JPH1086899A

JPH1086899A - 航空機客室用の監視ミラー

Info

Publication number: JPH1086899A
Application number: JP8281236A
Authority: JP
Inventors: Sakae Komiyama; 栄小宮山; Yoshinori Koyama; 嘉徳小山
Original assignee: KOMII KOGEI KK
Current assignee: KOMII KOGEI KK
Priority date: 1996-09-17
Filing date: 1996-09-17
Publication date: 1998-04-07
Also published as: EP0829738A3; DE69724368D1; EP0829738A2; DE69724368T2; EP0829738B1; US5847889A

Abstract

(57)【要約】【課題】平面状でありながら凸面鏡相当の広角な視野
を有し、客室内にスペースを取らないように貼り付ける
ことができ、かつ航空機用途に不可欠な軽量性と防炎性
とを備えた航空機客室用の監視ミラーを提供する。【解決手段】平面状の透明プラスチック板１の裏面に
多数の径の異なる環状溝２を同心状に形成して凹レンズ
機能のフレネルレンズにすると共に、該裏面に反射膜３
を施して透明プラスチック板１の表面側に凸面鏡機能を
与える。さらに、該反射膜３を施した裏面に両面接着テ
ープ４を介して金属薄板５を貼り付けてなるものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、航空機客室用の監
視ミラーに関し、さらに詳しくは、平面状でありながら
広角の視野を有し、かつ軽量性と防炎性とを備えた航空
機客室用に好適な監視ミラーに関する。

【０００２】

【従来の技術】旅客航空機において、乗務員（スチュワ
ーデス）に課されている主たる任務は乗客の安全確保に
ある。しかし、近年のように旅客航空機が大型化して、
１機当たりの輸送乗客数が数百人規模にもなると、乗務
員一人当たりが担当する乗客数も増加し、ますます上記
任務が厳しくなってきている。

【０００３】乗務員が一人で多人数の乗客に対して広く
目配りできるようにする簡便な手段としては、凸面鏡を
客室壁面などに取り付けることが考えられる。しかし、
凸面鏡は１個当たりの重量が大きく、これを客室内の多
数の箇所に分散配置すると、相当の重量増加を招くこと
になる。したがって、軽量性が重視される航空機にとっ
て好ましい対策とはいえない。また、凸面鏡はステーを
介して壁面から突出するように取り付けられるため客室
内に無用のスペースを占め、スペースの限られた航空機
にとって好ましいことではなかった。

【０００４】したがって、上記のような観点から、凸面
鏡を航空機の乗客安全確保用の手段として使用すること
は採用されるに至っていないのが実情である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、平面
状でありながら凸面鏡相当の広角な視野を有し、客室内
にスペースを取らないように貼り付けることができ、か
つ航空機用途に不可欠な軽量性と防炎性とを備えた航空
機客室用の監視ミラーを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明は、平面状の透明プラスチック板の裏面に多数の径の
異なる環状溝を同心状に形成して凹レンズ機能のフレネ
ルレンズにすると共に、該裏面に反射膜を施して透明プ
ラスチック板の表面側に凸面鏡機能を与え、さらに該反
射膜を施した裏面に両面接着テープを介して金属薄板を
貼り付けたことを特徴とするものである。

【０００７】このように平面状の透明プラスチック板の
裏面にフレネルレンズ構造にする環状溝を形成し、その
裏面に反射膜を施したものであるので、平面状でありな
がら広角な視野の凸面鏡機能を有するようにすることが
できる。また、平面状であるので、客室の壁面や天井に
対して面状にスペースを取ることなく貼り付けることが
できる。

【０００８】また、透明プラスチック板を主体に構成さ
れているので軽量であり、かつ裏面側に両面接着テープ
を介して金属薄板を貼り付けているので自己消火性の防
炎性を有し、航空機客室内に使用する材料としての安全
基準に合致するようにすることができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図に示す本発明を実施形態
によって説明する。図１は、本発明の実施形態からなる
航空機客室用監視ミラーを示す縦断面図である。

【００１０】１は透明なプラスチック板で、その裏面に
多数の環状溝２が同心状にかつ階段状に形成されてお
り、その階段状の環状溝２の表面に反射膜３が施されて
いる。このような構成によって透明プラスチック板１の
全体が凸面鏡機能をもつフレネルミラー１０になってい
る。

【００１１】上記のようにフレネルミラー１０を形成し
た透明プラスチック板１の裏面には、両面接着テープ４
を介してアルミニウム等の金属薄板５が貼り付けられ、
さらに金属薄板５の外側に別の両面接着テープ６が貼り
付けられ、その外側に離型紙７が貼り付けられて、航空
機客室用監視ミラーが形成されている。

【００１２】両面接着テープ４は、基材テープ４ａの両
面にそれぞれ接着剤４ｂ，４ｃを塗布して形成され、同
様に、両面接着テープ６も基材テープ６ａの両面にそれ
ぞれ接着剤６ｂ，６ｃを塗布して形成されている。基材
テープ４ａ，６ａには、織編物、不織布、樹脂フィルム
などが好ましく使用され、また接着剤４ｂ，４ｃ；６
ｂ，６ｃには高分子弾性材などが好ましく使用される。

【００１３】図１の構成からなる航空機客室用監視ミラ
ーは、図に鎖線で示すように離型紙７を剥離することに
より、両面接着テープ６の接着剤６ｃを露出させ、この
接着剤６ｃを介して客室の壁面や天井に対して、客室空
間にスペースを占めないように面状に貼り付けることが
できる。

【００１４】図３（Ａ），（Ｂ）は、上記フレネルミラ
ー１０の構造の詳細を示す。透明プラスチック板１は、
裏面に直径が順次変化するように異なる多数の環状溝２
を同心状かつ階段状に設けらている。この環状溝２は溝
底が平面に対し半径方向に傾斜し、かつ直径の大きい環
状溝２ほど、溝底の平面に対する傾斜角が順次大きくな
っている。

【００１５】多数の環状溝２は、図では理解を容易にす
るために粗いピッチで図示されているが、実際には０．
１〜０．５ｍｍ、好ましくは０．２〜０．３ｍｍの細か
いピッチで配置されている。このように細かいピッチで
環状溝２が形成された透明プラスチック板１は、それ自
体が凹レンズ機能をもつフレネルレンズを形成してい
る。

【００１６】さらに、多数の環状溝２が形成された透明
プラスチック板１の裏面には反射膜３が被覆され、この
反射膜３は、アルミニウムなどの金属を真空蒸着或いは
電解メッキすることにより形成される。このように反射
膜３が施されることにより、透明プラスチック板１の表
面側が凸面鏡の機能をもったフレネルミラー１０になっ
ている。

【００１７】すなわち、図３（Ｂ）に示すように、透明
プラスチック板１の表面側に入射した光Ｌは反射膜３で
反射するが、その反射角θが、同心円の中心から遠い環
状溝２の反射膜３から反射した光ほど大きくなるように
変化しているので、凸面鏡と全く同じ機能を有してい
る。

【００１８】図２は、本発明の他の実施形態からなる航
空機客室用監視ミラーである。この監視ミラーは、客室
の壁面や天井への取り付けに当たり、図１の実施形態の
ように両面接着テープを利用せず、ネジを使用するよう
にしたものである。

【００１９】このようなネジ止めにするために、監視ミ
ラーの隅部にバカ孔９ａが貫通するように設けられ、こ
のバカ孔９ａにネジ９ｂを通して壁面或いは天井に固定
するようになっている。また、ネジ止めにしたことによ
り、図１の実施形態で設けた両面接着テープ６は設けら
れず、これに代えて片面接着テープ８が貼り付けられて
いる。

【００２０】この片面接着テープ８は、基材テープ８ａ
の片面に接着剤８ｂを塗布して形成され、その接着剤の
ない側を外側にするように貼り付けられている。ただ
し、この片面接着テープ８は、金属薄板５の外側面の保
護用として設けられたものであり、本発明において必ず
しも必要とされるものではない。

【００２１】本発明において、監視ミラーに使用するフ
レネルミラーとしては、図示の実施例のように必ずしも
環状溝の同心円中心を含むような使用でなくてもよく、
図１に破線で囲んだ長方形Ｙのように、同心円中心から
外れた部分を切り出すようにしてもよい。その切り出し
部分や形状は、客室の壁面或いは天井に貼り付ける位置
に応じて最も良好な視野が得られるように選択すればよ
い。

【００２２】本発明において、透明なプラスチック板に
使用する樹脂としては、透明な樹脂であれば特に限定さ
れない。例えば、ポリカーボネート、ポリアクリル、ポ
リスチレンなどの透明性に優れた樹脂を挙げることがで
きる。これらの中でもポリカーボネートは強度や透明性
の点で最も好適である。

【００２３】また、金属薄板の金属としては、軽金属が
好ましく使用され、特にアルミニウムが最も好ましい。
この金属薄板の厚さとしては、０．１〜２ｍｍ、好まし
くは０．２〜１ｍｍの範囲にすることが好ましい。この
ような金属薄板を透明プラスチック板に貼り付けること
により、監視ミラーに対して航空機客室用材料に規定さ
れた下記２種類の防炎性要件をいずれも満足させること
ができる。

【００２４】すなわち、運輸省規定により航空機客室用
材料に規定された防炎性要件は、垂直燃焼試験をした場
合、自己消火性のものでなければならないとし、平均燃
焼長さは１５ｃｍを超えてはならず、かつ火源を取り除
いた後の平均燃焼時間は１５秒を超えてはならず、また
試料からの滴下物は落下後、平均時間３秒を超えて燃え
つづけてはならない、とされている。

【００２５】また、乗客定員が２０人以上の飛行機にあ
っては、上記防炎性要件を備えた上に、垂直燃焼試験に
おける平均燃焼長さが２０ｃｍを超えてはならず、かつ
火源を取り除いた後の平均燃焼時間は１５秒を超えては
ならず、また試料からの滴下物は落下後、平均時間５秒
を超えて燃えつづけてはならない、とされている。

【００２６】本発明において、透明プラスチック板に金
属薄板を接着させるために使用する両面接着テープとし
ては、その接着剤が高分子弾性材からなるものが好まし
い。高分子弾性材としては、例えばアクリル系、ウレタ
ン系が好ましい。

【００２７】透明プラスチック板と金属薄板とは互いに
膨張率が異なるので、温度条件によって伸長する長さに
相違が発生し、接着剤の選択によっては相互に剥離を生
ずる場合がある。しかし、上記のような高分子弾性材か
らなる接着剤の場合は、接合部分の変形に追従し、界面
に残留応力が残らないようにするので、上記のような相
互剥離を起こさないようにすることができる。

【００２８】また、両面接着テープの接着剤としては、
非溶剤系のもの（すなわち、溶剤を含有しないもの）で
あることが好ましい。接着剤に溶剤が含有されている
と、それが透明プラスチック板の樹脂を侵すことによっ
て、透明性を低下させて監視ミラーの機能を低下させる
原因になる場合がある。

【００２９】

【発明の効果】上述したように、本発明の航空機客室用
監視ミラーは、平面状の透明プラスチック板をフレネル
レンズ構造にし、その裏面に反射膜を施したものである
ので、平面状でありながら凸面鏡相当の広角な視野を見
渡すようにすることができる。また平面状であるので、
客室の壁面や天井に対して面状にスペースを取ることな
く貼り付けることができる。

【００３０】また、透明プラスチック板を主体に構成さ
れているので軽量であると共に、裏面側に両面接着テー
プを介して金属薄板を貼り付けているので自己消火性の
防炎性を有し、航空機客室用材料としての安全基準に合
致するようにすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態からなる航空機客室用監視ミ
ラーの概要を示す縦断面図である。

【図２】本発明の他の実施形態からなる航空機客室用監
視ミラーの概要を示す縦断面図である。

【図３】（Ａ）は、本発明の監視ミラーに使用されるフ
レネルミラーの概要を示す底面図、（Ｂ）は（Ａ）のＸ
−Ｘ矢視断面図である。

【符号の説明】

１透明プラスチック板２環状溝３反射膜４．６両面接着テープ５金属薄板７離型紙８片面接着テープ１０フレネルミラー

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】平面状の透明プラスチック板の裏面に多
数の径の異なる環状溝を同心状に形成して凹レンズ機能
のフレネルレンズにすると共に、該裏面に反射膜を施し
て透明プラスチック板の表面側に凸面鏡機能を与え、さ
らに該反射膜を施した裏面に両面接着テープを介して金
属薄板を貼り付けたことを特徴とする航空機客室用の監
視ミラー。
【請求項２】前記両面接着テープの両面の接着剤が高
分子弾性材からなる請求項１に記載の航空機客室用の監
視ミラー。
【請求項３】前記両面接着テープの両面の接着剤が非
溶剤系である請求項１又は２に記載の航空機客室用の監
視ミラー。
【請求項４】前記金属薄板の外側に両面接着テープま
たは片面接着テープを貼り付けた請求項１、２又は３に
記載の航空機客室用の監視ミラー。