JPH1076347A - 鋳造用消失模型、鋳造用消失模型の製造方法、及び金属鋳造物の製造方法 - Google Patents

鋳造用消失模型、鋳造用消失模型の製造方法、及び金属鋳造物の製造方法

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JPH1076347A
JPH1076347A JP23404196A JP23404196A JPH1076347A JP H1076347 A JPH1076347 A JP H1076347A JP 23404196 A JP23404196 A JP 23404196A JP 23404196 A JP23404196 A JP 23404196A JP H1076347 A JPH1076347 A JP H1076347A
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casting
foam
model
weight
resin
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JP23404196A
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English (en)
Inventor
Yoshiyuki Kato
芳行 加藤
Hideaki Shibata
英昭 柴田
Toshitake Sugano
利猛 菅野
Atsushi Iwahashi
淳 岩橋
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KIMURA CHUZOSHO KK
Kimura Foundry Co Ltd
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
KIMURA CHUZOSHO KK
Hitachi Chemical Co Ltd
Kimura Foundry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 残渣欠陥の少ない鋳造物を得ることのできる
鋳造用消失模型、および作業が安全でかつ、模型や鋳造
物の精度や仕上げの向上を図ることのできる模型の製造
方法並びに鋳造物の製造方法を提供する。 【解決手段】 発泡性樹脂を発泡成形して得られる発泡
体、またはその発泡体を切断、切削もしくは組立して得
られる加工発泡体からなる鋳造用消失模型において、そ
の発泡性樹脂が、主成分としてメタクリル酸エステル
2.5〜45重量%およびスチレン97.5〜55重量
%を重合して得られる樹脂に、発泡剤を含浸させてなる
ものであることを特徴とする鋳造用消失模型。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳造用消失模型、
鋳造用消失模型の製造方法、及び金属鋳造物の製造方法
に関する。さらに詳しくは、メタクリル酸エステルを含
有する発泡性樹脂を用いた鋳造用消失模型、その製造方
法、および金属鋳造物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】発泡体を用いた鋳造用消失模型の製造
は、発泡性樹脂粒子を発泡成形することにより直接製
造する方法と、目的とする模型より大きい発泡体から
切削加工等により製造する方法とがある。その用途とし
ては、の場合、鋳物重量が比較的軽量の自動車用部
品、油圧部品等に用いられ、の場合、鋳物重量が比較
的大きい、自動車ボディのプレス盤、機械のベッド等に
用いられている。は比較的薄肉軽量鋳物であり、は
厚肉重量鋳物である。の発泡体材料については、研究
開発が進み、すでに上市されているものもある。
【0003】一方、切削加工方法に関しては、発泡性ポ
リスチレンの発泡体を用いた切削加工方法が従来から実
用されてきている。この発泡体の切削加工自体について
は特に問題はなかった。
【0004】近年、鋳造用消失模型の材料として、メタ
クリル酸エステル単量体を重合した、またはスチレンと
共重合した発泡体が使われるようになってきた。これ
は、消失模型を用いた金属鋳造物の製造方法(以下、消
失模型鋳造法ということがある)の欠点であるスチレン
発泡体が熱分解したときに発生する鋳物欠陥を減少させ
ることを目的としている。このような、メタクリル酸エ
ステル系発泡体は、前記の発泡成形により直接模型を
製造する方法において主に用いられている。しかし、
の切削加工法による製造に関しても一部の単品鋳物とか
大型鋳物用途にバンドソー・カッター等を用いた切削に
よる模型製造が試みられたが、樹脂中のメタクリル酸エ
ステルが多い場合には、切削加工時の切削粉がガラス状
になり、目に刺さる等の作業環境上の問題があった。ま
た、切削加工後にサンドペーパ等で仕上げを行う際に、
発泡粒子が脱落するといった問題とか、バンドソー等を
用いて切断をする際に刃が逃げて直線的に切れない等の
問題があった。
【0005】特公昭51−24307号公報にはメタク
リル酸メチル80〜95重量%とスチレン20〜5重量
%とを共重合させる方法が提案されている。また、本出
願人は、先に特開平5−112665号公報においてメ
タクリル酸エステル45〜15重量%とスチレン55〜
85重量%とを共重合する方法を提案している。これら
の発明はいずれも発泡成形工程における発泡性及び成形
性を改善することを目的とするものであり、発泡成形体
の切削加工性の課題を解決したものではない。また、前
記特許公昭51−24307号公報に記載された成分範
囲でも切削加工時のガラス状切削粉の課題は解決されて
いない。
【0006】消失模型鋳造法は、発泡ポリスチレン(E
PS)、又はメタクリル酸エステルとスチレンとの共重
合体等の発泡体材料を発泡成形した、または、さらに切
削加工及び組立加工をした発泡体を用いて製造した模型
を、鋳型砂に埋め込んで模型を溶湯で置換しながら注湯
を行う鋳造法である。中子が不要であることとかバリが
発生しない等のメリットがある。
【0007】従来より、メタクリル酸エステルとスチレ
ンの共重合体の発泡体材料で製造される模型を用いた消
失模型鋳造法は、前記の加工性の欠点があるために発泡
成形による小物量産が主体であった。また、発泡性ポリ
スチレンからなる模型を用いる切削加工法による消失模
型鋳造法は、単品物、または大物が主体であった。小物
量産品は鋳物の体積に比べてその表面積(熱分解ガスが
排出される面積)が大きいために、メタクリル酸エステ
ルの割合が50〜80重量%前後の熱分解速度の早い発
泡体を模型としてきた。
【0008】消失模型鋳造法の欠点としては、模型材の
分解の際に発生するガスまたはスス等による鋳物の欠陥
(スス欠陥とか炭素欠陥と呼ばれている)の問題があ
る。スチレンにメタクリル酸エステルを共重合するの
も、このような欠陥を減少させるためである。しかしな
がら、メタクリル酸エステルの配合割合を単純に増加さ
せると、模型の分解速度が速くなるために、結果として
単位時間当たりのガス発生量を増加させることになり、
鋳物の欠陥は増加する。従来の消失模型鋳造法では、ス
チレンとメタクリル酸エステルとの配合割合を決定する
に際し、単位時間当たりのガス発生量と単位時間当たり
のガス排出量との関係を考慮することはなかった。
【0009】
【発明が解決しょうとする課題】前述のように、メタク
リル酸エステル単量体を用いた、またはそれとスチレン
とを併用した発泡体に対して、切削粉を発生させるよう
な加工方法、すなわちバンドソーによる切断とか切削工
具による切削を行うと、切削粉がガラス状化し、作業環
境を劣悪にするという課題があった。
【0010】ここで、ガラス状化について具体的に説明
する。通常、スチレン単体、または少量のメタクリル酸
エステルを組成に含む発泡体を切断・切削した場合の切
り粉は、特定形状を持たない粉体状である。これに対し
てメタクリル酸エステル、またはこれを多量に含むスチ
レン系発泡体を切断・切削した場合に発生する切り粉
は、半透明な微小径・微小長さの糸状の切り粉を含むも
のであり、発泡体のメタクリル酸エステルの含有割合が
高くなるにつれて、糸状切り粉が増加する傾向があるこ
とが分かった。この切り粉はその特有の形状により、人
体に付着した場合には皮膚に刺さるなどの害があり、作
業環境を悪化させる要因となる。
【0011】また、メタクリル酸エステルの含有割合が
多いと、バンドソーのような糸のこぎり状の切断機で発
泡体の切断を行うと、刃部が逃げて直線状に切断できな
い等の問題があった。また、模型の最終仕上げの段階
で、模型の表面にサンドペーパ掛けを行う際に、メタク
リル酸エステルの含有割合の多い発泡体は、発泡体の融
着が良好な場合でも発泡粒子の脱落が起こりやすくな
る。これらは、発泡体粒子の性質と関連があるものと考
えられる。すなわち、メタクリル酸エステルの含有割合
が増加すると、銅やアルミニウムを切断するときのよう
に、発泡体粒子が刃部、またはサンドペーパにまとわり
つく状態になる。これらの問題が解決しないと、切削粉
が発生するような加工方法では模型の製造が困難であっ
た。
【0012】メタクリル酸エステルとスチレンとを重合
した発泡体を用いて消失模型鋳造法を行う場合、メタク
リル酸エステルの含有割合が多くなるほど、模型の分解
温度が低下し、なおかつ分解速度が速くなる。このた
め、単純にメタクリル酸エステルの量を増すと、熱分解
したガスを鋳型から排出する速度が追いつかなくなり、
鋳物欠陥が増加する。
【0013】本発明は、上述の問題に鑑みなされたもの
であり、残渣欠陥の少ない鋳造物を得ることのできる鋳
造用消失模型、作業が安全で、かつ模型や鋳造物の精度
や仕上げの向上を図ることのできる模型の製造方法及び
金属鋳造物の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、発泡体の
メタクリル酸エステルとスチレンとの組成割合を決定す
るに際し、ガス発生量の関係、模型の体積と表面積
との比の関係、注湯時の熱分解ガス発生量と鋳型から
ガスが排出される面積との関係等を考慮し、切削加工用
途に適するメタクリル酸エステルとスチレンとの組成割
合を特定することにより本発明を完成させた。すなわ
ち、本発明は、発泡性樹脂を発泡成形して得られる発泡
体、またはその発泡体を切断、切削、もしくは組立して
得られる加工発泡体からなる鋳造用消失模型において、
その発泡性樹脂が、主成分としてメタクリル酸エステル
2.5〜45重量%およびスチレン97.5〜55重量
%を重合して得られる樹脂に、発泡剤を含浸させてなる
ものであることを特徴とする鋳造用消失模型に関する。
【0015】また、本発明は、前記鋳造用消失模型を用
いて鋳造することを特徴とする金属鋳造物の製造方法に
関する。
【0016】また、本発明は、前記発泡性樹脂を発泡成
形し、得られる発泡体を切断又は切削加工して鋳造用消
失模型を製造する方法において、前記発泡性樹脂が、主
成分としてメタクリル酸エステル2.5〜45重量%お
よびスチレン97.5〜55重量%を重合して得られる
樹脂に、発泡剤を含浸させたものであることを特徴とす
る鋳造用消失模型の製造方法に関する。
【0017】また、本発明は、前記製造方法により製造
した鋳造用消失模型を用いて鋳造する金属鋳造物の製造
方法に関する。
【0018】また、本発明は、鋳造用消失模型の主要肉
厚部の厚さが、15mm未満である金属鋳造物の製造方
法に関する。
【0019】また、本発明は、鋳造用消失模型の主要肉
厚部の厚さが、15mm〜50mmであり、かつ前記樹
脂が、主成分としてメタクリル酸エステル2.5〜40
重量%およびスチレン97.5〜60重量%を重合して
得られる樹脂である金属鋳造物の鋳造法に関する。
【0020】また、本発明は、前記鋳造用消失模型の主
要肉厚部の厚さが50mmを越え、かつ樹脂が、主成分
として、メタクリル酸エステル2.5〜35重量%およ
びスチレン97.5〜65重量%を重合して得られる樹
脂である金型鋳造物の鋳造法に関する。
【0021】また、本発明は、金属鋳造物を構成する金
属が、鋳鉄である金属鋳造物の製造方法に関する。
【0022】さらに、本発明は、前記鋳鉄が、球状黒鉛
鋳鉄である金属鋳造物の製造方法に関する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。 I.鋳造用消失模型およびその製造方法 1.発泡性樹脂 本発明に用いられる発泡性樹脂は、メタクリル酸エステ
ルおよびスチレンを所定量重合させた樹脂に発泡剤を含
浸させた組成物である。 (1)樹脂 この樹脂の一成分であるメタクリル酸エステルとして
は、下記一般式(I)に示すものを挙げることができ
る。式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、具体
的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基 、
tert−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
【0024】
【化1】CH2=C(CH3)COOR・・・・(I)
【0025】この樹脂は、メタクリル酸エステル2.5
〜45重量%およびスチレン97.5〜55重量%を重
合させて得られる。
【0026】メタクリル酸エステルが、45重量%を超
えると、肌がかゆくなり、かつ長時間切削を続けると目
が痛くなる。また、加工時に刃が逃げるため、バンドソ
ーで直線的に切断することができず、サンドペーパ掛け
を行なう場合にも、メタクリル酸エステルが45重量%
を越えると、発泡体粒子の脱落が発生し、サンドペーパ
掛けがうまくいかない。また、メタクリル酸エステルが
2.5重量%未満では、鋳物欠陥は減少しない。本発明
では、切削粉を出すような加工を行なう場合でも切削粉
がガラス状化せず、またサンドペーパ掛けとかバンドソ
ーでの切断が良好にできるように、メタクリル酸エステ
ルを2.5〜45重量%及びスチレンを97.5〜55
重量%の組成で重合させて得られる発泡体が用いられ
る。
【0027】さらに、残渣欠陥(スス欠陥、炭素欠陥)
の発生量との関係からすると、メタクリル酸エステルの
含有割合が45重量%を越えると、熱分解ガスの発生量
が急激に増加して、残渣欠陥が増す。メタクリル酸エス
テルが45重量%未満でも単位時間当たりの熱分解ガス
発生量と排出速度との関係により残渣欠陥の発生量が異
なる。最適なメタクリル酸エステルの含有割合はガス発
生量とガス排出量との関係から決定する必要がある。
【0028】すなわち、鋳造品の主要肉厚または体積と
表面積との関係、または、鋳湯時のガス発生量とガス放
出量の関係と鋳型よりガスが排出される面積により、重
合されるメタクリル酸エステルの比率を2.5〜45重
量%及びスチレンを97.5〜55重量%とすることに
よって、残渣欠陥をなくすことができる。
【0029】量産品の鋳物では、注湯時のガス発生量と
鋳型からガスが排出される面積、または体積と表面積の
関係をある程度正確に求めることができるために、この
関係に基づいて、メタクリル酸エステルの割合を決定す
ることにより残渣の発生をなくすことができる。
【0030】単品とか大物の場合は、表面積を詳細に求
めることができないために、鋳造品の主要肉厚が15m
m未満の模型については、メタクリル酸エステルが2.
5〜45重量%、スチレンが97.5〜55重量%、同
15〜50mmのものについてはメタクリル酸エステル
が2.5〜40重量%、スチレンが97.5〜60重量
%、同50mmを越えるものについては、メタクリル酸
エステルが2.5〜35重量%、スチレンが97.5〜
65重量%にすることにより、残渣が発生しないように
することができる。
【0031】樹脂の重量平均分子量(Mw)は任意に調
節することが好ましい。分子量がこの範囲を超える場合
には、基材としては強度が上がるが、通常の発泡や成形
時のスチーム加熱条件では充分な発泡、成形融着が得ら
れないことがある。また、この範囲の分子量に達しない
場合には、発泡時のブロッキング、成形加工時の金型高
温部での表皮溶解(いわゆるケロイド状)の原因となる
ことがある。
【0032】前記樹脂は溶液重合、乳化重合、懸濁重
合、シード重合等の任意の方法で得ることができる。ま
た、これらの重合で得た重合体を押し出し機でペレット
化しても良い。樹脂の重合に際して、使用される重合開
始剤としては、例えばラウロイルパーオキサイド、ベン
ゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エ
チルヘキサノエート)、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート、t−ブチルパーオキシピバレート等の一官能性有
機過酸化物、1, 1−ジ−t−ブチルパーオキシ3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン等の二官能性有機過
酸化物などの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリ
ルやアゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物な
どが用いられる。
【0033】上記重合開始剤は、重合容器内に単量体を
加える前に加えても、単量体を加えた後に加えても、単
量体と共に加えてもなんら差し支えない。重合開始剤は
得られる樹脂の分子量を調節すれば良いが、単量体の総
量に対して0.01〜2重量%の範囲で使用されるのが
好ましい。
【0034】また、樹脂の分子量を調節するために、n
−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、
n−ブチルメルカプタン、tert−ブチルメルカプタ
ン等を使用することができる。これらは、好ましくは、
単量体に対して1モル%以下の量で使用される。重合温
度は0〜150℃の間で適時選択する。
【0035】(2)発泡剤 本発明に用いられる発泡剤としては、常温常圧下で液体
であり、かつ、上記重合体を溶解しない易揮発性有機化
合物として脂肪族炭化水素を用いることが好ましい。脂
肪族炭化水素の含有量は上記樹脂に対して1〜15重量
%が好ましい。この範囲外では良好な発泡成形体は得ら
れないことがある。
【0036】本発明においては、常温常圧下で液体また
は気体であり、かつ、上記樹脂を溶解しないブタン、ペ
ンタン以外の易揮発性有機化合物を併用することができ
る。このようなものとしては、例えばプロパン、ヘキサ
ン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン
等の環状炭化水素、塩化メチレン、トリクロロトリフロ
オロエタン、ジクロロジフルオロエタン等のハロゲン化
脂肪族炭化水素が挙げられる。これらのブタン、ペンタ
ン以外の発泡剤は、樹脂に対して10重量%以下の範囲
で用いることが好ましい。
【0037】易揮発性有機化合物を樹脂に含浸させるに
は、樹脂の製造方法として懸濁重合を採用するときに
は、その重合の後半に、重合系に脂肪族炭化水素を添加
すること、好ましくは圧入することにより行うことがで
きる。または脂肪族炭化水素にその他の易揮発性有機化
合物を併用しても良い。ここで重合の後半とは、重合転
化率が50重量%以上、好ましくは70重量%以上の時
点をいう。別の方法としては、樹脂の球状またはペレッ
ト状の粒子を水性媒体中に懸濁させ、これに発泡剤を添
加する方法がある。懸濁下での発泡剤の含浸は20〜1
30℃で行うのが好ましい。さらに別の方法として、樹
脂と発泡剤を溶融混合してもよい。この場合主に、押し
出し機が使用される。
【0038】樹脂への発泡剤の含浸時には、可塑剤を存
在させることができる。可塑剤としては、樹脂を溶解ま
たは膨潤させることができる有機溶剤が使用でき、その
沸点が、樹脂の軟化点よりも約10℃低い温度以上でか
つ150℃以下のものが好ましい。可塑剤としては、エ
チルベンゼン、トルエン、スチレン、キシレン等の芳香
族炭化水素、1、2−ジクロロプロパン、トリクロロエ
チレン、パークロロエチレン等のハロゲン化炭化水素な
どがある。可塑剤は樹脂に対して5重量%以下で使用さ
れるのが好ましい。
【0039】2.発泡成形 本発明に用いられる発泡性樹脂の発泡成形には広く工業
的に行われているスチレン系樹脂の発泡、成形方法がそ
のまま適用できる。発泡及び成形は常圧または加圧もし
くは減圧下でスチームや気体による加熱により行われ
る。例えば、樹脂が粒子の場合は水蒸気による予備発泡
を行った後、成形機中でさらに水蒸気発泡し、成形品を
得ることができる。また押し出し発泡機を用いて発泡体
を得ることもできる。本発明による発泡用樹脂の発泡倍
率は、低倍率から高倍率まで任意に選択することができ
る。
【0040】以上のような方法により前記発泡性樹脂か
ら消失模型が得られる。得られた消失模型は、これを砂
中に埋め、ここへ溶湯を注入し、この溶湯の熱で消失模
型を燃焼消失させるとともに消失部分に溶湯が入って、
鋳物を得る工程を含む消失模型鋳造法に用いられる。本
発明の消失模型鋳造法は、前記消失模型を使用する以外
は、常法に従うことができる。
【0041】II.金属鋳造物の製造方法 1.消失模型鋳造法 ここで、消失模型鋳造法について説明する。消失模型鋳
造法は、砂中に埋めた模型に対して、(木型などの様
に)型抜きすることなくそのまま溶湯を注ぎ、製品を得
る鋳造法である。本鋳造法の特長としては、砂中に埋め
た模型を取り除く必要がないことから、木型法などのよ
うに鋳型の分割・合わせの必要がなく、それゆえ、より
複雑な形状物の製造が可能である。また、模型について
も、鋳造法上の特徴として、鋳造時の溶湯熱により分解
・気化することが必要なために、主に熱可塑性樹脂であ
る発泡性ポリスチレンで作られている。このことは、模
型の製造のし易さの点からも優れた特長になっている。
【0042】2.具体的鋳造方法 また、鋳造方法について具体的に説明する。鋳物製品と
同形状の発泡体の模型の表面に、砂の焼き付きを防止す
るため、耐火物材を主成分とする水溶性またはアルコー
ル性の塗型材の塗布を行う。塗型材は製品表面に対し
て、0.5〜1.0ミリ程度の厚みを持たせて全面に塗
布し、低温雰囲気中で、塗型層の内部まで完全に乾燥さ
せる。ついで、塗型を施した模型は鋳造枠の中に設置
し、粘結樹脂で混練した鋳型砂により周囲を固めなが
ら、鋳枠内に埋没させる。この時に、鋳型内に溶湯を流
し込むための予め決めておいた道筋、すなわち湯道の施
工も合わせて行う。湯道の施工方法については、鋳造対
象となる模型の形状などにより制約されるので、その模
型に最も適した方法で実施する。鋳型砂による鋳枠内の
充填が完了した後、鋳型砂の混練樹脂が完全に硬化し
て、鋳型全体の強度が増した後に、注湯を行う。注湯完
了後、鋳型内部の注湯が完全に凝固した後も自然放冷を
行い、充分に温度を下げてから、解枠を行い鋳枠外に鋳
物製品を取り出す。枠外に取り出した製品は、鋳肌表面
に鋳型砂などが焼き付いているので、ショットブラス
ト、サンドブラストなどを行い、また鋳張りなどがある
場合には、グラインダーなどにより、仕上げ作業を行い
これらを除去し、製品として完成する。
【0043】なお、本発明の金属鋳造物の製造方法に用
いられる金属としては、鋳鉄やアルミニウムがある。ア
ルミニウムの場合には、溶湯温度が800℃程度と比較
的低いことから残渣欠陥の発生は少ない。一方、この種
の鋳造の需要の大半を占める鋳鉄の場合には、その溶湯
温度は1300〜1400℃とアルミニウムより高く残
渣欠陥が発生しやすい。鋳鉄の中でも、特に球状黒鉛鋳
鉄(FCD)は、溶湯温度が、1400〜1500℃と
さらに高く一般のねずみ鋳鉄(FC)よりも残渣欠陥が
発生しやすい。従って、鋳鉄、特に球状黒鉛鋳鉄(FC
D)を用いた場合に本発明の効果はより有効に発揮され
ることになる。
【0044】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。なお、以下「%」は重量%である。 [実施例1]スチレン9750gおよびメタクリル酸メ
チル250gの単量体の混合溶液に、重合開始剤として
t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)2
0g、ラウロイルパーオキサイド20g、t−ブチルパ
ーオキシイソプロピルカーボネート10gを溶解した溶
液を、30Lオートクレーブ中の水15kgにリン酸三
カルシウム20g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム0.5%水溶液60g、および硫酸ナトリウム5g
を分散または溶解した水溶液中に、300回転/分の回
転攪拌下に添加し、さらにオートクレーブ器内の雰囲気
を窒素で置換した。ついで80℃まで昇温し、そのまま
の温度で10時間攪拌した時点でペンタン(n−ペンタ
ン/iペンタンの重量比が8/2)900gおよびトル
エン200gを添加して含有させた。ついで120℃ま
で昇温し、同温度で5時間攪拌した。その後、冷却し、
発泡用重合体粒子を取り出し、塩酸洗浄および水洗脱水
して乾燥した。得られたこの発泡用重合体粒子を2.0
〜1.0mmの範囲にふるい分けた。ふるい分けした粒
子を常圧スチーム・バッチ式発泡機で発泡倍数50ml
/g(発泡密度20g/l)まで発泡させた。さらに、
この予備発泡粒子を25℃の空気中で24時間熟成し、
減圧冷却方式成形機(関製作所(株)製MDX−10V
S型成形機)を用い、加熱スチーム圧力:0.5kgf
/cm2,真空加熱:5秒、加熱1:5秒、加熱2:7
秒、水冷:10秒、放冷:約6分(離型取り出し時の面
圧0.0kgf/cm2までの時間)の条件下で、大きさ(外
形)が縦500mm*横500mm*厚さ180mmの
発泡体成形品を成形した。 [実施例2]実施例1において、スチレンの配合量を、
9000gに、メタクリル酸メチルの配合量を、100
0gに変えたこと以外は実施例1と同様にした。 [実施例3]実施例1において、スチレンの配合量を、
8000gに、メタクリル酸メチルの配合量を、200
0gに変えたこと以外は実施例1と同様にした。 [実施例4]実施例1において、スチレンの配合量を、
7000gに、メタクリル酸メチルの配合量を、300
0gに変えたこと以外は実施例1と同様にした。 [実施例5]実施例1において、スチレンの配合量を、
6500gに、メタクリル酸メチルの配合量を、350
0gに変えたこと以外は実施例1と同様にした。 [実施例6]実施例1において、スチレンの配合量を、
6000gに、メタクリル酸メチルの配合量を、400
0gに変えたこと以外は実施例1と同様にした。 [実施例7]実施例1において、スチレンの配合量を、
5500gに、メタクリル酸メチルの配合量を、450
0gに変えたこと以外は実施例1と同様にした。 [比較例1]実施例1において、スチレンの配合量を、
10000gに変え、メタクリル酸メチルを配合しなか
ったこと以外は実施例1と同様にした。 [比較例2]実施例1において、スチレンの配合量を、
5000gに、メタクリル酸メチルの配合量を、500
0gに変えたこと以外は実施例1と同様にした。 [比較例3]実施例1において、スチレンの配合量を、
3000gに、メタクリル酸メチルの配合量を、700
0gに変えたこと以外は実施例1と同様にした。 [比較例4]実施例1において、スチレンの配合量を、
2000gに、メタクリル酸メチルの配合量を、800
0gに変えたこと以外は実施例1と同様にした。 [比較例5]実施例1において、スチレンの配合量を、
1000gに、メタクリル酸メチルの配合量を、900
0gに変えたこと以外は実施例1と同様にした。 [比較例6]実施例1において、スチレンを配合せず、
メタクリル酸メチルの配合量を、10000gに変えた
こと以外は実施例1と同様にした。
【0045】[発泡体の各種物性の評価] 切り粉の評価(ガラス状化率) 実施例および比較例で得られた発泡体をラジアルで切削
加工を行い、切り粉の評価を行なった。ここで、ラジア
ルとは、ラジアル型フライス盤とも呼ばれている。機械
本体の原理は、通常の穴開け用のボール盤と同様で、切
削用のカッター(ミル)部分を発泡体の切削に適するよ
うな特別形状になっている。切削用のカッターは、刃先
のついた通常のスパイラル形状とは異なり、心棒の周囲
に円錐状の微小突起が多数付いている。実際の発泡体の
切削においては、この微小突起部分で、発泡体を細かく
削り取り、所定の模型形状を得る。発泡体をラジアルで
切削時に発生する切削粉のガラス状化率を測定した。発
泡体を切断・切削した時に発生する切り粉において、半
透明な微小径・微小長さの糸状切り粉の発生量が、切り
粉全体の発生量に占める割合を調べ、この割合を切り粉
のガラス状化率とした。ガラス状化率の測定方法を述べ
る。発生した切り粉を採取し、それを形状により紛状と
糸状切り粉のそれぞれに分ける。その発生割合は重量比
とし、採取した切り粉1グラム中に含まれるそれぞれの
形状切り粉の重量から算出した。 切断精度の評価 メタクリル酸エステル含有各種発泡体の切削加工の別の
指標として、バンドソーにて一定速度で発泡体を切断
し、切断精度を測定した。バンドソーに使用されている
切断バンドは、ベルト状をしており、刃の部分は鋸刃状
になっている。評価はスチール製で、ベルト全長:約4
500mm、幅:7mm、、刃の厚さ:0.5mmのバ
ンドを用いた。厚さ200mmの発泡体に長さ500m
m、線の幅1mmの直線(基準線)をけがき、この線に
沿ってバンドソーで切断した場合に、どれだけ基準線に
沿った切断ができるかによって評価を行った。次に示す
4段階の基準により評価した。 優・・・・ズレがなく、一直線に切断できる。 良・・・・ほぼ一直線に切断できる。 可・・・・左右方向へのズレがそれぞれ1mm以内に収
まる。 不可・・・左右方向へのズレがそれぞれ1mm以上あ
り、切断時にバンドがふらつく。
【0046】仕上げ作業性の評価 メタクリル酸エステル含有各種発泡体の切削加工の別の
指標として、サンドペーパを用いて模型表面の仕上げ作
業を行い、発泡材別の作業性の良否を優・良・可・不可
で評価した。評価に用いたサンドペーパーの目の粗さ
は、80〜100番の範囲で、主に100番を用いた。
表面仕上げは次に示す4段階の基準により評価した。 優・・・・均一でなめらかな(非常にきれいな)表面が
得られる。 良・・・・けば立ちなどのないきれいな表面が得られ
る。 可・・・・凹凸や発泡粒子の脱落がない表面が得られ
る。 不可・・・発泡粒子が脱落する。
【0047】[発泡体の物性の評価結果] ガラス状化の評価結果 図1は、実施例と比較例とで得られた発泡体について、
切削加工により発生した切削粉のガラス化率を測定した
結果である。これによりメタクリル酸エステルの含有割
合が45重量%未満の実施例1〜実施例7の場合、切削
粉のガラス状化減少はみられず、発生率はほぼ0%であ
った。これに対してメタクリル酸エステルの含有割合が
45重量%を超えると、比較例2〜比較例6の場合、切
削粉のガラス状化現象が発生するようになり、含有割合
が増すにつれて、ガラス状化率も急激に増えることが分
かった。この測定結果より、メタクリル酸エステルの含
有割合が45重量%以下の発泡体では、切削により発生
する切削粉はガラス状化しないことから、人体に与える
影響は問題とはならない。
【0048】
【表1】
【0049】切断加工性の評価結果 表1は実施例と比較例で得られた発泡体について、バン
ドソーを用いて切断した場合の切断精度と、切断面に対
して、サンドペーパにより、仕上げ作業を行った場合
の、作業性の良否についての評価である。切断精度につ
いては、メタクリル酸エステルの含有割合が45重量%
以下の発泡体を用いた実施例1〜実施例7の場合は、優
評価であったのに対して、45重量%を超える比較例2
〜比較例6の場合では直線的な切断ができないため、評
価は不可であった。サンドペーパ掛けによる仕上げ作業
性については、メタクリル酸エステルの含有割合が0〜
2.5重量%である実施例1、比較例1の場合は優判定
であり、10〜45重量%である実施例2〜実施例7の
場合は可判定であるのに対して、45重量%を超える比
較例2〜比較例6の場合は発泡粒子の脱落が起こったた
め不可の判定になった。尚、メタクリル酸エステルを含
有しない比較例1では鋳物欠陥が減少しない。
【0050】以上の結果よりメタクリル酸エステルを含
む発泡体に対して、切削粉が発生するような加工を行っ
て、模型を製造する場合において、表1に示すようにメ
タクリル酸エステル2.5〜45重量%とスチレン9
7.5〜55重量%の組成割合の発泡体を用いることに
より、良好な作業性と高い精度の模型を製造することが
できた。
【0051】[鋳物欠陥の評価]消失模型鋳造法におい
て、注湯時における熱分解ガスの排出面積について説明
する。図2は、注湯時における模型内の状況の模式図で
ある。図2においては、Aは発泡体、Bは溶湯、Cは発
泡体〜溶湯間のガスによるギャップを示す。ここで考え
る模型は、長手方向がL、厚さtの長さを持ち、Lはt
に対して十分に長いことが多いので、十分長いものとす
る。また、溶湯は模型の下から上に向かって充填される
ものとし、模型の発泡体と溶湯間のガスギャップの高さ
をhとする。ガスギャップの高さhについては、溶湯面
が上昇するにつれて、発泡体の溶湯面側が順次消失する
ことにより、一定距離に保たれる。
【0052】この模式図において、消失した発泡体の体
積をVとすると、 V=tLh・・・・となる。 また発泡体の消失により発生するガスが、鋳型外に排出
される面積をSとすると、 S=2(hL+th)・・・・となるが、これはA及
びBの部分には、それぞれ発泡体と溶湯があるために、
ガスの排出はCの部分からしか行えないためである。こ
こでt及びガスギャップの高さhについては、Lに対し
て十分に小さいので、より、 S=2hL・・・・と表すことができる。
【0053】以上より、ガスの抜け難さをGとすると、
、より G=V/S=tLh/2hL=t/2・・・・とな
る。 すなわち、ガスの抜け難さは肉厚tによって決定される
ことになる。面積Sはtを含まない項であるので、tが
大きいほどガス発生量は多くなり、抜け難くなる。逆に
tが小さいほどガス発生量は少なく、抜けやすくなる。
よって以上の説明により、消失模型鋳造法においては模
型の厚さtが、消失により発生するガスの排出に対して
大きく影響していることが分かる。
【0054】鋳造方法 実施例および比較例で得られた発泡体を用いて、厚さの
異なる模型を製造し、この模型を用いて鋳造試験を行っ
て残渣欠陥(スス欠陥、炭素欠陥)の発生状況の調査を
行った。図3は鋳込み試験の方案図、試験模型は長手方
向に500mm、高さ500mmとして厚さを各種変化
させたものを用い、鋳込みに対して1mmずつ切削加工
を行い、加工面に見られた欠陥の面積量について調べ
た。
【0055】残渣欠陥の評価 模型の組成割合、肉厚と欠陥の量との関係についての測
定を、鋳鉄によって鋳造した各肉厚の試験ブロックにつ
いて行った。それぞれの試験ブロック鋳物について、鋳
造時の上型面側を鋳肌表面から下型側に向かって切削
し、各深さにおける残渣欠陥が占める面積を測定した。
更に、残渣欠陥がなくなるまで切削を行った。鋳肌表面
から残渣欠陥がなくなった切削面までの深さを浸炭深さ
(mm)で表し、残渣量とした。このようにして、メタ
クリル酸エステル含有割合と残渣量(浸炭深さ)との関
係を、模型の肉厚別に測定した結果を図4に示した。図
4から、厚さが大きい、すなわち肉厚の厚い模型では、
同じメタクリル酸エステルとスチレンの組成割合でも、
肉厚の薄い模型に対して残渣欠陥の発生量が多くなるこ
とが分かった。また模型肉厚の変化に対して、それぞれ
最も残渣欠陥の発生量が少なくなるメタクリル酸エステ
ルとスチレンの組成割合は、異なっていることが分かっ
た。実験結果より、図4に示したように比較例1の場合
では残さ欠陥が多かった。模型肉厚が50mmの場合で
は7.7mm、模型肉厚が30mmの場合では5.9m
m、模型肉厚が15mmの場合では3.7mmとなり浸
炭している層が厚くなっていた。これに対し、試験結果
より模型肉厚が15mmの場合では、メタクリル酸エス
テル2.5〜45重量%とスチレン97.5〜55重量
%の組成割合である実施例1〜実施例7の発泡体を用い
た場合が最も残渣欠陥が少なく、表面より概略0〜1m
mの面で残渣欠陥がなくなった。同様にして模型肉厚が
30mmの場合では、メタクリル酸エステル2.5〜4
0重量%とスチレン97.5〜60重量%の組成割合で
ある実施例1〜実施例6の発泡体、模型肉厚が50mm
の場合では、メタクリル酸エステル2.5〜35重量%
とスチレン97.5〜65重量%の組成割合である実施
例1〜実施例5の発泡体を用いた場合に、それぞれ表面
より概略1〜2mm、2〜3mmの面で残渣欠陥がなく
なった。これらの残渣欠陥がなくなった加工深さは、い
ずれも通常の鋳物の加工取り代内に十分収まるものであ
る。
【0056】以上の結果より、模型の肉厚にあわせて発
泡体のメタクリル酸エステルの含有割合を変化させるこ
とにより、残渣欠陥の発生量を低減させることが可能と
なり、このようにそれぞれの肉厚に合った組成の発泡体
を用いて製造した模型に対して、鋳造試験を行ったとこ
ろ、いずれも極めて残渣欠陥の少ない良好な鋳造物を得
ることが出来る。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、発泡体に対して切
削粉が発生するような加工を行う場合において、作業者
に対する切削粉の悪影響を排除し、切削精度とか模型の
仕上げを向上させることができる。また鋳造品の主要肉
厚の違いによって、その鋳造品に最も適したメタクリル
酸エステルとスチレンの組成割合の発泡体模型を用いる
ことにより、注湯時に発生する熱分解ガスを滞ることな
く排出することができるので、残渣欠陥の少ない良好な
鋳物を消失模型鋳造法において得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】メタクリル酸エステルとスチレンの重合割合を
変化させた発泡体に対して、切削加工を行った場合にお
ける切削粉のガラス状化率を測定した結果を示したグラ
フである。
【図2】消失模型鋳造法における、模型発泡体と溶湯と
の置換時のガス放出面積に関する模式図である。Aは発
泡体、Bは溶湯、Cはガスギャップ、L、tはそれぞれ
の模型の横断面方向に対する長さ、hはガスギャップの
距離を示す。
【図3】鋳造試験の方案図である。Dはオトシ、Eはラ
ンナー、Fは小ゼキ、I〜Nまでは試験ブロックで、そ
れぞれIは10mm、Jは15mm、Kは20mm、M
は30mm、Nは50mmの肉厚である。
【図4】残渣欠陥発生量と模型のメタクリル酸エステル
とスチレンの重合割合、及び模型肉厚との関係を示した
グラフである。Aは肉厚15mm、Bは30mm、Cは
同50mmの鋳物の残渣量を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅野 利猛 静岡県駿東郡清水町長沢1157番地 株式会 社木村鋳造所内 (72)発明者 岩橋 淳 静岡県駿東郡清水町長沢1157番地 株式会 社木村鋳造所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡性樹脂を発泡成形して得られる発泡
    体、またはその発泡体を切断、切削もしくは組立して得
    られる加工発泡体からなる鋳造用消失模型において、 その発泡性樹脂が、主成分としてメタクリル酸エステル
    2.5〜45重量%およびスチレン97.5〜55重量
    %を重合して得られる樹脂に、発泡剤を含浸させてなる
    ものであることを特徴とする鋳造用消失模型。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の鋳造用消失模型を用いて
    鋳造することを特徴とする金属鋳造物の製造方法。
  3. 【請求項3】 発泡性樹脂を発泡成形し、得られる発泡
    体を切断または切削加工して鋳造用消失模型を製造する
    方法において、 前記発泡性樹脂が、主成分としてメタクリル酸エステル
    2.5〜45重量%およびスチレン97.5〜55重量
    %を重合して得られる樹脂に、発泡剤を含浸させたもの
    であることを特徴とする鋳造用消失模型の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の製造方法により製造した
    鋳造用消失模型を用いて鋳造することを特徴とする金属
    鋳造物の製造方法。
  5. 【請求項5】 鋳造用消失模型の主要肉厚部の厚さが、
    15mm未満である請求項2または4記載の金属鋳造物
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 鋳造用消失模型の主要肉厚部の厚さが、
    15mm〜50mmであり、かつ樹脂が、主成分とし
    てメタクリル酸エステル2.5〜40重量%およびスチ
    レン97.5〜60重量%を重合して得られる樹脂であ
    る請求項2または4記載の金属鋳造物の鋳造法。
  7. 【請求項7】 前記鋳造用消失模型の主要肉厚部の厚さ
    が、50mmを越え、かつ前記樹脂が、主成分として、
    メタクリル酸エステル2.5〜35重量%およびスチレ
    ン97.5〜65重量%を重合して得られる樹脂である
    請求項2または4記載の金型鋳造物の鋳造法。
  8. 【請求項8】 金属鋳造物を構成する金属が、鋳鉄であ
    る請求項2,4,5,6,または7記載の金属鋳造物の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記鋳鉄が、球状黒鉛鋳鉄である請求項
    8記載の金属鋳造物の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002143985A (ja) * 2000-11-15 2002-05-21 Achilles Corp 鋳造消失模型用発泡ブロック体
JP2002336937A (ja) * 2001-05-16 2002-11-26 Kao Corp 塗型剤の塗布方法
CN104804119A (zh) * 2015-05-04 2015-07-29 杭州凯斯特化工有限公司 消失模专用改性可发性聚苯乙烯共聚颗粒及其生产方法
CN116851649A (zh) * 2023-07-19 2023-10-10 平遥同妙机车有限公司 一种采用消失模铸造低碳钢件的制作方法

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