JP3760514B2 - シートベルトウェビングの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、シートベルトウェビングの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、シートベルト格納性が良好で、且つ、摩耗後も格納性を良好に保持でき、格納耐久性に優れたシートベルトを得るために有効なシートベルトウェビングの製造方法に関するものである。
【従来の技術】
従来、シートベルト用原糸を製織してウェビングとし染色した後、シートベルトの引き出しと格納を円滑にするため、即ち格納性向上のために、樹脂コートを施すことが一般に行われている。また、シートベルト用原糸には、その紡糸・延伸工程において紡糸油剤などの種々の処理剤が付与されている。
例えば、シートベルトの耐摩耗性改善のためのコート樹脂としては、ウレタンプレポリマーブロック化合物を主成分とする樹脂が知られている(特公平4−66948号公報)。この場合、ウレタンプレポリマーブロック化合物を主成分とする樹脂をシートベルトウェビングに付与し、加熱処理を施すことによって架橋を生じさせて初期の滑り性の絶対値を大きく向上させ、これによって長期間の使用によって滑り性が低下した後も所望水準の滑り性を得ることを意図している。
また、従来のシートベルト原糸用の処理剤としては、分岐アルコールと高級脂肪酸のエステルと非イオン活性剤との組成物を主成分とする処理剤(例えば特開平2−175966号公報)が知られている。即ち、このシートベルト原糸用処理剤は、分岐アルコールと高級脂肪酸のエステルとを平滑剤として用い、プロピレンオキサイドを含有しない非イオン活性剤を用いることによって、耐光性を改善しようとするものである。
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、樹脂コートされたシートベルト、特に前者のような架橋タイプの樹脂でコートされたシートベルトの場合は、ベルト表面が硬くなるので長期間使用していると、シートベルトの出し入れ補助用ガイドであるスルー(ナイロン樹脂製)との繰り返し擦過により、表面にコートされた樹脂が徐々に削り取られて脱落していく。さらに、ベルト表面に汚れ物が徐々に付着していく。これらの結果、経時的に、ベルトの格納や引き出しがスムースにいかなくなり、格納性が経時的に著しく低下していくという大きな問題があった。
また、後者のような従来の原糸付与処理剤の場合、樹脂コートなしのノンコートベルトとして用いると樹脂の脱落等による急激な滑り性の低下はないものの、繊維−繊維間摩擦や繊維−金属間摩擦を十分に低下させることができず、初期の滑り性が劣り、しかも耐摩耗性も劣るという大きな問題があり、実用化に至っていない。
そこで、本発明の主な目的は、上述した従来技術における問題点を解決し、シートベルトウェビングに低摩擦化処理剤を付与することにより、シートベルトを構成する繊維の摩擦特性が十分に低く、シートベルトの初期の滑り性が十分に高いとともに、その滑り性等の特性を長期間の使用後も良好に維持することができるシートベルト、即ち、格納性もその耐久性も優れさらに耐摩耗保持率にも優れたシートベルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のシートベルトウェビングの製造方法は、製織・染色したシートベルトウェビングに、平均分子量1000〜3000のポリエーテル化合物と、シリコーン系化合物及び極圧剤成分を含有した低摩擦化処理剤を付与することを特徴とする。
ポリエーテル化合物は粘度が1000〜3000センチポイズであり、その配合量は処理剤全体の30重量%以上であることが好ましい。また、そのポリエーテル化合物とともに、シリコーン系化合物及び極圧剤成分とを含有する。
また、その処理剤が有効成分1〜20重量%濃度の水系エマルジョン液であって、25℃における表面張力が35ダイン/cm以下、かつ、25℃におけるキャンパス法浸透性が15秒以下であるシートベルト用低摩擦化処理液として処理に用いられることが好ましい。さらにまた、その処理剤の繊維への付着量は0.05〜5.0重量%が好ましい。
このような本発明の処理剤は浸透性が大きいので、シートベルトウェビングに付与した場合には、処理剤をシートベルト表面にも、それを構成する内部のフィラメントの表面にも均一にコートさせることができる。従って、表面が樹脂コートされた従来のシートベルトのように樹脂層とベルト(繊維)層との2層構造とはならないから、長期間の使用によってベルト表面部の繊維が削り取られても、ベルト内部の繊維にも処理剤が十分に付着していて低摩擦性であるので、格納性もその耐摩耗保持率もともに高いシートベルトとすることができる。
【発明の実施の形態】
本発明の処理剤で使用するポリエーテル化合物は、滑り性や原糸又はウェビングの内部への浸透性のために、平均分子量が1000〜3000であることを要する。好ましくは平均分子量1500〜2500がよい。さらに、その粘度(25℃で測定)は1000〜3000センチストークスであることが、特に1500〜2500センチストークスであることが好ましい。その平均分子量や粘度が小さ過ぎる場合には油膜の強さが不十分となり摩耗後の滑り性が悪くなるので、所望の効果が得られ難い。また、その平均分子量や粘度が大き過ぎる場合には摩擦特性を十分に改善できないので、滑り性が悪くなり、所望の効果が得られ難い。
そのポリエーテル化合物としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ヒドロフラン等から誘導される重合体が挙げられる。その重合体を構成するモノマーは1種のみでもよいし複数種でもよい。また、低分子のアルコールを原体にして重合されたポリエーテル化合物でもよい。
なお本発明でいう平均分子量はGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)等で測定される数平均分子量である。
さらに、ポリエーテル化合物は、常温(20〜25℃)において液状を保つことができる物であることが好ましい。これは、処理剤が付与されたシートベルトが日常的に使用される常温条件下でペースト状とならずに液状を保持でき、低摩擦性という所期の機能が使用時に十分に発揮できるからである。
上記ポリエーテル化合物は、処理剤全体の30〜100重量%を占めることが好ましく、その1種のみの使用でもよいし2種以上の併用でもよい。その含有量が30重量%未満ではそのポリエーテル化合物による所期の効果が十分に発揮され難く、シートベルトの滑り性や摩耗後の滑り性の点から好ましくない。好ましくは40〜100重量%がよい。
本発明に使用する低摩擦化処理剤は、上記ポリエーテル化合物の他に、シリコーン系化合物(B)及び/又は極圧剤成分(D)を含有する。また、さらに、上記以外の平滑剤成分(C)や界面活性剤成分(E)等を含んでいてもよい。それらの含有量の合計は多くとも70重量%とすることがよい。
そのシリコーン系化合物(B)としては、25℃における粘度が100〜10000センチポイズの粘度を有するジメチルポリシロキサンやメチルフェニルポリシロキサン、さらに、アミノ変性、ポリエーテル変性、カルボキシ変性またはアルキル変性などの変性シリコーンがあげられる。好ましくは、25℃における粘度が200〜7000センチストークスのジメチルポリシロキサンやアミノ変性シリコーンである。
シリコーン系化合物(B)の配合量は、処理剤全体の2〜50重量%を占めることが好ましい。特に5〜35重量%が好ましい。2重量%未満では、シリコーン化合物を配合したことによる効果が十分に発揮できないので、低温時(例えば極寒地域での冬期の気温のような氷点下)における滑り特性、即ち低温時での格納性が不十分となる。50重量%を越えるほどに多いと、前記したポリエーテル化合物の効果が十分に発揮されず、油膜強度が弱くなって摩耗後の滑り性が悪化するので、所望の摩擦特性が得られ難い。
その平滑剤成分(C)としては、鉱物油(精製スピンドル油、流動パラフィン)、動植物油(ヤシ油、ヒマシ油など)、脂肪酸エステル(イソステアリルラウレート、オレイルオレート、ジオレイルアジペートなど)、アルキルエーテルエステル(ラウリルアルコールのエチレンオキサイド2モル付加物ラウレート、トリデシルアルコールのエチレンオキサイド3モル付加物ラウレートなど)及びワックスなどがあげられ、これらのうちで好ましいものは、脂肪酸エステルおよびアルキルエーテルエステルである。その平滑剤成分(C)を配合する場合には、その割合は5〜30重量%、特に10〜20重量%の範囲がよい。
極圧剤成分(D)は、処理剤の油膜強度を高める作用を有する成分であり、例えば、オレイン酸石鹸、エルシン酸石鹸などの脂肪酸石鹸、ラウリルホスフェートカリウム塩、オレイルホスフェートナトリウム塩などの有機ホスフェート塩、ラウリルスルフォネートナトリウム塩、及び、ドデシルベンゼンスルフォネートナトリウム塩などの有機スルフォネート塩などがあげられる。
その極圧剤成分(D)の配合割合は0.02〜10重量%、特に1〜5重量%の範囲がよい。0.02重量%未満では油膜強度を高めるという作用が十分に発揮され難く好ましくない。また、10重量%を越えると粘度上昇が大きくなって滑り性が悪化してくるので好ましくない。
また、界面活性剤(E)としては、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物(オクチルアルコールのエチレン・プロピオンオキサイド付加物、ステアリルアルコールのエチレン・プロピオンオキサイド付加物、オレイルアルコールのエチレンオキサイド付加物など)、多価アルコールエステルのアルキレンオキサイド付加物(硬化ヒマシ油のエチレンオキサイド25モル付加物、ソルビタントリオレートのエチレンオキサイド20モル付加物など)があげられる。
その界面活性剤成分(E)を配合する場合には、その割合は5〜20重量%、特に10〜15重量%の範囲がよい。
さらに、本発明に使用する低摩擦化処理剤には、前記した各成分の他に、アルカリ金属、アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物などのPH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤およびフッ素化合物などのその他の添加剤を必要に応じて配合してもよい。
上記PH調整剤を配合する場合には、その割合は0.02〜10重量%、特に0.03〜8重量%の範囲がよい。それ以外の添加剤を配合する場合には、それらの割合は、0.02〜10重量%、特に0.03〜5重量%の範囲がよい。
本発明に使用する低摩擦化処理剤は、1〜20重量%濃度の水系エマルジョン液としてシートベルトウェビングの処理に用いることが好ましいが、ウェビングへの付着性や浸透性が損われないならば、さらに高濃度の水系エマルジョン液で用いてもよいし、実質的に希釈なしの原液状態で用いてもよいし、また、有機溶媒で希釈した処理液として用いてもよい。特に好ましくは、2〜10重量%濃度の水系エマルジョン液がよい。
1〜20重量%濃度の水系エマルジョンの処理液にして用いる場合、その処理液の25℃における表面張力は35ダイン/cm以下、25℃におけるキャンパス浸透性が15秒以下であることが、ウェビングへの付着及びそれらの内部への浸透のために好ましい。その表面張力が35ダイン/cmを超える場合はウェビングへの付着性が不十分となり易い。また、キャンパス浸透性が15秒を超える場合には、処理剤の浸透性が悪くなり易いので、格納性の耐久性を高めるために好ましくない。
本発明の低摩擦化処理剤は、処理剤を乳化させた水系エマルジョン処理液のような処理液にして、シートベルトウェビングに付与してもよい。
また、シートベルト用原糸を製織してウェビングとした後の段階で低摩擦化処理剤を付与する方法としては、ウェビングを液中に浸漬する方法や、ウェビング表面に液を吹付ける方法等の任意の方法でもって付与すればよい。ウェビングを染色する場合には、その染色の後に低摩擦化処理剤を付与する。
処理剤の付着量は、繊維に対する処理剤有効成分の量で0.05〜5.0重量%であればよく、0.1〜1.5重量%が好ましい。
このような本発明に使用する低摩擦化処理剤は、ウェビングに付与することによってシートベルトに要求される所望の低摩擦特性を満足させることができるので、従来のような樹脂コートを施すことなくシートベルトに用いることができる。
さらに、本発明に使用する低摩擦化処理剤は、従来の樹脂コートに比較して浸透性が格段に優れているので、ウェビングの内部へも大きく浸透し、処理剤をシートベルトウェビングの表面にも、それを構成するベルト内部のフィラメントの表面にも均一にコートさせることができる。従って、ベルト表面のみが樹脂コートされた従来のシートベルトのような樹脂層とベルト(繊維)層との2層構造とはならないから、長期間の使用によってベルト表面部の繊維が削り取られても、ベルト内部の繊維にも処理剤が付着していて低摩擦性であるので、高い格納性を維持することができ、格納性の耐摩耗保持率が高いシートベルトとできるのである。
本発明の低摩擦化処理剤が付与されるシートベルトウェビングとしては、ポリエステル繊維等の合成繊維からなるシートベルトウェビングや、カーボンブラックのような顔料によつて着色されたポリマから構成される原着繊維からなるシートベルトウェビングがあげられる。
本発明の低摩擦化処理剤をウェビングに付与されて得られるシートベルトが、従来のシートベルトに比べ、特に長期間使用した後の滑り性において格段に優れる、即ち格納耐久性に優れるという理由は、以下の作用メカニズムによるものと考えられる。
従来のシートベルトでは、例えばウレタンプレポリマーブロック化合物を主成分とする樹脂をベルトに塗布する(特公平4−66948号公報)ことによって滑り性を改良しているが、前記した通り、ベルト表面に被覆された樹脂層が長期間のベルトの繰り返し脱着時の摩耗によって剥離し、滑り性が著しく悪化していくという問題点を有していた。場合によっては、摩耗して剥離した樹脂がスカム状となってかたまったり、摩耗した部分に汚れ物質が付着して、滑り性の異常を生じることもあった。そのため、より耐摩耗性の優れた樹脂の開発や、樹脂層を比較的厚く塗布する方法等の多くの試みがなされてきたが、十分満足するものは得られていなかった。
一方、本発明ではベルトの滑り性をコート樹脂層に依存せずに、ベルトを構成する糸条の個々のフィラメントの表層に滑り性を付与し、それによって所望の滑り性を得ようとするものである。
従来のシートベルトにコートされた樹脂層はベルトの表面を被覆しており、通常、樹脂はベルトの内部にはその一部が浸透しているに過ぎない。即ち、ベルトの最内層部に位置するフィラメントの表面にはコート樹脂が達しておらず、これは、ベルトを分解した繊維の表面物質を分析することにより確認できる。
ところが、本発明の処理剤を付与するとベルト表面だけでなく、ベルトの最内層部にも処理剤が十分に浸透し、ベルト最内層を構成する糸条の各々のフィラメントの表面にも付着しているのであり、この点において、従来のシートベルトと大きく異なる。
なお、シートベルトウェビングを染色によって着色する場合は原着よりも微妙な色調を得ることが可能であり、この場合には、本発明に使用する処理剤はその染色の後のウェビングに付与する。
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明についてさらに詳述する。以下の実施例及び比較例における評価は、次の方法で行い、表示したものである。
処理液の表面張力(ダイン/cm): 25℃の条件下で処理液の表面張力を協和界面科学(株)製のCBVP−A3型自動表面張力計を用いて測定する。
処理液のキャンパス浸透性(秒): 100ccビーカーに処理液を入れ、25℃の恒温槽で15分間温度調整した後に、液表面に2cm×2cmの大きさで3mmの厚みのウールフェルトを静かに浮かべ、液中に沈降するまでの時間(秒)を測定する。5回の測定を行ない平均値を算出する。
スルーとの滑り摩擦(%): シートベルトの一方の端に500gの荷重をセットし、その中間部をスルーに挿通し、他方の端に角度20°で10kgロードセルをセットする。そのロードセルで荷重を引上げる際の強力(F1)及び荷重を基に戻す際の強力(F2)を測定し、(F2/F1)の平方根×100 の値を滑り摩擦(%)とする。その滑り摩擦の値が高い程、摩擦特性が小さく格納性に優れる。
摩耗後の滑り摩擦(%): シートベルトを、サンドペーパー(No.500)を摩擦体にして400gの荷重をかけて往復500回摩擦させてベルト表面を摩耗させる。摩耗後にスルーとの滑り摩擦を上記と同様の方法で測定し、摩耗後の滑り摩擦(%)とする。
六角棒摩耗保持率(%): 耐摩耗性試験(JIS−4604法)に準じて、5000回摩耗後のシートベルトの強力を測定し、摩耗前の強力から強力保持率を算出する。
実施例1〜2及び比較例1〜3
ポリエチレンテレフタレートベースチップ(カーボンブラック含まず)を溶融紡糸に供し、通常の方法で溶融紡糸し、紡糸速度500m/分で引取り、巻取ることなく引続いて、245℃のホットローラーを用いる2段延伸により、全延伸倍率5倍に熱延伸し、巻き取り、1500デニール144フィラメントのポリエステルフィラメント糸を製造した。
得られたポリエステルフィラメント糸を用いて通常の方法で製織してシートベルトウエビングを製造し、通常の方法で黒色に染色し、さらに、表3の組成からなる処理剤の5重量%濃度の水エマルジョン溶液に侵漬し、繊維総重量に対する処理剤有効成分量で0.5重量%の処理剤を付着させた後、110℃で3分間予備乾燥し、次いで150℃で3分間加熱処理してシートベルトを製造した。
表1における処理剤成分の各記号は下記に示す化合物を表わすものである。A1〜A3は本発明で特定したポリエーテル化合物であり、B1はシリコーン系化合物(B)であり、C1〜C2はそれ以外の平滑剤成分(C)であり、D1〜D2は極圧剤成分(D)であり、E1は界面活性剤成分(E)である。また、R1〜R2は、従来の樹脂コートにおいて用いられている樹脂成分である。
A1・・ポリテトラメチレングライコール・エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド・コポリマー(分子量2500、粘度2800)
A2・・ブチルアルコール・エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物(分子量2500、粘度2100)
A3・・ブチルアルコール・エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物(分子量500、粘度900)
B1・・アミノ変性シリコーン
C1・・オレイルオレート
C2・・イソステアリルオレート
D1・・ラウリル(EO)2ホスフェートK塩
D2・・イソステアリルアルコール(EO)3ホスフェートNa塩
E1・・ラウリルアルコールPO・EO付加物(分子量1500)
R1・・ヒドロキシ含有シリコン、ウレタンプレポリマーブロック化物が主成分の樹脂
R2・・メチロールメラミン樹脂
【表1】
注) 表1中の数字は重量%を示す。
処理剤を付着させて得られたシートベルトについて、その特性を評価した結果は、表2に示すとおりであった。
【表2】
表2から明らかなように、本発明方法にて得られたシートベルトは、シートベルト格納性、その耐久性及び摩耗耐久性に優れたものであった。
これに対し、ポリエーテル化合物の平均分子量が本発明外である比較例1の場合、及び、従来のコート樹脂を付与した比較例2〜3の場合は、初期の滑り製は優れるものの摩耗による滑り性悪化が大きく、摩耗後の滑りは不満足なものであった。さらに、摩耗耐久性も劣っていた。
【発明の効果】
本発明の方法によれば、格納性および耐久性に優れたシートベルトを得ることができる。しかも、その処理剤が付与されてなるシートベルトは、それを構成するウェビングの摩擦特性が十分に低く、シートベルトの初期の滑り性が十分に高いとともに、その滑り性等の特性を長期間の使用後も良好に維持することができるので、格納性もその耐久性も耐摩耗保持率もともに優れたシートベルトとすることができる。
特にポリエステル繊維からなるシートベルトの場合に効果的であり、滑り性、耐摩耗性、格納性がともに優れたポリエステル繊維製シートベルトを得ることができる。
Claims (5)
- 製織・染色したシートベルトウェビングに、平均分子量1000〜3000のポリエーテル化合物と、シリコーン系化合物及び極圧剤成分を含有した低摩擦化処理剤を付与することを特徴とするシートベルトウェビングの製造方法。
- 前記ポリエーテル化合物の粘度が1000〜3000センチストークスであることを特徴とする請求項1記載のシートベルトウェビングの製造方法。
- 前記ポリエーテル化合物が処理剤全体の30重量%以上を占めることを特徴とする請求項1又は2記載のシートベルトウェビングの製造方法。
- 前記低摩擦化処理剤が繊維重量に対して0.05〜5.0重量%付着していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のシートベルトウェビングの製造方法。
- 前記低摩擦化処理剤が有効成分1〜20重量%濃度の水系エマルジョン液であり、25℃における表面張力が35ダイン/cm以下、かつ、25℃におけるキャンパス法浸透性が15秒以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のシートベルトウェビングの製造方法。
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