JP4505194B2 - 化粧室ミラー - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は化粧室ミラーに関し、さらに詳しくは、航空機や鉄道列車等に設置されている化粧室の平面ミラーに簡単に凹面ミラーを付設可能にした化粧室ミラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に旅客航空機の化粧室(ラバトリー)には平面ミラーが設けられている。上級クラスの客室に設けられた化粧室では、平面ミラーを三面鏡にしたものがあり、さらに一部の上級クラスの客室には、三面鏡の平面ミラーの一部に小型凹面鏡を付設して、ヒゲソリなどに便利にしたものがある。
【0003】
上記のように小型凹面鏡が付設してあると、利用者にとって便利であることから、更に普及させようとする動きがある。しかし、凹面鏡は球面の一部を構成し、それ自体が立体構造であるため、これを化粧台の平面ミラーに取り付けるためには、平面ミラーの背面に奥行きのあるスペースをもったものでなければ取り付けることはできない。すなわち、図5に示すように、凹面鏡20の球面を受け入れる深さDの奥行きスペースを持った構造の平面ミラーでなければならないという制約がある。かつ、凹面鏡20を装着するため、平面ミラー10に装着用の嵌合穴30を切削加工しなければならないという問題もあった。
【0004】
したがって、これらの問題から、既存の旅客航空機の化粧室の平面ミラーに小型凹面鏡を取り付けることは簡単ではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来の問題を解消し、化粧室の平面ミラーに凹面ミラーを簡単かつスペースをとることなく付設可能にする化粧室ミラーを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の化粧室ミラーは、平面状透明板の片側表面に、径が順次段階的に変化する多数の環状溝を同心状に形成した凸レンズ型フレネルレンズを形成すると共に、前記環状溝に金属反射膜を被覆して前記片側表面と反対側の表面が鏡面となるフレネル型凹面ミラーを形成し、かつ該フレネル型凹面ミラーの外周エッジを傾斜面に形成して該傾斜面を塗膜の遮光層により被覆した構成にし、該フレネル型凹面ミラーを化粧室の平面ミラーの表面の一部に貼り付けたことを特徴とするものである。
【0007】
このように平面状透明板を凸レンズ型フレネルレンズに形成し、これに金属反射膜を施した平面状のフレネル型凹面ミラーとして、化粧室の平面ミラーに貼り付けるようにしたので、被貼付け側である化粧室の平面ミラーの構造を特に奥行き深さを持ったものだけに限定されることがなく、また凹面ミラーを付設するとき平面ミラーに装着用の穴加工をすることなく、そのまま簡単に貼り付けることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明の化粧室ミラーを例示したものである。
【0010】
平面ミラー1は化粧台(図示せず)の上方にセットされ、かつセンターミラー1cと左右一対のサイドミラー1s,1sとを組み合わせた三面鏡として構成されている。さらに、各サイドミラー1sの下部には、以下に詳細を述べる構造を有するフレネル型凹面ミラー2が貼り付けられている。
【0011】
図2及び図3は、上記フレネル型凹面ミラー2の基本構造を示し、このフレネル型凹面ミラー2は平面状の透明板3と金属反射膜5から構成されている。透明板3の片側表面には、順次段階的に外径が変化した多数の環状溝4が、図3に示すように同心状に形成されている。これら多数の環状溝4は、図5に示すような凹面鏡20が、共通の中心軸を中心に順次半径を異ならせて輪切りにされた環状体に相当しており、これらの環状溝4が平面状に並べ替えられた構成になっている。したがって、各環状溝4の表面は透明板3の面方向に対して傾斜し、センターOから遠い位置にある環状溝ほど順次傾斜角が大きくなり、所謂凸レンズ型フレネルレンズを形成している。
【0012】
さらに、上記凸レンズ型フレネルレンズの環状溝4の表面には金属反射膜5が被覆され、これを金属反射膜5と反対の透明板3側(図2の上面側)から見ると、フレネル型凹面ミラー2を構成している。すなわち、このフレネル型凹面ミラー2に、透明板3側の上方から光Lを垂直に入射させると、これら入射光Lの反射角θがセンターOから遠い位置の環状溝4の金属反射膜5を反射したものほど大きくなり、図5の凹面鏡20と同じ機能を有している。
【0013】
また、上記凹面鏡として機能するフレネル型凹面ミラー2は、その外周エッジに遮光層11を設けている。すなわち、透明板3の外周エッジを斜めの傾斜面に形成すると共に、その傾斜面に塗膜で被覆した遮光層11を設け、外周エッジから入射する光を遮断するようにしている。この遮光層11を設けていないと、外周エッジからの入射光が正面から入射した光の反射光と干渉することにより、凹面ミラー2の周辺部の映像がぼける眩光現象を生ずることがあるが、上記遮光層11を設けたことにより、この眩光現象を防止することができる。この遮光層11は、非透光性塗料などを塗布することにより形成することができる。
【0014】
本発明の化粧室ミラーは、上記のようなフレネル型凹面ミラー2を化粧室の平面ミラー1の表面に貼り付けるように構成されている。図4は、このようにフレネル型凹面ミラー2を貼り付けるため、金属反射膜5の表面に接着部を設けた場合の構成を示す。この接着部は、フレネル型凹面ミラー2の背面側に接着層6を介して金属薄板7を挿入し、さらに別の接着層8を介し離型紙9を貼り付けて構成されている。金属薄板7はフレネル型凹面ミラー2を難燃性にするために設けた材料であり、特に航空機のように難燃性が要求される化粧室の平面ミラーに貼り付ける場合に有用である。
【0015】
金属薄板7は軽金属が好ましく、特にアルミニウム、スズなどがよい。また、接着層6、8としては、接着剤又は粘着剤を単層として設けてもよいが、両面接着テープを使用するようにしてもよい。すなわち、支持テープを挟んで両面に接着剤又は粘着剤を塗布した両面接着テープを使用するようにしてもよい。
【0016】
上記フレネル型凹面ミラー2を化粧室の平面ミラー1に貼り付けるときは、裏面の離型紙9を剥がして接着層8を露出させ、この接着層8を介して平面ミラー1の表面に貼着すればよい。このように単にフレネル型凹面ミラー2を接着層8により貼り付けるだけでよいので、被接着側の平面ミラー1は、図5に示したように奥行きスペースを持った箱状のものに限定されることなく、薄板状の奥行きのない平面ミラーにも取り付け可能になる。さらに、フレネル型凹面ミラー2自体が平面状であるので、取り付け後において特に大きなスペースを占めることもない。
【0017】
また、フレネル型凹面ミラー2の取り付け位置は任意に選ぶことができる。例えば、図1に例示するように、上下一対のフレネル型凹面ミラー2,2を貼り付けると、下部側のフレネル型凹面ミラー2は身長の低い人用として、また上部側のフレネル型凹面ミラー2は身長の高い人用として便利にすることができる。
【0018】
本発明において、フレネル型凹面ミラーに使用される透明板は透明な材料であれば特に限定されない。好ましくは、軽量性や加工のしやすさ等から、透明プラスチックを使用するのがよい。透明プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリル、ポリスチレンなどが使用可能である。金属反射膜の金属材料は軽金属が好ましい。特に、アルミニウム、スズなどを使用するとよい。これらの金属は、真空蒸着或いは電解メッキなどにより透明板の環状溝に膜状に被覆させることができる。
【0019】
また、環状溝のピッチは、図に示した模式図では理解を容易にするため粗いピッチで示したが、実際には0.1〜0.5mm、好ましくは0.1〜0.3mmの間隔にするのがよい。
【0020】
また、図の実施形態では、フレネル型凹面ミラーの平面視形状が円形である場合についてだけ説明したが、本発明のフレネル型凹面ミラーとしては、図3に鎖線で囲んだ四角形のAやB、三角形や五角形以上の多角形、楕円形など色々な形状にすることができる。従来の凹面鏡の場合には、円形以外の形状にすると、外周部に同一平面に接しない隙間を形成する部分ができるため、円形以外の形状にすることはできないが、上記フレネル型凹面ミラーは全体が平面であるため、どのような平面視形状にしても隙間を生ずることはない。
【0021】
本発明に使用されるフレネル型凹面ミラーは、航空機等の化粧室に設けられた平面ミラーにヒゲソリ用などとして追加付設するのに有用であるが、このように後付けする場合だけに限定されず、新規に設置する化粧室にも適用可能なことは勿論である。また、航空機用だけに限定されず、鉄道列車、遠距離バスなどの化粧室、ホテル、旅館、レストラン、公共施設などの化粧室、一般家庭の化粧室などにも適用することができる。
【0022】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、平面状透明板を凸レンズ型フレネルレンズに形成し、これに金属反射膜を施した平面状のフレネル型凹面ミラーとして、化粧室の平面ミラーに貼り付けるようにしたので、被貼付け側である化粧室の平面ミラーの構造を特に奥行き深さを持ったものだけに限定されることがなく、また凹面ミラーを付設するとき平面ミラーに装着用の穴加工をすることなく、そのまま簡単に貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態からなる化粧室ミラーを示す斜視図である。
【図2】本発明に使用されるフレネル型凹面ミラーの縦断面図である。
【図3】図2のフレネル型凹面ミラーを下側から見た下面図である。
【図4】本発明に使用されるフレネル型凹面ミラーが平面ミラーに貼り付ける前の状態を示す縦断面図である。
【図5】従来の凹面鏡を例示した縦断面図である。
【符号の説明】
1 平面ミラー
2 フレネル型凹面ミラー
3 透明板
4 環状溝
5 金属反射層
6、8 接着層
7 金属薄板
11 遮光層
Claims (6)
- 平面状透明板の片側表面に、径が順次段階的に変化する多数の環状溝を同心状に形成した凸レンズ型フレネルレンズを形成すると共に、前記環状溝に金属反射膜を被覆して前記片側表面と反対側の表面が鏡面となるフレネル型凹面ミラーを形成し、かつ該フレネル型凹面ミラーの外周エッジを傾斜面に形成して該傾斜面を塗膜の遮光層により被覆した構成にし、該フレネル型凹面ミラーを化粧室の平面ミラーの表面の一部に貼り付けたことを特徴とする化粧室ミラー。
- 前記透明板が透明プラスチックからなる請求項1に記載の化粧室ミラー。
- 前記化粧室の平面ミラーの表面の上部と下部とに前記フレネル型凹面ミラーを上下一対貼り付けた請求項1又は2に記載の化粧室ミラー。
- 前記フレネル型凹面ミラーの背面に金属薄板を配置した請求項1、2又は3に記載の化粧室ミラー。
- 前記化粧室が航空機に設けられたものである請求項1〜4のいずれかに記載の化粧室ミラー。
- 前記化粧室が鉄道列車に設けられたものである請求項1〜4のいずれかに記載の化粧室ミラー。
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