JP2892273B2 - 二軸配向熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

二軸配向熱可塑性樹脂フィルム

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JP2892273B2
JP2892273B2 JP1749894A JP1749894A JP2892273B2 JP 2892273 B2 JP2892273 B2 JP 2892273B2 JP 1749894 A JP1749894 A JP 1749894A JP 1749894 A JP1749894 A JP 1749894A JP 2892273 B2 JP2892273 B2 JP 2892273B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は二軸配向熱可塑性樹脂フ
ィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】二軸配向熱可塑性樹脂フィルムとして
は、熱可塑性樹脂であるポリエステルにコロイド状シリ
カに起因する実質的に球形のシリカ粒子を含有せしめた
フィルムが知られている(たとえば特開昭59−171
623号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の二
軸配向熱可塑性樹脂フィルムの主要な用途であるビデオ
テープは、最近、ソフト用(制作された映像作品をパッ
ケージ媒体に記録固定、複製・増製したもの)に用いら
れるケースが多く、この場合、上記従来のフィルムを用
いたビデオテープでは、「映像作品を録画する工程」で
マスターテープから高速でダビング(記録複写)する時
のS/N(シグナル/ノイズ比、画質のパラメータ)の
低下が大きく画質が悪くなるという問題点も出てきてい
る。
【0004】本発明はかかる問題点を改善し、ダビング
による画質(S/N)の低下が少ない(以下耐ダビング
性という)フィルムを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、 (1) 熱可塑性樹脂Aと不活性粒子とを主成分とするフィ
ルムであって、該フィルム中に含有される不活性粒子の
平均粒径がフィルム厚さの0.1〜10倍、該粒子の含
有量が0.5〜50重量%である厚さ3μmを越え5μ
m以下のフィルムが、実質的に不活性粒子を含有しない
熱可塑性樹脂Bを主成分とするフィルムの少なくとも片
面に積層されてなることを特徴とする二軸配向熱可塑性
樹脂フィルム、及び、 (2) 熱可塑性樹脂Aと不活性粒子とを主成分とするフィ
ルムであって、該フィルム中に含有される不活性粒子の
平均粒径がフィルム厚さの0.1〜10倍、該粒子の含
有量が0.5〜50重量%である厚さ3μmを越え5μ
m以下のフィルムが、熱可塑性樹脂Bと平均粒径0.0
07〜2μmの不活性粒子とを主成分とし、該不活性粒
子の含有量が0.001〜0.2重量%であるフィルム
の少なくとも片面に積層されてなることを特徴とする二
軸配向熱可塑性樹脂フィルム、 としたものである。
【0006】本発明を構成する熱可塑性樹脂Aはポリエ
ステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレン
スルフィドなど特に限定されることはないが、特に、ポ
リエステル、中でもエチレンテレフタレート、エチレン
α,β−ビス(2-クロルフェノキシ)エタン-4,4'-ジカ
ルボキシレート、エチレン2,6-ナフタレート単位から選
ばれた少なくとも一種の構造単位を主要構成成分とする
場合に、耐ダビング性がより一層良好となるので望まし
い。また、本発明を構成する熱可塑性樹脂は結晶性、あ
るいは溶融時光学異方性である場合に耐ダビング性がよ
り一層良好となるのできわめて望ましい。ここでいう結
晶性とはいわゆる非晶質ではないことを示すものであ
り、定量的には結晶化パラメータにおける冷結晶化温度
Tccが検出され、かつ結晶化パラメータΔTcgが1
50℃以下のものである。さらに、示差走査熱量計で測
定された融解熱(融解エンタルピー変化)が7.5ca
l/g以上の結晶性を示す場合に耐ダビング性がより一
層良好となるのできわめて望ましい。また、エチレンテ
レフタレートを主要構成成分とするポリエステルの場合
に耐ダビング性がより一層良好となるので特に望まし
い。なお、本発明を阻害しない範囲内で、2種以上の熱
可塑性樹脂を混合しても良いし、共重合ポリマを用いて
も良い。
【0007】本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性粒子
は、フィルム中での粒径比(粒子の長径/短径)が1.
0〜1.3の粒子、特に、球形状の粒子の場合に耐ダビ
ング性がより一層良好となるので望ましい。
【0008】また、本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性
粒子はフィルム中での単一粒子指数が0.7以上、好ま
しくは0.9以上である場合に耐ダビング性がより一層
良好となるので特に望ましい。
【0009】また、本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性
粒子は、フィルム中での相対標準偏差が0.6以下、好
ましくは0.5以下の場合に耐ダビング性がより一層良
好となるので望ましい。
【0010】本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性粒子の
種類は特に限定されないが、上記の好ましい粒子特性を
満足するにはアルミナ珪酸塩、1次粒子が凝集した状態
のシリカ、内部折出粒子などは好ましくなく、コロイダ
ルシリカに起因する実質的に球形のシリカ粒子、架橋高
分子による粒子(たとえば架橋ポリスチレン)などがあ
るが、特に10重量%減量時温度(窒素中で熱重量分析
装置島津TG−30Mを用いて測定。昇温速度20℃/
分)が380℃以上になるまで架橋度を高くした架橋高
分子粒子の場合に耐ダビング性がより一層良好となるの
で特に望ましい。なお、コロイダルシリカに起因する球
形シリカの場合にはアルコキシド法で製造された、ナト
リウム含有量が少ない、実質的に球形のシリカの場合に
耐ダビング性がより一層良好となるので特に望ましい。
しかしながら、その他の粒子、例えば炭酸カルシウム、
二酸化チタン、アルミナ等の粒子でもフィルム厚さと平
均粒径の適切なコントロールにより十分使いこなせるも
のである。
【0011】本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性粒子の
結晶化促進係数は特に限定されないが、−15〜15
℃、好ましくは−5℃〜10℃の場合に、耐ダビング性
がより一層良好となるので特に望ましい。
【0012】不活性粒子の大きさは、フィルム中での平
均粒径がフィルム厚さの0.1〜10倍、好ましくは
0.5〜5倍、さらに好ましくは1.1〜3倍の範囲で
あることが必要である。平均粒径/フィルム厚さ比が上
記の範囲より小さくても、大きくても耐ダビング性が不
良となるので好ましくない。
【0013】また熱可塑性樹脂A中の不活性粒子のフィ
ルム中での平均粒径(直径)が0.007〜0.5μ
m、好ましくは0.02〜0.45μmの範囲である場
合に、耐ダビング性がより一層良好となるので望まし
い。
【0014】本発明の熱可塑性樹脂A中の不活性粒子の
含有量は0.5〜50重量%、好ましくは1〜30重量
%さらに好ましくは2〜15重量%であることが必要で
ある。不活性粒子の含有量が上記の範囲より少なくて
も、逆に大きくても耐ダビング性が不良となるので好ま
しくない。
【0015】本発明フィルムは上記熱可塑性樹脂Aと不
活性粒子からなる組成物を主要成分とするが、本発明の
目的を阻害しない範囲内で、他種ポリマをブレンドして
もよいし、また酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸
収剤などの有機添加剤が通常添加される程度添加されて
いてもよい。
【0016】本発明フィルムは上記組成物を二軸配向せ
しめたフィルムである。一軸あるいは無配向フィルムで
は耐ダビング性が不良となるので好ましくない。この配
向の程度は特に限定されないが、高分子の分子配向の程
度の目安であるヤング率が長手方向、幅方向ともに35
0kg/mm2 以上である場合に、耐ダビング性がより
一層良好となるのできわめて望ましい。分子配向の程度
の目安であるヤング率の上限は特に限定されないが、通
常、5000kg/mm2 程度が製造上の限界である。
【0017】また、本発明フィルムは、ヤング率が上記
範囲内であっても、フィルムの厚さ方向の一部分、例え
ば、表層付近のポリマ分子の配向が無配向、あるいは、
一軸配向になっていない。すなわち、厚さ方向の全部分
の分子配向が二軸配向である場合に、耐ダビング性がよ
り一層良好となるので望ましい。
【0018】特にアッベ屈折率計、レーザーを用いた屈
折率計、全反射レーザーラマン法などによって測定され
る分子配向が、表面、裏面ともに二軸配向である場合
に、耐ダビング性がより一層良好となるので特に望まし
い。
【0019】さらに熱可塑性樹脂Aが結晶性ポリエステ
ルであり、これを主成分とする本発明フィルムの表面の
全反射ラマン結晶化指数が20cm-1以下、好ましくは
18cm-1以下、さらに17cm-1以下の場合に耐ダビ
ング性がより一層良好となるのできわめて望ましい。
【0020】本発明の熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
ィルムの2次イオンマススペクトルによって測定される
表層粒子濃度比は特に限定されないが、1/10以下、
特に1/50以下である場合に耐ダビング性がより一層
良好となるので特に望ましい。
【0021】本発明の熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
ィルムの厚さは3μmを越えμm以下であることが必
要である。フィルム厚さが上記の範囲より小さいと耐ダ
ビング性が不良となる場合がある
【0022】本発明の熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
ィルムの表面の平均突起高さは5〜500nm、好まし
くは10〜300nm、さらに好ましくは15〜200
nmの範囲である場合に耐ダビング性がより一層良好と
なるので特に望ましい。
【0023】本発明の熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
ィルムの平均突起間隔は6μm以下、好ましくは4μm
以下である場合に耐ダビング性がより一層良好となるの
で特に望ましい。
【0024】本発明の熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
ィルムの表面の中心線深さRpは特に限定されないが、
Rpが180nm以下、特に160nm以下の場合に耐
ダビング性がより一層良好となるので特に望ましい。ま
た、上記Rpと最大高さRtの比、Rt/Rpが1.5
〜2.5、特に1.7〜2.3の場合に耐ダビング性が
より一層良好となるので特に望ましい。
【0025】本発明の熱可塑性樹脂Aを主成分とするフ
ィルムの表面の中心線平均粗さRaと最大高さRtの
比、Rt/Raが9.0以下、とくに8.5以下の場合
に耐ダビング性がより一層良好となるので特に望まし
い。
【0026】本発明フィルムは上述したように、構成す
る熱可塑性樹脂が結晶性あるいは溶融光学異方性である
ことがきわめて望ましいが、溶融等方性フィルムの場
合、結晶性パラメータΔTcgが25〜65℃である場
合に耐ダビング性がより一層良好となるので特に望まし
い。
【0027】なお熱可塑性樹脂Aがポリエステルの場合
には熱可塑性樹脂A面の厚さ方向屈折率が1.5以下の
場合に耐ダビング性がより一層良好となるので特に望ま
しい。
【0028】本発明フィルムを構成する熱可塑性樹脂A
がポリエステルの場合はフィルムの固有粘度が0.60
以上、特に0.70以上の場合に耐ダビング性がより一
層良好となるので特に望ましい。
【0029】本発明フィルムを構成する熱可塑性樹脂A
がポリエステルの場合はフィルム中の低分子成分含有量
が0.8重量%以下、特に0.5重量%以下の場合に耐
ダビング性がより一層良好となるので特に望ましい。
【0030】本発明フィルムは、熱可塑性樹脂Bのフィ
ルムの少なくとも片面に上記熱可塑性樹脂Aのフィルム
を積層した後二軸配向したフィルムの形で用いると、機
械的特性が良好となるのみならず、耐ダビング性もより
一層良好となるのできわめて望ましい。ここで熱可塑性
樹脂AとBは同じ種類でも、異なるものでも良い。
【0031】上記は積層構成がA/B/A、A/Bの場
合であるが、もちろん、Aと異なる表面状態を有するC
層をAと反対面に設けたA/B/Cでも、あるいはそれ
以上の多層構造でもよい。(ここでA、B、Cそれぞれ
の熱可塑性樹脂の種類は同種でも、異種でもよい。ま
た、少なくとも片方の表面はA層であることが必要であ
る。)
【0032】熱可塑性樹脂Bとしては結晶性ポリマが望
ましく、特に、結晶性パラメータΔTcgが20〜10
0℃の範囲の場合に、耐ダビング性がより一層良好とな
るので望ましい。具体例として、ポリエステル、ポリア
ミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィンが挙
げられるが、ポリエステルの場合に耐ダビング性がより
一層良好となるので特に望ましい。また、ポリエステル
としては、エチレンテレフタレート、エチレンα,β−
ビス(2-クロルフェノキシ)エタン-4,4'-ジカルボキシ
レート、エチレン2,6-ナフタレート単位から選ばれた少
なくとも一種の構造単位を主要構成成分とする場合に耐
ダビング性が特に良好となるので望ましい。ただし、本
発明を阻害しない範囲内、望ましい結晶性を損なわない
範囲内で、好ましくは5モル%以内であれば他成分が共
重合されていてもよい。
【0033】本発明の熱可塑性樹脂Bにも、本発明の目
的を阻害しない範囲内で、他種ポリマをブレンドしても
よいし、また酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収
剤などの有機添加剤が通常添加される程度添加されてい
てもよい。
【0034】熱可塑性樹脂Bを主成分とするフィルム中
には不活性粒子を含有している必要は特にないが、平均
粒径が0.007〜2μm、特に0.02〜0.45μ
mの不活性粒子が0.001〜0.2重量%、特に0.
005〜0.15重量%、さらには0.005〜0.1
2重量%含有されていると、耐ダビング性がより一層良
好となるのみならず、フィルムの巻姿が良好となるので
きわめて望ましい。含有する不活性粒子の種類は熱可塑
性樹脂Aに望ましく用いられるものを使用することが望
ましい。熱可塑性樹脂AとBに含有する粒子の種類、大
きさは同じでも異なっていても良い。
【0035】上記熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの結
晶化パラメータΔTcgの差(A−B)は特に限定され
ないが、−30〜+20℃の場合に、耐ダビング性がよ
り一層良好となるので特に望ましい。
【0036】次に本発明フィルムの製造方法について説
明する。
【0037】まず、熱可塑性樹脂Aに不活性粒子を含有
せしめる方法としては、熱可塑性樹脂がポリエステルの
場合には、ジオール成分であるエチレングリコールのス
ラリーの形で分散せしめ、このエチレングリコールを所
定のジカルボン酸成分と重合せしめるのが延伸破れな
く、本発明範囲の厚さと平均粒径の関係、含有量、望ま
しい範囲の配向状態のフィルムを得るのに有効である。
また、不活性粒子を含有するポリエステルの溶融粘度、
共重合成分などを調節して、その結晶化パラメータΔT
cgを40〜65℃の範囲にしておく方法は延伸破れな
く、本発明範囲の厚さと平均粒径の関係、含有量、望ま
しい範囲の配向状態、表層粒子濃度比、平均突起高さ、
Rt/Rp比、Rt/Ra比のフィルムを得るのに有効
である。
【0038】また、不活性粒子のエチレングリコールの
スラリーを140〜200℃、特に180〜200℃の
温度で30分〜5時間、特に1〜3時間熱処理する方法
は延伸破れなく、本発明範囲の厚さと平均粒径の関係、
含有量、望ましい範囲の配向状態、表層粒子濃度比のフ
ィルムを得るのに有効である。
【0039】また熱可塑性樹脂(ポリエステルも含め
て)に不活性粒子を含有せしめる方法として、粒子をエ
チレングリコール中で140〜200℃、特に180〜
200℃の温度で30分〜5時間、特に1〜3時間熱処
理した後、溶媒を水に置換したスラリーの形で熱可塑性
樹脂と混合し、ベント方式の2軸押出機を用いて混練し
て熱可塑性樹脂に練り込む方法も本発明範囲の厚さと平
均粒径の関係、含有量、望ましい範囲の配向状態、表層
粒子濃度比、平均突起高さ、Rt/Rp比、Rt/Ra
比のフィルムを得るのにきわめて有効である。
【0040】粒子の含有量を調節する方法としては、上
記方法で高濃度マスターを作っておき、それを製膜時に
不活性粒子を実質的に含有しない熱可塑性樹脂で希釈し
て粒子の含有量を調節する方法が有効である。
【0041】かくして、不活性粒子を所定量含有するペ
レットを必要に応じて乾燥したのち、公知の溶融押出機
に供給し、熱可塑性樹脂の融点以上、分解点以下でスリ
ット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロ
ール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。この
場合、未延伸フィルムに押出し成形する時の、口金スリ
ット間隙/未延伸フィルム厚さの比を5〜30、好まし
くは8〜20の範囲にすることが、延伸破れなく本発明
範囲の厚さと平均粒径の関係、含有量の範囲、望ましい
範囲の配向状態、表層粒子濃度比、全反射ラマン結晶化
指数のフィルムを得るのに有効である。
【0042】次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二
軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法ま
たは同時二軸延伸法を用いることができる。ただし、最
初に長手方向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二軸延伸
法を用い、長手方向の延伸を3段階以上に分けて、総縦
延伸倍率を3.5〜6.5倍で行なう方法は延伸破れな
く、本発明範囲の厚さと平均粒径の関係、含有量、望ま
しい範囲の配向状態、表層粒子濃度比のフィルムを得る
のに有効である。ただし、熱可塑性樹脂が溶融光学異方
性樹脂である場合は長手方向延伸倍率は1〜1.1倍が
適切である。長手方向延伸温度は熱可塑性樹脂の種類に
よって異なり一概には言えないが、通常、その1段目を
50〜130℃とし、2段目以降はそれより高くするこ
とが本発明範囲の厚さと平均粒径の関係、含有量、望ま
しい範囲の配向状態、平均突起高さ、表層粒子濃度比の
フィルムを得るのに有効である。長手方向延伸速度は5
000〜50000%/分の範囲が好適である。幅方向
の延伸方法としてはステンタを用いる方法が一般的であ
る。延伸倍率は、3.0〜5.0倍の範囲が適当であ
る。幅方向の延伸速度は、1000〜20000%/
分、温度は80〜160℃の範囲が好適である。次にこ
の延伸フィルムを熱処理する。この場合の熱処理温度は
170〜200℃、特に170〜190℃、時間は0.
5〜60秒の範囲が好適である。
【0043】次に、熱可塑性樹脂Bを主成分とするフィ
ルムの少なくとも片面に熱可塑性樹脂Aを主成分とする
フィルムを積層する方法としては、次の方法が有効であ
る。
【0044】所定の熱可塑性樹脂A組成物と熱可塑性樹
脂B(A、Bは同種、異種どちらでもよい)を公知の溶
融積層用押出機に供給し、スリット状のダイからシート
状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめ
て未延伸フィルムを作る。すなわち、2または3台の押
出機、2または3層のマニホールドまたは合流ブロック
を用いて、熱可塑性樹脂A、Bを積層し、口金から2ま
たは3層のシートを押出し、キャスティングロールで冷
却して未延伸フィルムを作る。この場合、熱可塑性樹脂
Aのポリマ流路に、スタティックミキサー、ギヤポンプ
を設置する方法は延伸破れなく、本発明範囲の厚さと平
均粒径の関係、含有量、望ましい範囲の配向状態、平均
突起高さ、Rt/Rp比、Rt/Ra比、表層粒子濃度
比のフィルムを得るのに有効である。また、熱可塑性樹
脂A側の押出機の溶融温度を、熱可塑性樹脂B側より、
10〜40℃高くすることが、延伸破れなく、本発明範
囲の厚さと平均粒径の関係、含有量、望ましい範囲の配
向状態、平均突起高さ、Rt/Rp比、Rt/Ra比、
表層粒子濃度比、全反射ラマン結晶化指数のフィルムを
得るのに有効である。
【0045】次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二
軸配向せしめる方法のポイントは、基本的に上述した単
層フィルムと同様である。ただし、積層フィルムの場合
の延伸温度の設定は熱可塑性樹脂Bを基準として設定す
る必要がある。さらに2層積層フィルムの熱処理工程
は、熱可塑性樹脂A層に吹き付ける熱風温度を熱可塑性
樹脂B層よりも3〜20℃低くすることが、本発明範囲
の厚さと平均粒径の関係、含有量、望ましい範囲の配向
状態、平均突起高さ、Rt/Rp比、Rt/Ra比、表
層粒子濃度比、全反射ラマン結晶化指数のフィルムを得
るのに有効である。
【0046】
【作用】本発明は含有する粒子の大きさとフィルム厚さ
の関係、含有量、フィルム厚さを特定範囲とした熱可塑
性樹脂フィルムあるいはその積層フィルムとしたので、
従来の溶融製膜/二軸延伸プロセスでは得られない表面
形態とすることができたため、本発明の効果が得られた
ものと推定される。
【0047】 [物性の測定方法ならびに効果の評価方法] 本発明の特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の
通りである。
【0048】(1)粒子の平均粒径 フィルムからポリエステルをプラズマ低温灰化処理法
(たとえばヤマト科学製PR−503型)で除去し粒子
を露出させる。処理条件はポリエステルは灰化されるが
粒子はダメージを受けない条件を選択する。これをSE
M(走査型電子顕微鏡)で観察し、粒子の画像(粒子に
よってできる光の濃淡)をイメージアナライザー(たと
えばケンブリッジインストルメント製QTM900)に
結び付け、観察箇所を変えて粒子数5000個以上で次
の数値処理を行ない、それによって求めた数平均径Dを
平均粒径とする。
【0049】 D=ΣDi /N ここでDi は粒子の円相当径、Nは個数である。
【0050】(2)粒子の含有量 ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択
し、粒子をポリエステルから遠心分離し、粒子の全体重
量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。
場合によっては赤外分光法の併用も有効である。
【0051】(3)結晶化パラメータΔTcg、融解熱 パーキンエルマー社製のDSC(示差走査熱量計)II
型を用いて測定した。DSCの測定条件は次の通りであ
る。すなわち、試料10mgをDSC装置にセットし、3
00℃の温度で5分間溶融した後、液体窒素中に急冷す
る。この急冷試料を10℃/分で昇温し、ガラス転移点
Tgを検知する。さらに昇温を続け、ガラス状態からの
結晶化発熱ピーク温度をもって結晶化温度Tccとし
た。さらに昇温を続け、融解ピークから融解熱を求め
た。ここでTccとTgの差(Tcc−Tg)を結晶化
パラメータΔTcgと定義する。
【0052】(4)表面の分子配向(屈折率) ナトリウムD線(589nm)を光源として、アッベ屈
折率計を用いて測定した。マウント液にはヨウ化メチレ
ンを用い、25℃、65%RHにて測定した。ポリマの
二軸配向性は長手方向、幅方向、厚さ方向の屈折率をN
1 、N2 、N3とした時、(N1 −N2 )の絶対値が
0.07以下、かつ、N3 /[(N1 +N2 )/2]が
0.95以下であることをひとつの基準とできる。ま
た、レーザー型屈折率計を用いて屈折率を測定しても良
い。さらに、この方法では測定が難しい場合は全反射レ
ーザーラマン法を用いることもできる。レーザー全反射
ラマンの測定は、Jobin-Yvon社製Ramanor U−1000
ラマンシステムにより、全反射ラマンスペクトルを測定
し、例えばPETの場合では、1615-1(ベンゼン環
の骨格振動)と1730-1(カルボニル基の伸縮振動)
のバンド強度比の偏光測定比(YY/XX比など。ここ
でYY:レーザーの偏光方向をYにしてYに対して平行
なラマン光検出、XX:レーザーの偏光方向をXにして
Xに対して平行なラマン光検出)が分子配向と対応する
ことを利用できる。ポリマの二軸配向性はラマン測定か
ら得られたパラメータを長手方向、幅方向の屈折率に換
算して、その絶対値、差などから判定できる。この場合
の測定条件は次のとおりである。
【0053】 光源 アルゴンイオンレーザー(5145オングストローム) 試料のセッティング フィルム表面を全反射プリズムに圧着させ、レーザのプ
リズムへの入射角(フィルム厚さ方向との角度)は60
゜とした。
【0054】 検出器 PM:RCA31034/Photon Counting System (Hamamatsu C
1230) (supply 1600V) 測定条件 SLIT 1000μm LASER 100mW GATE TIME 1.0sec SCAN SPEED 12cm-1/min SAMPLING INTERVAL 0.2 cm -1 REPEAT TIME 6
【0055】 (5)全反射ラマン結晶化指数 Jobin-Yvon社製Ramanor U−1000ラマンシステムに
より、全反射ラマンスペクトルを測定し、カルボニル基
の伸縮振動である1730cm-1の半価幅をもって表面の
全反射ラマン結晶化指数とした。測定条件は次のとおり
である。測定深さは、表面から500〜1000オング
ストローム程度である。
【0056】 光源 アルゴンイオンレーザー(5145オングストローム) 試料のセッティング レーザー偏光方向(S偏光)とフィルム長手方向が平行
となるようにフィルム表面を全反射プリズムに圧着さ
せ、レーザのプリズムへの入射角(フィルム厚さ方向と
の角度)は60゜とした。
【0057】 検出器 PM:RCA31034/Photon Counting System (Hamamatsu C
1230) (supply 1600V) 測定条件 SLIT 1000μm LASER 100mW GATE TIME 1.0sec SCAN SPEED 12cm-1/min SAMPLING INTERVAL 0.2 cm -1 REPEAT TIME 6
【0058】(6)表面突起の平均高さ 2検出器方式の走査型電子顕微鏡[ESM−3200、
エリオニクス(株)製]と断面測定装置[PMS−1、
エリオニクス(株)製]においてフィルム表面の平坦面
の高さを0として走査した時の突起の高さ測定値を画像
処理装置[IBAS2000、カールツァイス(株)
製]に送り、画像処理装置上にフィルム表面突起画像を
再構築する。次に、この表面突起画像で突起部分を2値
化して得られた個々の突起の面積から円相当径を求めこ
れをその突起の平均径とする。また、この2値化された
個々の突起部分の中で最も高い値をその突起の高さと
し、これを個々の突起について求める。この測定を場所
をかえて500回繰返し、突起個数を求め、測定された
全突起についてその高さの平均値を平均高さとした。ま
た個々の突起の高さデータをもとに、高さ分布の標準偏
差を求めた。また走査型電子顕微鏡の倍率は、1000
〜8000倍の間の値を選択する。なお、場合によって
は、高精度光干渉式3次元表面解析装置(WYKO社製
TOPO−3D、対物レンズ:40〜200倍、高解像
度カメラ使用が有効)を用いて得られる高さ情報を上記
SEMの値に読み替えて用いてもよい。
【0059】(7)中心線平均表面粗さRa、中心線深
さRp、最大高さRt、突起間隔Sm小坂研究所製の高
精度薄膜段差測定器ET−10を用いて測定した。条件
は下記のとおりであり、20回の測定の平均値をもって
値とした。
【0060】 ・触針先端半径:0.5μm ・触針荷重 :5mg ・測定長 :1mm ・カットオフ値:0.08mm なお、Ra、Rp、Rt、Smの定義は、たとえば、奈
良治郎著「表面粗さの測定・評価法」(総合技術センタ
ー、1983)に示されているものである。
【0061】(8)ヤング率 JIS−Z−1702に規定された方法にしたがって、
インストロンタイプの引っ張り試験機を用いて、25
℃、65%RHにて測定した。
【0062】(9)固有粘度[η](単位はdl/g) オルソクロルフェノール中、25℃で測定した溶液粘度
から下記式から計算される値を用いる。すなわち、 ηsp/C=[η]+K[η]2 ・C ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒
100mlあたりの溶解ポリマ重量(g/100ml、通常
1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)。ま
た、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて
測定した。
【0063】(10)表層粒子濃度比 2次イオンマススペクトル(SIMS)を用いて、フィ
ルム中の粒子に起因する元素の内のもっとも高濃度の元
素とポリエステルの炭素元素の濃度比を粒子濃度とし、
厚さ方向の分析を行なう。SIMSによって測定される
最表層粒子濃度(深さ0の点)における粒子濃度Aとさ
らに深さ方向の分析を続けて得られる最高濃度Bの比、
A/Bを表層濃度比と定義した。測定装置、条件は下記
のとおりである。
【0064】 測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 西独、ATOMIKA 社製 A-DIDA3000 測定条件 1次イオン種 :O2 + 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流 :200nA ラスター領域 :400μm□ 分析領域 :ゲート30% 測定真空度 :6.0×10-9Torr E−GUN :0.5KV−3.0A
【0065】(11)単一粒子指数 フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で写真観
察し、粒子を検知する。観察倍率を100000倍程度
にすれば、それ以上分けることができない1個の粒子が
観察できる。粒子の占める全面積をA、そのうち2個以
上の粒子が凝集している凝集体の占める面積をBとした
時、(A−B)/Aをもって、単一粒子指数とする。T
EM条件は下記のとおりであり1視野面積:2μm2
測定を場所を変えて、500視野測定する。
【0066】 ・装置:日本電子製JEM−1200EX ・観察倍率:100000倍 ・加速電圧:100kV ・切片厚さ:約1000オングストローム
【0067】(12)粒径比 上記(1)の測定において個々の粒子の長径の平均値/
短径の平均値の比である。
【0068】すなわち、下式で求められる。
【0069】 長径=ΣD1i /N 短径=ΣD2i /N D1i 、D2i はそれぞれ個々の粒子の長径(最大
径)、短径(最短径)、Nは総個数である。
【0070】(13)粒径の相対標準偏差 上記(1)の方法で測定された個々の突起径Di 、平均
径D、粒子総数Nから計算される標準偏差σ(={Σ
(Di −D)2 /N}1/2 )を平均径Dで割った値(σ
/D)で表わした。
【0071】(14)低分子成分含有量 試料ポリマを粉砕しソックスレー抽出器を用いて、クロ
ロホルムを溶媒として、還流下で24時間抽出を行な
う。クロロホルムを蒸発させて得られた抽出物の重量の
もとの試料の重量に対する比率(重量%)をもって低分
子成分含有量とした。
【0072】(15)結晶化促進係数 上記(3)の方法で粒子を1重量%含有するポリエステ
ルのΔTcg(I)、およびこれから粒子を除去した同
粘度のポリエステルのΔTcg(II)を測定し、ΔT
cg(II)とΔTcg(I)の差[ΔTcg(II)
−ΔTcg(I)]をもって、結晶化促進係数とした。
【0073】 (16)積層フィルム中の熱可塑性樹脂A層の厚さ 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、フィル
ム中の粒子の内最も高濃度の粒子に起因する元素とポリ
エステルの炭素元素の濃度比(M+ /C+ )を粒子濃度
とし、熱可塑性樹脂A層の表面から深さ(厚さ)方向の
分析を行なう。表層では表面という界面のために粒子濃
度は低く表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くな
る。本発明フィルムの場合は深さ[I]でいったん極大
値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布
曲線をもとに極大値の粒子濃度の1/2になる深さ[I
I](ここでII>I)を積層厚さとした。条件は測定
法(10)と同様である。
【0074】なお、フィルム中にもっとも多く含有する
粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難し
いので、表面からエッチングしながらXPS(X線光電
子分光法)、IR(赤外分光法)あるいはコンフォーカ
ル顕微鏡などで、その粒子濃度のデプスプロファイルを
測定し、上記同様の手法から積層厚さを求めても良い。
【0075】さらに、上述した粒子濃度のデプスプロフ
ァイルからではなく、フィルムの断面観察あるいは薄膜
段差測定機等によって熱可塑性樹脂Aの積層厚さを求め
ても良い。
【0076】なお、単層フィルムの場合の厚さは、公知
の方法、例えばダイヤルゲージ法、光干渉法、重量法、
薄膜段差測定法等によって求めることができる。
【0077】(17)耐ダビング性 フィルムに下記組成の磁性塗料をグラビヤロールにより
塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型テス
トカレンダー装置(スチールロール/ナイロンロール、
5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカ
レンダー処理した後、70℃、48時間キュアリングす
る。上記テープ原反を1/2インチにスリットし、パン
ケーキを作成した。このパンケーキから長さ250mの
長さをVTRカセットに組み込みVTRカセットテープ
とした。
【0078】 (磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄(BET値50m2 /g) :100重量部 ・エスレックA(積水化学製塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体) :10重量部 ・ニッポラン2304(日本ポリウレタン製ポリウレタンエラストマ) :10重量部 ・コロネートL(日本ポリウレタン製ポリイソシアネート):5重量部 ・レシチン :1重量部 ・メチルエチルケトン :75重量部 ・メチルイソブチルケトン :75重量部 ・トルエン :75重量部 ・カーボンブラック :2重量部 ・ラウリン酸 :1.5重量部
【0079】このテープに家庭用VTRを用いてシバソ
ク製のテレビ試験波形発生器(TG7/U706)によ
り100%クロマ信号を記録し、その再生信号からシバ
ソク製カラービデオノイズ測定器(925D/1)でク
ロマS/Nを測定しAとした。また上記と同じ信号を記
録したマスターテープのパンケーキを磁界転写方式のビ
デオソフト高速プリントシステム(たとえばソニーマグ
ネスケール(株)製のスプリンタ)を用いてAを測定し
たのと同じ試料テープ(未記録)のパンケーキへダビン
グした後のテープのクロマS/Nを上記と同様にして測
定し、Bとした。このダビングによるクロマS/Nの低
下(A−B)が3dB未満の場合は耐ダビング性:優、
3dB以上5dB未満の場合は良、5dB以上は不良と
判定した。優が望ましいが、良でも実用的には使用可能
である。
【0080】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明する。
【0081】実施例1,比較例1〜4 平均粒径の異なる架橋ポリスチレン粒子、コロイダルシ
リカに起因するシリカ粒子を含有するエチレングリコー
ルスラリーを調製し、このエチレングリコールスラリー
を190℃で1.5時間熱処理した後、テレフタル酸ジ
メチルとエステル交換反応後、重縮合し、該粒子を4.
5〜55重量%含有するポリエチレンテレフタレート
(以下PETと略記する)のペレットを作った。この
時、重縮合時間を調節し固有粘度を0.70とした(熱
可塑性樹脂A)。また、常法によって、固有粘度0.6
2の実質的に不活性粒子を含有しないPETを製造し、
熱可塑性樹脂Bとした。これらのポリマをそれぞれ18
0℃で3時間減圧乾燥(3Torr)した。熱可塑性樹脂A
を押出機1に供給し310℃で溶融し、さらに、熱可塑
性樹脂Bを押出機2に供給、280℃で溶融し、これら
のポリマを合流ブロック(フィードブロック)で合流積
層し、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキ
ャスティング・ドラムに巻きつけて冷却固化し、2層構
造の未延伸フィルムを作った。この時、口金スリット間
隙/未延伸フィルム厚さの比を10として未延伸フィル
ムを作った。また、それぞれの押出機の吐出量を調節し
総厚さ、熱可塑性樹脂A層の厚さを調節した。この未延
伸フィルムを温度80℃にて長手方向に4.5倍延伸し
た。この延伸は2組ずつのロールの周速差で、4段階で
行なった。この一軸延伸フィルムをステンタを用いて延
伸速度2000%/分で100℃で幅方向に4.0倍延
伸し、定長下で、200℃にて5秒間熱処理し、総厚さ
15μm、熱可塑性樹脂A層厚さ0.003〜15μm
の二軸配向積層フィルムを得た。これらのフィルムの本
発明のパラメータは表1に示したとおりであり、本発明
のパラメータが範囲内の場合は耐ダビング性は表1に示
したとおりであったが、そうでない場合は耐ダビング性
を満足するフィルムは得られなかった。
【0082】
【表1】
【0083】
【発明の効果】本発明は、製法の工夫により、不活性粒
子を含有する熱可塑性樹脂を用いて、粒子の大きさとフ
ィルム厚さの関係、含有量、フィルム厚さを特定範囲と
したフィルムあるいはその積層フィルムとしたので、磁
気記録媒体用に用いた時の耐ダビング性に優れたフィル
ムが得られたものであり、本発明フィルムの用途は特に
限定されないが、磁気記録媒体用ベースフィルムとして
特に有用である。また、本発明フィルムのうち2層構造
のものは熱可塑性樹脂A面が走行面(磁気記録媒体用で
は磁性層を塗布しない面、その他の用途では印刷やその
他塗材の塗布などの処理がほどこされない面)として用
いることが好ましい。
【0084】また、本発明は製膜工程内で、コーティン
グなどの操作なしで直接複合積層によって作ったフィル
ムであり、製膜工程中あるいはその後のコーティングに
よって作られる積層フィルムに比べて、最表層の分子も
二軸配向であるため、上述した特性以外、例えば、表面
の耐削れ性もはるかに優れ、しかもコスト面、品質の安
定性などにおいて有利であるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 105:16 (56)参考文献 特開 平2−77431(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂Aと不活性粒子とを主成分
    とするフィルムであって、該フィルム中に含有される不
    活性粒子の平均粒径がフィルム厚さの0.1〜10倍、
    該粒子の含有量が0.5〜50重量%である厚さ3μm
    を越えμm以下のフィルムが、実質的に不活性粒子を
    含有しない熱可塑性樹脂Bを主成分とするフィルムの少
    なくとも片面に積層されてなることを特徴とする二軸配
    向熱可塑性樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂Aと不活性粒子とを主成分
    とするフィルムであって、該フィルム中に含有される不
    活性粒子の平均粒径がフィルム厚さの0.1〜10倍、
    該粒子の含有量が0.5〜50重量%である厚さ3μm
    を越えμm以下のフィルムが、熱可塑性樹脂Bと平均
    粒径0.007〜2μmの不活性粒子とを主成分とし、
    該不活性粒子の含有量が0.001〜0.2重量%であ
    るフィルムの少なくとも片面に積層されてなることを特
    徴とする二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂Aが結晶性ポリエステルで
    あり、かつ、熱可塑性樹脂Aを主成分とするフィルムの
    表面の全反射ラマン結晶化指数が20cm-1以下である
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の二軸
    配向熱可塑性樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂Aを主成分とするフィルム
    に含有される不活性粒子が粒径比1.0〜1.3の粒子
    であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載
    の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂Aを主成分とするフィルム
    に含有される不活性粒子の相対標準偏差が0.6以下で
    あることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の
    二軸配向熱可塑性樹脂フィルム。
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