JPH1071679A - 二軸配向熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

二軸配向熱可塑性樹脂フィルム

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JPH1071679A
JPH1071679A JP9167598A JP16759897A JPH1071679A JP H1071679 A JPH1071679 A JP H1071679A JP 9167598 A JP9167598 A JP 9167598A JP 16759897 A JP16759897 A JP 16759897A JP H1071679 A JPH1071679 A JP H1071679A
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JP
Japan
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film
thermoplastic resin
particles
thickness
scratch resistance
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Application number
JP9167598A
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English (en)
Inventor
Koichi Abe
晃一 阿部
Iwao Okazaki
巌 岡崎
Shoji Nakajima
彰二 中島
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は表面が傷つきにくく(以下耐スクラッ
チ性という)、高温・高湿下での摩擦係数が小さく(以
下、摩擦係数という)、かつ、ダビングによる画質(S/
N)の低下が少ない(以下耐ダビング性という)フィル
ムを提供することを課題とする。 【解決手段】熱可塑性樹脂Bを主成分とするフィルムの
両面に、熱可塑性樹脂Aと不活性粒子とを主成分とする
フィルムであって、該フィルム中に含有される不活性粒
子の平均粒径がフィルム厚さの0.1〜10倍、該粒子の含
有量が0.5〜15重量%、積層厚さ0.005〜3μmであり、
かつ摩擦係数が0.35以下である熱可塑性樹脂フィル
ムが積層されてなることを特徴とする二軸配向熱可塑性
樹脂フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は二軸配向熱可塑性樹脂フ
ィルムに関するものである。
【0003】
【従来の技術】二軸配向熱可塑性樹脂フィルムとして
は、熱可塑性樹脂であるポリエステルにコロイド状シリ
カに起因する実質的に球形のシリカ粒子を含有せしめた
フィルムが知られている(たとえば特開昭59-171623号
公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の二
軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、フィルムの加工工程、
たとえば包装用途における印刷工程、磁気媒体用途にお
ける磁性層塗布・カレンダー工程あるいは感熱転写用途
における感熱転写層塗布などの工程速度の増大にともな
い、接触するロールによってフィルム表面に傷がつくと
いう欠点が最近、問題となってきている。
【0005】また、上記従来の二軸配向熱可塑性樹脂フ
ィルムは高温・高湿下で、フィルムを取り扱う時に摩擦
係数が高くなり、ハンドリング性を不良になるという問
題点があった。
【0006】さらに、フィルムの主要な用途であるビデ
オテープは、最近、ソフト用(制作された映像作品をパ
ッケージ媒体に記録固定、複製・増製したもの)に用い
られるケースが多く、この場合、上記従来のビデオテー
プでは、「映像作品を録画する工程」でマスターテープ
から高速でダビング(記録複写)するときのS/N(シグ
ナル/ノイズ比、画質のパラメータ)の低下が大きく画
質が悪くなるという問題点も出てきている。
【0007】本発明はかかる問題点を改善し、表面が傷
つきにくく(以下耐スクラッチ性という)、高温・高湿
下での摩擦係数が小さく(以下、摩擦係数という)、か
つ、ダビングによる画質(S/N)の低下が少ない(以下
耐ダビング性という)フィルムを提供することを課題と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】熱可塑性樹脂Bを主成分
とするフィルムの両面に、熱可塑性樹脂Aと不活性粒子
とを主成分とするフィルムであって、該フィルム中に含
有される不活性粒子の平均粒径がフィルムの厚さの0.1
〜10倍、該粒子の含有量が0.5〜15重量%、積層厚さ0.0
05〜3μmであり、かつ摩擦係数が0.35以下である
熱可塑性樹脂フィルムが積層されてなることを特徴とす
る二軸配向熱可塑性樹脂フィルムとしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明を構成する熱可塑性樹脂A
はポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフ
ェニレンスルフィドなど特に限定されることはないが、
特に、ポリエステル、中でも、エチレンテレフタレー
ト、エチレンα、β−ビス(2−クロルフェノキシ)エ
タン−4,4'−ジカルボキシレート、エチレン2,6−ナフ
タレート単位から選ばれた少なくとも一種の構造単位を
主要構成成分とする場合に耐スクラッチ性、耐ダビング
性、摩擦係数がより一層良好となるので望ましい。ま
た、本発明を構成する熱可塑性樹脂は結晶性、あるいは
溶融時光学異方性である場合に耐スクラッチ性、耐ダビ
ング性、摩擦係数がより一層良好となるのできわめて望
ましい。ここでいう結晶性とはいわゆる非晶質ではない
ことを示すものであり、定量的には結晶化パラメータに
おける冷結晶化温度Tccが検出され、かつ結晶化パラ
メータΔTcgが150℃以下のものである。さらに、示
差走査熱量計で測定された融解熱(融解エンタルピー変
化)が7.5cal/g以上の結晶性を示す場合に耐スクラッチ
性、耐ダビング性、摩擦係数がより一層良好となるので
きわめて望ましい。また、エチレンテレフタレートを主
要構成成分とするポリエステルの場合に耐ダビング性と
耐スクラッチ性がより一層良好となるので特に望まし
い。なお、本発明を阻害しない範囲内で、2種以上の熱
可塑性樹脂を混合しても良いし、共重合ポリマを用いて
も良い。
【0010】本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性粒子
は、フィルム中での粒径比(粒子の長径/短径)が1.0
〜1.3の粒子、特に、球形状の粒子の場合に耐スクラッ
チ性がより一層良好となるので望ましい。
【0011】また、本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性
粒子はフィルム中での単一粒子指数が0.7以上、好まし
くは0.9以上である場合に耐スクラッチ性、耐ダビング
性がより一層良好となるので特に望ましい。
【0012】また、本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性
粒子は、フィルム中での相対標準偏差が0.6以下、好ま
しくは0.5以下の場合に耐スクラッチ性、耐ダビング性
がより一層良好となるので望ましい。
【0013】本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性粒子の
種類は特に限定されないが、上記の好ましい粒子特性を
満足するにはアルミナ珪酸塩、1次粒子が凝集した状態
のシリカ、内部析出粒子などは好ましくなく、コロイダ
ルシリカに起因する実質的に球形のシリカ粒子、架橋高
分子による粒子(たとえば架橋ポリスチレン)などがあ
る、特に10重量%減量時温度(窒素中で熱重量分析装置
島津TG−30Mを用いて測定。昇温速度20℃/分)が380
℃以上になるまで架橋度を高くした架橋高分子粒子の場
合に耐スクラッチ、耐ダビング性がより一層良好となる
ので特に望ましい。なお、コロイダルシリカに起因する
球形シリカの場合にはアルコキシド法で製造された、ナ
トリウム含有量が少ない、実質的に球形のシリカの場合
に耐スクラッチ性がより一層良好となるので特に望まし
い。しかしながら、その他の粒子、たとえば炭酸カルシ
ウム、二酸化チタン、アルミナなどの粒子でもフィルム
厚さと平均粒径の適切なコントロールにより十分使いこ
なせるものである。
【0014】本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性粒子の
結晶化促進係数は特に限定されないが、−15〜15℃、好
ましくは−5℃〜10℃の場合に、耐スクラッチ性がより
一層良好となるので特に望ましい。
【0015】不活性粒子の大きさは、フィルム中での平
均粒径がフィルム厚さの0.1〜10倍、好ましくは0.5〜5
倍、されに好ましくは1.1〜3倍の範囲であることが必
要である。平均粒径/フィルム厚さ比が上記の範囲より
小さいと耐スクラッチ性、摩擦係数が不良となり、逆に
大きくしても耐スクラッチ性、耐ダビング性、摩擦係数
が不良となるので好ましくない。
【0016】また熱可塑性樹脂A中の不活性粒子のフィ
ルム中での平均粒径(直径)が0.007〜0.5μm、好まし
くは0.02〜0.45μmの範囲である場合に、耐スクラッチ
性、耐ダビング性、摩擦係数がより一層良好となるので
望ましい。本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性粒子の含
有量は0.5〜15重量%であることが必要である。不活性
粒子の含有量が上記の範囲より少なくても、逆に大きく
ても耐スクラッチ性が不良となるので好ましくない。
【0017】本発明フィルムは上記熱可塑性樹脂Aと不
活性粒子からなる組成物を主要成分とするが、本発明の
目的を阻害しない範囲内で、他種ポリマをブレンドして
もよいし、また酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸
収剤などの有機添加剤が通常添加される程度添加されて
いてもよい。
【0018】本発明フィルムは上記組成物を二軸配向せ
しめたフィルムである。一軸あるいは無配向フィルムで
は耐スクラッチ性が不良となるので好ましくない。この
配向の程度は特に限定されないが、高分子の分子配向の
程度の目安であるヤング率が長手方向に350kg/mm2
以上、より好ましくは長手方向、幅方向ともに350kg
/mm2以上である場合に耐スクラッチ性、摩擦係数が
より一層良好となるのできわめて望ましい。分子配向の
程度の目安であるヤング率の上限は特に限定されない
が、通常、5000kg/mm2程度が製造上の限界であ
る。
【0019】また、本発明フィルムは、ヤング率が上記
範囲内であっても、フィルムの厚さ方向の一部分、たと
えば、表層付近のポリマ分子の配向が無配向、あるい
は、一軸配向になっていない、すなわち、厚さ方向の全
部分の分子配向が二軸配向である場合に耐スクラッチ
性、耐ダビング性、摩擦係数がより一層良好となるので
特に望ましい。
【0020】特にアッベ屈折率計、レーザーを用いた屈
折率計、全反射レーザーラマン法などによって測定され
る分子配向が、表面、裏面ともに二軸配向である場合に
耐スクラッチ性、耐ダビング性、摩擦係数がより一層良
好となるので特に望ましい。
【0021】さらに熱可塑性樹脂Aが結晶性ポリエステ
ルであり、これを主成分とする本発明フィルムの表面の
全反射ラマン結晶化指数が20cm-1以下、好ましくは18
cm-1以下、さらに17cm-1以下の場合に耐スクラッチ
性、耐ダビング性、摩擦係数がより一層良好となるので
きわめて望ましい。
【0022】本発明の熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
ィルムの2次イオンマススペクトルによって測定される
表層粒子濃度比は特に限定されないが、1/10以下、特に
1/50以下である場合に摩擦係数、耐スクラッチ性がより
一層良好となるので特に望ましい。
【0023】本発明の熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
ィルムの厚さは0.005〜3μm、好ましくは0.01〜1μ
m、さらに好ましくは0.03〜0.5μmであることが必要
である。フィルム厚さが上記の範囲より小さいと耐ダビ
ング性、摩擦係数が不良となり逆に大きいと耐スクラッ
チ性が不良となるので好ましくない。
【0024】本発明の熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
ィルムの表面の平均突起高さは5〜500nm、好ましく
は10〜300nm、さらに好ましくは15〜200nmの範囲で
ある場合に耐スクラッチ性、耐ダビング性、摩擦係数が
より一層良好となるので特に望ましい。
【0025】本発明の熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
ィルムの平均突起間隔は6μm以下、好ましくは4μm
以下である場合に耐スクラッチ性、耐ダビング性、摩擦
係数がより一層良好となるので特に望ましい。
【0026】本発明の熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
ィルムの表面の中心線深さRpは特に限定されないが、Rp
が180nm以下、特に160nm以下の場合に耐ダビング性
がより一層良好となるので特に望ましい。また、上記Rp
と最大高さRtの比、Rt/Rpが1.5〜2.5、特に、1.7〜2.3
の場合に耐スクラッチ性、耐ダビング性、摩擦係数がよ
り一層良好となるので特に望ましい。
【0027】本発明の熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
ィルムの表面の中心線平均粗さRaと最大高さRtの比、Rt
/Raが9.0以下、特に8.5以下の場合に耐スクラッチ性、
耐ダビング性、摩擦係数がより一層良好となるので特に
望ましい。
【0028】本発明フィルムは上述したように、構成す
る熱可塑性樹脂が結晶性あるいは溶融光学異方性である
ことがきわめて望ましいが、溶融等方性フィルムの場
合、結晶化パラメータΔTcgが25〜65℃である場合に耐
スクラッチ性、摩擦係数がより一層良好となるので特に
望ましい。
【0029】なお熱可塑性樹脂Aがポリエステルの場合
には熱可塑性樹脂A面の厚さ方向屈折率が1.5以下の場
合に、耐スクラッチ性、耐ダビング性がより一層良好と
なるので特に望ましい。
【0030】本発明フィルムを構成する熱可塑性樹脂A
がポリエステルの場合はフィルムの固有粘度が0.60以
上、特に0.70以上の場合に耐スクラッチ性がより一層良
好となるので特に望ましい。
【0031】本発明フィルムを構成する熱可塑性樹脂A
がポリエステルの場合はフィルム中の低分子成分含有量
が0.8重量%以下、特に0.5重量%以下の場合に耐スクラ
ッチ性がより一層良好となるので特に望ましい。
【0032】本発明フィルムは、熱可塑性樹脂Bのフィ
ルムの両面に上記熱可塑性樹脂Aのフィルムを積層した
後二軸配向したフィルムの形で用いる。ここで熱可塑性
樹脂AとBは同じ種類でも、異なるものでも良い。
【0033】熱可塑性樹脂Bとしては結晶性ポリマが望
ましく、特に、結晶性パラメータΔTcgが20〜100℃の範
囲の場合に、耐ダビング性がより一層良好となるので望
ましい。具体例として、ポリエステル、ポリアミド、ポ
リフェニレンスルフィド、ポリオレフィンが挙げられる
が、ポリエステルの場合に耐ダビング性がより一層良好
となるので特に望ましい。また、ポリエステルとして
は、エチレンテレフタレート、エチレンα、β−ビス
(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4'−ジカルボキシ
レート、エチレン2,6−ナフタレート単位から選ばれた
少なくとも、一種の構造単位を主要構成成分とする場合
に耐ダビング性が特に良好となるので望ましい。ただ
し、本発明を阻害しない範囲内、望ましい結晶性を損な
わない範囲内で、好ましくは5モル%以内であれば他成
分が共重合されていてもよい。
【0034】本発明の熱可塑性樹脂Bにも、本発明の目
的を阻害しない範囲内で、他種ポリマをブレンドしても
よいし、また酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収
剤などの有機添加剤が通常添加される程度添加されてい
てもよい。
【0035】熱可塑性樹脂Bを主成分とするフィルム中
には不活性粒子を含有している必要は特にないが、平均
粒径が0.007〜2μm、特に0.02〜0.45μmの不活性粒
子が0.001〜0.2重量%、特に0.005〜0.15重量%、さら
には0.005〜0.12重量%含有されていると、摩擦係数、
耐スクラッチ性がより一層良好となるのみならず、フィ
ルムの巻姿が良好となるのできわめて望ましい。含有す
る不活性粒子の種類は熱可塑性樹脂Aに望ましく用いら
れるものを使用することが望ましい。熱可塑性樹脂Aと
Bに含有する粒子の種類、大きさは同じでも異なってい
ても良い。
【0036】上記熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの結
晶化パラメータΔTcgの差(A−B)は特に限定されな
いが、−30〜+20℃の場合に、耐スクラッチ性、耐ダビ
ング性がより一層良好となるので特に望ましい。
【0037】次に本発明フィルムの製造方法について説
明する。
【0038】まず、熱可塑性樹脂Aに不活性粒子を含有
せしめる方法としては、熱可塑性樹脂がポリエステルの
場合には、ジオール成分であるエチレングリコールのス
ラリーの形で分散せしめ、このエチレングリコールを所
定のジカルボン酸成分と重合せしめるのが延伸破れな
く、本発明範囲の厚さと平均粒径の関係、含有量、望ま
しい範囲の配向状態のフィルムを得るのに有効である。
また、不活性粒子を含有するポリエステルの溶融粘度、
共重合成分などを調節して、その結晶化パラメータΔTc
gを40〜65℃の範囲にしておく方法は積層部の延伸破れ
なく、本発明範囲の厚さと平均粒径の関係、含有量、望
ましい範囲の配向状態、表層粒子濃度比、平均突起高
さ、Rt/Rp比、Rt/Ra比のフィルムを得るのに有効であ
る。
【0039】また、不活性粒子のエチレングリコールの
スラリーを140〜200℃、特に180〜200℃の温度で30分〜
5時間、特に1〜3時間熱処理する方法は積層部の延伸
破れなく、本発明範囲の厚さと平均粒径の関係、含有
量、望ましい範囲の配向状態、表層粒子濃度比のフィル
ムを得るのに有効である。
【0040】また熱可塑性樹脂(ポリエステルも含め
て)に不活性粒子を含有せしめる方法として、粒子をエ
チレングリコール中で140〜200℃、特に180〜200℃の温
度で30分〜5時間、特に1〜3時間熱処理した後、溶媒
を水に置換したスラリーの形で熱可塑性樹脂と混合し、
ベント方式の2軸押出機を用いて混練して熱可塑性樹脂
に練り込む方法も本発明範囲の厚さと平均粒径の関係、
含有量、望ましい範囲の配向状態、表層粒子の濃度比、
平均突起高さ、Rt/Rp比、Rt/Ra比のフィルムを得るのに
きわめて有効である。
【0041】粒子の含有量を調節する方法としては、上
記方法で高濃度マスターを作っておき、それを製膜時に
不活性粒子を実質的に含有しない熱可塑性樹脂で希釈し
て粒子の含有量を調節する方法がある。
【0042】かくして、不活性粒子を所定量含有するペ
レットを必要に応じて乾燥したのち、熱可塑性樹脂Bを
主成分とするフィルムの両面に熱可塑性樹脂Aを主成分
とするフィルムを積層する方法としては、次の方法が有
効である。
【0043】所定の熱可塑性樹脂A組成物と熱可塑性樹
脂B(A、Bは同種、異種どちらでもよい)を公知の溶
融積層用押出機に供給し、スリット状のダイからシート
状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめ
て未延伸フィルムを作る。すなわち、2または3台の押
出機、2または3層のマニホールドまたは合流ブロック
を用いて、熱可塑性樹脂A、Bを積層し、口金から3層
のシートを押出し、キャスティングロールで冷却して未
延伸フィルムを作る。この場合、熱可塑性樹脂Aのポリ
マ流路に、スタティックミキサー、ギヤポンプを設置す
る方法は積層部の延伸破れなく、本発明範囲の厚さと平
均粒径の関係、含有量、望ましい範囲の配向状態、平均
突起高さ、Rt/Rp比、Rt/Ra比、表層粒子濃度比のフィル
ムを得るのに有効である。この場合、未延伸フィルムに
押出し成形する時の、口金スリット間隔/未延伸フィル
ム厚さの比を5〜30、好ましくは8〜20の範囲にするこ
とが、積層部の延伸破れなく本発明範囲の厚さと平均粒
径の関係、含有量の範囲、望ましい範囲の配向状態、表
層粒子濃度比、全反射ラマン結晶化指数のフィルムを得
るのに有効である。次にこの未延伸フィルムを二軸延伸
し、二軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延
伸法または同時二軸延伸法を用いることができる。ただ
し、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二
軸延伸法を用い、長手方向の延伸を3段階以上に分け
て、総縦延伸倍率を3.5〜6.5倍で行なう方法は積層部の
延伸破れなく、本発明範囲の厚さと平均粒径の関係、含
有量、望ましい範囲の配向状態、表層粒子濃度比のフィ
ルムを得るのに有効である。
【0044】ただし、熱可塑性樹脂が溶融光学異方性樹
脂である場合は長手方向延伸倍率は1〜1.1倍が適切で
ある。長手方向延伸温度は熱可塑性樹脂の種類によって
異なり一概には言えないが、通常、その1段目を50〜13
0℃とし、2段目以降はそれより高くすることが本発明
範囲の厚さと平均粒径の関係、含有量、望ましい範囲の
配向状態、平均突起高さ、表層粒子濃度比のフィルムを
得るのに有効である。長手方向延伸速度は5000〜50000
%/分の範囲が好適である。幅方向の延伸方法としては
ステンタを用いる方法が一般的である。延伸倍率は、3.
0〜5.0倍の範囲が適当である。幅方向の延伸速度は、10
00〜20000%/分、温度は80〜160℃の範囲が好適であ
る。次にこの延伸フィルムを熱処理する。この場合の熱
処理温度は170〜200℃、特に170〜190℃、時間は0.5〜6
0秒の範囲が好適である。
【0045】積層フィルムの延伸温度の設定は熱可塑性
樹脂Bを基準として設定する必要がある。さらに2層積
層フィルムの熱処理工程は、熱可塑性樹脂A層に吹き付
ける熱風温度を熱可塑性樹脂B層よりも3〜20℃低くす
ることが、本発明範囲の厚さと平均粒径の関係、含有
量、望ましい範囲の配向状態、平均突起高さ、Rt/Rp
比、Rt/Ra比、表層粒子濃度比、全反射ラマン結晶化指
数のフィルムを得るのに有効である。
【0046】本発明は含有する粒子の大きさとフィルム
厚さの関係、含有量、フィルム厚さを特定範囲とした熱
可塑性樹脂積層フィルムとしたので、従来の溶融製膜/
二軸延伸プロセスでは得られない表面形態とすることが
できたため、本発明の効果が得られたものと推定され
る。
【0047】[物性の測定方法ならびに効果の評価方
法]本発明の特性値の測定方法並びに効果の評価方法は
次の通りである。
【0048】(1)粒子の平均粒径 フィルムからポリエステルをプラズマ低温灰化処理法
(たとえばヤマト科学製PR-503型)で除去し粒子を露出
させる。処理条件はポリエステルは灰化されるが粒子は
ダメージを受けない条件を選択する。これをSEM(走査
型電子顕微鏡)で観察し、粒子の画像(粒子によってで
きる光の濃淡)をイメージアナライザー(たとえばケン
ブリッジインストルメント製QTM900)に結び付け、観察
箇所を変えて粒子数5000個以上で次の数値処理を行な
い、それによって求めた数平均径Dを平均粒径とする。
【0049】D=ΣD1/N ここで、D1は粒子の円相当径、Nは個数である。
【0050】(2)粒子の含有量 ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択
し、粒子をポリエステルから遠心分離し、粒子の全体重
量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。
場合によっては赤外分光法の併用も有効である。
【0051】(3)結晶化パラメータΔTcg、融解熱 パーキンエルマー社製のDSC(示差走査熱量計)II型を
用いて測定した。DSCの測定条件は次の通りである。す
なわち、試料10mgをDSC装置にセットし、300℃の温度で
5分間溶融した後、液体窒素中に急冷する。この急冷試
料を10℃/分で昇温し、ガラス転移点Tgを検知する。さ
らに昇温を続け、ガラス状態からの結晶化発熱ピーク温
度をもって冷結晶化温度Tccとした。さらに昇温を続
け、融解ピークから融解熱を求めた。ここでTccとTgの
差(Tcc−Tg)を結晶化パラメータΔTcgと定義する。
【0052】(4)表面の分子配向(屈折率) ナトリウムD線(589nm)を光線として、アッベ屈折率
計を用いて測定した。マウント液にはヨウ化メチレンを
用い、25℃、65%RHにて測定した。ポリマの二軸配向性
は長手方向、幅方向、厚さ方向の屈折率をN1、N2、N3
した時、(N1−N2)の絶対値が0.07以下、かつ、N3
[(N1+N2)/2]が0.95以下であることをひとつの基準
とできる。また、レーザー型屈折率計を用いて屈折率を
測定しても良い。さらに、この方法では測定が難しい場
合は、全反射レーザーラマン法を用いることもできる。
レーザー全反射ラマンの測定は、Jobin-Yvon社製Remano
r U-1000ラマンシステムにより、全反射ラマンスペクト
ルを測定し、たとえばPETの場合では、1615cm-1(ベ
ンゼン環の骨格振動)と1730cm-1(カルボニル基の伸
縮振動)のバンド強度比の偏光測定比(YY/XX比など。
ここでYY:レーザーの偏光方向をYにしてYに対して平
行なラマン光検出、XX:レーザーの偏光方向をXにして
Xに対して平行なラマン光検出)が分子配向と対応する
ことを利用できる。ポリマの二軸配向性はラマン測定か
ら得られたパラメータを長手方向、幅方向の屈折率に換
算して、その絶対値、差などから判定できる。この場合
の測定条件は次のとおりである。
【0053】(1) 光源 アルゴンイオンレーザー(5145オングストローム) (2) 試料のセッティング フィルム表面を全反射プリズムに圧着させ、レーザーの
プリズムへの入射角(フィルム厚さ方向との角度)は60
゜とした。
【0054】(3) 検出器 PM:RCA31034/Photon Counting System (Hamamatsu C123
0) (supply 160DV) (4) 測定条件 SLIT 1000μm LASER 100mW GATE TIME 1.0sec SCAN SPEED 12cm-1/min SAMPLING INTERVAL 0.2cm-1 REPEAT TIME 6 (5)全反射ラマン結晶化指数 Jobin-Yvon社製Ramanor U-1000ラマンシステムにより、
全反射ラマンスペクトルを測定し、カルボニル基の伸縮
振動である1730cm-1の半価幅をもって表面の全反射ラ
マン結晶価指数とした。測定条件は次のとおりである。
測定深さは、表面から500〜1000オングストローム程度
である。
【0055】(1) 光源 アルゴンイオンレーザー(5145オングストローム) (2) 試料のセッティング レーザー偏光方向(S偏光)とフィルム長手方向が平行
となるようにフィルム表面を全反射プリズムに圧着さ
せ、レーザのプリズムへの入射角(フィルム厚さ方向と
の角度)は60゜とした。
【0056】(3) 検出器 PM:RCA31034/Photon Counting System (Hamamatsu C123
0) (supply 1600V) (4) 測定条件 SLIT 1000μm LASER 100mW GATE TIME 1.0sec SCAN SPEED 12cm-1/min SAMPLING INTERVAL 0.2cm-1 REPEAT TIME 6 (6)表面突起の平均高さ 2検出器方式の走査型電子顕微鏡[ESM−3200、エリオ
ニクス(株)製]と断面測定装置[PMS−1、エリオニ
クス(株)製]においてフィルム表面の平坦面の高さを
0として走査したときの突起の高さ測定値を画像処理装
置[IBAS2000、カールツァイス(株)製]に送り、画像
処理装置上にフィルム表面突起画像を再構築する。次
に、この表面突起画像で突起部分を2値化して得られた
個々の突起の面積から円相当径を求めこれをその突起の
平均径とする。また、この2値化された個々の突起部分
の中で最も高い値をその突起の高さとし、これを個々の
突起について求める。この測定を場所を変えて500回繰
返し、突起個数を求め、測定された全突起についてその
高さの平均値を平均高さとした。また個々の突起の高さ
データをもとに、高さ分布の標準偏差を求めた。また走
査型電子顕微鏡の倍率は、1000〜8000倍の間の値を選択
する。なお、場合によっては、高精度光干渉式3次元表
面解析装置(WYKO社製TOPO−3D、対物レンズ:40〜200
倍、高解像度カメラ使用が有効)を用いて得られる高さ
情報を上記SEMの値に読み替えて用いても良い。
【0057】(7)中心線平均表面粗さRa、中心線深さ
Rp、最大高さRt、突起間隔Sm 小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用いて測
定した。条件は下記のとおりであり、20回の測定の平均
値をもって値とした。
【0058】・触針先端半径:0.5μm ・触針荷重 :5mg ・測定長 :1mm ・カットオフ値:0.08mm なお、Ra、Rp、Rt、Smの定義は、たとえば、奈良治郎著
「表面粗さの測定・評価法」(総合技術センター、198
3)に示されているものである。
【0059】(8)ヤング率 JIS−Z−1702に規定された方法にしたがって、インス
トロンタイプの引っ張り試験機を用いて、25℃、65%RH
にて測定した。
【0060】(9)固有粘度[η](単位はdl/g) オルソクロルフェノール中、25℃で測定した溶融粘度か
ら下記式から計算される値を用いる。
【0061】すなわち、 ηSP /C=[η]+K[η]2・C ここでηSP=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒10
0mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常1.2)、K
はハギンス定数(0.343とする)。また、溶液粘度、溶
媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
【0062】(10)表層粒子濃度比 2次イオンマススペクトル(SIMS)を用いて、フィルム
中の粒子に起因する元素の内のもっとも高濃度の元素と
ポリエステルの炭素元素の濃度比を粒子濃度とし、厚さ
方向の分析を行なう。SIMSによって測定される最表層粒
子濃度(深さ0の点)における粒子濃度Aとさらに深さ
方向の分析を続け得られる最高濃度Bの比、A/Bを表層
濃度比と定義した。測定装置、条件は下記のとおりであ
る。
【0063】(1) 測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 西独、ATOMIKA社製A−DIDA3000 (2) 測定条件 1次イオン種:O2 + 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流:200nA ラスタ−領域:400μm□ 分析領域:ゲート30% 測定真空度:6.0×10-9Torr E−GUN:0.5KV−3.0A (11)単一粒子指数 フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で写真観察
し、粒子を検知する。観察倍率を100000倍程度にすれ
ば、それ以上分けることができない1個の粒子が観察で
きる。粒子の占める全面積をA、その内2個以上の粒子
が凝集している凝集体の占める面積をBとした時、(A
−B)/Aをもって、単一粒子指数とする。TEM条件は下
記のとおりであり1視野面積:2μm2の測定を場所を
変えて、500視野測定する。
【0064】・装置:日本電子製JEM-1200EX ・観察倍率:100000倍 ・加速電圧:100KV ・切片厚さ:約1000オングストローム (12)粒径比 上記(1)の測定において個々の粒子の長径の平均値/
短径の平均値の比である。
【0065】すなわち、下式で求められる。
【0066】長径=ΣD1i/N 短径=ΣD2i/N D1i、D2iはそれぞれ個々の粒子の長径(最大径)、短径
(最短径)、Nは総個数である。
【0067】(13)粒径の相対標準偏差 上記(1)の方法で測定された個々の粒子径Di、平均径
D、粒子総数Nから計算される標準偏差σ(=√{Σ
(Di−D)2/N})を平均径Dで割った値(σ/D)で表
わした。
【0068】(14)低分子成分含有量 試料ポリマを粉砕しソックスレー抽出器を用いて、クロ
ロホルムを溶媒として、還流下で24時間抽出を行なう。
【0069】クロロホルムを蒸発させて得られた抽出物
の重量のもとの試料の重量に対する比率(重量%)をも
って低分子成分含有量とした。
【0070】(15)結晶化促進計数 上記(3)の方法で粒子を1重量%含有するポリエステ
ルのΔTcg(I)、およびこれから粒子を除去した同粘度
のポリエステルのΔTcg(II)を測定し、ΔTcg(II)と
ΔTcg(I)の差[ΔTcg(II)−ΔTcg(I)]をもっ
て、結晶化促進係数とした。
【0071】(16)積層フィルム中の熱可塑性樹脂A層
の厚さ 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、フィルム中
の粒子の内最も高濃度の粒子に起因する元素とポリエス
テルの炭素元素の濃度比(M+/C+)を粒子濃度とし、熱
可塑性樹脂A層の表面から深い(厚さ)方向の分析を行
なう。表層では表面という界面のために粒子濃度は低く
表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明
フィルムの場合は深さ[I]でいったん極大値となった
粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線をもと
に極大値の粒子濃度の1/2になる深さ[II](ここでII
>I)を積層厚さとした。条件は測定法(10)と同様で
ある。
【0072】なお、フィルム中にもっとも多く含有する
粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいの
で、表面からエッチングしながらXPS(X線光電子分光
法)、IR(赤外分光法)あるいはコンフォーカル顕微鏡
などで、その粒子濃度のデプスプロファイルを測定し、
上記同様の手法から積層厚さを求めても良い。
【0073】さらに、上述した粒子濃度のデプスプロフ
ァイルからではなく、フィルムの断面観察あるいは薄膜
段差測定機などによって熱可塑性樹脂Aの積層厚さを求
めても良い。
【0074】なお、単層フィルムの場合の厚さは、公知
の方法、たとえばダイヤルゲージ法、光干渉法、重量
法、薄膜段差測定法などによって求めることができる。
【0075】(17)耐スクラッチ性 フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたもの
をテープ走行性試験機を使用して、ガイドピン(表面粗
度:Raで100nm)上を走行させる(走行速度1000m/
分、走行回数10パス、巻き付け角:60゜、走行張力:20
g)。この時、フィルムに入った傷を顕微鏡で観察し、
幅2.5μm以上の傷がテープ幅あたり2本未満は優、2
本以上10本未満は良、10本以上は不良と判定した。優が
望ましいが、良でも実用的には使用可能である。
【0076】(18)耐ダビング性 フィルムに下記組成の磁性塗料をグラビヤロールにより
塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型テス
トカレンダー装置(スチールロール/ナイロンロール、
5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカレン
ダー処理した後、70℃、48時間キュアリングする。上記
テープ原反を1/2インチにスリットし、パンケーキを作
成した。このパンケーキから長さ250mの長さをVTRカセ
ットに組み込みVTRカセットテープとした。
【0077】 (磁性塗料の組成) ・C0含有酸化鉄(BET値50m2/g) :100重量部 ・エスレックA(積水化学製塩化ビニル /酢酸ビニル共重合体) :10重量部 ・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製 ポリウレタンエラストマ) :10重量部 ・コロネートL(日本ポリウレタン製 ポリイソシアネート) :5重量部 ・レシチン :1重量部 ・メチルエチルケトン :75重量部 ・メチルイソブチルケトン :75重量部 ・トルエン :75重量部 ・カーボンブラック :2重量部 ・ラウリン酸 :1.5重量部 このテープに家庭用VTRを用いてシバソク製のテレビ試
験波形発生器(TG7/U706)により100%クロマ信号を記
録し、その再生信号からシバソク製カラービデオノイズ
測定器(925D/1)でクロマS/Nを測定しAとした。また上
記と同じ信号を記録したマスターテープのパンケーキを
磁界転写方式のビデオソフト高速プリントシステム(た
とえばソニーマグネスケール(株)製のスプリンタ)を
用いてAを測定したのと同じ試料テープ(末記録)のパ
ンケーキへダビングした後のテープのクロマS/Nを上記
と同様にして測定し、Bとした。このダビングによるク
ロマS/Nの低下(A−B)が3dB未満の場合は耐ダビン
グ性:優、3dB以上5dB未満の場合は良、5dB以上は不
良と判定した。優が望ましいが、良でも実用的には使用
可能である。
【0078】(19)摩擦係数μk フィルムを幅1/2インチのテープ状にスリットしたもの
をテープ走行性試験機TBT-300型((株)横浜システム
研究所製)を使用し、60℃、80%RH雰囲気で走行させ、
初期の摩擦係数を下記の式より求めた(フィルム幅は1/
2インチとした)。
【0079】μk=0.733log(T2/T1) ここではT1は入側張力、T2は出側張力である。ガイド径
は6mmφであり、ガイド材質はSUS27(表面粗度0.2
S)、巻き付け角は180゜、走行速度は3.3cm/秒であ
る。この測定によって得られたμkが0.35以下の場合は
摩擦係数:良好、0.35を越える場合は摩擦係数:不良と
判定した。
【0080】このμkはフィルムを磁気記録媒体、コン
デンサ、包装用などの加工する時のハンドリング性を左
右する臨界点である。
【0081】(20)耐削れ性 フィルムを幅1/2インチにテープ状にスリットしたもの
に片刃を垂直に押しあて、さらに0.5mm押し込んだ状
態で20cm走行させる(走行張力:500g、走行速度:
6.7cm/秒)。この時片刃の先に付着したフィルム表
面の削れ物の高さを顕微鏡で読みとり、削れ量とした
(単位はμm)。少なくとも片面について、この削れ量
が10μm以下の場合は耐削れ性:良好、10μmを越える
場合は耐削れ性:不良と判定した。この削れ量:10μm
という値は、印刷工程やカレンダー工程などの加工工程
で、フィルム表面が削れることによって、工程上、製品
性能上のトラブルがおこるか否かを判定するための臨界
点である。
【0082】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明する。
【0083】比較例1〜7 平均粒径の異なる架橋ポリスチレン粒子、コロイダルシ
リカに起因するシリカ粒子を含有するエチレングリコー
ルスラリーを調製し、このエチレングリコールスラリー
を190℃で1.5次か熱処理した後、テレフタル酸ジメチル
とエステル交換反応後、重縮合し、該粒子を0.3〜55重
量%含有するポリエチレンテレフタレート(以下PETと
略記する)のペレットを作った。また、実施例9はポリ
エチレンα、β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン
−4.4'−ジカルボキシレートを実施例10はポリエチレン
2.6−ナフタレートを用いた。この時、重縮合時間を調
節し固有粘度を0.70とした(熱可塑性樹脂A)。また、
常法によって、固有粘度0.62の実質的に不活性粒子を含
有しないPETを製造し、熱可塑性樹脂Bとした。これら
のポリマをそれぞれ180℃で3時間減圧乾燥(3Torr)し
た。熱可塑性樹脂Aを押出機1に供給し310℃で溶融
し、さらに、熱可塑性樹脂Bを押出機2に供給、280℃
で溶融し、これらのポリマを合流ブロック(フィードブ
ロック)で合流積層し、静電印加キャスト法を用いて表
面温度30℃のキャスティング・ドラムに巻きつけて冷却
固化し、2層構造の未延伸フィルムを作った。この時、
口金スリット間隔/未延伸フィルム厚さの比を10として
未延伸フィルムを作った。また、それぞれの押出機の吐
出量を調節し総厚さ、熱可塑性樹脂A層の厚さを調節し
た。この未延伸フィルムを温度80℃にて長手方向に4.5
倍延伸した。この延伸は2組ずつのロールの周速差で4
段階行なった。この一軸延伸フィルムをステンタを用い
て延伸速度2000%/分で100℃で幅方向に4.0倍延伸し、
定長下で、200℃にて5秒間熱処理し、総厚さ15μm、
熱可塑性樹脂A層厚さ0.003〜5μmの二軸配向積層フ
ィルムを得た。これらのフィルムの本発明のパラメータ
は第1表に示したとおりであり、耐スクラッチ性、耐ダ
ビング性、摩擦係数を兼備するフィルムは得られなかっ
た。
【0084】実施例1〜2 実施例1に用いた熱可塑性樹脂Aの原料を押出機1に供
給し、平均粒径0.3〜1.0μmの架橋ポリスチレンの粒子
を所定量含有する固有粘度0.6のPETを熱可塑性樹脂Bと
してこれを押出機2に供給して、実施例1と同様にし
て、ただしA/B/Aの3層構造の総厚さ15μm、熱可塑性
樹脂A層(片側)の厚さが0.06〜0.3μmのフィルムを
作った。これらのフィルムの本発明パラメータは本発明
範囲であり、耐スクラッチ性、耐ダビング性ともに優れ
たフィルムであった(第2表)。
【0085】実施例3〜8、比較例8〜9 熱可塑性樹脂A、Bとして、PET、ポリフェニレンスル
フィド、ナイロン6を準備した。熱可塑性樹脂Aには各
種粒子を含有するエチレングリコールスラリーを190℃
で1.5時間熱処理した後、溶媒を水に置換したスラリー
をベント方式の二軸押出機を用いて熱可塑性樹脂と混練
し、各種粒子を所定量含有する熱可塑性樹脂Aを作っ
た。熱可塑性樹脂Aを押出機1に供給し310〜330℃で溶
融し、さらに、実質的に粒子を含有しない熱可塑性樹脂
Bを押出機2に供給、290〜310℃で溶融し、これらの熱
可塑性樹脂を第3、4表のように組み合わせて、合流ブ
ロック(フィードブロック)で合流積層し、静電印加キ
ャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティング・ドラ
ムに巻きつけて冷却固化し、3層構造(A/B/A)の未延
伸フィルムを作った。この時、口金スリット間隔/未延
伸フィルム厚さの比を10として未延伸フィルムを作っ
た。また、それぞれの押出機の吐出量を調節し総厚さ、
熱可塑性樹脂A層の厚さを調節した。この未延伸フィル
ムを温度50〜95℃にて長手方向に4.5倍延伸した。この
延伸は2組ずつのロールの周速差で、4段階で行なっ
た。この一軸延伸フィルムをステンタを用いて延伸速度
2000%/分で100℃で幅方向に4.0倍延伸し、定長下で、
180℃にて5秒間熱処理し、総厚さ15μm、熱可塑性樹
脂A層の厚さおよび厚さと含有する粒子の径の比、含有
量が異なるサンプルを作った。これらのフィルムの本発
明のパラメータは第3、4表に示したとおりであり、本
発明のパラメータが範囲内の場合は耐スクラッチ性、耐
ダビング性、摩擦係数は第3、表に示したとおり優ま
たは良であったが、そうでない場合は耐スクラッチ性、
耐ダビング性、摩擦係数を兼備するフィルムは得られな
かった。
【0086】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0087】
【発明の効果】本発明は、製法の工夫により、不活性粒
子を含有する熱可塑性樹脂を用いて、粒子の大きさとフ
ィルム厚さの関係、含有量、フィルム厚さを特定範囲と
した積層フィルムとしたので、耐スクラッチ性、摩擦係
数が優れたフィルムとなり、また磁気記録媒体用に用い
た時の耐ダビング性に優れたフィルムが得られたもので
あり、各用途でのフィルム加工速度の増大に対応できる
ものである。本発明フィルムの用途は特に限定されない
が、加工工程でのフィルムの表面の傷が加工工程上、製
品性能上特に問題となる磁気記録媒体用ベースフィルム
として特に有用である。
【0088】また、本発明は製膜工程内で、コーティン
グなどの操作なしで直接複合積層によって作ったフィル
ムであり、製膜工程中あるいはその後のコーティングに
よって作られる積層フィルムに比べて、最表層の分子も
二軸配向であるため、上述した特性以外、たとえば、表
面の耐削れ性もはるかに優れ、しかもコスト面、品質の
安定性などにおいて有利であるものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 5/704 G11B 5/704 // B29K 67:00 105:16 B29L 7:00 9:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂Bを主成分とするフィルム
    の両面に、熱可塑性樹脂Aと不活性粒子とを主成分とす
    るフィルムであって、該フィルム中に含有される不活性
    粒子の平均粒径がフィルム厚さの0.1〜10倍、該粒子の
    含有量が0.5〜15重量%、積層厚さ0.005〜3μmであ
    り、かつ摩擦係数が0.35以下である熱可塑性樹脂フ
    ィルムが積層されてなることを特徴とする二軸配向熱可
    塑性樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂Aが結晶性ポリエステルで
    あり、かつ、熱可塑性樹脂Aを主成分とするフィルムの
    表面の全反射ラマン結晶化指数が20cm-1以下であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の二軸配向熱可塑性樹脂
    フィルム。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂Aを主成分とするフィルム
    に含有される不活性粒子が粒径比1.0〜1.3の粒子である
    ことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の二軸
    配向熱可塑性樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂Aを主成分とするフィルム
    に含有される不活性粒子の相対標準偏差が0.6以下であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二
    軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
  5. 【請求項5】 磁気記録媒体に用いられてなることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向熱可
    塑性樹脂フィルム。
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