト及びその製造方法

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JP2001234477A JP2000043222A JP2000043222A JP2001234477A JP 2001234477 A JP2001234477 A JP 2001234477A JP 2000043222 A JP2000043222 A JP 2000043222A JP 2000043222 A JP2000043222 A JP 2000043222A JP 2001234477 A JP2001234477 A JP 2001234477A
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Mariko Shinozaki
まり子 篠崎
Mamoru Kitamura
守 北村
Kaoru Ban
薫 伴
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐久性、耐摩耗性のある収納性に優れたシート
ベルトを提供する。 【解決手段】シートベルトの構成糸がJIS-L-1015に準じ
た繊維―金属(梨地)間静的摩擦係数が0.20以下であ
り、JIS-D-4604耐摩耗性試験に準じた1000回摩耗後の前
記繊維―金属(梨地)間静的摩擦係数の保持率が75%以
上であり、かつシートベルトにおけるJIS-L-1096滴下法
による撥水性能が30秒以上であることを特徴とする収納
性に優れたシートベルト及びアミノ基含有オルガノポリ
シロキサンとアミノ基含有シランカップリング剤とを併
用した加工剤を保有させるするシートベルトの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両や航空機など
で用いられるシートベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シートベルト用原糸を製織してウ
ェビングとし染色した後、シートベルトの引き出しとの
収納性を円滑にするため、即ち収納性向上のために、樹
脂コートを施すことが一般に行われている。また、シー
トベルト用原糸には、その紡糸、延伸工程において紡糸
油剤などの様々な処理剤が付与されている。
【0003】例えば、シートベルトの耐摩耗性改善のた
めのコート樹脂としては、ウレタンプレポリマーブロッ
ク化合物を主成分とする樹脂が知られている(特公平4
−66948号公報)。この場合、ウレタンブロック化合物
を主成分とする樹脂をシートベルトウェビングに付与
し、加熱処理を施すことによって架橋を生じさせて初期
の滑り性の絶対値を大きく向上させ、これによって長期
間の使用によって滑り性が低下した後も所望水準の滑り
性を得ることを意図している。他にも、シートベルトの
耐摩耗性向上のため、シートベルトウェビングのコート
樹脂として、ウレタン系樹脂とシリコン系樹脂の混合物
(特開平10−121323号公報)やアクリル系樹脂とシリコ
ンの混合物(特開平05−321154号公報)を用いたり、シ
ートベルトウェビングの処理剤としてポリエーテルポリ
エステルとシリコン系化合物の混合物を用いた(特開平
10−037079号公報)例がある。また、従来のシートベル
ト用原糸の処理剤としては、分岐アルコールと高級脂肪
酸のエステルと非イオン活性剤の組成物を主成分とする
処理剤(特開平2−175966号公報)が知られている。
【0004】しかるに、樹脂コートされたシートベル
ト、とくにウレタンプレポリマーブロック化合物を使用
するような架橋タイプの樹脂でコートされたシートベル
トの場合は、ベルト表面が硬くなるので長期間使用して
いると、シートベルトの出し入れ補助用ガイドであるス
ルー(ナイロン樹脂製)との繰り返し擦過により、表面
にコートされた樹脂が徐々に削り取られて脱落し、さら
に、ベルト表面に汚れ物が徐々に付着し、滞留してい
く。また、ウレタン樹脂やアクリル樹脂とシリコンの混
合樹脂をコート樹脂として用いている場合も、長期間使
用時の耐久性は改善されず、ウレタン樹脂のみでコート
していた時と同様の問題が発生している。また、ポリエ
ーテルポリエステルとシリコン系化合物の混合物を用い
ている場合においても、ガイドスルーとの繰り返し摩擦
と汚れの付着により、ウレタン樹脂等を使用したシート
ベルトと同様に収納性の悪さは改善されなかった。以上
のように、従来のシートベルトでは着用を繰り返すう
ち、徐々にベルトの収納や引き出しがスムーズにいかな
くなり、収納性が経時的に著しく低下していくという大
きな問題があった。
【0005】また、従来の原糸付与処理剤の場合、樹脂
コートなしのノンコートベルトとして用いると樹脂の脱
落などによる急激な滑り性の低下はないものの、繊維―
繊維間摩擦や繊維−金属間摩擦を十分に低下させること
ができず、初期の滑り性が劣り、しかも耐摩耗性も劣る
という大きな問題があり、実用化に至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の主な
目的は、上述した従来技術における問題点を解決し、シ
ートベルトウェビングに加工剤を付与することによっ
て、それを構成する繊維の摩擦特性を十分に低下させ、
シートベルト初期の滑り性が十分に高いとともに、その
滑り特性を長期間使用後も良好に維持することができ、
さらに、汚れがシートベルトウェビング内に入り込まな
いシートベルト、すなわち初期の収納性はもちろん良好
であり、その収納性の耐久性も耐摩耗性にも優れたシー
トベルトを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の収納性に優れたシートベルトは、以下の構
成を採るものである。 1.シートベルトの構成糸がJIS-L-1015に準じた繊維―
金属(梨地)間静的摩擦係数が0.20以下であり、JIS-D-
4604耐摩耗性試験に準じた1000回摩耗後の前記繊維―金
属(梨地)間静的摩擦係数の保持率が75%以上であり、
かつシートベルトにおけるJIS-L-1096滴下法による撥水
性能が30秒以上であることを特徴とする収納性に優れた
シートベルト。
【0008】2.前記の撥水性能が、アミノ基含有オル
ガノポリシロキサンとアミノ基含有シランカップリング
剤とを併用した加工剤を保有することにより発現されて
いることを特徴とする前記1記載の収納性に優れたシー
トベルト。
【0009】3.前記の加工剤が、アミノ基含有オルガ
ノポリシロキサン50〜98wt%とアミノ基含有シランカッ
プリング剤2〜50wt%とを含有することを特徴とする前
記2記載の収納性に優れたシートベルト。
【0010】4.ポリエステル繊維製シートベルトウェ
ビングに、アミノ基含有オルガノポリシロキサンおよび
アミノ基含有シランカップリング剤を併用した加工剤を
付与し、熱処理したことを特徴とする収納性に優れたシ
ートベルトの製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の収納性に優れたシートベ
ルトを構成する原糸は、ポリエステルやナイロン等の合
成繊維から成るが、耐光性やコストなどの点から、ポリ
エステル繊維から成るものが好ましい。また、ポリエス
テル繊維においても、固有粘度が0.8以上のポリエチレ
ンテレフタレートで構成されることが更に好ましい。固
有粘度が0.8未満のものでは、シートベルト用として強
度が不足する場合がある。なお、ポリエチレンテレフタ
レートには、少量の共重合成分や添加剤が含まれていて
も良い。
【0012】この原糸の強度は7.0cN/dtex以上が好ま
しい。強度が7.0cN/dtex未満のものではシートベルト
としての強度を得るために、織物の経糸本数を増やさね
ばならず、シートベルトの重量、厚み、幅の増加とな
り、機能的にも、コスト的にも好ましくない。
【0013】また、原糸からなるウェビングは、末端に
ほつれ止めを施してあるもので、織構成は、平織、綾
織、朱子織やそれらを変化させた変化組織等の一重組織
からなることが好ましく、柔軟かつ強靭なたわみ性の細
幅の織物である。
【0014】本発明のシートベルトの構成糸は、JIS-L-
1015に準じた繊維―金属(梨地)間静的摩擦係数が0.20
以下であり、JIS-D-4604耐摩耗性試験に準じた1000回摩
耗後の前記繊維―金属(梨地)間静的摩擦係数の保持率
が75%以上であるが、この特性は、本発明におけるアミ
ノ基含有オルガノポリシロキサンとアミノ基含有シラン
カップリング剤とを併用した加工剤を保有することによ
り発現されるものである。構成糸がかかる特性を保有し
ているために、シートベルトにおいてJIS-L-1096滴下法
による撥水性能が30秒以上となり、防汚性が発現され、
長期間使用しても収納性が低下しない優れたシートベル
トを提供することができる。
【0015】繊維―金属(梨地)間静的摩擦係数は、0.
16以下が好ましく、0.20を超えると収納性が低下してし
まう。繊維―金属(梨地)間静的摩擦係数の保持率は80
%以上が好ましく、更に好ましくは85%以上である。75
%未満では収納性の耐久性が不充分となる。また、繊維
―金属(梨地)間動的摩擦係数は、0.16以下が好まし
く、繊維―金属(梨地)間動的摩擦係数の保持率は90%
以上が好ましい。
【0016】また、繊維―繊維間静的摩擦係数に関して
は、0.16以下、繊維―繊維間動的摩擦係数に関しては、
0.20以下が好ましい。更に、繊維―繊維間静的摩擦係数
の保持率に関しては、75%以上、繊維―繊維間動的摩
擦係数の保持率に関しては、90%以上が好ましい。
【0017】シートベルトにおいてJIS-L-1096滴下法に
よる撥水性能は30秒以上であるが、好ましくは、60秒
以上、更に好ましくは、120秒以上である。30秒未
満では、収納性の耐久性が不充分である。
【0018】本発明において、上記の特性を発現させる
加工剤は、アミノ基含有オルガノポリシロキサンとアミ
ノ基含有シランカップリング剤であるが、アミノ基含有
オルガノポリシロキサンの割合は加工剤有効成分全体の
50〜98wt%であり、好ましくは70〜98wt%である。ま
た、シランカップリング剤の割合は2〜50wt%であり、
より好ましくは2〜30wt%である。
【0019】さらに、この加工剤が有効成分を0.1〜60w
t%とする濃度の水系エマルジョン液であると、付与す
る加工剤の浸透性が大きく、シートベルトウェビングに
付与した際、加工剤がシートベルトの表面にはもちろ
ん、それを構成する内部のフィラメントの表面にも均一
にコートさせることができる。
【0020】したがって、ウェビングの表面が樹脂でコ
ートされていた従来のシートベルトのように、シートベ
ルトを構成する繊維層と、表面の樹脂層に別れることが
ない。このため、本発明のシートベルトは、長期間の使
用による表面樹脂層の剥がれが無い。
【0021】また、本発明のシートベルトの場合、長期
間の使用により表面の繊維が削られたとしても、ベルト
の内部繊維にまで加工剤が付与されて防汚性が発現され
るため、削りクズ、ゴミ、汚れなどがベルトの内部に滞
留することがなく、収納性に優れた効果を長期間にわた
り得ることができる。
【0022】また、本発明で使用する加工剤中の主成分
であるアミノ基含有オルガノポリシロキサンはアミノ基
を側鎖、片末端、両末端もしくは側鎖と両末端の両方の
いずれかに導入されていれば良い。
【0023】また、導入されるアミノ基の例としては、
一般式(A)もしくは一般式(B)が挙げられる。式中の
Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、R1
2、R3は炭素数1〜20のアルキレン基やアリーレン
基などの2価の炭化水素基であり、これらは同一であっ
て異種であってもよい。
【0024】−R1NHR 一般式(A)
【0025】−R2NHR3NH2 一般式(B)
【0026】本発明の加工剤で使用するアミノ基含有の
オルガノポリシロキサンはアミノ変性オルガノポリシロ
キサンであり、シートベルトの収納性やベルト内部繊維
への浸透性のために、アミノ変性量は0.1〜15wt%程度
が好ましい。アミノ変性量が0.1wt%以下であるとシー
トベルトを構成しているポリエステル繊維との接着耐久
性が落ち、摩擦耐久性が悪くなり、所望の効果が得られ
にくくなる。また、アミノ変性量が15wt%以上である
と、摩擦性能が悪くなり、所望の効果が得られにくくな
る。
【0027】また、本発明で使用している加工剤中の主
成分であるアミノ基含有のシランカップリング剤は一般
式(C)で示されるアミノ基含有シラン化合物である。
【0028】(R43Si−X 一般式(C)
【0029】一般式(C)において、R4は、炭素数1〜
5のアルキル基又は/及びアルコキシ基であり、Xは前
記の 一般式(A)又は(B)のアミノ基である。
【0030】本発明で使用する加工剤には主成分である
アミノ基含有のオルガノポリシロキサンとアミノ基含有
のシランカップリング剤のほかに静電気防止剤、pH調
整剤、界面活性剤や紫外線吸収剤などの添加剤を配合し
ても構わない。その際、添加剤の割合はどれも加工剤有
効成分中に0〜15wt%の範囲が好ましい。
【0031】本発明のシートベルトに付与する加工剤は
シートベルトウェビングへの浸透性を考慮し、0.1〜30w
t%濃度の水系エマルジョン液にして用いることが望ま
しいが、シートベルトウェビングへの付着性や浸透性が
損なわれないならば、さらに高濃度の水系エマルジョン
液で用いても良い。また、有機溶媒で希釈し、加工剤と
して用いても良い。特に好ましくは0.1〜20wt%濃度の
水系エマルジョン液が良い。
【0032】0.1〜30wt%濃度の水系エマルジョンの加
工剤にして用いる場合、その加工剤のシートベルトウェ
ビングへの浸透性はバイレック法(JIS-L-1096準拠)を
用いて、60秒後に35cm以上の浸透性を有することが、ウ
ェビングへの付着やその内部繊維への浸透のために好ま
しい。バイレック法にて35cm以下の場合、シートベルト
ウェビングの内部繊維にまで加工剤が浸透できず、収納
性向上のための性能が落ちる。
【0033】本発明のシートベルトを得るための加工剤
の付与方法は特に限定はいないが、通常は加工剤の主成
分を含有する水系エマルジョンをスプレーや浸漬などの
方法によって、シートベルト用原糸を製織してウェビン
グとした後の任意の段階で、繊維に均一に付与させれば
よい。その後、熱処理によって繊維表面に皮膜を形成さ
せる方法が好ましい。
【0034】その際、熱処理温度は110〜200℃が好まし
い、さらに好ましくは、150〜185℃である。110℃より
低温で処理した場合、反応が十分に進まず未反応部分が
繊維表面に残り、摩擦性能を悪くする原因となる。ま
た、200℃より高温の場合、黄変等の品質上の問題があ
り好ましくない。熱処理時間は1〜30min、好ましくは3
〜20minである。熱処理時間が1min未満の場合、反応が
十分に進まず未反応部分が繊維表面に残り、摩擦性能を
悪くする。また、処理時間が30minを超えると品質上の
トラブルが発生し、好ましくない。また、熱処理温度が
110℃より低温で処理した場合、もしくは熱処理時間が1
min未満の場合、反応が十分でないため、撥水、撥油性
能も悪くなり、得られたシートベルトは水系、油系の汚
れをはじかないため、その内部に汚れが溜まり、シート
ベルトの収納性不良原因へとつながる。
【0035】また、加工剤の付与量は、ウェビングを構
成する繊維重量あたり有効成分が0.1〜5.0wt%付与され
ることが好ましい。さらに好ましくは、0.2〜3.0wt%で
ある。
【0036】このような本発明のシートベルトは、ウェ
ビングに加工剤を付与することによって、シートベルト
に要求される所望の収納性を満足させることが出来るの
で、本発明の方法にて加工されたシートベルトウェビン
グは従来のような樹脂や樹脂の混合物のコートを施すこ
となくシートベルトに用いることが出来る。
【0037】さらに、本発明のシートベルトは、従来の
ウレタン樹脂コートシートベルト、または混合樹脂コー
トシートベルト、またはポリエーテルポリエステルとシ
リコンの処理剤が付与されているシートベルトと比較し
て、撥水性が大変良好であるため、汗や飲料水等の水系
の汚れ等がベルト内に浸透せず、汚れがウェビング内外
に溜まることによって収納性が悪くなるということも無
い。そのため、本発明のシートベルトは、汚れを防ぎ、
より良好な収納性を長期間維持できる。
【0038】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明についてさら
に詳述する。以下の実施例及び比較例における評価法
は、次の方法で実施したものである。
【0039】(イ)糸摩擦係数:摩擦係数試験(JIS-L-
1015、1095)に準じて、繊維―繊維間(F/F)静的、動
的摩擦係数、繊維―金属間(F/M)静的、動的摩擦係数
を測定した。(静的摩擦係数(μs)はシートベルトを
着用する際、ガイドスルーとシートベルトの動き出し時
の摩擦をあらわし、動的摩擦係数(μd)はシートベル
トを動かしている間にガイドスルーとシートベルトの間
で発生する摩擦をあらわしている。摩擦係数は、静的、
動的共に低いほど、シートベルトの収納性に優れる。測
定試料は、シートベルトを解反し、その解反糸を使用し
た。また、摩耗後の測定試料は、六角棒摩耗試験にて摩
耗されたシートベルトの解反糸を使用した。
【0040】(ロ)六角棒摩耗試験:耐摩耗性試験(JI
S-D-4604)に準じて、シートベルトに2.4kgの荷重をか
け、六角棒上を往復1000回摩耗し、摩耗状態にあるシー
トベルトを得た。
【0041】(ハ)摩耗前後の状態観察:六角棒摩耗試
験にて作成したシートベルトの摩耗状態を、日立製走査
型電子顕微鏡(SEM)を使用し、倍率は60倍にて表面状
態を観察した。評価後の結果は下記の基準によって表示
した。 ◎→全く摩耗された様子が観察されない。:図1参照 ○→筋状の摩耗状態が観察される。:図2参照 △→コート剤が剥がれている様子が観察される。:図3
参照 ×→コート剤が激しく剥がれている様子が観察され
る。:図4参照
【0042】(ニ)加工剤の撥水・撥油性(秒):滴下
法(JIS-L-1096)に準じて、シートベルトに撥水性評価
の場合は水滴を、撥油性評価の時は油滴を落下させ、水
滴、油滴が試験片上に達した時から、その水滴、油滴が
特別な反射をしなくなるまでの時間を測定した。特別な
反射をしなくなるまでの時間が長い程、シートベルトの
撥水、撥油性が良好であることを示している。
【0043】実施例1及び比較例1〜5 ポリエステル製シートベルト原糸を用いて通常の方法で
製織してシートベルトウェビングを製織した。得られた
シートベルトウェビングは、1400dtex/108fの原糸使い
の綾織で構成されたウェビングである。その後、このウ
ェビングを通常の方法で染色し、それに各々の加工剤を
付与し、熱処理を施した。実施例、比較例における加工
剤の種類、熱処理条件、加工剤有効成分中におけるアミ
ノ基含有オルガノポリシロキサンとアミノ基含有シラン
カップリング剤の割合、シートベルトウェビング総重量
に対する加工剤の有効成分量を表1に示した。
【0044】なお、実施例における加工剤の主成分とし
てアミノ基含有オルガノポリシロキサンは、下記の構造
式(a)で示される化合物である。
【0045】
【化1】 また、アミノ基含有シランカップリング剤は下記の構造
式(b)で示される化合物である。
【0046】
【化2】
【0047】
【表1】
【0048】得られたシートベルトについて、その特性
を評価した結果を表2に示した。
【0049】
【表2】
【0050】表2からも明らかなように、本発明による
実施例1の場合は、初期の糸の静的、動的摩擦係数が共
に低く、シートベルトを収納する際にかかる動き出し時
点での摩擦特性も低く、シートベルト収納中の摩擦特性
も低いため、シートベルトの滑り性が良好である。しか
も、摩耗後においても高い保持率を有しており、その摩
擦特性はほとんど低下していない。
【0051】また、実施例1のシートベルトに付与され
ている加工剤の耐久性は、電子顕微鏡写真(SEM写真:
図1〜4参照)からもわかるように大変優れており、加工
剤の浸透性にも優れているためシートベルトウェビング
内部繊維にも加工剤が十分に付与されており、耐摩耗性
に優れたシートベルトを得ることができる。さらに、実
施例1のシートベルトは撥水・撥油性にも優れているた
め、水系、油系の汚れがベルト内に入り込まず、シート
ベルト内の汚れの滞留を防ぐ。
【0052】これに対し、本発明で特定した熱処理条件
で加工していない比較例1、2の場合、及び本発明で特定
したアミノ基含有量を満たしていない比較例3の場合、
及び加工剤有効成分中のアミノ基含有オルガノシロキサ
ンとアミノ基含有シランカップリング剤の割合が適正で
ない比較例4の場合、及び従来のウレタンコート樹脂を
付与した比較例5の場合は、静的、動的共に摩擦特性が
実施例1のシートベルトと比較して悪く、摩耗後の摩擦
特性も悪いため、シートベルトの滑り性が初期の段階で
も不十分であり、その耐久性も乏しい。また、電子顕微
鏡写真からも明らかなように、比較例1〜5のシートベル
トに付与されている加工剤は摩耗され、剥がれている様
子が観察される。特に比較例5のシートベルトは摩耗が
激しいため、比較例5に付与されているコート樹脂の耐
摩耗性は低い。
【0053】さらに、比較例5のシートベルトの場合、
主成分にアミノ基含有オルガノポリシロキサンおよび、
アミノ基含有シランカップリング剤を併用した加工剤を
付与し熱処理したシートベルトと比較すると、撥水・撥
油性共に劣るため、水系、油系の汚れがベルト内に入
り、溜まることによって、さらにシートベルトの収納性
を悪化させる原因となる。
【0054】
【発明の効果】本発明のシートベルトは、シートベルト
の表面だけでなく、ベルトを構成する内部繊維まで摩擦
特性を十分に低下させているため、初期の滑り性を十分
に高めることができ、しかも、その滑り性を長期間の使
用後も良好に維持することができる。さらに、撥水性能
に優れており、撥油性能も兼ね備えているため、汚れを
防ぐ効果があり、初期の収納性はもちろんのこと、その
耐久性、耐摩耗性共に良好な収納性に優れたシートベル
トである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシートベルトの摩耗試験後のシートベ
ルトの表面状態において、◎と判定される表面の走査型
電子顕微鏡写真(倍率60倍)である。
【図2】本発明のシートベルトの摩耗試験後のシートベ
ルトの表面状態において、○と判定される表面の走査型
電子顕微鏡写真(倍率60倍)である。
【図3】比較例のシートベルトの摩耗試験後のシートベ
ルトの表面状態において、△と判定される表面の走査型
電子顕微鏡写真(倍率60倍)である。
【図4】比較例のシートベルトの摩耗試験後のシートベ
ルトの表面状態において、×と判定される表面の走査型
電子顕微鏡写真(倍率60倍)である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シートベルトの構成糸がJIS-L-1015に準じ
    た繊維―金属(梨地)間静的摩擦係数が0.20以下であ
    り、JIS-D-4604耐摩耗性試験に準じた1000回摩耗後の前
    記繊維―金属(梨地)間静的摩擦係数の保持率が75%以
    上であり、かつシートベルトにおけるJIS-L-1096滴下法
    による撥水性能が30秒以上であることを特徴とする収納
    性に優れたシートベルト。
  2. 【請求項2】前記の撥水性能が、アミノ基含有オルガノ
    ポリシロキサンとアミノ基含有シランカップリング剤と
    を併用した加工剤を保有することにより発現されている
    ことを特徴とする請求項1記載の収納性に優れたシート
    ベルト。
  3. 【請求項3】前記の加工剤が、アミノ基含有オルガノポ
    リシロキサン50〜98wt%とアミノ基含有シランカップリ
    ング剤2〜50wt%とを含有することを特徴とする請求項2
    記載の収納性に優れたシートベルト。
  4. 【請求項4】ポリエステル繊維製シートベルトウェビン
    グに、アミノ基含有オルガノポリシロキサンおよびアミ
    ノ基含有シランカップリング剤を併用した加工剤を付与
    し、熱処理したことを特徴とする収納性に優れたシート
    ベルトの製造方法。
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