JPH1073491A - 呈色物定量方法 - Google Patents

呈色物定量方法

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JPH1073491A
JPH1073491A JP23052496A JP23052496A JPH1073491A JP H1073491 A JPH1073491 A JP H1073491A JP 23052496 A JP23052496 A JP 23052496A JP 23052496 A JP23052496 A JP 23052496A JP H1073491 A JPH1073491 A JP H1073491A
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JP
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light
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test
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color
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JP23052496A
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English (en)
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Shingo Hirose
信吾 廣瀬
Kyoichi Oshiro
京一 大代
Yoshinori Takahashi
好範 高橋
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Arkray Inc
Original Assignee
KDK Corp
Kyoto Daiichi Kagaku KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の呈色物定量方法に比して、正確な定量
結果が得られる呈色物定量方法を提供する。 【解決手段】 光源11から、定量対象である呈色物が
含まれる試験紙21(固相試料)に対して所定の分光分
布を有する光を照射し、試験紙21からの反射光の色度
座標および光量を三刺激値測定装置12によって測定
し、測定された色度座標および光量と、予め測定された
呈色物が含まれていない固相試料の色度座標及び呈色物
の色度座標及び光源11が出力する光の色度座標に基づ
き、試験紙21からの反射光に含まれる、呈色物と同じ
色度座標を有する反射光成分の光量を算出し、算出した
光量に基づき、呈色物の含量を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固相からの反射光
を測光することによって、その固相中に含まれる呈色物
の定量を行う呈色物定量方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、生物試料(尿、血液など)に
含まれる被検物質を定量するために、試験紙を用いた検
査が行われている。試験紙には、被検物質と反応して呈
色する試薬が含浸されており、当該検査時には、試験紙
を、被検試料中に短時間浸漬するか、試験紙上に被検試
料を点着することによって、試験紙内の試薬と被検物質
による呈色反応を進行させる。そして、試験紙の呈色の
程度(色)を観測することによって、被検物質の定量を
行う。被検物質の定量は、各種濃度の被検物質を含浸さ
せた際の試験紙の色が示された比色表を用いて、目視に
よって行われることが多いが、目視による定量では、同
一量の被検物質を含有する被検試料に対する定量結果
が、検査者によって異なるといったことが生ずる。ま
た、被検試料に、被検物質以外の色がついた物質(共存
呈色物)が含まれていた場合、その共存呈色物の影響に
よって全く誤った定量結果が得られてしまうこともあっ
た。
【0003】このため、試験紙の色を、機器を用いて測
定することによって、被検物質(以下、呈色物と記す
る)を定量することも行われている。このような機器を
用いた定量方法の中には、呈色物の特異吸収波長の光の
反射率を直接測定することによって呈色物の定量を行う
方法と、呈色物の特異吸収波長の光の反射率に相当する
情報を測定することによって呈色物の定量を行う方法が
知られている。たとえば、特開平3−220445号公
報には、後者に分類される方法として、試験紙からの反
射光に含まれる、赤色光、緑色光、青色光成分の強度を
測定し、測定した強度に基づき、試験紙に含まれる呈色
物の定量を行う技術が開示されている。また、特開平7
−35744号公報には、試験紙の反射光に対する、国
際照明委員会(CIE)のXYZ表色系の三刺激値の測
定結果から定量を行う方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したような従来の
呈色物定量方法では、定量結果に検査者の違いによる誤
差が含まれることを防止することはできる。また、共存
呈色物が、呈色物の特異吸収波長付近の波長を吸収しな
いものである場合には、目視で定量を行った場合より
も、正確に定量を行うことができる。しかしながら、従
来の呈色物定量方法では、機器を用いている割には、測
定精度が向上しないといった問題があった。
【0005】そこで、本発明の課題は、従来の定量方法
に比して、正確な定量結果が得られる呈色物定量方法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を繰り返した結果、従来の呈
色物定量方法では、反射光に関する測定結果から、直
接、呈色物の量を求めていたため、定量結果がばらつい
ているということを見いだした。
【0007】すなわち、測定対象である試験紙全体から
の反射光には、呈色物からの反射光以外に、試験紙への
照射光と全く同じ分光分布を有する反射光である鏡面反
射光や、呈色物を除く部分からの反射光が含まれてい
る。従来の呈色物定量方法では、このような呈色物以外
からの反射光に関する情報を含む測定結果から、直接、
呈色物の量を求めていたため、呈色物以外からの反射光
の量(割合)が変化した場合、その変化が定量結果に反
映されてしまっていた訳である。
【0008】このため、本発明の呈色物定量方法では、
反射光の測定結果から、呈色物の量に直接的に関係す
る、呈色物の色度座標を有する光成分の大きさに関する
パラメータを算出し、算出したパラメータを用いて、呈
色物の定量を行う。
【0009】本発明の第1の呈色物定量方法は、定量対
象である呈色物が含まれる固相試料に対して所定の分光
分布を有する光を照射し、固相試料からの反射光の色度
座標を測定する測定過程と、この測定過程で測定された
色度座標と、予め測定された呈色物が含まれていない固
相試料の色度座標及び呈色物の色度座標及び所定の分光
分布を有する光の色度座標に基づき、反射光に含まれる
各反射光成分の割合を算出する割合算出過程と、この割
合算出過程で算出された割合に基づき、呈色物の含量を
定める定量過程とを備える。
【0010】本発明の第2の呈色物定量方法は、定量対
象である呈色物が含まれる固相試料に対して所定の分光
分布を有する光を照射し、固相試料からの反射光の色度
座標および光量を測定する測定過程と、この測定過程で
測定された色度座標および光量と、予め測定された呈色
物が含まれていない固相試料の色度座標及び呈色物の色
度座標及び所定の分光分布を有する光の色度座標に基づ
き、反射光に含まれる、呈色物と同じ色度座標を有する
反射光成分の光量を算出する光量算出過程と、この光量
算出過程で算出された光量に基づき、呈色物の含量を定
める定量過程とを備える。
【0011】本発明の第3の呈色物定量方法は、被検物
質と反応したときに呈色物を生成する試薬を含む試験部
と、試薬を含まない参照試験部とを用いて、被検試料中
に含まれる被検物質の定量を行う定量方法であって、試
験部と参照試験部にそれぞれ所定量の被検試料を含浸さ
せる含浸過程と、この含浸過程によって被検試料が含浸
された試験部に対して所定の分光分布を有する光を照射
し、試験部からの反射光の色度座標および光量を測定す
る第1測定過程と、含浸過程によって被検試料が含浸さ
れた参照試験部に対して所定の分光分布を有する光を照
射し、参照試験部からの反射光の色度座標および光量を
測定する第2測定過程と、第1測定過程で測定された色
度座標および光量と、予め測定された被検試料が含浸さ
れていないときの試験部の色度座標と呈色物の色度座標
と所定の分光分布を有する光の色度座標に基づき、試験
部からの反射光に含まれる、呈色物と同じ色度座標を有
する反射光成分の光量を算出する第1光量算出過程と、
第2測定過程で測定された色度座標および光量と、予め
測定された被検試料が含浸されていないときの参照試験
部の色度座標及び呈色物の色度座標及び所定の分光分布
を有する光の色度座標に基づき、参照試験部からの反射
光に含まれる、呈色物と同じ色度座標を有する反射光成
分の光量を算出する第2光量算出過程と、第1光量算出
過程で算出された光量と第2光量算出過程で算出された
光量との差に基づき、試験部に含まれる呈色物の含量を
定める定量過程とを備える。
【0012】本発明の第4の呈色物定量方法は、被検物
質と反応したときに呈色物を生成する試薬を含む試験部
を用いて、被検試料中に含まれる被検物質の定量を行う
定量方法であって、試験部に所定量の被検試料を含浸さ
せる含浸過程と、この含浸過程によって被検試料が含浸
された試験部に対して所定の分光分布を有する光を照射
し、試験部からの反射光の色度座標および光量を測定す
る第1測定過程と、この第1測定過程による測定から所
定時間が経過したときに、試験部に対して所定の分光分
布を有する光を照射し、試験部からの反射光の色度座標
および光量を測定する第2測定過程と、第1測定過程で
測定された色度座標および光量と、予め測定された被検
試料が含浸されていないときの試験部の色度座標と呈色
物の色度座標と所定の分光分布を有する光の色度座標に
基づき、第1測定過程で測定された反射光に含まれる、
呈色物と同じ色度座標を有する反射光成分の光量を算出
する第1光量算出過程と、第2測定過程で測定された色
度座標および光量と、予め測定された被検試料が含浸さ
れていないときの試験部の色度座標と呈色物の色度座標
と所定の分光分布を有する光の色度座標に基づき、第2
測定過程で測定された反射光に含まれる、呈色物と同じ
色度座標を有する反射光成分の光量を算出する第2光量
算出過程と、第1光量算出過程で算出された光量と第2
光量算出過程で算出された光量との差に基づき、呈色物
の含量を定める定量過程とを備える。
【0013】なお、第1ないし第4の呈色物定量方法で
は、色度座標として、どのような表色系に属するものを
も用いることができる。例えば、国際照明委員会の、R
GB表色系やXYZ表色系に属する色度座標や、Mac
AdamのUCS表色系に属する色度座標を用いること
ができる。また、国際照明委員会の規定する色度座標の
原刺激の代わりに、測定に関与する呈色物の吸収極大波
長または吸収極大領域を含むように設定された測光波長
または測光領域の測定器の機械刺激に基づき算出された
色度座標を用いることもできる。
【0014】また、第2の呈色物定量方法では、呈色物
の含量の対数値を、光量算出過程で算出された光量の2
次式に関連づけた式を用いて含量を定める定量過程を採
用することができ、第3の呈色物定量方法では、呈色物
の含量の対数値を、第1光量算出過程で算出された光量
と第2光量算出過程で算出された光量との差の2次式に
関連づけた式を用いて、含量を定める定量過程を採用す
ることができる。
【0015】また、第2の呈色物定量方法では、呈色物
が含まれていない固相試料の色度座標と所定の分光分布
を有する光の色度座標として同じ値を用いる光量算出過
程を採用することができる。また、そのような光量算出
過程を採用した場合には、その過程において、呈色物が
含まれていない固相試料の色度座標と、測定過程におけ
る測定結果と、予め定められた係数とから光量を算出さ
せても良い。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明に
よる呈色物定量方法を具体的に説明する。図1に、本呈
色物定量方法を実行するために用いた装置の概略構成を
示す。図示したように、本呈色物定量方法は、光源11
と三刺激値測定装置12と情報処理装置13によって実
現される。
【0017】光源11は、所定の分光分布(波長分布)
を有する光を出力する機器であり、ここでは、タングス
テンランプを用いている。三刺激値測定装置12は、国
際照明委員会(CIE)のXYZ表色系の三刺激値
(X、Y、Z)を測定する機器であり、測定結果をデジ
タルデータとして出力する機能を有する。図示したよう
に、光源11は、試験紙21に、その紙面の法線に対し
ておよそ45度の角度をなす光を照射できるように配置
されている。また、三刺激値測定装置12は、試験紙2
1からの反射光のうち、紙面の法線方向への反射光を受
光するように配置されている。
【0018】情報処理装置13は、いわゆる、コンピュ
ータであり、内部に記憶された呈色物定量用のプログラ
ムに従って動作することによって、三刺激値測定装置1
2からの三刺激値に基づき、試験紙21に含まれる呈色
物(被検物質)の含量を算出する。当該プログラムは、
呈色物含量の算出時に、呈色物の色度座標(xL
L)、呈色物を含まないときの試験紙21の色度座標
(xB、yB)、光源11が出力する光の色度座標
(xW、yW)を用いるプログラムとなっており、情報処
理装置13内には、予め測定された各種試験紙に対する
各色度座標が記憶されている。
【0019】また、後述するように、情報処理装置13
は、試験紙21からの反射光の三刺激値と、内部に記憶
された色度座標とから、その反射光中に含まれる色度座
標(xL、yL)を有する光成分の光量を算出し、算出し
た光量から、呈色物の量を算出するように構成されてい
る。情報処理装置13内には、算出した光量から呈色物
含量を算出する際に使用する比例係数も試験紙ごとに記
憶されている。
【0020】以下、情報処理装置13による呈色物含量
の算出手順を具体的に説明する。被検試料が点着された
試験紙からの反射光は、その被検試料中に、共存呈色物
が含まれていない場合、呈色物からの光と、呈色物を含
まない試験紙からの光と、照射光と同じ分光分布を有す
る光(鏡面反射光及び白色拡散反射光)といった三種の
光からなっていると看做すことが出来る。このように看
做した場合、試験紙からの反射光(以下、M光と略記す
る)の測定結果である三刺激値XM、YM、ZMと、三種
の光の三刺激値との間には、以下に記す(1)〜(3)式(色
の加法則)が成立する。なお、(1)〜(3)式において、添
字“L”が付してある三刺激値(X L、YL、ZL)が、
呈色物からの光(以下、L光と略記する)の三刺激値を
表し、添字“B”が付してある三刺激値(XB、YB、Z
B)が、呈色物を含まない試験紙からの光(以下、B光
と略記する)の三刺激値を表すものとする。また、添字
“W”が付してある三刺激値(XW、YW、ZW)が照射
光と同じ分光分布を有する光(以下、W光と略記する)
の三刺激値を表すものとする。
【0021】
【数1】
【0022】(1)〜(3)式において、呈色物含量に直接的
に関係するパラメータは、XL、YL、ZLであるが、
B、XW等が、直接測定できない値であるので、これら
の式だけから、XL、YL、ZLを求めることはできな
い。しかしながら、L光の色度座標(xL、yL)、B光
の色度座標(xB、yB)、W光の色度座標(xW、yW
は、予め測定しておくことができる値である。このた
め、これらの値を測定しておけば、上記3式に加えて、
以下に記す(4)〜(9)式が成立することになる。
【0023】
【数2】
【0024】ここで、計算の便宜上、RL=XL+YL
L、RW=XW+YW+ZW、RB=XB+YB+ZBと置
き、(1)、(2)式を、それぞれ、(4)〜(9)式を用いて変形
すると、(10)、(11)式が得られる。また、(1)〜(3)式を
加算することにより、(12)式が得られる。
【0025】
【数3】
【0026】(10)〜(12)式において、未知数は、RL
W、RBの3個であるため、これら3式から、各Rを求
めることが出来る。具体的には、(10)式の両辺を(12)式
で割り、rA=RA/(RL+RW+RB)(A=L、W、
B)と置くと、rL+rW+rB=1が成立するため、測
定された反射光の色度座標xMと、rL、rB、xL
W、xBとを関係づける(13)式が得られる。同様に、(1
1)式の両辺を(12)式で割ると、測定された反射光の色度
座標yMと、rL、rB、yL、yW、yBとを関係づける(1
4)式が得られる。なお、rL、rBは、図2に示したよう
に、L光、W光、B光、M光の色度座標を、それぞれ、
色度図上の点L、W、B、Mで表したときに、点Wと点
Mを結ぶ直線と、線分LBとの交点である点Pによる線
分LBの分割位置(線分LPの長さ:線分PBの長さ=
B:rL)を示すデータとなっている。
【0027】
【数4】
【0028】(13)、(14)式中、未知数は、rL、rBの2
個であるので、これらの式から、r L、rBの値を求める
ことができる。すなわち、(17)式に示した行列演算を実
行すれば、rL、rBを算出することができる。また、r
L=RL/(RL+RW+RB)という関係式と、(12)式と
から、RLを、rL、XM、YM、ZMで表す(18)式が得ら
れる。
【0029】
【数5】
【0030】従って、(17)、(18)式を用いることによっ
て、三刺激値測定装置12によって測定されるデータで
あるXM、YM、ZMと、予め測定されているxB、yB
L、yL、xW、yWとから、呈色物の量と最も密接に関
連しているデータであるRL(=XL+YL+ZL)が得ら
れることになる。情報処理装置13内では、このような
手順で、試験紙21からの反射光(M光)に含まれる、
呈色物単体からの反射光(L光)と同じ色度座標を有す
る反射光成分の光量(大きさ)が求められる。そして、
情報処理装置13は、関係式LOG(C)=αRL 2+β
L+γを用いることによって、呈色物含量Cを算出す
る。なお、当該関係式(比例係数α、β、γ)は、異な
る量の呈色物(被検物質)を含ませた複数の試験紙の反
射光測定を行うことによって、得られたRLと呈色物含
量との対応関係に基づき、決定された式である。
【0031】このように、本呈色物定量方法では、反射
光の測定結果に基づき、呈色物と同じ色度座標を有する
光成分の光量が求められ、その光量を用いて呈色物の定
量が行われる。このため、試験紙の表面状態や乾燥の程
度の違いに起因して、W光あるいはB光成分の割合が変
化した場合にも、正確な定量が行えることになる。
【0032】ここで、実験結果を示すことによって、本
方法によって算出されるRL(=XL+YL+ZL)が、呈
色物の定量に有効なパラメータであることを示してお
く。なお、以下に記す実験結果は、濾紙に、濃度の異な
る色素(青色1号)を点着し、点着後、10秒、15
分、30分経過時における三刺激値を測定することによ
って得られたものである。また、以下の説明では、“X
L+YL+ZL”ではなく、その値に比例する値であるYL
(=(XL+YL+ZL)・yL=rL・(XM+YM+ZM
・yL)を、定量のためのパラメータとして用いること
にする。
【0033】図3に、三刺激値測定装置12による測定
値(色度座標)y(=YM/(XM+YM+ZM))と色素濃度
との対応関係を示す。なお、本方法による定量精度との
比較が容易に行えるように、図3では、yの絶対値では
なく、濃度が0mg/lの試料に対する値が“0”に、
濃度が500mg/lの試料に対する値が“100”と
なるように、係数a、bを定めた値ay+bを示してあ
る。
【0034】図示したように、同一濃度の試料に対する
ay+bの値は、色素点着後の経過時間によって異な
り、濃度が、0から200mg/lまでの試料では、色
素点着後の経過時間が大きいほど、ay+bの値が小さ
くなる傾向が認められている。しかしながら、濃度が5
00mg/lの試料では、30分後の値の方が、15分
後の値よりも大きくなっている。
【0035】図4に、同一の実験結果から算出されたY
Lと色素濃度との対応関係を示す。なお、この図の縦軸
に示した値は、濃度が500mg/lの試料に対する値
が“100”となるように、YLを規格化した値であ
る。
【0036】この図から明らかなように、各経過時間に
おける濃度−YL特性のバラツキは、図3に示した濃度
−y特性のバラツキに比して小さいものとなっている。
すなわち、本方法によって算出されるYLは、被検試料
点着後の時間(試料の乾湿の程度)に対する依存性が少
ない値となっており、本方法によれば、従来の方法に比
して、高い精度で、呈色物の定量が行えることになる。
【0037】なお、図4に示した各計算値YLを、濃度
の対数に対してプロットすると、図5に示したようにな
る。図から明かなように、濃度CとYLとは、濃度の対
数値が、YLの一次式(あるいは二次式)によって近似
できる関係を有している。このため、本方法では、前述
したように、関係式LOG(C)=αRL 2+βRL+γ
(=α′YL 2+β′YL+γ)を用いて、呈色物含量C
を求めている。
【0038】以上、説明したように、本方法によれば、
測定結果を直接用いて定量を行うよりも、高い精度で定
量を行うことができる。ただし、点着後、10秒、15
分、30分経過時における三刺激値の測定結果から得ら
れる各YLの値が、一致していないことから明かなよう
に、乾湿の程度等の影響を完全に除去できてはいない。
さらに、定量精度を高めるためには、YLを用いるので
はなく、YLとYBの比(または、“YL+YB”と
“YL”の比)を、定量用のパラメータとして用いるこ
とが考えられる。また、呈色物の単位量当たりの光量変
化量(単位濃度当たりの吸光係数)δLL、試験紙の単
位量当たりの光量変化量δLBを求めておき、次式で示
されるパラメータqを算出し、そのパラメータqに基づ
き定量を行うことも考えられる。
【0039】
【数6】
【0040】このようなパラメータを用いた場合、パラ
メータの大きさが、照射光量に依存しなくなるので、光
源11の出力が変動しても、分光分布さえ一定であれ
ば、正確な定量が行えることになる。また、パラメータ
と呈色物含量との関係がより単純な近似式で表せること
にもなる。
【0041】また、YWの大きさを考慮に入れて、呈色
物の定量を行っても良い。すなわち、L光およびB光が
反射光中に含まれていないときのYWの値YW0を推定し
ておき、YW0、YL、YWから、次式を用いて、YL′を
算出する。
【0042】
【数7】
【0043】このようなYL′を用いると、YL成分の生
成に用いられていない照射光成分の影響がキャンセルさ
れるので、より正確な定量が行えることになる。例え
ば、図4に示した測定結果を、YL′によって整理する
と、図6に示したような関係が得られる。また、YL
を、濃度の対数に対してプロットすると、図7が得られ
る。これらの図から明かなように、YL′を用いると、
乾湿の程度の違い等に起因する誤差が含まれない状態
で、定量が行えることになる。
【0044】次に、本呈色物定量方法による、共存呈色
物が存在する被検試料の検査手順を説明する。この場
合、被検物質と反応したときに呈色物を生成する試薬を
含む試験紙と、その試薬を含まず、かつ、被検物質を含
む被検試料が含浸されていない試験部と同じ色を呈する
参照試験紙とを用いる。
【0045】そして、被検試料を点着した試験紙からの
反射光の三刺激値を測定し、測定結果から、上述した手
順で、YLSを算出する。また、参照試験紙に関しても、
同様の手順で、測定を行い、YLRを算出する。この際、
共存呈色物の色度座標がどのような値であっても、
L、yLとして、目的呈色物の色度座標を用いて、YLR
を算出する。そして、算出した値の差“YLS−YLR
を、YLと看做して、前述した関係式(LOG(C)=
α′YL 2+β′YL+γ)に代入することによって、被
検物質量(呈色物含量)を求める。
【0046】すなわち、参照試験紙の反射光に含まれる
色度座標(xL、yL)成分の光量を測定し、その光量
を、試験紙の反射光に含まれる色度座標(xL、yL)成
分の光量から減ずることによって、試験紙中に含まれる
目的呈色物の量に強く相関した値を求め、その値を用い
て、定量を行う。
【0047】また、参照試験紙を用いることなく、共存
呈色物が存在する被検試料中の目的呈色物の定量を行う
こともできる。この場合、被検試料点着後の試験紙を少
なくとも2度測定する。最初の測定は、点着後、即座に
行う。すなわち、被検物質と試薬との間の呈色反応が進
行しないうちに、1回目の測定を行う。そして、所定時
間経過後に、2回目の測定を行い、それぞれの測定によ
って得られた三刺激値から、上述した手順に従い、目的
呈色物からの反射光成分の光量を算出する。そして、そ
れらの光量の差から、呈色物の含量を定める。なお、こ
の方法を用いる際には、光量の差と呈色物の含量とを対
応づける検量線(あるいは式)を予め作成しておく。
【0048】なお、実施形態では、XM、YM、ZM
ら、色度座標を算出することによって、RL(あるい
は、YL、XL、ZL)を求めたが、三刺激値測定装置1
2として、xM、yM、YMを出力する装置を用いても良
いことは当然である。この場合、(17)式に、測定値であ
るxM、yMを直接代入して、rLを求め、(18)式の代わ
りに、(18)式と(16)式を組み合わせることによって得ら
れる式RL =rL・YM/yMを用いる。
【0049】また、本呈色物定量方法が用いられる場合
には、図8に模式的に示したように、呈色物を含まない
試験紙からの反射光Bと、照射光と同じ分光分布を有す
る反射光Wとが、極めて近い色度座標を有することが多
い。このような場合、測定されるM光の色度座標が、線
分WL上に存在していると近似できることになる。すな
わち、上記関係式において、XB=YB=ZB=0(ある
いは、XW=XB、XW=XB、XW=XB)として良いこと
になる。このため、(13)、(14)式は、それぞれ、(20)、
(21)式に変形される。
【0050】
【数8】
【0051】そして、(17)式に相当する式を、上記(20)
式から作成した場合、(22)式が作成され、その結果とし
て、YLは、(23)式によって表されることになる。
【0052】
【数9】
【0053】この(23)式を用いた場合、呈色物を含まな
い試験紙からの反射光と、照射光と同じ分光分布を有す
る反射光との色度座標が一致しているという近似が含ま
れるので、(18)式を用いた場合に比して、精度が劣るこ
とになる。しかしながら、測定結果から直接に呈色物含
量を算出している従来の方法と比した場合には、実際の
値により近い値を用いて定量が行われることになるの
で、高い精度で定量が行えることになる。なお、上記説
明では、(20)式から(23)式を求めているが、(23)式と同
様の式を、(21)式(あるいは、zに関する式)から作成
することも可能であり、(23)式相当の式を作成する際に
は、x、y、zのうち、濃度変化に対する変化量が最も
大きいパラメータを用いることが望ましい。
【0054】また、試験紙によっては、呈色物濃度に依
らず、YM/yM、YM、あるいは、yMが一定であるとみ
なせる場合もある。そのような場合には、(23)式の代わ
りに、一定であるとみなせるデータからなる部分を比例
係数に置き換えた式を用いることができる。例えば、Y
M/yMが一定とみなせる場合には、yL・YM/((x L
W)・yM)を、比例係数kとして予め計算しておき、Y
L=k・(xM−xW)という式を用いてYLを算出すること
にする。同様に、YM、yMが一定であるとみなせるとき
には、それぞれ、yL・YM/(xL−xW)、yL/((xL
W)・yM)を、比例計数k′、k″として計算してお
き、YL=k′・(xM−xW)/yM、YL=k′・(xM
W)・YMという式を用いて、YLを算出する。
【0055】また、本呈色物定量方法を、XYZ表色系
以外の表色系(例えば、RGB表色系や、MacAda
mのUCS表色系)に属する三刺激値あるいは色度座標
を基に実行しても良いことは当然である。また、本呈色
物定量方法を実行する際に、情報処理装置を用いる必要
もなく、例えば、手計算によって、YL等を求めても良
い。さらに、図2に示したように、色度図上に測定結果
をプロットし、線分LP、線分PB等の長さを実測する
ことによって、rL等を求め、その結果から、YL等を求
めても良い。また、試験紙からの反射光の測光結果の代
わりに、透過光の測光結果を用いても、同様の手順で、
その試験紙内に含まれる呈色物の定量を行うことができ
る。
【0056】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
呈色物定量方法では、測定された反射光から、呈色物の
量に直接的に関連するデータが算出され、そのデータに
基づき、呈色物の定量が行われる。このため、本発明の
呈色物定量方法によれば、従来の呈色物定量方法に比し
て、高い精度で呈色物の定量が行えることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による呈色物定量方法を実現するための
装置構成を示したブロック図である。
【図2】本発明による呈色物定量方法を説明するための
色度図である。
【図3】測定値yの濃度依存性を示した図である。
【図4】本呈色物定量方法による算出値YLの濃度依存
性を示した図である。
【図5】本呈色物定量方法による算出値YLを濃度の対
数値に対してプロットした図である。
【図6】本呈色物定量方法による算出値YL′の濃度依
存性を示した図である。
【図7】本呈色物定量方法による算出値YL′を濃度の
対数値に対してプロットした図である。
【図8】本発明による呈色物定量方法を説明するための
色度図である。
【符号の説明】
11 光源 12 三刺激値測定装置 13 情報処理装置 21 試験紙

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定量対象である呈色物が含まれる固相試
    料に対して所定の分光分布を有する光を照射し、前記固
    相試料からの反射光の色度座標を測定する測定過程と、 この測定過程で測定された色度座標と、予め測定された
    前記呈色物が含まれていない固相試料の色度座標及び前
    記呈色物の色度座標及び前記所定の分光分布を有する光
    の色度座標に基づき、前記反射光に含まれる各反射光成
    分の割合を算出する割合算出過程と、 この割合算出過程で算出された割合に基づき、前記呈色
    物の含量を定める定量過程とを備える呈色物定量方法。
  2. 【請求項2】 定量対象である呈色物が含まれる固相試
    料に対して所定の分光分布を有する光を照射し、前記固
    相試料からの反射光の色度座標および光量を測定する測
    定過程と、 この測定過程で測定された色度座標および光量と、予め
    測定された前記呈色物が含まれていない固相試料の色度
    座標及び前記呈色物の色度座標及び前記所定の分光分布
    を有する光の色度座標に基づき、前記反射光に含まれ
    る、前記呈色物と同じ色度座標を有する反射光成分の光
    量を算出する光量算出過程と、 この光量算出過程で算出された光量に基づき、前記呈色
    物の含量を定める定量過程とを備える呈色物定量方法。
  3. 【請求項3】 被検物質と反応したときに呈色物を生成
    する試薬を含む試験部と、前記試薬を含まない参照試験
    部とを用いて、被検試料中に含まれる被検物質の定量を
    行う定量方法であって、 前記試験部と前記参照試験部にそれぞれ所定量の前記被
    検試料を含浸させる含浸過程と、 この含浸過程によって被検試料が含浸された試験部に対
    して所定の分光分布を有する光を照射し、試験部からの
    反射光の色度座標および光量を測定する第1測定過程
    と、 前記含浸過程によって被検試料が含浸された参照試験部
    に対して前記所定の分光分布を有する光を照射し、参照
    試験部からの反射光の色度座標および光量を測定する第
    2測定過程と、 前記第1測定過程で測定された色度座標および光量と、
    予め測定された前記被検試料が含浸されていないときの
    前記試験部の色度座標と前記呈色物の色度座標と前記所
    定の分光分布を有する光の色度座標に基づき、前記試験
    部からの反射光に含まれる、前記呈色物と同じ色度座標
    を有する反射光成分の光量を算出する第1光量算出過程
    と、 前記第2測定過程で測定された色度座標および光量と、
    予め測定された前記被検試料が含浸されていないときの
    前記参照試験部の色度座標及び前記呈色物の色度座標及
    び前記所定の分光分布を有する光の色度座標に基づき、
    前記参照試験部からの反射光に含まれる、前記呈色物と
    同じ色度座標を有する反射光成分の光量を算出する第2
    光量算出過程と、 前記第1光量算出過程で算出された光量と前記第2光量
    算出過程で算出された光量との差に基づき、前記試験部
    に含まれる呈色物の含量を定める定量過程とを備える呈
    色物定量方法。
  4. 【請求項4】 被検物質と反応したときに呈色物を生成
    する試薬を含む試験部を用いて、被検試料中に含まれる
    被検物質の定量を行う定量方法であって、 前記試験部に所定量の前記被検試料を含浸させる含浸過
    程と、 この含浸過程によって被検試料が含浸された試験部に対
    して所定の分光分布を有する光を照射し、試験部からの
    反射光の色度座標および光量を測定する第1測定過程
    と、 この第1測定過程による測定から所定時間が経過したと
    きに、前記試験部に対して前記所定の分光分布を有する
    光を照射し、試験部からの反射光の色度座標および光量
    を測定する第2測定過程と、 前記第1測定過程で測定された色度座標および光量と、
    予め測定された前記被検試料が含浸されていないときの
    前記試験部の色度座標と前記呈色物の色度座標と前記所
    定の分光分布を有する光の色度座標に基づき、前記第1
    測定過程で測定された反射光に含まれる、前記呈色物と
    同じ色度座標を有する反射光成分の光量を算出する第1
    光量算出過程と、 前記第2測定過程で測定された色度座標および光量と、
    予め測定された前記被検試料が含浸されていないときの
    前記試験部の色度座標と前記呈色物の色度座標と前記所
    定の分光分布を有する光の色度座標に基づき、前記第2
    測定過程で測定された反射光に含まれる、前記呈色物と
    同じ色度座標を有する反射光成分の光量を算出する第2
    光量算出過程と、 前記第1光量算出過程で算出された光量と前記第2光量
    算出過程で算出された光量との差に基づき、前記呈色物
    の含量を定める定量過程とを備える呈色物定量方法。
  5. 【請求項5】 前記色度座標が、国際照明委員会のRG
    B表色系に属する色度座標であることを特徴とする請求
    項1ないし請求項4のいずれかに記載の呈色物定量方
    法。
  6. 【請求項6】 前記色度座標が、国際照明委員会のXY
    Z表色系に属する色度座標であることを特徴とする請求
    項1ないし請求項4のいずれかに記載の呈色物定量方
    法。
  7. 【請求項7】 前記色度座標が、MacAdamのUC
    S表色系に属する色度座標であることを特徴とする請求
    項1ないし請求項4のいずれかに記載の呈色物定量方
    法。
  8. 【請求項8】 前記色度座標が、国際照明委員会の規定
    する色度座標の原刺激の代わりに、測定に関与する呈色
    物の吸収極大波長または吸収極大領域を含むように設定
    された測光波長または測光領域の測定器の機械刺激に基
    づき算出された色度座標であることを特徴とする請求項
    1ないし請求項4のいずれかに記載の呈色物定量方法。
  9. 【請求項9】 前記定量過程が、呈色物の含量の対数値
    を、前記光量算出過程で算出された光量の2次式に関連
    づけた式を用いて含量を定める過程であることを特徴と
    する請求項2または請求項5ないし請求項7に記載の呈
    色物定量方法。
  10. 【請求項10】 前記定量過程が、呈色物の含量の対数
    値を、前記第1光量算出過程で算出された光量と第2光
    量算出過程で算出された光量との差の2次式に関連づけ
    た式を用いて、含量を定める過程であることを特徴とす
    る請求項3ないし請求項7のいずれかに記載の呈色物定
    量方法。
  11. 【請求項11】 前記光量算出過程が、前記呈色物が含
    まれていない固相試料の色度座標と前記所定の分光分布
    を有する光の色度座標として同じ値を用いる過程である
    ことを特徴とする請求項2記載の呈色物定量方法。
  12. 【請求項12】 前記光量算出過程が、前記呈色物が含
    まれていない固相試料の色度座標と、前記測定過程にお
    ける測定結果と、予め定められた係数とから光量を算出
    する過程であることを特徴とする請求項11記載の呈色
    物定量方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003033728A1 (en) * 2001-10-15 2003-04-24 Dsm Ip Assets B.V. Apparatus and method for detecting undesired residues in a sample
CN1318849C (zh) * 1999-08-06 2007-05-30 Imi国际医学创新股份有限公司 以颜色为基础的生化和免疫分析中的光谱测量

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