JPH1074504A - 非水二次電池 - Google Patents

非水二次電池

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JPH1074504A
JPH1074504A JP9169298A JP16929897A JPH1074504A JP H1074504 A JPH1074504 A JP H1074504A JP 9169298 A JP9169298 A JP 9169298A JP 16929897 A JP16929897 A JP 16929897A JP H1074504 A JPH1074504 A JP H1074504A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 極めて高容量で優れた保存性をもつ非水二次
電池を提供する。 【解決手段】 正極材料質、負極材料、リチウム塩を含
む非水電解質からなる二次電池であって、半金属または
金属の酸化物またはカルコゲナイドを溶融状態で微粒化
した後、冷却固化して得られた粉末を、正極あるいは負
極いずれかの電極材料として含有することを特徴とする
非水二次電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高容量で保存性が改
良された非水二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】非水二次電池用電極材料としては、種々
の無機化合物が用いられる。負極材料はリチウム金属や
リチウム合金が代表的であるが、それらを用いると充放
電中にリチウム金属が樹枝状に成長し、内部ショートし
たり、その樹枝状金属自体の活性が高く、発火する危険
をはらんでいる。これに対して、最近、リチウムを挿入
放出することができる焼成炭素質材料が実用されるよう
になってきた。この炭素質材料の欠点は、それ自体が導
電性をもつので、過充電や急速充電の際に炭素質材料の
上にリチウム金属が析出することがあり、結局、樹枝状
金属を析出してしまうことになる。他の各種無機材料に
おいてもリチウムを挿入、放出できるものが知られてい
る。例えばTiS2 、LiTiS2 米国特許第3,98
3,476)、ルチル構造の遷移金属酸化物、例えば、
WO2 (米国特許第4,198,476)、LixFe
(Fe2 )O4 などのスピネル化合物(特開昭58−2
20,362)、電気化学的に合成されたFe23
リチウム化合物(米国特許第4,464,447)、F
23 のリチウム化合物(特開平3−112,07
0)、Nb2 5 (特公昭62−59,412、特開平
2−824,47)、酸化鉄、FeO、Fe23 、F
34 、酸化コバルト、CoO、Co23 、Co3
4 (特開平3−291,862、同6−23176
5)、アモルファスV25 (特開平4−22306
1)、リチウムを挿入した低酸化数金属酸化物LixM
O(MはMn、Ti、Zn 特開平6−17675
8)、リチウムイオンを挿入することにより結晶の基本
構造を変化させた遷移金属酸化物を負極材料とする(欧
州特許0567149)ことが知られている。
【0003】この他にも2価の珪素を主体とした負極材
料を用いた例(特開平6−325765、欧州特許05
82173、同0615296)、SnOおよびこれを
主体とした化合物を負極材料に適用した例(特開平6−
275268と特開平6−338325)、特開平7−
288123に開示される錫を主体とした非晶質の酸化
物がある。
【0004】一般に、金属酸化物あるいは金属カルコゲ
ナイドなどの化合物を微粒化するためには機械的粉砕、
例えばボールミル、振動ミル、ジェットミルなどによっ
て適度な粒度を持つように調製することが有効である。
結晶性の粉体を固相反応によって合成する場合には、原
料の粒度あるいは混合、仮焼成、本焼成などの条件を調
節することによる粒度調節が可能であるが、二次粒子の
解砕時などにおいては粒子表面の特性変化に基づく電池
性能変動の問題があった。一方、塊状の単結晶や非晶質
の固体にあっては、微粒化のために機械的粉砕は不可欠
であるが、この場合にも電池性能が変動し、安定な性能
の電池を製造することが困難であった。この原因として
は、(1)粉砕後の粉体粒子表面は結合の破壊が引き起
こされ化学的に極めて活性な状態であり、物理的にも比
表面積が大きな状況に置かれ、粒子表面が周囲の雰囲気
すなわち相接する気体あるいは液体との強い相互作用に
より変化する。(2)粒子内部の多くの歪みの残存。
(3)粉砕後に残存する微細粒子は数々の副反応を引き
起こす、などが考えられるが原因を特定するには至って
いない。特開平6−16423号に開示される遠心噴射
装置で合成された材料が知られているが、この方法では
数百μm以上の粒子サイズしか得られず、さらに機械粉
砕が必要である。このように、粒子表面の制御と保存性
の劣化対策は大きな問題であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、高容
量でかつ充放電時の保存性を改良した非水二次電池を得
ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の課題を達成する
ため鋭意検討した結果、機械的粉砕工程を経ず、溶融状
態から直接粉体を得る方法を採用することによって大幅
な改善がなされた。すなわち、正極材料、負極材料、リ
チウム塩を含む非水電解質から成る非水二次電池に於い
て、半金属又は金属の酸化物またはカルコゲナイドを溶
融状態で微粒化した後、冷却固化して得られた粉末を電
極材料として用いたことを特徴とする非水二次電池によ
り達成することができた。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て説明する。 1 、正極材料、負極材料、リチウム塩を含む非水電解質
から成る非水二次電池に於いて、半金属又は金属の酸化
物またはカルコゲナイドを溶融状態で微粒化した後、冷
却固化して得られた粉末を電極材料として用いたことを
特徴とする非水二次電池。 2 、該粉末がアトマイズ法で微粒化した粉末であること
を特徴とする項1に記載の非水二次電池。 3 、該粉末がガスアトマイズ法で微粒化した粉末である
ことを特徴とする項1に記載の非水二次電池。 4 、該微粒化した粉末が、球状で平均粒子径が1μm以
上、60μm以下であることを特徴とする項1〜3のい
ずれか1項に記載の非水二次電池。 5 、該微粒化した粉末が、錫を主体とした酸化物であ
り、負極用の電極材料として用いたことを特徴とする項
1〜4のいずれか1項に記載の非水二次電池。 6 、該微粒化した粉末が、錫、マンガン、鉄、鉛、ゲル
マニウムから選ばれる機能元素ならびにマグネシウム、
アルミニウム、硼素、珪素、リン、フッ素から選ばれる
非晶質化元素を含む非晶質酸化物であり、負極用の電極
材料として用いたことを特徴とする項1〜4のいずれか
1項に記載の非水二次電池。 7 、該微粒化した粉末が、主として錫2価、錫4価、ゲ
ルマニウム2価、ゲルマニウム4価、鉛2価から選ばれ
る機能元素ならびにマグネシウム、アルミニウム、硼
素、リンから選ばれる非晶質化元素、およびカリウム、
ルビジウム、セシウムから選ばれるアルカリ金属元素の
それぞれ少なくとも一種以上の元素を含む非晶質酸化物
であり、負極用の電極材料として用いたことを特徴とす
る項1〜4のいずれか1項に記載の非水二次電池。 8 、該微粒化した粉末が、バナジウムを含有する非晶質
酸化物であり、正極用の電極材料として用いたことを特
徴とする項1〜4のいずれか1項に記載の非水二次電
池。
【0008】本発明の非水二次電池に用いられる正・負
極は、正極合剤あるいは負極合剤を集電体上に塗設して
作ることが出来る。正極あるいは負極合剤には、それぞ
れ正極材料あるいは負極材料のほか、それぞれに導電
剤、結着剤、分散剤、フィラー、イオン導電剤、圧力増
強剤や各種添加剤を含むことができる。
【0009】本発明において用いられる電極材料の合成
には、アトマイズ法が好ましく用いられる。アトマイズ
法とはセラミックスプロセッシング(技報堂出版198
7)217頁記載のように、例えば溶融金属をガスある
いは遠心力によって直接的に急冷固化し、球状の粉体粒
子を得る方法として知られている。アトマイズには、ガ
スアトマイズ、水アトマイズ、遠心アトマイズ、真空ア
トマイズ、ローラーアトマイズなどいくつかの方法があ
り、対称とする材料の性質や目標とする粒子サイズなど
によって選択される。本発明においてはガスアトマイズ
法および遠心アトマイズ法が好ましく用いられるが、小
サイズ粒子を得るには前者がさらに好ましい。ガスアト
マイズに使用するガスとしては、アルゴンあるいは窒素
などの不活性ガスを使用することが好ましい。必要に応
じて酸素分圧の調節も行う。好ましいガス圧は14〜4
2×105Pa、ガス速度は50〜150m/s、含有
酸素分圧は10-8〜10-14 である。微粉を得るために
は超音波ガスアトマイズ法が好ましい。これは流速約7
00m/s、振動数60〜120Hzのハルトマン衝撃
波を発生させ、これを溶湯に噴きつける。粒径50μm
以下の粒子が得られる。混合した原料の溶解にはヒータ
ー式、あるいは高周波式の電気炉を使うことが一般的で
あるが、より高温の溶解を目的としたプラズマ溶解ガス
アトマイズ法はさらに好ましく使用される。
【0010】本発明で用いられる負極材料としては、錫
を主体とした非晶質の酸化物が好ましい。非晶質を構成
する元素としては、充放電に関与する機能元素および網
目構造を形成する非晶質化元素に大別される。本発明で
言う機能元素とは、非晶質固体中に存在し、リチウムイ
オンの吸蔵、放出に伴なって価数が変化し、充放電容量
に寄与のできる元素のことを示す。一般には鉄、マンガ
ンなどの遷移金属元素が代表的なものであるが、それら
につけ加え、本発明においては錫、鉛、ゲルマニウムな
どの半金属元素が優れた性能を示すものとしてあげられ
る。非晶質固体中に安定して存在しうる機能元素の価数
は、その元素が取りうる価数の内、比較的低価数の状態
を取ることが好ましい。例えば、マンガンは2価、3
価、4価の各状態をとることのできる元素であるが、好
ましくは2価および3価、最も好ましくは2価の状態で
固体中に存在することが好ましい。本発明で言う機能元
素とは、錫、マンガン、鉄、鉛、ゲルマニウムの各元素
を示し、一種あるいは二種以上の組み合わせで用いるこ
とができる。好ましい元素とその状態は、Sn2+、Sn
4+、Mn2+、Mn3+、Fe2+、Ge 2+、Ge4+、Pb2+
の単独およびそれらの組み合わせである。機能元素とし
て最も好ましい元素とその状態は、Sn2+単独あるいは
Sn2+とSn4+、Sn2+とGe2+、Sn2+とGe4+のそ
れぞれの組み合わせである。
【0011】本発明で言う非晶質化元素とは、機能元素
と共に非晶質固体を形成するものであればよく、マグネ
シウム、アルミニウム、硼素、珪素、リン、フッ素から
選ばれる少なくとも一種の元素を挙げることが出来る。
非晶質化元素を化合物に添加するには、それぞれの元素
を含有する酸化物(非晶質化剤)を用いることができ
る。非晶質化剤の具体例としては、MgO、Al2
3 、B23 、H3 BO3、P25 、BPO4 、Si
2 、Sn227 などが挙げられ、単独で、あるい
は二種以上を混合し、機能元素と共に焼成して非晶質負
極材料を得ることが出来る。好ましい非晶質化剤はAl
23 、B23 、Sn227 、BPO 4 である。
非晶質負極材料へフッ素を導入するためには、例えば、
SnF2 、CaF2 、MgF2 、ZrF2 などを添加し
て焼成することができる。また、アルカリ金属元素とし
てはナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙
げられるが、好ましくはカリウム、ルビジウム、セシウ
ムなど、より大きなイオン半径をもつものが良く、最も
好ましいのはルビジウム、セシウムである。
【0012】本発明で言う負極材料は電池組み込み時に
主として非晶質である。ここで言う主として非晶質とは
CuKα線を用いたX線回折法で2θ値で20°から4
0°に頂点を有するブロードな散乱帯を有する物であ
り、結晶性の回折線を有してもよい。好ましくは2θ値
で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内
最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見ら
れるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の500倍以
下であることが好ましく、さらに好ましくは100倍以
下であり、特に好ましくは5倍以下であり、最も好まし
くは結晶性の回折線を有さないことである。
【0013】本発明の非晶質負極材料は下記一般式
(1)の組成物を焼成して得られたものであることが好
ましい。 M1 O・xM2 Op・yM3 2O 一般式(1) 式中、M1 はGe、Sn、Pb、Mn、Feから選ばれ
る少なくとも一種であり、好ましくはGe、Sn、Pb
であり、特に好ましくはGe、Snである。M 2 はM
g、Al、B、Si、P、Fから選ばれる少なくとも一
種であり、好ましくはAl、B、Pである。M3 はN
a、K、Rb、Csから選ばれ、好ましくはRb、Cs
である。xは0.1〜10であり、好ましくは0.2〜
5.0であり、特に好ましくは0.5〜2である。yは
0〜0.5であり、好ましくは0.01〜0.2、最も
好ましくは0.03〜0.1である。pは0.5〜3.
0であり、好ましくは1〜2.5であり、特に好ましく
は1.2〜2.5である。
【0014】一般式(1)で示される組成物例を以下に
示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。S
nO・SiO2 、SnO・BO1.5 、SnO・PO
2.5 、SnO・B0.50.52 、SnO・B0.5
0.52 ・0.05K2 O、SnO・B0.50.52
・0.05Cs2 O、SnO・Al0.40.50.5
2.6 ・0.05Cs2 O、SnO・Mg0.10.9
1.45SnO・Mg0.10.92.35SnO・Mg0.2
0.40.41.8 、SnO・Al 0.10.91.5
SnO・Al0.10.92.4 、SnO・Al0.2
0.40.41.9 、SnO・B0.40.40.2
1.5 、GeO・PO2.5 、GeO・B0.50.52
GeO・Al0.20.40.41.9 、GeO・Al
0.20.40.41.90.05Cs2 O、MnO・B
0.50.52 、MnO・Al0.20.40.4
1.9 、FeO・PO2.5 、FeO・B0.50.52
FeO・Al0.20.40.41.9 、PbO・B0.5
0.52 、PbO・Al0.10.92.4 、PbO・
Al0.20.40.41.9 、Sn0.9 Ge0.1 O・A
0.20.40.41.9 、Sn0.9 Ge0.1 O・Al
0.20.40.41.9 ・0.05Cs2 O、Sn0.8
Ge0.2 O・Al0.20.40.41.9 ・0.05R
2 O、Sn0.5 Ge0.5 O・Al0.20.40.4
1.9 ・0.05K2 O、Sn0.5 Mn0.5 O・BO
1.5 、Sn0.5 Mn0.5 O・PO2.5 、Sn0.5 Mn
0.5 O・B0.50.52 、Sn0.5 Mn0.5 O・Al
0.20.40.41.9 、Sn0.5 Fe0.5 O・Mg
0.20.40.41.8 、Sn0.5 Fe0.5 O・Al
0.20.40.41.9 、SnO・0.5(BO
1.5 )、SnO・0.5(PO2.5 )、SnO・0.5
(B0.50.52 )、SnO・0.5(Mg0.1
0.91.45)、SnO・0.5(Mg0.10.9
2.35)、SnO・0.5(Mg0.20.40.4
1.8 )、SnO・0.5(Al0.10.91.5 )、S
nO・0.5(Al0.10.92.4 )、SnO・0.
5(Al0.20.40.41.9 )、SnO・0.5
(Al0.20.40.41.9 )・0.05Cs2 O、
SnO・0.5(B0.40.40.21.5 )、SnO
・1.5(BO1.5 )、SnO・1.5(PO2.5 )、
SnO・1.5(B0.50.52 )、SnO・1.5
(Mg0.10.91.45)、SnO・1.5(Mg0.1
0.92.35)、SnO・1.5(Mg0.20.4
0.41.8 )、SnO・1.5(Al0.10.9
1.5 )、SnO・1.5(Al0.10.92.4 )、S
nO・1.5(Al0.20.40.41.9 )、SnO
・1.5(Al0.20.40.41.9 )・0.05R
2 O、SnO・1.5(B0.40.40.21.5
等である。
【0015】本発明においては、以上示した化合物を負
極材料として用いることにより、より充放電サイクル特
性の優れた、かつ高い放電電圧、高容量の非水二次電池
を得ることができる。本発明において、特に優れた効果
を得ることができるのは、Snを含有し且つSnの価数
が2価で存在する非晶質化合物を負極材料として用いる
ことである。Snの価数は化学滴定操作によって求める
ことができる。例えばPhysics and Chemistry of Glass
es Vol.8 No.4 (1967)の165頁に記載の方法で分析す
ることができる。また、Snの固体核磁気共鳴(NM
R)測定によるナイトシフトから決定することも可能で
ある。例えば、幅広測定において金属Sn(0価のS
n)はSn(CH34 に対して7000ppm付近と
極端に低磁場にピークが出現するのに対し、SnO(=
2価)では100ppm付近、SnO 2 (=4価)では
−600ppm付近に出現する。このように同じ配位子
を有する場合ナイトシフトが中心金属であるSnの価数
に大きく依存するので、119Sn−NMR測定で求め
られたピーク位置で価数の決定が可能となる。
【0016】本発明の負極材料に各種化合物を含ませる
ことができる。例えば、遷移金属(Sc、Ti、V、C
r、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、
Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd)、ランタノイド
系金属(Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、A
u、Hg)や他の周期表IIa族元素(Be、Ca、S
r、Ba)、VIIb族元素(Cl、Br、I)を含ま
せることができる。また電子伝導性をあげる各種化合物
(例えば、Sb、In、Nbの化合物)のドーパントを
含んでもよい。添加する化合物の量は0〜20モル%が
好ましい。
【0017】本発明における非晶質複合酸化物の合成
は、以下に示す原料を混合し、焼成して得ることができ
る。また溶液法により、最終組成に近い中間生成物をあ
らかじめ合成しておき、これを原料として焼成する方法
がさらに好ましい。Sn化合物としてはたとえばSn
O、Sn23 、Sn34 、水酸化第一錫、亜錫酸、
蓚酸第一錫、燐酸第一錫、オルト錫酸、メタ錫酸、パラ
錫酸、弗化第一錫、塩化第一錫、臭化第一錫、沃化第一
錫、セレン化錫、テルル化錫、ピロリン酸第一錫、リン
化錫、硫化第一錫等を挙げることができる。Ge化合物
としてはたとえばGeO2 、GeO、四塩化ゲルマニウ
ム、四臭化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラメトキシ
ド、ゲルマニウムテトラエトキシド等のアルコキシゲル
マニウム化合物等を挙げることができる。Pb化合物と
してはたとえばPbO2 、PbO、Pb23 、Pb3
4 、PbCl2 、塩素酸鉛、過塩素酸鉛、硝酸鉛、炭
酸鉛、蟻酸鉛、酢酸鉛、四酢酸鉛、酒石酸鉛、鉛ジエト
キシド、鉛ジ(イソプロポキシド)等を挙げることがで
きる。Mn化合物としては、例えばMnO、Mn2
3 、塩化マンガン、酢酸マンガン、蓚酸マンガン、炭酸
マンガン、フッ化マンガン、四ホウ酸マンガン、リン酸
マンガン等を挙げることができる。Fe化合物として
は、例えばFeO、Fe23 、Fe34 、塩化第一
鉄、蓚酸第一鉄、臭化第一鉄、酒石酸第一鉄、炭酸鉄、
フッ化第一鉄、リン酸第一鉄等を挙げることができる。
P化合物としてはたとえば五酸化リン、オキシ塩化リ
ン、五塩化リン、三塩化リン、三臭化リン、トリメチル
リン酸、トリエチルリン酸、トリプロピルリン酸、ピロ
リン酸第一錫、リン酸ホウ素等を挙げることができる。
B化合物としてはたとえば三二酸化ホウ素、三塩化ホウ
素、三臭化ホウ素、炭化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸トリメ
チル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸
トリブチル、リン化ホウ素、リン酸ホウ素等を挙げるこ
とができる。Al化合物としてはたとえば酸化アルミニ
ウム(α−アルミナ、β−アルミナ)、ケイ酸アルミニ
ウム、アルミニウムトリ−iso−プロポキシド、亜テ
ルル酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ホウ化アルミ
ニウム、リン化アルミニウム、リン酸アルミニウム、乳
酸アルミニウム、ほう酸アルミニウム、硫化アルミニウ
ム、硫酸アルミニウム、ホウ化アルミニウム等を挙げる
ことができる。F化合物としては、例えばフッ化錫、フ
ッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化亜鉛、
フッ化インジウム、フッ化珪素酸塩、フッ化ゲルマニウ
ム、フッ化鉄、フッ化チタンなどの各種フッ素化合物が
用いられる。Mg化合物としては、例えば塩化マグネシ
ウム、酢酸マグネシウム、酸化マグネシウム、蓚酸マグ
ネシウム、水酸化マグネシウム、錫酸マグネシウム、ピ
ロリン酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、ホウフッ
化マグネシウム、リン酸マグネシウムなどを用いること
ができる。Si化合物としては、例えば二酸化珪素、四
塩化珪素、珪酸ソーダなどを用いることができる。
【0018】焼成条件としては、昇温速度として昇温速
度毎分5℃以上200℃以下であることが好ましく、さ
らに好ましくは7℃以上200℃以下である。とくに好
ましくは10℃以上200℃以下である。また焼成温度
としては500℃以上1500℃以下であることが好ま
しく、さらに好ましくは600℃以上1500℃以下で
あり、とくに好ましくは700℃以上1500℃以下で
あり、かつ焼成時間としては1時間以上100時間以下
であることが好ましく、さらに好ましくは1時間以上7
0時間以下であり、とくに好ましくは1時間以上20時
間以下である。アトマイズによる冷却速度は毎分10℃
以上107℃以下であることが好ましく、さらに好まし
くは102℃以上106℃以下であり、特に好ましくは
103℃以上105℃以下である。本発明における昇温
速度とは「焼成温度(℃表示)の50%」から「焼成温
度(℃表示)の80%」に達するまでの温度上昇の平均
速度であり、本発明における冷却速度とは「焼成温度
(℃表示)の80%」から「焼成温度(℃表示)の50
%」に達するまでの温度降下の平均速度である。焼成中
に原料を供給しつつ焼成物を連続的に取り出してもよ
い。また焼成中に融液を攪拌することが好ましい。
【0019】本発明で示される化合物の平均粒子サイズ
は1〜60μmが好ましい。さらに好ましくは粒径分布
が揃っており、平均粒子サイズが5〜40μmとなるよ
う設定することが良い。また粒子形は球形が好ましい。
所定の粒子サイズにするには、アトマイズの条件の中か
ら溶融温度、ガス圧、ガス速度などを調節する。所望の
粒径分布とするためには分級を行っても良い。分級方法
としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に
応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用
いることができる。
【0020】本発明で用いられる酸化物の正極材料ある
いは負極材料の表面を、用いられる正極材料や負極材料
と異なる化学式を持つ酸化物で被覆することができる。
この表面酸化物は、酸性にもアルカリ性にも溶解する化
合物を含む酸化物が好ましい。さらに電子伝導性の高い
金属酸化物が好ましい。例えば、PbO2、Fe23
SnO2 、In23 、ZnOなどやまたはこれらの酸
化物にドーパント(例えば、酸化物では原子価の異なる
金属、ハロゲン元素など)を含ませることが好ましい。
特に好ましくは、SiO2 、SnO2 、Fe23 、Z
nO、PbO 2 である。これらの表面処理に使用される
金属酸化物の量は、該正極材料・負極材料当たり、0.
1〜10重量%が好ましく、0.2〜5重量%が特に好
ましく、0.3〜3重量%が最も好ましい。また、この
ほかに、正極材料や負極材料の表面を改質することがで
きる。例えば、調整された酸素分圧下で粉体を加熱処理
する方法、金属酸化物の表面をエステル化剤により処
理、キレ−ト化剤で処理、導電性高分子、ポリエチレン
オキサイドなどにより処理することなどが挙げられる。
【0021】本発明で用いられる正極材料は可逆的にリ
チウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物が好ま
しく、結晶性化合物でも非晶質の化合物でも良い。本発
明による、溶融状態で微粒化した後、冷却固化して得た
粉末を正極の電極材料として用いる場合は、五酸化バナ
ジウムを用いることが好ましい。五酸化バナジウムは融
点が695℃であり、これ以上の温度で融解した後、前
述のガスアトマイズ方式で微粒化することが好ましい。
その他にも、従来良く知られているリチウム含有遷移金
属酸化物が好ましく使用される。本発明で用いられる好
ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極材料としては、
リチウム含有Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、N
i、Cu、Mo、Wを含む酸化物があげられる。またリ
チウム以外のアルカリ金属(周期律表の第IA、第IIA
の元素)、及びまたはAl、Ga、In、Ge、Sn、
Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを混合してもよ
い。混合量は遷移金属に対して0〜30モル%が好まし
い。本発明で用いられるより好ましいリチウム含有遷移
金属酸化物正極材料としては、リチウム化合物/遷移金
属化合物(ここで遷移金属とは、Ti、V、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Mo、Wから選ばれる少なくと
も1種)の合計のモル比が0.3〜2.2になるように
混合して合成することが好ましい。本発明で用いられる
特に好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極材料とし
ては、リチウム化合物/遷移金属化合物(ここで遷移金
属とは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれ
る少なくとも1種)の合計のモル比が0.3〜2.2に
なるように混合して合成することが好ましい。本発明で
用いられるとくに好ましいリチウム含有遷移金属酸化物
正極材料とは、Lix QOy (ここでQは主として、そ
の少なくとも一種がCo、Mn、Ni、V、Feを含む
遷移金属)、x=0.2〜1.2、y=1.4〜3)で
あることが好ましい。Qとしては遷移金属以外にAl、
Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、
P、Bなどを混合してもよい。混合量は遷移金属に対し
て0〜30モル%が好ましい。
【0022】本発明で用いられるさらに好ましいリチウ
ム含有金属酸化物正極材料としては、LixCoO2
LixNiO2 、LixMnO2 、LixCoaNi
1-a 2 、LizCobV1-b Oz、LixCobFe
1-b 2 、LixMn24 、LixMncCo2-c
4 、LixMncNi2-c 4 、LixMncV2-c
z、LixMncFe2-c 4 、LixMn24 とM
nO2 の混合物、Li2xMnO3 とMnO2 の混合
物、LixMn24 、Li2 xMnO3 とMnO 2
混合物(ここでx=0.2〜1.2、a=0.1〜0.
9、b=0.8〜0.98、c=1.6〜1.96、z
=2.01〜5)をあげられる。本発明で用いられるさ
らに好ましいリチウム含有金属酸化物正極材料として
は、LixCoO2 、LixNiO2 、LixMnO
2 、LixCoaNi1-a 2 、LixCobV1-b
z、LixCobFe1-b 2 、LixMn24 、L
ixMncCo2-c 4 、LixMncNi2-c 4
LixMncV2-c 4 、LixMncFe2-c 4
(ここでx=0.7〜1.2、a=0.1〜0.9、b
=0.8〜0.98、c=1.6〜1.96、z=2.
01〜2.3)があげられる。本発明で用いられる最も
好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極材料として
は、LixCoO2 、LixNiO2 、LixMnO
2 、LixCoaNi1-a2 、LixMn24 、L
ixCobV1-b Oz(ここでx=0.7〜1.2、a
=0.1〜0.9、b=0.9〜0.98、z=2.0
2〜2.3)があげられる。ここで、上記のx値は、充
放電開始前の値であり、充放電により増減する。
【0023】本発明で用いられるリチウム含有遷移金属
酸化物正極材料は、リチウム化合物と遷移金属化合物を
混合、焼成する方法や溶液反応により合成することがで
きるが、特に焼成法が好ましい。本発明で用いられる焼
成温度は、本発明で用いられる混合された化合物の一部
が分解、溶融する温度であればよく、例えば250〜2
000℃が好ましく、特に350〜1500℃が好まし
い。焼成に際しては250〜900℃で仮焼する事が好
ましい。焼成時間としては1〜72時間が好ましく、更
に好ましくは2〜20時間である。また、原料の混合法
は乾式でも湿式でもよい。また、焼成後に200℃〜9
00℃でアニールしてもよい。焼成ガス雰囲気は特に限
定されず酸化雰囲気、還元雰囲気いずれもとることがで
きる。たとえば空気中、あるいは酸素濃度を任意の割合
に調製したガス、あるいは水素、一酸化炭素、窒素、ア
ルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン、二酸化炭素
等が挙げられる。
【0024】本発明の正極材料の合成に際し、遷移金属
酸化物に化学的にリチウムイオンを挿入する方法として
は、リチウム金属、リチウム合金やブチルリチウムと遷
移金属酸化物と反応させることにより合成する方法が好
ましい。本発明で用いる正極材料の平均粒子サイズは特
に限定されないが、0.1〜50μmが好ましい。比表
面積としては特に限定されないが、BET法で0.01
〜50m2 /gが好ましい。また正極材料5gを蒸留水
100mlに溶かした時の上澄み液のpHとしては7以
上12以下が好ましい。所定の粒子サイズにするには、
良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳
鉢、ボールミル、振動ボールミル、振動ミル、衛星ボー
ルミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩
などが用いられる。焼成によって得られた正極材料は
水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄
した後使用してもよい。
【0025】本発明に用いられる負極材料と正極材料と
の組み合わせは、好ましくは一般式(1)で示される化
合物とLixCoO2 、LixNiO2 、LixCoa
Ni 1-a 2 、LixMnO2 、LixMn24 、V
25 、またはLixCobV1-b Oz (ここでx=
0.7〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.9〜
0.98、z=2.02〜2.3)の組み合わせであ
り、高い放電電圧、高容量で充放電サイクル特性の優れ
た非水二次電池を得ることができる。
【0026】本発明の負極材料へのリチウム挿入の当量
は3〜10当量になっており、この当量に合わせて正極
材料との使用量比率を決める。この当量に基づいた使用
量比率に、0.5〜2倍の係数をかけて用いることが好
ましい。リチウム供給源が正極材料以外では(例えば、
リチウム金属や合金、ブチルリチウムなど)、負極材料
のリチウム放出当量に合わせて正極材料の使用量を決め
る。このときも、この当量に基づいた使用量比率に、
0.5〜2倍の係数をかけて用いることが好ましい。
【0027】本発明に併せて用いることができる負極材
料としては、リチウム金属、リチウム合金(Al、Al
−Mn(米国特許第4,820,599)、Al−Mg
(特開昭57−98977)、Al−Sn(特開昭63
−6,742)、Al−In、Al−Cd(特開平1−
144,573)などやリチウムイオンまたはリチウム
金属を吸蔵・放出できる焼成炭素質化合物(例えば、特
開昭58−209,864、同61−214,417、
同62−88,269、同62−216,170、同6
3−13,282、同63−24,555、同63−1
21,247、同63−121,257、同63−15
5,568、同63−276,873、同63−31
4,821、特開平1−204,361、同1−22
1,859、同1−274,360など)があげられ
る。上記リチウム金属やリチウム合金の併用目的は、本
発明で用いる負極材料にリチウムを電池内で挿入させる
ためのものであり、電池反応として、リチウム金属など
の溶解・析出反応を利用するものではない。
【0028】電極合剤には、導電剤や結着剤やフィラー
などを添加することができる。導電剤は、構成された電
池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であ
れば何でもよい。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒
鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、ア
セチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金
属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀(特開昭63−1
48,554)など)粉、金属繊維あるいはポリフェニ
レン誘導体(特開昭59−20,971)などの導電性
材料を1種またはこれらの混合物として含ませることが
できる。黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ま
しい。その添加量は、1〜50重量%が好ましく、特に
2〜30重量%が好ましい。カーボンや黒鉛では、2〜
15重量%が特に好ましい。
【0029】結着剤には、通常、でんぷん、ポリビニル
アルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセル
ロース、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、
テトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエ
ンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ス
チレンブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、
ポリエチレンオキシドなどの多糖類、熱可塑性樹脂、ゴ
ム弾性を有するポリマーなどが1種またはこれらの混合
物として用いられる。また、多糖類のようにリチウムと
反応するような官能基を含む化合物を用いるときは、例
えば、イソシアネート基のような化合物を添加してその
官能基を失活させることが好ましい。その結着剤の添加
量は、1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%
が好ましい。フィラーは、構成された電池において、化
学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いるこ
とができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなど
のオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用
いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0
〜30重量%が好ましい。
【0030】本発明の負極材料を非水二次電池系におい
て使用するに当たっては、本発明の化合物を含む水分散
合剤ペーストを集電体上に塗布・乾燥し、かつ該水分散
合剤ペーストのpHが5以上10未満、さらには6以上
9未満であることが好ましい。また、該水分散ペースト
の温度を5℃以上80℃未満に保ち、かつペーストの調
製後7日以内に集電体上への塗布を行うことが好まし
い。
【0031】電解質としては、有機溶媒として、プロピ
レンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカ
ーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネ
ート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラ
ン、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジオキソラン、
ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、
アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチ
ル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸
トリエステル(特開昭60−23,973)、トリメト
キシメタン(特開昭61−4,170)、ジオキソラン
誘導体(特開昭62−15,771、同62−22,3
72、同62−108,474)、スルホラン(特開昭
62−31,959)、3−メチル−2−オキサゾリジ
ノン(特開昭62−44,961)、プロピレンカーボ
ネート誘導体(特開昭62−290,069、同62−
290,071)、テトラヒドロフラン誘導体(特開昭
63−32,872)、ジエチルエーテル(特開昭63
−62,166)、1,3−プロパンサルトン(特開昭
63−102,173)などの非プロトン性有機溶媒の
少なくとも1種以上を混合した溶媒とその溶媒に溶ける
リチウム塩、例えば、LiClO4 、LiBF 4 、Li
PF6 、LiCF3 SO3 、LiCF3 CO2 、LiA
sF6 、LiSbF6 、LiB10Cl10(特開昭57−
74,974)、低級脂肪族カルボン酸リチウム(特開
昭60−41,773)、LiAlCl4 、LiCl、
LiBr、LiI(特開昭60−247,265)、ク
ロロボランリチウム(特開昭61−165,957)、
四フェニルホウ酸リチウム(特開昭61−214,37
6)などの1種以上の塩から構成されている。なかで
も、プロピレンカーボネートあるいはエチレンカボート
と1,2−ジメトキシエタンおよび/あるいはジエチル
カーボネートの混合液にLiCF3 SO3 、LiClO
4 、LiBF4 および/あるいはLiPF6 を含む電解
質が好ましい。これら電解質を電池内に添加する量は、
特に限定されないが、正極材料や負極材料の量や電池の
サイズによって必要量用いることができる。支持電解質
の濃度は、電解液1リットル当たり0.2〜3モルが好
ましい。
【0032】また、電解液の他に次の様な固体電解質も
用いることができる。固体電解質としては、無機固体電
解質と有機固体電解質に分けられる。無機固体電解質に
は、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよく
知られている。なかでも、Li3 N、LiI、Li5
NI2 、Li3 N−LiI−LiOH、LiSiO4
LiSiO4 −LiI−LiOH(特開昭49−81,
899)、xLi3 PO4 −(1−x)Li4 SiO4
(特開昭59−60,866)、Li2 SiS 3 (特開
昭60−501,731)、硫化リン化合物(特開昭6
2−82,665)などが有効である。有機固体電解質
では、ポリエチレンオキサイド誘導体か該誘導体を含む
ポリマ−(特開昭63−135,447)、ポリプロピ
レンオキサイド誘導体か該誘導体を含むポリマー、イオ
ン解離基を含むポリマー(特開昭62−254,30
2、同62−254,303、同63−193,95
4)、イオン解離基を含むポリマ−と上記非プロトン性
電解液の混合物(米国特許第4,792,504、同
4,830,939、特開昭62−22,375、同6
2−22,376、同63−22,375、同63−2
2,776、特開平1−95,117)、リン酸エステ
ルポリマー(特開昭61−256,573)が有効であ
る。さらに、ポリアクリロニトリルを電解液に添加する
方法もある(特開昭62−278,774)。また、無
機と有機固体電解質を併用する方法(特開昭60−1,
768)も知られている。
【0033】セパレーターとしては、大きなイオン透過
度を持ち、所定の機械的強度を持ち、絶縁性の薄膜が用
いられる。耐有機溶剤性と疎水性からポリプレピレンな
どのオレフィン系ポリマーあるいはガラス繊維あるいは
ポリエチレンなどからつくられたシートや不織布が用い
られる。セパレーターの孔径は、一般に電池用として用
いられる範囲が用いられる。例えば、0.01〜10μ
mが用いられる。セパレターの厚みは、一般に電池用の
範囲で用いられる。例えば、5〜300μmが用いられ
る。また、放電や充放電特性を改良する目的で、以下で
示す化合物を電解質に添加することが知られている。例
えば、ピリジン(特開昭49−108,525)、トリ
エチルフォスファイト(特開昭47−4,376)、ト
リエタノールアミン(特開昭52−72,425)、環
状エーテル(特開昭57−152,684)、エチレン
ジアミン(特開昭58−87,777)、n−グライム
(特開昭58−87,778)、ヘキサリン酸トリアミ
ド(特開昭58−87,779)、ニトロベンゼン誘導
体(特開昭58−214,281)、硫黄(特開昭59
−8,280)、キノンイミン染料(特開昭59−6
8,184)、N−置換オキサゾリジノンとN,N’−
置換イミダゾリジノン(特開昭59−154,77
8)、エチレングリコールジアルキルエーテル(特開昭
59−205,167)、四級アンモニウム塩(特開昭
60−30,065)、ポリエチレングリコール(特開
昭60−41,773)、ピロール(特開昭60−7
9,677)、2−メトキシエタノ−ル(特開昭60−
89,075)、AlCl3 (特開昭61−88,46
6)、導電性ポリマー電極活物質のモノマー(特開昭6
1−161,673)、トリエチレンホスホルアミド
(特開昭61−208,758)、トリアルキルホスフ
ィン(特開昭62−80,976)、モルフォリン(特
開昭62−80,977)、カルボニル基を持つアリ−
ル化合物(特開昭62−86,673)、ヘキサメチル
ホスホリックトリアミドと4−アルキルモルフォリン
(特開昭62−217,575)、二環性の三級アミン
(特開昭62−217,578)、オイル(特開昭62
−287,580)、四級ホスホニウム塩(特開昭63
−121,268)、三級スルホニウム塩(特開昭63
−121,269)などが挙げられる。
【0034】また、電解液を不燃性にするために含ハロ
ゲン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化塩化エチレンを
電解液に含ませることができる。(特開昭48−36,
632)また、高温保存に適性をもたせるために電解液
に炭酸ガスを含ませることができる(特開昭59−13
4,567)。また、正極や負極の合剤には電解液ある
いは電解質を含ませることができる。例えば、前記イオ
ン導電性ポリマーやニトロメタン(特開昭48−36,
633)、電解液(特開昭57−124,870)を含
ませる方法が知られている。
【0035】正・負極の集電体としては、構成された電
池において化学変化を起こさない電子伝導体であれば何
でもよい。例えば、正極には、材料としてステンレス
鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、炭素などの他に
アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケ
ル、チタンあるいは銀を処理させたものが用いられる。
特に、アルミニウムあるいはアルミニウム合金が好まし
い。負極には、材料としてステンレス鋼、ニッケル、
銅、チタン、アルミニウム、炭素などの他に、銅やステ
ンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは
銀を処理させたもの、Al−Cd合金などが用いられ
る。特に、銅あるいは銅合金が好ましい。これらの材料
の表面を酸化することも用いられる。また、表面処理に
より集電体表面に凹凸を付けることが望ましい。形状
は、フォイルの他、フィルム、シート、ネット、パンチ
されたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形
体などが用いられる。厚みは、特に限定されないが、1
〜500μmのものが用いられる。
【0036】電池の形状はコイン、ボタン、シート、シ
リンダー、偏平、角などいずれにも適用できる。電池の
形状がコインやボタンのときは、正極材料や負極材料の
合剤はペレットの形状に圧縮されて主に用いられる。そ
のペレットの厚みや直径は電池の大きさにより決められ
る。また、電池の形状がシート、シリンダー、角のと
き、正極材料や負極材料の合剤は、集電体の上に塗布
(コート)、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。塗布
方法は、一般的な方法を用いることができる。例えば、
リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、
ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビ
ア法、バー法、ディップ法及びスクイーズ法を挙げるこ
とができる。そのなかでもブレード法、ナイフ法及びエ
クストルージョン法が好ましい。塗布は、0.1〜10
0m/分の速度で実施されることが好ましい。この際、
合剤の溶液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選
定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ること
ができる。塗布は、片面ずつ逐時でも両面同時でもよ
い。また、塗布は連続でも間欠でもストライプでもよ
い。その塗布層の厚み、長さや巾は、電池の大きさによ
り決められるが、片面の塗布層の厚みは、ドライ後の圧
縮された状態で、1〜2000μmが特に好ましい。
【0037】ペレットやシートの乾燥又は脱水方法とし
ては、一般に採用されている方法を利用することができ
る。特に、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び
低湿風を単独あるいは組み合わせて用いることが好まし
い。温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に10
0〜250℃の範囲が好ましい。含水量は、電池全体で
2000ppm以下が好ましく、正極合剤、負極合剤や
電解質ではそれぞれ500ppm以下にすることがサイ
クル性の点で好ましい。ペレットやシートのプレス法
は、一般に採用されている方法を用いることができる
が、特に金型プレス法やカレンダープレス法が好まし
い。プレス圧は、特に限定されないが、0.2〜3t/
cm2 が好ましい。カレンダープレス法のプレス速度は
0.1〜50m/分が好ましく、プレス温度は室温〜2
00℃が好ましい。正極シートに対する負極シート幅の
比は、0.9〜1.1が好ましく、0.95〜1.0が
特に好ましい。正極材料と負極材料の含有量比は、化合
物種類や合剤処方により異なるため、限定できないが、
容量、サイクル性、安全性の観点で最適な値に設定でき
る。
【0038】該合剤シートとセパレーターを介して重ね
合わせた後、それらのシートは、巻いたり、折ったりし
て缶に挿入し、缶とシートを電気的に接続した後、電解
液を注入し、封口板を用いて電池缶を形成する。この
時、安全弁を封口板として用いることができる。安全弁
の他、従来から知られている種々の安全素子を備えつけ
ても良い。例えば、過電流防止素子として、ヒューズ、
バイメタル、PTC素子などが用いられる。また、安全
弁のほかに電池缶の内圧上昇の対策として、電池缶に切
込を入れる方法、ガスケット亀裂方法あるいは封口板亀
裂方法あるいはリード板との切断方法を利用することが
できる。また、充電器に過充電や過放電対策を組み込ん
だ保護回路を具備させるか、あるいは独立に接続させて
もよい。また、過充電対策として、電池内圧の上昇によ
り電流を遮断する方式を具備することができる。このと
き、内圧を上げる化合物を合剤あるいは電解質に含ませ
ることができる。内圧を上げる為に用いられる化合物の
例としては、Li2 CO 3 、LiHCO3 、Na2 CO
3 、NaHCO3 、CaCO3 、MgCO3 などの炭酸
塩などを挙げることが出来る。
【0039】缶やリード板は、電気伝導性をもつ金属や
合金を用いることができる。例えば、鉄、ニッケル、チ
タン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムなどの金
属あるいはそれらの合金が用いられる。キャップ、缶、
シート、リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又
は交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用い
ることができる。封口用シール剤は、アスファルトなど
の従来から知られている化合物や混合物を用いることが
できる。
【0040】本発明の非水二次電池の用途には、特に限
定されないが、例えば、電子機器に搭載する場合、カラ
ーノートパソコン、白黒ノートパソコン、ペン入力パソ
コン、ポケット(パームトップ)パソコン、ノート型ワ
ープロ、ポケットワープロ、電子ブックプレーヤー、携
帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディ
ーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリ
ンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶
テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニ
ディスク、電気シェーバー、電子翻訳機、自動車電話、
トランシーバー、電動工具、電子手帳、電卓、メモリー
カード、テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電
源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用と
して、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、
ゲーム機器、ロードコンディショナー、アイロン、時
計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補
聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍
需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電
池と組み合わせることもできる。
【0041】
【実施例】以下に具体例をあげ、本発明をさらに詳しく
説明するが、発明の主旨を越えない限り、本発明は実施
例に限定されるものではない。
【0042】合成例−1 一酸化錫67.4g、ピロリン酸錫102.8g、無水
酸化ホウ素17.4g、炭酸セシウム16.3g、酸化
アルミニウム(α型)5.1gを乾式混合し、アルミナ
製るつぼに入れ、RQM−P−1型急冷凝固粉末製造装
置(真壁技研製)にセットした。まずアルゴン雰囲気
(酸素分圧は1100℃にて10−12に調節)下、1
5℃/分で1100℃まで昇温し、1100℃で12時
間焼成、溶融した後、同じガス雰囲気中でガス量100
L/sにてアトマイズした。得られた粉末は組成がSn
Cs0.1 Al0.40.50.53.7 、平均粒子サイズ
10μmの球状粒子を得た(化合物1−A)。これはC
uKα線を用いたX線回折法において2θ値で28°付
近に頂点を有するブロードなピークを有する物であり、
2θ値で40°以上70°以下には結晶性の回折線は見
られなかった。同様の方法で、それぞれ化学量論量の原
料を混合、焼成、粉砕し以下に示す化合物を合成した。
【0043】SnK0.1 Al0.40.50.53.7
(1−B)、SnRb0.1 Al0.30.50.53.6
(1−C)、SnNa0.1 Al0.20.60.43.3
(1−D)、Sn1.3 Cs0.15Al0.30.40.6
3.9 (1−E)、SnMg0.1 Al0.30.50.5
0.23.5 (1−F)、Sn0.8 Mn0.20.50.5
3 (1−G)、Sn0.9 Fe0.1 Al0.20.5
0.53.3 (1−H)、Sn0.9 Ge0.1 Cs0.05Al
0.30.50.53.6 (1−I)、Sn0.9 Pb0.1
Mg0.10.4 Al0.30.60.23.6 (1−
J)、SnB0.4 Al0.3 Si0.20.43.5 (1−
K)、Sn0.9 Ge0.1 Mg0.10.1 Al0.30.5
0.53.7 (1−L)、Sn0.9 Tl0.20.5
0.53 (1−M)、Sn0.8 Bi0.130.50.5
3 (1−N)を得た。これらの化合物は同様にCuKα
線を用いたX線回折法において2θ値で20°から40
°に頂点を有するブロードな散乱帯を有する物であっ
た。
【0044】次に、市販の五酸化バナジウム試薬特級を
ルツボに量りとり、同様にRQM−P−1型急冷凝固粉
末製造装置にセットした。ヘリウムガス雰囲気下、15
℃/分で750℃まで昇温し溶融した後、同じガス雰囲
気中でガス量100L/sにてアトマイズした。得られ
た粉末は平均粒子サイズ10μmの球状粒子であった
(化合物1−V)。これはCuKα線を用いたX線回折
法において2θ値で28°付近に頂点を有するブロード
なピークを有する物であり、2θ値で40°以上70°
以下には結晶性の回折線は見られなかった。
【0045】実施例−1 合剤の調整法として、負極材料では、合成例−1で合成
した化合物1−Aを82重量%、導電剤として鱗片状黒
鉛を8重量%、アセチレンブラックを4重量%、結着剤
として、ポリ弗化ビニリデンを6重量%の混合比で混合
した合剤を圧縮成形させたペレット(13mmΦ、22
mg)をドライボックス(露点−40〜−70℃、乾燥
空気)中で遠赤外線ヒーター(150℃ 3時間)にて
乾燥後用いた。正極材料では、LiCoO2 あるいは試
料1−Vを82重量%、導電剤として鱗片状黒鉛を8重
量%、アセチレンブラックを4重量%、結着剤として、
テトラフルオロエチレンを6重量%の混合比で混合した
合剤を圧縮成形させた正極ペレット(13mmΦ、化合
物A−1のリチウム挿入容量に合わせた)を上記と同じ
ドライボックス中で遠赤外線ヒーター(150℃3時
間)にて乾燥後用いた。集電体には、正・負極缶ともに
80μm厚のSUS316のネットをコイン缶に溶接し
て用いた。電解質として1mol/リットルのLiPF
6 (溶媒はエチレンカーボネートとジエチルカーボネー
トの2:8容量混合液)を200μl用い、更に、セパ
レーターとして微孔性のポリプロピレンシートとポリプ
ロピレン不織布を用いて、その電解液を不織布に含浸さ
せて用いた。そして、図1の様なコイン型非水二次電池
を上記と同じドライボックス中で作製した。
【0046】この非水二次電池を0.75mA/cm2
の定電流密度にて、4.2〜2.8Vの範囲で第一回目
の充放電試験を行なった(試験はすべて充電から始め
た)。次に第二回目の充電を4.2Vまで行った後、こ
の電池を恒温槽に入れ、60℃一週間保存した。室温に
取り出してから、第二回目の放電試験を行った。その結
果を表1に示した。尚、表1に示す略号は、(a)負極
材料、(b)正極材料、(c)第1回目放電容量(負極
材料1g当りmAH)、(d)第2回目放電容量、
(e)容量維持率d/cをそれぞれ示す。合成例で示し
た化合物1−B〜1−N、1−Vについても同様の方法
でコイン型非水二次電池を作製し、充放電試験をおこな
った。その結果を同様に表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】比較例−1 一酸化錫67.4g、ピロリン酸錫102.8g、無水
酸化ホウ素17.4g、炭酸セシウム16.3g、酸化
アルミニウム(α型)5.1gを乾式混合し、これをア
ルミナ製るつぼに入れ、合成例−1と同じガス雰囲気下
において、10℃/分で1100℃まで昇温した。11
00℃で12時間焼成したのち、8.3℃/分で室温に
まで冷却し、ガラス状化合物を得た。該化合物をジェッ
トミルで粉砕し、さらに風力分級を行って平均粒径10
μmの試料2−Aを得た。合成例1−B〜1−Nまでの
組成についても同様にして、試料2−B〜2−Nを得
た。市販の五酸化バナジウムをジェットミル粉砕して、
粒子サイズを平均10μmに調節したものを試料2−V
とした。これらの化合物を用いる以外は実施例−1と同
じ方法でコイン型非水二次電池を作製し、充放電試験を
おこなった。これらの化合物について充放電試験を行っ
た結果を表1に併せて示した。この結果から本発明の化
合物は比較化合物のいずれに対しても、充電時の保存性
に優れていることがわかる。
【0049】実施例−2 負極材料として、合成例−1で合成した化合物1−Aを
用いて、それを78重量%、鱗片状黒鉛17重量%の割
合で混合し、更に結着剤としてポリフッ化ビニリデンの
水分散物を4重量%およびカルボキシメチルセルロース
1重量%を加え、水を媒体として混練してスラリーを作
製した。なお、pHは7.0に調整した。該スラリーを
厚さ18μmの銅箔の両面に、エクストルージョン法に
より塗布し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成型
し、所定の幅、長さに切断して帯状の負極シートを作製
した。負極塗布層の厚みは44μmであった。正極材料
として、LiCoO2 あるいは試料1−Vを92重量
%、アセチレンブラック3重量%、さらに結着剤として
ポリテトラフルオロエチレン水分散物3重量%とポリア
クリル酸ナトリウム1重量%および重炭酸ナトリウム1
重量%を加え、水を媒体として混練して得られたスラリ
ーを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に上記と同じ
方法で塗布、乾燥、プレス、切断した。そして、220
μmの帯状正極シートを作製した。上記負極シートおよ
び正極シートのそれぞれ端部にそれぞれニッケル、アル
ミニウムのリード板をスポット溶接した後、露点ー40
℃以下の乾燥空気中で230℃2時間脱水乾燥した。さ
らに、脱水乾燥済み正極シート(8)、微多孔性ポリエ
チレンフィルムセパレーター、脱水乾燥済み負極シート
(9)およびセパレーター(10)の順で積層し、これ
を巻き込み機で渦巻き状に巻回した。
【0050】この巻回体を、負極端子を兼ねるニッケル
メッキを施した鉄製の有底円筒型電池缶(11)に収納
した。さらに、電解質として0.95mol/リットル
のLiPF6 と0.05mol/リットルのLiBF4
(溶媒はエチレンカーボネートとジエチルカーボネート
の2:8容量混合液)を電池缶に注入した。正極端子を
有する電池蓋(12)をガスケット(13)を介してか
しめて円筒型電池を作製した。なお、正極端子(12)
は正極シート(8)と、電池缶(11)は負極シート
(9)とあらかじめリード端子により接続した。図2に
円筒型電池の断面を示した。なお、(14)は安全弁で
ある。充放電条件は、4.2〜2.8V、1mA/cm
2 とした。その結果を、表2に示した。尚、表2に示す
略号は(a)〜(e)ともに実施例−1と同じである。
合成例−1で作成した化合物1−B〜1−N、1−Vの
それぞれの本発明化合物を同様に評価した結果も併せて
表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】比較例−2 実施例−2において、負極材料として比較化合物2−A
〜2−Nを、正極材料として比較化合物2−Vを用いる
以外は実施例−2と同じ方法で円筒型電池を作成し、充
放電試験を行った。その結果を表2に示した。
【0053】実施例−3 負極材料の合成 合成例1と同様にして、組成がSn0.8Si0.5B0.3P
0.2Al0.1O2.8 で、平均粒子サイズ5μmの球状粒子
を得た。これはCuKα線を用いたX線回折法において
2θ値で28°付近に頂点を有するブロードなピークを
有する物であり、2θ値で40°以上70°以下には結
晶性の回折線は見られなかった。本化合物を0.75g
を水7.5mlに分散し16時間放置後のpHは7.9
(電気化学計器(株)製 PHL−20で測定)であっ
た。窒素吸着法による比表面積は0.55m2 /g(Q
UANTACHROME製 商品名QUANTASOR
BOS−7で測定)であった。
【0054】正極活物質の合成 炭酸リチウム(純度99.1%)46.3gと四酸化三
コバルト(含量73.5%)100gを混合しアルミナ
るつぼにいれた。空気中、毎分2℃で750℃に昇温し
4時間仮焼した後、さらに毎分2℃の速度で900℃に
昇温しその温度で8時間焼成しLiCoO2 を得た。得
られた焼成物を解砕し水で洗浄した。平均粒径5.5μ
m(負極材料と同じ測定法)であり、洗浄品50gを1
00mlの水に分散した時の分散液の電導度は0.6m
S/m(東亜電波(株)製 CM−2Aで測定)、pH
は10.1であり、窒素吸着法による比表面積は0.4
2m2 /gであった。
【0055】電解液の調整(電解液E−1) アルゴン雰囲気で、200ccの細口のポリプロピレン
容器に炭酸ジエチル65.3gをいれ、これに液温が3
0℃を越えないように注意しながら、22.2gの炭酸
エチレンを少量ずつ溶解した。次に、0.4gのLiB
4 および12.1gのLiPF6 を液温が30℃を越
えないように注意しながら、それぞれ順番に、上記ポリ
プロピレン容器に少量ずつ溶解した。得られた電解液は
比重1.135で無色透明の液体であった。水分は18
ppm(京都電子製 商品名MKC−210型カールフ
ィシャー水分測定装置で測定)、遊離酸分は24ppm
(ブロムチモールブルーを指示薬とし、0.1規定Na
OH水溶液を用いて中和滴定して測定)であった。
【0056】負極塗布液(AL−1)の調製 以下の調液は全て25℃に保温しておこなった。ポリフ
ッ化ビニリデン203gとカルボキシメチルセルロース
CMC−1170(ダイセル製)の2重量%の水溶液2
039gを2mm径のジルコニアビーズを用いたメディ
ア分散機で1200rpmで分散した(A−I液) 上記A−I液に酢酸リチウム52g、負極材料を418
1g、水2608gを添加し同じメディア分散機で50
0rpmで分散した(A−II液)。該A−II液9083
gに導電剤人造黒鉛を917g添加しディスク分散機で
分散し負極塗布液(AL−1)を調製した。この液の粘
度は220cp(剪断速度100s-1、温度25℃、ハ
ーケ社製VT550)、比重は1.54、pHは7.6
6であった。
【0057】正極塗布液(CL−1)の調製 以下の調液は全て25℃に保温しておこなった。アセチ
レンブラック294gとカルボキシメチルセルロースC
MC−2280(ダイセル製)の1.2重量%の水溶液
1630gを2mm径のジルコニアビーズを用いたメデ
ィア分散機で2500rpmで分散した(C−I液)。
正極活物質5556g、カルボキシメチルセルロースC
MC−2280(ダイセル製)の1.2重量%の水溶液
1090g、水1250gを同じメディア分散機で75
0rpmで分散した(C−II液)。上記C−I液789
1gにC−II液1923gを添加しディスク分散機で分
散しそれに、ポリマーラテックス水溶液(日本ゼオン製
LX820 55%)1800gを加えさらに分散を
続け正極塗布液(CL−1)を調製した。この液の粘度
は600cp、比重は1.86、pHは9.92であっ
た。
【0058】保護層塗布液(PL−1)の調製 ポリフッ化ビニリデン390gとカルボキシメチルセル
ロースCMC−1170(ダイセル製)の2重量%の水
溶液3900gを2mm径のジルコニアビーズを用いた
メディア分散機で1200rpmで120分間分散し
た。この液にアルミナUA5025(昭和電工製商品
名、平均粒径1μm)8000gおよび水14.57L
を加えさらに10分間分散し保護層塗布液(PL−1)
を得た。粘度は35cp、pHは8.0、比重は1.2
5であった。アルミナUA5025を7760gと導電
性人造黒鉛240gを用いること以外はPL−1と同様
の手法にて、保護層塗布液PL−2を調製した。
【0059】負極塗布工程 銅箔集電体(厚さ18μm)上にエクストルージョンダ
イを用いてAL−1液を集電体の表、裏共に192g/
2 塗布した。乾燥温度は50℃であった。乾燥後同じ
エクストルージョンダイを用いPL−1液を表裏共に4
7.6g/m2塗布した。塗布は、合剤塗布部が458
mm、集電体露出部が62mmとなるように間欠塗布
し、乾燥温度は30℃であった。このようにして長尺の
負極シート(AT−1)を得た。
【0060】正極塗布工程 アルミニウム集電体(厚さ20μm)上にエクストルー
ジョンダイを用いてCL−1液を集電体の表、裏共に7
01g/m2 塗布した。塗布は、合剤塗布部が413m
m、集電体の露出部が33mmとなるように間欠塗布
し、乾燥温度は40〜50℃であった。このようにして
長尺の正極シート(CT−1)を得た。
【0061】プレス工程 負極シートAT−1をロール径500mmのショアー硬
度78度のメタルロールを上下に配置したローラープレ
ス機を用い0.78t/cmの荷重で1回通過させプレ
スし、厚さを108μmにした。正極シートCT−1を
荷重を1.4t/cmにし、2回通過させた以外は負極
と同様にプレスし厚さを270μmにした。負極合剤お
よび正極合剤の嵩密度はそれぞれ2.54、3.59
で、嵩密度と各化合物の真密度か求めた空隙率はそれぞ
れ21.7%,19.7%であった。
【0062】脱水工程 プレスした厚み280μmである広幅の正極を、赤外線
ヒーターにより、230℃にて20分間加熱した。冷却
後、上下一対の回転する切れ刃のかみ合い深さを0.1
mm〜0.3mmに設定した回転ロールを切れ刃とする
裁断機を使用して、10m/分の速度で、幅53mmの
帯状に裁断した。上下一対の回転する切れ刃は、それぞ
れ直角の刃先と相対する面がゴムローラであり、裁断す
る電極端部を刃先とゴムローラでニップしながら裁断
(ギャング方式)し巻き取った。一方プレスした厚み1
15μmである広幅の負極を、赤外線ヒーターにより2
40℃にて20分間加熱した。冷却後、刃先角90°の
ゲーベル刃を使用し、上下の刃のかみ合い深さを0.2
mm〜0.3mmに設定した裁断機を使用して、10m
/分の速度で、幅55mmの帯状に裁断し巻き取った。
巻き取った正負極を、ドライボックス(露点;−50℃
以下のの乾燥空気)中で遠赤外線ヒーターで230℃6
時間加熱し脱水した。
【0063】リード溶接 さらに、脱水乾燥した正極シートの正極集電体の露出部
にリードタブを超音波溶接した。リードタブの材質はア
ルミニウム(幅4mm、厚み0.1mm、長さ75m
m、O材)である。リードタブを正極端子と接続する側
で正極シートの長手方向の端面付近に対応するリードタ
ブの場所に幅15mmの絶縁テープを幅方向に貼った。
絶縁テープは基材がポリプロピレンでアクリル系粘着材
を用いた粘着テープを使用した。超音波溶接は表面に細
かい凹凸部を多数設けた鉄敷(アンビル)の上に、正極
の集電体の露出部分を位置決めし、短冊状のリードタブ
をその上に重ねて置き、超音波溶接機(ブランソン製、
40kHz)の超音波ホーンで1MPaの圧力で加圧し
ながら75msecの間、振幅22μmの超音波振動を
加えて溶接した。超音波ホーンの加圧面は2.0mm×
30mmの長方形状で0.4mmピッチで細かい凹凸面
が設けられている。
【0064】また、脱水乾燥した負極シートの負極集電
体の露出部にもリードタブを超音波溶接した。リードタ
ブの材質はニッケル(幅4mm、厚み0.1mm、長さ
69mm、O材)である。超音波溶接機(ブランソン
製、40kHz)の超音波ホーンの加圧力は4MPaと
し、振幅26μmで溶接時間は105msecであっ
た。超音波ホーンの加圧面は2mm×25mmの長方形
状で0.6mmピッチで細かい凹凸面が設けられてい
る。さらに、溶接されたリードタブの上から幅15m
m、長さ54mmの絶縁テープを負極シートからはみ出
さないように貼った。絶縁テープは基材がポリプロピレ
ンでアクリル系粘着材を用いた粘着テープを使用した。
【0065】リチウム箔の貼り付け工程 負極シートの合剤塗布部の端部から、合剤上に金属リチ
ウムの薄片を貼り付けた。金属リチウムは純度が99.
98%、厚み25μmの箔を4mm幅、長さ45mmに
裁断したものを、8mm間隔に貼り付けた。裁断は流動
パラフィンを薄く塗った鉄製のカッターで行った。つい
で表面に細かい凹凸面が設けられた高密度ポリエチレン
製の回転ローラを金属リチウムに押しつけ、負極の合剤
面と金属リチウムとを圧着した。また金属リチウムは負
極合剤面から飛び出さないように貼り付けた。前記作業
は露点−40℃以下の炭酸ガスを5%含む乾燥空気下で
行った。 巻回工程 さらに、正極シートと負極シート3とを、セパレータ4
を介して渦巻き状に巻回した。この時、正極の先頭は、
集電体の正極リードの付きの露出部が30mmとなるよ
うに裁断し、負極先頭には集電体露出部が3mmとなる
ように裁断した。セパレータは微細孔を有するもので材
質はポリエチレン(宇部興産商品名:EF4500また
はUP2015、厚み25μm)であり、幅は59mm
のものを使用した。巻回には、直径4mmの巻軸を使用
した。巻軸は2つ割りの構造で、2枚のセパレータの先
端を巻軸の分割された部分に挟み込んで、始めにセパレ
ータだけを1周巻軸に巻き付けた。そして、正極が2枚
のセパレータに挟まれる構成となるように正極の集電体
の露出した先端を巻軸に巻き付けた。正極リードタブの
位置が巻回した時に内側面に位置するように正極を供給
した。さらに、正極の最内周の内側面で、正極材料が塗
り始められた部分に先行した位置に、負極材料が塗られ
た負極先端が巻き込まれるように位置合わせして、2枚
のセパレータを介して正極と負極のシートを渦巻状に巻
回した。正極シートの最外周の外側面の終端は、負極シ
ートの最外周の内側面の負極材料で覆われる関係とな
る。そして、負極シートの最外周の内側面に負極リード
タブを位置させた。さらに、巻回の最外周を2枚のセパ
レータで覆い幅50mmの粘着テープで巻止めした。巻
止めテープの長さは、20mm以下とした。また巻止め
テープは基材がポリプロピレンでアクリル系粘着剤を用
いた粘着テープを使用した。また、正極シートの長手方
向の両端面が、負極シートの長手方向の両端面より飛び
出さないように巻回した。さらに負極シートの長手方向
の端面が、セパレータの長手方向の端面より飛び出さな
いように巻回した。また円筒状となった電極体(巻回
群)の一方の端面のほぼ中央から正極リードタブが、そ
の反対面の外周側から負極リードタブが露出した形態と
なった。さらに、露出した正極リードタブと負極リード
タブの間に、直流250Vのパルス電圧を印加した後、
両極間の導通抵抗が2MΩ以上となるものを選別した。
【0066】巻回群の負極リードタブが露出した面に、
ポリプロピレン製の中央に小穴を有する円板状の絶縁板
を配置し、負極のリードタブを折り曲げて巻回群と負極
リードタブの間に前記絶縁板を挟み込んだ。さらに、電
池の負極端子を兼ねる、ニッケルメッキを施した鉄製の
有底円筒型電池缶(高さ:66.8mm、外径:17.
8mm、厚み:0.3mm)に絶縁板付きの巻回群を収
納した。そして、電池缶の開口部より、中央に貫通穴を
有し周辺に複数の穴が空いた円板状の絶縁板(ポリプロ
ピレンシート)を正極リードタブが中央の貫通孔を通過
するように巻回群の上面に配置した。
【0067】上下に絶縁板を取り付けた巻回群が挿入さ
れた電池缶の開口部付近に溝を入れた。溝入れは電池缶
を回転させ、同時に電池缶の上下方向から圧縮加重を加
え、さらに側面から円盤状ローラ(材質:超鋼合金G
6、表面処理:TiC処理)を押しつけ、電池缶の肉厚
に偏肉が発生しないように加工した。溝入れ部の断面形
状は、電池缶の内側において溝の側壁に平坦部を形成
し、具体的には電池缶の外側において溝の先端がR0.
6mmの半円径で深さ1.5mmである。さらに、巻回
群の負極リードタブと負極端子となる電池缶(2)の底
を抵抗溶接(スポット溶接)した。溶接の準備工程とし
て、先端が尖った加熱棒を巻回群中心穴に挿入し巻回群
を回転させ、巻回群の中心穴を横断する位置にあるセパ
レータを巻回群中心穴の側面に接近する位置まで移動さ
せた。加熱棒の先端は蓮切り形状に加工され、また最先
端部は丸みが付けられている。抵抗溶接の電極の材質は
クローム銅で、巻回群に挿入する電極(溶接棒)は外径
3mmで先端の平坦部の径が1.5mmのものを使用し
た。また電池缶底は外径2mmの電極で受けた。溶接時
の加圧力は0.3MPaでありインバータ方式の溶接機
(ミヤチテクノス製 商品名:IS−217A、IT−
512A)を使用し、溶接条件は電流2.1KA、溶接
時間4msecであった。また、溶接時のピーク電圧と
電流をモニターし、負極リードタブが電池缶底と正常に
スポット溶接された事を確認した。
【0068】負極リードタブがスポット溶接された電池
缶を回転させながら、チューブをしごいて液体を送液す
るチュービングポンプを使用し、溝入れ済み電池缶の開
口部付近内側にシール剤を塗布した。シール剤はアスフ
ァルト、コールタールのピッチとモンモリロン石群鉱物
などの粘土鉱物との混合物をトルエンに溶解させた約1
5%濃度の液体である。さらに、シール済み電池缶を乾
燥させ、シール剤の有機溶媒を除去した。
【0069】シール剤が乾燥した後、電解液(前記電解
液E−1)5.3ccを4回に分けて電池缶に注入し
た。電解液を注入する前に、電池缶内の空気を抜き、減
圧下で電解液を注入し、注入後に常圧状態に戻し電解液
の液面を下降させた。さらに、減圧と常圧を繰り返し、
巻回群へ電解液の浸透を促進させた。電解液の送液はプ
ランジャポンプ(HIBAR社 商品名:HBD−1B
型)を使用した。また、電解液の注入前後に重量を測定
し、電解液が目標量注入された事を確認し、場合によっ
ては液量の補正を加えた。電解液の液面が充分に下降し
た電池缶の開口部にガスケット1を挿入した。ガスケッ
トは、材質がプロピレンとエチレンのブロック共重合ポ
リマー(三井東圧商品名:三井ノーブルBJ5H−M
N)で肉厚が0.4mm以上の射出成形品である。電池
缶開口部付近の内側に塗布したものと同様のシール剤を
予めガスケットの内周面に塗布し乾燥させたものを使用
した。
【0070】以下図4に従って説明する。図4は防爆弁
体と電流遮断部を中心に記載し、他の部分は省略してあ
る。ガスケット1が挿入された電池缶の状態で、正極リ
ードタブ2の先端と防爆弁体10を超音波溶接により接
続した。防爆弁体は、電池内圧の上昇に伴って巻回群と
は反対側に変形し、最終的には防爆弁体自身が破断して
電池内部のガスが放出される構造のものである。防爆弁
体の形状は外周部に巻回群側へ突出する段差部を有し内
周部の平坦部に溝状の肉薄部13を有するアルミニウム
製皿状のものである。また前記防爆弁体の内周平坦部の
中央に巻回群とは反対方向に小さな突起部を有する。さ
らに前記突起部の先端表面に絶縁性塗料(関西ペイント
社商品名:アクアグロス)が予め塗布されたものを使用
した。防爆弁体の材質はアルミニウム(外径16mm、
厚み0.3mm、肉薄部厚み0.1mm、材質A105
0−H24)である。超音波溶接は防爆弁体の皿状突起
の内側で、防爆弁体を吸引保持する鉄敷(アンビル)に
防爆弁体を位置決めし、正極リードタブの先端を防爆弁
体の中心付近の溶接箇所に重ねて保持し、超音波溶接機
(ブランソン製、40kHz、700W)の超音波ホー
ンで0.5Mpaの圧力で加圧しながら振幅9μmで7
5msecの間、超音波振動を加えて溶接した。超音波
ホーンの加圧面は1mm×2mmの長方形状で0.4m
mピッチで細かい凹凸面が設けられている。溶接終了
後、防爆弁体を巻回群と反対側に0.05MPaの力で
引っ張り、溶接部が破断しないことを確認した。さらに
防爆弁体側と巻回群側の2ヶ所で正極リードタブが折り
曲がるように位置規正しながら防爆弁体を電池缶のガス
ケット内に挿入した。
【0071】さらに、電流遮断スイッチ7、正温度係数
抵抗体(PTC素子)9、排気孔付き正極キャップ8を
防爆弁体の上に積層組み付けした。電池缶内の内圧が極
端に上昇した時に正極キャップと防爆弁体の間の充電電
流の経路を機械的に開放する電流遮断スイッチは、防爆
弁体側に配置される第一導通体7aと中間絶縁体11と
第二導通体7bの積層構造体である。第一導通体と第二
導通体との電気的接触は、第一導通体中央部の突起が第
二導通体の中央の小孔に挿入され、第一導通体の中央部
突起と第二導通体小孔周辺部とを機械的にかしめる事に
より保たれている。第一導通体中央部の突起は前記防爆
弁体の中央部突起で押されて第一導通体自身から破断分
離する構造のもので、第一導通体中央部突起の周囲は溝
状の肉薄部が形成されている。第二導通体はバネ性を有
する燐青銅板にニッケルメッキをしたものであり、中央
部が第一導通体と反対側に屈曲成形されたものを、中間
絶縁体を介して第一導通体側に付勢し、第一導通体とか
しめ結合されている。第一導通体の材質はアルミニウム
である。また中間絶縁板はポリエチレンのシートの打ち
抜き品である。第一導通体、中間絶縁板、及び第二導通
体はガス抜きの開口部を有するものである。さらに第一
導通体において、前記防爆弁体の中央突起が接触する部
分に、予め絶縁塗料(関西ペイント社商品名:アクアグ
ロス)を塗布した。PTC素子はレイケム社製で外径1
6mm、内径10.0mmである。正極キャップは、ニ
ッケルメッキを施した鉄製(厚み0.4mm)で正極キ
ャップ内周側において先端が平坦な突起形状をした皿状
のもので突起部の側面に全体で5.3mm2 のガス抜き
孔8aを有する。
【0072】電池缶開口部に電流遮断スイッチ、正温度
係数抵抗体(PTC素子)、排気孔付き正極キャップを
防爆弁体の上に積層し組み込まれた電池缶を、カシメ金
型で密閉封口した。カシメ工程は油圧プレスの工程であ
り、電池缶開口部先端を内側に断面形状でほぼ45度の
角度まで折り曲げる第一かしめ工程と電池缶を最終的に
密閉封口する第二かしめ工程で構成される。それぞれの
かしめ工程の下型は2分割されており、電池缶開口部付
近の溝入れ部分の全周に突起状の型が挿入され、電池缶
の溝の上部側壁でプレス時の圧力を受ける構造である。
前記ガスケットの底部が防爆弁体と電池缶の溝の側壁平
坦部に挟まれた部分と、ガスケット上部先端付近が正極
キャップと電池缶開口周縁部分に挟まれた部分におい
て、ガスケットのかしめ後の厚みが、かしめ前の厚みの
50%以下となるようにプレスした。電池缶がかしめら
れた後、正極キャップの外周付近に露出した環状ガスケ
ットの幅は0.1mm以上であった。正負の電極シート
を脱水処理してから、電池缶を完全密閉封口するまで露
点−40℃から−60℃の超低湿度環境下にて電池を組
立た。
【0073】密閉封口された裸電池を温水中で超音波洗
浄し温風乾燥させた。そして、電池缶の正極キャップ側
に絶縁体を配置し、熱収縮チューブで電池缶底と正極キ
ャップの突起が露出するように外装した。正極キャップ
側に配置される絶縁体は、片側表面をポリエチレンで被
膜したコート紙で、コート面の反対側に両面粘着テープ
を貼ったものである。この粘着テープで電池缶の正極キ
ャップ側周縁部分に、絶縁体を固着させた。熱収縮チュ
ーブは材質がポリ塩化ビニル(三菱樹脂製商品名:ヒシ
チューブVW)を使用した。外装済みの電池は、高さ6
5mmで直径18mmの略円筒形の外形であった。さら
に外装済み電池内部を軟X線装置により観察し、正負電
極の巻ズレがなく、正極リードタブと負極リードタブの
折り曲げ状態が良好のものを選別した。また、電池の回
路解放電圧(OCV)と電池の内部インピーダンス(I
R)を測定し、電気特性が正常の電池を選別した。
【0074】前記OCVとIRが正常な電池を、電解液
を注入して3時間以上経過し、24時間経過するまでの
間に、充電電流150mAで4時間予備充電した。さら
に予備充電を完了した円筒状電池の高さ方向が水平とな
るように平置きし、まず温度50℃の環境で36日間エ
ージングを行った。またエージング期間中、円筒状電池
の高さ方向を中心にしてゆっくり回転させた。さらに、
エージングを開始してから14日目に充電電流150m
Aで4時間、途中充電した。エージングが完了した電池
の回路解放電圧(OCV)と電池の内部インピーダンス
(IR)を測定し、電気特性が正常の電池を選別した。
そして、正常な電池に対して、充電電流600mA、充
電終始電圧4.15Vで活性化充電を実施した。充電終
了後に0.6Aの放電電流で2.8Vまで放電させ、そ
の後、定格容量(0.2C放電容量)とハイレート特性
(1C放電容量)を測定した。さらに2.8Vまで放電
された電池を7日間常温でエージングし回路解放電圧
(OCV)の変化を測定し、OCV変化の少ないものを
良品として選別した。
【0075】製作した円筒型電池を、充放電条件として
は、4.1〜2.8V、1mA/cm2 として評価し
た。その結果、実施例1の本発明の電池と同様の良好な
結果を得た。
【0076】
【発明の効果】本発明のように金属酸化物または金属カ
ルコゲナイドを溶融状態で微粒化した後、冷却固化して
得られた粉末を、正極あるいは負極いずれかの電極材料
として含有する電池は、高容量と優れた充放電保存特性
を与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に使用したコイン型電池の断面図を示し
たものである。
【図2】実施例に使用した円筒型電池の断面図を示した
ものである。
【符号の説明】
1 負極封口板 2 負極合剤ペレット 3 セパレーター 4 正極合剤ペレット 5 集電体 6 正極ケース 7 ガスケット 8 正極シート 9 負極シート 10 セパレーター 11 電池缶 12 電池蓋 13 ガスケット 14 安全弁
【図3】図3は円筒型電池の別の態様も示すもので、特
に安全弁として機能する部分を示し、他の部分は省略し
てある。
【符号の説明】
a リチウムを主体とする金属箔 b 負極合剤が塗布された部分 F リチウム箔小片 1 ポリプロピレン製ガスケット 2 負極端子を兼ねる負極缶(電池缶) 3 負極シート 4 セパレーター 5 正極シート 6 非水電解液 7 電流遮断スイッチ(7a 第一導通体、7b 第二
導通体) 8 正極端子を兼ねる正極キャップ 8aガス抜き孔 9 PTC素子 10 防爆弁体 11 中間絶縁体 12 正極リードタブ 13 溝状肉薄部 14 上部絶縁板
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01M 10/40 H01M 10/40 Z

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極材料、負極材料、リチウム塩を含む
    非水電解質から成る非水二次電池に於いて、半金属又は
    金属の酸化物またはカルコゲナイドを溶融状態で微粒化
    した後、冷却固化して得られた粉末を電極材料として用
    いたことを特徴とする非水二次電池。
  2. 【請求項2】 該粉末がアトマイズ法で微粒化した粉末
    であることを特徴とする請求項1に記載の非水二次電
    池。
  3. 【請求項3】 該粉末がガスアトマイズ法で微粒化した
    粉末であることを特徴とする請求項1に記載の非水二次
    電池。
  4. 【請求項4】 該微粒化した粉末が、球状で平均粒子径
    が1μm以上、60μm以下であることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の非水二次電池。
  5. 【請求項5】 該微粒化した粉末が、錫を主体とした複
    合酸化物であり、負極用の電極材料として用いたことを
    特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水二
    次電池。
  6. 【請求項6】 該微粒化した粉末が、錫、マンガン、
    鉄、鉛、ゲルマニウムから選ばれる機能元素ならびにマ
    グネシウム、アルミニウム、硼素、珪素、リン、フッ素
    から選ばれる非晶質化元素を含む非晶質酸化物であり、
    負極用の電極材料として用いたことを特徴とする請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の非水二次電池。
  7. 【請求項7】 該微粒化した粉末が、主として錫2価、
    錫4価、ゲルマニウム2価、ゲルマニウム4価、鉛2価
    から選ばれる機能元素ならびにマグネシウム、アルミニ
    ウム、硼素、リンから選ばれる非晶質化元素、およびカ
    リウム、ルビジウム、セシウムから選ばれるアルカリ金
    属元素のそれぞれ少なくとも一種以上の元素を含む非晶
    質酸化物であり、負極用の電極材料として用いたことを
    特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水二
    次電池。
  8. 【請求項8】 該微粒化した粉末が、バナジウムを含有
    する非晶質酸化物であり、正極用の電極材料として用い
    たことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の非水二次電池。
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JP2006048942A (ja) * 2004-07-30 2006-02-16 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電池用電極の製造方法
JP2008508670A (ja) * 2004-07-30 2008-03-21 センタ・ナショナル・デチュード・スパティアレ 陰極複合材料及びその製造方法、陰極及びリチウムイオン電池
US9819009B2 (en) 2011-11-11 2017-11-14 Kabushiki Kaisha Toyota Jidoshokki Negative-electrode stuff and negative electrode for use in lithium-ion secondary battery as well as lithium-ion secondary battery
CN111029563A (zh) * 2019-12-10 2020-04-17 河南创力新能源科技股份有限公司 一种碱性二次电池铁负极材料的制备方法

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